説明

磁化粒子をある場所に準備する方法

適当な磁場へさらすことにより磁化状態と非磁化状態との間で切換可能な粒子を用いてある場所に磁気粒子を準備する方法である。この方法は、前記場所に非磁化状態の粒子を運ぶ工程と、そして、粒子を適当な磁場にさらし、磁化状態に切換える工程と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療及び非医療の適用のため磁気粒子を人体等のある場所に準備する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、異常細胞又は組織構造に関連する疾患の治療において、適当な治療薬での構造の選択的標的化による多くの進歩があった。特に、腫瘍治療との関連で、腫瘍部位に適当な化学療法を局在化することを許容する技術で顕著な進歩が見られる。しかしながら、化学療法は、しばしば全身性副作用毒性による危険を伴い、このことが投与できる薬の用量を制限し、また、多剤耐性の出現により制限される。非特定細胞の損傷を防止するために、腫瘍部位への局在化後まで細胞毒性を制御する必要が、格段の困難さを生じる(Eaton,Immunoconjugates: Current Status and Future Potential, Journal of Drug Targeting, 2002; 10(7):525-527)。
【0003】
米国特許第6514481号は、直径100nmより小さい球形磁気ナノ粒子で細胞部位を標的にし、引き続きのDC磁場の適用により標的細胞を破壊することを記載している。ナノ粒子は、酸化鉄、すなわちFe23から準備され、7テスラの印加磁場が体外細胞死を達成するのに必要であることが示されている。
【0004】
この工程を用いて達成される結果は興味深いが、約2テスラ以上の磁場を発生させるための全身設備が高コストであることや、非局所的な自然発生的又は汚染物質の粒子の動きを引き起こすことによる健全な組織を損傷する危険性があることにより、非常に強い磁場の必要性がこの工程の臨床的応用への適合性を制限する。
【0005】
国際公開第01/17611号は、温熱工程でのナノ粒子の使用を開示するが、これはまたせん断力を引き起こすことを必要とする。せん断力は、交流勾配磁場を印加することにより引き起こされる。開示された唯一の磁気粒子は金属酸化物である。勾配磁場は、粒子に転換力動作を経験させ、磁場勾配に沿って粒子を動かし、勾配磁場の交替が粒子を反対方向に移動させ、これにより「振動」効果を引き起こす。
【0006】
Halbreich等(Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 2002; 248:276-285)は、「磁気細胞崩壊」と呼ばれる工程について記載する。この工程で使用される粒子は、磁鉄鉱(酸化鉄)でできていると述べられ、最適な磁場振動周波数は1000KHzであることが示されている。磁気細胞崩壊のメカニズムは特定されていないが、細胞膜のような、磁気ナノ粒子の異なる濃度を有する領域間の境界において、局所的に発生された強い勾配磁場に関連付けられていることが示されている。
【0007】
米国特許第6231496号は、尖った端部を有するナノ粒子の使用について開示し、これは磁場の適用により子宮の内壁に埋め込まれる。そして、マイクロ波放射が組織加熱のために適用され、子宮の内壁の破壊が起こり、避妊が達成される。
【0008】
米国特許第5067952号は、温熱療法による腫瘍治療での使用のための強磁性体粒子の使用について開示する。また、ナノ粒子は、超音波振動の使用により振動が引き起こされる。温熱療法は、周波数13.65MHzで電磁場を印加することにより行われる。したがって、腫瘍の破壊は、熱ベースのメカニズムである。
【0009】
米国特許第5236410号は、温熱療法による腫瘍の治療でのヘキサフェライト粒子の使用について開示する。粒子は500nmから7μmの大きさであると述べられている。温熱療法を引き起こすのに必要な磁場周波数は、約500MHzである。
【0010】
上記参照文献は、磁気粒子を治療的応用で使用することを示しているが、磁気粒子を用いて細胞死を引き起こすための改良工程を依然として必要とする。それは高い磁場強度及び/又は磁場の高い周波数振動や、組織での局所的又は全体的な温度上昇を引き起こす工程に頼らないというものである。
【0011】
国際公開2005/011810号では、本出願人は、材料を分離する改良方法を記載しており、この方法は、
(i)材料又はその内部に1つ又はそれ以上の磁気粒子を局在化させる工程と、
(ii)磁気粒子に磁場を印加して粒子回転を引き起こし、これにより材料を分離する工程と、を備え、磁気粒子は固有の磁化を有し、前記磁化は固有の結晶磁気異方性及び/又は形状異方性により安定化され、材料に対する印加磁場の方向及び大きさが時間と共に変化する。
【0012】
この思想の重要な特徴の1つは、材料又はその内部に磁気粒子を局在化させる工程である。より弱い磁場強度が細胞損傷を引き起こすのに必要であるので、強磁性体(硬質)粒子を使用することは有利であるが、そのような粒子の使用には、永久磁気双極子モーメントにより粒子が互いに引き付けあうことにより、好ましくない塊を生成するかもしれないという内在的な問題がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、出願人は、適当な磁場へさらすことにより磁化状態と非磁化状態との間で切換可能な粒子を用いてある場所に磁気粒子を準備する方法であって、前記場所に非磁化状態の粒子を運ぶ工程と、次に、粒子を適当な磁場にさらして磁化状態に切換える工程と、を備えた方法を提供する。
【0014】
この文脈において、「非磁化状態」により、本出願人は、粒子の体積にわたって平均したとき、零の正味磁化(net magnetisation)を有する状態を指している。
【0015】
磁化状態と非磁化状態との間で切換え可能な特性を示すある小粒子の固有の磁気特性を利用することが可能であることに本出願人は気付いた。かくして、非磁化状態の粒子からはじめることにより、塊のリスクなしに粒子を所望の場所に運ぶことができ、そして、この地点で、粒子を磁化状態に切換えることができる。
【0016】
このような粒子は、「Single-Domain Circular Nanomagnets」(Cowburn等,Physical Review Letters,Vol.83,No.5,1042-1045頁)に最初に記載された。これらの粒子のさらなる議論を、「Magnets and Nanometers: Mutual Attraction」(Koltsov等,Physics World,July 2004,31-35頁)で見つけることができる。
【0017】
典型的には、粒子はナノ粒子からなり、これは最大横方向寸法が1μmよりも小さいことを意味する。また、これら粒子は、球形粒子を使用することができるが、典型的には異方性形状を有する。好ましい形状及び寸法は、
(a)横方向寸法(x及びy)よりも小さいが5nmよりも大きな厚さ(t)を有する粒子。粒子は、円形(x=y)又は非円形(x≠y)であってもよい。
(b)直径50−200nmの球形粒子(t=x=y)。
(c)厚さが横方向寸法と同じようであるが非球形であり、最大寸法が50−200nmの範囲にある粒子(t≒x=y,x≠y)。これは、回転楕円体粒子を含み、すなわち球形のようではあるが完全には球形でない粒子である。
【0018】
これらの形状及び寸法は、より詳細に以下に説明するように、粒子が要求される磁化状態及び非磁化状態を示すことを保証するように選択される。同時に、粒子寸法は、所望の場所に容易に運べるような寸法に選択されている。
【0019】
粒子の磁化状態に切換えを生じさせるために使用される磁場の強さは、粒子の形状及び材料に依存するが、典型的には、80kA/m(磁束密度0.1テスラ)である。
【0020】
磁場へさらすことは、単に体を磁場内に移動させるか、変形例では、パルス状の外部磁場を生成することにより達成することができる。
【0021】
本発明は、特に、国際公開第2005/011810号に記載された機械的分離技術に適用可能であり、これを参照によりここに組み込む。この場合、粒子の動きを引き起こすのに使用される磁場は、また、粒子を非磁化状態から磁化状態に切換えることを引き起こすのに使用することができる。
【0022】
ある場合には、粒子を非磁化状態に戻すように切換えることが望ましい。この場合、この方法は、さらに磁化状態の粒子を次第に弱くなる磁場にさらして、粒子を非磁化状態に戻す工程を備える。ある粒子(通常、横幅よりも厚みが薄い粒子)は、粒子を消磁するために、極性が切換わる減衰磁場を要する。球形の粒子、又は直径に寸法が近い厚さを有する粒子は、磁場が零に減じられると、自己消磁する。
【0023】
スーパーマロイ(Ni78Fe18Mo4),パーマロイ(Ni80Fe20)又はニッケルを含む種々の材料を、粒子を作製するのに使用することができる。
【0024】
本発明は、生物物質の蓄積,又は異常細胞又は組織構造に関連した疾患の治療のために、人体又は動物体での使用に特に適しているが、また、本発明は、パイプ等の無生物体における錆や他の増殖物等の物質を分離するための方法での使用に、より幅広く適用可能である。
【0025】
本方法は、体外並びに体内で実行することができる。
【0026】
本発明による方法の一例が、添付図面を参照して記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
上述のCowburn等の文書は、スーパーマロイから作製されたナノ磁石の磁気特性の詳細な理論及び実用分析を含んでいる。特に、図1(a)及び図1(b)に示すように、文書は、これらの磁石が図1により詳細に示されているヒステリシスループの2つのクラスのうちの1つを有することを特定している。最初の図(図1(a))は直径300nmで厚さ10nmのナノ磁石についてのヒステリシスループであり、印加磁場が負飽和から減じられると、ほとんどすべての磁化が失われる点であるゼロよりも僅かに下側の臨界磁場まで、ナノ磁石は最大限の磁気モーメントを保持する。そして、ナノ磁石は非磁化状態となる。そして、磁場がゼロから増加すると、正飽和が達成されるまで、磁化は次第に現れていく。ゼロ近傍までの磁化の突然の低下は、磁束を閉じるマイクロ磁気構造(flux closing micromagnetic configuration)の構成の特徴を非常によく示しており、これらの最も単純なのが渦であり、磁化ベクトルが円形ナノ磁石のすべての点で最近傍端と平行なままである。他の構造は、2つのドメイン状態及び多ドメイン状態を含む。
【0028】
図1(b)は、より小さなナノ磁石についてのヒステリシスループを示しており、これからナノ磁石は切換え様相を示していないことが分かる。
【0029】
これらの結果から、ある粒子サイズのナノ磁石が渦又は非磁化状態を示すか否かを表すフェーズダイヤグラム(図2)を生成することが可能である。
【0030】
また、ナノ磁石のサイズは、適用に応じる。生物物質が使用されると、最大直径200ナノメートルまでサイズアップすることが好ましい。
【0031】
磁気粒子は、Koltsov等の文書に例が記載された任意の在来の方法で作製することができる。例えば、粒子は、化学的に合成し、また溶融金属を凝縮することにより製造することができる。リソグラフィーは他の選択肢である。
【0032】
さらに、生物物質への適用の場合、バイオ適合コーティングを有する粒子を準備することが望ましい。例として、ポリエチレン・グリコール,エチレン・グリコール共重合体,デキストリン,ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドの重合体及び共重合体(例えばヒドロキシプロピルメタクリルアミド),スチレン及び無水マレイン酸の共重合体がある。さらに、化合物は、ポリグルタル酸,炭水化物,アルブミン等の自然に存在するタンパク質を含む。結合は、共有結合又は非共有結合とすることができる。コーティングは、通常、この方法での使用前に粒子に適用するが、粒子が投与時にコーティング、例えば血清アルブミンのコーティングを達成することが想定される。
【0033】
粒子は、標的部分(断片、残基)の使用を含む任意の都合のよい手段を用いて、標的部位(target site)に局在化させてよい。標的部分(targeting moiety)は、標的部位への選択的標的を許容する任意の適した分子である。適した標的部分の例は、抗体及び受容体リガンド、すなわちホルモンを含む。
【0034】
ある実施形態では、本発明の粒子は、体内での適切な分散を保証するように作成することができる。例えば、血液脳関門が、粒子が脳を横切るのを防止すると、リポソームに粒子を供給することが望ましい。かくして、本発明の一実施形態では、粒子は、リポソーム内に形成され、より好ましい実施形態では、リポソームは標的部分を含む。
【0035】
リポソームは、体内で寿命が長いステルスリポソームとすることができる。リポソームを作製する方法については、例えば米国特許第4522811号,米国特許第5374548号及び米国特許第5399331号を参照のこと。ワクチンリポソーム、及び特にいわゆるビロソーム(Felnerova等,2004,Curr. Opin. Biotech.;15:518-529参照)については、これらはMoser等(2003,Expert Rev Vaccines;2:189-196),Bungener等(2002,Biosci. Rep.;323-338),Mastrobattista等(2002,J. Liposome res.;12:57-65)に記載されているように作製することができる。リポソームは、1つ又はそれ以上の部分からなり、特定の細胞又は組織に選択的に運ばれ、かくして標的薬物送達を増進する(例えば、Ranade,VV. 1989,J. Clin. Pharmacol.;29:685参照)。標的部分の例は、葉酸又はビオチン(例えば、米国特許第5416016号参照),マンノシド(Umezawa等,1988,Biochem. Biophys. Res. Commun.;153:1038),抗体(Bloeman, PG等,1995,FEBS Lett.;357:140、M. Owais等,1995,Antimicrob. Agents Chemother.;39:180),本発明の構成を有する異なる種類のサーファクタント・タンパク質A受容体(Briscoe等,1995,Am. J. Physiol.;1233:134),p120(Schreier等,1994,J. Biol. Chem.;269:9090),また、Keinanen,K. & Laukkanen,ML. 1994,FEBS Lett.;346:123、Killion,JJ. & Fidler,IJ. 1994,Immunomethods 4:273参照。
【0036】
さらなる標的工程の詳細は、国際公開第2005/011810号に記載されている。これは、抗体が好ましい標的部分であることを示している。
【0037】
患者を治療することに関連して、どのように粒子を患者に投与するかは当業者にとって明らかであろう。粒子は、通常、血流中に注射により投与される一方で、代替経路の投与、例えば経皮性送達又は弾丸送達が適している。また、薬剤的に許容される適切な希釈剤,賦形剤又は緩衝剤も当業者にとって明らかであろう。
【0038】
使用中、粒子は、非磁化状態に準備され、選択的にバイオ適合コーティングが施され、そして、体内に注射され、ここで所望の部位へ運ばれる。かさねて、この工程は、国際公報第2005/011810号に、より詳細に記載されている。所望の部位では、粒子は、磁気状態を利用するために、オンに切換えなければならない。これは、人体を物理的に磁場の領域内に移動させるか、改変例では、これまで動作していなかった磁場をオンに切換えることによってなすことができる。この後者のアプローチは、機械的分離工程が実施される場合に特に都合がよい。このために使用される同じ磁場が粒子の磁気状態をオンに切換えるのに使用できるからである。
【0039】
適した磁場発生装置の一例が図3A,図3Bに示されている。図3A及び図3Bは、穴(ボア)25を有するハウジング22(22及び25はクライオスタットを規定する)内の軟鉄ヨーク23によって連結された磁極片24に配置された一組のコイル20,21を示している。電磁石は、抵抗性又は高温(又は低温)超電導体製のものとすることができる。抵抗性コイルの場合、DC損を除くため水冷が必要である。超電導体コイルの場合、極低温冷却が必要である。磁場方向13の回転が、直交位相でコイル20,21に電流を駆動することにより生じる。これは2相構成であるが、より多くの電磁石を使用することにより、3相又はそれ以上の相を実施することができる。超電導体コイルの場合、クライオスタットがAC損を緩和するために高冷却力を有するように設計されなければならない。したがって、極低温冷却力を供給するコストは温度に反比例するので、高温超電導体が好ましい。1−5T/秒の範囲のスルーレートで約0.5Tまでの磁束密度が可能であり、これは約2.5Hzの最大磁場振動周波数と等価である。
【0040】
機械的分離効果を引き起こし、これにより粒子の近辺で細胞を損傷させるため、粒子は、移動を引き起こされなければならず、そうするために、変化する力を受け、そのために変化する磁場を受けなければならない。最も単純な実施形態では、単に磁場をオンとオフにパルス状に脈動させることにより可能である。磁場がオンのとき、粒子は回転して磁場に沿って並ぼうとする。印加磁場がないとき、粒子の方向はランダムとなり、したがって、すでに磁場に沿って整列していたこれら粒子はトルクを受けない。したがって、すべての粒子が最大のトルクを受ける十分な機会を得るように、印加磁場の方向を変化させることが望ましい。回転磁場は、粒子を磁場方向に追随するように回転させ、かくして細胞損傷の機会を最大化する。また、これは必須ではないが、時間と共に連続的又はパルス状の磁場の大きさを調節することが望ましい。
【0041】
一実施形態では、磁場方向又は大きさは、100Hzまで,好ましくは50Hzまで,より好ましくは10Hzまでの周波数で変化する。磁場方向の変化は、静磁場内で患者を移動(例えば、回転)させるか、患者に与える磁場を変化させることにより達成することができる。後者は、電磁コイル20,21の電流を調節することにより達成することができる。磁場方向は、回転軸に対して垂直な方向、すなわち作動ギャップを横切る方向にすべきである。作動及び磁場強度の異なるモードに各々適合する磁場を発生させるために、装置の他の種々の選択肢が実現可能である。他の実施形態では、小さな振動磁場勾配が課された一様磁場が印加される。
【0042】
機械的分離工程後、次第に弱い磁場を印加していくことにより、磁気ナノ粒子を非磁気状態に戻すことができる。図4は、80nmのあるNi球体のヒステリシスループである。0.2T程度の印加で十分最大限の磁化を形成できる一方で、渦状態の形成により、磁場をゼロに減じることでゼロ残留磁気を導くことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】直径d及び厚さtのナノ磁石から測定されたヒステリシスループである。((a)d=300nm,t=10nm;(b)d=100nm,t=10nm。図式注釈は、磁場が紙面上側を向く場合の円形ナノ磁石内の磁化を示す。)
【図2】実験的に決定されたフェーズダイヤグラムである。(白丸は渦を示し、黒丸は単一ドメインを示し、実線は渦状態(境界上側)と単一ドメイン状態(境界下側)との間の理論フェーズ境界の下側限界を示す。)
【図3】図3A、Bは、方法を実行するための装置の概略縦断面図である。
【図4】80nmNi球体のヒステリシスループを示す。
【符号の説明】
【0044】
13 磁場方向
20 電磁コイル
21 電磁コイル
22 ハウジング
23 軟鉄ヨーク
24 磁極片
25 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当な磁場へさらすことにより磁化状態と非磁化状態との間で切換可能な粒子を用いてある場所に磁気粒子を準備する方法であって、
前記場所に非磁化状態の粒子を運ぶ工程と、
次に、粒子を適当な磁場にさらして磁化状態に切換える工程と、を備えた方法。
【請求項2】
粒子は、非磁化状態で、磁束を閉じるマイクロ磁気構造を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粒子は、ナノ粒子からなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
粒子の厚さが5nm程度である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
粒子の直径が50−200nmの範囲である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
粒子が異方性形状を有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各粒子の厚さが、粒子の直径よりも少なくとも一桁小さい、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
適当な磁場を0.01−2テスラ,好ましくは0.1−0.2テスラの磁束密度で粒子にさらす、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
適当な磁場に粒子をさらす工程は、前記場所を磁場内に移動させる工程からなる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
適当な磁場に粒子をさらす工程は、パルス状の磁場を発生する工程からなる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
さらに、前記場所で粒子に磁場を印加して粒子の動きを生じさせ、これにより、前記場所で近傍の物質を分離させる工程を備えた、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
粒子の動きを生じさせるための磁場の印加は、粒子の磁化状態への切換えを引き起こす工程をも実行する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記物質は生物物質である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記物質は細胞又は組織構造である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記物質は哺乳類の細胞である、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記物質は腫瘍である、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記場所は体内にある、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記体は人体又は動物体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は体外で行われる、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
さらに、磁化状態の粒子を次第に弱くなる磁場にさらして、粒子を非磁化状態に戻す工程を備えた、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
粒子は、スーパーマロイ(Ni78Fe18Mo4),パーマロイ(Ni80Fe20)又はニッケル製である、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−546677(P2008−546677A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−516407(P2008−516407)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002189
【国際公開番号】WO2006/134365
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(507246338)オックスフォード インストルメンツ モレキュラー バイオツールス リミテッド (6)
【出願人】(507073918)ユセベ ファルマ ソシエテ アノニム (70)
【出願人】(507412966)ユニヴァーシティー オブ ダーラム (1)
【Fターム(参考)】