説明

硬質ポリイソシアヌレートフォーム及びその製造方法

本発明は、特に、ギ酸によって発泡される硬質ポリイソシアヌレートフォーム用の触媒組成物、かかるフォームの製造方法及びかかる方法によって得ることが可能である硬質ポリイソシアヌレートフォームに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
i)以下の構造:
【0002】
【化1】

【0003】
[但し、R1がCH3、CH2−CH2−N(CH32又はCH2−CH2OHであり、
2がH、CH2−CH2OH又はCH2−CH2N(CH32である。]
を有する少なくとも1種の化合物と、
ii)少なくとも1種の三量化触媒と、
を含む触媒組成物に関する。
【0004】
更に、本発明は、この触媒組成物をギ酸によって発泡される硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用する方法、並びにギ酸によって発泡され、触媒組成物を含む硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法に関する。本発明の他の実施形態は、特許請求の範囲、詳細な説明及び実施例に示される。上述の特徴並びに本発明の主題に関して以下に説明される特徴は、各々の場合で示される組み合わせだけでなく、本発明の範囲から逸脱することのない他の組み合わせで使用され得ることは言うまでもない。
【背景技術】
【0005】
ポリイソシアヌレートフォーム、特に硬質ポリイソシアヌレートフォームは、これまで知られており、文献に広く記載されている。フォームは、通常、ポリシアネートを、イソシアネート基に対して反応性である水素原子を有する化合物、一般的にはポリエーテロール、ポリエステロール又はこれら両方と反応させることによって製造されるが、イソシアネート指数は、180以上である。これにより、イソシアネートと、反応性水素原子を有する化合物との反応によって形成されるウレタン構造だけではなく、イソシアネート基相互の反応に起因して、イソシアネート基と、他の基、例えばポリウレタン基との反応によって形成されるイソシアヌレート構造又は他の構造を形成する。
【0006】
一般に、発泡及びゲル化触媒、通常はアミン、及び三量化触媒の両方を、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において触媒として使用する。
【0007】
また、種々の触媒の混合物を含む触媒組成物についても、従来技術において見出されている。
【0008】
これらの硬質ポリイソシアヌレートフォームは、通常、物理及び化学発泡剤を用いて製造される。本発明の場合、化学発泡剤は、イソシアネートとの反応による気体生成物を形成する化合物である。物理発泡剤は、ポリウレタンの製造に用いられる出発材料に溶解又は乳化され、ポリウレタンの形成の条件下で蒸発する化合物である。考え得る化学発泡剤は、特に水、そして更にカルボン酸である。物理発泡剤として、例えば、クロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、炭化水素及び液体CO2を使用する。
【0009】
特許文献1(JP2002338651)には、化学発泡剤としての水の使用法及び特に、3〜20個の炭素原子を有するカルボン酸の塩及び第4級アンモニウム塩を含み、ポリウレタンフォームの製造に用いられる触媒組成物が記載されている。特許文献1に示される実施例において、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)及びジメチルシクロヘキシルアミン(DMCHA)を追加の触媒として使用する。
【0010】
ポリウレタンフォームの製造用の化学発泡剤として、カルボン酸、主としてギ酸の使用法についても同様に、これまで知られている。
【0011】
特許文献2(US5143945)には、三量化触媒及び発泡剤の水及びギ酸を使用するポリイソシアヌレートフォームの製造方法が記載されている。
【0012】
特許文献3(米国特許5214076)には、ギ酸及び発泡触媒、例えばペンタメチルジエチレントリアミンを含んでいる場合もある発泡剤の存在下で、芳香族ポリエステロール及び芳香族アミンのポリエーテロールからの連続気泡カルボジイミド−イソシアヌレートフォームの製造方法が記載されている。
【0013】
一方、特許文献4(米国特許5478494)及び特許文献5(米国特許5770635)には、発泡剤としてのギ酸並びに例えば酢酸でブロックされる遅延発泡触媒(delayed blowing catalyst)、例えばビス(2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル)エーテル、及び脂環式又は脂肪族の第三級アミンを含む遅延ゲル触媒を使用するサンドイッチ要素のバッチ製造用の硬質ポリイソシアヌレートフォームの特定のポリオール組成物が記載されている。触媒の作用は、カルボン酸によるブロックによって遅延される。
【0014】
特許文献6(EP1435366)には、バッチ及び連続法の両方において、ギ酸によって発泡される硬質ポリイソシアヌレート及びポリウレタン−変性ポリイソシアヌレートフォームの製造に用いられるノボラックポリエーテロールの使用法が記載されている。特許文献6において、1種以上の触媒、例えばアミン触媒、例えばペンタメチルジエチレントリアミン及びスズ触媒、例えばカルボン酸のスズ塩を使用することが可能である。
【0015】
イソシアヌレート硬質フォームは、連続法、例えば連続ベルト法(double belt process)によって製造されるのが好ましい。硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において化学発泡剤としての水の使用は、制限される。なぜなら、多量のイソシアネートがイソシアネートとの反応で消費し、発泡ガスが生成されるからである。
【0016】
イソシアヌレート硬質フォームの良好な燃焼特性を達成可能とする必要がある場合、300を超過するイソシアネート指数が必要である。更に、現在の機械技術に起因して、100:110〜100:230の範囲のポリオール:イソシアネートの一般的な混合比で作動させ、そしてイソシアネートとポリオールの成分の最適な混合を保証するのが望ましい。ポリオール:イソシアネート=100:230の混合比であっても、ポリオール成分に対して、1質量部以上の水の量を超えて、300を超過する所望のイソシアネート指数を達成することは、もはや不可能である。このような理由から、少量の水、更には物理発泡剤、通常は炭化水素、例えばペンタンを、従来技術において、多量に使用して、所望の量の発泡ガスを得るのが一般的である。これは、硬質ポリイソシアヌレートフォームの難燃性に対してマイナスの作用を有している。クロロフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボンの使用は、屡々、環境的な観点及び一般的に極めて高価であるという理由から、良好な代替形式ではない。
【0017】
従来技術で知られている方法において、発泡剤としてのギ酸は、ギ酸を用いて発泡される硬質ポリイソシアヌレートフォームがゆっくりとしか硬化しないという点において課題を有している。バッチ法において、これにより、極めて長い成形時間に至るので、経済性が低くなり、そして連続法において、工学的な観点から制御が困難である極めてゆっくりのベルト速度に至る。
【0018】
硬質ポリイソシアヌレートフォームは、特に、断熱材、例えば、冷蔵装置、コンテナ又は建築物の断熱材に、特に後者において、断熱板又は金属−イソシアヌレート−金属サンドイッチ要素として使用される。建築製品の場合、欧州委員会は、標準燃焼試験、すなわち、EN13823に準拠する“展炎性試験”(SBI試験)を展開しているが、これは、材料における炎の広がりだけではなく、発煙性についても考慮に入れている。更に、近年、保険会社は、場合によっては法律上の要求を明らかに超える追加の燃焼試験を導入した。例として、損失防止標準(loss prevention standard)LPS1181である。
【0019】
また、かかる硬質ポリイソシアヌレートフォームを用いる一般的な課題は、好ましくは、金属製の被覆層に対する界面において、表面欠陥を形成することにある。通常、フォームと金属シートとの間でガスを封入する。このようなフォームの表面欠陥により、特に、熱の作用下において、不均一な金属面を形成する。かかる表面欠陥は、例えば、被覆層の後ろ側における表面被膜に含まれる添加剤、例えば、流動性向上剤、脱気剤又は疎水化剤に起因している場合がある。サンドイッチ要素を建築物の断熱材に主として使用することから、サンドイッチ要素は、断熱部分を形成するだけではなく、かかる建築物の外側を相当程度に亘って形成する。これによる表面欠陥に起因して金属の表面が平坦ではないことにより、製品の品質が低下する。フォームの表面の改良により、かかる表面欠陥の発生の頻度が低減されるので、このような金属−ポリイソシアヌレート−金属サンドイッチ要素の表面の視覚的な改良に至る。
【0020】
更に、表面傷によっても同様に、フォームに対する被覆層の接着を損なう場合がある。これについても同様に、例えば、かかる要素を建築物の外面の構築に使用する場合、大きな課題となる。被覆層の接着が、表面欠陥の結果として大幅に損なわれる場合、ひどいときには、金属シートの完全な脱離が生じる可能性がある。
【0021】
更に、水発泡系(water-blown system)と比較して、硬質ポリイソシアヌレートフォームの改良された硬化は望ましい。なぜなら、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、その後、早い段階で十分な硬度を有することから、金型から更に迅速に取り除くことが可能となるからである。これにより、生産性を可能な限り増大させ、その結果、プラントをより経済的に作動可能となるであろう。同様に、かかるフォームは、連続法において、満足なベルトスピードで製造可能であろう。この場合についても同様に、生産性及びこれによるプラントの経済性を、短時間の硬化時間及びこれによる高いベルトスピードによって改良可能であることから、ギ酸が、サンドイッチ要素の経済的な連続製造の発泡剤として利用可能となるであろう。
【0022】
【特許文献1】JP2002338651
【特許文献2】US5143945
【特許文献3】米国特許5214076
【特許文献4】米国特許5478494
【特許文献5】米国特許5770635
【特許文献6】EP1435366
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
従って、本発明の目的は、硬質ポリイソシアヌレートフォームのフォーム表面を従来技術と比較して改良すると同時に、表面欠陥の頻度を低減することにあった。同様に、本発明の目的は、ギ酸によって発泡される硬質ポリイソシアヌレートフォームであって、良好な硬化、弾性率、圧縮強さ及び低い脆性を示し、そして、これらの特徴に関して、公知の硬質ポリイソシアヌレートフォームに匹敵し、これにより、例えば連続ベルト法によって連続製造が可能である硬質ポリイソシアヌレートフォームを提供することにあった。
【0024】
本発明の他の目的は、従来技術と比較して、SBI試験において、特に、測定される数値のFigra、THR、Smogra及びTSPに関して改良された結果を示す硬質ポリイソシアヌレートフォームを提供することにあった。
【0025】
更に本発明は、ハロゲン化された発泡剤を用いることなく、燃焼標準LPS1181、第一部のB級を満足する硬質フォーム組成物を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0026】
驚くべきことに、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において、請求項1に記載の触媒混合物を使用することにより、これにより製造される硬質フォームのフォーム表面を改良し、このようにして、硬質ポリイソシアヌレートフォームのサンドイッチ要素における表面欠陥の発生の頻度を低減可能であることが見出された。これと同時に、硬化及び他の機械特性、例えば圧縮強さ、弾性率を、ポリウレタン硬質フォームのレベルで維持可能であり、改良されることさえあった。同様に、SBI試験の要件を満足し、そして、従来技術により公知のポリウレタン硬質フォームと比較して、SBI試験で測定される数値のFigra、THR、Smogra及びTSPに関して十分な改善を示す硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造可能である。
【0027】
本発明の場合、ポリイソシアヌレートは、ウレタン基だけではなく、他の基を含むポリマーのイソシアネート付加体である。このような他の基は、例えば、イソシアネート基それ自体の反応によって形成され、例えばイソシアヌレート基であり、或いは、イソシアネート基と、ヒドロキシル基以外の基との反応によって形成されるが、上述の基は、ポリマーにおいてウレタン基と一緒に存在するのが一般的である。ポリイソシアヌレートのイソシアネート指数は、本発明の場合、180以上である。
【0028】
本発明の場合、イソシアネート指数は、イソシアネートに対して反応性である基に対するイソシアネート基の、100倍にされる化学量論比である。イソシアネートに対して反応性である基は、本発明の場合、反応混合物中に含まれ、イソシアネートに対して反応性である全ての基であり、化学発泡剤だけではなく、イソシアネート基それ自体を含む。
【0029】
本発明の場合、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、発泡されたポリイソシアヌレート、好ましくはドイツ工業規格7726に準拠するフォームであり、すなわち、フォームは、ドイツ工業規格53421/ドイツ工業規格EN ISO604に準拠する10%の変形又は圧縮強さにおいて、80kPa以上、好ましくは150kPa以上、特に好ましくは180kPa以上の圧縮強さを有する。
【0030】
更に、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、ドイツ工業規格ISO4590に準拠して85%を超え、好ましくは90%を超える割合の独立セルを有している。
【0031】
本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、
a)イソシアネートを、
b)イソシアネートに対して反応性である基を有する化合物、
c)ギ酸を含む発泡剤、
d)触媒組成物、及び
e)適宜、フォーム安定剤、難燃剤及び他の添加剤、
と反応させ、且つ請求項1に記載の本発明の触媒組成物を使用する方法によって製造されるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
使用される成分a)〜e)に関して、以下に詳細に説明する。
【0033】
a)のイソシアネートとして、全ての公知の有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートを使用することが可能である。特に、一般的な脂肪族、脂環式及び特に芳香族ジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを使用する。トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び特に粗なMDI、すなわち、高分子量MDIとして知られている、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレン−ポリメチレンポリイソシアネートの混合物を使用するのが好ましい。また、イソシアネートを、例えば、ウレトジオン、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネート及び特にウレタン基の組み込みによって変性可能である。
【0034】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、粗製MDIを使用するのが特に好ましい。
【0035】
更に、プレポリマーをイソシアネート成分として使用可能である。かかるプレポリマーは、上述のイソシアネート及び以下に記載されるポリエーテル又はポリエステル又は両方から調製され、そして20〜30、好ましくは25〜30のNCO値を有する。イソシアヌレート構造は、これらのプレポリマーに既に含まれる場合がある。
【0036】
イソシアネートに対して反応性である基、すなわち、イソシアネート基に対して反応性である水素原子を有する考え得る化合物b)は、特に、分子において少なくとも1.5個、例えば1.5〜5個、好ましくは2又は3個の、OH基、SH基、NH基、NH2基及びCH−酸性基、例えばβ−ジケト基から選択される反応性基、好ましくはOH基を有する化合物である。本実施形態において、分子における反応性基の数は、平均として、イソシアネート基に対して反応性である水素原子を有する分子の数を越えていると見なされるべきである。
【0037】
本発明の方法によって製造されるのが好ましい硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、特に、1.5〜8個のOH基を有する化合物を使用することが可能である。ポリエーテロール、ポリエステロール又は両方を使用するのが好ましい。これらのポリエーテロール及び/又はポリエステロールは、分子に1.5〜8個、特に2〜4個のOH基を有するのが特に好ましい。硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造で使用されるポリエーテロール及び/又はポリエステロールのヒドロキシル数は、100〜850mgKOH/gであるのが好ましく、特に好ましくは100〜400mgKOH/gであり、特に150〜300mgKOH/gである。分子量は、400g/モルを超えるのが好ましい。
【0038】
ポリエーテルポリオールは、公知の方法によって、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばナトリウム又はカリウムの水酸化物又はアルカリ金属アルコキシド、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウム又はカリウムエトキシド又はカリウムイソプロポキシドを触媒として使用し、2〜8個、好ましくは2〜4個の反応性水素原子を結合状態で含む少なくとも1種の開始剤分子を添加するアニオン重合によって、或いは、ルイス酸、例えば五塩化アンチモン、ホウ素フロリドエテレート又は漂白土を触媒として使用するカチオン重合によって、アルキレン基において2〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドから調製可能である。
【0039】
好適なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド及び好ましくはエチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシドである。アルキレンオキシドを、個々に、交互に連続的に、又は混合物として使用可能である。
【0040】
考え得る開始剤分子は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、スクロース、ソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4’−メチレンジアニリン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、そして更に、他の2価又は多価アルコール又は単官能性又は多官能性アミンである。エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン及びトルエンジアミンを使用するのが好ましい。
【0041】
使用されるポリエステルアルコールは、2〜12個の炭素原子を有する多官能性アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール又はペンタエリスリトールと、2〜12個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートのリサイクルレート(recyclate)及びナフタレンジカルボン酸の異性体、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ポリエチレンテレフタレートのリサイクルレート及びナフタレンジカルボン酸の異性体又はこれらの無水物との縮合によって調製されるのが一般的である。無水フタル酸及び/又はテレフタル酸及び/又はポリエチレンテレフタレートのリサイクルレートから調製されるポリエステロールが特に好ましい。
【0042】
ポリエステルの調製における他の開始材料として、疎水性物質を併用することも可能である。疎水性物質は、無極性有機基を含み、少なくとも1個の、ヒドロキシル、カルボン酸、カルボン酸エステル又はこれらの混合物から選択される反応性基を有する水不溶性物質である。疎水性材料の当量は、130〜1000g/モルの範囲である。例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸又はリノール酸のような脂肪酸、そして更に、例えばひまし油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、大豆油、椰子油、オリーブ油又はトール油のような脂肪及び油を使用することが可能である。ポリエステルが疎水性物質を含む場合、ポリエステルアルコールのモノマー含有量の合計に対する疎水性物質の割合は、1〜30モル%であるのが好ましく、特に好ましくは4〜15モル%である。
【0043】
使用されるポリエステロールは、1.5〜5、特に好ましくは1.5〜4の官能性を有するのが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態において、イソシアネート基に対して反応性である水素原子を有する化合物は、少なくとも1種のポリエステルを含む。特に好ましい実施形態において、イソシアネート基に対して反応性である水素原子を有する化合物は、少なくとも1種の疎水性物質を含む少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0045】
連鎖延長剤及び/又は架橋剤を使用することも可能である。使用される連鎖延長剤及び/又は架橋剤は、特に、二官能性又は三官能性のアミン及びアルコール、特にジオール、トリオール又は両方であり、それぞれ400未満、好ましくは60〜300の分子量を有する。
【0046】
発泡剤成分c)として、ギ酸を含む発泡剤を使用することが可能である。これは、単独の発泡剤として、又は水及び/又は物理発泡剤との混合物として使用され得る。物理発泡剤として、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、例えばクロロフルオロカーボン(CFCs)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFCs)又はヒドロフルオロカーボン(HFCs)及び他の化合物、例えば過フッ素化アルカン、例えばペルフルオロヘキサン、そして更にエーテル、エステル、ケトン及びアセタール、或いはこれらの混合物を使用するのが好ましい。ヒドロフルオロカーボン、例えば1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC365mfc)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC245fa)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)又は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)及びこれらの混合物が好ましい。更に、炭化水素、例えばペンタンの異性体及び誘導体についても、物理発泡剤として有利に使用することが可能である。
【0047】
ギ酸を、ヒドロフルオロカーボン(HFCs)及び/又は炭化水素と組み合わせて使用するのが好ましい。好ましい実施形態において、発泡剤成分c)は、ギ酸において1.5質量%以下の水分含有量の他に、水を含まない。成分b)〜e)の水分含有量の合計は、それぞれ成分b)〜e)に対して、0.5質量%未満であるのが好ましく、0.3質量%未満であるのが特に好ましい。他の好ましい実施形態において、ギ酸は、炭化水素と組み合わせて、特に、n−ペンタン又はペンタンの異性体と組み合わせて使用される。
【0048】
発泡剤成分c)は、成分b)〜e)の合計質量に対して、1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは2〜10質量%の量で使用されるのが一般的である。
【0049】
発泡剤成分c)におけるギ酸のモル濃度は、10モル%を超えるのが好ましく、20モル%を超えるのが更に好ましく、特に好ましくは35モル%を超える。
【0050】
発泡剤成分c)は、成分b)〜e)の合計質量に対して、5質量%未満、更に好ましくは2質量%未満、特に好ましくは1質量%未満、特に0質量%のクロロフルオロカーボン及び/又は塩素化炭化水素を含むことも好ましい。
【0051】
本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に用いられる触媒組成物d)は、
i)以下の構造:
【0052】
【化2】

を有する化合物、
ii)三量化触媒、及び
iii)適宜、他の触媒成分、
を含み、且つ他の触媒成分iii)は、6個以下の窒素原子を有し、触媒成分i)及びii)と異なっているアミン化合物である。
【0053】
本発明の触媒組成物における成分i)、ii)及びiii)に関して、以下のように述べることができる。
【0054】
化合物i)において、R1がCH3、CH2−CH2−N(CH32又はCH2−CH2OHであり、R2がH、CH2−CH2OH又はCH2−CH2N(CH32である。特に、かかる触媒成分i)は、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール又はジメチルアミノエタノールアミンである。
【0055】
化合物ii)は、NCO基相互の三量化反応に対して触媒作用を及ぼす。例えば、カルボン酸の金属塩、特にアンモニウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩が特記に値する場合がある。直鎖又は分岐で、置換又は無置換の、1〜20個の炭素原子を有する飽和又は不飽和の芳香族カルボン酸、例えばギ酸、酢酸、オクタン酸、酒石酸、クエン酸、オレイン酸、ステアリン酸及びリシノール酸の塩か、或いは置換又は無置換の、6〜20個の炭素原子を有する芳香族カルボン酸、例えば安息香酸及びサリチル酸の塩を使用するのが好ましい。カリウムホルメート、カリウムアセテート、カリウムオクタノエート、アンモニウムホルメート、アンモニウムアセテート、アンモニウムオクタノエート、特にカリウムホルメートが好ましい。
【0056】
更に、化合物ii)は、NCO基相互の三量化反応に対して触媒作用を同様に及ぼすアミン含有触媒を含むことが可能である。これは、例えば、1,3,5−トリス−(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリス−3−ジメチルアミノプロピルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン及び2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノールを含む。
【0057】
化合物(iii)は、1個、2個、3個、4個、5個又は6個の窒素原子と、5個未満の酸素原子を含む。N−メチルジエタノールアミン、ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルN−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノエチルエーテル、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミノ−2−プロパノールアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリス−3−ジメチルアミノプロピルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N−メチルイミダゾール、1,3,5−トリス−(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノール、N−ジメチルアミノプロピル尿素又はビス(N−ジメチルアミノプロピル)尿素を使用するのが特に好ましい。特に、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール又はジメチルエタノールアミンを使用することが可能である。
【0058】
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン又はN,N−ジメチルアミノエトキシエタノールが成分i)として存在し、カリウムホルメートが成分ii)として存在する混合物を使用するのが好ましい。他の特定の実施形態において、混合物は、更に、N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール又はジメチルエタノールアミンからなる成分iii)を含む。他の特定の実施形態において、触媒混合物は、i)ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ii)カリウムホルメート及びiii)N,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミンからなる。
【0059】
i)、ii)及び適宜iii)を含む触媒混合物全体における触媒ii)のモル分率は、30〜90モル%であり、40〜90モル%であるのが好ましく、45〜85モル%であるのが特に好ましい。本実施形態において、カリウムホルメートを触媒ii)として使用する。
【0060】
成分e)は、ポリイソシアヌレートの製造で更に使用され得るのが一般的である化合物を包含する。かかる化合物は、フォーム安定剤、難燃剤及び他の添加剤、例えば他の触媒及び酸化防止剤を含む。
【0061】
フォーム安定剤は、フォームの形成中、規則的なセル構造の形成を促進する物質である。
【0062】
特記に値する場合がある例示は、以下の通りである:シリコーン含有フォーム安定剤、例えばシリコーン−オキシアルキレン共重合体及び他のオルガノポリシロキサン。更には、脂肪アルコール、オキソアルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレゾルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルキル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコールのアルコキシル化生成物、そして更には、ホルムアルデヒドとアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとジアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとアルキルクレゾール、ホルムアルデヒドとアルキルレゾルシノール、ホルムアルデヒドとアニリン、ホルムアルデヒドとトルイジン、ホルムアルデヒドとナフトール、ホルムアルデヒドとアルキルナフトール、更にはホルムアルデヒドとビスフェノールAの縮合生成物のアルコキシル化生成物、並びに2種以上のこれらのフォーム安定剤の混合物である。
【0063】
フォーム安定剤は、成分b)〜e)の合計質量に対して、0.5〜4質量%、特に好ましくは1〜3質量%の量で使用されるのが好ましい。
【0064】
アルコキシル化試薬として、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリTHF及び高相同物質(higher homologue)を使用することが可能である。
【0065】
使用可能な難燃剤は、一般に従来技術から知られている難燃剤である。好適な難燃剤は、例えば、臭素化エーテル(lxolB251)、臭素化アルコール、例えばジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコール及びPHT−4−ジオール、更には塩素化ホスフェート、例えばトリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、トリス(1,3−ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェート、又はこれらの混合物である。
【0066】
上述のハロゲン置換ホスフェートと別に、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含む製剤、膨張性グラファイト、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、酸化ヒ素、ポリリン酸アンモニウム及び硫酸カルシウム又はシアヌール酸誘導体、例えばメラミン或いは少なくとも2種の難燃剤の混合物、例えばポリリン酸アンモニウムとメラミン、更に適宜、デンプンの混合物を本発明の難燃性により製造される硬質ポリイソシアヌレートフォームの作製に使用することも可能である。
【0067】
他の液体のハロゲン非含有難燃剤として、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPC)等を使用することが可能である。
【0068】
トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPC)又は膨張性グラファイトを使用するのが好ましい。
【0069】
特に好ましい実施形態において、ハロゲン非含有難燃剤のみを使用する。
【0070】
難燃剤は、本発明の場合、成分b)〜e)の合計質量に対して、0〜60質量%の量で使用されるのが好ましく、特に好ましくは5〜50質量%であり、更に好ましくは10〜30質量%であり、特に5〜40質量%である。
【0071】
更に、一般的なフィラーを使用することが可能である。
【0072】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造するために、ポリイソシアネートa)及び成分b)〜e)を、イソシアネート指数が180〜700の範囲、好ましくは250〜500の範囲、特に300〜400の範囲となるような量で反応させる。
【0073】
硬質ポリイソシアヌレートフォームは、公知の方法(例、連続ベルト)によってバッチ式又は連続的に製造され得る。本実施形態に記載される本発明は、両方の方法に関するものの、連続的な連続ベルト法に関するのが好ましい。かかる方法において、上部の被覆層及び底部の被覆層、例えば金属、アルミニウム箔又は紙類の層を、ローラーから落とし、適宜、輪郭を型どり、加熱し、そしてコロナ処理して、被覆層に対してフォームを塗布するための能力を改良する。その後、成分a)〜d)、そして適宜e)を含む反応混合物を、例えば高圧混合ヘッドにおいて混合し、底部の被覆層に施し、そして連続ベルトとして知られている上部及び底部の被覆層の間で硬化する。次に、要素を所望の長さに裁断する。適宜、底部の被覆層に対してプライマーを更に施した後に、硬質ポリイソシアヌレートフォーム組成物を施す。
【0074】
2成分法を用いることが特に有効であることが見出された。この場合、イソシアネートに対して反応性である少なくとも2個の基を有する化合物、化学発泡剤、触媒、適宜、フォーム安定剤、難燃剤及び他の添加剤は、ポリオール成分を形成し、一方、反応に用いられるイソシアネートは、イソシアネート成分を形成する。物理発泡剤は、ポリオール成分とイソシアネート成分の両方に含まれ得る。実際の硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造において、ポリオール成分及びイソシアネート成分を相互に反応させる。
【0075】
発泡剤成分c)、特にギ酸を、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造中、又は硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造の開始前に、ポリオール成分に添加することが可能である。例えば、発泡剤成分c)、特にギ酸を、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造処理中に、低圧技術によってポリオール成分に別個に計量導入可能であり、或いは、高圧技術によって混合ヘッドに対して直接的に添加することが可能である。
【0076】
本発明の触媒組成物に関する特定の利点は、本発明の触媒組成物を硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用する場合、特に表面欠陥を殆ど得ないことである。表面欠陥の頻度は、光学的方法によって測定される。かかる方法において、下部の被覆層に対して平行な平面を、例えば連続ベルト法において、底部の被覆層、すなわち、ポリウレタン反応混合物が施された被覆層から数ミリメーターの距離でフォーム片に配置し、その上側で材料を分離する。このようにして得られるフォーム表面を、5°の開口角で照明し、そして表面欠陥によって得られる陰の面積を、その部分の面積の合計で割る。合計面積に対する、陰によって覆われる面積の割合は、15%未満であるのが好ましく、更に好ましくは10%であり、特に5%未満である。
【0077】
本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、良好な圧縮強さ及び低い脆性を有する。ドイツ工業規格53421に準拠して発泡方向に対して垂直をなして測定される圧縮強さは、0.08N/mm2を超えるのが好ましく、特に好ましくは0.12N/mm2を超え、特に0.15N/mm2を超える。
【0078】
更に、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、低い針棒高さ(needle height)を有する。針棒高さは、ポリスチレンカップにおいて、80gの混合物から製造されるフォームにおいて測定される。これにより、フォームが、ファイバー時間(fiber time)と完全な硬化の間で生長し続ける高さを示す。ファイバー時間に到達した後、フォームの更に過度な膨張は望ましくない。なぜなら、フォームの機械特性、例えば弾性率及び圧縮強さに対して悪影響を及ぼすからである。本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームの針棒高さは、40mm未満であるのが好ましく、特に好ましくは35mm未満であり、特に30mm未満である。
【0079】
更に、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、冷蔵装置、コンテナ及び建築物用の良好な断熱材料である。従って、本発明は、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームを断熱材料として含む冷蔵装置、コンテナ及び建築物を含む。
【0080】
本発明の他の利点は、硬質ポリイソシアヌレートフォームの極めて良好な硬化を、本発明の触媒組成物によって達成することにある。硬化は、圧痕試験によって測定され得る。かかる試験において、ポリスチレンカップにおいて成分を混合してから3、4、5、6、8及び10分後、10mmの半径を有する半球状の端部を有するスチール圧子を、引張/圧縮試験機械によって形成されるフォームに対して10mmの深さまで押し込む。この場合に必要とされる、N単位の最大の力は、フォームの硬化における基準である。3分後、これは、60ニュートンを超えるのが好ましく、特に好ましくは65ニュートンを超え、特に70ニュートンを超え、そして10分後には、130ニュートンを超えるのが好ましく、特に好ましくは140ニュートンを超え、特に150ニュートンを超える。3、4、5、6、8及び10分後の試験に関する力の合計は、500ニュートンを超えるのが好ましく、特に好ましくは550ニュートンを超え、特に600ニュートンを超える。従って、本発明の硬質ポリイソシアヌレートフォームは、金属−硬質ポリイソシアヌレートフォーム−金属のサンドイッチ要素を製造する連続ベルト法を行うのに極めて好適である。
【0081】
更に、硬質ポリイソシアヌレートフォームは、特に低い熱伝導性を有し、これにより、フォームを、例えば建築部門において良好な断熱材料にする。熱伝導性は、ドイツ工業規格52612に準拠して測定され、30mW/mK未満であり、好ましくは28mW/mK未満であり、特に好ましくは26mW/mK未満であるが、これは、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造直後に測定される。
【0082】
また、本発明の硬質フォームは、例えば、SBI試験において測定される特に良好な燃焼特性を有している。かかる試験において、50μmの厚さを有するアルミニウム被覆層を有する80mmの厚さの断熱板を使用する場合、以下の測定値が達成されるのが好ましい:すなわち、Figra<250W/s、特に好ましくは<200W/s、THR<5.5MJ、特に好ましくは<5.2MJ、Smogra<100m2/s2、特に好ましくは<90m2/s2、そしてTSP<110m2、特に好ましくは<100m2
【0083】
本発明を、以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0084】
[測定方法]
硬化:
硬化は、圧痕試験によって測定された。この場合、ポリスチレンカップにおいて成分を混合してから3、4、5、6、8及び10分後、10mmの半径を有する半球状の端部を有するスチール圧子を、引張/圧縮試験機械によって形成されるフォームに対して10mmの深さまで押し込んだ。この場合に必要とされる、N単位の最大の力は、フォームの硬化における基準である。硬質ポリイソシアヌレートフォームの脆性の基準として、硬質フォームの表面が圧痕試験において可視可能な破砕帯を有する時を測定した。
【0085】
表面欠陥:
表面欠陥の頻度の評価に用いる試験片を、連続ベルト法によって製造した。
【0086】
表面欠陥は、上述の方法によって測定された。この場合、20cm×30cmのフォーム片を上述のように予備処理し、そして照明し、次に、撮影した。次に、フォームの写真を二値化し、そして重ね合わせた。二値画像の黒色領域に対して統合される面積を、画像の全面積で割り、そしてこれは、表面欠陥の頻度の基準となった。
【0087】
更に、硬質ポリイソシアヌレートフォームの表面の性質に関する追加の定性的評価を行ったが、かかる評価において、被覆層を1m×2mのフォーム片から取り除き、そして表面を、表面欠陥に関して目視にて評価した。
【0088】
圧縮強さ:
硬質ポリイソシアヌレートフォームの圧縮強さ及び圧縮弾性率を、40g/Lの全フォーム密度で連続ベルト法によって製造されるサンドイッチ要素において被覆層に対して垂直をなし、ドイツ工業規格53421/ドイツ工業規格 EN ISO604に準拠して測定した。
【0089】
針棒高さ:
針棒高さは、ポリスチレンカップにおいて、80gの混合物を用いて製造される、10.4cmの直径を有するフォームにおいて測定された。これにより、フォームが、ファイバー時間と完全な硬化の間で生長し続ける高さを示していた。ファイバー時間後、フォームの更に過度な膨張は望ましくない。
【0090】
難燃性:
EN ISO11925−2に準拠して、火炎高さを測定した。
【0091】
SBI試験は、EN13823に準拠して行われた。本実施例において、連続ベルト法によって製造され、そして80mmのフォーム厚さ及び50μmのアルミニウム被覆層の厚さを有していたアルミニウム被覆層を有するサンドイッチ要素を使用した。SBI試験において、標準化されたバーナーによる火炎の適用における熱の発生[W/s]を測定した。パラメータは、火炎成長速度(Figra)、合計の放熱(THR)、発煙速度(Smogra)及び合計の煙生成(TSP)であった。Figraは、エネルギ放出の最大値と最大に到達するまでの時間との比率である。THRは、火炎を適用し始めてから最初の10分でのエネルギ放出の合計である。Smograは、煙生成の最大値と最大に到達するまでの時間との比率である。TSPは、火炎を適用し始めてから最初の10分での煙生成の合計である。
【0092】
損失防止標準試験LPS1181、第一部のB級の作業を、2005年9月16日の損失防止資格認定(Loss Prevention Certification Board)(LPCB)によって発行される対応の標準に規定した。かかる試験において、ガレージを、サンドイッチ要素から構築し、そして、極めて厳しい防火計画に付した。火炎伝播は、試験の実施を判断するための決定的に重要な基準である。
【0093】
[硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造]
イソシアネート及びイソシアネートに対して反応性である成分を、発泡剤、触媒及び他の全ての添加剤と一緒に、350の指数で発泡させた。各場合で、45秒の一定のファイバー時間及び45g/Lの全フォーム密度を設定した。連続ベルト法によって製造されるサンドイッチ要素の場合、フォームの密度は、40g/Lであった。
【0094】
[本願の実施例]
[実施例1]
ポリオール成分:
58質量部の、無水フタル酸、ジエチレングリコール及びオレイン酸のエステル化生成物からなり、そして1.8のヒドロキシル官能性及び200mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエステロール、
10質量部の、エチレングリコール及びエチレンオキシドのエーテルからなり、そして2のヒドロキシル官能性及び200mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエーテロール、
30質量部の難燃剤のトリスクロロイソプロピルホスフェート(TCPP)、
2質量部の安定剤;Tegostab B8443(シリコーン含有安定剤)、
6質量部のn−ペンタン、
2.1質量部のギ酸(99%)、
1.5質量部のカリウムホルメート(エチレングリコールにおいて36質量%)、
1.4質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)。
【0095】
イソシアネート成分:
190質量部のLupranat M50(高分子量MDI)。
【0096】
成分A及びBを上述のように相互に発泡させた。圧痕試験、脆性、圧縮強さ、圧縮弾性率、針棒高さ、SBI試験及び表面の性質に関する定性的評価の結果を、表1に報告した。
【0097】
[実施例2]
実施例1の手順を繰り返したが、1.4質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)の代わりに、1.4質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1;ジプロピレングリコールにおいて70%)を使用した。圧痕試験、脆性及び針棒高さの結果を、表2に報告した。
【0098】
[実施例3]
実施例1の手順を繰り返したが、1.4質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)の代わりに、0.6質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)と0.6質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1;ジプロピレングリコールにおいて70%)の混合物を使用した。圧痕試験、脆性及び針棒高さの結果を、表2に報告した。
【0099】
[実施例4]
実施例1の手順を繰り返したが、1.4質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)の代わりに、0.6質量部のN,N,N−トリメチルアミノエチルエタノールアミン(Dabco T)と0.6質量部のジメチルエタノールアミン(Lupragen N101)の混合物を使用した。圧痕試験、脆性及び針棒高さの結果を、表2に報告した。
【0100】
[実施例5]
無水フタル酸を基礎とする58質量部のポリエステロールを、テレフタル酸、ジエチルグリコール、トリメチロールプロパン及びオレイン酸を基礎とし、2.2の官能性及び230のOH数を有する58質量部のポリエステロールに置き換えた以外、実施例1の手順を繰り返した。圧痕試験、脆性、圧縮強さ、圧縮弾性率、針棒高さ、SBI試験及び表面の性質に関する定性的評価の結果を、表1に報告した。また、かかる反応混合物を使用して、積分点を有するサンドイッチ要素を製造した。かかるサンドイッチ要素は、120mmの厚さを有し、厚さ0.6mmのスチールシートの一方の側に対向していた。フォームの密度は、45g/Lであった。かかる壁部要素を、損失防止標準LPS1181、第一部のB級に付した;結果を表1にまとめた。
【0101】
[比較実施例1]
ポリオール成分:
58質量部の、無水フタル酸、ジエチレングリコール及びオレイン酸のエステル化生成物からなり、そして1.8のヒドロキシル官能性及び200mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエステロール、
10質量部の、エチレングリコール及びエチレンオキシドのエーテルからなり、そして2のヒドロキシル官能性及び200mgKOH/gのヒドロキシル数を有するポリエーテロール、
30質量部の難燃剤のトリスクロロイソプロピルホスフェート(TCPP)、
2質量部の安定剤;Tegostab B8443(シリコーン含有安定剤)、
13質量部のn−ペンタン、
0.8質量部の水/ジプロピレングリコール混合物(60:40)、
1.5質量部のカリウムホルメート(エチレングリコールにおいて36質量%)、
1.4質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1;ジプロピレングリコールにおいて70%)。
【0102】
イソシアネート成分:
190質量部のLupranat M50。
【0103】
成分A及びBを上述のように相互に発泡させた。圧痕試験、脆性、圧縮強さ、圧縮弾性率、針棒高さ、SBI試験及び表面の性質に関する定性的評価の結果を、表1に報告した。また、かかる反応混合物を使用して、積分点を有するサンドイッチ要素を製造した。かかるサンドイッチ要素は、120mmの厚さを有し、厚さ0.6mmのスチールシートの一方の側に対向していた。フォームの密度は、45g/Lであった。かかる壁部要素を、損失防止標準LPS1181、第一部のB級に付した;結果を表1にまとめた。
【0104】
[比較実施例2]
比較実施例1の手順を繰り返したが、13質量部のn−ペンタンの代わりに、6質量部のn−ペンタン及び2.1質量部の99質量%濃度のギ酸を発泡剤として使用した。更に、1.6質量部のジメチルシクロヘキシルアミンを、1.4質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1;ジプロピレングリコールにおいて70%)の代わりに使用した。圧痕試験、脆性及び針棒高さの結果を、表2に報告した。
【0105】
[比較実施例3]
比較実施例1の手順を繰り返したが、13質量部のn−ペンタンの代わりに、6質量部のn−ペンタン及び2.1質量部の99質量%濃度のギ酸を発泡剤として使用した。更に、1.6質量部のトリエチルアミンを、1.4質量部のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1;ジプロピレングリコールにおいて70%)の代わりに使用した。圧痕試験、脆性及び針棒高さの結果を、表2に報告した。
【0106】
【表1】

【0107】
表1は、硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に本発明の触媒組成物を使用することにより、硬化を促進し、脆性を低減し、弾性を増大させ、EN13823に準拠する燃焼性を改善し、そして表面欠陥の頻度を一定の圧縮強さの条件下で低減可能であることを示していた。
【0108】
【表2】

【0109】
表2では、本発明の方法により製造される硬質ポリイソシアヌレートフォームは、改善された硬化性、低い脆性及び低減された針棒高さを示すことを明らかにした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)以下の構造:
【化1】

[但し、R1がCH3、CH2−CH2−N(CH32又はCH2−CH2OHであり、
2がH、CH2−CH2OH又はCH2−CH2N(CH32である。]
を有する少なくとも1種の化合物と、
ii)少なくとも1種の三量化触媒と、
を含む触媒組成物。
【請求項2】
三量化触媒ii)は、カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、1,3,5−トリス−(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリス−3−ジメチルアミノプロピルアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン及び/又は2,4,6−トリス(ジメチルアミノエチル)フェノールである請求項1に記載の触媒組成物。
【請求項3】
三量化触媒ii)は、カリウムホルメート、カリウムアセテート、カリウムオクタノエート、アンモニウムホルメート、アンモニウムアセテート、アンモニウムオクタノエート及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項2に記載の触媒組成物。
【請求項4】
三量化触媒ii)は、カリウムホルメートである請求項3に記載の触媒組成物。
【請求項5】
触媒組成物は、6個以下の窒素原子を有するアミン化合物であり触媒成分i)及びii)と異なっている他の触媒成分iii)をさらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒組成物。
【請求項6】
a)イソシアネートを、
b)イソシアネートに対して反応性である基を有する化合物、
c)ギ酸を含む発泡剤、
d)触媒組成物、及び
e)必要により、フォーム安定剤、難燃剤及び他の添加剤、
と反応させることによって得られ、
且つ触媒組成物が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒組成物である硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造方法。
【請求項7】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを連続的に製造する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
硬質ポリイソシアヌレートフォームを、連続ベルト法によって製造する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
発泡剤成分c)は、20モル%を超え、好ましくは35モル%を超えるギ酸を含む請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
発泡剤成分c)は、ギ酸及び物理発泡剤を含む請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
物理発泡剤は、主としてハイドロフルオロカーボンからなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
物理発泡剤は、主として炭化水素からなり、好ましくはペンタンの誘導体からなる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
成分b)〜e)は、0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満の水を含む請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
イソシアネートに対して反応性である化合物は、少なくとも1種のポリエステルポリオールを含み、該ポリエステルポリオールのモノマー成分は、1〜20モル%の疎水性物質を含む請求項6〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
イソシアネート指数が180〜700となるような量でポリイソシアネート成分a)及び成分b)〜e)を反応させて、硬質ポリイソシアヌレートフォームを製造する請求項6〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒組成物を、ギ酸によって発泡される硬質ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用する方法。
【請求項17】
請求項6〜15のいずれか1項に記載の方法によって得られる硬質ポリイソシアヌレートフォーム。

【公表番号】特表2009−507095(P2009−507095A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528466(P2008−528466)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065487
【国際公開番号】WO2007/025888
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】