説明

硬質ポリウレタンフォームの製造方法

a)ポリイソシアネートと、
b)イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、を
c)発泡剤の存在下、
に反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物は、少なくとも1つのポリエーテルアルコールbi)を含み、
該ポリエーテルアルコールbi)は、芳香族アミンと、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの反応により製造可能であり、
該反応では、第一処理段階で、最初にプロピレンオキシド、及びその次に、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物、そして、第二処理段階で、塩基性触媒の使用下にプロピレンオキシドの残量が加えられることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物とを反応させることによる硬質ポリウレタンフォームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォームは以前から公知であり、主に断熱及び断冷のために使用されている。そして、例えば、冷蔵機器、貯湯槽、地域暖房用パイプ、又は建造物及び建築、例えば、サンドイッチ要素に使用されている。硬質ウレタンフォームの製造及び使用の概要は、例えば、Kunststoff-Handbuch、第7巻、ポリウレタン初版1966年、Dr.R.Vieweg、Dr.A.Hoechtlen編、第2版1983年、Dr.Guenter Oertel編、及び第3版1983年、Dr.Guenter Oertel、Carl Hanser Verlag、Munich、Vienna編、に示されている。
【0003】
硬質ポリウレタンフォームの使用において、それぞれの用途にとっての最適な特性を実現することが重要である。
【0004】
硬質ポリウレタンフォームの種々の加工特性及び使用特性において、イソシアネート基と反応する少なくとも2つの水素原子を有する化合物が、非常によく適合する。
【0005】
特に、冷蔵機器に使用するため、芳香族アミンに対するアルキレンオキシドの添加(付加)により得られるポリエーテルアルコールが、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物として頻繁に使用されている。芳香族アミンでは、トルエンジアミン(TDA)の異性体が特に重要である。このような製造物が、フォームの製造における最適な流動性及びフォームの低い熱伝導率をもたらす。
【0006】
TDAに基づくポリエーテルアルコール及びこのような製造物の製造も、同様に公知である。従って、特許文献1(EP 747 411)では、オルト−TDA(ビシナルTDAとしても知られる)に基づくポリエーテルアルコールについて記載されている。このポリエーテルアルコールの製造においては、第一処理段階で、純粋なエチレンオキシドが触媒を使用せずに添加され、また第二処理段階で、純粋なプロピレンオキシドが、塩基性触媒を使用して添加される。
【0007】
この方法で製造されたポリエーテルアルコールは、比較的低官能性であり、またポリウレタン系の硬化の遅延をもたらす。それゆえ、特に冷蔵機器に存在する複雑な空洞空間でさえ、完全に満たすことが可能となる。ポリエーテルアルコール中のエチレンオキシドの高い含有率により、ポリイソシアネートとの親和性が低くなり、また、フォームの硬化性が劣化し、及びフォームのより大きな脱型厚さ(demolding thickness)をもたらす。
【0008】
特許文献2(WO2005/044889)にも、TDAに基づくポリエーテルアルコールを使用して製造される硬質ポリウレタンフォームについて記載されている。ここでは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が第一反応段階において添加され、また純粋なプロピレンオキシドが第二反応段階において添加される。エチレンオキシドの割合は、ポリエーテルアルコールに対して、2〜25質量%である。
【0009】
硬質フォームの分野の種々の適用、特に冷蔵機器の断熱での重要な要素は、採用するシステムの硬化挙動(硬化特性)であり、これは機器製品の製造における工程時間(cycle time)に対して重大な影響力を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP747 411
【特許文献2】WO2005/044889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、硬質ポリウレタンフォームの製造方法を改良することにあり、そしてこの方法では、良好な熱伝導率が得られ、このシステムにおける発泡剤の高い溶解性、及び、最適なフロー時間及び硬化時間が得られるものである。さらに、使用されるポリオールの相互の混和性(混合性)が保証されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、驚くべきことに、芳香族アミンと、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとを反応させることにより製造可能なポリエーテルアルコールであって、上記反応では、第一処理段階で初めにプロピレンオキシド、その次にエチレンオキシドが添加され、そして第二処理段階でプロピレンオキシドが添加される、ポリエーテルアルコールポリエーテルアルコールを使用することによって達成される。
【0013】
本発明は従って、
a)ポリイソシアネートと、
b)イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、を
c)発泡剤の存在下、
に反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物は、少なくとも1つのポリエーテルアルコールbi)を含み、
該ポリエーテルアルコールbi)は、芳香族アミンと、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの反応により製造可能であり、
該反応では、第一処理段階で、最初にプロピレンオキシド、及びその次に、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物、そして、第二処理段階で、プロピレンオキシドの残量が加えられることを特徴とする方法を提供する。
【0014】
本発明は、さらに、ポリエーテルアルコールbi)及び、芳香族アミンに対してエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを添加(付加)することによるポリエーテルアルコールbi)を製造する方法を提供し、該方法では、第一処理段階で、初めにプロピレンオキシド、その次にエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が添加され、そして第二処理段階で、プロピレンオキシドの残量が塩基性触媒を使用して添加されることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
トルエンジアミンのアミノ基とプロピレンオキシドとを最初に反応させることが、特に有利である。これにより2級ヒドロキシル基を形成する。次にエチレンオキシドをさらに添加するが、これは残りのアミノ基を優先する傾向を有し、そしてこのアミノ基と結合する。これにより、遊離アミノ基のさらなる最小化をもたらし、また、このように、ポリエーテルアルコール固有反応性(intrinsic reactivity)のさらなる低下をもたらす。プロピレンオキシドが添加された後に、上述した純粋なエチレンオキシドが添加されるのが好ましい。エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物の導入もまた可能であり、この混合物中のプロピレンオキシドの含有量は、混合物に対して、20質量%を超えるべきでない。
【0016】
ポリエーテルアルコールbi)のヒドロキシル価は、好ましくは140〜480mgKOH/gであり、特に140〜470mgKOH/gである。本発明の特に好ましい実施形態では、ヒドロキシル価は、本発明で製造されるポリエーテルアルコールの使用の推奨分野に応じて、140〜180mgKOH/g又は370〜420mgKOH/gである。
【0017】
ポリエーテルアルコールbi)を製造するための芳香族アミンとして、ジフェニルメタンジアミン(MDA)を単独で、あるいはその高級同族体又はトルエンジアミン(TDA)との混合物を使用することが可能である。TDAを使用するのが好ましく、特に好ましくは少なくとも95質量%のビシナルTDAの割合を有するTDAを使用するのが好ましい。
【0018】
ポリエーテルアルコールbi)の製造における第一処理段階は、触媒の不存在下に行うことが好ましい。
【0019】
さらに、ポリエーテルアルコールbi)の製造における第二処理段階は、塩基性触媒の存在下に行うことが好ましい。塩基性触媒として、アルカリ性化合物及び/又はアミン、特に好ましくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、及び特に水酸化カリウムを使用することが好ましい。
【0020】
第一処理段階では、芳香族アミン1モル当たり、2.5〜4モルのアルキレンオキシドを使用することが好ましい。第一処理段階では、芳香族アミン1モルあたり、1.5〜2モルのエチレンオキシド、及び1〜2モルのプロピレンオキシドを使用することが特に好ましい。
【0021】
第一段階でのエチレンオキシドの量は、第一段階のアルキレンオキシドの全質量に対して、35〜80質量%である。ポリエーテルアルコールのエチレンオキシドの含有量は、ポリエーテルアルコールの質量に対して、4〜20質量%が好ましい。
【0022】
第二処理段階では、プロピレンオキシドと、それぞれ混合物の質量に対して、0質量%を超え且つ20質量%以下、好ましくは0質量%を超え且つ5質量%以下のエチレンオキシドとの混合物を、純粋なプロピレンオキシドの代わりに使用することができる。
【0023】
ポリエーテルアルコールbi)を製造する好ましい実施の形態では、第二処理段階は、水の存在下、又は少なくとも2個の活性水素原子を有する少なくとも1種の更なる化合物の存在下で行われる。水はそのまま、又はアルカリ性触媒の溶液として加えることができる。
【0024】
ポリエーテルアルコールbi)の製造は、通常の方法、例えば、特許文献1(EP 747 411)に記載されているように行われる。ここでは、アルキレンオキシドの添加(付加)は、100〜135℃の温度、及び0.1〜8バールの圧力で行うのが好ましい。アルキレンオキシドの導入の後には、通常、完全に反応させるために、アルキレンオキシドのための後反応段階が続く。このようにして得られた粗ポリエーテルアルコールは、蒸留(好ましくは減圧下による蒸留)によって、未反応アルキレンオキシド及び揮発性化合物が除去され、脱水され、そして酸の中和と、発生した酸の分離によって処理される。
【0025】
第3級アミンを使用した触媒の場合では、粗製造物は、窒素を使用し及び/又は減圧下で、ストリップ(分離)され、及び適切な場合にはその後にろ過される。
【0026】
硬質ポリウレタンフォームの製造は、以上で示したように、ポリオールとポリイソシアネートとを、通常、触媒、発泡剤及び補助剤及び/又は添加剤の存在下に、反応(変換)させることによって達成される。
【0027】
ポリエーテルアルコールbi)は、ここで、単独で使用することができるが、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する更なる化合物の存在下で使用するのが好ましい。
【0028】
本発明の方法のために使用される他の出発物質に関して、以下に詳細に説明する。
【0029】
有機ポリイソシアネートa)としては、芳香族多官能性イソシアネートを使用するのが好ましい。
【0030】
具体的な例は、トリレン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDA)及び、これに相当する異性体混合物、ジフェニルメタン−4,4´−、2,4´−及び2,2´−ジイソシアネート(MDI)、及びこれに相当する異性体混合物、ジフェニルメタン−4,4´−及び2,4´−ジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−、2,4´−及び2,2´−ジイソシアネートの混合物、及びポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(粗MDI)、及び粗(MDI)とトリレンジイソシアネートの混合物である。有機ジイソシアネート及びポリイソシアネートは、個々に又は混合物として、使用することができる。
【0031】
変性多官能性イソシアネート、すなわち、有機イソシアネート及び/又はポリイソシアネートの化学反応によって得られた製造物もまた頻繁に使用される。上述の例は、イソシアヌレート基及び/又はウレタン基を含むジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートである。変性ポリイソシアネートは、適切な場合には、互いに、又は、ジフェニルメタン−2、4´、4−4´−ジイソシアネート、粗MDI、トリレン−2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート等の変性有機ポリイソシアネートと混合してもよい。
【0032】
多官能性イソシアネートと多官能性ポリオールとの反応製造物、又は他のジイソシアネート及びポリイソシアネートとの混合物の使用もまた可能である。
【0033】
含有量が29〜33質量%で、粘度が25℃で150〜1000mPa・sであるNCOを有する粗MDIが、有機ポリイソシアネートとして特に有用であることが見出された。
【0034】
本発明で使用されるポリエーテルアルコールbi)とともに使用することができるイソシアネートと反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)としては、特に、100〜1200mgKOH/gのOH価を有するポリエーテルアルコール及び/又はポリエステルアルコールが使用される。
【0035】
本発明で使用されるポリエーテルアルコールbi)と共に使用されるポリエステルアルコールは、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する多官能性アルコール、好ましくはジオールと、2〜12個の炭素原子を有する多官能性のカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、及び好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び異性体のナフタレンジカルボン酸)との縮合により通常製造される。
【0036】
本発明で使用されるポリエーテルアルコールbi)と共に使用されるポリエーテルアルコールは、通常、2〜8、特には3〜8の官能価を有する。
【0037】
特に、公知の方法、例えば、触媒(アルカリ金属の水酸化物が好ましい)の存在下、アルキレンオキシドのアニオン重合によって製造されるポリエーテルアルコールが、使用される。
【0038】
使用されるアルキレンオキシドは、通常、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、好ましくは純粋な1,2−プロピレンオキシドである。
【0039】
出発分子として、特に、分子内に、少なくとも3個、好ましくは4〜8個のヒドロキシル基、又は少なくとも2個の1級アミノ基を有する化合物が使用される。
【0040】
分子内に、少なくとも3個、好ましくは4〜8個のヒドロキシル基を有する出発分子として、トリメチロプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、マンニトール、スクロース等の糖化合物、多価フェノール、フェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー縮合物等のレゾール、及びフェノール、ホルムアルデヒド及びジアルカノールアミン及びまたメラミンのマンニッヒ縮合物、を使用するのが好ましい。
【0041】
分子内に少なくとも2個の1級アミノ基を有する出発分子として、芳香族ジアミン及び/又はポリアミン、例えば、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−、3,4−及び2,6−トルエンジアミン、及び4,4´−、2,4´−及び2,2´−ジアミノジフェニルメタン、及びエチレンジアミン等の脂肪族ジアミン及びポリアミンを使用するのが好ましい。
【0042】
ポリエーテルアルコールは、好ましくは3〜8の官能価、及び好ましくは100〜1200mgKOH/g及び特に120〜570mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。
【0043】
ポリオール成分中の分子量が500〜1500の2官能性ポリオール(例えばポリエチレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール)を使用することにより、ポリオール成分の粘性を調節できる。
【0044】
イソシアネートと反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)には、付随して使用されてよい鎖延長剤及び架橋剤がまた挙げられる。硬質PURフォームは、鎖延長剤及び/又は架橋剤の付随的使用を伴わずに、又は伴って製造され得る。2官能性鎖延長剤、3官能性及び高官能性架橋剤、又は、適切な場合には、その混合物の添加は、機械的性質を改質(変性)することに有利であることがわかった。鎖延長剤(鎖増量剤)及び/又は架橋剤として、アルカノールアミン及び特に分子量が400未満、好ましくは60〜300であるジオール及び/又はトリオールの使用が好ましい。
【0045】
鎖延長剤、架橋剤又はその混合物は、ポリオール成分b)に対して、1〜20質量%、好ましくは2〜5質量%の量で、有利に使用される。
【0046】
使用されるポリエーテルアルコール及びポリエステルアルコール、及びその製造に関する更なる情報は、例えば、Kunststoffhandbuch、第7巻、ポリウレタン、Gueter Oertel、Carl-Hanser-Verlag、Munich編、第3版1993年に記載されている。
【0047】
本発明の方法の特に好ましい実施の形態では、成分b)は、官能性糖類とアルキレンオキシドとの反応により製造することができるポリエーテルアルコールbii)を含む。
【0048】
ポリエーテルアルコールbii)を製造するために使用される糖は、スクロース及び/又はソルビトールが好ましい。ポリエーテルアルコールbii)のヒドロキシル価は350〜800mgKOH/gが好ましい。
【0049】
使用される触媒は、特に、イソシアネート基とイソシアネート基と反応する基との反応を強力に促進させる化合物である。このような触媒は強塩基性アミンであり、例えば、第2級脂肪族アミン、イミダゾール、アミジン及びアルカノールアミン、又は有機金属化合物、特にスズ化合物である。
【0050】
イソシアヌレート基がまた硬質ポリウレタンフォームに組み込まれる場合、特定の触媒がこの目的のために必要とされる。イソシアヌレート基触媒として、通常、金属炭酸塩、特に酢酸カリウム及びその溶液が使用される。
【0051】
触媒は、必要に応じて、単独で又は互いに組み合わせて使用することができる。
【0052】
発泡剤c)として、水を使用することが好ましく、この場合水は二酸化炭素を分離させる。また物理的発泡剤を水と組み合わせて、又は水の代わりに使用することもまた可能である。物理的発泡剤は、出発成分に対して不活性であり、通常は室温で液体であり、またウレタン反応の条件下で気化する化合物である。これらの化合物の沸点は、好ましくは50℃以下である。物理的発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、低沸点アルカン及びフルオロアルカンなど、室温で気体であり、加圧下で出発成分中に導入するか溶解する化合物が挙げられる。
【0053】
物理的発泡剤は、少なくとも4個の炭素原子を有するアルカン及びシクロアルカン、ジアルキルエーテル、エステル、ケトン、アセタール、1〜8個の炭素原子を有するフルオロアルカン、アルキル鎖内に1〜3個の炭素原子を有するテトラアルキルシラン、特にテトラメチルシランからなる群から通常選択される。
【0054】
上記の例としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン及びシクロブタン、n−ペンタン、イソペンタン及びシクロペンタン、シクロヘキサン、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、ギ酸メチル、アセトン、及び対流圏において分解できるためオゾン層を破壊しないフルオロアルカン(例えば、トリフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン及び1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン及びC38、C410、C512、614及びC717等のパーフルオロアルカン)である。上述した物理的発泡剤は、単独で用いてもよく、他のものとの組み合わせで用いてもよい。
【0055】
本発明の方法は、必要であれば、難燃剤及びまた通常の補助剤及び/又は添加剤の存在下に行うことができる。
【0056】
難燃剤として、有機リン酸及び/又はホスホン酸エステルを使用することができる。イソシアネート基と反応しない化合物を使用するのが好ましい。好ましい化合物としては、塩素を含むリン酸エステルが挙げられる。
【0057】
難燃剤の群の代表的な典型例は、リン酸トリエチル、リン酸ジフェニルクレシル、リン酸トリス(クロロプロピル)及びジエチルエタンホスホネートである。
【0058】
臭素を含む難燃剤の使用もまた可能である。臭素を含む難燃剤として、イソシアネート基と反応する基を有する化合物を使用することが好ましい。このような化合物は、テトラブロモフタル酸と脂肪族ジオールとのエステル、及びジブロモブテンジオールのアルコキシル化生成物である。一連のブロモ化されたOHを含むネオペンチル化合物から得られた化合物もまた使用することができる。
【0059】
使用される補助剤及び/又は添加剤は、この目的のためにそれ自体知られている材料、例えば界面活性剤、気泡安定剤、気泡調整剤、充填剤、顔料、染料、加水分解抑制剤、静電防止剤、静真菌剤及び静菌性剤である。
【0060】
本発明の方法を実施するために用いられる出発原料、発泡剤、触媒並びに助剤及び/又は添加剤についてのさらなる詳細は、Kunststoff-Handbuch、第7巻、「ポリウレタン」Carl-Hanser-Verlag初版1966年、第2版1983年、及び第3版1983年、に示されている。
【0061】
硬質ポリウレタンフォームの製造のため、ポリイソシアネートa)及びイソシアネート基と反応する少なくとも二個の水素原子を有する化合物b)を、以下の量で使用できる。すなわち、イソシアネート指数(isocyanate index)を100〜220、好ましくは115〜195として反応可能である。硬質ポリウレタンフォームは、公知の混合装置を用いて、回分式又は連続式で製造することができる。
【0062】
ポリイソシアヌレートフォームの製造は高い指数(index)、好ましくは最高350までにおいて、行うこともできる。
【0063】
本発明の硬質PURフォームは、2つの構成過程によって通常製造される。この過程では、ポリオール成分を生成するために、イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物b)が、難燃剤、触媒、発泡剤、及びさらに補助剤及び/又は添加剤と混合される。そしてこれは、ポリイソシアネート又はポリイソシアネートの混合物、及び、適切な場合には、発泡剤(発泡剤は、イソシアネート成分とも称される)と反応する。
【0064】
出発成分は、15〜35℃、好ましくは20〜30℃の温度で通常混合される。反応混合物は、高又は低圧力計測機器を用いて閉じられたサポートツールに導入することができる。例えば、本技術によって、サンドイッチ要素が不連続的に製造される。
【0065】
本発明の方法によって製造されるポリエーテルアルコールは、硬質ポリウレタンフォームを形成するために、上述したように、ポリイソシアネートと反応させることができる。これらはポリオール成分の他の構成要素と非常に容易に混和し、硬質PUフォームを製造するための発泡剤として好ましく使用される炭化水素と容易に混和する。このフォームは低熱伝導率、良好な流動性、良好な硬化性、及び良好な脱型性(demoldability)を有する。
【0066】
以下に実施例を使用して本発明を説明する。
【実施例1】
【0067】
43.6kgのビシナルトルエンジアミンを、多段攪拌機(250rpm)、加熱冷却反応器、固体及び液体物質の計測装置、並びに窒素での被覆及び吸引システムの計測装置を備える250lの加圧オートクレーブに入れ、90℃に加熱した。22.0kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、130℃で反応させた。計量添加が終了した10分後、反応器を2.5バールの窒素で満たし、28.7kgのエチレンオキシドを130℃で計量添加した。3時間の後反応時間の後、0.705kgの48%の強度の水酸化カリウム溶液を反応混合物に加え、混合した。100.2kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、圧力が6.5バールを超えないように保った。反応の間、反応温度は135℃まで上昇し、全反応時間その温度を維持した。135℃で3時間の後反応時間を続けた。
【0068】
粗ポリエーテロールを水で加水分解し、リン酸で中和し、ろ過及び吸引取り出しをした。
【0069】
最終生成物は次の値を示した。
【0070】
ヒドロキシル価 391mgKOH/g
アミン価 105mgKOH/g
水含有量 0.044質量%
25℃での粘度 11144mPas
【実施例2】
【0071】
43.6kgのビシナルトルエンジアミンを、多段攪拌機(250rpm)、加熱冷却反応器、固体及び液体物質の計測装置、並びに窒素での被覆及び吸引システムの計測装置を備える250lの加圧オートクレーブに入れ、90℃に加熱した。22.0kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、110℃で反応させた。計量添加が終了した10分後、反応器を2.5バールの窒素で満たし、28.7kgのエチレンオキシドを110℃で計量添加した。3時間の後反応時間の後、1.945kgのジメチルエタノールアミンを反応混合物に添加し、混合した。100.2kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、圧力が6.5バールを超えないように保った。反応の間、反応温度は112℃まで上昇し、全反応時間その温度を維持した。120℃で3時間の後反応時間を続けた。
【0072】
得られた粗ポリエーテロールは吸引して取り出し、ろ過をした。最終生成物は次の値を示した。
【0073】
ヒドロキシル価 395mgKOH/g
アミン価 111mgKOH/g
水含有量 0.032質量%
25℃での粘度 25620mPa・s
【実施例3】
【0074】
17.3kgのビシナルトルエンジアミンを、多段攪拌機(250rpm)、加熱冷却反応器、固体及び液体物質の計測装置、並びに窒素での被覆及び吸引システムの計測装置を備える250lの加圧オートクレーブに入れ、90℃に加熱した。8.75kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、130℃で反応させた。計量添加が終了した10分後、反応器を2.5バールの窒素で満たし、11.4kgのエチレンオキシドを130℃で計量添加した。3時間の後反応時間の後、0.80kgの48%の強度の水酸化カリウム溶液を反応混合物に加え、混合した。160kgのプロピレンオキシドをその後計量添加し、圧力が6.5バールを超えないように保った。反応の間、反応温度は135℃まで上昇し、全反応時間その温度を維持した。135℃で3時間の後反応時間を続けた。
【0075】
粗ポリエーテロールを水で加水分解し、リン酸で中和し、ろ過及び吸引取り出しをした。最終生成物は次の値を示した。
【0076】
ヒドロキシル価 161mgKOH/g
pH 8.5
水含有量 0.07質量%
25℃での粘度 834mPa・s
【実施例4】
【0077】
硬質ポリウレタンフォームの製造
【0078】
ポリオール成分を生成するために次の成分を混合した。
【0079】
58.75重量部のOH価が450mgKOH/gであるスクロース/グリセロール開始POポリエーテロール
10.00重量部の実施例2で得られるポリエーテルアルコール
25.00重量部のOH価が160mgKOH/gであるTDA開始PO/EO/POポリエーテロール
2.50重量部のTegostab B8462
0.50重量部のPMDETA
0.50重量部のDMCHA
0.40重量部の1,3,5−トリス−(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン
2.35重量部の水
【0080】
この混合物を、Puromat(登録商標)80/30高圧計量機で、シクロペンタン/イソペンタン及びLupranat(登録商標)M20sを100:17:143の重量比で用いて発泡させた。
【0081】
次の値が測定された。
【0082】
クリーム時間: 7s
ファイバー時間: 39s
15%の過剰充填での脱型厚さ(Demolding thickness)(90mm mold):
4分: 93.1mm
5分: 92.0mm
熱伝導率: 平均温度23℃で19.2mW/mk
圧縮強度: 0.13N/mm2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ポリイソシアネートと、
b)イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物と、を
c)発泡剤の存在下、
に反応させることにより硬質ポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記イソシアネート基と反応する少なくとも2個の水素原子を有する化合物は、少なくとも1つのポリエーテルアルコールbi)を含み、
該ポリエーテルアルコールbi)は、芳香族アミンと、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとの反応により製造可能であり、
該反応では、第一処理段階で、最初にプロピレンオキシド、及びその次に、エチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物、そして、第二処理段階で、プロピレンオキシドの残量が加えられることを特徴とする方法。
【請求項2】
ポリエーテルアルコールbi)の製造における第一処理段階を触媒の不存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリエーテルアルコールbi)の製造における第二処理段階を触媒の存在下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一処理段階において、初めにプロピレンオキシドを添加し、その次にエチレンオキシドを添加し、該エチレンオキシドの添加量は、第一処理段階のアルキレンオキシドの量に対して、35〜80質量%の割合であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第二処理段階において、混合物中のエチレンオキシドの含有量は、第二処理段階におけるエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物の質量に対して、0質量%を超え、5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第一処理段階において、芳香族アミン1モル当たり、2.5〜4モルのアルキレンオキシドを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第一処理段階において、芳香族アミン1モル当たり、1.5〜2モルのエチレンオキシド及び1〜2モルのプロピレンオキシドを使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第二処理段階を、水の存在下、又は、少なくとも2個の活性水素原子を有する少なくとも1つの更なる化合物の存在下に行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリエーテルアルコール中のエチレンオキシドの全含有量が、ポリエーテルアルコールの質量に対して、4〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ポリエーテルアルコールbi)のヒドロキシル価が140〜480mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ポリエーテルアルコールbi)のヒドロキシル価が140〜420mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ポリエーテルアルコールbi)の製造のために、トルエンジアミンを芳香族アミンとして使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ポリエーテルアルコールbi)の製造のために、ビシナルトルエンジアミンを少なくとも95%の割合で有するトルエンジアミンを、芳香族アミンとして使用することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
成分b)が、H−官能性糖類とアルキレンオキシドとの反応により製造することができるポリエーテルアルコールbii)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ポリエーテルアルコールbii)の製造のために使用される糖類がスクロース及び/又はソルビトールである請求項13に記載の方法。
【請求項16】
芳香族アミンに、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを添加することによりポリエーテルアルコールを製造する方法であって、
第一処理段階で、初めにプロピレンオキシドを、その次にエチレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物を添加し、
第二処理段階で、塩基性触媒を使用して、プロピレンオキシドの残量を添加することを特徴とする製造方法。
【請求項17】
請求項16に従って製造可能なポリエーテルアルコール。

【公表番号】特表2010−509477(P2010−509477A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536700(P2009−536700)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/061862
【国際公開番号】WO2008/058863
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】