説明

硬質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】 発泡剤として低沸点炭化水素、または低沸点炭化水素と水を用いて、低密度化時に、圧縮硬さと燃焼性に優れた硬質ポリウレタンフォームを得ること。
【解決手段】 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを発泡剤(C)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、活性水素含有基と2個以上の特定組成のビニル重合性官能基を有し、分子内のビニル重合性官能基の濃度が7.0mmol/g以上であって、特定の組成の1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有し、発泡剤(C)が低沸点炭化水素を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンフォームの製造方法に関する。詳しくは、発泡剤として低沸点炭化水素、または、低沸点炭化水素および水を用いた硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは、断熱性能、低温での寸法安定性、施工性等の特徴から、建材や冷蔵庫、冷凍庫等の断熱材、あるいは構造材、現場建築施工用スプレー等に幅広い範囲で使用されている。
硬質ポリウレタンフォームを製造する際に使用する発泡剤として、従来クロロフルオロカーボン類が使用されてきたが、「京都議定書」等に示される通り従来のクロロフルオロカーボン類は規制対象となり、それに対応すべくハイドロフルオロカーボンや低沸点炭化水素などが発泡剤として使用されつつある。しかし、ハイドロフルオロカーボンも自主規制の方向が示されており、低沸点炭化水素を発泡剤として使用するケースが増えてきた。
【0003】
一方、近年コストダウン等を目的として、発泡剤の量を増やしてポリウレタンフォームの低密度化がはかられている。しかしながら、低密度化はポリウレタンフォームの圧縮硬さ等の機械強度や燃焼性(難燃性)が悪化するいう問題がある。
機械強度に優れたポリウレタンフォームとして、特許文献1が知られている。しかしながら、低沸点炭化水素を用いた低密度化の際には、作業性改善のため原料ポリオールの水酸基価を低くして反応混合物の粘度を低下させる場合など製造処方によっては、極端に圧縮硬さの低下や燃焼性の低下(とくにフリー発泡フォームの場合)が見られる場合があった。
【特許文献1】特開2004−209719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、低沸点炭化水素を発泡剤とした硬質ポリウレタンフォームの成形密度を低減しても、圧縮硬さ等の機械物性や燃焼性(難燃性)に優れたフォームを得ることができる、硬質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明とは、以下に示す発明である。
(I) 活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを発泡剤(C)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、活性水素含有基と2個以上の下記一般式(1)で示されるビニル重合性官能基を有し、分子内のビニル重合性官能基の濃度が7.0mmol/g以上であって、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有し、発泡剤(C)が低沸点炭化水素を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(a1)ポリオールの不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル



| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。]
(II) ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を、反応により得られるビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせる上記の硬質ポリウレタンフォームの製造方法により得られるビニル重合性官能基の重合により形成されたビニル重合鎖部分がポリウレタン鎖部分に架橋された構造を有する硬質ポリウレタンフォーム。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法により製造された硬質ポリウレタンフォームは、従来の、低沸点炭化水素、または低沸点炭化水素と水を発泡剤として用いたフォームと比較して、圧縮硬さ等の機械物性に優れている。また、燃焼性(難燃性)にも優れている(特にフリー発泡させたフォームの場合)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いる活性水素成分(A)は、活性水素含有基と2個以上の下記一般式(1)で示されるビニル重合性官能基を有し、分子内のビニル重合性官能基の濃度が7.0mmol/g以上であって、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有している。

| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。]
上記Rにおける炭素数1〜15のアルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。炭素数6〜21のアリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0008】
本発明において、(a)における分子内のビニル重合性官能基の濃度は、分子内のビニル重合性官能基のモル数で表し、下式〔1〕で示される。
(分子内のビニル重合性官能基の数/分子量)×1000 〔1〕
分子内のビニル重合性官能基の濃度は、通常7.0mmol/g以上、好ましくは7.2〜30mmol/g、更に好ましくは7.5〜20mmol/gである。分子内のビニル重合性官能基の濃度が7.0mmol/g未満であると、得られるフォームの硬さが不十分となる。
(a)の組成が単一で無い場合は、上記のビニル重合性官能基の数は平均の数を用い、分子量は(a)の有する活性水素含有基から末端基定量法により求めた数平均分子量を用いる。
【0009】
(a)のビニル重合性官能基の例としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、プロペニル基、1−ブテニル基等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中で好ましくは、(メタ)アクリロイル基、アリル基およびプロペニル基であり、更に好ましくは、(メタ)アクリロイル基およびアリル基である。ここで(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基および/またはメタアクリロイル基を意味し、以下同様の記載法を用いる。
また、(a)の活性水素含有基としては、例えば、ヒドロキシル基、メルカプト基、1級アミノ基、2級アミノ基から選ばれる1種以上が挙げられる。好ましくはヒドロキシル基およびメルカプト基であり、更に好ましくはヒドロキシル基である。
【0010】
2個以上のビニル重合性官能基を有する活性水素化合物(a)は下記(a1)〜(a3)から選ばれる化合物であり、2種以上を併用してもよい。
(a1)ポリオール〔多価アルコール、多価フェノール、多価アルコールもしくは多価フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記)付加物、アミンのAO付加物、多価アルコールとポリカルボン酸もしくはラクトンとから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル〔とくに部分(メタ)アクリル酸エステルまたは部分アリルエーテル〕
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物〔とくに部分(メタ)アクリルアミド化物または部分アリル化物〕
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル〔とくに部分(メタ)アクリルチオエステルまたは部分アリル化物〕
【0011】
(a1)の製造に用いる多価アルコールとしては、例えば、炭素数2〜18(好ましくは2〜12)の2価アルコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−および1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等]、炭素数3〜18(好ましくは3〜12)の3〜5価の多価アルコール[アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン;糖類およびその誘導体、例えば、α−メチルグルコシド、キシリトール、グルコース、フルクトース;等]、および炭素数5〜18(好ましくは5〜12)の6〜10価またはそれ以上の多価アルコール[6〜10価のアルカンポリオール、および6〜10価のアルカンポリオールもしくは3〜5価のアルカンポリオールの分子内もしくは分子間脱水物、例えば、ジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えば、ソルビトール、マンニール、ショ糖;等]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a1)の製造に用いる多価フェノールとしては、多価フェノール〔単環多価フェノール(ハイドロキノン等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)など〕、3〜5価の多価フェノール〔単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシン等)、3〜5価の、多価フェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)など〕、6〜10価またはそれ以上の多価フェノール〔6価以上の、多価フェノール化合物のホルマリン低縮合物(数平均分子量1000以下)(ノボラック樹脂、レゾールの中間体)等〕、多価フェノールとアルカノールアミンとの縮合物(マンニッヒポリオール)、およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
【0012】
(a1)の製造に用いるポリオールのうち、アミンのAO付加物におけるアミンとしては、例えば、アンモニア;炭素数2〜20のアルカノールアミン[モノ−、ジ−もしくはトリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等];炭素数1〜20のアルキルアミン[メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、オクチルアミン等];炭素数2〜6のアルキレンジアミン[エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等];アルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン(重合度2〜8)[ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等];炭素数6〜20の芳香族アミン[アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリン、ジフェニルエーテルジアミン、ナフタレンジアミン、アントラセンジアミン等];炭素数4〜15の脂環式アミン[イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン等];炭素数4〜15の複素環式アミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン等]およびこれらの2種以上の併用などが挙げられる。
【0013】
多価アルコール、多価フェノール、またはアミンに付加させるAOとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−もしくは2,3−ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド(炭素数5〜30またはそれ以上)、スチレンオキサイドなどおよびこれらの2種以上の併用(併用する場合には、ランダム付加、ブロック付加、これらの組合せのいずれでもよい。)が挙げられる。これらのAOのうち、炭素数2〜8のものが好ましく、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものが更に好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。1分子当たりのAOの付加モル数は、好ましくは1〜70、更に好ましくは1〜50である。上記および以下において、%は、特に記載のない限り質量%を意味する。
【0014】
(a1)の製造に用いるポリオールのうちポリエステルポリオールに用いる多価アルコールは、前記と同様のものが挙げられ、ポリカルボン酸としては、例えば、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸[コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸等]、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸[フタル酸もしくはその異性体、トリメリット酸等]、これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物、アルキル基の炭素数が1〜4の低級アルキルエステルなど]およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a)の製造に用いるポリオールとしては、好ましくはヒドロキシル基を3〜10個、更に好ましくは3〜6個有するものである。
【0015】
(a1)は、部分(メタ)アクリル酸エステル、および部分アリルエーテルの場合を例にとると、例えば、以上例示したポリオールを、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基が未反応で残るような当量比で、ハロゲン化(メタ)アクリルまたはハロゲン化アリルを用いて部分(メタ)アクリロイル化または部分アリル化することにより得られる。ハロゲン化(メタ)アクリルとしては、塩化(メタ)アクリロイル、臭化(メタ)アクリロイル、ヨウ化(メタ)アクリロイル、ハロゲン化アリルとしては、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。また、上記ポリオールと(メタ)アクリル酸とを用い、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基が未反応で残るような当量比で、通常の方法でエステル化反応してもよい。
また(a1)は、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸およびその誘導体、またはアリルアルコール等の不飽和アルコールに前記のAOを付加しても得ることができる。この場合、AOの中では、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものが好ましい。付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができる。AOの付加モル数は、好ましくは1〜70、更に好ましくは1〜50である。
【0016】
(a2)は、前記のアミンのうち、ポリアミンまたはアルカノールアミンと、前記のハロゲン化(メタ)アクリルまたはハロゲン化アリルを、1分子中に少なくとも1個のアミノ基または水酸基(アルカノールアミンの場合)が未反応で残るような当量比で、反応させることにより得られる。
【0017】
(a3)の製造に用いるポリチオールとしては、チオール基を2〜4個有し、炭素数2〜18のものが好ましく、例えば、エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−プロパンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、ビス(4−メルカプトフェニル)スルフィド、4−t−ブチル−1,2−ベンゼンジチオール、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(チオグリコレート)チオシアヌル酸、ジ(2−メルカプトエチル)スルフィド、ジ(2−メルカプトエチル)エーテルおよびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
(a3)は、これらポリチオールに、前記のハロゲン化(メタ)アクリルまたはハロゲン化アリルを、1分子中に少なくとも1個のチオール基が未反応で残るような当量比で、反応させることにより得られる。
【0018】
活性水素化合物(a)は分子内に前記ビニル重合性官能基を2個以上有する。ビニル重合性官能基の数は,好ましくは2〜20個、更に好ましくは2〜10個、より好ましくは2〜7個、特に好ましくは2〜5個、最も好ましくは2〜4個である。ビニル重合性官能基の数が1個以下であると圧縮硬さの発現の効果が低く、20個を超えると効果が徐々に低くなる。
(a)は活性水素含有基を1個以上有し、好ましくは1〜8個、更に好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個、最も好ましくは1〜2個である。活性水素含有基が1〜8個であると硬質ポリウレタンフォームの成形時の硬化性が良好である。
なお、(a)のビニル重合性官能基数、および活性水素含有基数は、(a)が反応混合物等組成が単一でない場合は、平均の個数を用いる。
【0019】
活性水素化合物(a)の活性水素価は10〜1800が好ましく、更に好ましくは20〜1500、特に好ましくは30〜1000、最も好ましくは50〜500である。
ここで、活性水素価は、”56100/活性水素1個当たりの分子量”を意味し、活性水素を有する基が水酸基の場合、水酸基価に相当する。なお、水酸基価は、試料1gを中和するのに相当するKOHのmgであって、”56100/水酸基1個当たりの分子量”を意味する。なお、ここで56100はKOH1モルのmg数を示している。活性水素価の測定方法は、上記定義の値を測定できる方法であれば公知の方法でよく、特に限定されないが、水酸基価の場合、例えばJIS K1557に記載の方法が挙げられる。
【0020】
これら(a)の中では、好ましくは(a1)および(a2)であり、更に好ましくは(a1)であり、特に好ましくは、多価アルコールもしくはそのAO付加物の部分アリルエーテル、および多価アルコールもしくはそのAO付加物の部分(メタ)アクリル酸エステルであり、最も好ましくは多価アルコールもしくはそのAO付加物の部分(メタ)アクリル酸エステルである。
【0021】
活性水素成分(A)中に(a)以外に、必要により、ビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有してもよい。
(b)はビニル重合性官能基を実質的に有しないポリオールであり、脂肪族アミンのAO付加物(b1)、芳香族アミンのAO付加物(b2)、多価アルコールまたは多価フェノールのAO付加物(b3)、ポリエステルポリオール(b4)、ポリマーポリオール(b5)、および前記(a1)の製造に用いるポリオールとして例示したもののうち上記以外のもの(多価アルコール等)が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
ここで「ビニル重合性官能基を実質的に有しない」とは、JIS K−1557記載の方法で測定された総不飽和度が0.2meq/g以下であることを意味する。
【0022】
(b1)の脂肪族アミンとしては、1級および/または2級アミンが挙げられ、1級および/または2級アミノ基の数は、好ましくは1〜4個、更に好ましくは1〜3個であり、アミノ基に由来する活性水素の数は、好ましくは2〜8個、更に好ましくは2〜4個である。
(b1)として具体的には、前記(a1)の項で述べた、アルカノールアミン、炭素数1〜20のアルキルアミン、炭素数2〜6のアルキレンジアミン、およびアルキレン基の炭素数が2〜6のポリアルキレンポリアミン(重合度2〜8)等が挙げられる。好ましくはアルカノールアミンおよびアルキレンジアミンである。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
AO付加反応は、従来公知の通常の方法により行うことができ、付加時に用いる触媒としては、通常用いられるアルカリ触媒(KOH、CsOH等)の他、特開2000−344881号公報に記載の触媒〔トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等〕、特開2002−308811号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いてもよい(以下のAO付加物も同様)。
【0023】
(b2)の芳香族アミンとしては、前記(a1)の項で述べた、炭素数6〜20の芳香族アミン等が挙げられる。好ましくはアニリン、フェニレンジアミン、およびトリレンジアミンである。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
【0024】
(b3)の多価アルコールとしては、(a1)の製造に用いる多価アルコールとして例示したものが挙げられる。
(b3)の多価フェノールとしては、(a1)の製造に用いる多価フェノールとして例示したものが挙げられる。
付加するAOとして好ましいものは、POおよび/またはEOを主成分とし、必要により20%以下の他のAOを含むものであり、特に好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
【0025】
(b4)のポリエステルポリオールとしては、前記(a1)の製造に用いるポリエステルポリオールとして例示したもの、および前記多価アルコールもしくは多価フェノールのAO付加物(b3)と前記ポリカルボン酸の重縮合物が挙げられる。
【0026】
(b5)のポリマーポリオールとしては、通常ポリウレタンフォームに使用されるもの、例えば、前記のポリカルボン酸に前記のAOを付加したポリエーテルポリオール、前記ポリエステルポリオールおよびそのAO付加物、低分子量ポリオール(例えば前記多価アルコール)、前記アルカノールアミン、および前記多価アルコールまたは多価フェノールのAO付加物(b3)から選ばれる1種以上のポリオール中で、ビニルモノマー(アクリロニトリル、スチレンなど)を重合して得られるポリマーポリオール、並びにこれらの混合物が挙げられる。上記AOとして好ましいものは、POおよび/またはEOである。これらの中で好ましくは(b3)から得られるポリマーポリオールである。
(b5)の製造方法は、従来のポリマーポリオールにおける重合法と同様に行うことができる。例えば、必要により分散剤を含むポリオール中で、ビニルモノマーを重合開始剤の存在下に重合させる方法(米国特許第3383351号明細書、特公昭39−24737号公報、特公昭47−47999号公報または特開昭50−15894号公報に記載の方法)が挙げられる。また、重合は、バッチ式でも連続式でも行うことができ、常圧下、加圧下または減圧下において重合することができる。必要に応じて、溶剤、連鎖移動剤を使用することができる。(b5)中の重合体の体積平均粒子径は0.5〜15μmが好ましい。
【0027】
(b)としては、好ましくはヒドロキシル基を2〜8個、更に好ましくは2〜6個有するものが好ましく、(b)の水酸基価は、好ましくは30〜1900、更に好ましくは50〜1600、特に好ましくは80〜1000である。
これら(b)の中では、(b1)、(b2)、および(b3)が好ましく、更に好ましくは(b2)、および(b3)であり、特に好ましくは(b2)、および(b3)の中でも多価アルコールのAO付加物である。
【0028】
本発明において、活性水素成分(A)中に、必要により、ビニル重合性官能基を有し、活性水素含有基を持たない化合物(c)も1種以上併用することができる。(c)のビニル重合性官能基としては、ビニル重合性官能基を有する活性水素化合物(a)におけるビニル重合性官能基と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
(c)中のビニル重合性官能基数は、好ましくは2〜20個、さらに好ましくは2〜10個である。(c)は、(a)の製造時に、同時に生じる副生成物として(a)と共に活性水素成分(A)中に含有されていてもよい。(A)中の(c)の量は、(a)と(c)の合計質量に基づいて、好ましくは90%以下、さらに好ましくは70%以下、とくに好ましくは60%以下である。
(c)としては、芳香族炭化水素単量体[スチレン、α−メチルスチレンなど]、不飽和ニトリル[(メタ)アクリロニトリルなど]なども用いることができるが、(c)の好適な具体例としては、下記 (c1)〜(c3)が挙げられる。
(c1)ポリオール〔多価アルコール、多価フェノール、多価アルコールもしくは多価フェノールのAO付加物、アミンのAO付加物、多価アルコールとポリカルボン酸もしくはラクトンとから誘導されるポリエステルポリオールなど〕の不飽和カルボン酸エステルまたは不飽和アルキルエーテル〔とくに(メタ)アクリル酸エステルまたはアリルエーテル〕
(c2)アミンの不飽和カルボン酸アミド化物または不飽和アルキル化物〔とくに(メタ)アクリルアミド化物またはアリル化物〕
(c3)ポリチオールの不飽和カルボン酸チオエステルまたは不飽和アルキルチオエーテル〔とくに(メタ)アクリルチオエステルまたはアリル化物〕
(c1)〜(c3)はそれぞれ、例えば、前記(a1)〜(a3)の製造時において、用いる原料の反応モル比を変えて反応させることにより得られる。
【0029】
また、本発明の製造方法によれば、ビニル重合性官能基を有する活性水素化合物(a)を用いることで、燃焼性(難燃性)に優れた硬質ポリウレタンフォームを得ることができるが、特に燃焼性が重視される用途に用いるフォームを製造する場合、(b)として芳香環を有する化合物、すなわち、芳香族アミンのAO付加物(b2)、(b3)のうち多価フェノールのAO付加物(b31)、(b4)のうち芳香環を有するポリエステルポリオール(構成単位として、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸や多価フェノールのAO付加物を含有するもの等)(b41)、および(b5)のうち芳香環を有するポリマーポリオール(b51)を、少なくとも一部〔好ましくは(b)の10〜80%〕用いるのが好ましい。
これらの芳香環を有する(b)の中では、(b2)および(b41)が好ましく、さらに好ましくは、(b2)の中では、フェニレンジアミンのAO付加物、およびトリレンジアミンのAO付加物であり、(b41)の中では、フタル酸もしくはその異性体および/またはそのジエステルと、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、グリセリン、および(b3)から選ばれる1種以上との重縮合物であり、とくに好ましくはフェニレンジアミンのAO付加物、およびトリレンジアミンのAO付加物である。
【0030】
活性水素成分(A)中のビニル基含有成分の濃度は、好ましくは0.6〜62%、更に好ましくは1〜40%、特に好ましくは2〜20%である。0.6%以上であるとポリウレタンフォームの曲げ強度が発現し易く、62%以下ではウレタン化反応と同時に重合反応を進行させるのが容易である。
ここで、ビニル基含有成分の濃度は、活性水素成分(Zグラム)に十分な量の水酸化カリウムのエタノール溶液を加え、密閉下70℃で24時間アルカリ分解した後、分取液体クロマトグラフィーにてビニル基含有成分(Eグラム)を分取し、次式により求める。
ビニル基含有成分の濃度(%)=(E/Z)×100
【0031】
活性水素成分(A)中のビニル重合性官能基を有する活性水素化合物(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)の質量比〔(a)と(b)の合計を100とする〕は、好ましくは100/0〜0.5/99.5、更に好ましくは75/25〜1/99、特に好ましくは70/30〜5/95である。(a)の比率が0.5%以上だとフォームの圧縮硬さの発現がしやすく、75%以下ではウレタン化反応と同時に重合反応を進行させるのが容易となる。
なお、(A)中に、ビニル重合性官能基を有し、活性水素含有基を持たない化合物(c)を含有する場合は、(a)と(c)の合計と(b)の質量比が、上記の比率であることが好ましい。
【0032】
本発明で使用される有機ポリイソシアネート(B)としては、イソシアネート基を分子内に2個以上有する化合物であればよく、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されるものを用いることができる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変性物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0033】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0034】
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
本発明で用いる有機ポリイソシアネート(B)としては、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、更に好ましくは2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上のMDI系ポリイソシアネートを主成分とするものである。(B)中のこれらの主成分の含有量は、好ましくは40%以上、更に好ましくは80%以上である。
【0035】
本発明の製造方法において、硬質ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数(NCO INDEX)[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は好ましくは50〜250、更に好ましくは70〜200、特に好ましくは75〜180、最も好ましくは80〜160である。
【0036】
本発明の製造方法で使用される発泡剤(C)は、低沸点炭化水素を含有する。低沸点炭化水素は単独で用いても水等の他の発泡剤と併用してもよい。低沸点炭化水素は、通常沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例として、例えばブタン、ペンタン、シクロペンタン、およびこれらの混合物が挙げられ、これらのうち好ましくはペンタン、およびシクロペンタンであり、更に好ましくはシクロペンタンである。また、発泡剤(C)としてシクロペンタンを使用する場合、水を併用することが好ましい。
【0037】
発泡剤(C)として用いる低沸点炭化水素の量は、活性水素成分(A)100部当り、好ましくは0.1〜50部、更に好ましくは1〜40部、特に好ましくは10〜30部、最も好ましくは15〜25部である。50部以下では発泡時の発熱による炭化水素の発生量が適量であり、外観良好な硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
低沸点炭化水素と水とを併用する場合の水の使用量は、上記量の低沸点炭化水素に加え、(A)100部当り、好ましくは10部以下、更に好ましくは0.1〜5部、特に好ましくは0.1〜3部、最も好ましくは0.2〜2部である。10部以下ではイソシアネートとの反応による二酸化炭素が発生量が適量であり、外観良好な硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。
上記および以下において、部は、特に記載のない限り質量部を意味する。
【0038】
本発明の製造方法において、必要に応じて添加剤(D)を用いることができる。
(D)のうちラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物(例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタンなど)、有機過酸化物(例えばジベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、過酸化物とジメチルアニリンとの組み合わせ(レドックス触媒)などの水溶性ラジカル重合開始剤が挙げられる。
ラジカル重合開始剤の量は、活性水素成分(A)100部に対して、好ましくは10部以下、更に好ましくは0.001〜5部、特に好ましくは0.005〜3部、最も好ましくは0.01〜2.5部である。10部以下ではウレタン化反応と同時に重合反応を進行させるのが容易であり、0.001部以上では、キュアー性の良好な硬質ポリウレタンフォームが得られる。
【0039】
その他の添加剤(D)としては、整泡剤(ジメチルシロキサン系、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系等)、ウレタン化触媒(3級アミン触媒、例えばトリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等、および/または金属触媒、例えばオクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛等)、難燃剤(リン酸エステル、ハロゲン化リン酸エステル等)、着色剤(染料、含量等)、可塑剤(フタル酸エステル、アジピン酸エステル等)、有機充填剤(合成短繊維、熱可塑性もしくは熱硬化性樹脂からなる中空微小球等)、抗酸化剤(ヒンダードフェーノール系、ヒンダードアミン系等)、老化防止剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系等)、離型剤(ワックス系、金属石鹸系、またはこれらの混合系)など公知の添加剤の存在下で反応させることができる。また、前記(a)を希釈剤として用いた添加剤〔例えば、アミン系触媒の(a)溶液〕を用いてもよい。
活性水素成分(A)100部に対するそれぞれの添加量は、整泡剤は、好ましくは10部以下、更に好ましくは0.01〜7部、特に好ましくは0.05〜5部、最も好ましくは0.1〜3部である。ウレタン化触媒は、好ましくは15部以下、更に好ましくは0.01〜10部、特に好ましくは0.02〜5.0部、最も好ましくは0.1〜3.5部である。ウレタン化触媒の量が10部以下ではウレタン化反応と同時に重合反応を進行させるのが容易であり、0.01部以上では、キュアー性の良好な硬質ポリウレタンフォーム得られる。
難燃剤は、好ましくは50部以下、更に好ましくは1〜40部、特に好ましくは3〜30部、最も好ましくは5〜25部である。着色剤は、好ましくは2部以下、更に好ましくは1部以下である。可塑剤は、好ましくは50部以下、更に好ましくは20部以下、特に好ましくは10部以下である。有機充填材は、好ましくは50部以下、更に好ましくは40部以下、特に好ましくは30部以下である。抗酸化剤は、好ましくは1部以下、更に好ましくは0.01〜0.5部である。老化防止剤は、好ましくは1部以下、更に好ましくは0.01〜0.5部である。離型剤は、好ましくは10部以下、更に好ましくは5部以下、特に好ましくは3部以下である。
【0040】
本発明の方法による硬質ポリウレタンフォームの製造方法の一例を示せば以下のとおりである。
まず、活性水素成分(A)、発泡剤(C)、および必要により添加剤(D)を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機または攪拌機を用いて、この混合物と有機ポリイソシアネート(B)とを急速混合した混合液(発泡原液)をモールドに流し入れ、所定時間硬化後、脱型して硬質ポリウレタンフォームを得る。モールドは開放モールド(フリー発泡)、密閉モールド(モールド発泡)のどちらでもよく、また常温でも加熱下(例えば30〜80℃)でもよい。また、スプレー発泡、連続発泡のどちらでもよい。ウレタン化反応は、プレポリマー法では各成分を混合した原液の粘度が高くなるためワンショット法が好ましい。
なお、本発明の方法は、スラブフォームにもRIM(反応射出成形)法による成形にも適用でき、またメカニカルフロス法で硬質ポリウレタンフォームを得るのに用いることもできる。
【0041】
本発明の硬質ポリウレタンフォームは、ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を、反応により得られるビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせることで得られる。ここで、ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応をビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせるということは、ビニル重合性官能基の重合とポリウレタン形成反応とを、少なくとも一部の期間並行して行わせることを意味する。架橋密度を上げて、機械的物性を向上させるためには、一方の反応で硬化して樹脂が形成されてしまう前に、もう一方の反応を開始させて、2つの反応を同時に行わせるのが望ましい。
【0042】
本発明の製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームの密度は、モールド発泡においては、スキン付きコア密度が、好ましくは80kg/m3以下、更に好ましくは15〜60kg/m3、特に好ましくは20〜50kg/m3、最も好ましくは25〜45kg/m3である。フリー発泡においては、コア密度が、好ましくは50kg/m3以下、更に好ましくは10〜40kg/m3、特に好ましくは15〜35kg/m3、最も好ましくは20〜30kg/m3である。
【0043】
本発明の製造方法により得られる硬質ポリウレタンフォームの芳香環濃度は、燃焼性が良好なことから、1.0mmol/g以上が好ましく、より好ましくは2.0〜10.0mmol/g、更に好ましくは3.0〜8.0mmol/g、特に好ましくは3.2〜6.0mmol/g、最も好ましくは3.5〜5.0mmo/gである。
硬質ポリウレタンフォームにおける芳香環濃度は、ポリウレタンフォームを得るに用いる原料の総質量中の芳香環のモル数で表し、下式で示される。
〔(ポリウレタンフォームを得るに用いる原料中の芳香環の総数)/(ポリウレタンフォームを得るに用いる原料の総質量)〕×1000
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0045】
実施例1〜21、比較例1〜15における硬質ポリウレタンフォームの原料は次の通りである。
(1)ビニル重合性官能基含有活性水素化合物(a)〔(a’8)〜(a’10)は比較用〕
(a1)グリセリンとアクリル酸を反応させた、水酸基価が281で分子内のビニル重合性官能基が10.0mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a2)グリセリンとメタクリル酸を反応させた、水酸基価が246で、分子内のビニル重合性官能基が8.8mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a3)ペンタエリスリトールとアクリル酸を反応させた、水酸基価が460で、分子内のビニル重合性官能基が8.2mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a4)ペンタエリスリトールとアクリル酸を反応させた、水酸基価が188で、分子内のビニル重合性官能基が10.1mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a5)ペンタエリスリトールとメタクリル酸を反応させた、水酸基価が165で、分子内のビニル重合性官能基が8.8mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a6)ソルビトールとアクリル酸を反応させた、水酸基価が489で、分子内のビニル重合性官能基が8.7mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a7)ソルビトールとアクリル酸を反応させた、水酸基価が124で、分子内のビニル重合性官能基が11.1mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a’8)グリセリンのPO9モル付加物とアクリル酸を反応させた、水酸基価が78で、分子内のビニル重合性官能基が2.8mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a’9)アクリル酸にPOを付加させた、水酸基価が432で、分子内のビニル重合性官能基が7.7mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(a’10)ジプロピレングリコールとアクリル酸を反応させた、水酸基価が298で、分子内のビニル重合性官能基が5.3mmol/gのビニル重合性官能基含有活性水素成分
(2)ビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)
(b1)グリセリンにPOを付加させた水酸基価673のポリエーテルポリオールとトリメチロールプロパンの質量比50/50の混合物
(b2)グリセリンにPOを付加させた水酸基価421のポリエーテルポリオール
(b3)グリセリンにPOを付加させた水酸基価281のポリエーテルポリオール
(b4)トリレンジアミンにEO3モルとPOをブロック付加させた水酸基価405のポリエーテルポリオール
(b5)グリセリンにEOを付加させた水酸基価842のポリエーテルポリオール
(b6)トリレンジアミンにPOを付加させた水酸基価390のポリエーテルポリオール
【0046】
(3)発泡剤(C)
(C1)シクロペンタン
(C2)水
(4)添加剤(D)
(D1)N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(サンアプロ(株)社製「U.CAT−1000」)
(D2)ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル/ジプロピレングリコール=70/30(東ソ−(株)社製TOYOCAT ET)
(D3)ポリエーテルシロキサン重合体(日本ユニカー(株)社製「SZ−1675T」)
(D4)ラジカル重合開始剤:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル(和光純薬工業(株)社製「V−65」)
(D5)トリクロロプロピルフォスフェート(第八化学(株)社製)
(D6)アミン触媒A(サンアプロ(株)社製MS−181)
(D7)アミン触媒B(サンアプロ(株)社製MS−171)
(D8)ジブチルチンジラウレート(日東化成(株)社製ネオスタンU−100)
(D9)ポリエーテルシロキサン重合体(東レダウコーニング(株)社製「SH−193」)
(D10)ラジカル重合開始剤:ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)社製「パークミルD」)
(5)有機ポリイソシアネ−ト(B)
(B1)粗製MDI(日本ポリウレタン工業(株)社製「MR−200」)、NCO%=31.0
【0047】
〔実施例1〜11、比較例1〜8〕
実施例1〜11、比較例1〜8の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、以下のとおりである。
まず、25±5℃に温調した活性水素成分(A)と発泡剤(C)、および整泡剤やウレタン化触媒等の添加剤(D)を所定量混合した。この混合物に25±5℃に温調した有機ポリイソシアネート(B)を所定のNCO INDEXとなるよう加えて、攪拌機[ホモディスパー:特殊機化(株)社製]にて4000rpm×6秒間急速混合し、混合液をすみやかに60℃に温調した300×300×50mmのアルミ製モールドに流し入れ、15分後に脱型して硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0048】
各実施例および比較例により得られた硬質ポリウレタンフォームの、スキン付きコア密度と圧縮硬さの測定結果を表1に示す。
測定に用いた硬質ポリウレタンフォームは、上記方法で成形した後、温度25℃、湿度60%にて1日養生したものを、成形品の中央部から上下面(高さ方向)以外の4面をカットして切り出し、50(長さ)×50(幅)×50(高さ)mmのサンプル片を4個得、その密度(スキン付きコア密度)を測定し、その後JIS A 9511(1995年度版)の圧縮硬さの試験法に基づいて圧縮硬さを測定した。
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示されるように、本発明の製造方法で得られたモールド発泡硬質ポリウレタンフォームは、従来のものと比較して、低密度化時においても圧縮硬さに優れたフォームである。
【0051】
〔実施例12〜24、比較例9〜15〕
実施例12〜24、比較例9〜15の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、以下のとおりである。
まず、25±5℃に温調した活性水素成分(A)と発泡剤(C)、および整泡剤やウレタン化触媒等の添加剤(D)を所定量混合した。この混合物に25±5℃に温調した有機ポリイソシアネート(B)を所定のNCO INDEXとなるよう加えて、攪拌機[ホモディスパー:特殊機化(株)社製]にて4000rpm×6秒間急速混合し、混合液をすみやかに25℃の240×240×240mmの天蓋のないアルミ製の箱に流し入れ、フリー発泡をさせて硬質ポリウレタンフォームを得た。
【0052】
各実施例および比較例により得られた硬質ポリウレタンフォームの、コア密度、圧縮硬さ、および燃焼性の測定結果を表2に示す。
測定に用いた硬質ポリウレタンフォームは、上記方法で成形した後、温度25℃、湿度60%にて1日養生したものを、成形品の中央部から50(長さ)×50(幅)×50(高さ)mmのサンプル片を4個得、その密度(コア密度)を測定し、その後JIS A 9511(1995年度版)の圧縮硬さの試験法に基づいて圧縮硬さを測定した。また、成形品の中央部から150(長さ)×50(幅)×13(高さ)mmのサンプル片を5個得、JIS A 9511(1995年度版)の燃焼性試験の試験法に基づき燃焼性を測定した。
【0053】
【表2】

【0054】
表2に示されるように、本発明の製造方法で得られたフリー発泡硬質ポリウレタンフォームは、低密度化時においても、燃焼性に優れたフォームであり、且つ同じ平均水酸基価のポリオールを用いた場合での対比では、従来のものより圧縮硬さに優れたフォームである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の製造方法により得られた硬質ポリウレタンフォームは、圧縮硬さに優れ、強度が高く、寸法安定性および断熱性、難燃性にも優れていることから、例えば冷蔵庫や冷凍庫、建築用断熱剤等の用途に広く利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分(A)と有機ポリイソシアネート(B)とを発泡剤(C)の存在下に反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(A)中に、活性水素含有基と2個以上の下記一般式(1)で示されるビニル重合性官能基を有し、分子内のビニル重合性官能基の濃度が7.0mmol/g以上であって、下記(a1)〜(a3)から選ばれる1種以上の活性水素化合物(a)、または(a)とビニル重合性官能基を有しない活性水素化合物(b)を含有し、発泡剤(C)が低沸点炭化水素を含有することを特徴とする硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
(a1)ポリオールの不飽和カルボン酸部分エステルまたは部分不飽和アルキルエーテル
(a2)アミンの不飽和カルボン酸部分アミド化物または部分不飽和アルキル化物
(a3)ポリチオールの不飽和カルボン酸部分チオエステルまたは部分不飽和アルキルチオエーテル

| (1)
CH2=C−
[式中Rは、水素、炭素数1〜15のアルキル基、または炭素数6〜21のアリール基を表す。]
【請求項2】
活性水素化合物(a)の活性水素価が10〜1800である請求項1記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
活性水素成分(A)中の(a)と(b)の質量比が0.5/99.5〜100/0である請求項1または2記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
有機ポリイソシアネート(B)が、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、並びにそれらの変性物から選ばれる1種以上を主成分とする請求項1〜3のいずれか記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
得られる硬質ポリウレタンフォーム中の芳香環濃度が1.0mmol/g以上である請求項1〜4のいずれか記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
ビニル重合性官能基の重合と共にポリウレタン形成反応を、反応により得られるビニル重合鎖部分とポリウレタン鎖部分の架橋が起こる条件下で行わせる請求項1〜5のいずれかの記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の硬質ポリウレタンフォームの製造方法により得られるビニル重合性官能基の重合により形成されたビニル重合鎖部分がポリウレタン鎖部分に架橋された構造を有する硬質ポリウレタンフォーム。

【公開番号】特開2008−223001(P2008−223001A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310417(P2007−310417)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】