説明

磁気アクチュエータおよびそれを用いたマイクロミラーおよびミラーシステム

【課題】少なくとも1つのばねに懸架されたプレートを少なくとも1つの回転軸回りに面外で回転させる磁気アクチュエータを提供する。
【解決手段】磁気アクチュエータは少なくとも1つの第1回転軸4回りに回転可能に支承されたプレート3と該プレート3の下に配置されたマグネットヨークとを備える。プレート3は主延在面を有しており、回転軸4は主延在面に平行であり、プレート3は主延在面に平行に少なくとも1つの導体ループ10a,10bを有する。マグネットヨークは磁束をガイドするU字形レールと、U字形開口部に対して垂直な磁化方向を有する硬磁石とを有する。マグネットヨークの開口部がプレートの主延在面の方を向くように互いに向き付けられており、U字形レールは第1回転軸と平行な主延在方向を有しており、プレートは少なくとも1つの導体ループへの通電により少なくとも1つの回転軸回りに振れるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも1つの回転軸回りに回転可能に支承されたプレートを備えた磁気アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロミラーを磁気的に駆動するための方法は様々に存在する。静電駆動に対する磁気駆動の基本的な利点は、磁気ローレンツ力によって技術的に達成可能なトルクが静電気力によって実現可能なトルクよりも大きいことにある。
【0003】
特許文献1では、内側と外側の2つの回転軸回りに回転可能に支承されたジンバルミラーが提案されている。回転軸は互いに対して垂直である。2つのジンバル振動体上に内側軸と外側軸のためのそれぞれ1つのコイルが配置されている。磁場はチップ全体にわたってほぼ均一であり、2つの回転軸に対してそれぞれ45°の角度を有している。磁場を発生させるために、2つの装置が提案されている。第1の実施形態では、マイクロミラーが2つの硬磁石(永久磁石)の間に45°の角度で配置される。第2の実施形態では、逆の極性を有する4つの磁石が使用される。各軸が利用できる有効磁場は45°の角度によって係数V2の分だけ弱い。磁場発生のこの2つの実施形態は非常に嵩ばった構造を含意する。
【0004】
特許文献2でも同様に、2つの軸回りに回転可能に支承されたジンバルミラーが提案されている。しかし、この装置では、2つの軸回りの駆動のために1つのコイルしか設けられていない。このコイルには、低周波の準静的信号も高周波の共振信号も供給される。共振信号はいわゆる「ロッキングモード」を介して内側軸の回転を励起する。
【0005】
異なる極性の永久磁石と45°方向に磁場を発生させる磁束ガイド層の比較的複雑な構造は特許文献3に開示されている。各軸に対して垂直な有効磁場は同様に係数V2の分だけ弱い。
【0006】
特許文献4と特許文献5では、準静的な軸に対して垂直な磁場成分ないしモーメントを発生させるための装置が提案されている。それゆえ、これらの装置では、高周波交番磁場を印加すると、準静的な軸に対して垂直な軸4b回りの共振運動が誘発される。
【0007】
ローレンツ力によって駆動されるマイクロミラーのこれら実施形態では、チップ表面の平面内を走る一方向磁場が実現される。優先方向からのずれは不完全な実現を意味する。技術的努力はこのような不完全な実施形態を最小限にすることに集中している。できるだけ高い一方向性を有する高い磁場を達成するために、使用される磁石・磁束ガイド構造は比較的嵩ばる。
【0008】
非特許文献1では、二軸マイクロスキャナを実現するための放射対称な磁場が提案されている。この放射対称磁場は、チップ平面に対して垂直な磁化方向を有する磁石によって実現される。それゆえ構造は比較的単純である。これは製造コストの点で有利である。磁力線の噴水状の流れはチップ平面内を走る放射状成分を含んでいる。技術的に有効なのはこれらの成分だけであり、他の成分は一部は有効でなく、一部はそれどころか不所望な横力をもたらす。非特許文献1に示されている有効な磁場強度は0.1Tである。
【0009】
非特許文献2では、2つの磁石の配置によって磁場を高めている。チップ表面に対して垂直な磁化方向を有する真ん中の円筒状磁石が逆極性のリング状磁石によって包囲されている。2つの磁石は円盤状の鉄板に固定されており、これによって磁束の一部が帰還される。この構成により、有効な磁場は0.5Tまで高められた。ただし、この構造は一方向磁場に基づいて動作するスキャナと同様にコスト高である。
【0010】
マイクロミラーの製造価格を求める際にはパッケージングも考慮しなければならない。組立の最中に磁石を取り付けるのは非常にコスト集約的であると評価される。とりわけ、異なる極性の複数の磁石の取付けは、斥力のせいで取付けの際にさらに高いコストをもたらす。
【0011】
例えばマグネットヨークの場合のように、1つの磁化方向を有する硬磁石を使用すれば、取付け後に磁化を行うことができ、これによってコストが大幅に削減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】EP 778657 B1
【特許文献2】WO 2005/078509 A2
【特許文献3】WO 2010/065340 A2
【特許文献4】DE 102008042346 A1
【特許文献5】EP 1858141 A2
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】"Silicon scanning mirror of two DOF with compensation current routing"; Si-Hong Ahn and Yong-Kweon Kim; J. Micromech. Microeng. 14 (2004) 1455-1461
【非特許文献2】"Electromagnetic Two-Dimensional Scanner Using Radial Magnetic Field; Chang-Hyeon Ji, Member , IEEE, Moongoo Choi, Sang-Cheon Kim, Ki-Chang Song, Jong-Uk Bu, Member, IEEE, and Hyo-Jin Nam; JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS, VOL. 16, NO.4, AUGUST 2007"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の装置の課題は、少なくとも1つのばねに懸架されたプレートを少なくとも1つの回転軸回りに面外で回転させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、少なくとも1つの第1回転軸回りに回転可能に支承されたプレートと該プレートの下に配置されたマグネットヨークとを備えた磁気アクチュエータにおいて、プレートは主延在面を有しており、回転軸は主延在面に平行であり、プレートは主延在面に平行に少なくとも1つの導体ループを有しており、マグネットヨークは、磁束をガイドするU字形レールと、U字形開口部に対して垂直な磁化方向を有する硬磁石とを有しており、マグネットヨークとプレートは、マグネットヨークの開口部がプレートの主延在面の方を向くように、互いに向き付けられており、磁束をガイドするU字形レールは、第1回転軸と平行な主延在方向を有しており、プレートは少なくとも1つの導体ループへの通電により少なくとも1つの回転軸回りに振れるように構成することにより解決される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1a】先行技術による、回転可能なプレートを備えたマグネットヨークの概略図を示す。
【図1b】先行技術による、電気駆動のための導体ループを備えた回転可能なプレートの概略図を示す。
【図2a】マグネットヨークと軸回転可能なプレートとを備えた本発明による磁気アクチュエータの第1実施例の概略図を示す。
【図2b】マグネットヨークとこのマグネットヨークにより発生した軸対称な発散磁場の概略図を示す。
【図3】2つの導体ループを備えた軸回転可能なプレートの概略図を示す。
【図4】通電した導体ループへの力の下で軸回転可能なプレートが傾斜する様子を示す。
【図5】回転軸までの様々な距離に対して磁石を通る磁束をグラフで示す。
【図6】開放側に磁束ガイドを備えたマグネットヨークを示す。
【図7】マグネットヨークと中央にばね懸架のある回転可能なプレートとを備えた、本発明による磁気アクチュエータを示す。
【図8】本発明による磁気アクチュエータと磁束ガイドシールドとを有する2ミラーシステムの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
プレートには例えば1つのマイクロミラーが取り付けられていてよい。力の発生はローレンツ力による。
【0018】
一方において、このような装置を駆動するのに十分な力を達成するために、有効磁場はできるだけ高くすべきである。また、有効磁場はできるだけ導体路全体にわたって印加すべきである。同じ力を発生させるためには、電流を大きくすること、導体路を多くすること、または導体路と回転軸との間の距離を大きくすることによって、低い磁場を補償しなければならない。しかし、これは様々な欠点をはらんでいる。大きすぎる電流は過度の温度上昇をもたらし、回転軸までの距離が大きすぎることは構造が大きいということ同じであり、巻数が大きすぎると内部抵抗が高くなる。
【0019】
他方では、何よりも取付コストが低くなければならない。というのも、取付コストが付加価値全体の大きな割合を占めているからである。取付プロセスの間に磁石を取り扱うのは非常にコスト高であり、妨害に弱いので、製造プロセスの最後に磁化できる1つの磁石だけを使用することがどうしても必要である。
【0020】
問題の重点は準静的に動作するシステムを開発することにある。準静的な振動に必要な力はシステムの品質に応じて共振振動の数十倍になるので、経験に従って実現することが難しい。基本的に、提案された磁石駆動による装置の共振励起も可能でなければならない。
【0021】
磁石を含めた装置全体はできるだけ小さなサイズを有していなければならない。磁束ガイドを含めた磁石ユニットの高さは数ミリメートルのオーダーである。装置のサイズと単純さは、ロット生産、とりわけウェハ複合体での生産を可能にするものでなければならない。
【0022】
このために、本発明によれば、少なくとも1つの回転軸回りに回転可能に支承されたプレートとこのプレートの間に配置された磁石装置とを備えた磁気アクチュエータが提案される。この磁石装置は磁束を通す材料でできたU字形レールとこのレール内にある硬磁石とから構成されており、前記硬磁石の磁化方向はレール開口部に対して垂直である。磁石装置の主延在方向はレールの長手方向である。この磁石装置は本明細書ではマグネットヨークとも呼ばれる。プレートは1つの主延在方向を有している。回転軸はこの主延在方向に平行である。プレートは主延在方向に平行に少なくとも1つの導体ループを有している。磁石装置は2つの主延在方向が一致するレール開口部によってプレートの方向に向き付けられている。プレートは導体ループへの通電によって少なくとも1つの回転軸回りに振動することが可能である。
【0023】
有利なことに、本発明による装置では、単純かつ低コストの構造でも高い磁場強度による高い駆動トルクが可能である。これに関して、磁化方向を有する1つの磁石だけを使用する他に、磁束を通す材料でできたU字形レールの大量生産も簡単かつ低コストで実現可能である。
【0024】
本発明は特に一軸ミラーを実現することに関する。
【0025】
マイクロミラーは例えばフラックスゲートコンパスのような感磁素子が内蔵された携帯電話において使用されるべきでものである。こうした理由から、漂遊磁場はできるだけ広範に弱められなければならない。公知のアイデアとは違い、磁場は磁束ガイドを有する硬磁石を囲むU字形のシールドによって少なくとも三方においてクリティカルでない大きさまで低減される。磁化方向は開口部に平行であるから、正面には低い磁場しか生じない。したがって、ヨーク開口部から垂直に出る磁場方向しか実質的に残らない。漂遊磁場は1つの方向にしか生じないので、感受性素子が存在しないクリティカルでない方向に漂遊磁場を位置させることができる。択一的または付加的に、簡単な遮蔽によって漂遊磁場を許容できる大きさまで低減してもよい。
【0026】
最大トルクを達成するには、第1に導体ループが回転軸まで最大の距離を有し、第2に磁場がこの位置で最大となると、有利である。円状またはリング状の磁石によって実現される放射対称な磁場とは違い、ここに提案する構造が有する有効磁場は、回転軸からの距離が同じでも、全長にわたって均一に高い値を有する。特に、これによってさらなる設計自由度が与えられる。トルクは装置を単純に伸ばすことによって増大させることができる。
【0027】
本発明の別の有利な実施形態は従属請求項に示されている。
【実施例】
【0028】
図1aには、先行技術による、回転可能なプレートを備えたマグネットヨークが概略的に示されている。ローレンツ力に基づいて動作するマイクロミラーのための磁場30を実現する、先行技術において公知の装置が、磁気ヨークを形成している。図1aには、1重のスリットを有する軟磁性磁束ガイドからなる通常のマグネットヨーク20が示されている。スリット内には回転可能なプレート3があり、このプレート3上にミラーと導体ループとがある。導体ループが通電していれば、つまり導体ループに電流が流れていれば、マグネットヨークによって発生した一方向磁場内でプレートにトルクが作用する。軸の両側において電流の方向は異なっているので、軸回りに一方向のモーメントが得られる。図1bには、先行技術による、電気駆動のための導体ループを備えた回転可能なプレート3が概略的に示されている。単純な実施形態では、マグネットヨークがミラーを軸4回りに傾斜させる。この軸は先行技術による公知の実施形態では準静的に駆動される。
【0029】
ヨーク構造を前提とするならば、回転軸に対して垂直な装置最小幅が様々な境界条件から得られる。ヨークが磁束を伝達することができるためには、サイドアーム20は最小の壁厚を必要とする。磁場を所望の方向にガイドするためには、磁極片21は所定の最小幅を必要とする。回転可能なプレートを固定するためには、フレームが必要である。このフレームは必要な頑強性を保証するために最小幅を有している。ミラーを腐食から保護する必要がある場合、または所望の高い品質に基づいて共振モードでミラーを負圧にて動作せるためには、さらに幅の広いフレームが必要である。必要なトルクを達成するためには、回転軸から導体路までの距離が最小である必要がある。ミラーを腐食から保護する必要がある場合、または所望の高い品質に基づいて共振モードでミラーを負圧にて動作させるためには、さらに幅の広いフレームが必要である。必要なトルクを達成するためには、回転軸から導体路までの距離が最小である必要がある。
【0030】
図2aには、マグネットヨークと軸回転可能なプレートとを備えた本発明による磁気アクチュエータの第1実施例が概略的に示されている。好ましくは半導体材料、特に好ましくはシリコンでできたプレートのチップ平面内、すなわち主平面内で軸対象な磁場は、例えばマグネットヨークのような基本的にコンパクトな構造内に実現することができる。磁石2はチップの下にあり、その磁化方向はチップ表面に対して垂直である。磁石は磁束をガイドする材料でできたU字形レール1内にある。磁力線30は2つの分岐する円筒の形で磁石表面から走っている。z方向における力に対して有効なのはxy平面内の成分、すなわち回転可能なプレートの主平面内を走る磁力線である。磁力線はU字形レール1の正確な形状によって操作することができる。最大のトルクを達成するために、xy平面内の磁力線成分はチップ縁部で最大化される。なぜならば、可能な最大のトルクを達成するために、この領域に導体路10が置かれるからである。図2bには、補足的に、マグネットヨークとこのマグネットヨークにより発生した軸対称な発散磁場が概略的に示されている。
【0031】
プレート3を平面から回転されるトルクを発生させるために、回転軸にはさんで対向するプレート半面上に2つの導体ループが実現され、逆に、つまり逆の回転方向に通電される。図3には、2つの導体ループを備えた軸4回りに回転可能なプレートが概略的に示されている。2つの導体ループ10a、10bによって、(回転軸4に対して)上に向かう力と下に向かう力がそれぞれ発生する。
【0032】
ループ10aおよび10bの正面20は垂直な力をプレートに及ぼさない。なぜかと言えば、正面20では磁場と電流の方向が平行だからである。プレートの中心に戻る導体路はプレートに対して垂直に作用する所望の力に抗する力を及ぼす。もっとも、回転軸までの距離が小さく、xy平面における磁場が明らかに低いために、その力の寄与は無視できる程度である。要するに、1つの導体ループと一方向B場の場合とまったく同様に、軸対称なB場とプレート上の2つの導体ループからなるここに提案する装置でも、第1次近似では、軸4回りに同じ大きさのトルクが得られる。それに対して、2つの導体ループを同じ回転方向に通電すれば、正面20は第2の回転軸30回りに全トルクをプレートに及ぼす。
【0033】
提案した装置の別の重要な利点は、開放型磁石に比べて漂遊磁場が低いことである。磁石は1つの方向、すなわちヨークの開口部の方向を除いて磁束ガイドによって遮蔽されており、このため漂流磁場がかなり低減される。漂遊磁場は1つの方向にしか生じないので、上手く方向付けることにより、または適切な遮蔽により、漂遊磁場のネガティブな影響を最小化することが可能である。開放型磁石に比べて、漂遊磁場はヨーク開口部の方向においても低減さていれる。これはすでに磁場の大部分が磁束ガイドの中へ案内されているためである。
【0034】
図4には、通電した導体ループへの力の下で軸回転可能なプレートが傾く様子が示されている。磁場中で傾いているプレートと磁力線が断面図で概略的に示されている。明らかに見て取れるように、磁力線密度は磁石表面までの距離が縮まるにつれて高くなる、すなわち、ローレンツ力は導体路から磁石表面までの距離が縮まるにつれて増大する。
【0035】
プレートが例えば4mmの幅を有し、回転軸回りに7°だけ振れると仮定すると、導体路は上向きに、また向かい側では下向きに、約200μm変位する。したがって、振れが最大となる点における力を計算する際、零位置から200μmだけ上および下の磁場強度を考慮しなければならない。提案した装置の利点は、磁石により近い、プレートの一部分への力の方が、プレートの他の部分への力よりも強く低下することにある。これにより、全体として振れが大きくなるにつれて有効トルクが低下する。
【0036】
図5には、回転軸までの様々な距離に対して磁石を通る磁束がグラフで示されている。図示されているのは、磁石の直ぐ上、磁石上方300μm、600μmおよび900μmにおける関心あるx方向に沿った磁束密度である。符号の変化は磁石方向が変化したことを意味している。
【0037】
図6には、開放側に磁束ガイドを備えたマグネットヨークが示されている。磁石表面上の磁束ガイド部材23は磁極片から出る磁場の強度を高める。例えば、磁石表面上で磁力線が磁極片から離れる場所では2テスラを達成することができる。これは軟磁性材料がこの磁束密度まで磁化されうるからである。これとは対照的に、硬磁性材料でできた永久磁石は最大でも1.4Tで飽和してしまう。材料から出たところで磁化を高めることによって、導体路の箇所における磁場強度を高めることができる。同時に、磁場はx方向により大きな成分を有するようになる。これにより、回転可能なプレートの平面における磁場の成分がさらに大きくなる。
【0038】
以下の計算には、マグネットヨークと可動プレートとを備えた本発明による磁気アクチュエータの内部抵抗および最大電力の推定が含まれている。
IWindung = 2 * (4e-3m + 2e-3m) 12e-3m
w*t = 50e-6 * 4e-6 2e-10m2
R =2nrl/wt = 2 * 5 * 1.7e-8Wm * 12e-3m/2e-10m2 10 W
F = n l B l = 5 * 5e-2A * 5e-1T * 4e-3m +0.5 mN
Fgegen = n l B l = 5 * 5e-2A * 0.5e-1T * 4e-3m -0.05 mN
M = + 0.5 mN * 3.5e-3m 1.75 μNm
Mgegen = - 0.05 mN * 0.5e-3m -0.025 μNm
Wmax/mittel = 5e-2 A2 * 10W 25 / 8mW
【0039】
上記セクションには、(角度振れが最大のときの)内部抵抗と最大電力の概算が示されている。0.5Tの中程度の磁場が仮定されている。さらに、銅(Cu)でできた5回巻のコイルが仮定されている。ここで、導体路は4μmの高さと50μmの幅を有していると仮定される。これらの仮定では、2つのコイルについて、10オームの入力抵抗と25mWの最大電力が得られる。平均電力は約8mWである。
【0040】
マグネットヨークと可動プレートとを備えた磁気アクチュエータの上記実施形態は、準静的なミラーと共振ミラーとにおいて駆動部として使用することができる。通常比較的高い周波数で動作する共振ミラーを設計する際には、比較的硬いばねを使用し、質量ないし慣性モーメントを適合させなければならない。
【0041】
プレートの平面からの回転に逆らう抗力を発生させるばねは様々な形式であってよい。最も簡単な形式はトーションばねである。しかしその他に、プレートを軸4回りに回転させることができる限り、例えば蛇行ばね、曲げばねまたはプログレッシブスプリングのような他のばねを使用してもよい。
【0042】
本発明の1つの様相として、漂遊磁場の低減がある。エッジ寸法が3mmの開放型磁石は磁化の方向に1mm離れた場所に約0.5Tの漂遊磁場を有する。この磁場は磁束ガイドによって案内される、すなわち、磁束ガイド外部の漂遊磁場は低減される。マグネットヨークは、ヨークの開放側を除くすべての側を遮蔽するという点で、漂遊磁場を低減する適切な装置である。最も単純なマグネットヨークで求められた漂遊磁場は、1mm離れた場所において、ヨーク遮蔽された底部では1mT、ヨークの開放部上では20mTである。
【0043】
図6に示されているように、磁石2の開放側の磁束ガイドの層23によって、磁力線の流出を減少させることができる。磁束ガイド層23は磁極片2上に全面にわたって配置してもよいし、または構造化して配置してもよい。磁石の正面から出る磁力線は磁束ガイド部材によっていわば集められ、マグネットヨーク1の方向に運ばれる。
【0044】
提案した装置は漂遊磁場を数桁低減することができる。
【0045】
図7には、マグネットヨークと中央にばね懸架のある回転可能なプレートとを備えた、本発明による磁気アクチュエータが示されている。回転可能なプレート3の支承の考えられる形態は、この実施例で示されているように、例えば中央のばね懸架40である。このような中央ばね懸架は、プレート3を1つの方向または複数の方向に傾けることができるように形成することができる。プレート3は例えば固有のケーシング50で包まれている。ケーシングの材料は、アクチュエータの磁場を通すことができ、ケーシング50内のプレート3をさらに傾き運動または回転運動へと駆動できるように選ばれている。
【0046】
本発明のさらなる様相は、磁気アクチュエータを備えた、少なくとも軸回りに可動、駆動可能なマイクロミラーを駆動部として製作することである。このために、本発明による磁気アクチュエータの上に示した実施例において説明されたプレート3は、反射表面を有するプレートとして形成されているか、または、少なくともマグネットヨークの開口部とは逆側のプレート3の面にミラーエレメントが設けられているか、もしくは反射性材料が敷かれている。図7の実施例ではさらに、ケーシング50の材料は反射すべき放射に対して透過性を有するように選ばれている。
【0047】
本発明のさらなる様相は、マイクロミラーを駆動するための磁気アクチュエータを製作することである。図8には、本発明による磁気アクチュエータと磁束ガイドシールドとを有する2ミラーシステムの構造が示されている。光ビーム110を送出するレーザ100の形態の光源が図示されている。光ビーム110は第1ミラー200によって反射される。ミラー200は本発明によれば磁気的に駆動されるものであり、マグネットヨーク210、磁気駆動されるミラーエレメント220および磁束ガイドシールド230を有している。その後、光ビーム110は駆動される第2ミラー300によって反射される。可動ミラーは、投影面に2次元的な光パターンが書き込まれるように、光ビーム110を反射する。これにより、例えば結像光学系またはいわゆる光学式2Dスキャナが実現される。
【0048】
図8に示されているように2ミラー装置を前提とすれば、第1ミラーの漂遊磁場をマグネットヨークの開放側に向かって低減させることができる。これは、向かい側のプリント基板400上、第1ミラーの回転軸に対して垂直な回転軸を有する第2ミラーの箇所に、遮蔽プレートの形態の磁束ガイド部材230が固定されていることによって為される。この磁束ガイド部材230は、例えば漂遊磁場を感知する電子素子500が存在する領域に磁力線が出るのを妨げる。スペーサ27は、マグネットヨークとシールド230とが磁力によって相互に引き寄せ合うのを妨げる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1回転軸(4)回りに回転可能に支承されたプレート(3)と該プレート(3)の下に配置されたマグネットヨークとを備えた磁気アクチュエータにおいて、
前記プレート(3)は主延在面を有しており、
前記回転軸(4)は前記主延在面に平行であり、
前記プレート(3)は前記主延在面に平行に少なくとも1つの導体ループ(10,10a,10b)を有しており、
前記マグネットヨークは、磁束をガイドするU字形レール(1)と、U字形開口部に対して垂直な磁化方向を有する硬磁石(2)とを有しており、
前記マグネットヨークと前記プレート(3)は、前記マグネットヨークの開口部が前記プレート(3)の主延在面の方を向くように、互いに向き付けられており、
磁束をガイドする前記U字形レール(1)は、前記第1回転軸(4)と平行な主延在方向を有しており、
前記プレート(3)は前記少なくとも1つの導体ループ(10,10a,10b)への通電により前記少なくとも1つの回転軸(4)回りに振れる、ことを特徴とする磁気アクチュエータ。
【請求項2】
前記プレート(3)は前記主延在面に平行に2つの導体ループ(10a,10b)を有しており、前記プレート(3)は前記主延在面内に前記回転軸(4)によって分けられた2つの平面領域を有しており、一方の導体ループ(10a)は一方の平面領域に、他方の導体ループ(10b)は他方の平面領域に配置されている、請求項1記載の磁気アクチュエータ。
【請求項3】
前記2つの導体ループを互いに逆方向に通電することにより、前記回転可能に支承されたプレート(3)に前記第1回転軸(4)回りのトルクを発生させることができる、請求項2記載の磁気アクチュエータ。
【請求項4】
前記マグネットヨークは硬磁石(2)を有しており、該硬磁石(2)の開放側に全面を覆うまたは構造化された磁束ガイド層(23)が配置されている、請求項1から3のいずれか1項記載の磁気アクチュエータ。
【請求項5】
前記マグネットヨークの開口部と向かい合うようにシールド(230)がスペーサ(27)によって固定的に配置されており、これにより前記マグネットヨークの開放側への漂遊磁場が低減されている、請求項1から4のいずれか1項記載の磁気アクチュエータ。
【請求項6】
前記プレート(3)はトーションばね、蛇行ばね、曲げばね、またはプログレッシブスプリングによって前記少なくとも1つの回転軸(4)回りに回転可能に支承されている、請求項1から5のいずれか1項記載の磁気アクチュエータ。
【請求項7】
前記プレート(3)は、前記プレート(3)を少なくとも1つの方向に傾けさせる中央ばね懸架(40)を介して固定されている、請求項1から6のいずれか1項記載の磁気アクチュエータ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の磁気アクチュエータを備えたマイクロミラーにおいて、前記回転可能に支承されたプレート(3)は前記主延在面内に反射表面を有しているか、または、少なくとも前記マグネットヨークの開口部とは逆側の前記プレート(3)の面にミラーエレメントが設けられているか、もしくは反射性材料が敷かれている、ことを特徴とするマイクロミラー。
【請求項9】
請求項8記載の少なくとも1つの第1マイクロミラーと第2ミラーとを備えた2ミラーシステムにおいて、当該システムは2Dスキャナであり、前記第2ミラーは前記第1マイクロミラーの第1回転軸(4)に対して垂直な回転軸を有しており、前記第2ミラーは、当該ミラーを照射するレーザビームが2つの方向に偏向されるように、前記第1マイクロミラーと向かい合って配置されている、ことを特徴とする2ミラーシステム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−125145(P2012−125145A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269187(P2011−269187)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】