破袋装置
【課題】破袋率を顕著に向上させ、破袋後の包装材内部への内容物残りを減少させて包装材と内容物との選別を確実に行うことができ、また、異物処理の作業軽減や巻き付き防止において大きな効果を発揮する破袋装置を提供すること。
【解決手段】この破袋装置Sは、廃棄物Gを投入する投入口2と、軸部材14と送りブレード16とを有して投入口2の下方に配置された送りローター4と、送りローター4の斜め上方に、回転軌跡R2が回転軌跡R1と部分的に重複するように配置され、包装材G2を破断する破袋ローター8と、送りローター4の斜め下方に、回転軌跡R3が回転軌跡R1と部分的に重複するように配置され、包装材G2から内容物G1を取り出す取り出しローター10と、ガイドプレート6と、ローター4,8,10を回転駆動する駆動モータMとを有している。
【解決手段】この破袋装置Sは、廃棄物Gを投入する投入口2と、軸部材14と送りブレード16とを有して投入口2の下方に配置された送りローター4と、送りローター4の斜め上方に、回転軌跡R2が回転軌跡R1と部分的に重複するように配置され、包装材G2を破断する破袋ローター8と、送りローター4の斜め下方に、回転軌跡R3が回転軌跡R1と部分的に重複するように配置され、包装材G2から内容物G1を取り出す取り出しローター10と、ガイドプレート6と、ローター4,8,10を回転駆動する駆動モータMとを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破袋装置に係り、特に多数の回転軸により廃棄物の包装材の破断・除去と内容物の取り出しとを効率的に行う破袋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、袋詰めされた廃棄物の包装材を破断する破袋装置が知られている。例えば、特許文献1には、無端コンベヤに設けられた移動爪とプレートに設けられた固定刃とによって破袋する用のカッターが列状に配置され、コンベヤを回転させることにより包装材を破断する装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、揺動可能に回転するカッターと固定刃とによって廃棄物の包装材を破断する装置が開示されている。これらの装置においては、回転又は移動するカッター(又は移動爪)と固定刃との相対移動により廃棄物の包装材を引き裂くようになっている。そして、廃棄物から包装材を除去して、その内容物を包装材と選別することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−317337号公報
【特許文献2】特開2008−68249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示のものは、無端コンベヤの駆動により破袋を行うものであり、構造が複雑でかつ大型になってしまう。それに伴い、必然的に装置コストも高いものとなってしまう。また、上記特許文献1,2に開示のものは、固定刃とカッター(又は移動爪)との相対移動により破袋を行うので、1つの廃棄物に対する破袋の機会が少なく、充分な破袋率(投入した廃棄物個数のうち、包装材が破断された廃棄物個数の割合)を獲得することが難しい。包装材を破断したものの、内容物が破断された包装材の内部に引っかかるように残っているものも多く、排出後に内容物と包装材との分離を作業員による手作業で行う必要がある。
【0006】
また、破袋装置は、そもそもゴミのようなある程度予想可能な粒度、重量のゴミを内容物として、それらがゴミ袋等の包装材に内包される廃棄物を処理することを想定している。したがって、例えば電子レンジ等の比較的大きな粒度、重量のある家電製品等の処理を想定していないが、万一そのような物が装置内に投入された場合は、異物として除去しなければならない。
【0007】
しかしながら、従来のものは、これらの異物の除去を作業員の手作業で行わなければならず、作業が煩雑で、かつ安全面においても懸念があった。回転軸やカッターに廃棄物の一部が巻き付いた場合にも、手作業で頻繁に除去しなければならず、やはり作業が大変であった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、破袋率を顕著に向上させ、破袋後の包装材内部への内容物残りを減少させて包装材と内容物との分離を確実に行うことができ、また、異物処理の作業軽減や巻き付き防止において大きな効果を発揮する破袋装置を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての破袋装置は、内容物を包装材で内包して構成される廃棄物の包装材を破断し、内容物を包装材から外部に取り出す破袋装置であって、廃棄物を投入する投入口と、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する送りブレードとを有して投入口の下方に配置され、投入口から投入された廃棄物を送りブレードの回転により排出口へ向けて送り出す送りローターと、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する破袋ブレードとを有して、送りローターの斜め上方に、破袋ブレードの回転軌跡が送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された破袋ローターと、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する取り出しブレードとを有して、送りローターの斜め下方に、取り出しブレードの回転軌跡が送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された取り出しローターと、送りローター、破袋ローター及び取り出しローターを回転駆動する1又は複数の駆動源と、を有することを特徴とする。
【0010】
送りローターの回転と破袋ローターの回転とにより破袋処理を行うので、1つの廃棄物に対する破袋ブレードの接触機会を大きく増大させることができる。送りローターの回転方向と破袋ローターの回転方向とを逆回転とすれば、送りブレードと破袋ブレードとの相対速度を増大させることができる。したがって、相対速度向上と引き裂き機会の増大との相乗効果により、破袋率を大きく向上させることができる。
【0011】
しかも、本発明によれば、送りローターの斜め下方に、取り出しローターも配置されている。この取り出しローターは、破袋ローターで破断しきれなかった包装材の破断、包装材の中に更に小袋に包装された内容物が内包されている場合のその小袋の破断、破袋後の包装材からの内容物の弾き出し(取り出し)の機能を発揮するようになっている。したがって、この取り出しローターの回転方向を送りローターの回転方向と逆方向とすることにより、取り出しブレードと送りブレードとの相対速度向上、1つの廃棄物に対する取り出しローターの接触機会の向上を図ることができる。その結果、更なる破袋率の向上、小袋破袋率の向上、包装材と内容物との分離の確実を実現することができる。
【0012】
その破袋装置において、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、20mm以上かつ60mm以下であることが望ましい。また、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、40mm以上かつ160mm以下であることが望ましい。
【0013】
送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードや取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複が小さ過ぎると包装材の破袋率や小袋の破袋率が低下し、また、解れ率(投入した廃棄物個数のうち、内容物と包装材とが分離された廃棄物個数の割合)も低下する。
【0014】
一方、ブレード同士の重複が大き過ぎると、駆動源による所要動力が大きくなり、消費電力の増大を招いてしまう。また、ブレードへの廃棄物の噛み込みも増加してしまい、駆動源の負荷増大にも繋がってしまう。送りブレードと破袋ブレードとの重複や送りブレードと取り出しブレードとの重複には適正な範囲が存在し、その適正範囲内に設定することが、処理効率向上や駆動源の負荷軽減にとって望ましい。本発明においては、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法を20mm以上かつ60mm以下に設定することにより、高い破袋率、高い解れ率及び駆動源の負荷軽減(消費電力低減を含む)を実現することができる。
【0015】
なお、上述のように、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との重複寸法と、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との重複寸法とは、異なる寸法であることが望ましい。より具体的には、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との重複寸法よりも、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との重複寸法の方が大きいことが望ましい。そうすることにより、包装材の破断が主目的とする破袋ローターと、包装材の破断に加えて小袋の破断や内容物の取り出しをも目的とする取り出しローターとが、共に良好に機能発揮することができる。
【0016】
また、取り出しローターは、破袋後の包装材からの内容物の確実な弾き出しを主目的としている。したがって、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法の適正範囲は、送りブレードと破袋ブレードとの適正重複範囲よりも全体として大きく、40mm以上かつ160mm以下となっている。
【0017】
その破袋装置において、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率が20倍以上かつ40倍以下であることが望ましい。
【0018】
包装材の破断の機会を増大させるには、送りローターの回転数に対して破袋ローターの回転数を大きくすることが望ましい。一方で、破袋ローターの回転数を過大にすると、やはり駆動源の消費電力や負荷の点で望ましくなく、適正な範囲が存在する。本発明においては、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率を20倍以上かつ40倍以下とすることにより、高い破袋率と駆動源の負荷軽減を実現することができる。なお、送りローターの回転数に対する取り出しローターの回転数の比率も、同様に20倍以上かつ40倍以下とすることにより、高い解れ率と駆動源の負荷軽減を実現することができる。
【0019】
送りローター、破袋ローター及び取り出しローターのうち少なくともいずれかの軸部材が、その軸直交面内における断面形状が少なくとも3つの頂角を有する非円形状である多角形状部を有することが望ましい。
【0020】
回転軸式を採用した場合、長尺の廃棄物や破袋後の包装材などが軸部材に巻き付き易い。また、巻き付いた長尺廃棄物や包装材には円周方向に均一に引っ張り応力が発生し、その引っ張り応力は円中心方向に向かう均一な締め付け力を生じる。したがって、一旦巻き付いてしまった長尺廃棄物等は、バランスよく均等に作用する応力のために安定的に巻き付き状態を維持し、なかなか軸部材から除去されない。
【0021】
しかしながら、軸部材の直径を大きくし、軸周長を一般的な収集袋長よりも長くすることで、その収集袋の軸への巻き付きを低減することができる。また、仮に巻き付いた場合であっても、引っ張り応力が均一でなく頂角部分と辺部分とで引っ張り応力に不均衡が生じ、安定的に巻き付き状態を維持することが難しい。したがって、容易に軸部材から除去することができる。
【0022】
より具体的には、軸部材の直径を大きくすることにより、主に包装材の軸部材への巻き付きを軽減することができ、軸部材が多角形状部を有することにより、巻き付いてしまった包装材の軸部材からの脱落を促進することができる。例えば、軸部材の直径をφ≧270mmとすれば、一般的に使用されるゴミ袋等の包装材が軸部材の全周長に至らず、軸部材の全周に亘って包装材が巻き付くのを防止することができる。そのため、包装材はなかなか軸部材へとしっかり巻き付くことができない。
【0023】
一方、軸部材が多角形状部を有すると、引張り応力のアンバランスが生じるので、仮に包装材が巻き付いた場合であっても、外乱の影響(例えば、回転停止や逆回転など)によって簡単に包装材が軸部材から脱落する。その結果、巻き付いた包装材が徐々に堆積していくことが防止される。
【0024】
軸部材への廃棄物の巻き付き厚さを検出する巻き付き検出手段と、巻き付き検出手段からの出力に応じて駆動源を制御する制御手段と、を更に有することが望ましい。
【0025】
軸部材へ長尺廃棄物等が多量に巻き付いてしまうと、駆動源への過負荷となり、駆動源の回転が停止してしまったり、過電流等の不具合の原因となり得る。また、破袋処理へも悪影響を与え、破袋率や解れ率の低下を招いてしまう。巻き付き検出手段により軸部材への長尺廃棄物等の巻き付きを検出し、その検出結果に応じて駆動源を制御することにより、上記のような不都合を回避することができる。
【0026】
ここで、巻き付き検出手段には、例えば、軸部材の見かけ半径(巻き付きにより、見かけ半径が増大する)が一定値以上となったことを検出する非接触タイプの投受光センサーや、軸部材に当接付勢された検出ロッドとその検出ロッドの角度位置を検出する位置センサーとの組合せ等を適用することができる。また、制御手段による駆動源の制御には、例えば回転数を減速させる減速制御や逆回転させる逆回転制御等を含む。
【0027】
破袋ローター及び取り出しローターと送りローターとの間を実質的に遮蔽すると共に、破袋ブレードを送りローター側に貫通させる上部スリットと、取り出しブレードを送りローター側に貫通させる下部スリットとが形成され、かつ下部スリットと取り出しブレードとの軸方向における隙間が上部スリットと破袋ブレードとの軸方向における隙間よりも大きく形成されたガイドプレートを更に有することが望ましい。
【0028】
投入された廃棄物が、送りブレードとガイドプレートとに挟まれるようにして円滑に排出口へと導かれる。送りブレードとガイドプレートとにより挟まれるようにして導かれるので、廃棄物の逃げを防止して確実に廃棄物にせん断力を発生させることができる。
【0029】
また、ガイドプレートの上部スリットにおける隙間よりも下部スリットにおける隙間を大きく形成している。ガイドプレートに対して破袋ローター及び取り出しローターが配置される側では、主に破袋後の収集袋等の包装材の取り出しを目的としている。したがって、ガイドプレートに対して送りローターが配置される側では、包装材が除去された残りの内容物が多く存在する。この内容物は、上部スリット側よりも下部スリット側近傍に多く存在し、そのため、下部スリットにおける隙間が小さいとその隙間に多くの内容物が詰まってしまう。その結果、取り出しブレードが挟まってしまって動作不良や故障の原因となる可能性がある。しかしながら、この発明においては、下部スリットにおける隙間を大きくしているので、内容物のスリットへの詰まりが予防される。
【0030】
なお、これらの上部スリット及び下部スリットを通過して送りローター側から破袋ローター側へと破袋された包装材及び各スリット幅より小さいものが引き出されるようになっている。その結果、内容物はガイドプレートの送りローター側、包装材及び各スリット幅より小さいものは破袋ローター側と、両者の効率的な分離が可能となっている。
【0031】
投入口からの異物の投入を検出する異物検出手段と、異物検出手段からの出力に応じて駆動源を逆回転制御する制御手段と、送りローターの逆回転により異物を排出させる排出口とは異なる異物排出口と、を更に有することが望ましい。
【0032】
投入口から異物が投入された場合に、わざわざ作業員の手作業によって異物を取り出す必要がなく、異物排出口から自動排出させることができる。ここで、異物検出手段には、例えば駆動源の電流異常(過電流)を検出する電流計を適用することができる。大型の家電製品等の異物が投入され、送りローターが停止してしまったような場合に、過電流を検出することにより異物投入を検知することができる。
【0033】
そして、異物検知をした場合に、送りローターを逆回転させることにより、通常の排出口とは異なる異物排出口から異物をスムーズに排出することができるので、通常の廃棄物と異物との分離を確実に行うことができる。
【0034】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、包装材や小袋の破袋率の向上や解れ率の向上を実現することができる。また、回転軸への巻き付きを予防したり、異物投入の場合の排出をスムーズに行うことにより、破袋処理の効率向上と装置の耐久性や信頼性の確保及び作業員の安全確保を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図2】図1に示す送りローターの概略を示す外観斜視図である。
【図3】図1に示すガイドプレートの正面図である。
【図4】送りローターの軸部材の軸直交面での断面図である。
【図5】図1に示す破袋ブレードの概略形状を示す二面図である。
【図6】破袋ブレードの他の例を示す二面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図9】図8に示す案内ガイドプレートの正面図である。
【図10】本発明の実施例1において、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率と破袋率及び解れ率との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例2において、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法と破袋率との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例3において、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法と破袋率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sについて、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。図1は、破袋装置Sの内部を側方から見た図である。この破袋装置Sは、全体として略立方体形状を呈し、投入口2、送りローター4、ガイドプレート6、破袋ローター8、取り出しローター10、排出口12、駆動モータ(駆動源)M及び制御装置(制御手段)Cを有して大略構成される。
【0038】
投入口2は、この破袋装置S内に廃棄物Gを投入するための開口であって、破袋装置Sの上部に開口形成されている。廃棄物Gは、例えば紙くず、プラスチック容器、缶等の内容物G1を内包し、その外側をプラスチックゴミ袋等の包装材G2で包んだものである。廃棄物Gの中には、包装材G2内部に小袋に包装された内容物G1が含まれている場合もあり、この破袋装置Sは、外側の包装材G2のみならず、その内部の小袋をも破断する必要がある。投入口2から投入された廃棄物Gは、その下方に配置された送りローター4へと落下するようになっている。
【0039】
送りローター4は、投入口2から落下してきた廃棄物を排出口12へと送るための回転部材である。送りローター4は、図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材14とその軸部材14に取り付けられ略放射状に突出する送りブレード16とを有して構成されている。図2は、この送りローター4の概略を示す外観斜視図である。略放射状に3つの送りブレード16が1組で取り付けられ、その1組が軸部材14の軸方向に等間隔で配置されている。
【0040】
送りローター4は、図中矢印X方向に回転し、投入口2から落下してきた廃棄物Gを送りブレード16とガイドプレート6とで挟み込むようにしながら排出口12にまで送出する。その送出の過程において、ガイドプレート6と破袋ローター8及び取り出しローター10によって包装材G2が破断され内容物G1が包装材G2の中から弾き出されるようになっている。
【0041】
ガイドプレート6は、破袋装置Sの内部で軸方向に延びるプレートであって、破袋ローター8及び取り出しローター10によって引っ張られた廃棄物Gを固定し、破断作用を発生させると共に、投入口2から投入された廃棄物Gを排出口12にまで案内する案内路を形成する案内部材である。ガイドプレート6は、送りローター4が配置される側と、破袋ローター8や取り出しローター10が配置される側との間を実質的に遮蔽し、廃棄物Gの大きい内容物G1が破袋ローター8側へと紛れ込んでしまうのを防止している。
【0042】
図3は、ガイドプレート6の正面図である。図1における紙面垂直方向(軸方向)を、図3における矢印Y方向としている。ガイドプレート6の上部側には、破袋ブレード18の配置位置に対応するように、上部スリット6aが形成されている。この上部スリット6aは、略長方形状に形成されて破袋ブレード18の貫通を許容している。上部スリット6aの形成により、破袋ブレード18が送りローター4側に侵入してその回転軌跡と送りブレード16の回転軌跡とがオーバーラップできるようになっている。
【0043】
上部スリット6aの軸方向寸法(幅寸法)は、破袋ブレード18の軸方向寸法(厚さ寸法)よりも若干大きく形成されており、例えば、破袋ブレード18の厚さ9mmに対して上部スリット6aの幅寸法は30mm以上100mm以下に設定されている。この上部スリット6aと破袋ブレード18との隙間から、破袋後の包装材G2が送りローター4側から破袋ローター8側へと破袋ブレード18により引き出されるようになっている。したがって、ガイドプレート6を挟んで、送りローター4側にスリット6aより大きな内容物G1、破袋ローター8側に包装材G2及びスリット6aより小さな内容物というように、大きな内容物G1と包装材G2及び小さな内容物との分離が行われるようになっている。
【0044】
ガイドプレート6の下部側には、取り出しブレード20の配置位置に対応するように、下部スリット6bが形成されている。この下部スリット6bも、略長方形状に形成されて取り出しブレード20の貫通を許容している。下部スリット6bの形成により、取り出しブレード20が送りローター4側に侵入してその回転軌跡と送りブレード16の回転軌跡とがオーバーラップできるようになっている。
【0045】
下部スリット6bの幅寸法と取り出しブレード20の厚さ寸法との隙間は、上部スリット6aの幅寸法と破袋ブレード18の厚さ寸法との隙間よりも大きく形成されている。より具体的には、取り出しブレード20の厚さが破袋ブレード18の厚さと同寸の9mmである場合に、下部スリット6bの幅寸法は80mm以上150mm以下に設定されている。
【0046】
下部スリット6bの近傍においては、取り出しブレード20による内容物G1の弾き出しが行われ、内容物G1やその粉砕物が付近に散乱する状態となっている。したがって、下部スリット6bと取り出しブレード20との隙間が上部スリット6aにおける隙間同様に小さいと、内容物G1やその粉砕物が隙間に挟まってしまい、破袋装置Sの異常停止等の不具合を生じてしまう。したがって、下部スリット6bにおいては、上部スリット6aにおける場合よりも隙間を大きく設定し、破袋装置Sへの不具合を防止している。なお、この下部スリット6bと取り出しブレード20との隙間からも、送りローター4側に残存する包装材G2が取り出しローター10側へと取り出しブレード20によって引き出されるようになっている。
【0047】
包装材G2の破断は、主に以下のような原理に基づき行われる。すなわち、送りローター4とガイドプレート6との挟み込みにより廃棄物Gが略固定され、その廃棄物Gに対して破袋ブレード18や取り出しブレード20が突き刺さる。そして、ブレード18,20の回転により、ブレード18,20とスリット6a,6bとの間でせん断力が生じ、包装材G2から内容物G1が弾き出されつつ包装材G2が引き裂かれるのである。引き裂かれた包装材G2は、ブレード18,20に刺さっているので、そのままスリット6a,6bを通り抜けて破袋ローター8及び取り出しローター10が配置される側へと引きずり出される。
【0048】
送りローター4の軸部材14は、図2及び図4に示すように軸方向直交面内における断面形状が非円形状である多角形状部14aを有している。また、この多角形状部14aの各頂角kを結ぶ仮想円Jの直径は望ましくはφ270mm以上、より望ましくはφ340mm以上、更に望ましくはφ460mm以上と大径に構成されている。
【0049】
直径が大きいだけでなく、その断面形状が頂角kを有する多角形状とされているので、破袋後の包装材G2や長尺の廃棄物等が巻き付いてしまった場合にも引っ張り応力のアンバランスにより外れ易くなっている。したがって、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きを予防又は軽減している。
【0050】
破袋ローター8は、廃棄物Gの包装材G2を破断するための回転部材である。図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材22とその軸部材22に取り付けられ略放射状に突出する破袋ブレード18とを有して構成され、図中矢印Z方向に回転している。破袋ローター8においては、略放射状に4つの破袋ブレード18が1組で軸部材22に取り付けられ、その1組が軸部材22の軸方向に等間隔で配置されている。なお、破袋ブレード18と送りブレード16とは、相互に干渉しないように軸方向位置がずれて配置され、いわゆる入れ子状に配置されている。
【0051】
図5は、この破袋ブレード18の概略形状を示す二面図である。破袋ブレード18は、その先端に包装材G2を破断するための爪部18aを有している。この爪部18aの頂角における二等分線Lは、この破袋ブレード18の回転軌跡R1の爪部18aにおける接線方向L2よりも角度θ分だけ外向きに傾斜している。この角度θの設定により爪部18aが円周外方向に向いて設定されることとなる。したがって、爪部18aによる包装材G2への突き刺しや包装材G2の上部スリット6aを通しての引きずり出しを充分に機能達成しつつ、爪部18aに突き刺さった状態の包装材G2が、破袋ブレード18の回転に伴い容易に脱落するようになっている。
【0052】
なお、破袋ブレード18が図6に示すように、その先端に突出部を有さない形状である場合であっても、ブレード18の頂角が爪部18aとして機能する。そして、爪部18aとしての頂角の二等分線Lがこの破袋ブレード18の回転軌跡R1の爪部18aにおける接線方向L2よりも角度θ分だけ外向きに傾斜していればよい。
【0053】
破袋ブレード18の回転軌跡R1と送りブレード16の回転軌跡R2とは、図1に示すように部分的に重複しており、その中心間における重複寸法W1は、望ましくは20mm以上かつ60mm以下、より望ましくは30mm以上かつ50mm以下に設定されている。これにより、包装材G2の確実な破断を実現しつつ、内容物G1やその粉砕物の不用意な引っ掛かりを防止している。
【0054】
また、破袋ローター8の回転数は、送りローター4の回転数よりもかなり高く設定され、望ましくは送りローター4の回転数の20倍以上かつ40倍以下、より望ましくは25倍以上かつ35倍以下に設定されている。例えば、送りローター4の回転数:4.3rpmに対し、破袋ローター8の回転数:150rpmに設定される。廃棄物Gが送りローター4で送られる間に、数多くの破袋ブレード18との接触機会を付与することができる。したがって、確実な破袋を実現することができる。
【0055】
取り出しローター10は、破袋ローター8により破断されなかった残りの包装材G2を破断したり、包装材G2内の小袋を破断することも目的とするが、加えて、破袋後の包装材G2から内容物G1を弾き出す(取り出す)ことを主目的とする回転部材である。また、破袋後の包装材G2や小袋を下部スリット6bを介して取り出しローター10側に分離することも目的の1つとしている。図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材26とその軸部材26に取り付けられ略放射状に突出する取り出しブレード20とを有して構成され、図中矢印Z方向に回転している。破袋ローター8の場合と同様に、取り出しローター10においても、略放射状に4つの取り出しブレード20が1組で軸部材26に取り付けられ、その1組が軸部材26の軸方向に等間隔で配置されている。なお、取り出しブレード20は、送りブレード16及び破袋ブレード18と相互に干渉しないように軸方向位置がずれて配置され、いわゆる入れ子状に配置されている。なお、取り出しブレード20の概略形状は、図5に示す破袋ブレード18と略同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0056】
取り出しブレード20の回転軌跡R3と送りブレード16の回転軌跡R2とは、図1に示すように部分的に重複しており、その中心間における重複寸法W2は、望ましくは40mm以上かつ160mm以下、より望ましくは60mm以上かつ140mm以下に設定されている。これにより、包装材G2からの内容物G1の確実な弾き出しを実現している。
【0057】
また、取り出しローター10の回転数は、破袋ローター8の場合と同様に、望ましくは送りローター4の回転数の20倍以上かつ40倍以下、より望ましくは25倍以上かつ35倍以下に設定されている。例えば、送りローター4の回転数:4.3rpmに対し、取り出しローター10の回転数:150rpmに設定される。廃棄物Gが送りローター4で送られる間に、数多くの取り出しブレード20との接触機会を付与することができ、内容物G1の確実な弾き出しにより解れ率の向上を実現している。また、包装材G2内部の小袋の破袋率向上にも寄与している。
【0058】
排出口12は、送りローター4の下方に配置され、送りローター4によって送り出された廃棄物Gを破袋装置S外へと排出するための開口である。なお、破袋ローター8及び取り出しローター10の機能により、大半の包装材G2はガイドプレート6の破袋ローター8側へと引き出されているので、排出口12から排出される廃棄物Gの大半は内容物G1である。
【0059】
駆動モータMは、送りローター4、破袋ローター8及び取り出しローター10を回転駆動するための駆動源であり、制御装置Cによってその動作が制御される。1つの駆動モータMによって3つのローター4,8,10のすべてを回転駆動してもよいし、3つの駆動モータM1〜M3が各々3つのローター4,8,10を回転駆動してもよい。
【0060】
送りローター4を回転駆動する駆動モータM1には、その駆動電流を検出する電流計(異物検出手段)Pが接続されている。この電流計Pは、投入口2に異物が投入された等により、送りローター4が回転不能に陥った場合に、駆動モータM1への過大電流を検知し、異常信号を制御装置Cへと送信する機能を有する。
【0061】
異常信号を受信した制御装置Cは、駆動モータM1の回転駆動を速やかに停止し、続いて駆動モータM1を低速で逆回転に回転駆動する。それにより、送りローター4が矢印Xの逆方向へと回転し、投入された異物等は、排出口12とは別に形成された異物排出口30から破袋装置S外へと排出されるようになっている。異物を異物排出口30へと導く案内ガイドプレート32は、異物を異物排出口30へと円滑に案内するように、送りローター4の軸部材14の外周近傍から異物排出口30に架けて配置されている。この案内ガイドプレート32は、軸部材14近傍においてスクレーパとしての機能を発揮している。すなわち、案内ガイドプレート32の一端32aは、軸部材14の外径から所定距離分だけ離れた半径位置に固定されており、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きが一定以上となるのを防止している。
【0062】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。この破袋装置Sは、送りローター4の軸部材14の近傍に、軸方向に向けて検出光を投受光する投受光センサー(巻き付き検出手段)40を備えている。この検出光は、送りローター4の回転中心から半径方向に一定距離ra離れた位置において、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きが一定厚さ以上とならないことを検出している。
【0063】
長尺廃棄物等の巻き付きが一定厚さ以上となって検出光を遮光すると、投受光センサー40は、制御装置Cに向けて報知信号を送信するようになっている。制御装置Cは、報知信号を受信すると、破袋装置Sの筐体外壁に配置された警告ランプ(図示せず)を点滅制御し、長尺廃棄物等の巻き付き厚さが一定以上となって処理効率が低下していることを報知する。もちろん、投受光センサー40は、報知信号と共に減速信号又は停止信号を制御装置Cに向けて送信し、制御装置Cが減速信号又は停止信号に基づき送りローター4を回転駆動する駆動モータM1を減速/停止させるようになっていてもよい。
【0064】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。この破袋装置Sは、セルフクリーニング機能を有しており、このセルフクリーニング機能に基づいて、軸部材14,22,26へ巻き付いてしまった包装材G2等の除去が可能となっている。セルフクリーニング機能は、以下に説明する案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35の往復揺動動作及び送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10の正逆回転動作により実現される。
【0065】
この破袋装置Sは、可動式の案内ガイドプレート32及びスクレーパ33,34を有しており、これら案内ガイドプレート32及びスクレーパ33,34は、各々駆動モータM4〜M6によって往復揺動するように構成されている。スクレーパ33,34は各々破袋ローター8の軸部材22及び取り出しローター10の軸部材26から包装材G2等の巻き付き物を除去するためのものである。
【0066】
更に、異物排出口30の近傍には、可動式の開閉扉35を有しており、この開閉扉35は駆動モータM7によって往復陽動するようになっている。そして、これら駆動モータM4〜M7及び駆動モータM1〜M3は、制御手段Cによってその動作(回転/停止、回転速度、回転方向など)が制御されるようになっている。
【0067】
通常の破袋処理時においては、案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35は、退避位置(図8中の二点鎖線部)にある。しかし、セルフクリーニングモードに設定されると、駆動モータM4〜M7が案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35をα方向へと揺動動作させ、クリーニング位置(図8中の実線部)に位置させる。これにより、案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34が軸部材14,22,26に巻き付いた包装材G2等を除去することが可能となる。
【0068】
なお、案内ガイドプレート32を正面方向(図8における紙面左から右へ向く方向)から矢視すると、おおよそ図9に示すような形状をしている。案内ガイドプレート32の切り欠き部32bが送りブレード16との干渉を回避しており、先端(一端)32aが軸部材14に巻き付いた包装材G2等の巻き付き物を除去する機能を発揮している。また、スクレーパ33,34の外観形状も、大略案内ガイドプレート32と同様である。案内ガイドプレート32と開閉扉35とは、破袋処理動作時においては協働して異物排出口30を閉鎖している。そして、クリーニングモードにおいては、案内ガイドプレート32と開閉扉35とが動作することにより、破袋装置Sの側面に異物排出口30が開口されることとなる。
【0069】
このクリーニングモードは、破袋装置Sに配置された図示しないクリーニングボタン等の押圧によって機能するものであってもよいし、一定時間の破袋処理動作ごとに行われたり、一定量の巻き付き物の堆積を検知することによって行われるものであってもよい。
【0070】
次に、送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10の正逆回転制御に基づくクリーニング動作について説明する。
【0071】
上記で説明したクリーニングボタンの押圧、一定時間の破袋処理動作又は一定量の巻き付き物の堆積の検知に基づき、クリーニングモードが設定され、クリーニング処理が開始する。クリーニング処理においては、一旦駆動モータM1〜M3が停止され、送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10が回転停止する。
【0072】
その後、下記に示すいずれかの動作パターンに基づき、駆動モータM1〜M3を回転駆動し、送りローター4及び/又は破袋ローター8及び/又は取り出しローター10を回転させる。それにより、軸部材14,22,26に巻き付いた包装材G2等の巻き付き物が円滑に除去され、巻き付きの堆積量が減少するようになっている。なお、各表1〜3において、正回転方向は、破袋処理時における回転方向と同方向であることを意味し、回転速度比は、破袋処理時における回転速度に対する回転速度比を意味する。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
なお、上記のパターン1−1〜1−3、パターン2−1〜2−6、パターン3−1〜3−6のうち、いずれか1つのパターンのみでもクリーニング効果を得ることができるが、もちろん、上記の中から適宜選択される複数のパターンの組合せによって、更に高いクリーニング効果を得ることができる。
【0076】
特に、パターン1−1〜1−3の中から選択される1つのパターンと、パターン2−1〜2−6の中から選択される1つのパターンと、パターン3−1〜3−6の中から選択される1つのパターンとを組み合わせて動作させることにより、非常に高いクリーニング効果を発揮する。これらの選択された3つのパターンは、順次動作させるように制御してもよいし、同時的に動作させるように制御してもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【実施例1】
【0078】
図10及び表4は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例1においては、送りローター4の回転数に対する破袋ローター8の回転数(取り出しローター10の回転数も同一回転数)の比率Tを変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表4において、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0079】
図10は、横軸を比率T、縦軸を破袋率V1,V2及び解れ率V3としたグラフである。図10には、比率Tが20倍を下回ると包装材G2の破袋率V1が90%を下回ることが示されている。また、表4には、比率Tが40倍を超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となることが示されている。
【0080】
【表4】
【実施例2】
【0081】
図11及び表5は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例2においては、送りブレード16の回転軌跡R1と破袋ブレード18の回転軌跡R2との回転中心間における重複寸法W1を変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表5においても、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0082】
図11は、横軸を重複寸法W1、縦軸を破袋率V1,V2としたグラフである。図11には、重複寸法W1が20mmを下回ると包装材G2の破袋率V1が90%を下回ることが示されている。また、表5には、重複寸法W1が50mmを超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となり始めることが示されている。
【0083】
【表5】
【実施例3】
【0084】
図12及び表6は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例3においては、送りブレード16の回転軌跡R1と取り出しブレード20の回転軌跡R3との回転中心間における重複寸法W2を変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表6においても、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0085】
図12は、横軸を重複寸法W2、縦軸を破袋率V1,V2としたグラフである。図12には、重複寸法W2が40mmを下回ると小袋の破袋率V2が90%を下回ることが示されている。また、表6には、重複寸法W2が160mmを超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となることが示されている。
【0086】
【表6】
【符号の説明】
【0087】
θ:角度
C:制御装置(制御手段)
G:廃棄物
G1:内容物
G2:包装材
J:仮想円
k:頂角
L:二等分線
L2:接線方向
M,M1〜M7:駆動モータ(駆動源)
P:電流計(異物検出手段)
R1〜R3:回転軌跡
S:破袋装置
ra:一定距離
W1,W2:重複寸法
X,Y,Z:矢印
2:投入口
4:送りローター
6:ガイドプレート
6a:上部スリット
6b:下部スリット
8:破袋ローター
10:取り出しローター
12:排出口
14,22,26:軸部材
14a:多角形状部
16:送りブレード
18:破袋ブレード
18a:爪部
20:取り出しブレード
30:異物排出口
32:案内ガイドプレート
32a:一端
32b:切り欠き部
33,34:スクレーパ
35:開閉扉
40:投受光センサー(巻き付き検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、破袋装置に係り、特に多数の回転軸により廃棄物の包装材の破断・除去と内容物の取り出しとを効率的に行う破袋装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、袋詰めされた廃棄物の包装材を破断する破袋装置が知られている。例えば、特許文献1には、無端コンベヤに設けられた移動爪とプレートに設けられた固定刃とによって破袋する用のカッターが列状に配置され、コンベヤを回転させることにより包装材を破断する装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、揺動可能に回転するカッターと固定刃とによって廃棄物の包装材を破断する装置が開示されている。これらの装置においては、回転又は移動するカッター(又は移動爪)と固定刃との相対移動により廃棄物の包装材を引き裂くようになっている。そして、廃棄物から包装材を除去して、その内容物を包装材と選別することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−317337号公報
【特許文献2】特開2008−68249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示のものは、無端コンベヤの駆動により破袋を行うものであり、構造が複雑でかつ大型になってしまう。それに伴い、必然的に装置コストも高いものとなってしまう。また、上記特許文献1,2に開示のものは、固定刃とカッター(又は移動爪)との相対移動により破袋を行うので、1つの廃棄物に対する破袋の機会が少なく、充分な破袋率(投入した廃棄物個数のうち、包装材が破断された廃棄物個数の割合)を獲得することが難しい。包装材を破断したものの、内容物が破断された包装材の内部に引っかかるように残っているものも多く、排出後に内容物と包装材との分離を作業員による手作業で行う必要がある。
【0006】
また、破袋装置は、そもそもゴミのようなある程度予想可能な粒度、重量のゴミを内容物として、それらがゴミ袋等の包装材に内包される廃棄物を処理することを想定している。したがって、例えば電子レンジ等の比較的大きな粒度、重量のある家電製品等の処理を想定していないが、万一そのような物が装置内に投入された場合は、異物として除去しなければならない。
【0007】
しかしながら、従来のものは、これらの異物の除去を作業員の手作業で行わなければならず、作業が煩雑で、かつ安全面においても懸念があった。回転軸やカッターに廃棄物の一部が巻き付いた場合にも、手作業で頻繁に除去しなければならず、やはり作業が大変であった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、破袋率を顕著に向上させ、破袋後の包装材内部への内容物残りを減少させて包装材と内容物との分離を確実に行うことができ、また、異物処理の作業軽減や巻き付き防止において大きな効果を発揮する破袋装置を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての破袋装置は、内容物を包装材で内包して構成される廃棄物の包装材を破断し、内容物を包装材から外部に取り出す破袋装置であって、廃棄物を投入する投入口と、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する送りブレードとを有して投入口の下方に配置され、投入口から投入された廃棄物を送りブレードの回転により排出口へ向けて送り出す送りローターと、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する破袋ブレードとを有して、送りローターの斜め上方に、破袋ブレードの回転軌跡が送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された破袋ローターと、軸部材とその軸部材から略放射状に突出する取り出しブレードとを有して、送りローターの斜め下方に、取り出しブレードの回転軌跡が送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された取り出しローターと、送りローター、破袋ローター及び取り出しローターを回転駆動する1又は複数の駆動源と、を有することを特徴とする。
【0010】
送りローターの回転と破袋ローターの回転とにより破袋処理を行うので、1つの廃棄物に対する破袋ブレードの接触機会を大きく増大させることができる。送りローターの回転方向と破袋ローターの回転方向とを逆回転とすれば、送りブレードと破袋ブレードとの相対速度を増大させることができる。したがって、相対速度向上と引き裂き機会の増大との相乗効果により、破袋率を大きく向上させることができる。
【0011】
しかも、本発明によれば、送りローターの斜め下方に、取り出しローターも配置されている。この取り出しローターは、破袋ローターで破断しきれなかった包装材の破断、包装材の中に更に小袋に包装された内容物が内包されている場合のその小袋の破断、破袋後の包装材からの内容物の弾き出し(取り出し)の機能を発揮するようになっている。したがって、この取り出しローターの回転方向を送りローターの回転方向と逆方向とすることにより、取り出しブレードと送りブレードとの相対速度向上、1つの廃棄物に対する取り出しローターの接触機会の向上を図ることができる。その結果、更なる破袋率の向上、小袋破袋率の向上、包装材と内容物との分離の確実を実現することができる。
【0012】
その破袋装置において、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、20mm以上かつ60mm以下であることが望ましい。また、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、40mm以上かつ160mm以下であることが望ましい。
【0013】
送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードや取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複が小さ過ぎると包装材の破袋率や小袋の破袋率が低下し、また、解れ率(投入した廃棄物個数のうち、内容物と包装材とが分離された廃棄物個数の割合)も低下する。
【0014】
一方、ブレード同士の重複が大き過ぎると、駆動源による所要動力が大きくなり、消費電力の増大を招いてしまう。また、ブレードへの廃棄物の噛み込みも増加してしまい、駆動源の負荷増大にも繋がってしまう。送りブレードと破袋ブレードとの重複や送りブレードと取り出しブレードとの重複には適正な範囲が存在し、その適正範囲内に設定することが、処理効率向上や駆動源の負荷軽減にとって望ましい。本発明においては、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法を20mm以上かつ60mm以下に設定することにより、高い破袋率、高い解れ率及び駆動源の負荷軽減(消費電力低減を含む)を実現することができる。
【0015】
なお、上述のように、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との重複寸法と、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との重複寸法とは、異なる寸法であることが望ましい。より具体的には、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との重複寸法よりも、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との重複寸法の方が大きいことが望ましい。そうすることにより、包装材の破断が主目的とする破袋ローターと、包装材の破断に加えて小袋の破断や内容物の取り出しをも目的とする取り出しローターとが、共に良好に機能発揮することができる。
【0016】
また、取り出しローターは、破袋後の包装材からの内容物の確実な弾き出しを主目的としている。したがって、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法の適正範囲は、送りブレードと破袋ブレードとの適正重複範囲よりも全体として大きく、40mm以上かつ160mm以下となっている。
【0017】
その破袋装置において、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率が20倍以上かつ40倍以下であることが望ましい。
【0018】
包装材の破断の機会を増大させるには、送りローターの回転数に対して破袋ローターの回転数を大きくすることが望ましい。一方で、破袋ローターの回転数を過大にすると、やはり駆動源の消費電力や負荷の点で望ましくなく、適正な範囲が存在する。本発明においては、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率を20倍以上かつ40倍以下とすることにより、高い破袋率と駆動源の負荷軽減を実現することができる。なお、送りローターの回転数に対する取り出しローターの回転数の比率も、同様に20倍以上かつ40倍以下とすることにより、高い解れ率と駆動源の負荷軽減を実現することができる。
【0019】
送りローター、破袋ローター及び取り出しローターのうち少なくともいずれかの軸部材が、その軸直交面内における断面形状が少なくとも3つの頂角を有する非円形状である多角形状部を有することが望ましい。
【0020】
回転軸式を採用した場合、長尺の廃棄物や破袋後の包装材などが軸部材に巻き付き易い。また、巻き付いた長尺廃棄物や包装材には円周方向に均一に引っ張り応力が発生し、その引っ張り応力は円中心方向に向かう均一な締め付け力を生じる。したがって、一旦巻き付いてしまった長尺廃棄物等は、バランスよく均等に作用する応力のために安定的に巻き付き状態を維持し、なかなか軸部材から除去されない。
【0021】
しかしながら、軸部材の直径を大きくし、軸周長を一般的な収集袋長よりも長くすることで、その収集袋の軸への巻き付きを低減することができる。また、仮に巻き付いた場合であっても、引っ張り応力が均一でなく頂角部分と辺部分とで引っ張り応力に不均衡が生じ、安定的に巻き付き状態を維持することが難しい。したがって、容易に軸部材から除去することができる。
【0022】
より具体的には、軸部材の直径を大きくすることにより、主に包装材の軸部材への巻き付きを軽減することができ、軸部材が多角形状部を有することにより、巻き付いてしまった包装材の軸部材からの脱落を促進することができる。例えば、軸部材の直径をφ≧270mmとすれば、一般的に使用されるゴミ袋等の包装材が軸部材の全周長に至らず、軸部材の全周に亘って包装材が巻き付くのを防止することができる。そのため、包装材はなかなか軸部材へとしっかり巻き付くことができない。
【0023】
一方、軸部材が多角形状部を有すると、引張り応力のアンバランスが生じるので、仮に包装材が巻き付いた場合であっても、外乱の影響(例えば、回転停止や逆回転など)によって簡単に包装材が軸部材から脱落する。その結果、巻き付いた包装材が徐々に堆積していくことが防止される。
【0024】
軸部材への廃棄物の巻き付き厚さを検出する巻き付き検出手段と、巻き付き検出手段からの出力に応じて駆動源を制御する制御手段と、を更に有することが望ましい。
【0025】
軸部材へ長尺廃棄物等が多量に巻き付いてしまうと、駆動源への過負荷となり、駆動源の回転が停止してしまったり、過電流等の不具合の原因となり得る。また、破袋処理へも悪影響を与え、破袋率や解れ率の低下を招いてしまう。巻き付き検出手段により軸部材への長尺廃棄物等の巻き付きを検出し、その検出結果に応じて駆動源を制御することにより、上記のような不都合を回避することができる。
【0026】
ここで、巻き付き検出手段には、例えば、軸部材の見かけ半径(巻き付きにより、見かけ半径が増大する)が一定値以上となったことを検出する非接触タイプの投受光センサーや、軸部材に当接付勢された検出ロッドとその検出ロッドの角度位置を検出する位置センサーとの組合せ等を適用することができる。また、制御手段による駆動源の制御には、例えば回転数を減速させる減速制御や逆回転させる逆回転制御等を含む。
【0027】
破袋ローター及び取り出しローターと送りローターとの間を実質的に遮蔽すると共に、破袋ブレードを送りローター側に貫通させる上部スリットと、取り出しブレードを送りローター側に貫通させる下部スリットとが形成され、かつ下部スリットと取り出しブレードとの軸方向における隙間が上部スリットと破袋ブレードとの軸方向における隙間よりも大きく形成されたガイドプレートを更に有することが望ましい。
【0028】
投入された廃棄物が、送りブレードとガイドプレートとに挟まれるようにして円滑に排出口へと導かれる。送りブレードとガイドプレートとにより挟まれるようにして導かれるので、廃棄物の逃げを防止して確実に廃棄物にせん断力を発生させることができる。
【0029】
また、ガイドプレートの上部スリットにおける隙間よりも下部スリットにおける隙間を大きく形成している。ガイドプレートに対して破袋ローター及び取り出しローターが配置される側では、主に破袋後の収集袋等の包装材の取り出しを目的としている。したがって、ガイドプレートに対して送りローターが配置される側では、包装材が除去された残りの内容物が多く存在する。この内容物は、上部スリット側よりも下部スリット側近傍に多く存在し、そのため、下部スリットにおける隙間が小さいとその隙間に多くの内容物が詰まってしまう。その結果、取り出しブレードが挟まってしまって動作不良や故障の原因となる可能性がある。しかしながら、この発明においては、下部スリットにおける隙間を大きくしているので、内容物のスリットへの詰まりが予防される。
【0030】
なお、これらの上部スリット及び下部スリットを通過して送りローター側から破袋ローター側へと破袋された包装材及び各スリット幅より小さいものが引き出されるようになっている。その結果、内容物はガイドプレートの送りローター側、包装材及び各スリット幅より小さいものは破袋ローター側と、両者の効率的な分離が可能となっている。
【0031】
投入口からの異物の投入を検出する異物検出手段と、異物検出手段からの出力に応じて駆動源を逆回転制御する制御手段と、送りローターの逆回転により異物を排出させる排出口とは異なる異物排出口と、を更に有することが望ましい。
【0032】
投入口から異物が投入された場合に、わざわざ作業員の手作業によって異物を取り出す必要がなく、異物排出口から自動排出させることができる。ここで、異物検出手段には、例えば駆動源の電流異常(過電流)を検出する電流計を適用することができる。大型の家電製品等の異物が投入され、送りローターが停止してしまったような場合に、過電流を検出することにより異物投入を検知することができる。
【0033】
そして、異物検知をした場合に、送りローターを逆回転させることにより、通常の排出口とは異なる異物排出口から異物をスムーズに排出することができるので、通常の廃棄物と異物との分離を確実に行うことができる。
【0034】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、包装材や小袋の破袋率の向上や解れ率の向上を実現することができる。また、回転軸への巻き付きを予防したり、異物投入の場合の排出をスムーズに行うことにより、破袋処理の効率向上と装置の耐久性や信頼性の確保及び作業員の安全確保を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図2】図1に示す送りローターの概略を示す外観斜視図である。
【図3】図1に示すガイドプレートの正面図である。
【図4】送りローターの軸部材の軸直交面での断面図である。
【図5】図1に示す破袋ブレードの概略形状を示す二面図である。
【図6】破袋ブレードの他の例を示す二面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る破袋装置の内部構造の概略を示す構造図である。
【図9】図8に示す案内ガイドプレートの正面図である。
【図10】本発明の実施例1において、送りローターの回転数に対する破袋ローターの回転数の比率と破袋率及び解れ率との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の実施例2において、送りブレードの回転軌跡と破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法と破袋率との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例3において、送りブレードの回転軌跡と取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法と破袋率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sについて、図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。図1は、破袋装置Sの内部を側方から見た図である。この破袋装置Sは、全体として略立方体形状を呈し、投入口2、送りローター4、ガイドプレート6、破袋ローター8、取り出しローター10、排出口12、駆動モータ(駆動源)M及び制御装置(制御手段)Cを有して大略構成される。
【0038】
投入口2は、この破袋装置S内に廃棄物Gを投入するための開口であって、破袋装置Sの上部に開口形成されている。廃棄物Gは、例えば紙くず、プラスチック容器、缶等の内容物G1を内包し、その外側をプラスチックゴミ袋等の包装材G2で包んだものである。廃棄物Gの中には、包装材G2内部に小袋に包装された内容物G1が含まれている場合もあり、この破袋装置Sは、外側の包装材G2のみならず、その内部の小袋をも破断する必要がある。投入口2から投入された廃棄物Gは、その下方に配置された送りローター4へと落下するようになっている。
【0039】
送りローター4は、投入口2から落下してきた廃棄物を排出口12へと送るための回転部材である。送りローター4は、図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材14とその軸部材14に取り付けられ略放射状に突出する送りブレード16とを有して構成されている。図2は、この送りローター4の概略を示す外観斜視図である。略放射状に3つの送りブレード16が1組で取り付けられ、その1組が軸部材14の軸方向に等間隔で配置されている。
【0040】
送りローター4は、図中矢印X方向に回転し、投入口2から落下してきた廃棄物Gを送りブレード16とガイドプレート6とで挟み込むようにしながら排出口12にまで送出する。その送出の過程において、ガイドプレート6と破袋ローター8及び取り出しローター10によって包装材G2が破断され内容物G1が包装材G2の中から弾き出されるようになっている。
【0041】
ガイドプレート6は、破袋装置Sの内部で軸方向に延びるプレートであって、破袋ローター8及び取り出しローター10によって引っ張られた廃棄物Gを固定し、破断作用を発生させると共に、投入口2から投入された廃棄物Gを排出口12にまで案内する案内路を形成する案内部材である。ガイドプレート6は、送りローター4が配置される側と、破袋ローター8や取り出しローター10が配置される側との間を実質的に遮蔽し、廃棄物Gの大きい内容物G1が破袋ローター8側へと紛れ込んでしまうのを防止している。
【0042】
図3は、ガイドプレート6の正面図である。図1における紙面垂直方向(軸方向)を、図3における矢印Y方向としている。ガイドプレート6の上部側には、破袋ブレード18の配置位置に対応するように、上部スリット6aが形成されている。この上部スリット6aは、略長方形状に形成されて破袋ブレード18の貫通を許容している。上部スリット6aの形成により、破袋ブレード18が送りローター4側に侵入してその回転軌跡と送りブレード16の回転軌跡とがオーバーラップできるようになっている。
【0043】
上部スリット6aの軸方向寸法(幅寸法)は、破袋ブレード18の軸方向寸法(厚さ寸法)よりも若干大きく形成されており、例えば、破袋ブレード18の厚さ9mmに対して上部スリット6aの幅寸法は30mm以上100mm以下に設定されている。この上部スリット6aと破袋ブレード18との隙間から、破袋後の包装材G2が送りローター4側から破袋ローター8側へと破袋ブレード18により引き出されるようになっている。したがって、ガイドプレート6を挟んで、送りローター4側にスリット6aより大きな内容物G1、破袋ローター8側に包装材G2及びスリット6aより小さな内容物というように、大きな内容物G1と包装材G2及び小さな内容物との分離が行われるようになっている。
【0044】
ガイドプレート6の下部側には、取り出しブレード20の配置位置に対応するように、下部スリット6bが形成されている。この下部スリット6bも、略長方形状に形成されて取り出しブレード20の貫通を許容している。下部スリット6bの形成により、取り出しブレード20が送りローター4側に侵入してその回転軌跡と送りブレード16の回転軌跡とがオーバーラップできるようになっている。
【0045】
下部スリット6bの幅寸法と取り出しブレード20の厚さ寸法との隙間は、上部スリット6aの幅寸法と破袋ブレード18の厚さ寸法との隙間よりも大きく形成されている。より具体的には、取り出しブレード20の厚さが破袋ブレード18の厚さと同寸の9mmである場合に、下部スリット6bの幅寸法は80mm以上150mm以下に設定されている。
【0046】
下部スリット6bの近傍においては、取り出しブレード20による内容物G1の弾き出しが行われ、内容物G1やその粉砕物が付近に散乱する状態となっている。したがって、下部スリット6bと取り出しブレード20との隙間が上部スリット6aにおける隙間同様に小さいと、内容物G1やその粉砕物が隙間に挟まってしまい、破袋装置Sの異常停止等の不具合を生じてしまう。したがって、下部スリット6bにおいては、上部スリット6aにおける場合よりも隙間を大きく設定し、破袋装置Sへの不具合を防止している。なお、この下部スリット6bと取り出しブレード20との隙間からも、送りローター4側に残存する包装材G2が取り出しローター10側へと取り出しブレード20によって引き出されるようになっている。
【0047】
包装材G2の破断は、主に以下のような原理に基づき行われる。すなわち、送りローター4とガイドプレート6との挟み込みにより廃棄物Gが略固定され、その廃棄物Gに対して破袋ブレード18や取り出しブレード20が突き刺さる。そして、ブレード18,20の回転により、ブレード18,20とスリット6a,6bとの間でせん断力が生じ、包装材G2から内容物G1が弾き出されつつ包装材G2が引き裂かれるのである。引き裂かれた包装材G2は、ブレード18,20に刺さっているので、そのままスリット6a,6bを通り抜けて破袋ローター8及び取り出しローター10が配置される側へと引きずり出される。
【0048】
送りローター4の軸部材14は、図2及び図4に示すように軸方向直交面内における断面形状が非円形状である多角形状部14aを有している。また、この多角形状部14aの各頂角kを結ぶ仮想円Jの直径は望ましくはφ270mm以上、より望ましくはφ340mm以上、更に望ましくはφ460mm以上と大径に構成されている。
【0049】
直径が大きいだけでなく、その断面形状が頂角kを有する多角形状とされているので、破袋後の包装材G2や長尺の廃棄物等が巻き付いてしまった場合にも引っ張り応力のアンバランスにより外れ易くなっている。したがって、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きを予防又は軽減している。
【0050】
破袋ローター8は、廃棄物Gの包装材G2を破断するための回転部材である。図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材22とその軸部材22に取り付けられ略放射状に突出する破袋ブレード18とを有して構成され、図中矢印Z方向に回転している。破袋ローター8においては、略放射状に4つの破袋ブレード18が1組で軸部材22に取り付けられ、その1組が軸部材22の軸方向に等間隔で配置されている。なお、破袋ブレード18と送りブレード16とは、相互に干渉しないように軸方向位置がずれて配置され、いわゆる入れ子状に配置されている。
【0051】
図5は、この破袋ブレード18の概略形状を示す二面図である。破袋ブレード18は、その先端に包装材G2を破断するための爪部18aを有している。この爪部18aの頂角における二等分線Lは、この破袋ブレード18の回転軌跡R1の爪部18aにおける接線方向L2よりも角度θ分だけ外向きに傾斜している。この角度θの設定により爪部18aが円周外方向に向いて設定されることとなる。したがって、爪部18aによる包装材G2への突き刺しや包装材G2の上部スリット6aを通しての引きずり出しを充分に機能達成しつつ、爪部18aに突き刺さった状態の包装材G2が、破袋ブレード18の回転に伴い容易に脱落するようになっている。
【0052】
なお、破袋ブレード18が図6に示すように、その先端に突出部を有さない形状である場合であっても、ブレード18の頂角が爪部18aとして機能する。そして、爪部18aとしての頂角の二等分線Lがこの破袋ブレード18の回転軌跡R1の爪部18aにおける接線方向L2よりも角度θ分だけ外向きに傾斜していればよい。
【0053】
破袋ブレード18の回転軌跡R1と送りブレード16の回転軌跡R2とは、図1に示すように部分的に重複しており、その中心間における重複寸法W1は、望ましくは20mm以上かつ60mm以下、より望ましくは30mm以上かつ50mm以下に設定されている。これにより、包装材G2の確実な破断を実現しつつ、内容物G1やその粉砕物の不用意な引っ掛かりを防止している。
【0054】
また、破袋ローター8の回転数は、送りローター4の回転数よりもかなり高く設定され、望ましくは送りローター4の回転数の20倍以上かつ40倍以下、より望ましくは25倍以上かつ35倍以下に設定されている。例えば、送りローター4の回転数:4.3rpmに対し、破袋ローター8の回転数:150rpmに設定される。廃棄物Gが送りローター4で送られる間に、数多くの破袋ブレード18との接触機会を付与することができる。したがって、確実な破袋を実現することができる。
【0055】
取り出しローター10は、破袋ローター8により破断されなかった残りの包装材G2を破断したり、包装材G2内の小袋を破断することも目的とするが、加えて、破袋後の包装材G2から内容物G1を弾き出す(取り出す)ことを主目的とする回転部材である。また、破袋後の包装材G2や小袋を下部スリット6bを介して取り出しローター10側に分離することも目的の1つとしている。図1における紙面垂直方向を軸方向とする軸部材26とその軸部材26に取り付けられ略放射状に突出する取り出しブレード20とを有して構成され、図中矢印Z方向に回転している。破袋ローター8の場合と同様に、取り出しローター10においても、略放射状に4つの取り出しブレード20が1組で軸部材26に取り付けられ、その1組が軸部材26の軸方向に等間隔で配置されている。なお、取り出しブレード20は、送りブレード16及び破袋ブレード18と相互に干渉しないように軸方向位置がずれて配置され、いわゆる入れ子状に配置されている。なお、取り出しブレード20の概略形状は、図5に示す破袋ブレード18と略同様であるので、図示及び説明を省略する。
【0056】
取り出しブレード20の回転軌跡R3と送りブレード16の回転軌跡R2とは、図1に示すように部分的に重複しており、その中心間における重複寸法W2は、望ましくは40mm以上かつ160mm以下、より望ましくは60mm以上かつ140mm以下に設定されている。これにより、包装材G2からの内容物G1の確実な弾き出しを実現している。
【0057】
また、取り出しローター10の回転数は、破袋ローター8の場合と同様に、望ましくは送りローター4の回転数の20倍以上かつ40倍以下、より望ましくは25倍以上かつ35倍以下に設定されている。例えば、送りローター4の回転数:4.3rpmに対し、取り出しローター10の回転数:150rpmに設定される。廃棄物Gが送りローター4で送られる間に、数多くの取り出しブレード20との接触機会を付与することができ、内容物G1の確実な弾き出しにより解れ率の向上を実現している。また、包装材G2内部の小袋の破袋率向上にも寄与している。
【0058】
排出口12は、送りローター4の下方に配置され、送りローター4によって送り出された廃棄物Gを破袋装置S外へと排出するための開口である。なお、破袋ローター8及び取り出しローター10の機能により、大半の包装材G2はガイドプレート6の破袋ローター8側へと引き出されているので、排出口12から排出される廃棄物Gの大半は内容物G1である。
【0059】
駆動モータMは、送りローター4、破袋ローター8及び取り出しローター10を回転駆動するための駆動源であり、制御装置Cによってその動作が制御される。1つの駆動モータMによって3つのローター4,8,10のすべてを回転駆動してもよいし、3つの駆動モータM1〜M3が各々3つのローター4,8,10を回転駆動してもよい。
【0060】
送りローター4を回転駆動する駆動モータM1には、その駆動電流を検出する電流計(異物検出手段)Pが接続されている。この電流計Pは、投入口2に異物が投入された等により、送りローター4が回転不能に陥った場合に、駆動モータM1への過大電流を検知し、異常信号を制御装置Cへと送信する機能を有する。
【0061】
異常信号を受信した制御装置Cは、駆動モータM1の回転駆動を速やかに停止し、続いて駆動モータM1を低速で逆回転に回転駆動する。それにより、送りローター4が矢印Xの逆方向へと回転し、投入された異物等は、排出口12とは別に形成された異物排出口30から破袋装置S外へと排出されるようになっている。異物を異物排出口30へと導く案内ガイドプレート32は、異物を異物排出口30へと円滑に案内するように、送りローター4の軸部材14の外周近傍から異物排出口30に架けて配置されている。この案内ガイドプレート32は、軸部材14近傍においてスクレーパとしての機能を発揮している。すなわち、案内ガイドプレート32の一端32aは、軸部材14の外径から所定距離分だけ離れた半径位置に固定されており、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きが一定以上となるのを防止している。
【0062】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。この破袋装置Sは、送りローター4の軸部材14の近傍に、軸方向に向けて検出光を投受光する投受光センサー(巻き付き検出手段)40を備えている。この検出光は、送りローター4の回転中心から半径方向に一定距離ra離れた位置において、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きが一定厚さ以上とならないことを検出している。
【0063】
長尺廃棄物等の巻き付きが一定厚さ以上となって検出光を遮光すると、投受光センサー40は、制御装置Cに向けて報知信号を送信するようになっている。制御装置Cは、報知信号を受信すると、破袋装置Sの筐体外壁に配置された警告ランプ(図示せず)を点滅制御し、長尺廃棄物等の巻き付き厚さが一定以上となって処理効率が低下していることを報知する。もちろん、投受光センサー40は、報知信号と共に減速信号又は停止信号を制御装置Cに向けて送信し、制御装置Cが減速信号又は停止信号に基づき送りローター4を回転駆動する駆動モータM1を減速/停止させるようになっていてもよい。
【0064】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る破袋装置Sの内部構造の概略を示す構造図である。この破袋装置Sは、セルフクリーニング機能を有しており、このセルフクリーニング機能に基づいて、軸部材14,22,26へ巻き付いてしまった包装材G2等の除去が可能となっている。セルフクリーニング機能は、以下に説明する案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35の往復揺動動作及び送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10の正逆回転動作により実現される。
【0065】
この破袋装置Sは、可動式の案内ガイドプレート32及びスクレーパ33,34を有しており、これら案内ガイドプレート32及びスクレーパ33,34は、各々駆動モータM4〜M6によって往復揺動するように構成されている。スクレーパ33,34は各々破袋ローター8の軸部材22及び取り出しローター10の軸部材26から包装材G2等の巻き付き物を除去するためのものである。
【0066】
更に、異物排出口30の近傍には、可動式の開閉扉35を有しており、この開閉扉35は駆動モータM7によって往復陽動するようになっている。そして、これら駆動モータM4〜M7及び駆動モータM1〜M3は、制御手段Cによってその動作(回転/停止、回転速度、回転方向など)が制御されるようになっている。
【0067】
通常の破袋処理時においては、案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35は、退避位置(図8中の二点鎖線部)にある。しかし、セルフクリーニングモードに設定されると、駆動モータM4〜M7が案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34、開閉扉35をα方向へと揺動動作させ、クリーニング位置(図8中の実線部)に位置させる。これにより、案内ガイドプレート32、スクレーパ33,34が軸部材14,22,26に巻き付いた包装材G2等を除去することが可能となる。
【0068】
なお、案内ガイドプレート32を正面方向(図8における紙面左から右へ向く方向)から矢視すると、おおよそ図9に示すような形状をしている。案内ガイドプレート32の切り欠き部32bが送りブレード16との干渉を回避しており、先端(一端)32aが軸部材14に巻き付いた包装材G2等の巻き付き物を除去する機能を発揮している。また、スクレーパ33,34の外観形状も、大略案内ガイドプレート32と同様である。案内ガイドプレート32と開閉扉35とは、破袋処理動作時においては協働して異物排出口30を閉鎖している。そして、クリーニングモードにおいては、案内ガイドプレート32と開閉扉35とが動作することにより、破袋装置Sの側面に異物排出口30が開口されることとなる。
【0069】
このクリーニングモードは、破袋装置Sに配置された図示しないクリーニングボタン等の押圧によって機能するものであってもよいし、一定時間の破袋処理動作ごとに行われたり、一定量の巻き付き物の堆積を検知することによって行われるものであってもよい。
【0070】
次に、送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10の正逆回転制御に基づくクリーニング動作について説明する。
【0071】
上記で説明したクリーニングボタンの押圧、一定時間の破袋処理動作又は一定量の巻き付き物の堆積の検知に基づき、クリーニングモードが設定され、クリーニング処理が開始する。クリーニング処理においては、一旦駆動モータM1〜M3が停止され、送りローター4、破袋ローター8、取り出しローター10が回転停止する。
【0072】
その後、下記に示すいずれかの動作パターンに基づき、駆動モータM1〜M3を回転駆動し、送りローター4及び/又は破袋ローター8及び/又は取り出しローター10を回転させる。それにより、軸部材14,22,26に巻き付いた包装材G2等の巻き付き物が円滑に除去され、巻き付きの堆積量が減少するようになっている。なお、各表1〜3において、正回転方向は、破袋処理時における回転方向と同方向であることを意味し、回転速度比は、破袋処理時における回転速度に対する回転速度比を意味する。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
なお、上記のパターン1−1〜1−3、パターン2−1〜2−6、パターン3−1〜3−6のうち、いずれか1つのパターンのみでもクリーニング効果を得ることができるが、もちろん、上記の中から適宜選択される複数のパターンの組合せによって、更に高いクリーニング効果を得ることができる。
【0076】
特に、パターン1−1〜1−3の中から選択される1つのパターンと、パターン2−1〜2−6の中から選択される1つのパターンと、パターン3−1〜3−6の中から選択される1つのパターンとを組み合わせて動作させることにより、非常に高いクリーニング効果を発揮する。これらの選択された3つのパターンは、順次動作させるように制御してもよいし、同時的に動作させるように制御してもよい。
【0077】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。
【実施例1】
【0078】
図10及び表4は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例1においては、送りローター4の回転数に対する破袋ローター8の回転数(取り出しローター10の回転数も同一回転数)の比率Tを変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表4において、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0079】
図10は、横軸を比率T、縦軸を破袋率V1,V2及び解れ率V3としたグラフである。図10には、比率Tが20倍を下回ると包装材G2の破袋率V1が90%を下回ることが示されている。また、表4には、比率Tが40倍を超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となることが示されている。
【0080】
【表4】
【実施例2】
【0081】
図11及び表5は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例2においては、送りブレード16の回転軌跡R1と破袋ブレード18の回転軌跡R2との回転中心間における重複寸法W1を変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表5においても、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0082】
図11は、横軸を重複寸法W1、縦軸を破袋率V1,V2としたグラフである。図11には、重複寸法W1が20mmを下回ると包装材G2の破袋率V1が90%を下回ることが示されている。また、表5には、重複寸法W1が50mmを超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となり始めることが示されている。
【0083】
【表5】
【実施例3】
【0084】
図12及び表6は、本発明の実施の形態1に係る破袋装置Sを用いて廃棄物Gの破袋処理を行った場合の実験結果を示すものである。この実施例3においては、送りブレード16の回転軌跡R1と取り出しブレード20の回転軌跡R3との回転中心間における重複寸法W2を変化させ、包装材G2の破袋率V1、包装材G2内部の小袋の破袋率V2、解れ率V3、駆動モータM1の所要動力、軸部材14への長尺廃棄物等の巻き付きの程度(巻き付き厚さ)の変化の度合いを評価した。なお、表6においても、◎〜×は観察者による評価の程度を表し、◎は優、○は良、△は可、×は不可を意味する。
【0085】
図12は、横軸を重複寸法W2、縦軸を破袋率V1,V2としたグラフである。図12には、重複寸法W2が40mmを下回ると小袋の破袋率V2が90%を下回ることが示されている。また、表6には、重複寸法W2が160mmを超えると、駆動モータM1の所要動力が過大となることが示されている。
【0086】
【表6】
【符号の説明】
【0087】
θ:角度
C:制御装置(制御手段)
G:廃棄物
G1:内容物
G2:包装材
J:仮想円
k:頂角
L:二等分線
L2:接線方向
M,M1〜M7:駆動モータ(駆動源)
P:電流計(異物検出手段)
R1〜R3:回転軌跡
S:破袋装置
ra:一定距離
W1,W2:重複寸法
X,Y,Z:矢印
2:投入口
4:送りローター
6:ガイドプレート
6a:上部スリット
6b:下部スリット
8:破袋ローター
10:取り出しローター
12:排出口
14,22,26:軸部材
14a:多角形状部
16:送りブレード
18:破袋ブレード
18a:爪部
20:取り出しブレード
30:異物排出口
32:案内ガイドプレート
32a:一端
32b:切り欠き部
33,34:スクレーパ
35:開閉扉
40:投受光センサー(巻き付き検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を包装材で内包して構成される廃棄物の該包装材を破断し、前記内容物を前記包装材から外部に取り出す破袋装置であって、
前記廃棄物を投入する投入口と、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する送りブレードとを有して前記投入口の下方に配置され、該投入口から投入された前記廃棄物を該送りブレードの回転により排出口へ向けて送り出す送りローターと、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する破袋ブレードとを有して、前記送りローターの斜め上方に、該破袋ブレードの回転軌跡が前記送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された破袋ローターと、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する取り出しブレードとを有して、前記送りローターの斜め下方に、該取り出しブレードの回転軌跡が前記送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された取り出しローターと、
前記送りローター、前記破袋ローター及び前記取り出しローターを回転駆動する1又は複数の駆動源と、を有する破袋装置。
【請求項2】
前記送りブレードの回転軌跡と前記破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、20mm以上かつ60mm以下である請求項1に記載の破袋装置。
【請求項3】
前記送りブレードの回転軌跡と前記取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、40mm以上かつ160mm以下である請求項1又は請求項2に記載の破袋装置。
【請求項4】
前記送りローターの回転数に対する前記破袋ローターの回転数の比率が20倍以上かつ40倍以下である請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項5】
前記送りローター、前記破袋ローター及び前記取り出しローターのうち少なくともいずれかの軸部材が、
その軸直交面内における断面形状が少なくとも3つの頂角を有する非円形状である多角形状部を有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項6】
前記軸部材への前記廃棄物の巻き付き厚さを検出する巻き付き検出手段と、
該巻き付き検出手段からの出力に応じて前記駆動源を制御する制御手段と、を更に有する請求項5に記載の破袋装置。
【請求項7】
前記破袋ローター及び前記取り出しローターと前記送りローターとの間を実質的に遮蔽すると共に、
前記破袋ブレードを前記送りローター側に貫通させる上部スリットと、前記取り出しブレードを前記送りローター側に貫通させる下部スリットとが形成され、かつ該下部スリットと前記取り出しブレードとの軸方向における隙間が前記上部スリットと前記破袋ブレードとの軸方向における隙間よりも大きく形成されたガイドプレートを更に有する請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項8】
前記投入口からの異物の投入を検出する異物検出手段と、
該異物検出手段からの出力に応じて前記駆動源を逆回転制御する制御手段と、
前記送りローターの逆回転により前記異物を排出させる前記排出口とは異なる異物排出口と、を更に有する請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項1】
内容物を包装材で内包して構成される廃棄物の該包装材を破断し、前記内容物を前記包装材から外部に取り出す破袋装置であって、
前記廃棄物を投入する投入口と、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する送りブレードとを有して前記投入口の下方に配置され、該投入口から投入された前記廃棄物を該送りブレードの回転により排出口へ向けて送り出す送りローターと、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する破袋ブレードとを有して、前記送りローターの斜め上方に、該破袋ブレードの回転軌跡が前記送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された破袋ローターと、
軸部材とその軸部材から略放射状に突出する取り出しブレードとを有して、前記送りローターの斜め下方に、該取り出しブレードの回転軌跡が前記送りブレードの回転軌跡と部分的に重複するように配置された取り出しローターと、
前記送りローター、前記破袋ローター及び前記取り出しローターを回転駆動する1又は複数の駆動源と、を有する破袋装置。
【請求項2】
前記送りブレードの回転軌跡と前記破袋ブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、20mm以上かつ60mm以下である請求項1に記載の破袋装置。
【請求項3】
前記送りブレードの回転軌跡と前記取り出しブレードの回転軌跡との回転中心間における重複寸法が、40mm以上かつ160mm以下である請求項1又は請求項2に記載の破袋装置。
【請求項4】
前記送りローターの回転数に対する前記破袋ローターの回転数の比率が20倍以上かつ40倍以下である請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項5】
前記送りローター、前記破袋ローター及び前記取り出しローターのうち少なくともいずれかの軸部材が、
その軸直交面内における断面形状が少なくとも3つの頂角を有する非円形状である多角形状部を有する請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項6】
前記軸部材への前記廃棄物の巻き付き厚さを検出する巻き付き検出手段と、
該巻き付き検出手段からの出力に応じて前記駆動源を制御する制御手段と、を更に有する請求項5に記載の破袋装置。
【請求項7】
前記破袋ローター及び前記取り出しローターと前記送りローターとの間を実質的に遮蔽すると共に、
前記破袋ブレードを前記送りローター側に貫通させる上部スリットと、前記取り出しブレードを前記送りローター側に貫通させる下部スリットとが形成され、かつ該下部スリットと前記取り出しブレードとの軸方向における隙間が前記上部スリットと前記破袋ブレードとの軸方向における隙間よりも大きく形成されたガイドプレートを更に有する請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【請求項8】
前記投入口からの異物の投入を検出する異物検出手段と、
該異物検出手段からの出力に応じて前記駆動源を逆回転制御する制御手段と、
前記送りローターの逆回転により前記異物を排出させる前記排出口とは異なる異物排出口と、を更に有する請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の破袋装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−207690(P2010−207690A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55438(P2009−55438)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【出願人】(502165300)富士電機サーモシステムズ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【出願人】(502165300)富士電機サーモシステムズ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]