説明

破砕装置及びこれを利用した切屑搬送装置

【課題】工作機械の周囲にスペースを要せずに、切屑を破砕して捨て場に搬送することを可能とした破砕装置及び切屑搬送装置を提供する。
【解決手段】破砕装置の回転刃11は、水平な回転軸を有して、コンベア装置から排出された切屑を上から受ける。回転刃11の刃11aが上から下へ下降し始める位置には、回転刃11の刃先端と隙間を開けて配置される上段固定刃12が配置され、上段固定刃12には回転刃11に対向する面に溝状の第1の通路12bが複数設けられている。その下の位置には、回転刃11の刃先端と隙間を開けて、浅い第2の通路13bを複数有する下段固定刃13が設けられる。上段固定刃12と下段固定刃13との間には、切屑を滞留させる切屑溜り14が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械で被加工物を切削した際に生じる切屑を破砕する破砕装置、これを利用して切屑を搬送する切屑搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属や非金属を加工する工作機械では、被加工物を切削した際に生じる切屑はローラコンベアやスクリューコンベア或いはスクレーパーコンベアなどを利用した装置で外部に排出するが、切屑は螺旋状で互いに絡まった塊状になっていることが多い。このままでは嵩高で回収効率が悪いため、例えば、特許文献1に示されるような減容処理が行われている。コンベア装置の切屑排出部の下側に破砕処理装置を配置し、搬送された切屑を破砕して切屑バケットに落下させたり(同公報0006段落)、コンベア装置の搬送途中に破砕処理装置を配置し、切屑を引き上げて破砕して切屑排出部から切屑バケットに落下させたりしている。切屑バケットに落下した切屑は、捨て場に人力で排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4473596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切屑の処理にあっては、人件費や設備費を要することになり、加工工場では厄介な廃棄物である。リサイクル材として転用できるとは言え、大きな価値を生まない切屑の処理が簡便で且つ低コストで処理できることが長年の課題であった。
【0005】
また、切屑バケットを工作機周囲に配置した上にさらに、破砕処理装置を配置するためには、スペースが必要になる。また、特許文献1のようにコンベア装置の途中に破砕処理装置を配置しても、切屑バケットは工作機周囲に配置しなくてはならず、捨て場への排出は専ら人力に依存することになる。
【0006】
本発明の目的は、工作機械の周囲にスペースを要せずに、切屑を破砕して捨て場に搬送することを可能とした破砕装置及び切屑搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の破砕装置は、水平な回転軸を有して、コンベア装置から排出された切屑を上から受ける回転刃と、前記回転刃の刃が上から下へ下降し始める位置に、回転刃の刃先端と隙間を開けて配置される上段固定刃であって、前記回転刃に対向する面に溝状の第1の通路を複数有する上段固定刃と、前記回転刃の刃が上から下へ下降し終える位置に、回転刃の刃先端と隙間を開けて、前記上段固定刃の通路よりも浅い第2の通路を複数有する下段固定刃と、前記上段固定刃と下段固定刃との間に、切屑を滞留させる切屑溜りを有し、前記第1の通路は、前記回転刃が受けた切屑を前記切屑溜りに案内する通路であり、前記第2の通路は前記切屑溜りから切屑を前記回転刃の下に落下させる通路であることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の切屑搬送装置によれば、前記破砕装置の前記回転刃は前記コンベア装置の排出口の下に配置され、前記破砕装置から落下する切屑を吸引して搬送するダクトを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の破砕装置によれば、上段固定刃と下段固定刃とでは、通路の深さにより切屑が通過できる量が異なるため、切屑溜りに切屑が一旦滞留する。切屑溜りはバッファとして、塊となって破砕装置に落下してきた切屑を、少しずつ連続的に細かくして切屑排出できる。上段固定刃と下段固定刃は、回転刃との間に隙間が設けられ、切屑を切断するものではないため、回転刃の回転に大きな力は必要が無い。このため、工作機械の付帯設備であるコンベア装置の排出口に切屑を破砕する破砕装置を装着、更には破砕された切屑をブロワで吸引し処分場まで空気搬送する搬送装置を一体的に組み合わせることで、これまでのような切屑の搬送方法と比較し、切屑を人力で搬出する手間もなく低コストでコンパクトな切屑処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】工作機械、コンベア装置及び切屑搬送装置を示す図である。
【図2】破砕装置を示す図である。
【図3】固定刃と回転刃の関係を示す図である。
【図4】搬送室を示す図である。
【図5】分離器を示す図である。
【図6】切屑搬送装置を設置した工場におけるレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施例の破砕装置10及び破砕装置10を用いた切屑搬送装置100について説明する。
図1は、工作機械1、コンベア装置2及び切屑搬送装置100を示している。コンベア装置2は、工作機械1の下に位置して落下する切削液と切屑を受ける。コンベア装置2の内部には、駆動輪4と従動輪5との間を周回するエンドレスベルト3が設けられている。工作機械1の切屑排出口から落下した切削液は、コンベア装置2の内部に溜まり、浄化されて再び工作機械1へ供給される。一方、工作機械1から落下した切屑は、エンドレスベルト3の作用により、駆動輪4側に引き上げられてコンベア装置2の排出口6から排出される。ここで破砕装置の駆動軸は、スプロケットを利用し、チェーンを利用せず、直接駆動軸4によって駆動してもよい。
【0012】
破砕装置10は、排出口6に取り付けられており、排出される切屑を破砕する。破砕装置10の駆動源は、駆動輪4を回転させるモータ(図示せず)から得ている。具体的には、駆動輪4に直結された駆動軸に先端にスプロケットを装着し、回転をチェーン7で伝動させる。このため、破砕装置10のために新たな駆動モータを使用することなく作動する機構としている。
【0013】
破砕装置10の下には、破砕装置10から落下した切屑を集積して搬送する搬送室20が設けられている。搬送室20からダクト60が伸びており、遠隔に配置された分離器30に接続している。分離器30の周辺には、ブロワ40及び切屑バケット50が配置されている。このうち、破砕装置10、搬送室20、分離器30、ブロワ40及びダクト60が切屑搬送装置100を構成している。
【0014】
切屑搬送装置100を概略説明すると、まず、コンベア装置2で塊状或いは間欠状に纏まった状態で排出されてくる切屑を、破砕装置10で破砕するとともに、連続的に細かく破砕された切屑を搬送室20に落下させる。搬送室20はダクト60を介してブロワ40により負圧状態にされており、落下した切屑は、周囲の空気とともに、ダクト60内を移送される。分離器30では、空気と切屑とを分離する。破砕装置10で、塊になった切屑を細かくし、かつ連続的に排出することにより、空気による搬送を可能としているのである。
【0015】
図2は、破砕装置10を示す図である。図2Aは、破砕装置10の断面を示している。破砕装置10は、断面が四角形状であり、中央でチェーン7から回転力を与えられた回転刃11が図中反時計周りに回転している。破砕装置10の四隅には、上段固定刃12、下段固定刃13が設けられている。反時計周りの回転刃が降下する側(図面、左側)の上段固定刃12、下段固定刃13が主に破砕を行い、上昇する側(図面、右側)の上段固定刃16、下段固定刃17は予備である(上下段は逆になっている)。上段固定刃12と下段固定刃13との間には囲われた空間が設けられており、切屑溜り14となっている。
【0016】
図2Bは、回転刃11を示している。回転刃11は、水平な回転軸15を有して、コンベア装置2から排出された切屑を上から受ける。本実施例においては、切屑の粉砕性を向上させるために低速で回転する軸に厚みのある円形鋼板に等角度間隔に刃を複数設け、これをさらに複数枚重ね合わせている。回転軸15に装着されている回転刃11の1枚1枚の取り付け角度は、刃11aの角度をずらして装着させている。図においては、回転刃11の刃の円ピッチpの半分(p/2)となるようにしている。一度に多量の切屑が破砕装置に落下しても、破砕の荷重が分散して全部の回転刃11にかからないようにするためである。
【0017】
図2C、Dは、上段固定刃12を示している。図2Cは正面図、図2Dは側面図である。上段固定刃12は反時計周りの回転刃11が降下し始める隅に配置され、四角の棒の一辺を切り落としたような形状をしており、この位置に刃12aが設けられている。上段固定刃12の刃12aは、溝幅6ミリメートル程度の凹凸の溝形状の第1の通路12bを複数有しており、この溝深さd1は約4ミリメートル程度である。さらに、通路12bは、回転刃11の回転方向イに対して平行である。
【0018】
図2E、Fは、下段固定刃13を示している。図2Eは正面図、図2Fは側面図である。下段固定刃13は反時計周りの回転刃が降下し終わる隅に配置され、上段固定刃12と同様に四角の棒の一辺を切り落としたような形状をしており、この位置に刃13aが設けられている。下段固定刃13の刃13aは、溝幅6ミリ程度の凹凸の溝形状の第2の通路13bを複数有しており、その溝深さd2は上段固定刃12の刃12aよりも浅く約2ミリメートル程度である。また、下段固定刃13の通路13bは回転刃11の回転方向イに対して交差するものであって、本実施例では約30°傾斜している。
【0019】
図3は、回転刃11と上段固定刃12、下段固定刃13との関係を示している。回転刃11の刃先端と上下2箇所に取り付けられた上段固定刃12、下段固定刃13とは、僅かな回転隙間を以って、対面している。この隙間gは、想定される切屑の厚み0.2ミリメートルよりも大きく0.5ミリメートルに設定されている。このように、回転刃11と固定刃12、13とは、切屑をせん断により切断するのではなく、引き千切ったり折ったりすることで、切屑が細かく破砕できるようにしている。また、切断を行わないことで、刃11a、12a、13aの寿命を長く保つとともに、回転刃11を回転させるモータへの負荷を減らしている。
【0020】
上段固定刃12の第1の通路12bの深さは約4ミリ程度、下段固定刃13の第2の通路13bの深さは約2ミリ程度としている。第1の通路12bの深さd1は、回転刃11が受けた切屑を切屑溜り14に案内する通路であり、深さを深くすることで一度に大量の切屑が入りやすくなっている。また、第2の通路13bの深さd2は切屑溜り14から切屑を回転刃11の下に落下させる通路であり、第1の通路12bの通路に比べて浅く、切屑が出にくくなっている。このため、切屑溜り14には切屑が滞留することになる。また、通路12b、13bの深さd1、d2の相違により、上段固定刃12で荒く破砕、下段で細かく破砕するという機構を有している。
【0021】
さらに、上段固定刃12、下段固定刃13の溝幅は共に6ミリ程度としているが、下段固定刃13は回転刃11に対して交差するように30°傾斜しており、上段固定刃12の回転刃11に平行な溝形状とは異なる。上段と下段の固定刃12、13の形状を異なるものにしている理由は、投入された切屑が先ずは上段固定刃12に接触、この時、破砕されようとする力(回転トルク)の負担なく切屑が上段回転刃12に巻き込まれるよう抵抗の少ない回転方向に平行な刃の形状としているので、破砕した切屑が切屑溜り14に入り込む。一方、下段固定刃13と回転刃11の間からは出にくいものである為、切屑は切屑溜り14にさらに滞留しやすくなっている。
【0022】
一方、下段固定刃13の刃13aは溝も浅く、且つ、回転刃の回転軌線に対して30°傾斜しているので、下段固定刃13に切屑が押し付けられ破砕性能を向上する。そして、切屑は下段固定刃13と回転刃11の間から容易に排出し難くなり、少しずつ細かく破砕できるようになる。
【0023】
コンベア装置2から塊状或いは間欠的に排出される切屑は、一旦切屑溜り14に蓄えられるため、これがバッファとして作用し、少しずつ連続的に切屑を排出するのである。また、破砕装置10は切屑の長短に関係なく有効な破砕性能が得られるものである。
【0024】
破砕を行うと、刃の磨耗により破砕性能がダウンすることは避けられないものであるが、破砕装置10では、破砕室内には回転刃11が上昇方向に回転する側、上へ上昇し始める位置と上昇し終える位置に予備の上段固定刃16、下段固定刃17(図面、右側)をボルト18により装着しており、これを取り外し、磨耗した固定刃12或いは13を予備の固定刃16或いは17と簡単に取り替えることができるようにしている。
【0025】
この予備の固定刃16、17は、通常は破砕に機能しないものではあるが、回転刃11が上昇方向に回転する位置となる予備の固定刃16、17が、コンベア装置2から落下した切屑が、回転刃11の上昇側を通って、破砕されない状態で落下することを防止させるための仕切りという役目も果たすものである。こうすることで工作機械の稼動を長時間停止させることなく簡単で、短時間に、安価に破砕の要である固定刃をメンテナンスすることができる。
【0026】
図4は、搬送室20を示す図である。搬送室20は、破砕装置10の直下に設けられ、破砕された落下する切屑を受ける。搬送室20の側壁は排出性を良くするためにホッパー形状を成し、側壁の片面にはブロワ40により吸引されるダクト60への接続口21(吸込み口)を、反対の側壁には点検口22を覆うキャップ23が設けられている。点検口22は、接続口21の詰まり状態を点検するための孔であり、接続口21の延長上に存在する。搬送室20に切屑が詰まったときには、キャップ23を外し、掻き出し棒25により、切屑を除去する。
【0027】
図4Bには、接続口21の入口に仕切り板24を設けた例である。細かくなった切屑が、一度に接続口21に殺到し、空気の出入りができなくなる状態を避けるためである。仕切り板24を設けることにより、切屑の殺到状況により仕切り板24の左右で圧力差が生じ、これにより詰まりを防ぐのである。
【0028】
図5は、分離器30を示している。分離器30は、ブロワ内に破砕切屑が流れ込まないようにするために搬送室20とブロワ40を結ぶダクト60の途中に設けられる。塵芥と空気を分離するための分離器としては、渦流を発生させ空気と搬送物の比重差で分離する遠心分離方式(サイクロン)を採用した物が多い。サイクロンの場合、風量(風速)と搬送物の比重、サイクロンの形状寸法がマッチしないと分離性能が安定しない欠点がある。本実施例の分離器30では、概観形状的には、上方空間S1は正方形の箱部30a、下方空間S2は逆角錐形の裾部30bからなるタンクであり、上方周囲には流入口31および吐出口32が設けられる。上方空間は、第1の分離板33と第2の分離板34により水平方向に3分割されている。タンク内部の流入口31側では、ブロワ40で吸引された破砕切屑がダクト60からタンク内に流入した直後に、これに対面する位置に配置された第1の分離板33に当たる。第1の分離板33で殆どの破砕切屑が下方空間に落下して分離する。
【0029】
その後、減速しながら空気は上昇し(図中、矢印ロ)、吐出ロ32ヘと導かれるが、第1の分離板33で分離できなかった比較的、軽く小さな破砕切屑がタンク内の側壁を空気の流れに乗って浮遊しながら吐出口32から出て行くこともあり、これを阻止するために、タンク内には吐出口32の手前に第2の分離板34を設けている。第2の分離板34は、タンク側壁から凡そ45度の角度θを以って下方に仕切られ、第1と第2の分離板33、34との間Tはタンク内幅Wの3分の1程度の通路幅となるようにしている。分離板34の下側の空間35は袋小路状の閉鎖した空間となり、吐出口32に向かって(矢印ロ方向)に舞い上がろうとする切屑を押し戻す作用をする。
【0030】
第1と第2の分離板33、34の間を抜けて上昇した位置には、パンチング鋼板37が取り付けられている。このパンチング鋼板37は、浮遊した切屑の通過を抑止するために設けられている。さらに、パンチング鋼板37を通過した上空間においては、管36が開口36aを上に向けた状態で配置されており、吐出口32に連結している。開口36aを2箇所設けたのは、吸込み口の面積を吐出口32の断面積よりも大きくして、吐出口32における流速を開口36aの位置で低下させるためである。また、開口36aが上を向いていることで、上方から空気を吸い込んで排出することで、下から浮遊してくる切屑を吸引し難くする効果がある。
【0031】
このように、構成された切屑搬送装置100の動作について説明する。工作機械1から排出された切屑は、コンベア装置2の中でエンドレスベルト3により切削液と分離されて排出口6まで搬送される。この状態で既に切屑は絡み合い塊状の切屑a(図3)となっている。特に、スクリューコンベアやスクレーパーコンベアでは、切屑は間欠的に搬送されるため、塊は大きくなる傾向がある。塊状の切屑aは、回転刃11により切屑溜り14に引き込まれる。上側固定刃11は、回転刃11の回転方向と平行な深い第1の通路12bを有しているため、大きな塊状であっても、荒く破砕されながら、切屑溜り14に押し込められる。
【0032】
切屑溜り14に滞留した切屑は、回転刃11と斜めに切られた浅溝の下段固定刃13との間の狭い第2の通路13bに押し込められた状態で序々に破砕されながら、搬送室20に連続的に落下する。細かくなった切屑cは、もはや塊の状態ではないので、ブロワ40の吸引力により、吸引されてダクト60を介して分離器30へ至る。
【0033】
図6は、本実施例による切屑搬送装置100を用いて工場内にレイアウトした例を示す。複数の工作機械1が設置され、夫々に取り付けられた破砕装置10からダクト60を通して遠隔の捨て場Tに配置された分離器30へ集約的に切屑が搬送される。捨て場Tは、工作機械から、50m程離れていることもあるが、この間はダクト60が結んでいる。このように、工作機械1の周辺には、ダクト60を通すだけであり、破砕装置10は、コンベア装置2がそもそも、切屑バケットを配置していた排出口の下の空間を利用しているだけである。そして、切屑の搬送は、空気力を利用して、捨て場に集約されるため、切屑バケットを捨て場Tまで移動させる手間が必要ない。
【符号の説明】
【0034】
1 工作機械
2 コンベア装置
3 エンドレスベルト
10 破砕装置
11 回転刃
12 上段固定刃
12b 第1の通路
13 下段固定刃
13b 第2の通路
14 切屑溜り
20 搬送室
30 分離器
40 ブロワ
60 ダクト
100 切屑搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平な回転軸を有して、コンベア装置から排出された切屑を上から受ける回転刃と、
前記回転刃の刃が上から下へ下降し始める位置に、回転刃の刃先端と隙間を開けて配置される上段固定刃であって、前記回転刃に対向する面に溝状の第1の通路を複数有する上段固定刃と、
前記回転刃の刃が上から下へ下降し終える位置に、回転刃の刃先端と隙間を開けて、前記上段固定刃の通路よりも浅い第2の通路を複数有する下段固定刃と、
前記上段固定刃と下段固定刃との間に、切屑を滞留させる切屑溜りを有し、前記第1の通路は、前記回転刃が受けた切屑を前記切屑溜りに案内する通路であり、前記第2の通路は前記切屑溜りから切屑を前記回転刃の下に落下させる通路であることを特徴とする破砕装置。

【請求項2】
請求項1の破砕装置において、前記回転刃は、複数の刃を等角度に配置されていることを特徴とする破砕装置。

【請求項3】
請求項1又は2の破砕装置を用いた切屑搬送装置において、前記破砕装置の前記回転刃は前記コンベア装置の排出口の下に配置され、前記破砕装置から落下する切屑を吸引して搬送するダクトを有することを特徴とする切屑搬送装置。

【請求項4】
請求項1又は2の破砕装置において、前記コンベア装置のエンドレスコンベアの駆動輪を駆動するモータの回転力により前記回転刃が回転されるものであることを特徴とする破砕装置。

【請求項5】
請求項1又は2の破砕装置において、第1の通路は回転刃の回転方向に平行な通路であり、前記第2の通路は、回転刃の回転方向に交差する通路であることを特徴とする破砕装置。

【請求項6】
請求項1又は2の破砕装置において、前記回転刃が下から上へ上昇し始める位置と上昇し終える位置に、前記上段固定刃と下段固定刃の予備が配置されていることを特徴とする破砕装置。

【請求項7】
請求項2の破砕装置において、前記回転刃は、複数の刃を等角度間隔に配置した円形鋼板を複数重ねた回転刃であり、かつ相前後して重なり合う円形鋼板は、刃のピッチを半分の角度ずらして重ねられていることを特徴とする破砕装置。

【請求項8】
請求項1又は2の破砕装置を用いた切屑搬送装置において、前記破砕装置から落下する切屑を受ける搬送室を有し、前記搬送室は、前記搬送室内に落下した切屑を遠隔に配置されたブロワからの吸引力を受けるダクトを接続する吸込み口と、前記吸込み口の延長線状でかつ前記搬送室の反対側に、前記搬送室の外側に開放した点検口とを有することを特徴とする切屑搬送装置。

【請求項9】
請求項8の切屑搬送装置において、前記吸込み口の入口には仕切り板が設けられ、前記仕切り板により、前記入口が2分されていることを特徴とする切屑搬送装置。

【請求項10】
請求項8の切屑搬送装置において、前記ダクトにより搬送された切屑を内部の下方空間に落下させて集積する分離器を有し、前記分離器は、内部の上方空間を水平方向に3分割する第1、第2の分離板を含み、前記第1の分離板は、前記ダクトから前記分離器内に流入する対面に配置されて前記ダクトからの流入空気を下方空間に案内し、前記第2の分離板は、45度傾斜して配置され、前記ダクトの反対側に分割された空間を袋小路状に閉鎖し、前記第1の分離板と第2の分離板の間の空間が前記プロワに接続されていることを特徴とする切屑搬送装置。

【請求項11】
請求項10に切屑搬送装置において、前記第1の分離板と第2の分離板の間の空間には、開口が上向きとされた吐出口が設けられ前記ブロワに接続されていることを特徴とする切屑搬送装置。

【請求項12】
請求項11に切屑搬送装置において、前記吐出口の下には下部にパンチング鋼板が設けられ、前記第1の分離板と第2の分離板の間の空間の空気は前記パンチング鋼板を介して前記吐出口に吸込まれることを特徴とする切屑搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−103308(P2013−103308A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249489(P2011−249489)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000133939)テラル株式会社 (48)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】