説明

碍子型開閉装置

【課題】地球温暖化への影響を抑制するために環境面で悪影響の少ないCO等の絶縁性ガスを用いる一方で、SF6ガスを必要最小限に適用することで、ガス絶縁開閉器としての機能を発揮させるようにする。
【解決手段】内部に消弧室31aを形成した消弧室用碍管31と、この消弧室用碍管31の下部に設けられ、内部に絶縁ガス室32aを形成した支持碍管32と、この支持碍管32の下部に設けられた機構箱34と、消弧室31aと絶縁ガス室32aの間を気密的に区分する仕切板33を備える。消弧室用碍管31には、固定電極35および可動電極36を備え、可動電極36に設けられる絶縁ノズル37と、消弧室31aに封入する消弧性ガスG2とを備え、絶縁ガス室32aに消弧性ガスG2より地球温暖化係数の小さい絶縁ガスG1を封入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、絶縁ガスを封入した密閉容器内に開閉可能とした接点を配置してなる碍子型開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流遮断機能を有する碍子型開閉装置として一般的に使用されているものとしてガス絶縁開閉器がある。このガス絶縁開閉器には、その使用目的、必要とされる機能に応じて、負荷開閉器、断路器、遮断器など様々なものが存在する。その多くは六フッ化硫黄ガス(以下、SF6ガスという。)等の消弧性ガス中に1対の接点を配置し、通電時には両者を接触状態に保つことで通電を行い、電流遮断時には接点を開離させて前記ガス中にアーク放電を発生させ、そのアークを消弧することで電流を遮断する方式のものである。
【0003】
従来のこの種の碍子型開閉装置として、例えば特許文献1に示されるような構成のものがある。
【0004】
すなわち、特許文献1に示される碍子型開閉装置について図4を参照して説明する。
【0005】
図4は、従来の碍子型開閉装置の一例を示す要部の縦断面図である。図4に示す従来の碍子型開閉装置1は、接地された金属あるいは碍管等からなる密閉容器2内において、消弧性ガス3が充填されている。密閉容器2内には固定接触部4および可動接触部5が対向して配置されており、固定接触部4および可動接触部5にはそれぞれ固定アーク接触子6aおよび可動アーク接触子6bが設けられている。
【0006】
これらアーク接触子6a,6bは通常運転時では接触導通状態にあり、遮断動作時は相対移動により開離すると共に両アーク接触子6a,6b間の空間にアーク7を発生させるようになっている。さらに、可動接触部5側にはアーク7に対し絶縁ガス3を消弧性ガスとして吹き付けるガス流発生手段9が設置されている。
【0007】
ガス流発生手段9には、ピストン10、シリンダ11、パッファ室12、絶縁ノズル13が設けられている。また、固定接触部4側には固定側熱ガス流14aが通過可能な金属製の排気筒15が取り付けられている。可動接触部5側には可動側熱ガス流14bが通過可能な中空ロッド16が可動アーク接触子6bに連なって設けられている。
【0008】
以上の構成を有するガス遮断器機能の遮断過程において、可動接触部5が図の左方向に動作すると、固定されているピストン10がシリンダ11の内部空間であるパッファ室12を圧縮して同部の圧力を上昇させる。そして、パッファ室12内に存在する消弧性ガス3が高圧力のガス流となってノズル13に導かれ、このノズル13から固定アーク接触子6a,可動アーク接触子6b間に発生したアーク7に対して強力に吹付けられる。これにより、両アーク接触子6a,6b間に発生した導電性のアーク7は消滅し電流は遮断される。
【0009】
一般的に、パッファ室12内の圧力が高いほど、絶縁ガス3が強力にアーク7へと吹き付けられるため、より高い電流遮断性能が得られるようになっている。
【0010】
なお、高温のアーク7に吹き付けられた絶縁ガス3は高温状態となり、固定側熱ガス流14aおよび可動側熱ガス流14bとして固定アーク接触子6a,可動アーク接触子6b間の空間より遠ざかるように流れ、最終的には密閉容器2内へ放散される。
【0011】
従来の碍子型開閉装置1によれば、絶縁ガス3として、SF6ガス、あるいは空気が使用されることが多い。SF6ガスは、アークを消滅させる性能(消弧性能)、および電気絶縁性能に優れており、特に高電圧用のガス絶縁開閉器においては広く使用されている。また、空気はコストが安いこと、安全で環境にも優しいことから、特に小形のガス絶縁開閉器において使用されることが多い。
【0012】
また、従来の他の開閉装置として、図5に例示すようにSF6ガスを消弧性ガスとして用いた碍子型開閉装置20の構成のものがある。この碍子型開閉装置20は、複合碍管21の下部に支持碍管25を、更に支持碍管25の下部に図示しない機構箱を設けた縦型構成の碍子型開閉装置である(特許文献2参照)。
【0013】
この複合碍管21には、固定電極22および可動電極23が設置され、可動電極23には、ノズル24が固定されている。
【0014】
ノズル24は、図示しないアーク接触子間に発生したアークに対して強力に吹付ける。これにより、接触子間に発生した導電性のアーク7は消滅し電流を遮断するようになる。
【0015】
この碍子型開閉装置20は、別の磁器碍管もしくは複合碍管、すなわち支持碍管25に絶縁支持され、支持碍管25の下部は、図示しない操作機構を収納した機構箱に固定される。
【0016】
通常、この種の碍子型開閉装置の複合碍管21内に充填されるSF6ガスは、特に高電圧用のガス絶縁開閉器において非常に適したガスといえるが、高い地球温暖化作用を有することが知られており、近年その使用量の削減が望まれている。地球温暖化作用の大きさは一般に地球温暖化係数、すなわちCOガスを1とした場合の相対値により表され、SF6ガスの地球温暖化係数は23900に及ぶことが知られている。また、空気は安全性や環境保全の面では優れているが、その消弧性能および電気絶縁性能はSF6ガスよりも大幅に劣るため、高電圧用のガス絶縁開閉器に広く適用するのは困難であると考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2007−258137号公報
【特許文献2】特開2003−323836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
そこで本発明は、環境面で悪影響の少ない絶縁ガスを可能な限り用いるようにする一方で、SF6ガスを主成分としたガスを必要限度に適用することで、ガス絶縁開閉器としての機能を発揮させるとともに地球温暖化への影響を可能な限り抑制することが可能な碍子型開閉装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態によれば、内部に消弧室を形成した消弧室用碍管と、この消弧室用碍管の下部に設けられ、内部に絶縁ガス室を形成した支持碍管と、この支持碍管の下部に設けられた機構箱と、前記消弧室と絶縁ガス室の間を気密的に区分するように設けられた仕切板と、を備え、前記消弧室にはSF6ガスを含有する消弧性ガスが封入され、前記絶縁ガス室には前記消弧性ガスよりも地球温暖化係数の小さい絶縁性ガスが封入され、前記消弧室用碍管には、その消弧室に設けられる固定電極および可動電極を備えたことを特徴とする碍子型開閉装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の碍子型開閉装置の第1の実施形態を示す要部の縦断面図。
【図2】本発明の碍子型開閉装置の第2の実施形態を示す要部の縦断面図。
【図3】本発明の碍子型開閉装置の第3の実施形態を示す要部の縦断面図。
【図4】従来の碍子型開閉装置の一例を示す要部の縦断面図。
【図5】従来の碍子型開閉装置の他の例を示す要部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の碍子型開閉装置の第1の実施形態乃至第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態における碍子型開閉装置について、図1を参照して説明する。
【0023】
図1に示す碍子型開閉装置30は、消弧室用碍管31と、支持碍管32と、これら両者の碍管31および32を接合する仕切板33および、支持碍管32の下部に設けられる機構箱34とから構成される。
【0024】
消弧室用碍管31は、支持碍管32の上部に仕切板33を介して絶縁支持され、その内部に円筒状の消弧室31aが形成されている。消弧室31a内にはSF6ガスを含有する消弧性ガスG1が封入され、この上部に固定電極35が、下部に可動電極36が設けられる。消弧性ガスG1としては、消弧性に優れた性状のガスが用いられる。固定電極35および可動電極36は、例えば円柱状のものである。可動電極36には、固定電極35に対向配置してSF6ガスを圧縮して噴出させる絶縁ノズル37が設けられる。
【0025】
この絶縁ノズル37は、消弧性ガスG1の封入された環境下で消弧性ガスG1を固定電極35側に噴出することにより、可動電極36と固定電極35間に生じるアークを消弧する作用をなす。
【0026】
消弧性ガスG1の封入ガス圧は、標準定格の場合、例えば7kg/cm程度に封入するのが適当であるが、絶縁性能等を考慮して適宜変更して使用するのが望ましい。
【0027】
支持碍管32は、絶縁ガスG2を封入した絶縁ガス室32aを備える。この絶縁ガスG2は、消弧性ガスG1より地球温暖化係数の小さい、例えばCO、乾燥空気または大気等である。
【0028】
支持碍管32は、その下部が図示しない操作機構を収納した機構箱34に対し絶縁性ガスG2により電気絶縁された状態で支持固定される。また、支持碍管32内には、碍子型開閉装置30の動作時において、機構箱34からの駆動エネルギーを消弧室用碍管31側に伝達させるための絶縁棒38が設けられる。
【0029】
この絶縁棒38は、下端部が機構箱34に固定され、上端部が消弧室用碍管31の可動電極36に固定される。この絶縁棒38を上下動させることにより可動電極36を固定接点35に対して通・断電させることができる。
【0030】
支持碍管32の絶縁ガス室32a内における絶縁性ガスG2の封入圧力は、消弧室用碍管31側と機構箱34との絶縁性を保持するために所要の封入圧力、例えば7kg/cm程度に封入される。この封入ガス圧や絶縁ガス室32aの長手方向長さL1は、絶縁性能等を考慮して適宜変更して使用するのが望ましい。
【0031】
仕切板33は、消弧室用碍管31内の消弧性ガスG1と支持碍管32内の絶縁性ガスG2との境界を気密的に仕切る平板形状のものである。
【0032】
仕切板33には、可動電極36の外形状に合致する、例えば円形状の透孔33aが設けられ、この透孔33aに可動電極36の下端部が気密的に嵌め込まれた構成になっている。したがって、消弧室31aの消弧性ガスG1と支持碍管32の絶縁ガス室32aの絶縁ガスG2とが相互に漏れない構成になっている。
【0033】
なお、この仕切板33の形状は、特に平板形状である必要はなく、消弧性ガスG1と絶縁性ガスG2を気密的に区分することができ、かつ、機構箱34からの駆動エネルギーを伝達することができる構造のものであればよい。
【0034】
また、固定電極35側と可動電極36側には、図示しない電極端子が設けられ、大気中に設置されている図示しない母線や、他の機器に、導体39a,39bを介して接続される。機構箱34は、碍子型開閉装置30の動作時において、駆動エネルギーを消弧室用碍管31側に伝達させるために設けられる。
【0035】
次に、碍子型開閉装置30の作用について説明する。
【0036】
碍子型開閉装置30が駆動すると、消弧室用碍管31内において、両固定電極35,可動電極36間でアークが生じるが、周囲に封入された消弧性ガスG1の消弧作用によりアークが瞬時に消弧された状態で電流は遮断される。
【0037】
碍子型開閉装置30によれば、両固定電極35,可動電極36間の開閉動作により起生する生成物が仕切板より下方に落下することはなく、下方の機構箱34周辺を主とする碍子型開閉装置30のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0038】
更に、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガス、例えば乾燥空気を、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することができるので、碍子型開閉装置30において、消弧室用碍管31と支持碍管32の組み立てる際の製作性が向上する。
【0039】
このように、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガスを、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することにより全体的に所望の絶縁性能を満足できる碍子型開閉装置30を得ることができる。
【0040】
したがって、従来の碍子型開閉装置のように、ガス区分なく全体に消弧性ガスG1としてSF6ガスを使用した従来の場合と比較してSF6ガスの使用量を低減させることができ、地球温暖化への影響が小さい碍子型開閉装置30を提供することができる。
【0041】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図2を参照して説明する。
【0042】
第1の実施形態を示す図1と同一部分には同一符号を附した図2を参照して説明する。
【0043】
碍子型開閉装置40は、消弧室用碍管31と、支持碍管32と、これら両者の消弧性碍管31および支持碍管32を接合する仕切板33および支持碍管32の下部に設けられる機構箱34とから構成される。
【0044】
消弧室用碍管31と支持碍管32の接合部を仕切るように設けられる仕切板33に透孔33aが設けられる。この透孔33aには、下端が機構箱34に固定された絶縁棒38の上端を透孔33aを貫通して所要のL2寸法突出するように設けられる。また、この突出した部分には、L2相当長さのベローズ42が設けられる。具体的には、ベローズ42の固定端側が仕切板33の透孔33aを消弧室用碍管の消弧室側から気密的に覆い、且つ可動端部が可動電極側に固定されて設けられる。
【0045】
その他の構成については、図1に示す構成と同様であるので説明を省略する。
【0046】
次に、碍子型開閉装置40の作用について説明する。
【0047】
碍子型開閉装置40が駆動すると、消弧室用碍管31内において、両固定電極35,可動電極36間でアークが生じるが、周囲に封入された消弧性ガスG1の消弧作用によりアークが瞬時に消弧された状態で電流は遮断される
また、支持碍管32側においては、支持碍管32の絶縁ガス室32a内の絶縁性ガスG2の空気圧と消弧室用碍管31内の消弧性ガスG1のガス圧がベローズ42の伸縮作用により相互にバランスよく安定に保たれる。例えば、消弧性ガスG1のガス圧より絶縁性ガスG2の空気圧の方が大きい場合、ベローズ42の長さL2が圧力バランスがとれるまで伸張する。そしてバランスよく安定に保たれる。
【0048】
碍子型開閉装置40によれば、両固定電極35,可動電極36間の開閉動作により起生する生成物が仕切板33より下方に落下することはなく、下方の機構箱34周辺を主とする碍子型開閉装置40のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0049】
更に、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガス、例えば乾燥空気を、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することができるので、碍子型開閉装置40において、消弧室用碍管31と支持碍管32の組み立てる際の製作性が向上する。
【0050】
また、碍子型開閉装置40によれば、消弧性ガスG1と絶縁性ガスG2との境界を気密的に仕切る仕切板33にベローズ42を取り付けたから、絶縁ガス室32a内のガス圧が消弧室31a内のガス圧より高い場合および低い場合に応じて弾力的に伸縮する。したがって、ベローズ42自体の伸縮作用によりガス区分の境界に摺動部が不要となり、これに伴う摺動部のメンテナンスが不要になること、および封入ガス圧の変動に対しても破壊等の症状が発生しない安定した開閉装置を得ることができる。
【0051】
このように、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガスを、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することにより全体的に所望の絶縁性能を満足できる碍子型開閉装置40を得ることができる。
【0052】
したがって、従来の碍子型開閉装置のように、ガス区分なく全体に消弧性ガスG1としてSF6ガスを使用した従来の場合と比較してSF6ガスの使用量を低減させることができ、地球温暖化への影響が小さい碍子型開閉装置40を提供することができる。
【0053】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図3を参照して説明する。
【0054】
第1の実施形態を示す図1と同一部分には同一符号を附した図3を参照して説明する。
【0055】
碍子型開閉装置50は、消弧室用碍管31と、支持碍管32と、これら両者の碍管31および32を接合する仕切板51と、支持碍管32の下部に設けられる機構箱34および消弧性ガスG1を封入するガス導入管52とから構成される。
【0056】
消弧室用碍管31は、支持碍管32の上部に仕切板51を介して絶縁支持され、その内部に円筒状の消弧室31aが形成されている。この消弧室31a内にはSF6ガスを含有する消弧性ガスG1が封入され、この上部に固定電極35が、下部に可動電極36が設けられる。
【0057】
支持碍管32は、この支持碍管32内にあってCO、乾燥空気または大気等の絶縁性ガスを含む絶縁ガスG2を封入した絶縁ガス室32aを形成している。この支持碍管32は、その下部が図示しない操作機構を収納した機構箱34に対し絶縁性ガスG2により電気絶縁された状態で支持固定される。支持碍管32の絶縁ガス室32a内には、碍子型開閉装置50の動作時において、機構箱34からの駆動エネルギーを消弧室用碍管31側に伝達させるための絶縁棒38が設けられる。
【0058】
また、ガス導入管52は、絶縁ガス室32aに消弧性ガスG1を封入するために設けられる。このガス導入管52は、具体的には、絶縁棒38と同様の絶縁耐力を持つ材質のものであって、仕切板51に設けた透孔51bに一方の開口端が気密的に接続され、他方側の開口端が機構箱34の筐体部34aに延出するように設けられる。この構成により、消弧性ガスの導入口すなわち、可動電極36を筐体部34aと同じ接地電位の条件に設置することができる。
【0059】
その他の構成については、図1に示す構成と同様であるので説明を省略する。
【0060】
次に、碍子型開閉装置50の作用について説明する。
【0061】
碍子型開閉装置50が駆動すると、消弧室31a内において、両固定電極35,可動電極36間でアークが生じるが周囲に封入された消弧性ガスG1の消弧作用によりアークが瞬時に消弧された状態で電流は遮断される。
【0062】
また、消弧室31aへの消弧性ガスG1の封入および封入圧力の調整については、機構箱34側のガス導入弁53を開閉しながらガス封入を行う。このときに支持碍管32の絶縁ガス室32a内の絶縁性ガスG2の空気圧を勘案してバランスよく、または所望の異なる圧力で封入することができる。
【0063】
碍子型開閉装置50によれば、両固定電極35,可動電極36間の開閉動作により起生する生成物が仕切板51より下方に落下することはなく、下方の機構箱34周辺を主とする碍子型開閉装置50のメンテナンス周期を長くすることができる。
【0064】
更に、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガス、例えば乾燥空気を、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することができるので、碍子型開閉装置50において、消弧室用碍管31と支持碍管32の組み立てる際の製作性が向上する。
【0065】
このように、消弧性ガスG1の区分には消弧性に優れた性状のガスを、絶縁性ガスG2の区分には絶縁性に優れた性状のガスを、それぞれ等しいまたは所望の異なる圧力で封入することにより全体的に所望の絶縁性能を満足できる碍子型開閉装置50を得ることができる。
【0066】
したがって、従来の碍子型開閉装置のように、ガス区分なく全体に消弧性ガスG1としてSF6ガスを使用した従来の場合と比較してSF6ガスの使用量を低減させることができ、地球温暖化への影響が小さい碍子型開閉装置50を提供することができる。
【符号の説明】
【0067】
30,40,50 碍子型開閉装置
31 消弧室用碍管
31a 消弧室
32 支持碍管
32a 絶縁ガス室
33,51 仕切板
33a,51a,51b 透孔
34 機構箱
35 固定電極
36 可動電極
37 絶縁ノズル
38 絶縁棒
39a,39b 導体
42 ベローズ
52 ガス導入管
53 ガス導入弁
G1 消弧性ガス(SF6ガス)
G2 絶縁性ガス(乾燥空気)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に消弧室を形成した消弧室用碍管と、この消弧室用碍管の下部に設けられ、内部に絶縁ガス室を形成した支持碍管と、この支持碍管の下部に設けられた機構箱と、前記消弧室と絶縁ガス室の間を気密的に区分するように設けられた仕切板と、を備え、
前記消弧室にはSF6ガスを含有する消弧性ガスが封入され、前記絶縁ガス室には前記消弧性ガスよりも地球温暖化係数の小さい絶縁性ガスが封入され、
前記消弧室用碍管には、その消弧室に設けられる固定電極および可動電極を備えたことを特徴とする碍子型開閉装置。
【請求項2】
前記可動電極には可動端部が気密的に固定されて設けられ、仕切板に設けた透孔には固定端部が消弧室に対して気密的に取りつけられるベローズを設けたことを特徴とする請求項1記載の碍子型開閉装置。
【請求項3】
前記可動電極を筐体部と同じ接地電位の条件で設置することを特徴とする請求項1または請求項2記載の碍子型開閉装置。
【請求項4】
前記絶縁性ガスは、CO、乾燥空気または大気であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の碍子型開閉装置。
【請求項5】
前記可動電極には、固定電極に対向配置して設けられて消弧性ガスを噴出するノズルを備えたことを特徴とする請求項1記載乃至請求項4のいずれか1つに記載の碍子型開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−33363(P2012−33363A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171353(P2010−171353)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】