説明

破砕機

【課題】破砕室部に投入口部を介して被破砕物を投入し、破砕室部において、回転機構により回転軸を回転させ、この回転により回転刃は回転し、被破砕物は押送機構により回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送され、回転刃の回転により破砕機体に取り付けられた固定刃との協働により被破砕物を剪断破砕することになり、被破砕物を確実に破砕することができる。
【解決手段】破砕機体1内に破砕室部2を形成し、破砕室部の上部に被破砕物Wを投入する投入口部3を形成し、下部に回転軸4を横設し、回転軸に回転体6を配設し、回転体に複数個の回転刃7を配設し、破砕機体に回転刃と協働して被破砕物を剪断破砕する固定刃10を配設し、回転体の下方に排出口部8を配設し、排出口部に回転刃の回転軌跡に沿って篩網状体9を配設し、被破砕物を回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な押送機構11を設けてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば紙、プラスチック等の都市ゴミ、産業廃棄物等を細片に切断する破砕機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の破砕機として、例えば、破砕機体内に破砕室部を形成し、該破砕室部の上部に被破砕物を投入する投入口部を形成し、破砕室部の下部に回転軸を横設し、回転軸に回転体を配設し、回転体に被破砕物を破砕可能な複数個の回転刃を配設し、該破砕機体に該回転刃と協働して被破砕物を剪断破砕する固定刃を配設し、回転体の下方に排出口部を配設し、排出口部に該回転刃の回転軌跡に沿って篩網状体を配設し、該破砕機体に該投入口部から投入された被破砕物を回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な押送機構を設けてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−224583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれら従来構造の場合、上記押送機構として、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な単一個の押送部材をもつ構造となっており、このため、被破砕物の種類や破砕度合などの破砕条件によっては、単一個の押送部材の往復運動では被破砕物が上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に確実に押送されないことがあり、破砕効率が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの課題を解決することを目的とし、本発明のうち、請求項1記載の発明は、破砕機体内に破砕室部を形成し、該破砕室部の上部に被破砕物を投入する投入口部を形成し、破砕室部の下部に回転軸を横設し、回転軸に回転体を配設し、回転体に被破砕物を破砕可能な複数個の回転刃を配設し、該破砕機体に該回転刃と協働して被破砕物を剪断破砕する固定刃を配設し、回転体の下方に排出口部を配設し、排出口部に該回転刃の回転軌跡に沿って篩網状体を配設し、該破砕機体に該投入口部から投入された被破砕物を回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な押送機構を設けてなり、上記押送機構として、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第一の押送部材をもつ弧状押送機構と、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって直線往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第二の押送部材をもつ直線押送機構とを備えてなることを特徴とする破砕機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記弧状押送機構に上記第一の押送部材を弧状往復運動させる弧状運動用シリンダを設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記直線押送機構に上記第二の押送部材を直線往復運動させる直線運動用シリンダを設けてなることを特徴とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、人為的又は自動的に、破砕機体内の破砕室部に投入口部を介して都市ゴミや産業廃棄物等である被破砕物を投入し、破砕室部において、回転機構により回転軸を回転させ、この回転により回転刃は回転し、破砕室部内の被破砕物は押送機構により回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送され、回転刃の回転により破砕機体に取り付けられた固定刃との協働により被破砕物を剪断破砕することになり、この際、上記押送機構として、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第一の押送部材をもつ弧状押送機構と、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって直線往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第二の押送部材をもつ直線押送機構とを備えているから、被破砕物を第一の押送部材の弧状往復運動及び第二の押送部材の直線往復運動の相異なる往復運動により回転刃をもつ回転体の上部外周面に強制的に確実に押送することができ、薄膜状又は肉厚のプラスチックフィルム、固形物、軟弱状物などの各種の被破砕物や破砕仕様に基づく破砕度合に対応して、各種被破砕物を確実に破砕することができ、破砕効率を高めることができると共に破砕の融通性を高めることができ、破砕用途の拡大を図ることができる。
【0008】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記弧状押送機構に上記第一の押送部材を弧状往復運動させる弧状運動用シリンダを設けてなるから、弧状押送機構の設置の融通性及び構造の簡素化を図ることができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記直線押送機構に上記第二の押送部材を直線往復運動させる直線運動用シリンダを設けてなるから、直線押送機構の設置の融通性及び構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態例の側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の平面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図3は本発明の実施の形態例を示し、1は破砕機体であって、内部に破砕室部2が形成され、破砕室部2の上方に被破砕物Wを投入するホッパー状の投入口部3を形成し、この破砕室部2の下部に回転軸4を横設し、この回転軸4を回転させる回転機構5を配設し、この回転軸4にロール状の回転体6を配設し、回転体6の外周部分に複数個の回転刃7を一定の位相差をもってつるまき状に配設し、回転体6の下方に排出口部8を配設し、この排出口部8に回転刃7の回転軌跡に沿って板状の篩網状体9を配設し、破砕機体1に回転刃7と協働して被破砕物Wを剪断破砕する固定刃10を配設し、破砕機体1に投入口部3から投入された被破砕物Wを回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送可能な押送機構11を設けて構成している。
【0011】
この場合、上記回転機構5は、破砕機体1に回転用モータ5a及び減速機5bを配置し、回転用モータ5aにより減速機5bを介して回転軸4を駆動回転させるように構成している。
【0012】
この場合、上記押送機構11として、上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物Wを上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送可能な第一の押送部材12aをもつ弧状押送機構12と、上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向かって直線往復運動して上記被破砕物Wを上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送可能な第二の押送部材13aをもつ直線押送機構13とを備えて構成している。
【0013】
この場合、上記弧状押送機構12として、上記第一の押送部材12aを上記破砕室部2の側方に支点軸12bにより弧状往復運動自在に設け、弧状運動用シリンダ12cを破砕機体1にピン12dにより枢着連結し、弧状運動用シリンダ12cのロッド12eを第一の押送部材12aにピン12fにより連結し、第一の押送部材12aを弧状運動用シリンダ12cにより弧状往復運動させ、投入口部3から投入されて落送されてくる被破砕物Wを回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向けて斜め下向きに押送可能に構成している。
【0014】
この場合、上記直線押送機構13として、上記第二の押送部材13aを上記破砕室部2の側方にガイド部材13bにより直線往復運動自在に設け、直線運動用シリンダ13cを破砕機体1にピン13dにより枢着連結し、直線運動用シリンダ13cのロッド13eを第二の押送部材13aにピン13fにより連結し、第二の押送部材13aを直線運動用シリンダ13cにより直線往復運動させ、投入口部3から投入されて落送されてくる被破砕物Wを回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向けて斜め下向きに押送可能に構成している。
【0015】
尚、第一の押送部材12aによる押送作動及び第二の押送部材13aによる押送作動は図示省略の制御手段により予め定めた作動時期や作動速度、タイミング連携運動により作動するように構成されている。
【0016】
この実施の形態例は上記構成であるから、図1の如く、人為的又は自動的に、破砕機体1内の破砕室部2に投入口部3を介して都市ゴミや産業廃棄物等である被破砕物Wを投入し、破砕室部2において、回転機構5により回転軸4を回転させ、この回転により回転刃7は図中矢印方向の時計廻りに回転し、破砕室部2内の被破砕物Wは押送機構11により回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送され、回転刃7の回転により破砕機体1に取り付けられた固定刃10との協働により被破砕物Wを剪断破砕することになり、破砕された被破砕物Wは篩網状体9の篩目9aを介して落下し、篩目9aより大きな被破砕物Wは再び上方にまわってから再度剪断破砕され、被破砕物Wの剪断破砕が行われることになる。
【0017】
この際、上記押送機構11として、上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物Wを上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送可能な第一の押送部材12aをもつ弧状押送機構12と、上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に向かって直線往復運動して上記被破砕物Wを上記回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に押送可能な第二の押送部材13aをもつ直線押送機構13とを備えているから、被破砕物Wを第一の押送部材12aの弧状往復運動及び第二の押送部材13aの直線往復運動の相異なる往復運動により回転刃7をもつ回転体6の上部外周面に強制的に確実に押送することができ、薄膜状又は肉厚のプラスチックフィルム、固形物、軟弱状物などの各種の被破砕物や破砕仕様に基づく破砕度合に対応して、各種被破砕物Wを確実に破砕することができ、破砕効率を高めることができると共に破砕の融通性を高めることができ、破砕用途の拡大を図ることができる。
【0018】
この場合、上記弧状押送機構12に上記第一の押送部材12aを弧状往復運動させる弧状運動用シリンダ12dを設けてなるから、弧状押送機構12の設置の融通性及び構造の簡素化を図ることができ、又、この場合、上記直線押送機構13に上記第二の押送部材13aを直線往復運動させる直線運動用シリンダ13cを設けてなるから、直線押送機構13の設置の融通性及び構造の簡素化を図ることができる。
【0019】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば破砕機体1、破砕室部2、篩網状体9、弧状押送機構12、直線押送機構13構造並び材質等は適宜設計して変更される。
【0020】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0021】
W 被破砕物
1 破砕機体
2 破砕室部
3 投入口部
4 回転軸
6 回転体
7 回転刃
8 排出口部
9 篩網状体
10 固定刃
11 押送機構
12 弧状押送機構
12a 第一の押送部材
12c 弧状運動用シリンダ
13 直線押送機構
13a 第二の押送部材
13c 直線運動用シリンダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機体内に破砕室部を形成し、該破砕室部の上部に被破砕物を投入する投入口部を形成し、破砕室部の下部に回転軸を横設し、回転軸に回転体を配設し、回転体に被破砕物を破砕可能な複数個の回転刃を配設し、該破砕機体に該回転刃と協働して被破砕物を剪断破砕する固定刃を配設し、回転体の下方に排出口部を配設し、排出口部に該回転刃の回転軌跡に沿って篩網状体を配設し、該破砕機体に該投入口部から投入された被破砕物を回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な押送機構を設けてなり、上記押送機構として、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって弧状往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第一の押送部材をもつ弧状押送機構と、上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に向かって直線往復運動して上記被破砕物を上記回転刃をもつ回転体の上部外周面に押送可能な第二の押送部材をもつ直線押送機構とを備えてなることを特徴とする破砕機。
【請求項2】
上記弧状押送機構に上記第一の押送部材を弧状往復運動させる弧状運動用シリンダを設けてなることを特徴とする請求項1記載の破砕機。
【請求項3】
上記直線押送機構に上記第二の押送部材を直線往復運動させる直線運動用シリンダを設けてなることを特徴とする請求項1又は2記載の破砕機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−88042(P2011−88042A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241867(P2009−241867)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(594206646)株式会社小熊鉄工所 (4)
【Fターム(参考)】