説明

硬化性組成物および光情報媒体

【課題】低粘度であり、硬化性がよく、高弾性率で低反り特性に優れる硬化性組成物、ならびにその硬化性組成物の硬化物を光透過層に用いた光情報媒体を提供する。
【解決手段】次の成分a1、a2、a3およびa4から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)、成分A以外の(メタ)アクリレート(成分B)、ならびに光重合開始剤(成分C)を含有する硬化性組成物。成分a1)2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート、成分a2)数平均分子量が400を超える1種以上の多価アルコール、成分a3)数平均分子量が400以下の1種以上の多価アルコール、成分a4)水酸基含有(メタ)アクリレート。その硬化性組成物の硬化物を光透過層に用いた光情報媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生専用光ディスク、記録型光ディスクなどの光情報媒体に関し、またその光透過層を形成するために用いられる硬化性組成物であって、低粘度であり、硬化性がよく、高弾性率で低反り特性に優れる硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究が進められている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後、デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、更なる大容量の光ディスクが必要とされる。そこで、表面に情報記録面が形成された支持基体の情報記録面上の光透過層を0.1mm厚とし、レンズ開口数NAが0.85程度で、記録、再生のレーザー光の波長を400nm程度とした高密度光ディスクシステムが提案され、実用化されている。
【0004】
この0.1mm厚の光透過層の形成方法としては、液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布した後、活性エネルギー線の照射により硬化させて光透過層を形成する方法が開発されている(特許文献1)。
【0005】
また、機械物性に優れ、高密度光ディスクの0.1mm厚の光透過層に使用できる硬化性組成物が開発されている(特許文献2〜5)。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された特定の数平均分子量を有するポリカーボネートジオールから合成されたウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物については、更なる硬化性の向上と、硬化物における弾性率の向上とが求められていた。
【0007】
また、特許文献3〜5に記載の硬化性組成物を光透過層に用いた場合、紫外線硬化時の硬化性が悪いことがあり、紫外線硬化時の硬化収縮によって高密度光ディスクの反りが大きくなってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−85836号公報
【特許文献2】特開2008−192217号公報
【特許文献3】特開平7−62267号公報
【特許文献4】特開平6−145276号公報
【特許文献5】特開平3−265669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、低粘度であり、硬化性がよく、高弾性率で低反り特性に優れる硬化性組成物、ならびにその硬化性組成物の硬化物を光透過層に用いた、再生専用光ディスクおよび記録型光ディスクなどの光情報媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により、次に示す成分a1、a2、a3およびa4から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)、成分A以外の(メタ)アクリレート(成分B)、ならびに光重合開始剤(成分C)を含有する硬化性組成物が提供される。
成分a1)2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート。
成分a2)数平均分子量が400を超える1種以上の多価アルコール。
成分a3)数平均分子量が400以下の1種以上の多価アルコール。
成分a4)水酸基含有(メタ)アクリレート。
【0011】
また、本発明により表面に情報記録面が形成された支持基体の情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が前述の硬化性組成物の硬化物である光情報媒体が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、低粘度であり、硬化性がよく、高弾性率で低反り特性に優れる硬化性組成物、ならびにその硬化性組成物の硬化物を光透過層に用いた、再生専用光ディスクおよび記録型光ディスクなどの光情報媒体が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレート(成分A)、成分A以外の(メタ)アクリレート(成分B)、および光重合開始剤(成分C)を含有する。
【0014】
[成分A]
硬化性組成物を構成する成分Aは、次に示す成分a1、a2、a3およびa4から合成される。
成分a1)2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート。
成分a2)数平均分子量が400を超える1種以上の多価アルコール。
成分a3)数平均分子量が400以下の1種以上の多価アルコール。
成分a4)水酸基含有(メタ)アクリレート。
【0015】
成分Aは、硬化性組成物に低収縮性を付与する成分であり、またその硬化物に強靭性や可とう性を付与するための成分である。
【0016】
<成分a1>
成分a1は、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネートであり、本硬化性組成物の硬化物に可とう性を付与するための成分である。
【0017】
成分a1としては、例えば、デグサ社より市販されているVESTANAT TMDI(商品名)が挙げられる。これは、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの質量比が60/40の混合物である。
【0018】
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲であれば、成分a1以外のイソシアネート化合物を成分a1と併用することができる。
【0019】
成分a1以外のイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
【0020】
<成分a2>
成分a2は、数平均分子量が400を超える1種以上の多価アルコールであり、例えば、市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。成分a2は、得られる硬化物を光情報媒体の光透過層として使用した際の光情報媒体の反りを小さくするための成分である。
その具体例としては、
ポリエチレングリコール(繰返し単位数9以上)、ポリプロピレングリコール(繰返し単位数7以上)、ポリテトラメチレングリコール(繰返し単位数6以上)、などのポリエーテルポリオール類;
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAなどの多価アルコール類とコハク酸、フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸などの多塩基酸類またはこれら多塩基酸の酸無水物類との反応によって得られるポリエステルポリオール類;
これら多価アルコール類と、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類との反応によって得られるポリカプロラクトンポリオール類;
例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートおよびジブチルカーボネートの少なくとも1種のジアルキルカーボネートと、例えば1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオールおよび2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオールの少なくとも1種の直鎖構造、分岐構造または脂環式構造を持った各種アルキレンジオールとの反応により得られ分子量が400を越えるポリカーボネートジオール類、
などが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0021】
これらの中でもポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンポリオール類は、得られた硬化物の強伸度バランスに優れることから、硬化物を光情報媒体の光透過層として使用した際の光情報媒体の低反り特性に優れる。
【0022】
<成分a3>
成分a3は、数平均分子量が400以下の1種以上の多価アルコールであり、例えば、市販されている各種の多価アルコール類が使用可能である。成分a3は、得られる組成物の硬化性と硬化物の弾性率とを向上させるための成分である。
その具体例としては、
ポリエチレングリコール(繰返し単位数8以下)、ポリプロピレングリコール(繰返し単位数6以下)、ポリテトラメチレングリコール(繰返し単位数5以下)、などのポリエーテルポリオール類;
ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、2,4−ジエチルペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの多価アルコール類と、コハク酸、アジピン酸等との反応によって得られるポリエステルポリオール類;
環状ヒドロキシカルボン酸エステルとアンモニア、または1個の第一級もしくは第二級アミノ窒素を含む化合物との反応によって得られるアミドポリオール類、具体的にはN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド
が挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
これらの中でも、ジエチレングリコール(分子量:106.1)、トリエチレングリコール(分子量:150.2)、プロピレングリコール(分子量:76.1)、ジプロピレングリコール(分子量:134.2)、トリプロピレングリコール(分子量:192.3)、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド(分子量:165.1)は、組成物の硬化性が良好となり、得られた硬化物の弾性率を高くすることから、硬化物を光情報媒体の光透過層として使用した際の光情報媒体の寸法安定性に優れる。
【0024】
<成分a4>
成分a4としては、具体的には、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と少なくとも1個の水酸基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートであればよく、特に限定されない。
【0025】
その具体例としては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトンの付加物
などが挙げられる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
【0026】
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートは、硬化性組成物が低粘度となり、塗布作業性を良好にする上で特に好ましい。
【0027】
<成分Aの合成法>
成分Aの合成手法には、従来から知られる、イソシアネートと多価アルコールと水酸基含有(メタ)アクリレートとからウレタン(メタ)アクリレートを合成する手法を適宜使用できる。これにより、ジイソシアネート(成分a1)と多価アルコール(成分a2およびa3)と水酸基含有(メタ)アクリレート(成分a4)との反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)を得ることができる。
【0028】
具体的には、例えば、フラスコ内に、2モルのジイソシアネート(成分a1)を仕込み、更にジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテートなどの公知の触媒を総仕込量に対して50〜300ppmを混合し、フラスコ内温度を40〜70℃に保ちながら、滴下ロートを用いて1モルのジオール化合物(成分a2およびa3)を2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマー末端に残存するイソシアネート基に、当量の水酸基含有(メタ)アクリレート(成分a4)を滴下し、フラスコ内温60〜75℃で付加反応させる。また、重合禁止剤などの添加剤を適宜用いることができる。
【0029】
なお、本発明において、成分a2の使用割合は、硬化性組成物が硬化する際の硬化収縮率の低減の観点から、成分a2と成分a3の合計100モル%中20モル%以上が好ましく、硬化物の機械物性向上の観点から98モル%以下が好ましい。さらに下限については40モル%以上がより好ましく、上限については90モル%以下がより好ましい。
【0030】
<成分Aの使用割合(成分AおよびBの合計量に対して)>
本発明において、成分Aの使用割合は、成分Aおよび成分Bの合計100質量%を基準として、20質量%以上が好ましく、80質量%以下が好ましい。さらに下限については30質量%以上がより好ましく、上限については70質量%以下がより好ましい。
【0031】
成分AおよびBの合計量に対する成分Aの含有量が20質量%以上の場合には、硬化性組成物が硬化する際の硬化収縮率の低減効果が優れて発現し、かつ得られる硬化物の可とう性が優れる。また、上記成分Aの含有量が80質量%以下の場合には、得られる組成物の液粘度が低くなり、基材への塗工作業性に優れる。
【0032】
[成分B]
成分Bは、硬化性組成物の粘度を調整し、その硬化物に強靭性、可とう性、低収縮性および耐擦傷性を付与するための成分である。
【0033】
成分Bとしては、例えば、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレートおよびエポキシポリ(メタ)アクリレート等であって成分A以外のものが挙げられる。
【0034】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートおよびカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0035】
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルオキシ水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(付加数;2〜5)のジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレートおよび1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0036】
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレートおよびブトキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0037】
成分A以外のウレタン(メタ)アクリレートは分子内に(メタ)アクリロイル基とウレタン基を有する化合物であり、例えば、
イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、
ポリプロピレングリコール類、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトンポリオール類、ポリカーボネートジオール類、テトラヒドロフラン−ネオペンチルグリコール共重合体類、アミドジオール類などの多価アルコールと、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレートと
から合成される化合物が挙げられる。
【0038】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸などの多塩基酸と、
エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコールと、
(メタ)アクリル酸またはその誘導体と
の反応で得られる化合物が挙げられる。
【0039】
エポキシポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレートおよびノボラック型エポキシジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0040】
成分Bは単独で、または二種以上を併用して使用できる。
【0041】
上記成分Bの中で、硬化物の機械物性向上の点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシレーテッドビスフェノールA、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが好ましい。ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシレーテッドビスフェノールA、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。
【0042】
<成分Bの使用割合(成分AおよびBの合成量に対して)>
本発明において、成分Bの使用割合は、成分Aおよび成分Bの合計100質量%を基準として、20質量%以上が好ましく、80質量%以下が好ましい。さらに下限については30質量%以上がより好ましく、上限については70質量%以下がより好ましい。
【0043】
成分Bの含有量の下限値が20質量%以上の場合には、得られる組成物の液粘度が低くなり、基材への塗工作業性が優れる。また、その上限値が80質量%以下の場合には、組成物の硬化収縮率の低減効果が優れて発現し、かつ得られる硬化物の可とう性が優れる。
【0044】
[成分C]
成分Cは、硬化性組成物を活性エネルギー線照射により効率よく硬化させるための成分である。
【0045】
成分Cとしては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−[2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−エチル]−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−[1−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−1−メチルエチル]−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メトキシ−1−(4−[1−[4−(2−メトキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−エチル]−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メトキシ−1−[4−[4−(2−メトキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メトキシ−1−[4−[4−(2−メトキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンが挙げられる。
【0046】
これらの中で、硬化性組成物の硬化性およびその硬化物の難黄変性の点で、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−1−[4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−[2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−エチル]−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
【0047】
成分Cは単独で、または二種以上を併用して使用できる。
【0048】
<成分Cの使用割合(成分AおよびBの合計量に対して)>
本発明において、成分Cの使用割合は、成分Aおよび成分Bの合計100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、10質量部以下が好ましい。さらに下限については1質量部以上がより好ましく、上限については8質量部以下がより好ましい。
【0049】
成分Cの含有量が0.1質量部以上の場合には、硬化性組成物の硬化性が優れる。また、その含有量が10質量部以下の場合には、硬化性組成物の深部硬化性、硬化物の難黄変性および光透過層の膜厚安定性が優れる。
【0050】
[他の成分(添加剤)]
本発明において、硬化性組成物は前述の成分A、成分B、および成分Cを含有する。
【0051】
本発明においては、本発明の特性が損なわれない範囲で、硬化性組成物中に、例えば、熱重合開始剤、酸化防止剤や光安定剤、光増感剤、熱可塑性樹脂、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラーおよび表面有機化処理した無機フィラーなどの公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0052】
前記の酸化防止剤や光安定剤を配合する場合の配合量は特に限定されないが、それぞれ、成分A、成分Bおよび成分Cの合計100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下が好ましく、0.01質量部以上3質量部以下がより好ましい。
【0053】
[光情報媒体]
硬化性組成物を光情報媒体の光透過層を形成する材料として用いる場合は、ダストやゲル物などの異物の存在による読み取りまたは書き込みエラーを防止するために、5μm以上、好ましくは1μm以上の異物を除去できるろ過フィルターを用いて硬化性組成物をろ過することが好ましい。
【0054】
ろ過フィルターの素材としては、例えば、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンおよびナイロンが挙げられる。
【0055】
光透過層に気泡が存在しても読み取りまたは書き込みエラーの原因となるため、硬化性組成物は予め真空、超音波振動もしくは遠心回転条件下、またはその組み合わせの条件下において、脱気を行うことが好ましい。
【0056】
硬化性組成物は活性エネルギー線を照射することにより硬化させることができる。
【0057】
活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線および可視光線が挙げられる。
【0058】
硬化性組成物は、支持基体上に形成された情報記録面の上に、スピンコート法、スプレーコート法、ブラシコート法などの公知の塗工方法で塗工することができる。その結果、情報記録面上に硬化性組成物の塗膜が形成される。
【0059】
上記で得られた塗膜を、活性エネルギー線により硬化し、情報記録面上に硬化性組成物の硬化物からなる光透過層を形成し、光記録媒体を得ることができる。
【0060】
上記の塗膜に活性エネルギー線を照射する雰囲気としては、空気中または窒素、アルゴンなどの不活性ガス中のいずれでもよいが、製造コストの点で空気中が好ましい。
【0061】
光透過層の厚みは、光情報媒体の表面を優れて保護するためには、0.5μm以上が好ましく、光情報媒体の反りを優れて抑制するためには、300μm以下の厚みになるようにすることが好ましい。
【0062】
高温高湿条件下においても光透過層の膜厚変化を小さくするために、硬化性組成物を90%以上の反応率となるよう硬化させることが好ましい。反応率が90%以上であれば、光透過層中に残存する未反応のジ(メタ)アクリレート類や光重合開始剤が経時的に揮発することを優れて抑制でき、膜厚が減少するのを優れて小さくできる傾向にある。硬化性組成物の反応率は93%以上であることがより好ましく、95%以上が更に好ましい。
【0063】
硬化性組成物の硬化物の23℃における破断伸度と引張弾性率は、それぞれ5%以上80%以下、200MPa以上1500MPa以下であることが好ましく、より好ましくは、10%以上70%以下、300MPa以上1300MPa以下である。
破断伸度が5%以上だと、得られる光情報媒体の反りが小さくなる傾向にあり、また80%以下だと得られる硬化物の弾性率が高くなる傾向にある。
引張弾性率が200MPa以上だと、得られる硬化物の硬度が高くなる傾向にあり、また、1500MPa以下だと得られる光情報媒体の反りが小さくなる傾向にある。
【0064】
23℃における破断伸度と引張弾性率を、それぞれ5%以上80%以下、50MPa以上1500MPa以下にするためには、好ましくは紫外線の積算光量を500mJ/cm2以上、より好ましくは1000mJ/cm2以上、更に好ましくは2000mJ/cm2以上の条件で紫外線を照射して、硬化性組成物を硬化させる。
【0065】
硬化性組成物の反応率を測定する方法としては、例えば、赤外分光法により(メタ)アクリロイル基の二重結合ピーク面積とカルボニル基のピーク面積の比から算出して残存量を測定する方法、硬化物の弾性率、Tgなどの物理特性の飽和度から測定する方法およびゲル分率により架橋度合いを測定する方法が挙げられる。
【0066】
上記方法の中で、硬化物中に残存する膜厚減少の原因となる残渣を定量しやすい点で、ゲル分率を測定する方法が好ましい。ゲル分率の測定方法としては、例えば、硬化物を粉砕し、溶剤で未硬化成分を抽出後、乾燥させて、その重量変化によりゲル分率を測定する方法が挙げられる。
【0067】
本発明の光情報媒体は支持基体上に情報記録面を有し、この情報記録面上に光透過層を有する構造を具備している。また、この光透過層を通して記録光または再生光が入射して、情報記録面に情報を記録したり、情報記録面の情報を読み出したりできる光情報媒体である。
【0068】
<支持基体>
支持基体としては、光情報媒体の支持基体として用いられる材料を適宜用いることができる。例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、プラスチックおよびこれらの複合材料が挙げられる。特に、従来の光ディスク製造プロセスを利用できる点で、メチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂が好適である。
【0069】
<情報記録面>
情報記録面の材料としては特に限定されず、読み取り専用型媒体、相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体などに適用可能な材料を必要に応じて使用することができる。例えば、金、銀、銀・Pd・Cu合金、銀・In・Te・Sb合金、銀・In・Te・Sb・Ge合金、アルミニウム、Al・Ti合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金、Tb・Fe・Co合金および色素が使用可能である。
【0070】
情報記録面の少なくとも一方の側に、情報記録面の保護やレーザー光の反射率を変化させるといった光学的効果を目的として、SiN、ZnS、SiO2などの誘電体層を設けることができる。
【0071】
<光透過層>
光透過層は前述の硬化性組成物の硬化物であって、その厚みは0.5μm以上300μm以下が好ましく、1μm以上200μm以下がより好ましく、1.5μm以上150μm以下が更に好ましい。
【0072】
また、光透過層は情報記録面上への記録および再生のために400nm程度のレーザー光に対する透明性を有していることが好ましい。
【実施例】
【0073】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、以下における「部」は「質量部」を意味する。
【0074】
まず初めに、実施例における評価項目およびその評価方法を以下に示す。
(1)粘度(単位:mPa・s)
硬化性組成物の粘度をE型粘度計「TVE−20」(商品名、東機産業(株)製)にて25℃で測定した。判定は、組成物をスピンコート法にて形成するのに作業性が良好となる2000mPa・s以下を基準とした。
○ 2000mPa・s以下
× 2000mPa・sを上回る
[評価用光情報媒体]
以下のようにして、評価用光情報媒体を製造した。
【0075】
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15質量%)を射出成型して得た光ディスク形状を有する透明円盤状鏡面基板(直径12cm、板厚1.1mm)の片面に、Ag98Pd1Cu1(原子比)合金を膜厚20nmとなるようにスパッタリング法にて製膜し、鏡面に銀合金反射膜を有する評価用光ディスク基材を得た。得られた基材の銀合金反射膜上に、硬化性組成物を、雰囲気温度23℃、相対湿度50%の環境下、スピンコーターを用いて塗工した。塗工面の上方より、フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製、Dバルブランプを用いて、積算光量1000mJ/cm2のエネルギー量(オーク(株)製UV−350にて測定)で紫外線を照射、塗膜を硬化させて、平均膜厚がほぼ100μmの硬化物層を有する評価用光ディスクを得た。
(2)硬化性
得られた評価用光ディスクの硬化物に対し、塗布面と光ディスクの端面のべたつき具合を指触にて判定した。
○ 塗布面、ならびに端面ともにべたつきがない
× 塗布面にべたつきはないが、端面がべたつく
(3)引張弾性率
評価用光ディスクから剥離させた硬化物層から、10mm×100mm×100μmの試験片を切り出し、標線間距離を50mm、引張速度20mm/分とすること以外は、JIS K7127:1999に準拠し、23℃、相対湿度50%の環境下において、引張弾性率(単位:MPa)を測定した。判定は、得られる光透過層が充分な硬度を持つ200MPa以上、反りが小さくなる1500MPa以下を基準とした。
<引張弾性率>
○ 200MPa以上1500MPa以下
× 200MPaを下回る、または1500MPaを超える
(4)光ディスクの寸法安定性
作製した評価用光ディスクの初期反り角(単位:度)を、光ディスク光学機械特性測定装置「DLD−3000」(商品名、ジャパンイーエム株式会社製)を用い、25℃、相対湿度50%環境下にて、半径55mm位置での値を測定した。なお評価については、鏡面に銀合金反射膜を有する評価用光ディスク基材の反り角との差を算出した。なお、判定は得られる光情報媒体が問題なく再生、記録できる反り角の差である0.30度以下を基準とした。
【0076】
○ 反り角の差が0.30度以下
× 反り角の差が0.30度を越える
〔合成例1〕(ウレタンアクリレートUA1(成分A)の製造)
5リットルの4つ口フラスコに、イソシアネート成分としてデグサ製VESTANAT TMDI(商品名)(2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの質量比が60/40の混合物)(成分a1)630g(3.0モル)を、および触媒としてジブチル錫ジオクテート0.55g(総仕込量に対して300ppm)を仕込んでウォーターバスでフラスコ内温が70℃になるように加熱した。次いで、フラスコ内温を70℃に保ち、得られた混合物を撹拌しながら、この混合物中に、多価アルコール成分としてポリテトラメチレングリコール「PTG850SN」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量850)(成分a2)695g(0.8モル)およびN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド(数平均分子量165)(成分a3)33g(0.2モル)の均一溶液を、40℃に保温した状態で側管付きの滴下ロートを用いて4時間の等速滴下で加え、更に、同温度(70℃)で2時間攪拌して反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。その後、フラスコ内温を75℃に上げ、フラスコ内温を75℃に保ちながら、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート(成分a4)465g(4.0モル)および重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.9gの均一混合溶液を、滴下ロートを用いて2時間の等速滴下で加え、更に、フラスコ内温を75℃に保ちながら、4時間攪拌してウレタンアクリレートUA1(成分A)を得た。
【0077】
[合成例2](ウレタンアクリレートUA2(成分A)の製造)
イソシアネート成分としてデグサ製VESTANAT TMDI(成分a1)525g(2.5モル)、多価アルコール成分としてポリテトラメチレングリコール「PTG850SN」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量850)(成分a2)550g(0.7モル)およびトリエチレングリコール(数平均分子量150)(成分a3)75g(0.5モル)、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート(成分a4)316g(2.7モル)を用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2(成分A)を製造した。ただし、ジブチル錫ジオクテートおよびハイドロキノンモノメチルエーテルの濃度については、合成例1と異なる。
【0078】
[合成例3](ウレタンアクリレートUA3(成分B)の製造)
ここでは成分Bとして成分A以外のウレタンアクリレートを合成した。
【0079】
イソシアネート成分としてデグサ製VESTANAT TMDI(成分a1に該当)1576(7.5モル)g、多価アルコール(成分a2に該当、成分a3は使用せず)としてポリテトラメチレングリコール「PTG850SN」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量850)2170g(2.5モル)を用い、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート(成分a4に該当)581g(5.0モル)を用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA3(成分B)を製造した。ただし、ジブチル錫ジオクテートおよびハイドロキノンモノメチルエーテルの濃度については、合成例1と異なる。
【0080】
[合成例4](ウレタンアクリレートUA4(成分B)の製造)
ここでは成分Bとして成分A以外のウレタンアクリレートを合成した。
【0081】
イソシアネート成分としてイソホロンジイソシアネート(成分a1に該当せず)1333g(6.0モル)、多価アルコール成分としてポリテトラメチレングリコール「PTG850SN」(商品名、ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量850)(成分a2に該当)1328g(1.6モル)およびN−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド(数平均分子量165)(成分a3に該当)198g(1.2モル)、水酸基含有アクリレート成分として2−ヒドロキシエチルアクリレート(成分a4に該当)760g(6.5モル)を用いる以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA4(成分B)を製造した。ただし、ジブチル錫ジオクテートおよびハイドロキノンモノメチルエーテルの濃度については、合成例1と異なる。
【0082】
上記合成例1〜4のウレタンアクリレート(UA1〜4)の各成分の使用量を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
[実施例1]
硬化性組成物の調製
成分Aとして上記合成例1で得たウレタンアクリレートUA1を45部、成分BとしてジアクリロイルオキシテトラエトキシレーテッドビスフェノールA(4EOBPA)を40部と、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)を15部、および成分Cとして1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤A)5部を混合溶解し、ろ過精度1μmのフィルターでろ過した後、1.3×104Paで脱気をして、硬化性組成物を得た。
【0085】
得られた硬化性組成物およびそれを用いて前述のように製造した評価用光ディスクについての評価結果を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
なお、文中および表中の略号は、以下の化合物を示す。
UA1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA1
UA2:合成例2で得たウレタンアクリレートUA2
UA3:合成例3で得たウレタンアクリレートUA3
UA4:合成例4で得たウレタンアクリレートUA4
4EOBPA:ジアクリロイルオキシテトラエトキシレーテッドビスフェノールA
IBXA:イソボルニルアクリレート
DCPEOA:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
光重合開始剤A:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
光重合開始剤B:2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル] −フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名:イルガキュア127)
光重合開始剤C:2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェノキシ]−フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン
光重合開始剤D:2−ヒドロキシ−1−(4−[2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−フェニル]−エチル]−フェニル)−2−メチル−プロパン−1−オン
[実施例2〜7及び比較例1〜5]
硬化性組成物の組成を表2、表3に示すものとし、それ以外は実施例1と同様にして、評価用光ディスクを作製した。得られた硬化性組成物および評価用光ディスクについて実施例1と同様に評価した。評価結果を表2、表3に示す。
【0088】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次に示す成分a1、a2、a3およびa4から合成されるウレタン(メタ)アクリレート(成分A)、成分A以外の(メタ)アクリレート(成分B)、ならびに光重合開始剤(成分C)を含有する硬化性組成物。
成分a1)2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの少なくとも一方からなるジイソシアネート、
成分a2)数平均分子量が400を超える1種以上の多価アルコール、
成分a3)数平均分子量が400以下の1種以上の多価アルコール、
成分a4)水酸基含有(メタ)アクリレート。
【請求項2】
表面に情報記録面が形成された支持基体の情報記録面上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光および再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報媒体であって、光透過層が請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物である光情報媒体。

【公開番号】特開2010−186506(P2010−186506A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28571(P2009−28571)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】