説明

硬化性樹脂組成物および該硬化性樹脂組成物を塗布してなる塗装物

【課題】 水酸基含有塗料用樹脂の一般的な架橋剤であるポリイソシアナート化合物の反応性を向上させるために、有機金属化合物を配合し1パックとした硬化剤を安定に提供することである。
【解決手段】 主鎖末端および/または側鎖に水酸基を含有する樹脂(A)、オルガノシリケート化合物(B)からなる組成物に対して、イソシアナート基を2個以上含有する化合物(C)、有機金属化合物(D)およびメルカプト基含有化合物(E)成分を配合した硬化剤を添加することで、硬化性を向上させるとともに、耐汚染性が発現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料用硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物を保護したり、意匠性を付与する目的で塗料は使用され、中でもアクリルウレタン樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料は耐候性に優れる塗料として定着している。また一方で、排気ガス等の都市型汚染から外観を保護する為に、低汚染型塗料が開発・上市されている。外装用の低汚染型塗料としては、特定のシリコン化合物を用いて塗膜表面を親水性にする手法が一般的であり、その性能を充分に発揮する為に、有機金属化合物をはじめとする触媒が添加される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
水酸基含有樹脂を使用した塗料では、ポリイソシアナート化合物を架橋剤に用いることが一般的であるが、低温時の反応速度が問題となる場合があった。そのために、触媒である有機金属化合物が使用されることがあるが、有機金属化合物とポリイソシアナート化合物を1パックとすると、ポリイソシアナート化合物の高分子量化が起こり、充分な性能が得られなくなったり、ゲル化するなどの問題があった。
【0004】
また、付着性を向上させることを目的にウレタン架橋を併用したアクリルシリコン樹脂塗料が開発されているが、有機金属化合物とポリイソシアナートを共存させるために単官能イソシアナートを用いる技術が使われている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、単官能イソシアナートは特に湿分との反応性が高く、危険を伴うことから、その使用には注意が必要であり、また雨など天候の悪い日には、使用を制限しなければならない場合があった。
【特許文献1】特開平6−145453号公報
【特許文献2】特開平12−119590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記のごとき実情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、架橋剤であるポリイソシアナートと、その触媒である有機金属化合物が安定な1パックの状態となった硬化剤を提供するとともに、該硬化剤を使用した低汚染性に優れた塗料組成物および塗装物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
水酸基含有塗料用樹脂の架橋剤であるポリイソシアナートと、その触媒である有機金属化合物に対して、メルカプト基含有化合物を配合することで、1パックとして安定な状態の硬化剤が得られることを見出した。さらには、水酸基含有樹脂と該硬化剤を使用した塗料において、特定のシリコン化合物を用いることにより、充分な低汚染性を有した低汚染型塗料を提供することが可能となる。
【0008】
すなわち本願は、
主鎖末端および/または側鎖に水酸基を含有する樹脂(A)成分100重量部に対して、一般式(I):
(RO)4−a−Si−R(I)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基および炭素数が7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表されるシリコン化合物及び/またはその部分加水分解縮合物(B)成分0〜200重量部と、イソシアナート基を2個以上含有する化合物(C)成分0.1〜50重量部、有機金属化合物(D)成分0.01〜30重量部およびメルカプト基含有化合物(E)成分0.01〜100重量部を含有してなる硬化性樹脂組成物(請求項1)。
【0009】
前記(A)成分と(B)成分が1パック、(C)成分と(D)成分、(E)成分が1パックにされてなる2液型であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物(請求項2)。
【0010】
前記(A)成分が1パック、(B)成分と(C)成分、(D)成分、(E)成分が1パックにされてなる2液型であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物(請求項3)。
【0011】
前記(A)成分が分子内に一般式(II)で表される加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂であり、該シリル基を含有する単量体単位を1〜80重量%含有する共重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項4)。
【0012】


−Si−(OR3−b (II)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、bは0〜2の整数を示す。)
前記(A)成分が、水酸基含有フッ素樹脂および/またはアクリルポリオールである請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項5)。
【0013】
前記(A)成分が前記一般式(II)で表される加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂、水酸基含有フッ素樹脂、アクリルポリオールからなる群より選ばれる2種以上の樹脂を組み合わせるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項6)。
【0014】
前記(C)成分中のイソシアナート基が前記(A)成分中の水酸基に対して0.3〜2等量である請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項7)。
【0015】
前記(D)成分が有機錫化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項8)。
【0016】
前記(D)成分が分子内にS原子を含有する有機錫化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物(請求項9)。
【0017】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を塗布してなる塗装物(請求項10)。
以上の構成によるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の硬化性樹脂組成物は、低コスト・簡易な操作で製造できる。特には、水酸基含有塗料用樹脂の一般的な架橋剤であるポリイソシアナート化合物の反応性を向上させる硬化剤を提供することが可能となる。また、特定のシリコン化合物を使用した低汚染型塗料の性能を充分に発揮する硬化剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
【0020】
(塗料用樹脂成分)
本発明で使用可能な樹脂(A)成分は、イソシアナート基と反応する官能基である水酸基を含有していればよく、水酸基は主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。このような樹脂(A)成分は公知の方法で製造でき、市販品を使用することもできる。また、耐候性、耐薬品性に優れるという観点からアクリル系樹脂を樹脂成分として含有するものであることが好ましい。尚、前記樹脂(A)成分の主鎖が実質的にアクリル共重合鎖からなるとは、樹脂(A)成分の主鎖を構成する単位のうちの50%以上、さらには70%以上がアクリル系単量体単位から形成されていることを意味する。
【0021】
前記樹脂(A)成分としては、例えば、加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂(A−イ)や水酸基含有フッ素樹脂(A−ロ)、アクリルポリオール(A−ハ)樹脂などが挙げられる。
【0022】
(加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂)
前記樹脂(A−イ)成分は、加水分解性シリル基が炭素原子に結合した形式で含有されているため、塗膜の耐水性、耐アルカリ性、耐酸性などが優れたものとなる。
【0023】
前記加水分解性基と結合したシリル基は、樹脂(A−イ)成分の主鎖の末端に結合していてもよく、側鎖に結合していてもよく、主鎖の末端および側鎖に結合していてもよい。加水分解性基と結合したシリル基の導入方法としては、加水分解性基と結合したシリル基を含有する単量体をその他単量体と共重合する方法、シリケート化合物を反応させる方法、または水酸基含有共重合体にシリケート化合物を反応させる方法等がある。なかでも簡便な方法は、加水分解性基と結合したシリル基を含有する単量体とその他単量体を共重合する方法である。
【0024】
前記加水分解性基と結合したシリル基における加水分解性基とは、ハロゲン基やアルコキシ基等がある。その中で、反応制御の簡便さから下記一般式(II)で表されるアルコキシ基が有用である。
【0025】


−Si−(OR3−b (II)
一般式(II)中のRとしては、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはたとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基である。前記アルキル基の炭素数が10を超える場合には、加水分解性シリル基の反応性が低下するようになる。また、一般式(II)中のRとしては、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは例えば前記 Rにおいて例示された炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。これらの中では、本発明の組成物の硬化性が優れるという点から炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0026】
前記一般式(II)において、( OR)3−bは3−bが1以上3以下になるように、即ちbが0〜2になるように選ばれるが、本発明の組成物の硬化性が良好になるという点から、bが0または1であることが好ましい。従って、Rの結合数は0または1であることが好ましい。ORまたはRの数が複数個の場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。前記一般式(II)で表される炭素原子に結合した反応性シリル基の具体例としては、例えば後述の樹脂(A−イ)成分に共重合される加水分解性シリル基含有ビニル系単量体に含有される基が挙げられる。
【0027】
次に、樹脂(A−イ)成分の製法の一例について説明する。
【0028】
樹脂(A−イ)成分は例えば、加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(a)成分、水酸基含有ビニル系単量体および/またはその誘導体(b)成分、その他の共重合可能な単量体(c)成分をアゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル重合開始剤を用いて溶液重合法などにより共重合することによって製造することができる。
【0029】
加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(a)成分の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(a)成分は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0030】
取扱いの容易さ、価格および重合安定性、得られる組成物の硬化性が優れるという点から、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が特に好ましい。
【0031】
加水分解性シリル基含有単量体(a)成分は、全単量体100重量部中に0.1〜50重量部用いて共重合されることが望ましい。0.1重量部未満では共重合することで期待される耐候性や付着性が低下し、50重量部を越えると貯蔵安定性が悪化する傾向にある。
【0032】
水酸基含有ビニル系単量体および/またはその誘導体(b)成分の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシスチレンビニルトルエン、東亞合成化学工業(株)製のアロニクス5700、4−ヒドロキシスチレン、日本触媒化学工業(株)製のHE−10、HE−20、HP−1およびHP−2(以上、何れも末端に水酸基を有するアクリル酸エステルオリゴマー)、日本油脂(株)製のブレンマーPPシリーズ、ブレンマーPEシリーズ、ブレンマーPEPシリーズ等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート誘導体、水酸基含有化合物とε―カプロラクトンとの反応により得られるε―カプロラクトン変性ヒドロキシアルキルビニル系共重合体化合物PlaccelFM−1、FM−4(以上ダイセル化学工業(株)製)、TONEM−201(UCC社製)、HEAC−1(ダイセル化学工業(株)製)等のポリカーボネート含有ビニル系化合物などが挙げられる。
【0033】
中でも、イソシアナートとの反応性に優れ、耐候性や耐薬品性、耐衝撃性が良好な塗膜が得られるという点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0034】
これらの水酸基含有ビニル系単量体および/またはその誘導体(b)成分は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0035】
また、使用量としては、水酸基当量で300以上、特には500以上が好ましい。
【0036】
その他共重合可能な単量体(c)成分の具体例としては、(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸またはリン酸エステル類との縮合生成物などのリン酸エステル基含有(メタ)アクリル系化合物、ウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートやスチレン、αーメチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4ーヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、これらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩などの塩;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸の酸無水物、これら酸無水物と炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖を有するアルコールまたはアミンとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル系化合物;イタコン酸ジアミド、クロトン酸アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドンなどのアミド基含有ビニル系化合物;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、フルオロオレフィンマレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他ビニル系化合物などが挙げられる。
【0037】
これらのその他単量体(c)成分は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0038】
このようにして得られた樹脂(A−イ)成分は、本発明の組成物を用いて形成される塗膜の耐久性などの物性が優れるという点から、数平均分子量が、1000〜30000なかんずく3000〜25000であることが好ましい。この際、必要に応じて、例えば、n−ドデシルメルカプタンやγ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の連鎖移動剤を使って、分子量を調整してもよい。
【0039】
(水酸基含有フッ素樹脂)
前記樹脂(A−ロ)成分は、側鎖または末端にフッ素を含有しているため、特に得られる塗膜の耐候性や耐水性などが優れたものとなる。
【0040】
次に、樹脂(A−ロ)成分の製法の一例について説明する。
【0041】
樹脂(A−ロ)成分は、前記水酸基含有ビニル系単量体および/またはその誘導体(b)成分、その他の共重合可能な単量体(c)成分とともに、フッ素含有ビニル系単量体(d)成分を樹脂(A−イ)製造時と同様の方法で共重合することによって製造することができる。また、その際、前記加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(a)成分を含んでいても構わない。
【0042】
前記フッ素含有ビニル系単量体(d)成分の具体例としては、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0043】
これらのフッ素含有ビニル系単量体(d)成分は、単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0044】
(アクリルポリオール)
次に、樹脂(A−ハ)成分の製法の一例について説明する。
【0045】
樹脂(A−ハ)成分は、前記水酸基含有ビニル系単量体および/またはその誘導体(b)成分、その他の共重合可能な単量体(c)成分を樹脂(A−イ)製造時と同様の方法で共重合することによって製造することができる。
【0046】
これら(A−イ)、(A−ロ)、(A−ハ)成分は、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
さらに、樹脂(A)成分は可溶型だけではなく、分散安定剤樹脂等を用いた非水系ディスパージョン重合で得られる非水系重合体粒子(NAD)の状態で使用してもよい。
【0048】
(オルガノシリケート)
本発明においては、前述の樹脂(A)成分とともに、組成物から形成される塗膜の耐汚染性を向上させる目的で一般式(I):
(RO)4−a−Si−R(I)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基および炭素数が7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表されるシリコン化合物及び/またはその部分加水分解縮合物(B)成分を(以下、オルガノシリケート化合物(B)成分という)0〜200重量部を使用することができる。
【0049】
オルガノシリケート化合物(B)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が例示できる。中でも得られる塗膜の耐汚染性が優れるという点から、メチルシリケート51、エチルシリケート45、エチルシリケート40、エチルシリケート48(以上、コルコート(株)製)、シリケート45、シリケート40(以上、多摩化学工業(株)製)が望ましい。上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。
【0050】
また、同一分子中に異なったアルコキシシリル基を含有するオルガノシリケートも使用可能である。例えば、メチルエチルシリケート、メチルプロピルシリケート、メチルブチルシリケート、エチルプロピルシリケート、プロピルブチルシリケートなどである。これら置換基の比率が0〜100%の間で任意に変更可能である。また、これらのシリケートの部分加水分解・縮合物も使用可能であると記述したが、縮合度は1〜20程度が好ましい。更に好ましい縮合度の範囲は、3〜15である。
【0051】
前記(B)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0〜200重量部、好ましくは、3〜150重量部、より好ましくは5〜100重量部である。オルガノシリケート化合物(B)成分の量が200部を超えると、塗膜が濁るなど外観性が低下したり、クラックが発生したりするので好ましくない。
【0052】
(ポリイソシアナート化合物)
本発明においては、架橋剤としてイソシアナート基を2個以上有する化合物(C)成分(以下、ポリイソシアナート化合物(C)という)を使用する。前記、ポリイソシアナート化合物(C)成分としては、脂肪族系もしくは芳香族系のものが挙げられる。
【0053】
脂肪族系多官能性イソシアナートの具体例として、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン4,4‘−イソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナート、イソフォロンジイソシアナートがある。
【0054】
芳香族多官能性イソシアナートとしては、2,4―トリレンジイソシアナート、2,6―トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4‘−ジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、ポリメチレン−ポリフェニレル−ポリイソシアナートなどがある。
【0055】
構造としてはともに単量体、ビュレット型、アダクト型、イソシアヌレート型がある。
【0056】
これらの化合物は常温硬化用に用いることができるが、さらにこれらのイソシアナート基をブロック剤でマスクしたものを加熱硬化用に用いることもできる。そのブロック剤としてはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソ−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p―クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、チモール、p−ニトロフェノール、β―ナフトールなどがある。また、これらの化合物は、2種以上混合して用いることもできる。
【0057】
前記、ポリイソシアナート化合物(C)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜50重量部である。50重量部以上の場合には、硬化剤のハンドリング性が低下する。また、前記ポリイソシアナート化合物(C)成分の使用量は、樹脂(A)成分中の水酸基に対してイソシアナート基が好ましくは0.3〜2等量、さらに好ましくは0.5〜1.5等量である。(C)成分が少なすぎる場合には、得られる組成物の初期硬化性や有機塗膜への付着性が低下するようになり、また多すぎる場合には、該組成物を用いて得られた塗膜に未反応のイソシアナート基が残存し、耐候性の低下や塗り重ね時にちぢみを生じる原因となる。
【0058】
(有機金属化合物)
本発明においては、触媒として有機金属化合物(D)を使用する。前記、有機金属化合物(D)成分の中では、錫系化合物が塗膜の硬化性の点から好ましい。
【0059】
前記錫化合物の具体例としては、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジオクチル錫オキサイドまたはジブチル錫オキサイドとシリケートとの縮合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(エチルマレート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレート)、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジブチル錫ビス(オレイルマレート)、スタナスオクトエート、ステアリン酸錫、ジ−n−ブチル錫ラウレートオキサイドがある。また、分子内にS原子有する錫化合物としては、ジブチル錫ビスイソノニル−3―メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレートなどが挙げられる。
【0060】
前記錫化合物のうちでは、分子内にS原子を有する化合物が、イソシアナートを配合した場合の貯蔵安定性および可使時間が良好であることから好ましく、特に、ジブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプト、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレートが硬化性と貯蔵安定性、可使時間のバランスの点から好ましい。
【0061】
また、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどの有機アルミ化合物;有機チタネート化合物;有機亜鉛化合物等の有機金属化合物も挙げられる。
【0062】
前記有機金属化合物(D)成分は単独でもよく、また、2種類以上併用してもよい。
【0063】
前記(D)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜30重量部、好ましくは、0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部である。有機金属化合物(D)成分の量が30部を超えると、該組成物を用いて形成した塗膜の表面光沢など外観性の低下傾向が認められるので好ましくない。
【0064】
(メルカプト基含有化合物)
本発明においては、メルカプト基含有化合物(E)成分を添加することにより、(C)成分と(D)成分を混合した場合の貯蔵安定性が向上する。前記、メルカプト基含有化合物(E)成分の具体例としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン化合物やγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン化合物等が挙げられる。
【0065】
前記メルカプト基含有化合物(E)成分は単独でもよく、また、2種類以上併用してもよい。
【0066】
前記(E)成分の使用量は、(A)成分100重量部に対して0.01〜100重量部、好ましくは、0.1〜50重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。メルカプト基含有化合物(E)成分の量が100部を超えると、該組成物の硬化速度が充分に得られなかったり、外観性の低下傾向が認められるので好ましくない。
【0067】
(配合形態)
本発明の硬化性樹脂組成物における配合形態としては、1液でも2液でも良い。(C)成分として常温硬化用のポリイソシアナート化合物を使用する場合には、(A)成分と(C)成分が1パックとなることは好ましくないので、主剤として樹脂(A)成分とオルガノシリケート化合物(B)成分を混合し、硬化剤としてポリイソシアナート化合物(C)成分と有機金属化合物(D)成分、メルカプト含有化合物(E)成分を配合した2液の配合形態で使用されることが好ましい。また、主剤として(A)成分、硬化剤として(B)成分、(C)成分、(D)成分(E)成分を配合した2液の配合形態で使用されることが好ましい。さらに、ポリイソシアナート化合物(C)としてブロックタイプを使用した場合には、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(E)成分を1パックとした1液の配合形態も可能となる。
【0068】
(脱水剤)
樹脂(A)成分に加水分解性シリル基含有ビニル系単量体(a)成分を用いた場合や、オルガノシリケート化合物(B)を使用する場合には、湿分との反応性を有するため、さらに脱水剤を配合することによって、組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0069】
脱水剤としては、例えば、オルソ蟻酸トリメチル、オルソ蟻酸トリエチルもしくはオルソ蟻酸トリブチル等のオルソ蟻酸トリアルキル;オルソ酢酸トリメチル、オルソ酢酸トリエチルもしくはオルソ酢酸トリブチル等のオルソ酢酸トリアルキル;またはオルソほう酸トリメチル、オルソほう酸トリエチル、オルソほう酸トリブチル等のオルソほう酸トリアルキル等のオルソカルボン酸エステルや、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等の高活性シラン化合物などが挙げられる。
【0070】
本発明の硬化性樹脂組成物には、通常塗料に用いられる例えば、酸化チタン、群青、紺青、亜鉛華、ベンガラ、黄鉛、鉛白、カーボンブラック、透明酸化鉄、アルミニウム粉などの無機顔料、アゾ系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料などの有機顔料、希釈剤、紫外線吸収剤、光安定剤、タレ防止剤、レベリング剤や分散剤、色別れ防止剤などの添加剤;アミノシランなどのシランカップリング剤;ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレートなどの繊維素;エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、ポリビニルブチラール、ポリシロキサンなどの樹脂などを適宜加えてもよい。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物は、たとえば浸漬、吹き付け、刷毛、スプレーなどを用いた塗布などの通常の方法によって被塗物に塗布され、通常、常温でそのまま、または30℃以上で焼き付けて硬化せしめる。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば金属、セラミックス、ガラス、セメント、窯業系基材、プラスチック、木材、紙、繊維などからなる建築物、家電用品、産業機器などの塗装に好適に使用できる。
【実施例】
【0073】
次に、本発明の顔料分散用硬化性樹脂組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(塗料用硬化性樹脂組成物成分の製造方法:製造例AB−1〜5)
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素ガス導入管および滴下ロートを備えた反応器に表1の(イ)成分を仕込み、窒素ガスを導入しつつ110℃に昇温した後、表1の(ア)成分の混合物を滴下ロートから5時間かけて等速滴下した。次に、(ウ)成分の混合溶液を1時間かけて等速滴下した。その後、引き続き、110℃で2時間攪拌した後に、室温まで冷却した。最後に表1の(エ)成分を加えて攪拌し、水酸基含有塗料用硬化性樹脂(A)を合成した。
【0074】
得られた水酸基含有塗料用硬化性樹脂(A)成分に対して、表1の(B)成分を加えて攪拌し、塗料用硬化性樹脂組成物(AB−1〜5)を得た。
【0075】
得られた塗料用硬化性樹脂組成物(AB−1〜5)の固形分濃度、GPCで測定した数平均分子量を表1に示した。
【0076】
【表1】

(表中、(ア)〜(エ)成分と(B)成分の量は重量部)
ソルベッソ100:有機溶剤(エクソン・モービル(株)製)
ペガソールAN45:有機溶剤(エクソン・モービル(株)製)

(硬化剤組成物の製造方法:製造例H−1〜6)
表2に記載の溶剤に(D)成分および(E)成分を添加攪拌混合した。30分間静置したのち(C)成分および(B)成分を攪拌混合して表2に示す硬化剤(H−1〜5)を作成した。得られた硬化剤の外観、流動性を目視により確認した。また、JIS K 5400に準拠してガードナー色数による色調を測定した。さらに密閉し、50℃条件下で1ヶ月静置したのち、外観、流動性およびガードナー色数を測定した。結果を表2に示した。
外観、流動性:○・・・透明液体で充分な流動性がある
×・・・ゲル化している
【0077】
【表2】

(表中の数値は重量部)
シリケート45: エチルシリケート部分加水分解縮合物(多摩化学工業(株)製)
ESi48:エチルシリケート部分加水分解縮合物(コルコート(株)製)
TSA100:ポリイソシアナート化合物(旭化成(株)製)
コロネートHX:ポリイソシアナート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製)
ネオスタンU−360:S基含有有機錫化合物(日東化成(株)製)

(塗料の作成)
合成した塗料用硬化性樹脂組成物(AB−1〜5)を各重合溶剤で固形分濃度が50%になるように希釈した。次に、表3に示すミルベース成分を順次添加し、ガラスビーズを用いてサンドミルで1時間分散させた。さらに、カットバック成分を添加し、開放下、1500回転で30分間攪拌し、表3に示す白エナメル(AW−1〜7)を得た。
【0078】
【表3】

(表中の数値は重量部)
KP−3788A:弱溶剤型分散用樹脂(日本カーバイド工業(株)製)
JR805:酸化チタン(白)(テイカ(株)製)
ターレン6820−10M:タレ防止剤(楠本化成(株)製)

(物性評価)
・塗膜作製
表4に示す配合にて、表3で作成した白エナメルと表2で作成した硬化剤組成物を攪拌混合し、6ミルのアプリケーターでテフロン(登録商標)シートおよびガラス板に塗装し、7日間室温で養生した。
・硬化性
テフロン(登録商標)シート上フィルムを約50×50mmの大きさに切断し、予め精秤した200メッシュのステンレス製の金網(W0 )に包み精秤した(W1 )。そののち、アセトン中に24時間浸漬して抽出を行ない、ついで乾燥・精秤し(W2 )、式:
ゲル分率(%)=
{((W2 )−(W0 ))/((W1 )−(W0 ))}×100
に基づいてゲル分率(%)を求めた。この数値が高いほど硬化性が優れていると言える。
・塗膜の水接触角の測定
耐汚染性の指標となる塗膜の水接触角を接触角測定機(協和界面科学(株)製:CA−S150型)を用い測定した。評価は、上記作製サンプルを養生後、屋外に14日間放置したのちに実施した。接触角が低いほど耐汚染性が優れていると言える。
【0079】
【表4】

(表中、各成分の量は重量部)
表2に示したとおり、(C)成分、(D)成分、(E)成分を1パックとした硬化剤H−1〜4は50℃1ヶ月保存後も良好な外観、流動性を保っていたが、(E)成分を使用しなかった硬化剤H−5はゲル化が起こった。表4に示した通り、本発明の組成物を用いた実施例1〜8は、いずれも良好な硬化性と耐汚染性を示した。(D)成分、(E)成分を使用しなかった比較例2は、硬化性と耐汚染性が劣った。
【0080】
本発明の硬化性樹脂組成物は、低コスト・簡易な操作で製造できる。特には、水酸基含有塗料用樹脂の一般的な架橋剤であるポリイソシアナート化合物の反応性を向上させる硬化剤を提供することが可能となる。また、特定のシリコン化合物を使用した低汚染型塗料の性能を充分に発揮する硬化剤を提供することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖末端および/または側鎖に水酸基を含有する樹脂(A)成分100重量部に対して、一般式(I):
(RO)4−a−Si−R(I)
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基および炭素数7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、Rは炭素数1〜10のアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基および炭素数が7〜10のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、aは0または1を示す)で表されるシリコン化合物及び/またはその部分加水分解縮合物(B)成分0〜200重量部と、イソシアナート基を2個以上含有する化合物(C)0.1〜50重量部、有機金属化合物(D)成分0.01〜30重量部およびメルカプト基含有化合物(E)成分0.01〜100重量部を含有してなる硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)成分と(B)成分が1パック、(C)成分と(D)成分、(E)成分が1パックにされてなる2液型であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が1パック、(B)成分と(C)成分、(D)成分、(E)成分が1パックにされてなる2液型であることを特徴とする請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)成分が分子内に一般式(II)で表される加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂であり、該シリル基を含有する単量体単位を1〜80重量%含有する共重合体である請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。


−Si−(OR3−b (II)
(式中、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜25のアリール基および炭素数7〜12のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基、bは0〜2の整数を示す。)
【請求項5】
前記(A)成分が、水酸基含有フッ素樹脂および/またはアクリルポリオールである請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)成分が前記一般式(II)で表される加水分解性基と結合したシリル基および水酸基を含有する樹脂、水酸基含有フッ素樹脂、アクリルポリオールからなる群より選ばれる2種以上の樹脂を組み合わせるものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(C)成分中のイソシアナート基が前記(A)成分中の水酸基に対して0.3〜2等量である請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(D)成分が有機錫化合物である請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
前記(D)成分が分子内にS原子を含有する有機錫化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を塗布してなる塗装物。

【公開番号】特開2008−255260(P2008−255260A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100289(P2007−100289)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】