説明

硫黄化合物を除去する水素生成装置、及びそのプロセス

炭化水素供給原料から水素を生成するための装置及びプロセスが提供され、そこで、有機硫黄化合物が上記供給原料から除去される。上記装置及びプロセスは、電気を発生させるために燃料電池用に水素を生成するための住宅用に意図された生成装置など小規模な水素生成装置として特に有利である。上記装置及びプロセスにおいて、上記供給原料は、有機硫黄化合物を除去するために、固体吸着剤と接触させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素を生成するための、炭化水素供給原料から硫黄化合物を除去する装置及び連続プロセスに関するものであり、特に燃料電池用水素の現場での生成のための小規模な水素生成装置及びプロセスに関するものである。本発明によるプロセス及び装置において、硫黄化合物は連続的に除去され、1つの態様では、再生吸着プロセスの利用が含まれており、別の態様では、吸着と組み合わせた加水分解を用いる硫化カルボニル及び二硫化炭素など硫黄化合物の除去が含まれている。上記プロセス及び装置は、経済的、環境的に魅力あるものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料である水素の化学エネルギーを、中間段階としての燃焼を用いることなく化学反応を介して利用可能な電気に変換するものである。水素は保管や流通が難しく、ガソリンなどの燃料と比較して容積エネルギー密度が低い。有利な点は、燃料電池用の水素供給原料が、その燃料電池に近接する地点で産生されることである。
【0003】
天然ガス、プロパン、ブタンなどの燃料から水素を生成することは周知である。これらの燃料は、水素よりも保管、流通が容易である。従って、燃料電池に近接した地点で水素を供給する水素発生装置用にこれらのタイプの燃料を用いることは有利であろう。
【0004】
水素は、炭化水素の水蒸気改質に基づく大規模プロセスにおいて、化学及び工業プロセスのために生成される。これらのプロセスは、大規模であることと、多くの場合、精製または化学プロセス工程に一体化されることから、経済的に水素を生成するための高度な装置操作を基にすることができる。燃料電池に近接した地点で水素を供給する必要があることから、小規模装置操作での水素生成には、非常に大きな課題が存在する。この課題の重大性は、燃料電池が住宅用あるいは小規模ビジネス用である場合に増大する。上記水素発生装置は、プラント・オペレータによって提供される高度な技術的専門知識なしに運転することが必要なだけでなく、上記水素生成装置とその運転は、水素や電気の代替エネルギー源に対して競争力を持つよう十分な経済性がなければならない。加えて、特に住宅用の場合、水素生成装置は小型で、最低限の維持管理だけが必要でなければならない。
【0005】
単純で安価、そして効率的な水素生成装置を提供する上での複雑性は多重的なものであり、もし大規模工業水素生成設備であれば直面することがないか、またはずっと容易に克服されるような困難を含んでいる。天然ガスまたは液化石油ガスのような炭化水素を用いた水素生成装置におけるそれらの複雑性の1つは、ガス漏れ検知のために着臭剤として添加される硫黄化合物を含めた硫黄化合物が存在することである。除去されなければ、硫黄化合物は、供給原料を水素に転換するために用いられる触媒を汚染する場合がある。従って、より小規模な水素生成装置の開発者は、水素生成装置の性能や経済性に過度に悪影響を及ぼすことなく硫黄を除去する手段をその装置に組み込まなければならない。さらに、硫黄の除去は、環境的に容認できる方法で好適に達成されなければならない。
【0006】
工業規模プロセスでの脱硫のための従来の方法は、二段階水素化脱硫プロセスである。上記プロセスには、通常350℃程度の高温、そして水素リサイクル・ストリームが必要である。このタイプのプロセスは小規模水素生成装置には複雑で高価過ぎる。さらに、水素リサイクルの利用には別のガス・コンプレッサが必要な場合があり、水素生成装置の効率を低下させる可能性がある。
【0007】
炭化水素供給原料から硫黄化合物を除去するための代替的な方法に関する種々の提案には、酸化亜鉛あるいは分子篩での吸着などがある。酸化亜鉛あるいは殆どの類似の化学吸着剤では、硫化ジメチル及びテトラヒドロチオフェンのようないくつかのタイプの硫黄化合物を除去するために高温(例えば、200℃よりも高い温度)が必要である。それに対して、分子篩(例えば、ゼオライト)は、一般に殆どの硫黄化合物を室温で除去するのに効果的である。分子篩上での硫黄化合物の吸着は、炭化水素供給原料中の水及び二酸化炭素のような極性成分の存在によって悪影響が及ぼされる場合がある。例えば、パイプランの天然ガスに含まれる水分及び二酸化炭素の存在は、硫黄が分子篩上に載るのを大きく減少させる場合がある。供給原料からの炭化水素の共吸着も、硫黄が分子篩上に載るのを大きく減少させる場合がある。酸化亜鉛吸着剤と分子篩の両方の限界は、それらが、硫化カルボニル及び二硫化炭素の除去には効果的でないという点である。
【0008】
Brunoらの米国特許第6,334,949号には、カリックスアレーン錯化剤の利用が提案されているが、その理由は、アミン処理、加水分解、酸化亜鉛との反応、促進された活性アルミナまたは分子篩上での吸着、及びアルカリ金属水酸化物またはメタノールとの反応など硫化カルボニル除去のためのその他の提案された方法に関連する問題があるためである。Satokawaらは、米国特許出願公開第2001/14304号で、殆どのストリームから硫黄成分を除去するための遷移金属交換ゼオライトの利用を開示している。しかし、Satokawaらは、水素生成装置の運転におけるゼオライトの再生に関しては何も開示していない。上記特許権所有者によって主張されている利点は、ゼオライトが相対的に疎水性であり、従って、水分を含んでいる供給原料から硫黄成分を除去するために有効であるという点である。
【0009】
別な課題も存在する。例えば、硫黄成分を除去するための手段は、水素生成装置に容易に組み込まれなければならず、運転するために過度のエネルギーや過剰な機器を必要としてはならない。理想的には、上記脱硫は周囲温度で、またはそれに近い温度で生じる。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0010】
本発明による装置及びプロセスによって、供給原料から水素生成装置への効果的な硫黄の除去が行われる。本発明による装置及びプロセスを用いた水素生成装置及び水素生成装置/燃料電池システムは、住宅及び小規模な用途に望まれているとおり、相対的に小型であり、相対的に維持管理が不要である。
【0011】
本発明による装置及びプロセスは、有機硫黄化合物を除去することが可能な固体吸着剤を用い;固体吸着剤上での吸着及び水素生成装置でプロセス・ストリームを用いた固体吸着剤の再生のために、Xを酸素または硫黄とすると、CXS、すなわち硫化カルボニル及び二硫化炭素を硫化水素に転換する加水分解ステップを用いる。水素生成装置への供給原料は、約50℃未満の温度と、CXS含有量が低下したストリームに含まれている硫黄化合物の総量の少なくとも約70モル・パーセントを吸着するために十分な時間とを含む吸着条件下で、固体吸着剤と接触させられる。
CXSの除去
【0012】
本発明による装置及びプロセスの1つの態様で、CXSが、硫化カルボニル及び二硫化炭素のうち1つまたは両方を含んでおり、そして、有機硫黄化合物及び恐らくは硫化水素を含んでいる炭化水素含有ガス・ストリームから初めに除去される。続いて有機硫黄化合物及び硫化水素が除去される。上記装置は、ガス・ストリーム取入口及び間隔を置いたガス・ストリーム排出口を有する第1の反応器を有する。上記第1の反応器は、上記取入口から上記排出口へ通過するガス・ストリームが触媒床を通り抜けるように配置された上記触媒床を含んで成る。上記触媒は、約100℃未満の温度の水蒸気で除去されることが求められるCXSの反応を促進することができる加水分解触媒で構成される。第2の容器は、第1の容器のガス・ストリーム排出口と流体連通しているガス・ストリーム取入口、及びガス・ストリーム排出口を有する。第2の容器は、上記取入口から上記排出口へ通過するガス・ストリームが固体吸着剤床を通り抜けるように配置された上記固体吸着剤床を含んで成る。上記固体吸着剤は、50℃の温度で、50 ppmvの水を含んでいるメタン・ストリームから硫化ジメチルを吸着することが可能である。
【0013】
あるいは、上記供給原料ストリームが初めに処理されて、もし存在する場合は、有機硫黄化合物及び硫化水素を除去する。上記第1の吸着ステップで除去されないCXSは、次のステップで加水分解にかけられる。供給原料ストリームに含有されるいずれの水も、一般に有機硫黄除去ステップの間に吸着されるので、通常水が添加される。その結果生じる加水分解装置からの硫化水素含有ストリームはさらに吸着ステップにかけられる。次の吸着ステップは、高温吸着でもよい。低温吸着を用いることもできるが、熱交換が必要な場合はあまり好ましくない。
【0014】
上記装置及びプロセスは、それらの運転のためのエネルギー消費を殆ど必要としない。加水分解のため、あるいは高温硫化水素吸着のために周囲温度から上昇させるのに必要ないずれの加熱も、水素生成装置または、もし存在する場合には燃料電池からの廃熱によって達成することができる。事実、より高い温度が望まれる場合であっても、水素生成装置内の熱い容器に近接する脱硫床の物理的位置は、高温を達成するのに適しているので、別個の熱交換機器は多くの場合不要である。
【0015】
加水分解が有機硫黄吸着に先行する場合、十分な水が炭化水素含有供給原料中にもともと存在してもよく、水を添加する必要はない。
【0016】
有利な点として、上記装置は相対的に小型である。有機硫黄吸着は略周囲温度で行うことができるので、維持管理と交換が容易になる。加水分解が有機硫黄化合物の次に行われ、そして、酸化亜鉛または酸化鉄の床を用いて硫化水素を除去する場合であっても、吸着剤の量は相対的に少ない。
固体吸着剤の再生
【0017】
本発明による装置及びプロセスのこの態様で、水素生成装置のために有機硫黄化合物は、固体吸着剤を用いて供給原料から除去され、その固体吸着剤は、水素生成装置で用いられるプロセス・ストリームを使って再生される。上記再生は、効果的に、そして、環境的に容認できる方法で達成することができる。
【0018】
広範な態様で、上記固体吸着剤は、吸着モードと脱着モードの間を交互に行き来する。吸着モードにおいて、上記吸着剤は、少なくとも1つの有機硫黄化合物も含んでいる、水素生成装置のための炭化水素供給原料と接触させられる。脱着モードにおいて、上記吸着剤は燃焼燃料の燃焼に用いられるプロセス・ストリームに接触させられ、水素生成装置内に熱を供給する。従って、固体吸着剤のその場での再生により、上記プロセスは連続的に、すなわち、使用済み吸着剤を交換するために意図的に停止することなく運転することが可能である。上記吸着剤は再生が可能であるので、もし吸着剤が劣化した時には、交換されなければならないとした場合に必要な量よりも少ない量で済む。
【0019】
上記脱着のために用いられるプロセス・ストリームは、酸素含有ストリーム、または燃料電池からのアノード排ガスのような硫黄化合物が本質的に存在しない燃焼燃料ストリームのうちの1つまたは両方を好都合に用いることができる。再生のための酸素含有ストリームは、水素生成装置が燃料電池に組み込まれている場合、化学反応または燃焼の目的またはアノード排ガスのために水素生成装置へ供給される1つ以上の酸素含有ガスであってもよい。
【0020】
必要に応じて、脱着流出物(desorption effluent)、または脱着された硫黄化合物を含んでいるパージを燃焼し、水素生成装置内に熱を供給することが可能である。燃焼によって、硫黄化合物を無臭二酸化硫黄に酸化させることもできる。本発明によれば、脱着の間に除去され、従ってパージ中に含まれるその他の成分も燃焼させることが可能である。例えば、固体吸着剤は、残留炭化水素を間隙内空間に含んでおり、多くの例で、固体吸着剤上で吸着される。そのような炭化水素供給原料の燃焼によって、二酸化炭素と水が生じる。天然ガス及び液化石油ガス(LPG)など多くの炭化水素供給原料によって、ベンゼンのような環境への懸念をもたらす化合物が存在して、吸着される場合がある。有利な点として、本発明によるプロセスでは、燃焼のための脱着の間に固体吸着剤からこれらの化合物が好適に除去される。
【0021】
固体吸着剤の量は、脱着による再生を通じて減らすことができるだけでなく、より広範囲の固体吸着剤を使用することも可能であり、そして、固体吸着剤が非循環的に用いられたとした場合よりも、プロセスの柔軟性を大きくすることが可能である。例えば、たとえ硫黄化合物を吸着する場所を求めて水が競合しても、水分含有ストリームを用いることが可能である。本発明に基づく有利な点として、頻繁な循環によって、水含有供給原料及び再生ガス・ストリームの利用が可能になる。非再生システムでは、水が吸着場所を求めて硫黄化合物と競合し、従って、硫黄化合物が利用可能な吸着剤の容量が減少する。しかし、吸着剤が物理的に影響を及ぼさないのであれば、吸着剤は頻繁に循環することが可能であることと、そして、水が存在する場所を提供する過度に大きな床は必要とされないことから、水の存在を許容することができる。脱着が、再生の間に吸着剤からの硫黄化合物の水置換(置換パージ)によって達成される場合には、水は有益でさえある。
【0022】
本発明の別の利点は、十分な量の脱着のためのパージ・ガスが、水素生成装置/システム内のプロセス・ストリームから利用可能であり、望まれる再生を達成するという点である。広範囲な吸着剤及び脱着ストリームによって、エネルギーを消費する圧力または温度スイングに頼る必要なしに再生が可能である。それにもかかわらず、本発明の広範な態様では、たとえ多くの例で圧力及び温度スイングが、等圧等温不活性パージまたは置換パージ脱着と比較して、より好ましくない操作の方法であっても、圧力及び温度スイングの利用を検討する。さらに、本発明による再生固体吸着剤システムは、硫黄除去のためのその他の操作と共に用いることができる。
【0023】
水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を含んでいる改質物(reformate)を提供するために炭化水素供給原料を改質することによって、そして、上記改質物中の一酸化炭素濃度を低下させることによって、1つ以上の有機硫黄化合物を含んでいる炭化水素供給原料から水素を生成するための連続プロセスに関する本発明の上記態様で:
a)少なくとも一部の上記供給原料は、少なくとも1つの上記有機硫黄化合物を、吸着条件下で上記少なくとも1つの有機硫黄化合物の少なくとも一部を吸着するのに十分な時間、可逆的に吸着可能な固体吸着剤の床に接触させられて炭化水素吸着流出物を提供し;上記床は、吸着モード及び脱着モードの間での循環に適した2つ以上の床のうちの1つであり、
b)上記吸着流出物は、蒸気の存在下で改質条件下で改質されて、水素含有ストリームを提供し、
c)上記脱着モードで、燃料に硫黄化合物が本質的に存在しないという条件で、少なくとも一部の燃焼燃料、または上記燃焼のための酸素含有ガスが、脱着条件下で上記固体吸着剤を含んでいる少なくとも1つの別の床へ送られて、上記床を再生し、そして、有機硫黄含有パージを提供し、
d)上記有機硫黄含有パージは、燃焼に用いられて、上記プロセス内で利用するための熱を提供し、有機硫黄化合物を二酸化硫黄に転換し、そして
e)上記ステップ(a)の床はステップ(c)へ循環し、上記ステップ(c)の床はステップ(a)へ循環する。
【0024】
ステップ(c)の燃焼によって提供される熱を用いて、上記プロセスへの供給原料ストリーム、上記プロセスで用いるための水の蒸気への転換のための水、吸着流出物または改質器などいずれの適合するプロセス・ストリームでも加熱することができる。多くの場合、上記燃焼によって、予熱ステップ時または改質中のいずれかに、吸着流出物へ熱が提供される。容易に理解できるように、有機硫黄含有パージは、燃焼燃料または酸素含有ガスまたはその混合物で構成される。混合物でない場合、燃焼に必要な成分が供給される。
【0025】
本発明による水素生成装置は:
a)蒸気用の水の供給と流体連通する改質器;
b)酸素含有ガスの供給及び燃焼燃料の供給と流体連通する燃焼器において、上記燃焼器が燃焼燃料を酸素含有ガスで燃焼するのに適しており、流出物を提供して、水素生成装置内に熱を提供する燃焼器;
c)固体吸着剤を含んで成る少なくとも2つのゾーンにおいて、1つのゾーンは、炭化水素供給原料の供給と流体連通する取入口と、上記改質器と流体連通する排出口とを有し、上記炭化水素供給原料が上記1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤に接触するような改質のために炭化水素を供給し;もう1つのゾーンは、酸素含有ガスと燃焼燃料のうち少なくとも1つで構成される再生ガスの供給と流体連通する取入口と、再生ガスが上記もう1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤と接触するように上記燃焼器と流体連通する排出口とを有し;上記2つのゾーンは、固体吸着剤が炭化水素供給原料との接触及び再生ガスとの接触の間で循環することを可能にする関係にある2つのゾーンで構成される。
【0026】
燃料電池に組み込まれる場合、カソードまたはアノード排ガスは、上記再生のために用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明によるプロセスで、硫黄化合物も含んでいる炭化水素供給原料が、改質のために用いられて水素を生成する。改質は、通常高温で実施される触媒反応であり、水蒸気改質、部分酸化及び水蒸気改質、自熱改質などであってもよい。改質によって、水素だけでなく、二酸化炭素及び一酸化炭素を含んでいる改質物が提供される。
【0028】
例えば、燃料電池への供給原料のための水素の生成には、改質反応で生成される一酸化炭素の転換も含まれる。上記転換は、水性ガス転化反応でもよく、それによって水と一酸化炭素が反応して、さらに水素と二酸化炭素を生成する。別の一酸化炭素転換プロセスは優先的酸化反応であり、それによって、一酸化炭素は、遊離酸素の存在下で二酸化炭素へ選択的に酸化される。本技術分野で周知のように、上記水素生成プロセスには、露点制御のような燃料電池で用いられる水素生成物を産生するための種々の操作などが含まれる。また、一部の例では、水素ストリーム中の二酸化炭素あるいはその他の不活性物質を除去することが望ましい場合がある。
【0029】
燃料電池は、水素と酸素含有ガスを用いて電気を発生させる。燃料電池は、水素中で消耗したアノード排ガス及び酸素中で消耗したカソード排ガスも産生する。これらのストリームには、一体化された水素生成装置/燃料電池システムにおいて有用となる、十分な熱及び水素及び酸素がまだ含まれている場合がある。
【0030】
本発明に従って用いられる炭化水素供給原料は、一般に脱硫の条件下でガス状である。メタン、エタン、プロパン、ブタンなどのような低級炭化水素ガスを用いることができる。入手可能性の理由から、殆どの場合、天然ガス及び液化石油ガス(LPG)が、供給原料として用いられる。
【0031】
天然ガス及び液化石油ガスには、ガス漏れを検知できるように着臭剤が通常含まれている。従来用いられる着臭剤は、例えば、硫化ジメチル、硫化ジエチル及びメチル・エチル・スルフィドなどの有機硫化物;例えば、メチル・メルカプタン、エチル・メルカプタン及びt-ブチル-メルカプタンなどのメルカプタン;テトラヒドロチオフェンが最も一般的であるチオフェン;などの有機硫黄化合物のうち1つまたはそれ以上である。用いられる量は多岐にわたることが可能である。天然ガスでは、有機硫黄化合物成分は、多くの場合100万分の1体積分率(ppmv)で約1から20の範囲であり;LPGでは、例えば、約10から200 ppmvなど、より多くの量の硫黄化合物が通常用いられる。市販の炭化水素供給原料では、硫化水素やCXSのような天然の不純物であるその他の硫黄化合物を含んでいることも珍しくない。天然ガス及びLPGの硫化カルボニル濃度が0.1から5ppmvであることも珍しくない。硫黄の形状に関わらず、水素生成装置で用いられる触媒、及び燃料電池にとって硫黄は有害な場合がある。
【0032】
上記供給原料は、二酸化炭素、窒素及び水などその他の不純物を含んでいる場合がある。本発明によるプロセスで、二酸化炭素濃度は、約5体積パーセント未満、好ましくは約2体積パーセント未満であることが好ましい。
【0033】
その他の供給原料成分に含まれる水以外にも、上記プロセスに対して水が必要な場合がある。この追加的な水は、好ましくは純水である。上記酸素含有原料の供給源は、純酸素、酸素を豊富に含ませた空気、または最も好都合なものとして空気でもよい。酸素を豊富に含ませた場合、その空気は、多くの場合、少なくとも約25体積パーセント、しばしば少なくとも約30体積パーセントの酸素を含んでいる。
【0034】
水素生成プロセスは周知であり、種々の装置操作、及び装置操作のタイプを用いることができる。例えば、改質器への供給原料成分は、通常改質器へ送られる前に混合される。上記供給原料またはその供給原料の成分は、水素生成装置へ入る前、あるいは水素生成装置内で加熱することができる。いくつかの例で、特に燃料が、それを気化させる標準的な条件下で液体である場合、その燃料を蒸気及び酸素と混合する前に加熱することが望ましい。
【0035】
改質は、水蒸気改質のみを介してもよく、改質器へ送られる燃料の部分酸化と水蒸気改質の組み合わせによって実施されてもよい。水蒸気改質は、水蒸気改質条件下で行われる水素及び酸化炭素(二酸化炭素及び一酸化炭素)を生成する触媒反応である。水蒸気改質条件は、通例600℃以上、例えば600℃から1000℃の温度、及び1から25絶対バールの圧力を含んで成る。
【0036】
部分酸化改質条件は、通常約600℃から約1000℃、好ましくは約600℃から約800℃の温度、及び約1から約25絶対バールの圧力を含んで成る。部分酸化改質は、触媒によるものである。全体としてのメタンに対する部分酸化及び水蒸気改質は、以下の式で表される:
【0037】
【化1】

【0038】
上記改質器は、2つの別個の部分、例えば、酸化触媒である第1の接触層、続いて水蒸気改質触媒である第2の層で構成されてもよく、あるいは二機能型でもよく、すなわち、酸化触媒及び水蒸気改質触媒が単一の触媒床内で混合されるか、または共通の担体上に置かれる。部分酸化改質物は、水素、窒素(空気が酸素の供給源として用いられる場合)、炭化酸素(一酸化炭素及び二酸化炭素)、水蒸気及びいくつかの未転化炭化水素で構成される。
【0039】
改質流出物である改質物はガスであり、少なくとも1つの水性ガス転化反応ゾーンを持つ転化反応器へ送られる。上記改質物は、それが改質器を出る時点で、通常約600℃を超える温度である。上記改質物は、転化反応器へ水性ガス転化条件で送られる前に冷却される。転化反応器内で一酸化炭素は、転化触媒の存在下で過剰な量の水の存在下で発熱反応して、追加的な量の二酸化炭素及び水素を生成する。上記転化反応は平衡反応である。従って、上記改質物では一酸化炭素の含有量が減少する。
【0040】
任意の数の水性ガス転化反応ゾーンを用いて、水素生成物中の一酸化炭素レベルを減らすことができるが、多くの場合、2つの水性ガス転化触媒段階が用いられる。第1の転化触媒段階は、約320℃から約450℃の間の温度から成る高温転化条件での高温転化のためのものである。高温転化段階からの流出物は、低温転化条件で操作される低温転化段階へ供給される。高温転化段階からの流出物は、低温転化に適した温度まで冷却される。低温転化条件は、通常約180℃から約300℃の温度から成る。
【0041】
水性ガス転化流出物ストリームまたは水素生成物は、通常約1モル%未満、好ましくは約0.5モル%未満の一酸化炭素(無水ベース)を含んで成る。上記流出物は、適切な方法でさらに処理され、一酸化炭素(例えば、一酸化炭素の二酸化炭素への選択酸化によって)及び余分な水(改質装置流出物の冷却のために必要な水の量が、転化反応及び湿性ガスの提供のために必要な水の量よりも多いため)がさらに除去される。
【0042】
CO濃度をきわめて低いレベル、例えば50 ppmモル未満、あるいは10 ppmモル未満に減少させることが必要な場合、選択酸化ステップが水性ガス転化ステップの後に続く。選択酸化ステップで、水素含有ストリームは、効果的な条件下で酸素含有ストリームの存在下で選択酸化触媒と接触させられ、一酸化炭素を二酸化炭素へ選択的に酸化して、約10から50 ppmモルの間の一酸化炭素で構成される生成物ストリームを生成する。このように精製された燃料ストリームは燃料電池のアノード極側へ送られ、空気ストリームは燃料電池のカソード極側へ送られる。あるいは、水素含有ストリームは、例えば、吸着、膜分離、あるいは熱または圧力スイング吸着によって、さらに処理され、水素生成物の純度を高めることができる。上記処理によって、水素生成物ストリーム中の、例えば、二酸化炭素、余分な量の一酸化炭素、またはその他の希釈剤を除去してもよい。
【0043】
本発明による装置及びプロセスで、有機硫黄化合物を除去するために固体吸着剤が用いられる。硫化水素のようなその他の硫黄化合物も本発明によるプロセスに従って除去することができる。分子篩のような一部の吸着剤は、CXSの吸着能を殆ど持たない場合がある。CXSが存在する場合、加水分解を用いてCXSを硫化水素と二酸化炭素に転換するか、またはCXSに対して選択的な別の吸着を用いることが望ましい。
【0044】
加水分解が用いられる場合、CXS1モルあたり約5モルから100モルの水が炭化水素含有ガスに供給されることが好ましい。上記水含有ストリームは、約25℃から100℃の温度などの加水分解条件下で、以下の反応式:
【0045】
【化2】

に従って、少なくとも約70パーセントの硫化カルボニルを硫化水素に加水分解するのに十分な時間、加水分解触媒と接触させられ、硫化カルボニル含有量が減少した炭化水素含有ストリームを産生する。水も二硫化炭素を加水分解することができる。
【0046】
吸着は可逆的である、すなわち、固体吸着剤は、プロセス・ストリームを用いて再生される能力を持つ。吸着のメカニズムは多岐にわたるが、それは本発明の決定的な要素ではない。上に述べられたように、再生は、不活性パージによって生じるか、あるいは水置換メカニズムを通じて進行することが可能である。水置換メカニズムにおいて、水は飽和に至るまでの量、一般に約1モル%から15モル%の量で脱着ガスに含有されることが可能である。本発明の好ましい態様で、吸着及び脱着は低温、例えば約0℃から60℃、最も好ましくは約10℃から50℃、時に0℃から35℃で行われる。吸着圧力は、水素生成装置の運転圧力によって一般に決定される。燃料電池のための用途で、吸着圧力は通常約115から200絶対kPaである。産業用ガスまたは水素燃料補給のための用途では、吸着圧力は通常約600から1,200絶対kPaである。上記サイクルで、脱着ステップは好ましくは低温、一般に約105から140絶対kPaで行われる。従って、吸着/脱着サイクルは、有効な圧力スイングを含むことが可能である。
【0047】
吸着剤の量、及び吸着及び脱着モードの持続時間は、吸着及び脱着モード中の温度及び圧力条件、体積パージ対供給原料の比率、供給原料中の一酸化炭素の量と性質など供給原料及び脱着ガスの成分、用いられる吸着剤などによって決まることになる。吸着剤の量と吸着及び脱着モードの持続時間の決定も、水素生成装置の用途によって課されるあらゆる大きさの制約によって決まることになる。サイクルの回数が増えると、必要な吸着剤の量は少なくなる。住居用及び小規模生成物の生成用に用いられる場合、上記サイクルは、吸着剤床のサイズを、小型水素生成装置を有することの目的と両立させるのに十分な頻度で行われる。上記サイクルの持続時間は、時に約100時間未満であり、24時間未満、あるいは30分未満であってもよい。通常、炭化水素供給原料に基づく1時間あたりガス空間速度は、約10と2,000時間-1の間、例えば10から1,000時間-1の間である。
【0048】
吸着剤は、固定床または移動床にあり、すなわち、吸着剤は、吸着及び脱着ゾーンの間を、流動床または吸着剤ホイール装置を介して運ぶことができる。吸着剤ホイール装置において、固体吸着剤は構造体(例えば、ホイール)に配置され、上記ホイールの回転によって上記吸着剤が吸着ゾーンから脱着ゾーンへ運ばれる。工学技術的に単純化するため、2つ以上の固体吸着剤の固定床が用いられ、炭化水素供給原料と脱着ガスが交互に上記容器へ供給される。好ましくは、脱着ガスは、吸着剤が上記床を通り抜ける方向に対向して送られる。一般に、単純な2容器吸着システムが用いられる。しかし、必要に応じて、3床または4床サイクルを用いることが可能である。改質が酸素の不存在下で行われ、そして、酸素含有ガスが脱着ガスとして用いられる場合、初めに酸素の床を、炭化水素供給原料をその床に通過させることによってパージし、吸着モードを再開する前にそのパージを燃焼へ導くことが望ましい。供給原料の部分酸化を用いて改質のための熱を産生する場合は、供給原料中の酸素の存在は一般に不都合ではない。
【0049】
本発明で用いられる固体吸着剤は、有機硫黄化合物の吸着能を有し、好ましい吸着剤は、低温で作用可能な吸着剤である。好ましい吸着剤は、硫化ジメチルを(例えば、50℃の温度で170 kPaの絶対圧力で5ppmvの硫化ジメチルを含んでいるメタン・ストリームから)吸着することができる吸着剤として特徴づけられる。上記吸着剤は、好ましくは耐水性があり、すなわち、500 ppmvの水を含んでいる不活性ストリーム(例えば、メタン)に30℃の温度で1000時間さらされた場合に物質的に劣化せず、二酸化炭素にも耐性がある。上記吸着は、モノリス・ハニカム及びペレットまたは粒上構造など任意の好都合な物理的構造を持つ。上記吸着のための活性物質は担持されてもよく、あるいは、上記構造は実質的に吸着剤物質から成ってもよい。
【0050】
吸着剤の例には、Ag、Cu、Ni、Zn、Fe及びCoのような1つ以上の遷移金属とイオン交換された分子篩などがある。分子篩には、X型、A型、Y型及びベータ型などがある。吸着剤のタイプは吸着/脱着サイクルのメカニズムを考慮して選択されることになる。水置換サイクルで、好ましい吸着剤は、一酸化炭素と水に対して同様な親和性を有する。水置換サイクルのための好ましい吸着剤は、X型、Y型またはA型の分子篩ゼオライトである。上記分子篩吸着剤に含まれる好ましいカチオンには、カルシウム、ナトリウム、あるいは銅や亜鉛のような遷移金属などがある。最も好ましい分子篩はX型、特に亜鉛と交換された13Xである。Satokawaらは、米国特許出願公開第2001/14304号で、硫黄化合物を低温で除去するためのゼオライト吸着剤を開示している。
【0051】
不活性パージ・サイクルで用いられる吸着剤のタイプは、一般に、シリカライトZSM-5、または脱アルミY型ゼオライトのような疎水性分子篩である。脱着ガス中に1モル%から15モル%の水が存在しても、通常は硫黄吸着に著しい影響は及ぼされず、脱着ガスは不活性スイープ・ガスとしての役割を果たし、不十分に吸着された硫黄化合物を脱着する。
【0052】
上記吸着剤からのパージ・ガスは、脱着された硫黄化合物を含んでいる。必要に応じて、パージを燃焼する前または燃焼流出物を環境へ放出する前に、さらに硫黄を除去することができる。本発明によるこの態様は、触媒が硫黄によって悪影響を受ける触媒燃焼によって、少なくとも部分的に燃焼が影響を受ける場合、あるいは、硫黄化合物を水素生成プロセスから実質的に排出しないことが求められる場合に特に魅力的である。好ましくは、上記再度の硫黄除去は、水素硫黄含有ガスを産生するための、遊離水素の存在下など水素化脱硫条件下での水素化脱硫、及び低濃度の硫黄を含んでいる流出物を提供するための、上記水素硫黄含有ガスからの硫化水素の吸着で構成される。上記脱着ガスが、燃料電池からのアノード排ガスの少なくとも一部で構成される場合、再度の硫黄除去のための好都合な方法は、硫黄化合物を硫化水素に転換するための水素化脱硫、及びその後硫化水素を除去するための吸着で構成される。上記アノード排ガスは遊離水素を含んでいるので、水素化脱硫のために水素の追加的な供給源を用いる必要はない。加えて、燃焼を助けるための水素化脱硫後のストリーム中に適度な水素が残っている。従って、本発明によるこの態様は、水素を燃料電池に供給する水素生成装置のために、1つ以上の有機硫黄化合物を炭化水素供給原料から除去するための連続プロセスであり、上記態様は:
a)少なくとも一部の上記供給原料を、吸着条件下で少なくとも1つの上記有機硫黄化合物の少なくとも一部を吸着するのに十分な時間、少なくとも1つの上記有機硫黄化合物を可逆的に吸着することが可能な固体吸着剤の床に接触させ、吸着流出物を提供するステップにおいて、上記床は、吸着モード及び脱着モードの間で循環するのに適した2つ以上の床のうちの1つであるステップと、
b)アノード排ガスで構成される再生ガスを、燃料電池から、上記固体吸着剤を含んでいる少なくともその他の1つの床へ脱着条件下で送り、有機硫黄化合物が上記再生ガスに含有される、吸着された有機硫黄化合物を除去することによって上記床を再生し、有機硫黄含有パージを提供するステップと、
c)上記有機硫黄含有パージを水素化脱硫条件にかけて、有機硫黄化合物を硫化水素に転換し、水素化脱硫流出物を提供するステップと、
d)上記水素化脱硫流出物を、硫化水素に対する吸着条件下で化学吸着剤と接触させるステップと、そして
e)上記ステップ(a)の床はステップ(c)へ循環し、上記ステップ(c)の床はステップ(a)へ循環するステップと
で構成される。
【0053】
水素化脱硫条件には、通常約100℃を超える温度、例えば約200℃から400℃、及び効果的な量の水素化脱硫触媒の存在などがある。いずれの従来の水素化脱硫触媒も、水素化脱硫ゾーンで用いることができ、ニッケル及びモリブデンを含んでいる触媒が好ましい。水素化脱硫の圧力は、脱着からのパージ・ガスの圧力のようないずれの好都合な圧力でもよい。
【0054】
水素生成設備全体のサイズを小さくするために、硫化水素に対する吸着剤は、化学吸着が可能な吸着剤である。反応性吸着剤は、一般に少なくとも約50℃、好ましくは少なくとも約100℃、多くの場合約125℃と350℃の間の温度を必要とする。化学吸着剤には、Synetix Puraspec 2030のような1つ以上の酸化亜鉛、酸化鉄及び酸化銅またはアルミナ上のニッケルなどがあり、これらすべては、硫化水素に対する高い吸着力を有する。有利な点として、化学吸着は、水素化脱硫と実質的に同じ条件で実施される。化学吸着剤は劣化し、従って、通常は必要に応じて交換される。本発明によるこの好ましい態様の1つの利点は、ベンゼンのような炭化水素は化学吸着剤上に吸着条件下でほとんど残らず、従って、劣化した化学吸着剤の処理や再生が容易になることである。WO 03/011436号に開示されているような反応性吸着剤は、吸着が起こる温度が比較的低いので、本発明によるプロセスに適用することができる。
【0055】
水素生成装置及び燃料電池システムは:
a)水素、二酸化炭素及び一酸化炭素流出物を含んでいる改質物を産生するのに適した蒸気用の水の供給と流体連通する改質器と;
b)上記改質物を受け取り、水素生成物ガスを生成するために上記改質物と流体連通する一酸化炭素除去ゾーンと:
c)アノード極側で水素生成物ガスを受け取るために一酸化炭素除去ゾーンと流体連通し、カソード極側で酸素含有ガスの供給と流体連通する燃料電池において、上記燃料電池がアノード排ガス口及びカソード排ガス口を有する燃料電池と;
d)酸素含有ガスの供給及び燃焼燃料の供給と流体連通する燃焼器において、上記燃焼器が、燃焼燃料を酸素含有ガスで燃焼するために適しており、流出物を提供して、水素生成装置及び燃料電池システム内に熱を提供する燃焼器と;そして
e)固体吸着剤を含んでいる少なくとも2つのゾーンにおいて、1つのゾーンは炭化水素供給原料の供給と流体連通する取入口及び改質器と流体連通する排出口を有し、炭化水素供給原料が上記1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤に接触するような改質のために炭化水素を供給し;もう1つのゾーンは、カソード排ガス口からの酸素含有ガスとアノード排ガス口からの燃焼燃料のうち少なくとも1つで構成される再生ガスの供給源と流体連通する取入口と、上記ガスが上記もう1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤と接触するように燃焼器と流体連通する排出口とを有し;上記2つのゾーンは、固体吸着剤が炭化水素供給原料との接触及び再生ガスとの接触の間を循環することを可能にする関係にある少なくとも2つのゾーンと
で構成される。
【0056】
本発明を図面との関連においてさらに説明する。
【0057】
図1を参照すると、硫黄化合物を供給原料から除去するための装置が示されており、そのプロセスにおいて、供給原料は初めに加水分解にかけられる。反応器102は、加水分解触媒104の床を含んで成る。適切な加水分解触媒は、硫化カルボニル加水分解反応を100℃未満の温度で促進することが可能な加水分解触媒である。好ましい触媒は、70℃未満、概ね約50℃未満、例えば25℃または30℃から50℃の温度で上記反応を促進する。原則として、温度が低いほど反応速度は遅い。従って、ガス空間速度と温度の間にはトレードオフが存在する。温度が低過ぎると、上記床は非実用的なサイズになる必要があるであろう。本発明による好ましい態様で、1時間当たりガス空間速度は、硫化カルボニルの実質的に完全な転換のために少なくとも約500時間-1、好ましくは1,000時間-1より大きい。
【0058】
容易に理解できるように、温度と空間速度を調節して、望ましい硫化カルボニルの転換を行うことができる。処理される供給原料が、100万分の1体積分率(ppmv)で約50未満、より好ましくは約10未満で硫化カルボニルを含むように、少なくとも約70パーセント、好ましくは少なくとも約95パーセントの硫化カルボニルが硫化水素に転換され、時にその転換は100パーセント近い。加水分解の圧力は広範囲にわたる。しかし、安全上の懸念によって、特に住居用では水素生成装置は低圧で運転されるので、その圧力は、多くの場合脱硫された供給原料を水素生成装置へ供給するのに十分な程度であり、付加的な圧力調節は必要としない。従って、絶対圧力は、多くの場合約110から1000 kPaの間、例えば110から300 kPaである。
【0059】
上記触媒は、約100℃未満、好ましくは約50℃未満の温度で硫化カルボニルの硫化水素への反応を促進するいずれの適切な加水分解触媒でもよい。上記反応を促進することによって、上記触媒は、認識可能な転換がそうした温度で起きる程度に活性であることが意図される。最も有利な加水分解触媒は、少なくとも70パーセントの硫化カルボニルの転換を、供給原料ストリーム中(メタン中に1ppmv)で35℃の温度で2,000時間-1の空間速度で行うことが可能な加水分解触媒である。
【0060】
代表的な加水分解触媒には、1グラム当たり平方メートル(B.E.T.)を単位として表面積が少なくとも10、好ましくは少なくとも約50、例えば50から500、好ましくは少なくとも約100、例えば100から400であるアルミナ、ジルコニア、チタニア及びそれらの混合物などがある。好ましい触媒は、例えば、カイ、エータ及びロー相の遷移相アルミナ、またはガンマ相アルミナで構成されるアルミナ触媒である。表面積が大きいアルミナ、ジルコニア及びチタニア触媒は酸性の傾向がある。オレフィンを含んでいる供給原料によって、酸性は、重合副反応を促進する場合がある。副反応を緩和するため、酸化ナトリウム及び酸化カリウムのような酸性を中性にする傾向を持つ添加物が存在してもよい。通常添加物は触媒重量の約3パーセント未満の量で存在する。触媒は、反応速度を高めるために促進剤を含有することもできる。鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛が促進剤として提案されている。例えば、J West, et al., Catal. Letters,Vol. 74, p. 111, 2001を参照されたい。
【0061】
上記触媒は担持されてもよく、あるいは酸化金属が自立形状に形成されてもよい。上記触媒は、例えばペレットやモノリスなどいずれの適切な構造でもよい。
【0062】
1例として、カイ、エータ及びロー相で優位を占め、1グラムあたり約300平方メートルの表面積及び約1重量パーセントのソーダ(Na2O)を有する粒状アルミナ触媒を、3.6 ppmvの硫化水素、0.82 ppmvの硫化カルボニル、3.7 ppmvの硫化ジメチル、4.3 ppmvの t-ブチル・メルカプタン、50 ppmvの水、及び1モル・パーセントの二酸化炭素を含んでいるメタン・ストリームに絶対圧力170 kPaで接触させる。硫化カルボニルの転換を下表に示す:
【0063】
【表1】

【0064】
図1に戻ると、オプションとしての熱交換システムが示されている。有利な点として、加水分解は周囲温度に近い温度で実施され、熱交換機器を必要としない。さらに、脱硫装置が水素生成装置に近接して設置される場合、例えば、改質及び水性ガス転化反応を行うためのより高い温度が存在するので、周囲環境の熱はそれ自体で加水分解触媒の適切な活性を維持するのに十分である。しかし、活性がより低い触媒の場合、または周囲条件がより冷涼である場合は、炭化水素含有供給原料の温度を上げることが望ましい。示されるように、ライン106からの供給原料は熱交換器114へ送られる。供給原料の温度は、別の流体、例えば、水素生成装置の加温プロセスまたは排ガス・ストリームあるいは燃料電池からの排ガス・ストリームとの間接的な熱交換によって、熱交換器114内で上昇する。上記熱交換流体はライン116を介して供給される。加熱された供給原料はライン118を介して反応器102へ送られる。水を供給原料へ添加して、加水分解のために望ましい水含有量を提供する必要がある場合、オプションとしての水供給源は、ライン110によって提供される。この水供給源は、純水ストリームまたは空気ストリームでもよく、それによって大気中の湿気から水分を供給する。水を添加する位置は決定的なものではなく、熱交換器114の前でも後でもよい。
【0065】
反応器102からの流出物は、ライン120を介して熱交換器108へ送られ、そこでプロセス・ストリームを冷却し、その後上記熱交換器から吸着器124へ送られる。あるいは、熱交換器108は単に配管の全長だけでもよく、そこで自然放熱による熱損失によって、適度な冷却が行われる。吸着器124は固体吸着剤126を含んで成る。吸着器124からの流出物は、ライン128を介して水素生成装置へ送られる。
【0066】
本発明による好ましい態様で、上記吸着は、低温、例えば約0℃から50℃、最も好ましくは約10℃から35℃で行われる。圧力は、通常反応器102からの供給原料の圧力に基づく。吸着床126の量は、その床が供給原料中の所定の硫黄化合物濃度で交換または再生されるまでの、その床を用いるべき持続時間に基づいて設計が選択される。通常、1時間当たりガス空間速度は約10から1,000または2,000時間-1の間である。上記吸着剤は、ペレットやモノリスなどいずれの好都合な形状でもよい。
【0067】
劣化した場合、吸着剤は、圧力及び/または温度スイング方式を用いて交換または再生することが可能である。上記スイープ・ガスは、水素生成装置用に流入する空気あるいは水素生成装置または燃料電池からの排ガス・ストリームのようないずれの適切なストリームでもよい。
【0068】
1例として、170 kPaの圧力で20℃の温度で、3.1 ppmvの硫化水素、0.76 ppmvの硫化カルボニル、3.2 ppmvの硫化ジメチル、3.6 ppmvの t-ブチル・メルカプタン、50 ppmvの水、及び1モル・パーセントの二酸化炭素を含んでいるメタン・ストリームを、亜鉛とイオン交換された13X分子篩と接触させる。ストリーム1立方センチメーター当たり約1.0標準立方メートルの分子篩を上記床へ通過させ、流出物ガスを分析して硫黄含有量を決定する。事実上すべての有機硫黄化合物と硫化水素が分子篩上に吸着される。硫化カルボニルは、実質的に全く吸着されない。
【0069】
図2は、本発明による態様に関するものであり、有機硫黄化合物が加水分解の前に吸着されることを示す。本発明によるこの態様は、供給原料が、例えば、車両用燃料または燃料電池など商業目的のために十分な水素を生成して、業務用に発電することが必要な水素生成装置用、または化学プラント用である場合に、特に関心を引くものである。
【0070】
供給原料はライン204によって吸着剤床206を含んで成る吸着器202へ供給される。吸着器202からライン208を介して流出する流出物は、従って、水の中で消耗されるが、実質的に吸着されない硫化カルボニルを含むことになる。示されるように、吸着器202からの流出物はライン208によって熱交換器210へ導かれ、加水分解反応のための温度を上昇させる。熱交換器210は、ライン212によって供給される、より暖かい流体を用いることができる。その熱交換流体は、上に熱交換器114に関して述べられたタイプの流体であってもよい。供給原料の温度は、熱交換器114について述べられた温度まで上昇させられる。熱交換器210はオプションであり、加水分解反応のための望まれる温度が、吸着器202からの流出物の温度より高い場合にのみ用いる必要がある。加熱された供給原料は、ライン216を介して、触媒床220を含んで成る反応器218へ移動する。
【0071】
上記反応器は、供給原料から水を除去するので、反応器218へ移動する供給原料に水を添加しなければならない。この水はライン222によって供給される。有利な点として、水の量を制御して加水分解反応のために望まれる量を提供することができる。反応器に送られる供給原料中の水の濃度など触媒の作用条件は、供給原料に実質的に有機硫黄化合物及び硫化水素が全くないことを除いて、図1と関連して反応器102について述べたものと同じである。
【0072】
加水分解反応は、結果として硫化カルボニルの硫化水素への転換になるので、追加的な硫黄除去ステップを用いることが必要である。従って、反応器218からの流出物はライン224を介して吸着器226へ送られる。吸着器226へ送られる供給原料の熱交換は、実施される吸着のタイプ及びライン224での供給原料の温度によって、必要な場合とそうでない場合がある。
【0073】
除去されるべき残留硫黄化合物は硫化水素であり、そして、硫化水素は、基本的に反応器内で転換される硫化カルボニルに応じた量のみであるので、吸着剤の選択の幅は、脱硫装置の経済性に悪影響を及ぼすことなく広いものである。従って、吸着剤は、分子篩のような物理的吸着剤から酸化亜鉛及び酸化鉄のような反応性吸着剤まで多岐にわたる。
【0074】
反応性吸着剤は、効率的な運転のために、一般により高い温度、例えば少なくとも約100℃、多くの場合約125℃から350℃の間を必要とする。これら吸着剤には、Synetix Puraspec 2030のような1つ以上の酸化亜鉛、酸化鉄及び酸化銅またはアルミナ上のニッケルなどがあり、これらすべては、硫化水素に対する高い吸着力を有する。このような高温に達するためには、水素生成装置または燃料電池からの流体との熱交換が好都合である。これは脱硫プロセスの最終段階であり、そして、吸着剤は改質温度まで加熱される必要があるので、水素生成装置への組み込みによって、効率的なエネルギー利用が確保される。亜鉛または鉄ヒドロキシカーボネートも有用であり、供給原料ストリームをさらに加熱することなく運転を可能にすることができる。
【0075】
上記脱硫された供給原料は、ライン230を通って水素生成装置で用いられるために排出される。
【0076】
本発明に従って、上記加水分解及び硫化水素の除去は、同じ容器内に配置される。
【0077】
有利な点として、上記脱硫供給原料は、硫黄化合物を約100 ppbv(100万分の1体積分率)未満、多くの場合約50 ppbv未満、好ましくは約10 ppbv未満含んでいる。
【0078】
図3を参照すると、有機硫黄化合物を炭化水素供給原料から除去して水素生成装置へ導入するための装置が示されている。炭化水素供給原料は、ライン302を介して分配器304へ送られ、そこで炭化水素供給原料は2つのストリームに分割され、計量しながら供給される。1つのストリームは、燃料用に用いられて改質供給原料を加熱し、もう1つのストリームは、改質用供給原料である。この後者のストリームは、ライン306を介してバルブ機構308へ送られる。
【0079】
バルブ機構308は、例えば空気などの酸素含有ガスもライン310から受け取る。バルブ機構308は、それぞれがペレット化された固体吸着剤の床を含んで成る2つの容器312及び314と流体連通している。
【0080】
運転中、ライン306からの供給原料は、上記バルブ機構によって上記2つの容器のそれぞれへ交互に導かれ、一方ライン310からの空気は上記容器の他方へ導かれる。より詳細に述べると、供給原料は、ライン316を介して容器312へ導かれ、そこで供給原料は、固体吸着剤床を通り抜けて有機硫黄化合物が除去される。容器312からの流出物は、ライン318を介してバルブ機構308へ送られ、その後バルブ機構308は、流出物を改質器の熱交換部へ導く。同時に、バルブ機構は、有機硫黄化合物の脱着のために、ライン310からの空気をライン322を介して容器314へ導く。示されるように、上記空気は、炭化水素供給原料が容器を通って送られる方向に対向して送られる。脱着された有機硫黄化合物を含んでいる空気は、ライン320を介してバルブ機構308へ送られ、その後改質器に付属する燃焼器へ導かれる。
【0081】
一定時間の後、上記バルブ機構は、上記容器の運転を切り替える。容器312は、容器への供給原料の流動を停止させ、一方でライン310からの空気をライン318を介して容器312へ導くバルブ機構308によって吸着モードから脱着モードへ移る。容器312からの脱着ストリームはバルブ機構へ進み、燃焼での利用に向けられる。同時に、容器314は、バルブ機構によって脱着モードから吸着モードへ切り替えられる。炭化水素供給原料は、ライン320を介して容器314へ送られ、容器314からの流出物は、改質器へ向かうようにライン322を介してバルブ機構308へ戻される。
【0082】
次に上記バルブ機構は、脱着された有機硫黄化合物を含んでいる空気を、ライン324を介して燃焼器326へ導く。炭化水素供給原料の一部は、分配器304によってライン328を介して燃焼用燃料として送られる。燃焼器326からの排ガスはライン330を介して流出する。この排ガスは、さらに熱回収にかけられることが可能である。尚、上記燃焼器は多機能でもよく、複数のバーナーを有してもよい。例えば、燃焼によって生成される熱の一部を用いて、改質器へ流れる上記ガスを予熱することができ、その熱の一部を用いて、吸熱改質プロセスの間に改質器へ熱が供給される。尚、燃焼からの熱は種々の方法で改質のために提供されることが可能である。例えば、燃焼からの熱は、間接熱交換を通じて改質ゾーンへ提供することができる。部分酸化が用いられる場合、例えば、改質ゾーンへ送られる供給原料、水、及び酸素含有ガスのうち1つ以上を予熱することによって、代替的あるいは付加的に、熱を改質ゾーンへ流れるストリームと熱交換することができる。
【0083】
本発明によるこの態様の特定の利点は、燃焼器で二酸化硫黄に酸化される有機硫黄化合物だけでなく、吸着剤上に吸着されるか、または隙間に存在する炭化水素も脱着モードの間にパージされ、燃焼して二酸化炭素と水になることである。
【0084】
バルブ機構308は、吸着剤から除去された硫黄化合物を有する炭化水素供給原料を改質器へ導く。示されるように、上記ガスは、ライン332を介して送られ、そこで、ライン334によって予熱器336へ供給される改質のための水と混合される。予熱器336では、炭化水素供給原料との間接熱交換のために、改質器338からの改質物が用いられる。予熱された供給原料は、予熱器336によって改質器へ導かれ、水素含有改質物は、予熱器336を通り抜けてライン340を介して流出し、そこで、一酸化炭素含有量を減少させるために、水性ガス転化及び選択酸化のような操作にさらにかけることができる。
【0085】
図4は、本発明による態様に関するものであり、再生可能な吸着剤を硫化カルボニル加水分解の段階と組み合わせて用いて、供給原料ガスから硫黄を除去することを示す。
【0086】
反応器402は加水分解触媒404の床を含んで成る。好適な加水分解触媒は、100℃未満の温度で加水分解反応を促進することが可能な加水分解触媒である。好ましい触媒は、70℃未満、概ね約50℃未満、例えば25℃または35℃から50℃の温度で上記反応を促進する。原則として、温度が低いほど反応速度は遅い。従って、ガス空間速度と温度の間にはトレードオフが存在する。温度が低過ぎると、上記床は非実用的なサイズになる必要があるであろう。本発明による好ましい態様で、硫化カルボニルの実質的に完全な転換のために、1時間当たりガス空間速度は少なくとも約500時間-1、好ましくは1,000時間-1より大きい。
【0087】
容易に理解できるように、温度と空間速度を調節して、望ましい硫化カルボニルの転換を行うことができる。処理される供給原料が、100万分の1体積分率(ppbv)で約50未満、より好ましくは約10未満で硫化カルボニルを含むように、少なくとも約70パーセント、好ましくは少なくとも約95パーセントの硫化カルボニルが硫化水素に転換され、時にその転換は100パーセント近い。加水分解の圧力は広範囲にわたる。しかし、安全上の懸念によって、特に住居用では水素生成装置は低圧で運転されるので、その圧力は、多くの場合脱硫された供給原料を水素生成装置へ供給するのに十分な程度であって、付加的な圧力調節は必要ない。従って、絶対圧力は、多くの場合約110から1000 kPaの間、例えば110から300 kPaである。
【0088】
上記触媒は、約100℃未満、好ましくは約50℃未満の温度で硫化カルボニルの硫化水素への反応を促進するいずれの適切な加水分解触媒でもよい。上記反応を促進することによって、上記触媒は、認識可能な転換がそのような温度で起きる程度に活性であることが意図される。最も有利な加水分解触媒は、少なくとも70パーセントの硫化カルボニルの転換を、供給原料ストリーム中(メタン中に1ppmv)で35℃の温度で2,000時間-1の空間速度で行うことが可能な加水分解触媒である。
【0089】
図4に戻ると、オプションとしての熱交換システムが示されている。有利な点として、加水分解は周囲温度に近い温度で実施され、熱交換機器は必要でない。さらに、水素化脱硫装置が水素生成装置に近接して設置される場合、例えば、改質及び水性ガス転化反応を行うためのより高い温度が存在するので、周囲環境の熱はそれ自体で加水分解触媒の適切な活性を維持するのに十分である。しかし、活性がより低い触媒の場合、または周囲状況がより冷涼である場合は、炭化水素含有供給原料の温度を上げることが望ましい。
【0090】
示されるように、ライン406からの供給原料は熱交換器414へ送られる。供給原料の温度は、別の流体、例えば、水素生成装置の加温プロセスまたは排ガス・ストリーム、あるいは燃料電池からの排ガス・ストリームなどとの間接的な熱交換によって、熱交換器414内で上昇する。上記熱交換流体はライン416を介して供給される。加熱された供給原料はライン418を介して反応器402へ送られる。水を供給原料へ添加して、加水分解のために望ましい水含有量を提供する必要がある場合、オプションとしての水供給源は、ライン410によって提供される。この水供給源は、純水ストリームまたは空気ストリームでもよく、それによって大気中の湿気から水分を供給する。水を添加する位置は決定的なものではなく、熱交換器414の前でも後でもよい。
【0091】
反応器402からの流出物は、ライン420を介して熱交換器408へ送られ、そこでプロセス・ストリームを冷却し、その後上記熱交換器から、固体吸着剤を含んで成る容器424及び426と流体連通しているバルブ機構422へ送られる。あるいは、熱交換器408は単に配管の全長だけでもよく、そこで自然放熱による熱損失によって、適度な冷却が行われる。
【0092】
ライン428の酸素含有ガス、例えば空気は、ライン432を介した上記ストリームの一部を脱着ガスとして用いるためにバルブ機構422へ導く分配器へ送られる。バルブ機構の働き、及び容器424と426を往復する流れは、図3に関連して述べられたものと同様であり、ここでは繰り返さない。2つの流出物ストリーム、すなわち、ライン434を介して硫黄が減少した炭化水素供給原料ストリーム及びライン435を介して脱着された硫黄を含んでいる酸素含有ガス・ストリームはバルブ機構422から流出する。
【0093】
ライン434の脱硫された炭化水素供給原料は、ライン447からの水と混合され、熱い改質物と熱交換するために熱交換器436へ送られる。その後、加熱された供給原料は、ライン438を介して混合器440へ送られる。混合器440は、改質に用いるためのライン442を介して分配器444を通った水、及びライン428から分配器430を通った空気を受け取る。分配器444は、加水分解に用いるための水もライン410へ導く。
【0094】
混合器440からの流出物はライン446を介して予熱器448へ送られる。予熱器448は、燃焼器、及び改質される供給原料、空気及び水(蒸気)の混合物へ燃焼熱を運ぶための間接熱交換器で構成される。上記燃焼器部には、ライン435を介した吸着剤及びライン450を介した燃料を脱着するために用いられる酸素含有ガスが提供される。上記燃料は、ライン406からの炭化水素供給原料の一部であってもよい。燃焼排ガスはライン452を介して排出される。
【0095】
上記加熱された混合物は、ライン454を介して予熱器448から出て、自熱改質器456へ入り、水素含有ガスを生成する。改質物はライン458を介して改質器456を出て、熱交換器436へ入るとすぐにライン460を介して流出する。ライン460の改質物はさらに、一酸化炭素含有量を減少させるために水性ガス転化及び選択酸化のような装置操作にかけられ、そして、膜、圧力スイング吸着、などによって精製にかけられ、あるいは二酸化炭素を除去するためにBenfieldプロセスのような化学的プロセスにかけられる。
【0096】
図4は、加水分解後の吸着を示すが、加水分解、及び硫化水素を除去するための吸着ステップは、有機硫黄化合物の吸着の後に行われてもよいことに注目すべきである。除去されるべき残留硫黄化合物は硫化水素であり、硫化水素は、基本的に反応器内で転換される硫化カルボニルに応じた量のみであるので、吸着剤の選択の幅は、脱硫装置の経済性に悪影響を及ぼすことなく広いものである。従って、吸着剤は、分子篩のような物理的吸着剤から酸化亜鉛及び酸化鉄のような反応性吸着剤まで多岐にわたる。
【0097】
反応性吸着剤は、作用するために、一般により高い温度、例えば少なくとも約100℃、多くの場合約125℃から350℃の間を必要とする。これら吸着剤には、Synetix Puraspec 2030のような1つ以上の酸化亜鉛、酸化鉄及び酸化銅またはアルミナ上のニッケルなどがあり、これらすべては、硫化水素に対する高い吸着力を有する。このような高温に達するためには、水素生成装置または燃料電池からの流体との熱交換が好都合である。
【0098】
図5を参照すると、吸着剤の移動床を用いて有機硫黄化合物を除去するための一体化された水素生成装置及び燃料電池が示されている。ライン502からの炭化水素供給原料は、モノリス固体吸着剤を含んで成る回転ホイール吸着器510へ送られる。ライン512を介したアノード排ガスは、脱着を行うためのホイールの再生部を通って対向する方向へ送られる。脱着ガスは、ライン514を通って燃焼器/熱交換器518へ送られ、そこで、ライン520からのカソード排ガスと共に燃焼させられる。その燃焼流出物は、ライン508を介して排出される。
【0099】
上記燃焼器/熱交換器は、ライン516を介して吸着器510から除去された有機硫黄化合物、及びライン526からの水を有する炭化水素供給原料の混合物を受け取る。上記燃焼ガスとの間接熱交換を通じて、この混合物は加熱され、ライン524を介して改質器528へ送られる。改質器へ入る前に、この加熱された混合物にはライン506を介して空気が添加される。
【0100】
改質器528では、供給原料から水素が生成され、水素含有改質流出物がライン530を介して水性ガス転化反応器532へ送られ、そこからライン534を介して選択酸化装置536へ送られる。上記改質流出物の冷却及び水性ガス転化反応のための水は、ライン531を介して供給され、選択酸化のための空気はライン538を介して供給される。水性ガス転化反応器において、水及び一酸化炭素は、水性ガス転化条件下で触媒と反応し、二酸化炭素と水素を生じさせる。選択酸化装置において、一酸化炭素は選択酸化条件下で二酸化炭素へ酸化される。
【0101】
選択酸化装置からの流出物は、ライン540を介して燃料電池542へ水素供給原料として送られる。ライン522からの空気は、燃料電池へのカソード極供給原料として用いられる。電気が産生され、ライン544を介して分配される。カソード排ガスはライン520を介して排出され、アノード排ガスはライン512を介して排出される。
【0102】
有利な点として、上記脱硫された供給原料は、硫黄化合物を約100 ppbv(100万分の1体積分率)未満、多くの場合約50 ppbv未満、好ましくは約10 ppbv未満含んでいる。
【0103】
図6で、吸着剤床の再生からの脱着ガスは、ライン602を介して熱交換器604へ送られ、アノード排ガス及び脱着された一酸化炭素を含んでいるストリームを、水素化脱硫に適した温度で提供する。上記加熱されたガスは、ライン606を介して、硫化されたモリブデン酸ニッケルのような水素化脱硫触媒を含んで成る水素化脱硫容器608へ送られ、そこで、硫黄化合物が、アノード排ガスに含まれた水素と反応し、硫化水素を産生する。水素化脱硫からの流出物は、ライン610によって、酸化亜鉛のような硫化水素に対する吸着剤を含んで成る吸着容器612へ送られる。硫化水素が除去されたガスは、触媒燃焼器618へライン614を介して送られる。示されるように、触媒燃焼のための空気は、ライン614へライン616を介して提供される。触媒燃焼によって、燃焼流出物と熱が産生される。上に検討したように、燃焼からの熱は、改質反応のための熱を供給するために用いることができる。とは言え、その燃焼流出物はまだ高温であり、従って、燃焼器618からの流出物は、ライン620を介して熱交換器604へ送られ、そこで脱着ガスを加熱するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】炭化水素含有供給原料が、初めに加水分解にかけられて、例えば、硫化カルボニルなどのCXSを硫化水素に転換し、その後有機硫黄化合物及び硫化水素のための吸着剤と接触させられる、本発明による装置の概略図である。
【図2】炭化水素含有供給原料が、初めに吸着にかけられて、有機硫黄化合物が除去され、その後供給原料が、水蒸気の存在下で加水分解触媒と接触させられる、本発明による装置の概略図である。上記供給原料は、その後硫化水素のための吸着剤と接触させられる。
【図3】炭化水素供給原料が水蒸気改質のために用いられ、有機硫黄化合物が、固体吸着剤を用いて除去され、空気が用いられて上記吸着剤を再生し、上記脱着ストリームが燃焼に用いられて水蒸気改質器に熱を提供する、本発明による装置の概略図である。
【図4】炭化水素含有供給原料が、初めに加水分解にかけられて、例えば、硫化カルボニルなどのCXSを硫化水素に転換し、その後有機硫黄化合物及び硫化水素のための吸着剤と接触させられる、本発明による装置の概略図である。
【図5】水素が燃料電池での利用のために生成される、本発明による装置の概略図であり、燃料電池からのアノード排ガスが用いられて、移動床にある吸着剤を再生し、そして、脱着ストリームは予熱器内で燃焼させられる。
【図6】吸着剤再生からのパージがさらに硫黄除去にかけられる、本発明による装置の概略図である。
【符号の説明】
【0105】
102 反応器
104 加水分解触媒
108、114 熱交換器
124 吸着器
126 固体吸着剤(吸着床)
202 吸着器
206 吸着剤床
210 熱交換器
218 反応器
220 触媒床
226 吸着器
304 分配器
312、314 容器
308 バルブ機構
326 燃焼器
336 予熱器
338 改質器
402 反応器
404 加水分解触媒
414、408、436 熱交換器
424、426 容器
422 バルブ機構
440 混合器
430、444 分配器
448 予熱器
456 自熱改質器(改質器)
510 回転ホイール吸着器(吸着器)
518 燃焼器/熱交換器
528 改質器
532 水性ガス転化反応器
536 選択酸化装置
542 燃料電池
604 熱交換器
608 水素化脱硫容器
612 吸着容器
618 触媒燃焼器(燃焼器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素、二酸化炭素及び一酸化炭素を含んでいる改質物(reformate)を提供するために炭化水素供給原料を改質することによって、そして、前記改質物中の一酸化炭素濃度を低下させることによって、1つ以上の有機硫黄化合物を含んでいる炭化水素供給原料から水素を生成するための連続プロセスにおいて、前記改良が:
a)少なくとも一部の供給原料を、吸着条件下で少なくとも1つの前記有機硫黄化合物の少なくとも一部を吸着するのに十分な時間、少なくとも1つの前記有機硫黄化合物を可逆的に吸着することが可能な固体吸着剤の床に接触させて、吸着流出物(sorption effuent)を提供するステップにおいて、前記床が、吸着モード及び脱着モードの間で循環するのに適した2つ以上の床のうちの1つであるステップと、
b)前記吸着流出物を蒸気の存在下で改質条件下で改質し、水素含有ストリームを提供するステップと、
c)燃料に硫黄化合物が本質的に存在しないという条件での燃焼燃料、及び酸素含有ガスのうち少なくとも1つで構成される再生ガスが、前記固体吸着剤を含んでいる少なくとも1つの別の床へ脱着条件下で送られて、有機硫黄化合物が前記再生ガス中に含まれる、吸着された有機硫黄化合物を除去することによって上記床を再生して有機硫黄含有パージを提供し;そして、燃焼中の有機硫黄含有パージを用いて、前記プロセス内で用いるための熱を提供して有機硫黄化合物を二酸化硫黄へ転換するステップと、そして
d)ステップ(a)の床をステップ(c)へ、そして、ステップ(c)の床をステップ(a)へ循環するステップと
で構成されることを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記再生ガスが、酸素含有ガスで構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
前記ステップ(b)の水素含有ストリームが燃料電池へ供給され、アノード排ガスが燃料電池から回収され、そして、再生ガスがアノード排ガスの少なくとも一部で構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項4】
前記再生ガスが、さらに水蒸気で構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項5】
前記吸着及び脱着が、水置換によるものであることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
前記吸着剤が、疎水性分子篩で構成されることを特徴とする請求項4記載のプロセス。
【請求項7】
前記吸着剤が、1つ以上の遷移金属とイオン交換された分子篩で構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項8】
前記有機硫黄含有パージが、燃焼の前に再度硫黄除去にかけられることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項9】
前記再度の硫黄除去が、有機硫黄化合物を硫化水素に転換するための水素化脱硫、及び硫化水素を吸着するための反応性吸着で構成されることを特徴とする請求項1記載のプロセス。
【請求項10】
少なくとも1つの有機硫黄化合物も含んでいる炭化水素供給原料から水素を生成するための水素生成装置において、前記水素生成装置が:
a)蒸気用の水の供給と流体連通する改質器;
b)酸素含有ガスの供給及び燃焼燃料の供給と流体連通する燃焼器において、前記燃焼器が燃焼燃料を酸素含有ガスで燃焼するのに適しており、流出物を提供して、水素生成装置内に熱を提供する燃焼器;そして
c)固体吸着剤を含んで成る少なくとも2つのゾーンにおいて、1つのゾーンが、炭化水素供給原料の供給と流体連通する取入口と、改質器と流体連通する排出口とを有し、炭化水素供給原料が前記1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤に接触するような改質のために炭化水素を提供し;もう1つのゾーンは、酸素含有ガスと燃焼燃料のうち少なくとも1つで構成される再生ガスの供給と流体連通する取入口と、再生ガスの供給が前記もう1つのゾーンを通り抜けて固体吸着剤と接触するように燃焼器と流体連通する排出口とを有し;前記2つのゾーンは、固体吸着剤が、炭化水素供給原料との接触及びパージ・ガスとの接触の間で循環することを可能にする関係にあるゾーン
で構成されることを特徴とする水素生成装置。
【請求項11】
請求項10記載の水素生成装置で構成される水素生成装置及び燃料電池システムにおいて、前記水素生成装置及び燃料電池システムがさらに:
a)水素及び一酸化炭素流出物を受け取り、水素生成物ガスを生成するために改質器と流体連通する一酸化炭素除去ゾーン:そして
b)アノード極側で水素生成物ガスを受け取るために前記一酸化炭素除去ゾーンと流体連通し、カソード極側で酸素含有ガスの供給と連通する燃料電池において、前記燃料電池がアノード排ガス口及びカソード排ガス口を有する燃料電池で構成され、
c)前記アノード排ガス口及びカソード排ガス口のうち少なくとも1つが、再生ガスの供給である
ことを特徴とする水素生成装置及び燃料電池システム。
【請求項12】
前記アノード排ガス口が再生ガスの供給であることを特徴とする請求項11記載の水素生成装置及び燃料電池システム。
【請求項13】
Xを酸素または硫黄とすると、CXSを含む硫黄化合物を炭化水素含有ガス・ストリームから除去するための装置において、前記装置が:
a)ガス・ストリーム取入口及び間隔を置いたガス・ストリーム排出口を有する第1の反応器において、前記第1の反応器が、前記取入口から前記排出口へ通過するガス・ストリームが触媒床を通り抜けるように配置された前記触媒床を含んで成り、前記触媒が、約100℃未満の温度の水蒸気でCXSの反応を促進することが可能な加水分解触媒で構成される第1の反応器、そして
b)前記第1の反応器のガス・ストリーム排出口と流体連通しているガス・ストリーム取入口、及びガス・ストリーム排出口を有する第2の容器において、前記第2の容器が、前記取入口から前記排出口へ通過するガス・ストリームが固体吸着剤床を通り抜けるように配置された前記固体吸着剤床を含んで成り、前記固体吸着剤が、50℃の温度で、50 ppmvの水を含んでいるメタン・ストリームから硫化ジメチルを吸着することが可能である第2の容器
で構成されることを特徴とする装置。
【請求項14】
Xを酸素または硫黄とすると、CXSを含む硫黄化合物を炭化水素含有ガス・ストリームから除去するための装置において、前記装置が:
a)ガス・ストリーム取入口及び間隔を置いたガス・ストリーム排出口を有する第1の容器において、前記第1の容器が、前記取入口から前記排出口へ通過するガス・ストリームが固体吸着剤床を通り抜けるように配置された前記固体吸着剤床を含んで成り、前記固体吸着剤が、約50℃未満の温度で、50 ppmvの水を含んでいるメタン・ストリームから硫化ジメチルを吸着することが可能である第1の容器、
b)水蒸気をガス・ストリームへ導入するための手段において、前記手段が、前記第1の容器のガス・ストリーム排出口と流体連通している手段、
c)水蒸気をガス・ストリームへ導入するための前記手段と流体連通しているガス・ストリーム取入口、及び間隔を置いたガス・ストリーム排出口を有する第2の容器において、前記第2の容器が、前記取入口から前記排出口へ通過するガス・ストリームが触媒床を通り抜けるように配置された前記触媒床を含んで成り、前記触媒が、約100℃未満の温度で、水蒸気とのCXSの反応を促進することが可能である加水分解触媒で構成される第2の容器、そして
d)前記第2の容器の排出口と流体連通しているガス・ストリーム取入口、及び間隔を置いたガス・ストリーム排出口を有する第3の容器において、前記第3の容器が、前記取入口から前記排出口へ通過するガス・ストリームが固体吸着剤床を通り抜けるように配置された、硫化水素に対する前記固体吸着剤床を含んで成る第3の容器
で構成されることを特徴とする装置。
【請求項15】
Xを酸素または硫黄とすると、有機硫黄化合物及びCXSを含む硫黄化合物を、前記硫黄化合物を含んでいる炭化水素含有ガス・ストリームから除去するためのプロセスにおいて、前記プロセスが:
a)CXS1モル当たり約5から100モルの水を含んでいる炭化水素含有ガスを供給するステップと、
b)前記ストリームを、約25℃から100℃の温度などの加水分解条件下で加水分解触媒と、少なくとも約70パーセントのCXSを硫化水素及び二酸化炭素に加水分解するのに十分な時間接触させ、CXS含有量が減少した炭化水素含有ストリームを生成するステップと、そして
c)前記CXS含有量が減少した炭化水素含有ストリームを、耐水性であって、有機硫黄化合物及び硫化水素を吸着することが可能である固体吸着剤と接触させるステップにおいて、前記接触が、約50℃未満の温度などの吸着条件下で、CXS含有量が減少したストリームに含まれる硫黄化合物の総量の少なくとも約70モル・パーセントを吸着するのに十分な時間接触させるステップと
で構成されることを特徴とするプロセス。
【請求項16】
前記加水分解触媒が、1グラム当たり少なくとも約100平方メートル(B.E.T)の表面積を有するアルミナ、チタニア及びジルコニアのうち少なくとも1つで構成されることを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
前記吸着剤が、1つ以上の遷移金属とイオン交換された分子篩で構成されることを特徴とする請求項15記載のプロセス。
【請求項18】
有機硫黄化合物を含む硫黄化合物、及びCXSを、前記硫黄化合物及びCXSを含んでいる炭化水素ストリームから除去するためのプロセスにおいて、前記プロセスが:
a)前記ストリームを、約50℃未満の温度などの吸着条件下で、耐水性であって有機硫黄化合物を吸着することが可能な固体吸着剤と、少なくとも約70モル・パーセントの有機硫黄化合物を除去するが、但し約50パーセント未満のCXSを除去するのに十分な時間接触させ、CXS含有流出物を提供するステップと、
b)前記CXS含有ストリームに水を添加して、CXS1モル当たり約5から100モルの水を提供するステップと、
c)前記水含有ストリームを、約25℃から100℃の温度などの加水分解条件下で加水分解触媒と、少なくとも約70パーセントのCXSを硫化水素及び二酸化炭素に加水分解するのに十分な時間接触させ、CXS含有量が減少した硫化水素含有ストリームを生成するステップと、そして
d)前記CXS含有量が減少したストリームを、硫化水素を吸着することが可能な固体吸着剤と接触させるステップにおいて、前記接触が、吸着条件下で、硫化水素の少なくとも約70パーセントを吸着するのに十分な時間接触させるステップと
で構成されることを特徴とするプロセス。
【請求項19】
有機硫黄化合物を除去するための前記吸着剤が、1つ以上の遷移金属とイオン交換された分子篩で構成されることを特徴とする請求項18記載のプロセス。
【請求項20】
硫化水素吸着剤が、亜鉛ヒドロキシカーボネート、酸化亜鉛、酸化鉄、鉄ヒドロキシカーボネート及び酸化銅またはアルミナ上のニッケルのうちの少なくとも1つで構成されることを特徴とする請求項18記載のプロセス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−502959(P2006−502959A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501122(P2005−501122)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2003/031858
【国際公開番号】WO2004/033367
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505133733)ハイラディックス,インク. (3)
【Fターム(参考)】