説明

硬貨包装装置

【課題】重積高さを正確に検知でき、硬貨枚数の過不足を確実に確認できる硬貨包装装置11を提供する。
【解決手段】硬貨重積部24での硬貨Cの重積中から包装手段26での包装完了まで重積した硬貨Cの上面に当接して下方へ押える硬貨押え部45を、硬貨Cの重積高さ検知に利用する。硬貨押え部45の重積方向の移動位置を検知手段56で検知し、硬貨押え部45の重積方向の移動位置から硬貨Cの重積高さを正確に検知する。包装手段26による包装前から包装完了までの期間内のいずれのタイミングにおいても、検知手段56の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を所定枚数重積して包装する硬貨包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、硬貨包装装置では、硬貨通路の計数センサで硬貨を計数しながら硬貨重積部に送り込み、この硬貨重積部で硬貨を下部側から上方に向けて順次重積し、この硬貨重積部で所定枚数の硬貨を重積したら重積硬貨を所定の包装位置まで上昇させ、重積硬貨を3本の包装ローラ間で挟み込んで回転させながら重積硬貨の周面に包装紙を巻き付け、重積硬貨の上下方向からの上下の巻込腕を接近させてこれら上下の巻込腕で包装紙の上下縁を巻き込んで重積硬貨の上下面にかしめ、重積硬貨を包装している。また、硬貨重積部での硬貨の重積中から包装完了までの間、重積硬貨の上面に硬貨押え部を当接させて常に下方へ押え、硬貨の重積が乱れたり崩れるのを防いでいる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような硬貨包装装置では、硬貨通路の計数センサで硬貨の枚数を計数して硬貨重積部に送り込んでいるものの、硬貨通路から硬貨重積部に送り込む硬貨の枚数の過不足や、重積中および包装中における硬貨の落下などにより、硬貨重積部で実際に重積して包装する硬貨の枚数の過不足が発生するおそれがあるため、所定枚数の硬貨を重積した以降に硬貨枚数の過不足を確認している。
【0004】
過不足を確認するには、上下の巻込腕の移動をロータリーエンコーダで検知することにより、重積硬貨の重積高さを検知し、この検知した重積高さから硬貨枚数の過不足を確認している。すなわち、包装後の時点で、重積高さを検知して硬貨枚数の過不足を確認している。
【0005】
また、硬貨重積部で硬貨を重積した後、この重積硬貨を上下の硬貨挟みで挟み込んで包装位置まで水平移動によって搬送し、上下の硬貨挟みを包装位置から初期位置に戻し、包装位置において重積硬貨を包装するようにした硬貨包装装置が知られている。
【0006】
この硬貨包装装置で過不足を検知するには、重積硬貨を上下の硬貨挟みで挟み込んだときの上下の硬貨挟みの移動量から重積高さを検知し、この検知した重積高さから硬貨枚数の過不足を確認している。すなわち、包装前の時点で、重積高さを検知して硬貨枚数の過不足を確認している(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2002−19964号公報(第3−7頁、図1−5)
【特許文献2】特開昭63−272644号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の硬貨包装装置では、包装後の時点か包装前の時点のいずれで、重積硬貨の重積高さを検知して硬貨枚数の過不足を確認していたが、包装後の時点で過不足を確認した場合には、過不足が生じていたときには包装硬貨の包装紙を破ってばら硬貨に戻さなければならず、包装紙が無駄になる問題があり、また、包装前の時点で過不足を確認した場合には、硬貨重積部から包装位置に移動中や包装中に硬貨の乱れや崩れによって一部の硬貨が落下していても確認できない問題がある。
【0008】
また、上下の巻込腕を利用して重積硬貨の重積高さを検知している場合には、包装紙の巻込部分を介して間接的に検知することになるため、包装紙の巻込量の影響を受けやすく、重積硬貨の重積高さを正確に検知できない問題がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、重積高さを正確に検知でき、硬貨枚数の過不足を確実に確認できる硬貨包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の硬貨包装装置は、硬貨を搬送する硬貨通路と、この硬貨通路で搬送してくる硬貨を下部側から上方に向けて順次重積する硬貨重積部と、この硬貨重積部で所定枚数重積した硬貨を包装する包装手段と、前記硬貨の重積方向に移動可能で、前記硬貨重積部での硬貨の重積中から前記包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部と、この硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを検知する検知手段と、前記包装手段による包装前から包装完了までの期間内のいずれのタイミングにおいても、前記検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認可能とする制御部とを具備しているものである。
【0011】
そして、硬貨重積部での硬貨の重積中から包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部を重積高さ検知に利用することにより、検知手段によって硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さが正確に検知されるうえに、包装手段による包装前から包装完了までの期間内のいずれのタイミングにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足が確実に確認され、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨が作成される。
【0012】
請求項2記載の硬貨包装装置は、請求項1記載の硬貨包装装置において、制御部は、包装前のタイミング、包装完了後のタイミング、包装前および包装完了後の両方のタイミングのいずれにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認するものである。
【0013】
そして、包装前のタイミング、包装完了後のタイミング、包装前および包装完了後の両方のタイミングのいずれにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認可能となる。
【0014】
請求項3記載の硬貨包装装置は、請求項1記載の硬貨包装装置において、制御部は、包装手段による包装前の時点から包装完了の時点までの期間中に継続して、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認するものである。
【0015】
そして、包装手段による包装前の時点から包装完了の時点までの期間中に継続して、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認することにより、硬貨枚数の過不足が直ぐに把握され、過不足時の処理に迅速に対応可能となる。
【0016】
請求項4記載の硬貨包装装置は、硬貨を搬送する硬貨通路と、この硬貨通路で搬送してくる硬貨を下部側から上方に向けて順次重積する硬貨重積部と、この硬貨重積部で所定枚数重積した硬貨を包装する包装手段と、前記硬貨の重積方向に移動可能で、前記硬貨重積部での硬貨の重積中から前記包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部と、この硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを検知する検知手段と、前記包装手段による包装中に、前記検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認する制御部とを具備しているものである。
【0017】
そして、硬貨重積部での硬貨の重積中から包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部を重積高さ検知に利用することにより、検知手段によって硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを正確に検知できるうえに、包装手段による包装中に検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足が確実に確認され、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨が作成される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の硬貨包装装置によれば、硬貨重積部での硬貨の重積中から包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部を重積高さ検知に利用することにより、検知手段によって硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを正確に検知できるうえに、包装手段による包装前から包装完了までの期間内のいずれのタイミングにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確実に確認でき、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨を作成できる。
【0019】
請求項2記載の硬貨包装装置によれば、請求項1記載の硬貨包装装置の効果に加えて、包装前のタイミング、包装完了後のタイミング、包装前および包装完了後の両方のタイミングのいずれにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認できる。
【0020】
請求項3記載の硬貨包装装置によれば、請求項1記載の硬貨包装装置の効果に加えて、包装手段による包装前の時点から包装完了の時点までの期間中に継続して、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認することにより、硬貨枚数の過不足を直ぐに把握でき、過不足時の処理に迅速に対応できる。
【0021】
請求項4記載の硬貨包装装置によれば、硬貨重積部での硬貨の重積中から包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部を重積高さ検知に利用することにより、検知手段によって硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを正確に検知できるうえに、包装手段による包装中に検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確実に確認でき、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨を作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1ないし図3に硬貨包装装置11を示し、この硬貨包装装置11は、ばら状態の硬貨を受け入れるとともに回転による遠心力によって1層1列状態で送り出す回転円盤12、およびこの回転円盤12から送り出される硬貨Cを受け入れて搬送する硬貨通路13を備えている。
【0024】
硬貨通路13は、硬貨Cの一面が載る通路底面部材14を有し、この通路底面部材14上で硬貨通路13の両側に通路幅を規制する固定通路部材15および可動通路部材16が配置され、通路底面部材14の上方に硬貨Cを通路底面部材14に押圧しながら搬送する搬送体としての搬送ベルト17が配置されている。
【0025】
可動通路部材16は通路幅方向に移動可能とし、この可動通路部材16の通路幅方向の位置が金種設定手段18により包装金種に対応して調整され、この可動通路部材16の調整により設定された包装金種より大径金種の硬貨Cの硬貨通路13内への進入が規制される。通路底面部材14には、設定された包装金種が通過し、包装金種より小径金種の硬貨Cが落下して排除される排除口19が形成されている。
【0026】
搬送ベルト17は、硬貨通路13の下流側に配置されるプーリ20を含めて複数のプーリにより硬貨通路13に沿って張設されており、回転円盤12から硬貨Cを送り出す速度より速い速度で硬貨Cを受け入れて搬送し、硬貨Cの搬送間隔をあけるように構成されている。
【0027】
硬貨通路13の排除口19より下流位置には、硬貨通路13から下流域へ送り込む包装金種の硬貨Cの通過を検知する通過検知センサS1、硬貨通路13から下流域へ送り込む硬貨Cの枚数を計数する計数センサS2、これらセンサS1,S2の検知に基づいて硬貨通路13から下流域へ送り込む所定の重積枚数目の硬貨Cの次の硬貨Cを停止させるストッパ21が配設されている。
【0028】
また、硬貨通路13の下流域には硬貨通路13から送り込まれる硬貨Cを下部側から上方へ順次重積していって所定枚数の硬貨Cを重積するための硬貨重積部24が形成され、この硬貨重積部24の上側域には硬貨重積部24で所定枚数重積された硬貨Cを包装するための硬貨包装部25が形成されている。これら硬貨重積部24および硬貨包装部25は、重積した硬貨Cを包装する包装手段26が有する3本の包装ローラ27,28,29間の空間内でかつ硬貨通路13の通路面と同一面に配置された重積底面部材30に対して略垂直に形成されており、包装ローラ27,28,29の軸と平行な上下方向を硬貨Cの重積方向としている。
【0029】
包装手段26の3本の包装ローラ27,28,29は、硬貨包装装置11の天板31に支持された垂直方向の軸によって回転可能としている。硬貨重積部24への硬貨Cの送込み方向における奥側に配置された包装ローラ27および硬貨重積部24の手前側で可動通路部材16側に配置された包装ローラ28は、それぞれレバー32,33によって硬貨重積部24の中心に対して接近離反するように移動可能に支持されている。硬貨重積部24の手前側で固定通路部材15側の包装ローラ29は、天板31に対して位置固定に支持され、図示しない包装ローラ用モータによって回転駆動される。
【0030】
硬貨重積部24の奥側で包装ローラ27の下部には、硬貨通路13から硬貨重積部24に送り込まれた硬貨Cの先端位置を硬貨重積部24の重積位置に位置決めする規制部34が包装ローラ27と一体的に移動するように配設され、この規制部34には硬貨Cの積層に伴う上方への移動をガイドするガイドローラ35が回転自在に配設されている。
【0031】
硬貨重積部24の下部には、硬貨重積部24の硬貨Cの送込み方向に回転可能とする一対の重積ローラ36が通路幅方向に離間して配設されている。これら重積ローラ36の周縁には重積底面部材30に形成された開口部37から上方に突出する複数の歯部38が形成され、各歯部38には送り込まれる硬貨Cの先端が係合するエッジ部38a、および外径方向に漸増して硬貨Cの後端側を重積底面部材30より持ち上げる漸増部38bが形成されている。そして、重積ローラ36は、硬貨通路13から硬貨重積部24に送り込まれる硬貨Cで1つの歯部38の垂直エッジ部38aが押動されることで回転し、その硬貨Cの送込み方向の後端を重積ローラ36の回転方向次位の歯部38の漸増部38bによって硬貨通路13の通路底面部材14および重積底面部材30の上面より上昇させ、続いて送り込まれる硬貨Cの送込み方向の先端を硬貨重積部24の最下位の硬貨Cの下側に送り込ませて硬貨Cを重積するように構成されている。したがって、硬貨重積部24で重積される硬貨Cは傾斜状態で重積される。
【0032】
一対の重積ローラ36の間には、重積底面部材30に形成された開口部39から上方に出没する支持部材としての支持ロッド40が配設されている。この支持ロッド40は、図示しない駆動手段によって昇降され、硬貨重積時には下降して重積底面部材30の上面より下方に退避し、重積完了後には上昇して上端の水平な硬貨載せ部41に重積硬貨Cを載せて上方の硬貨包装部25の所定の包装位置まで押し上げる。硬貨載せ部41に重積硬貨Cを載せることで、傾斜状態にあった重積硬貨Cが硬貨包装部25では水平状態になる。重積硬貨Cを硬貨包装部25の所定の包装位置に上昇させたときの支持ロッド40の上昇位置は、金種にかかわらず一定の位置か、金種別に定められた位置とする。
【0033】
重積ローラ36および支持ロッド40が配置される重積底面部材30は、ガイド部材42によって硬貨Cの送込み方向および通路幅方向に対して斜め方向に移動可能に支持され、金種設定手段18により移動して重積ローラ36および支持ロッド40の位置が包装金種に対応した位置に調整される。
【0034】
また、硬貨重積部24の上部には、硬貨重積部24での重積中から硬貨包装部25での包装手段26による包装完了まで重積した硬貨Cの上面を押えて重積状態を維持する硬貨押え手段44が配設されている。この硬貨押え手段44は、硬貨Cの重積方向に移動可能で、重積する硬貨Cの上面に当接して下方へ押える硬貨押え部45を有している。この硬貨押え部45は、硬貨Cより小径の略円柱状で、下面には硬貨重積部24で傾斜状態に重積される硬貨Cに当接して押える傾斜部46、および硬貨包装部25で水平に重積される硬貨Cに当接して押える水平部47が形成されている。
【0035】
硬貨押え部45は包装ローラ27,29間に通される支持部材48を介して摺動部材49に支持され、この摺動部材49が硬貨包装装置11の天板31と底板50との間に包装ローラ27,28,29と平行に設けられた複数のガイド軸51によって重積方向に摺動可能に取り付けられている。摺動部材49の下方には重り52が複数のガイド軸51によって上下方向に摺動可能に取り付けられ、摺動部材49と重り52とがスプリング53によって連結されている。
【0036】
また、硬貨押え部45の重積方向の位置から硬貨Cの重積高さを検知するための検知手段56が配設されている。この検知手段56は、検知軸57を有するポテンショメータ58、およびこのポテンショメータ58の検知軸57に取り付けられてこの検知軸57を中心として回動する検知レバー59を有し、検知レバー59の一端には硬貨押え部45と一体に上昇する摺動部材49の上面が当接して押し上げられる当接部60が設けられている。ポテンショメータ58は、検知レバー59の回動角度に応じた電圧を出力するもので、ブラケット61によって天板31などに対して固定位置に支持されている。検知レバー59の他端とブラケット61との間には、検知レバー59の一端の当接部60が摺動部材49の上面へ向かう方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング62が取り付けられている。
【0037】
また、包装手段26は、重積硬貨Cの上下面を支える支持ロッド40および硬貨押え手段44、重積硬貨Cを挟み込んで回転させる3本の包装ローラ27,28,29、包装ローラ27,28,29と重積硬貨Cとの間所定長さに切断した包装紙65を供給する包装紙供給部66、重積硬貨Cの周面に巻き付けた包装紙65の上下縁を巻き込んで重積硬貨Cの端面にかしめる図示しない上下の巻込腕などを備えている。
【0038】
また、金種設定手段18は、可動通路部材16の位置を金種に合せて調整する第1の調整カム69、および重積ローラ36および支持ロッド40の位置を金種に合せて調整する第2の調整カム70を有している。さらに、金種設定手段18により、包装ローラ27,28の位置も金種に合せて調整される。
【0039】
また、硬貨重積部24および硬貨包装部25の下方の重積底面部材30は、退避手段73によって硬貨重積部24および硬貨包装部25の下方位置から横方向へ退避し、形成した包装硬貨や過不足の生じた重積硬貨Cを下方へ放出可能としている。退避手段73は、退避用モータ74を有し、この退避用モータ74の駆動でリンク75を介して重積底面部材30を移動させる。
【0040】
また、図4に硬貨包装装置11のブロック図を示し、硬貨包装装置11を制御する制御部81を備え、この制御部81に硬貨通路13の通過検知センサS1および計数センサS2、検知手段56のポテンショメータ58などからの信号を入力し、制御部81により回転円盤12および搬送ベルト17を駆動する搬送駆動部82、ストッパ21を駆動するストッパ駆動部83、包装手段26の各構成の駆動部、退避手段73の退避用モータなどを制御する。さらに、制御部81には、検知手段56のポテンショメータ58の出力から硬貨Cの重積高さを検知するために、ポテンショメータ58の出力に対応した金種別の基準重積高さを記憶する記憶部84が接続されている。
【0041】
制御部81は、検知手段56のポテンショメータ58の出力から硬貨Cの重積高さを検知し、この検知した重積高さと記憶部84に記憶された基準重積高さとを比較して硬貨枚数の過不足を確認する機能を有している。この硬貨枚数の過不足の確認は、包装手段26による包装前の時点から包装完了した時点までの期間内であって、例えば包装前のタイミング、包装中のタイミング、包装完了後タイミング、包装前および包装完了後の両方のタイミングのいずれにおいても可能としており、さらに、その期間内において、1回または複数回確認するか、あるいは包装前の時点から包装完了の時点までの期間中継続して確認する。
【0042】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0043】
金種設定手段18によって包装する金種を設定し、硬貨通路13の通路幅、重積ローラ36および支持ロッド40の位置、包装ローラ27,28の位置をそれぞれ調整する。
【0044】
回転円盤12に送り込まれた硬貨Cのうち、包装金種の硬貨径以下の硬貨Cを回転円盤12の回転による遠心力によって硬貨通路13に1枚ずつ送り出し、搬送ベルト17によって硬貨通路13を搬送する。包装金種より小径の硬貨Cは排除口19から落下し、包装金種の硬貨Cのみを硬貨通路13の下流側から硬貨重積部24に送り込む。
【0045】
硬貨重積部24に送り込む硬貨Cを計数センサS2で検知してカウントし、所定の重積枚数目の硬貨Cを検知したら、その硬貨Cの通過を通過検知センサS1で確認した後、ストッパ21を硬貨通路13内に進入させ、所定の重積枚数目の硬貨Cに続く硬貨Cを停止させる。
【0046】
図2に示すように、硬貨重積部24では、硬貨通路13から送り込まれる硬貨Cで重積ローラ36の1つの歯部38の垂直エッジ部38aを押動して重積ローラ36が回転し、その硬貨Cの送込み方向の後端を重積ローラ36の回転方向次位の歯部38の漸増部38bによって硬貨通路13の通路底面部材14および重積底面部材30の上面より上昇させ、続いて送り込まれる硬貨Cの送込み方向の先端を硬貨重積部24の最下位の硬貨Cの下側に送り込ませて硬貨Cを順次重積する。このとき、硬貨押え部45が最上位の硬貨Cの上面に当接して下方へ押圧し、重積状態を維持する。
【0047】
硬貨重積部24で硬貨通路13から送り込まれた所定の重積枚数分の硬貨Cを重積完了した後、図1に示すように、支持ロッド40を上昇させ、重積硬貨Cを硬貨包装部25の包装位置まで上昇させる。このとき、重積硬貨Cと一体に硬貨押え部45が上昇し、この硬貨押え部45の摺動部材49の上面が検知手段56の検知レバー59の当接部60に当接して押し上げ、検知レバー59を介してポテンショメータ58の検知軸57を回動させる。ポテンショメータ58は検知軸57の回動位置に対応した電圧の信号を制御部81に出力する。
【0048】
制御部81は、ポテンショメータ58の出力から硬貨Cの重積高さを検知し、この検知した重積高さと記憶部84に記憶された基準重積高さとを比較して硬貨枚数の過不足を確認する。
【0049】
仮に、硬貨枚数に過不足が生じていた場合には、この重積硬貨Cの包装を中止し、支持ロッド40を下降させた後に退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下部から退避させ、開口した硬貨重積部24の下部から重積硬貨Cを排出して回収する。その後、退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下方に戻し、次の硬貨重積から始まる包装動作を再開する。
【0050】
包装前の確認で硬貨枚数に過不足が生じていなければ、包装手段26による包装動作を開始し、3本の包装ローラ27,28,29で重積硬貨Cを挟み込んで回転させ、これら3本の包装ローラ27,28,29と重積硬貨Cとの間に包装紙供給部66によって所定長さに切断した包装紙65を供給し、重積硬貨Cの周面に包装紙65を巻き付ける。上下の巻込腕で重積硬貨Cの周面に巻き付けた包装紙65の上下縁を巻き込んで重積硬貨Cの端面にかしめ、棒金といわれる包装硬貨を作成する。
【0051】
包装中に硬貨枚数の過不足を確認してもよいし、包装完了後には必ず硬貨枚数の過不足を確認する。すなわち、制御部81は、ポテンショメータ58の出力から硬貨Cの重積高さを検知し、この検知した重積高さと記憶部84に記憶された基準重積高さとを比較して硬貨枚数の過不足を確認する。
【0052】
仮に、包装中に硬貨枚数に過不足が検知された場合には、包装動作を中止し、支持ロッド40を下降させた後に退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下部から退避させ、開口した硬貨重積部24の下部から包装中の重積硬貨Cを排出して回収する。その後、退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下方に戻し、次の硬貨重積から始まる包装動作を再開する。
【0053】
仮に、包装完了後に硬貨枚数に過不足が検知された場合には、支持ロッド40を下降させた後に退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下部から退避させ、開口した硬貨重積部24の下部から包装硬貨を排出して回収する。その後、退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下方に戻し、次の硬貨重積から始まる包装動作を再開する。
【0054】
包装完了後の確認で硬貨枚数に過不足が生じていなければ、支持ロッド40を下降させた後に退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下部から退避させ、開口した硬貨重積部24の下部から包装硬貨を排出し、収納などの次に処理する所定の場所に送る。その後、退避手段73によって重積底面部材30を硬貨重積部24の下方に戻し、次の硬貨重積から始まる包装動作を開始する。
【0055】
このように、硬貨重積部24での硬貨Cの重積中から包装手段26での包装完了まで重積した硬貨Cの上面に当接して下方へ押える硬貨押え部45を重積高さ検知に利用することにより、検知手段56によって硬貨押え部45の重積方向の移動位置から硬貨Cの重積高さを正確に検知できるうえに、包装手段26による包装前の時点から包装完了した時点までの期間内のいずれのタイミングにおいても、検知手段56の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確実に確認でき、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨を作成できる。
【0056】
特に、包装前のタイミングで硬貨枚数の過不足を確認することにより、包装紙65を無駄にすることがなく、また、包装中や包装完了後のタイミングで硬貨枚数の過不足を確認することにより、硬貨枚数の過不足のない包装硬貨を作成できる。
【0057】
また、包装手段26による包装前の時点から包装完了の時点までの期間中に継続して硬貨枚数の過不足を確認すれば、硬貨枚数の過不足を直ぐに把握でき、過不足時の処理に迅速に対応できる。
【0058】
なお、硬貨枚数の過不足を確認は、包装手段26による包装前の時点から包装完了した時点までの期間内のいずれのタイミングにおいても可能であるが、少なくとも包装前と包装後とのタイミングで確認することが包装紙65を無駄にせず過不足のない包装硬貨を作成できる点で好ましく、さらに、包装中も確認することが過不足の生じた包装動作を中止して次の包装動作に直ぐに移れる点でより好ましく、さらには、期間中継続して確認していることが過不足を随時把握できる点でより好ましい。
【0059】
また、検知手段56としては、ポテンショメータ58を用いた構成に限らず、エンコーダなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態を示す硬貨包装装置の硬貨包装前の状態での断面図である。
【図2】同上硬貨包装装置の硬貨重積中の状態での断面図である。
【図3】同上硬貨包装装置の平面図である。
【図4】同上硬貨包装装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
11 硬貨包装装置
13 硬貨通路
24 硬貨重積部
26 包装手段
45 硬貨押え部
56 検知手段
81 制御部
C 硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を搬送する硬貨通路と、
この硬貨通路で搬送してくる硬貨を下部側から上方に向けて順次重積する硬貨重積部と、
この硬貨重積部で所定枚数重積した硬貨を包装する包装手段と、
前記硬貨の重積方向に移動可能で、前記硬貨重積部での硬貨の重積中から前記包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部と、
この硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを検知する検知手段と、
前記包装手段による包装前から包装完了までの期間内のいずれのタイミングにおいても、前記検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認可能とする制御部と
を具備していることを特徴とする硬貨包装装置。
【請求項2】
制御部は、包装前のタイミング、包装完了後のタイミング、包装前および包装完了後の両方のタイミングのいずれにおいても、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認することを特徴とする請求項1記載の硬貨包装装置。
【請求項3】
制御部は、包装手段による包装前の時点から包装完了の時点までの期間中に継続して、検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認することを特徴とする請求項1記載の硬貨包装装置。
【請求項4】
硬貨を搬送する硬貨通路と、
この硬貨通路で搬送してくる硬貨を下部側から上方に向けて順次重積する硬貨重積部と、
この硬貨重積部で所定枚数重積した硬貨を包装する包装手段と、
前記硬貨の重積方向に移動可能で、前記硬貨重積部での硬貨の重積中から前記包装手段での包装完了まで重積した硬貨の上面に当接して下方へ押える硬貨押え部と、
この硬貨押え部の重積方向の移動位置から硬貨の重積高さを検知する検知手段と、
前記包装手段による包装中に、前記検知手段の検知に基づいて硬貨枚数の過不足を確認する制御部と
を具備していることを特徴とする硬貨包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−92188(P2006−92188A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−275820(P2004−275820)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000001432)グローリー工業株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】