説明

硬化性樹脂組成物

【課題】 硬化接着後において、捩じり接着強さの高い硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 この硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bとが混合配合されてなる。硬化性シリコーン系樹脂Aは、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とし末端に加水分解性珪素基が結合している。そして、この加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率は0.35〜2.00質量%となっている。硬化性シリコーン系樹脂Bは、主鎖がビニル重合体を主体とし末端及び側鎖に加水分解性珪素基が結合している。この加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率は2.20〜11.50質量%となっている。硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂A:硬化性シリコーン系樹脂B=30〜80:70〜20(質量比)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として接着剤として用いられる硬化性樹脂組成物に関し、特に、捩じりに対して高い接着強度を発現する硬化性樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、接着剤として使用されている硬化性樹脂組成物として、硬化性シリコーン系樹脂と呼ばれているものがある。硬化性シリコーン系樹脂には、いろいろな種類があり、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とし、末端に加水分解性珪素基が結合しているものや、主鎖がビニル重合体を主体とし、末端に加水分解性珪素基が結合しいるもの等がある。これらの硬化性シリコーン系樹脂は、いずれも、環境下に存在する水分によって、加水分解性珪素基が縮合して硬化し、接着剤として機能するのである。すなわち、硬化性シリコーン系樹脂は、湿気硬化型1液接着剤として使用しうるため、多用されているのである。
【0003】
硬化性シリコーン系樹脂は、その主鎖として任意のものを採用しうるので、硬化後の物性を任意に調整でき、接着剤以外にも、弾性が要求されるシーラントや、硬さが要求される塗料等の種々の用途にも用いられている。
【0004】
また、硬化後の物性を調整するために、主鎖を変更するだけでなく、複数種の硬化性シリコーン系樹脂が混合されることもある。たとえば、特許文献1〜3には、主として、硬化後の耐候性を向上させるために、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とする硬化性シリコーン系樹脂と、主鎖がビニル重合体を主体とする硬化性シリコーン系樹脂とを混合することが行われている。
【0005】
【特許文献1】特開昭59−122541号公報
【特許文献2】特開昭60−31556号公報
【特許文献3】特開昭63−112642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3に記載されている硬化性樹脂組成物は、はく離接着強さに優れており、好ましいものである。はく離接着強さは、被着体相互間の接着状態の側面図である図1に示すように、被着体相互間の剥離方向に外力が負荷されたときの接着強さを表したものである。したがって、被着体相互間の接着状態の平面図である図2に示すように、被着体相互間の捩じり方向に外力が負荷されたときの接着強さ(以下、この接着強さのことを「捩じり接着強さ」という。)を表したものではない。しかるに、特許文献1〜3に記載されている硬化性樹脂組成物は、捩じり接着強さについては十分ではなかった。
【0007】
本発明の課題は、特許文献1〜3記載の技術では解決できなかった、捩じり接着強さを向上させた硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、加水分解性珪素基に由来する珪素原子を低割合で含有する、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体する硬化性シリコーン系樹脂と、側鎖及び末端に結合している加水分解性珪素基に由来する珪素原子を高割合で含有する、主鎖がビニル重合体を主体する硬化性シリコーン系樹脂とを、特定の割合で混合することにより、硬化後における捩じり接着強さの高い硬化性樹脂組成物としたものである。すなわち、本発明は、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とし末端に加水分解性珪素基が結合しており、該加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が0.35〜2.00質量%である硬化性シリコーン系樹脂Aと、主鎖がビニル重合体を主体とし末端及び側鎖に加水分解性珪素基が結合しており、該加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が2.20〜11.50質量%である硬化性シリコーン系樹脂Bとが、硬化性シリコーン系樹脂A:硬化性シリコーン系樹脂B=30〜80:70〜20(質量比)の割合で配合されてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関するものである。
【0009】
[硬化性シリコーン系樹脂A]
硬化性シリコーン系樹脂Aは、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とし末端に加水分解性珪素基が結合しており、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が0.35〜2.00質量%のものである。
【0010】
加水分解性珪素基とは、珪素原子に加水分解性基が結合したものであり、下記一般式(2)で示されるものである。
【化1】

(式中、Yは加水分解性基を示し、Zは加水分解しない不活性基を示し、aは1、2又は3を示す。)
【0011】
加水分解性基Yとしては、ヒドロキシル基や、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基が一般的に用いられる。その他、ハロゲン基やメルカプト基等の従来公知の加水分解性基も用いることができる。不活性基Zとしては、一般的に炭化水素基が用いられ、メチル基やエチル基等のアルキル基が好ましく用いられる。したがって、加水分解性珪素基としては、トリヒドロキシシリル基、モノアルキルジヒドロキシシリル基、トリアルコキシシリル基、モノアルキルジアルコキシシリル基、トリハロシリル基、モノアルキルジハロシリル基、トリメルカプトシリル基又はモノアルキルジメルカプトシリル基等が用いられる。この中でも、取り扱いが比較的容易であることからトリアルコキシシリル基又はモノアルキルジアルコキシシリル基が好ましい。
【0012】
特に、加水分解性珪素基としてトリアルコキシシリル基を採用するのが好ましい。トリアルコキシシリル基は速硬化性であり、しかも3官能であるため硬化後の捩じり接着強さを、より高めることができる。したがって、加水分解性珪素基由来の全珪素原子のうち、トリアルコキシシリル基由来の珪素原子率が10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることが特に好ましい。トリアルコキシシリル基由来の珪素原子率が10質量%以上であると、架橋状態が密になり、さらなる捩じり接着強さの向上を実現することができる。
【0013】
硬化性シリコーン系樹脂Aの主鎖は、オキシアルキレン重合体を主体とするものである。オキシアルキレン重合体のみからなるものとしては、たとえば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド等が採用される。これらの中では、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドが特に好ましい。また、その組成比(モル比)がプロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=100〜10:0〜90が好ましく、99〜20:1〜80がより好ましく、98〜50:2〜50が特に好ましい。エチレンオキサイドの組成比(モル比)が、プロピレンオキサイド:エチレンオキサイド=10:90を超えてしまうと、ポリエチレンオキサイド鎖の結晶性の高さから粘度が高くなりすぎたり、ポリエチレンオキサイド鎖の親水性の高さから硬化物の耐水性が低下する傾向が生じる。
【0014】
また、硬化性シリコーン系樹脂Aの主鎖は、オキシアルキレン重合体の中に、分子内にウレタン結合等の極性基を有する結合基が導入されている重合体も用いることができる。分子内にウレタン結合等の極性基が存在することで、硬化性シリコーン系樹脂A同士の相互作用が強くなり、さらに捩じり接着強さが高くなる。分子内にウレタン結合等の極性基を有する反応性珪素基含有オキシアルキレン重合体の合成は、従来公知の方法を用いればよい。たとえば、特許第33177353号、特許第3030020号又は特開2005−054174号公報等に記載の方法により、容易に合成することができる。
【0015】
硬化性シリコーン系樹脂Aとしては、変成シリコーン樹脂として市販されているものを用いることもできる。市販品としては、カネカ社製の商品名;S203、S303、S810、SAT010、SAT030、SAT070、SAT200、SAT350、SAT400、S203、S810、S911、S943、EST200、EST250、ESX280、SAT070、SAX720、SAX725及びSAX770等や、旭硝子社製の商品名;ES−S2410、ES−S2420、ES−S3430、ES−S3630、ES−G3440ST及びES−G2430ST等を用いることができる。
【0016】
硬化性シリコーン系樹脂Aの分子量は特に限定されないが、数平均分子量1,000〜100,000が好ましく、2,000〜50,000がより好ましく、3,000〜20,000が特に好ましい。1,000を下回ると、硬化物が脆くなり捩じり接着強さが低くなる傾向が生じる。逆に、100,000を上回ると、硬化性シリコーン系樹脂Aの粘度が高くなってしまうため作業性に劣る場合がある。
【0017】
硬化性シリコーン系樹脂Aは、その末端に加水分解性珪素基が結合している。末端に加水分解性珪素基を導入する方法は周知技術に基づいて行うことができる。本発明において、末端に結合している加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が0.35〜2.00質量%となっており、好ましくは0.40〜1.50質量%であるのがよく、更に好ましくは0.45〜1.00質量%であるのがよい。珪素原子含有率というのは、硬化性シリコーン系樹脂Aの総質量に対する加水分解性珪素基由来の珪素原子の質量のことである。このような珪素原子含有率は、硬化性シリコーン系樹脂Aを製造する際の仕込み量に対する、珪素原子の質量を計算することにより求めることができる。珪素原子含有率が0.35質量%未満であると、捩じり接着強さが低下するので、好ましくない。また、珪素原子含有率が2.00質量%を超えると、硬化する際の収縮量が大きくなるので、好ましくない。
【0018】
[硬化性シリコーン系樹脂B]
硬化性シリコーン系樹脂Bは、主鎖がビニル重合体を主体とし、末端及び側鎖に加水分解性珪素基が結合しており、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が2.20〜11.50質量%のものである。
【0019】
加水分解性珪素基とは、硬化性シリコーン系樹脂Aの場合と同様であって、珪素原子に加水分解性基が結合したものであり、上記一般式(2)で示されるものである。また、加水分解性珪素基の具体例についても、硬化性シリコーン系樹脂Aと同様である。さらに、好ましい加水分解性珪素基の種類やトリアルコキシシリル基の珪素原子率についても、硬化性シリコーン系樹脂Aと同様である。
【0020】
硬化性シリコーン系樹脂Bの主鎖は、ビニル重合体を主体とするものである。硬化性シリコーン系樹脂Bは、側鎖にも加水分解性珪素基が結合しているので、主鎖を得る際に、たとえば加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物を重合してもよい。すなわち、硬化性シリコーン系樹脂Bの主鎖を、加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物と、加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物とを重合して得てもよい。加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、モルホリンアクリレート、ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、スチレン系化合物又はアクリロニトリル系化合物等を用いることができる。これらのなかでは、ホモポリマーのTgが60℃以上のメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート又はテトラヒドロフルフリルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。ホモポリマーのTgが60℃以上のビニル重合性モノマーを用いることによって、捩じり接着強さが高い硬化性樹脂組成物を得ることができる。特に、メチルメタクリレートは、その他の共重合成分との相溶性が高いことから重合安定性が良好であり、なおかつ、ホモポリマーのTgが極めて高いことから捩じり接着強さが比較的高く、本発明においては最も有用性が高い。
【0021】
また、加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を用いることができる。さらに、WO2002/102812のパンフレット、特開2003−238795公報、特開2003−268229公報、特開2004−035591公報又は特開2006−052321公報等に記載された方法で得られる加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物も用いることができる。
【0022】
硬化性シリコーン系樹脂B中において、加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物と、加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物との質量比は、任意であるが、一般的に前者が10質量%以上配合されていることが好ましく、20質量%以上配合されていることがより好ましく、30質量%以上配合されていることが特に好ましい。加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物が用いられていなかったり、或いはそれが10質量%未満であると、捩じり接着強さが低下する傾向が生じる。
【0023】
また、硬化性シリコーン系樹脂Bの主鎖は、加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物と、加水分解性珪素基を導入しうる反応性基を持ったビニル重合性不飽和基含有化合物とを重合して得てもよい。加水分解性珪素基を導入しうる反応基を持ったビニル重合性不飽和基含有化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル又はアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を持つものが代表的である。そして、重合した後に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン又は4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン等の加水分解性珪素基を持つ化合物のアミノ基等と、エポキシ基とを反応させ、側鎖に加水分解性珪素基を持つ主鎖を得てもよい。
【0024】
硬化性シリコーン系樹脂Bは、その末端にも加水分解性珪素基が結合している。末端に加水分解性珪素基を導入するには、種々の方法があるが、一般的にビニル重合性不飽和基含有化合物を重合して主鎖を得る際に、加水分解性珪素基を含有する連鎖移動性基含有化合物を反応させることにより行う。反応性珪素基を有する連鎖移動性基含有化合物の具体例としては、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が用いられる。また、特開2006―052168公報又は特開2005−054174公報に記載されているものも用いることができる。
【0025】
硬化性シリコーン系樹脂Bは、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が2.20〜11.50質量%となっており、好ましくは2.20〜9.50質量%であるのがよく、更に好ましくは2.20〜7.50質量%であるのがよい。この珪素原子含有率のうち、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合している加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率は、捩じり接着強さを向上させるという観点から、0.80質量%以上であるのが好ましい。たとえば、硬化性シリコーン系樹脂Bの全体としての加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が下限の2.20質量%である場合、側鎖に結合している加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率は1.00質量%程度であるのが好ましく、上限である11.50質量%の場合、8.00質量%程度であるのが好ましい。珪素原子含有率の意味やその計算方法は、硬化性シリコーン系樹脂Aの場合と同一である。硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖及び末端に結合している加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が2.20質量%未満であると、捩じり接着強さが低下するので、好ましくない。また、珪素原子含有率が11.50質量%を超えると、硬化する際の収縮量が大きくなり、捩じり接着強さも低下するので、好ましくない。
【0026】
硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの配合割合(質量比)は、A:B=30〜80:70〜20である。好ましくはA:B=40〜70:60〜30であり、より好ましくは50〜60:50〜40である。硬化性シリコーン系樹脂Aの配合割合が30質量%未満になると、硬化物が脆くなって、捩じり接着強さが低下するので好ましくない。硬化性シリコーン系樹脂Aの配合割合が80質量%を超えると、相対的に硬化性シリコーン系樹脂Bの配合量が少なくなって、捩じり接着強さが低下するので好ましくない。また、硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bとを配合する場合、両樹脂中における加水分解性珪素基由来の全珪素原子のうち、トリアルコキシシリル基由来の珪素原子率が10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることが特に好ましい。トリアルコキシシリル基由来の珪素原子率が10質量%以上であると、前述したように、架橋状態が密になり、さらなる捩じり接着強さの向上を実現することができる。硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bとを混合配合する方法は任意である。たとえば、別途製造した硬化性シリコーン系樹脂Aと別途製造した硬化性シリコーン系樹脂Bとを混合する方法、硬化性シリコーン系樹脂A中において硬化性シリコーン系樹脂Bを製造する方法、硬化性シリコーン系樹脂B中において硬化性シリコーン系樹脂Aを製造する方法等が挙げられる。
【0027】
[アルコキシシランモノマー及びアルコキシシランオリゴマー]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、アルコキシシランモノマー及び/又はアルコキシシランオリゴマーが配合されていてもよい。アルコキシシランとは、下記一般式(1)で表される化合物である。
【化2】

(式中、Xはビニル基、炭素数1〜18のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基よりなる群から選ばれる基を表し、Rは各々独立して炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【0028】
アルコキシシランモノマーとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ジエトキシジメトキシシラン、信越化学工業社製のKBM−3063、KBE−3063或いはKBM−3103、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、信越化学工業社製のKBM−04或いはKBE−04、コルコート社製のエチルシリケート28又はN−プロピルシリケート等が用いられる。
【0029】
アルコキシシランオリゴマーは、アルコキシシランモノマーが加水分解によって重縮合した加水分解重合物である。そして、このようなアルコキシシランオリゴマーとしては、信越化学工業社製のKC−89S、KR−500、KR−510、X−41−1056或いはX−41−1810、東レ・ダウコーニング社製のDC3037或いはSR2402、チッソ社製のMS3301或いはMS3302、コルコート社製のメチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS−485又はSS−101等が用いられる。
【0030】
アルコキシシランモノマーやアルコキシシランオリゴマーを硬化性樹脂組成物中に配合することにより、硬化が促進され、より捩じり接着強さの高い硬化物が得られるので、好ましい。アルコキシシランモノマー等の配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜15質量部が特に好ましい。
【0031】
[アミノシラン化合物]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、またアミノシラン化合物を配合してもよい。アミノシラン化合物は、分子内に1個以上のアミノ基と1個以上の加水分解性珪素基を有するものである。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルトリメトキシシラン、4−アミノ−3−ジメチルブチルメチルジメトキシシラン、信越化学工業社製のKBM603、KBM602或いはKBM903、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSZ6023等が用いられる。
【0032】
アミノシラン化合物を硬化性樹脂組成物中に配合することにより、硬化が促進され、より捩じり接着強さの高い硬化物が得られるので、好ましい。アミノシラン化合物の配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの合計100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1.0〜15質量部が特に好ましい。
【0033】
[硬化触媒]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、さらに、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの硬化反応を促進させるための硬化触媒を配合してもよい。硬化触媒としては、三フッ化ホウ素及び/又はその錯体からなる化合物や有機錫化合物等の有機金属化合物等が用いられる。三フッ化ホウ素及び/又はその錯体からなる化合物としては、三フッ化ホウ素のアミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体、チオール錯体、スルフィド錯体、カルボン酸錯体、水錯体等が用いられる。三フッ化ホウ素の錯体の中では、安定性と触媒活性を兼ね備えたアミン錯体が特に好ましい。また、有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート、ジブチル錫フタレート、オクチル酸第一錫、ジブチル錫メトキシド、ジブチル錫ジアセチルアセテート、ジブチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸ジエステルとの反応生成物、日東化成社製のU−303、U−700又はU−700ES等が用いられる。
【0034】
硬化触媒の配合割合は、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの合計100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜7.0質量部がより好ましく、0.05〜5.0質量部が特に好ましい。
【0035】
[充填材]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、強靱な硬化物を得るために、さらに充填材が配合されているのが好ましい。充填材としては、親水性或いは疎水性シリカ系粉体、炭酸カルシウム粉体、クレイ粉体、アクリル系等の有機粉体、有機系・無機系のバルーン等が用いられる。
【0036】
[その他の成分]
本発明に係る硬化性樹脂組成物中には、所望の物性を得るために、従来公知のその他の成分が配合されていてもよい。その他の成分としては、ヒンダードフェノール系化合物等の老化防止剤、アマイドワックス等の揺変剤、フェノール系樹脂等の粘着付与剤、酸化カルシウム等の脱水剤、希釈剤、可塑剤、難燃材、ヒンダードアミン系化合物、紫外線吸収剤、顔料、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤又は乾性油等が挙げられる。
【0037】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、その硬化物が捩じり接着強さにおいて優れているため、一般的に接着剤として使用される。また、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、多くの場合、50℃及び相対湿度95%の条件下で、3日間養生後の硬化物の硬度が、デュロメーターA硬度計で50以上となっている。したがって、コーティング材や塗料等としても使用しうるものである。さらに、流動性や硬化速度等を調整することによって、シーラント等としても使用しうるものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、硬化性シリコーン系樹脂Bに比べて珪素原子含有率の低い硬化性シリコーン系樹脂Aと、硬化性シリコーン系樹脂Aに比べて珪素原子含有率の高い硬化性シリコーン系樹脂Bとを組み合わせたものである。このような組み合わせによって、この硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物は、捩じり接着強さが高いという効果を奏するのである。
【実施例】
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるわけではない。本発明は、相対的に珪素原子含有率の低い硬化性シリコーン系樹脂Aと相対的に珪素原子含有率の高い硬化性シリコーン系樹脂Bとを組み合わせたことにより、高い捩じり接着強さを持つ硬化物が得られるとの知見に基づくものとして、解釈されるべきである。
【0040】
合成例1
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
まず、以下の方法で末端に加水分解性珪素基を導入するためのシリル化剤を得た。すなわち、反応容器内で、N−(2−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4g、1.0mol)を窒素雰囲気下室温で撹拌しながら、アクリル酸メチル(172.2g、2.0mol)を1時間かけて滴下し、さらに40℃で7日間反応させることで、分子内にメチルジメトキシシリル基及び第二級アミノ基を有するシリル化剤を得た。
【0041】
別途、反応容器内で、「アクトコールP−21」(三井化学ポリウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量2,000、1,000g)、イソホロンジイソシアネート(221.4g)及びジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂を得た。そして、上記で得られたシリル化剤(377.5g)を、この反応容器内に添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させた。これにより、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体として、主鎖中にウレタン結合及び置換尿素結合を持ち、末端にメチルジメトキシシリル基が結合されてなる硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が1.75質量%であった。なお、23℃における硬化性シリコーン系樹脂Aの粘度は32,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であり、外観は淡黄色透明であった。
【0042】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂Aを200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.02gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.34gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.17gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が2.32質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているトリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、1.02質量%であった。
【0043】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物は、23℃における粘度が200,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であり、外観は淡黄色透明であった。
【0044】
合成例2
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
N−(2−アミノプロピル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(206.4g、1.0mol)に代えて、N−(2−アミノプロピル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(222.4g、1.0mol)を用いる他は、合成例1の場合と同様にして、シリル化剤を得た。
【0045】
「アクトコールP−21」(三井化学ポリウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量2,000、1,000g)を、「アクトコールP−28」(三井化学ポリウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量4,000、1,000g)に代えると共に、イソホロンジイソシアネートを221.4gから117.3gに変更する他は、合成例1の場合と同様にして、ウレタン樹脂を得た。そして、このウレタン樹脂を用いて、上記で得られたシリル化剤(208.4g)を、合成例1と同様に反応させて、硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が1.12質量%であった。なお、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、32,000mPa・sであり、外観も淡黄色透明であった。
【0046】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。したがって、硬化性シリコーン系樹脂Bの珪素原子含有率は、合成例1の場合と同一である。
【0047】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、180,000mPa・sであり、外観も淡黄色透明であった。
【0048】
合成例3
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
「アクトコールP−21」(三井化学ポリウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量2,000、1,000g)を、「PMLS3011」(旭硝子ウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、1000g)に代えると共に、イソホロンジイソシアネートを221.4gから65.8gに変更する他は、合成例1の場合と同様にして、ウレタン樹脂を得た。そして、このウレタン樹脂を用いて、合成例2で得られたシリル化剤(116.7g)を、合成例1と同様に反応させて、硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が0.70質量%であった。なお、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、380,000mPa・sであり、外観は無色透明であった。
【0049】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。したがって、硬化性シリコーン系樹脂Bの珪素原子含有率は、合成例1の場合と同一である。
【0050】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、575,000mPa・sであり、外観は淡黄色透明であった。
【0051】
合成例4
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
「アクトコールP−21」(三井化学ポリウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量2,000、1,000g)を、「PMLS4012」(旭硝子ウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、950g)及び「PR−3007」(旭電化工業社製、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドのランダム共重合型ポリオール、数平均分子量3,000、50g)に代えると共に、イソホロンジイソシアネートを221.4gから53.5gに変更する他は、合成例1の場合と同様にして、ウレタン樹脂を得た。そして、このウレタン樹脂を用いて、合成例2で得られたシリル化剤(95.0g)を、合成例1と同様に反応させて、硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が0.59質量%であった。なお、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、96,000mPa・sであり、外観は白濁していた。
【0052】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。したがって、硬化性シリコーン系樹脂Bの珪素原子含有率は、合成例1の場合と同一である。
【0053】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、150,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0054】
合成例5
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
合成例4と同一の方法によりウレタン樹脂を得た。そして、このウレタン樹脂を用いて、合成例1で得られたシリル化剤(91.1g)を、合成例1と同様に反応させて、硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が0.59質量%であった。なお、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、95,000mPa・sであり、外観は白濁していた。
【0055】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランに代えて、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及び3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランに用いる他は、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が2.50質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、1.09質量%であった。
【0056】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、160,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0057】
合成例6
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
市販の変成シリコーン樹脂「Excestar G3440ST」(旭硝子社製)を、硬化性シリコーン系樹脂Aとして準備した。この硬化性シリコーン系樹脂Aのトリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は0.45質量%であった。なお、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、12,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0058】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B154gを得た。したがって、硬化性シリコーン系樹脂Bの珪素原子含有率は、合成例1の場合と同一である。
【0059】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B154gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、29,000mPa・sであり、外観は淡黄色透明であった。
【0060】
合成例7
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0061】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用い、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランの仕込み量を14gから4.0gに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの仕込み量を14gから8.0gに、さらにラウリルメルカプタン6.0gを追加し、第一回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を1.02gから0.95gに、第二回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.34gから0.32gに、第三回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.17gから0.16gに変更する他は、合成例1と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂B144gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が1.11質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているトリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、0.31質量%であった。
【0062】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B144gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、120,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0063】
実施例1
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド0.5質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0064】
実施例2
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例2で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0065】
実施例3
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例3で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用し、硬化触媒としてジブチル錫ジトメキシド0.5質量部に代えて、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体を0.1質量部配合した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0066】
実施例4
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用し、硬化触媒としてジブチル錫ジトメキシド0.5質量部に代えて、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体を0.1質量部配合した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0067】
実施例5
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例5で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用し、硬化触媒として更に三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体を0.1質量部を配合した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0068】
実施例6
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例6で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0069】
比較例1
合成例1で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例7で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用し、硬化触媒としてジブチル錫ジトメキシド0.5質量部に代えて、三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体を0.1質量部配合した他は、実施例1と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0070】
比較例2
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂A100質量部に、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0071】
比較例3
市販の変成シリコーン樹脂「SAT200」(カネカ社製)に、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド0.5質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。なお、市販の変成シリコーン樹脂「SAT200」は、硬化性シリコーン系樹脂Aに対応するものであり、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は0.30質量%であった。また、この変成シリコーン樹脂は、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、30,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0072】
[捩じり接着強さ試験]
幅25mm、長さ100mm、厚さ5mmのアサダ材を二枚準備した。そして、図2に示すように、直交させて重合箇所を実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた硬化性樹脂組成物を用いて接着した。接着剤の塗布量は160g/m2とし、23℃相対湿度50%の条件下で接着させ、同条件下で1日間硬化・養生させた。その後、同条件下で、図2の矢印方向に荷重を負荷し、その最大荷重を測定した。そして、この値を捩じり接着強さ(kN)とし、結果を表1に示した。
【0073】
[硬度試験]
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた硬化性樹脂組成物を、トレイに流し込んで、50℃相対湿度95%で3日間硬化・養生させて、厚み約6mmの被膜を得た。そして、23℃相対湿度50%の条件下で、この被膜表面にデュロメーターA硬度計を適用し、硬度を測定した。この結果を表1に示した。
【0074】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
捩じり接着強さ 硬度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 0.35 55
実施例2 0.38 65
実施例3 0.37 71
実施例4 0.30 57
実施例5 0.35 52
実施例6 0.33 53
比較例1 0.18 35
比較例2 0.12 58
比較例3 0.09 36
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0075】
実施例1〜6と比較例1との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Bとして、加水分解性珪素基基由来の珪素原子含有率を高いものに比べて、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が低いものを使用すると、捩じり接着強さが半減していることが分かる。また、実施例1〜6と比較例2及び3との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Bを使用しない場合には、更に捩じり接着強さが低下することが分かる。
【0076】
合成例8
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0077】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂Aを200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル50g、メタクリル酸ラウリル20g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン20g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン9.0g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.66gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.22gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.11gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B100gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が3.81質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、2.41質量%であった。
【0078】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B100gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、83,200mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0079】
合成例9
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0080】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
メタクリル酸メチルの仕込み量を50gから70gに、メタクリル酸ラウリルの仕込み量を20gから50gに、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を20gから100gに、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を9.0gから30gに、第一回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.66gから1.67gに、第二回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.22gから0.56gに、第三回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.11gから0.28gに変更した他は、合成例8と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B252gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が6.63質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、4.78質量%であった。
【0081】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B252gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、32,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0082】
合成例10
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0083】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
メタクリル酸メチルの仕込み量を50gから10gに、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を20gから120gに、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を9.0gから40gに、第一回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.66gから1.27gに、第二回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.22gから0.42gに、第三回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.11gから0.21gに変更した他は、合成例8と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B192gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が10.79質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、7.55質量%であった。
【0084】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B192gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、7,800mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0085】
合成例11
[硬化性シリコーン系樹脂Aの製造]
反応容器内で、「PMLS4012」(旭硝子ウレタン社製、ポリオキシプロピレンポリオール、数平均分子量10,000、1000g)、イソホロンジイソシアネート(47.5g)及びジオクチルスズジバーサテート(50mg)を仕込み、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で3時間反応させて、主鎖がオキシアルキレン重合体でありその分子内にイソシアネート基を有するウレタン系樹脂を得た。そして、合成例2で得られたシリル化剤(42.2g)を、この反応容器内に添加し、窒素雰囲気下にて撹拌混合しながら、80℃で1時間反応させた。このシリル化剤では末端イソシアネート基の0.5モル当量がシリル化されただけなので、過剰のメタノールを添加して末端をウレタン化した。これにより、主鎖がオキシアルキレン重合体を主体として、主鎖中にウレタン結合及び置換尿素結合を持ち、末端にトリメトキシシリル基が結合されてなる硬化性シリコーン系樹脂Aを得た。この硬化性シリコーン系樹脂Aは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が0.27質量%であった。なお、23℃における硬化性シリコーン系樹脂Aの粘度は96,000mPa・s(BH型粘度計、No.7ローター、10回転)であり、外観は透明であった。
【0086】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
メタクリル酸メチルの仕込み量を50gから75gに、メタクリル酸ラウリルの仕込み量を20gから50gに、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を20gから10gに、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランの仕込み量を9.0gから14gに、第一回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.66gから0.99gに、第二回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.22gから0.33gに、第三回の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の仕込み量を0.11gから0.17gに変更した他は、合成例8と同様にして、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B150gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が2.25質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、0.80質量%であった。
【0087】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B150gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、150,000mPa・sであり、外観は淡黄色透明であった。
【0088】
合成例12
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
市販の変成シリコーン樹脂「SAT200」(カネカ社製)を、硬化性シリコーン系樹脂Aとして準備した。上記比較例3で説明したように、SAT200」は、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が0.30質量%である。
【0089】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂Aを200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル87.6g、アクリル酸ブチル7.8g、メタクリル酸ステアリル17.5g、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン7.2g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン9.3g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.59gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.86gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.43gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B133gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が1.74質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、0.65質量%であった。
【0090】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B133gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、128,000mPa・sであり、外観は黄色透明であった。
【0091】
合成例13
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0092】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂Aを200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン12.0g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン4.0g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.32gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.11gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.05gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂B16gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、メチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が12.60質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているメチルジメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、8.82質量%であった。
【0093】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂B16gの混合物を得た。この混合物について、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、42,800mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0094】
実施例7
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド0.3質量部及び三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0095】
実施例8
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例9で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0096】
実施例9
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例10で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0097】
比較例4
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例11で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0098】
比較例5
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例12で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0099】
比較例6
合成例8で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物に代えて、合成例13で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物を使用した他は、実施例7と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0100】
実施例7〜9及び比較例4〜6で得られた硬化性樹脂組成物について、実施例1で採用した方法で、捩じり接着強さ試験及び硬度試験を行った。この結果を表2に示した。
【0101】
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
捩じり接着強さ 硬度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例7 0.49 95
実施例8 0.39 80
実施例9 0.49 95
比較例4 0.05 20
比較例5 0.09 25
比較例6 0.13 60
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0102】
実施例7〜9と比較例4との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Aとして、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が高いものに比べて、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が低いものを使用すると、捩じり接着強さが極端に低下していることが分かる。また、実施例7〜9と比較例5との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Bとして、加水分解性珪素基基由来の珪素原子含有率を高いものに比べて、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が低いものを使用すると、捩じり接着強さが極端に低下していることが分かる。さらに、実施例7〜9と比較例6との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Bとして、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が高すぎるものを使用したときも、捩じり接着強さが低下していることが分かる。
【0103】
合成例14
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0104】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
反応容器に、上記硬化性シリコーン系樹脂Aを200g入れ、窒素雰囲気下、80℃まで昇温した。そこに、メタクリル酸メチル75g、メタクリル酸ラウリル50g、メタクリル酸グリシジル8.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン14g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン14g及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.07gを混合したモノマー混合液を30分かけて滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.36gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。次いで、80℃で30分反応させた後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.18gとメチルエチルケトン10gの混合溶液を滴下し、重合反応を行った。さらに、80℃で30分反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することで、硬化性シリコーン系樹脂A中で硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体162gを得た。硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体162gの混合物は、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、160,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。
【0105】
硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体162gの混合物から、100gを別の反応容器に入れ、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)2.7gを添加して、窒素雰囲気下、50℃まで昇温した。さらに50℃で1時間攪拌し、硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体に含まれるエポキシ基と3−アミノプロピルトリメトキシシランのアミノ基を反応させ、硬化性シリコーン系樹脂B48gを得た。得られた硬化性シリコーン系樹脂Bは、トリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率が2.99質量%であった。さらに、硬化性シリコーン系樹脂Bの側鎖に結合しているトリメトキシシリル基由来の珪素原子含有率は、1.83質量%であった。
【0106】
以上のようにして、硬化性シリコーン系樹脂A55gと硬化性シリコーン系樹脂B48gの混合物を得た。この混合物の外観は淡黄色半透明であった。
【0107】
合成例15
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
合成例3で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aを準備した。
【0108】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用いる他は、合成例14と同一の方法で硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体を得、その後も、合成例14と同一の方法で硬化性シリコーン系樹脂Bを得た。硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体162gの混合物は、ロータの回転数を4回転に変更した他は、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、666,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。また、硬化性シリコーン系樹脂A55gと硬化性シリコーン系樹脂B48gの混合物の外観は淡黄色透明であった。
【0109】
合成例16
[硬化性シリコーン系樹脂Aの準備]
市販の変成シリコーン樹脂「Excestar G3440ST」(旭硝子社製)を、硬化性シリコーン系樹脂Aとして準備した。
【0110】
[硬化性シリコーン系樹脂A中での硬化性シリコーン系樹脂Bの製造]
上記の硬化性シリコーン系樹脂Aを用いる他は、合成例14と同一の方法で硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体を得、その後も、合成例14と同一の方法で硬化性シリコーン系樹脂Bを得た。硬化性シリコーン系樹脂A200gと硬化性シリコーン系樹脂Bの前駆体162gの混合物は、合成例1の場合と同様の条件で粘度を測定したところ、37,000mPa・sであり、外観は淡黄色半透明であった。また、硬化性シリコーン系樹脂A55gと硬化性シリコーン系樹脂B48gの混合物の外観は淡黄色透明であった。
【0111】
実施例10
合成例14で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)7.3質量部と、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0112】
実施例11
合成例14で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用した他は、実施例10と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0113】
実施例12
合成例14で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例16で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用し、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部に代えて、ジブチル錫ジメトキシド0.5質量部を配合した他は、実施例10と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0114】
比較例7
合成例14で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例3で得られた硬化性シリコーン系樹脂A100質量部を使用し、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)の配合量を10.0質量部に変更した他は、実施例10と同様にして硬化性樹脂組成物を得た。
【0115】
実施例10〜12及び比較例7で得られた硬化性樹脂組成物について、実施例1で採用した方法で、捩じり接着強さ試験及び硬度試験を行った。この結果を表3に示した。
【0116】
[表3]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
捩じり接着強さ 硬度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例10 0.45 80
実施例11 0.39 87
実施例12 0.51 75
比較例7 0.05 69
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0117】
実施例10〜12と比較例7との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bを併用した場合に比べて、硬化性シリコーン系樹脂Bを使用しない場合には、捩じり接着強さが極端に低下していることが分かる。
【0118】
実施例13
合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アルコキシシランモノマーとしてn−プロピルシリケート10質量部と、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0119】
実施例14
合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例3で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用した他は、実施例13と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0120】
実施例15
合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例14で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用した他は、実施例13と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0121】
実施例16
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アルコキシシランモノマーとしてn−プロピルシリケート10質量部と、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0122】
実施例17
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アルコキシシランオリゴマーとしてシリコーンアルコキシオリゴマー(信越化学工業社製、「KC−89S」)10質量部と、アミノシラン化合物として3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)10質量部と、硬化触媒としてジブチル錫ジメトキシド0.5質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0123】
実施例18
アルコキシシランモノマーとしてn−プロピルシリケートに代えて、ヘキシルトリエトキシシランを配合した他は、実施例16と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0124】
実施例19
アルコキシシランモノマーとしてn−プロピルシリケートに代えて、ビニルトリエトキシシランを配合した他は、実施例16と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0125】
実施例20
実施例16の硬化性樹脂組成物に、さらに充填材として特殊焼成クレー(バーゲス・ピグメント社製、「オプチホワイト」)を40質量部配合して、硬化性樹脂組成物を得た。
【0126】
実施例21
合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例6で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用した他は、実施例13と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0127】
比較例8
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、合成例7で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部を使用した他は、実施例17と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0128】
比較例9
合成例15で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に代えて、市販の変成シリコーン樹脂「SAT200」(カネカ社製)100質量部を使用した他は、実施例13と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。なお、前記比較例3の箇所で説明したように、変成シリコーン樹脂「SAT200」は、硬化性シリコーン系樹脂Aに対応する。
【0129】
実施例13〜20及び比較例8〜9で得られた硬化性樹脂組成物について、実施例1で採用した方法で、捩じり接着強さ試験及び硬度試験を行った。この結果を表4に示した。
【0130】
[表4]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
捩じり接着強さ 硬度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例13 0.49 90
実施例14 0.61 80
実施例15 0.68 90
実施例16 0.52 81
実施例17 0.51 82
実施例18 0.52 81
実施例19 0.53 91
実施例20 0.43 92
実施例21 0.38 73
比較例8 0.19 41
比較例9 0.10 28
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0131】
実施例13〜21と比較例8との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂Bとして、加水分解性珪素基基由来の珪素原子含有率を高いものに比べて、加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が低いものを使用すると、捩じり接着強さが半減以下低下していることが分かる。また、実施例13〜21と比較例9との対比から明らかなように、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bを併用した場合に比べて、硬化性シリコーン系樹脂Bを使用しない場合には、捩じり接着強さが極端に低下していることが分かる。
【0132】
実施例22
合成例4で得られた硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bの混合物100質量部に、アミノシラン化合物としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM603」)10質量部と、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部とを配合し、硬化性樹脂組成物を得た。
【0133】
実施例23
アミノシラン化合物としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM603」)10質量部に代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)20質量部を配合した他は、実施例22と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0134】
実施例24
アミノシラン化合物としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM603」)10質量部に代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)5質量部を配合した他は、実施例22と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0135】
実施例25
アミノシラン化合物を使用しない他は、実施例22と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。ただし、硬化触媒である三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体は、テトラヒドロフラン2質量部に溶解させて用いた。
【0136】
実施例26
アミノシラン化合物としてN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM603」)に代えて、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM903」)配合し、硬化触媒として三フッ化ホウ素のモノエチルアミン錯体0.1質量部に代えて、ジブチル錫ジメトキシド0.5質量部を配合した他は、実施例22と同様にして、硬化性樹脂組成物を得た。
【0137】
実施例22〜26で得られた硬化性樹脂組成物について、実施例1で採用した方法で、捩じり接着強さ試験及び硬度試験を行った。この結果を表5に示した。
【0138】
[表5]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
捩じり接着強さ 硬度
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例22 0.35 62
実施例23 0.54 80
実施例24 0.32 60
実施例25 0.33 58
実施例26 0.56 77
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【0139】
実施例22〜26の結果から、所定の加水分解性珪素基基由来の珪素原子含有率を持つ硬化性シリコーン系樹脂Aと硬化性シリコーン系樹脂Bとを併用した硬化性樹脂組成物は、高い捩じり接着強さを持つことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】はく離接着強さの意味を説明するための模式的断面図である。
【図2】捩じり接着強さの意味を説明するための模式的平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主鎖がオキシアルキレン重合体を主体とし末端に加水分解性珪素基が結合しており、該加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が0.35〜2.00質量%である硬化性シリコーン系樹脂Aと、
主鎖がビニル重合体を主体とし末端及び側鎖に加水分解性珪素基が結合しており、該加水分解性珪素基由来の珪素原子含有率が2.20〜11.50質量%である硬化性シリコーン系樹脂Bとが、
硬化性シリコーン系樹脂A:硬化性シリコーン系樹脂B=30〜80:70〜20(質量比)の割合で配合されてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
硬化性シリコーン系樹脂Bは、ホモポリマーのTgが60℃以上で加水分解性珪素基を含有しないビニル重合性不飽和基含有化合物と、加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物と、加水分解性珪素基を含有する連鎖移動性基含有化合物とが共重合されてなるものであり、かつ、該加水分解性珪素基を含有するビニル重合性不飽和基含有化合物由来の珪素原子含有率が0.8質量%以上である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
硬化性シリコーン系樹脂A及び/又は硬化性シリコーン系樹脂Bに含まれる加水分解性珪素基の少なくとも一部がトリアルコキシシリル基であって、加水分解性珪素基由来の全珪素原子に対する、該トリアルコキシシリル基由来の珪素原子率が10質量%である請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの合計100質量部に対して、下記一般式(1)で表されるアルコキシシランモノマー及び/又は該アルコキシシランモノマーの加水分解重合物であるアルコキシシランオリゴマーが0.1〜30質量部配合されてなる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Xはビニル基、炭素数1〜18のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基よりなる群から選ばれる基を表し、Rは各々独立して炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
【請求項5】
硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bの合計100質量部に対して、分子内に1個以上のアミノ基と1個以上の加水分解性珪素基を有するアミノシラン化合物が1.0〜30質量部、及び、硬化性シリコーン系樹脂A及び硬化性シリコーン系樹脂Bを硬化させるための硬化触媒が0.001〜5.0質量部を配合されてなる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、充填材が配合されてなる請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
50℃及び相対湿度95%の条件下で、3日間養生後の硬化物の硬度が、デュロメーターA硬度計で50以上である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を主体とする室温硬化性接着剤組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−275157(P2009−275157A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129048(P2008−129048)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000105648)コニシ株式会社 (217)
【Fターム(参考)】