説明

磁気ディスクとその製造方法

【課題】 情報エリア間に分離溝を有する(Discrete Track Recording)方式による磁気ディスクにおいて、コンタクト情報の記録を直流磁化によって高い生産性をもって行うことができるようにする。
【解決手段】 同心的に配置された磁気記録トラックの上記データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間が分離溝19によって分離され、コントロール情報記録領域のコントロール情報がランド部24の面に対して所定の深さを有する凹状ピット23として記録され、凹状ピットのランド部24の面との段差と、分離溝19との深さの差を利用して、直流磁化によってランド部24の磁化とは逆向きの磁化を凹状ピット23に形成することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気ディスクとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記憶装置において大容量を実現するために、より高密度化が求められている。
代表的な磁気記憶装置であるハードディスクドライブ装置においては、すでに面記録密度が、10 Gbit/inch2を超えるものが商品化されている。
図13は、通常のハードディスク概略断面図であり、このハードディスクは、例えば表面にNi層が形成されたAl基板による平坦面による基板1上に、磁性層2、保護層3、潤滑層4が順次被着形成されて成り、その中心孔5を中心に同心上に、環状の記録トラックが、平坦な連続した磁性層に配列され、隣接する記録トラック間は物理的に独立することなく、連続した領域によって形成されている。
したがって、このようなハードディスクにおいては、半径方向の密度、つまりトラックピッチは、再生信号のS/Nに影響を及ぼす。
【0003】
このように隣接する記録トラックが連続した構成による場合において、再生信号のS/Nへの影響を考慮すると、記録磁気ヘッドの磁気ギャップのトラック幅(以下単に記録磁気ヘッド幅という)Wwは、記録トラック幅Wより小(Ww<W)に選定することが必要となる。
すなわち、記録磁気ヘッドによって記録される記録マークの幅は、記録磁気ヘッドの磁気ギャップからのハードディスクの半径方向への漏洩磁界によるにじみ現象によって、実際には、記録磁気ヘッド幅Ww以上の幅となる。このため、記録マークの幅は、記録ヘッドによって形成される部分(記録ヘッド幅と同等程度の幅)と、にじみ現象によって形成される部分とからなり、このにじみ現象により形成されている記録マーク部分からは正確な再生信号を得ることはできないことになる。
したがって、記録磁気ヘッド幅Wwを記録トラック幅Wと同等程度にすると、隣接する記録トラックに対して余分な信号を書き込むことになり、隣接する記録トラックに形成されている記録マークを侵食することになる。
そして、このように記録マークの侵食が生じると、再生ヘッドによってこの記録マークからの漏れ磁界の検出、すなわち記録情報データの再生を行うと、再生信号のS/Nが劣化する。
そこで、記録ヘッドの磁気ヘッド幅Wwは、上述したように、記録トラック幅Wより小(Ww<W)に選定することが必要となる。
【0004】
一方、記録マークの漏れ磁界から高感度な再生信号を得るためには、上述した記録時のにじみ現象により形成された部分からの漏れ磁界を検出しないようにする必要があり、このため、記録マークの幅に対して再生ヘッドの幅Wrを等しいか、若しくはそれよりも狭くする必要がある。特に、再生動作時のサーボの偏差により記録トラックの中心を常にトレースできるわけではないので、その分を見込んだ再生ヘッド幅Wrに選定する必要がある。
しかし、再生ヘッドの幅Wrを狭くすると、得られる再生信号が小さくなるため、S/Nが低下してしまうことから、この幅Wrはできるだけ大とすることが望ましい。
【0005】
以上のことから、再生ヘッドの幅Wrと、記録磁気ヘッドWwと、記録トラック幅Wの関係は、
Wr<Ww<W
に選定することになる。
つまり、記録トラック幅Wのすべてを使った記録マークの形成はできないものであり、一方で、形成された記録マークの幅をすべて再生対象にできるわけではない。
【0006】
そこで、現在、ハードディスクの高密度化の技術としてDTR(Discrete Track Recording)といわれる手法が提案されている〈例えば非特許文献1参照〉。
DTRによれば、上述した記録トラックのピッチに対する問題を軽減することができる。具体的には、隣接する記録トラック間に物理的な分離溝を設けて隣接する記録トラック同士をそれぞれ独立分離させ、溝内からの漏れ磁界が再生ヘッドに届かないように、すなわち再生ヘッドが漏れ磁界を検出しない程度の溝深さ及び溝形状となるように形成されたハードディスクである。
【0007】
このDTRにより、隣接する記録トラック間に分離溝が形成されてなるハードディスクにおいては、上述したにじみ現象を考慮する必要がないため、記録磁気ヘッド幅Wwは、記録トラックの分離溝間のランド幅よりも大きくすることができるものであり、記録マーク幅は、分離溝間のランド部の全幅に渡って形成することができる。
また同時に、上述したにじみ現象に対する考慮の必要がないことから、再生磁気ヘッド幅Wrは、分離溝間のランド部の全幅に渡る幅、すなわちランド幅よりも大きくすることができる。したがって、サーボの偏差があってもランド部の全幅をすべて再生することができる。
つまり、DTR構成では、記録マークの幅は、ランド部幅できまり、記録マーク幅を大きく形成できるため、トラックピッチに対するS/Nを高めることができる。
【0008】
ところで、ハードディスクにおいては、これに対して、あらかじめ記録されるサーボ信号や、アドレス信号等の情報の書き込みもS極/N極の磁気信号で記録されている。これらの情報の書き込みは、ハードディスクをセットに組み込む前に所要の書き込み装置によって行っていた。
DTRを用いたハードディスクでは、分離溝の存在によってディスク成型時に凸部として記録トラックが形成されるため、記録トラックに沿う形で、サーボ情報を書き込んでいくことが必要となる。
この情報の書き込み方法としては、外部交番磁界を用いて繰り返し信号をハードディスクに着磁することによりサーボ信号を書き込む方法の提案がなされている(特許文献1参照)。
【非特許文献1】IEEE TRANSACTION ON MAGNETICS, VOL.40, NO.4, JULY 2004 PP.2510-2515
【特許文献1】特許第2863190号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような書き込み外部交番磁界によって、繰り返し磁化によるサーボ信号等のコントロール情報の書き込みを行う場合、高記録密度化に伴って外部う交番磁界の周波数が高くなると、この交番磁界発生手段としての例えば電磁石の駆動周波数の高周波数化が必要となり、SN極の反転の急峻性が低下する。
また、各記録トラックごとに情報信号の書き込みを行う作業は、長時間を要し、作業性、したがって、生産性に劣るという問題がある。
DTR構成とするための作業も煩雑である。
本発明は、DTR構成による磁気ディスクを、簡便に、高い生産性をもって製造することができる磁気ディスクとその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による磁気ディスクは、データ情報記録領域と、コントロール情報記録領域とによるセクタが複数配置される複数の磁気記録トラックが同心的に配置され、上記各磁気記録トラックの上記データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間が分離溝によって分離され、上記コントロール情報記録領域のコントロール情報が上記データエリア面に対して上記分離溝と異なる深さを有する凹状ピットとして記録され、該凹状ピット内と、該凹状ピットおよび上記分離溝の形成部外のランド部とが、初期化状態で、互いに逆向きに選定されて成ることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による磁気ディスクにあって、上記コントロール情報記録領域は、位相信号検出用のクロック信号が書き込まれるクロックエリアと、サーボ信号が書き込まれるサーボエリアと、アドレス情報ないしはID情報が書き込まれるアドレスエリアとを有し、上記クロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報が、上記凹状ピットとして記録されることを特徴とする。
上記分離溝の深さは、上記凹状ピットの深さより大に選定されて成ることを特徴とする。
【0012】
本発明による磁気ディスクの製造方法は、データ情報記録領域と、コントロール情報記録領域とによるセクタが複数配置される複数の磁気記録トラックが同心的に配置される磁気ディスクの製造方法であって、上記各磁気記録トラックの上記データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間に分離溝を形成する分離溝形成工程と、上記コントロール情報記録領域のコントロール情報を上記分離溝に比して浅い深さの凹状ピットとして形成する凹状ピット形成工程と、上記分離溝および上記凹状ピットの形成部外のランド部と、上記凹状ピット内とに互いに逆向きの磁化を、逆向きの直流磁界印加によって行う磁化工程とを有することを特徴とする。
【0013】
上記分離溝形成工程は、上記分離溝のパターンに対応する開口を有するレジスト層をフォトリソグラフィによって形成する工程と、該レジスト層の開口を通じて上記基板面もしくは基板面上に形成された材料面上に、上記所要の深さの分離溝を形成するエッチング工程とを有し、
上記凹状ピットの形成工程は、上記コントロール情報の記録パターンに対応する開口を有するレジスト層をフォトリソグラフィによって形成する工程と、該レジスト層の開口を通じて上記基板面もしくは基板面上に形成された材料面上に、上記分離溝より浅い凹状ピットを形成するエッチング工程とを有し、
上記分離溝形成工程と上記凹状ピット形成工程における上記フォトリソグラフィにおける露光は、電子ビームまたはレーザービームによるパターン露光によるフォトリソグラフィによって形成した露光マスクを用いた縮小投影露光によることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明による磁気ディスクにおいては、データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間が分離溝によって分離されたDTR構成を有することから、隣接するデータエリア間の漏洩磁束による相互の侵食を回避することができる。したがって、記録磁気ヘッドのトラック幅を、データエリアの幅より大とすることができ、データエリアの全幅に渡って記録マークを確実に形成することができる。また再生に当たっては、再生磁気ヘッドのトラック幅を、データエリア幅より大に、したがって、記録マークより大に選定することができる。
これにより、再生信号のS/Nを高めることができる。
【0015】
そして、特に、本発明においては、コントロール情報、具体的にはクロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報等が、上記凹状ピットとして、更にこの凹状ピット内にランド部とは、逆向きの直流磁化によって記録されることから、S/Nの高い再生ができるコントロール情報の記録を行うことができる。
【0016】
また、本発明による磁気ディスクの製造方法においては、上述した分離溝が形成される磁気ディスクに対して直流磁界によって、クロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報等のコントロール情報の書き込みを行うことから、交流磁界によって書き込みを行う場合にける電磁石や特別なオーバーライトヘッドを用いることなく、簡単に、かつ短時間で高い作業性をもって、各情報の書き込みを行うことができる。
【0017】
また、この分離溝および凹状ピットの形成は、露光マスク盤を用いた縮小投影露光方式を適用するフォトリソグラフィによることによって、1枚のウェハ基板上に多数の磁気ディスクを形成することができることから、一連の共通のフォトリソグラフィ工程、エッチング工程、成膜工程等の処理を行うことにより、同時に多数の磁気ディスクを同時に製造することができ、量産化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明による磁気ディスクとその製造方法の実施の形態例を説明する。しかしながら、本発明は、この実施の形態例に限定されるものではない。
[磁気ディスクの実施の形態例]
図1は、本発明による磁気ディスクとしてのハードディスク概略平面図である。この磁気ディスク10は、磁気ディスクのドライブ装置(図示せず)に装着される中心孔12を有する円盤状の例えば、Al、ガラス、Si等によるディスク基板11上に、中心孔12を中心としてその周囲に磁性層13が形成され、磁気記録領域部14が形成されて成る。
【0019】
磁気記録領域部14には、中心孔12を中心としてその周囲に、多数の磁気記録トラック15(図1においては1本のトラックのみを示している)が同心的に配置形成される。
図2は、図1の磁気ディスク10の要部の模式的平面図で、鎖線T1,T2,T3……は、同心的に配置された互いに隣り合う一部の磁気トラック15の中心線を示す。
また、図3は、図2のA−A線の概略断面図である。
【0020】
各磁気記録トラック15は、そのデータ情報記録領域16相互が、コントロール情報記録領域17によるセクタSが複数配置され、データ情報記録領域16が、コントロール情報記録領域17によって区分された構成を有する。
隣接する磁気記録トラック15のデータ情報記録領域16における情報データの書き込みがなされるデータエリア18間には、データエリア18の上面に対して所要の深さを有する分離溝19が形成され、これら分離溝19によってデータエリア18が短冊状パターンとされる。
【0021】
コントロール情報記録領域17は、位相信号検出用のクロック信号が書き込まれるクロックエリア20と、情報データの、再生時にトラッキング・サーボコントロール用情報を得るサーボ信号が書き込まれるサーボエリア21と、アドレス情報ないしはID情報が書き込まれるアドレスエリア22とを有する。
コントロール情報記録領域17の各クロッキングエリア20と、サーボエリア21と、アドレスエリア22には、それぞれクロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報が記録されるものであるが、本発明においては、これらコントロール情報信号が、図2と図3で示すように、データエリア18面すなわちランド部24の上面に対して所定の深さを有する凹状ピット23によって形成される。
【0022】
磁性層13は、少なくとも凹状ピット23内とこれら凹状ピット23や、分離溝19の形成部外のランド部24上に形成され、この磁性層13に対し、凹状ピット23内と、ランド部24とにおいて、互いに逆向きの磁化がなされることによって、凹状ピット23のエッジにおける磁化の反転によって、各コントロール情報信号の記録再生が行われる。
すなわち、例えば図2に、白抜き矢印aで示すように、ランド部において、磁気記録トラック方向に沿う一方向の例えば面内磁化がなされる場合、白抜き矢印bで示す逆向きの磁化によってコントロール情報の記録がなされる。
【0023】
データ情報記録領域16の分離溝19の深さは、図3に示されるように、凹状ピット23の深さより十分大に選定され、分離溝19によって分離されるランド部24上のデータ情報が、このデータ情報の書込みおよび読み取り時に干渉することを阻止する深さとする。
【0024】
このようにして、図1で示す磁性層13が形成された磁気記録領域部において、多数の同心円状に形成された記録トラック15のそれぞれが、コントロール情報記録領域17を遮断部分として断続するデータ情報記録領域16による複数のセクタSによって構成される。
【0025】
この構成において、磁気ディスク10を回転させて、再生磁気ヘッドを磁気トラック15上に走行させる。このとき、磁気ヘッドによって、凹状ピット23のエッジ位置で、検出磁界が反転するため、これによってクロック、サーボ、およびアドレス信号の読み出しを行うことができるものである。
このようにして、磁気トラック15に対する磁気ヘッドのトラッキングを高精度で行って、データ情報エリア18のデータ情報を読み出すことができる。
【0026】
次に上述した深さを異にする凹状ピット23と分離溝19による微細凹凸構造が表面に形成され、ランド部と、凹状ピット内とで逆向きの磁化がなされた磁気ディスクの製造方法の実施の形態例を示す。
【0027】
[磁気ディスクの製造方法の実施の形態例]
本発明製造方法においては、上述したように、データ情報記録領域16と、コントロール情報記録領域17とによるセクタSが複数配置される複数の磁気記録トラック15が同心的に配置される磁気ディスク10の製造にあたり、各磁気記録トラック15のデータ情報記録領域16におけるデータ書き込みがなされるデータエリア18間に分離溝19を形成する分離溝形成工程と、コントロール情報記録領域17のコントロール情報を分離溝19に比して浅い深さの凹状ピット23として形成する凹状ピット形成工程と、分離溝19および凹状ピッ23との形成部外のランド部24と、凹状ピット23内とに互いに逆向きの磁化を、逆向きの直流磁界印加によって行う磁化工程とを有する。
【0028】
そして本発明による磁気ディスクにおける製造方法においては、上述した分離溝19の形成と、凹状ピット23の形成とを、それぞれフォトリソグラフィによるエッチング工程によって形成する。
この場合、複数個分の磁気ディスクを作製することができる大面積のウエハが用意され、これに、複数の磁気ディスクを同時に作製し、その後、複数の磁気ディスクに分断することによって、同時に複数の磁気ディスクを得ることができる。
この磁気ディスクの製造におけるフォトリソグラフィは、上述した凹状ピット23の形成のための第1の露光マスク盤と、分離溝19の形成ための第2の露光マスク盤とを作成し、これら用いて、凹状ピットと、これより深い分離溝19を形成するための露光を、それぞれ縮小投影露光によるステップ露光法によって行う。
【0029】
これら、第1および第2の露光マスク盤の作製は、それぞれ例えば最終的に得る目的とする磁気ディスク10における磁気ディスク基板11の例えば4倍または5倍の相似なパターンを有する露光マスク盤として作製する。
図4は、これら露光マスク盤の作製方法の工程図で、図4Aに示すように、例えばガラス基板、石英ガラス基板等より成る、露光マスク盤を構成する露光マスク基板31が用意され、その表面に遮光膜例えばCrによる遮光金属膜32と、この上に例えばポジ型のこの例ではフォトレジストによるレジスト層33が塗布される。
図4Bに示すように、このレジスト層33に対してパターン露光を行う。
その後、このレジスト層33の現像処理を行うことによって、ポジ形のフォトレジスト層にあっては、露光部が除去され、開口34が形成される。
【0030】
図4Cに示すように、レジスト層33の開口34を通じて遮光金属層32をエッチングすることによって残された遮光金属層32によって遮光部が形成された露光マスク盤34を作製する。
【0031】
この露光マスク盤34の作製におけるフォトレジストによるレジスト層33に対し、レーザーザビーム走査によって行うことができる。
【0032】
レーザービーム露光は、図5の概略構成図に示すように、いわゆるレーザービームレコーダー(LBR)を利用することができる。
このLBRは、例えば波長351nmのArレーザー、波長266nmのYAG第4高調波レーザーなどの紫外線レーザー光を出射するレーザー光源41と、音響光学変調器42と、ビームエキスパンダー43と、例えば開口数(N.A.)が0.9前後の対物レンズ44とを有する。
【0033】
一方、図4Aで示した遮光金属膜32と、この上にフォトレジスト層33が形成された露光マスク盤の基板31をエアースピンドル等によって高速回転させる。
そして、このフォトレジスト層に対して、レーザー光源41からのレーザーを音響光学変調器42によって、目的とするマスク盤のパターンに応じて、レーザービームのオンオフを高速に行い、ビームエキスパンダー43で数mm径に拡大されたレーザービームを対物レンズ44によりレジスト層33上に集光しながらマスク31基板を半径方向にゆっくりとスライドさせながら、同心円状に一定のトラックピッチで露光し、整列したDTRディスク用の拡大されたパターンをもって露光する。
【0034】
その後、フォトレジスト層33の専用現像液に浸漬することによって、これが例えばポジ型レジストの場合は、露光された部分が現像液に溶解し、分離溝19、あるいは凹状ピット23の拡大パターンによる開口34が図4Bに示すように形成される。
この場合、例えば波長266nmのレーザー光源41を使用すればトラックピッチで400nm、例えば分離溝19のパターンが、十分なマージンを有する程度の解像が得られる。
【0035】
そして、このようにして開口34が形成されたレジスト層33をマスクとして、前述したように、図4Cに示すように、Cr膜等の遮光金属膜32をエッチングし、その後、レジスト層33を除去する。このようにして、第1および第2の露光マスク盤34をそれぞれ作製するものである。
【0036】
また、レジスト層33に対する露光は、上述したレーザービーム露光に代えて電子ビーム露光によることができる。
図6は、電子ビーム露光を行う電子ビームレコーダー(EBR)の概略構成図である。
この場合、露光マスク基板31上の遮光金属膜32上のレジスト層33は、電子ビーム用レジストによって構成する。
EBRは、除振テーブル51を有し、この上に、電子ビームの被照射体の配置部、すなわち遮光金属膜32とこの上にレジスト層33が塗布された露光マスク基板31の配置部が構成される。
露光マスク基板31の配置部は、エアスライド52上に、露光マスク基板31をその軸心を中心に回動させるスピンドル53を有する。
そして、エアスライド52によって、基板31の軸心と直交する面内において、互いに直交する2軸方向にスライドさせることができるようになされる。
【0037】
この電子ビームの被照射体、すなわち露光マスク基板31の配置部上に、電子ビームカラム54が配置される。
この電子ビームカラム54は、電子銃55と、コンデンサーレンズ56と、ブランキング電極(ビーム変調部)57と、アパーチャー58と、ビーム偏向電極59と、フォーカス調整レンズ90と、対物レンズ91等を有して成る。
【0038】
この構成によって、電子銃55から発生した電子ビームをブランキング電極57とアパーチャー58によって、電子ビーム92のオンオフを高速で行うようになされる。
電子ビーム92は、対物レンズ91によって直径100nm以下に収束され、露光マスク基板31上の電子ビーム用レジストに集束させ、スピンドル53によって回転され、エアスライド52によって半径方向に移動する露光マスク基板31上のレジスト層33に対する電子ビームのパターン照射により、所要のパターンをもって電子ビーム露光する。
このようにしてパターン露光されたレジスト層33は、前述したように現像されて、図4Bに示すように、開口34が形成され、この開口34を通じて遮光金属膜32がエッチングされて図4Cに示すように、露光用のマスク盤35が作製される。
このようにして作製されたDTRパターン付きマスク盤を用い、本発明によるハードディスクを作製する。
【0039】
図7および図8は、このハードディスクすなわち磁気ディスクの製造方法の実施形態例の製造工程図である。
まず、図7Aに示すように、複数の磁気ディスクを得る例えば直径300mmの例えばNiP層による表面材料層92が表面に成膜されたガラス、Si、Al等による大面積基板61が用意される。そして、表面材料層62上にフォトレジスト層63が塗布形成される。
このフォトレジスト層63に対して、例えば凹状ピットの露光パターンを有する第1の露光原盤を用いて縮小投影露光を、基板61上で、移行露光することによって、複数のディスクに関する露光を行う。
【0040】
図9は、この縮小投影露光がなされるステッパー型縮小投影露光装置の概略構成図である。
この場合、光出射ユニット71と、光照射ユニット72と、露光マスク盤35の配置部と、この露光マスク盤35の露光パターンを1/4に縮小する対物レンズ(図示せず)を有する縮小投影ユニット73と、図7Aに示した基板61が載置され、光軸方向Zと、これに直交する面内で互いに直交するXおよびY方向に移動するXYZ駆動ステージ74を有する。
【0041】
この縮小投影露光装置によって、露光マスク盤35の露光パターンを縮小したパターンをもって基板61上のフォトレジスト層63に対して、露光処理を行う。
この露光は、最終的に複数の磁気ディスクを構成する部分にXYZ駆動ステージ74によって基板61をXおよびY方向にステップ移動させることによるステップ露光を行う。
このようにして、図10に示すように、基板61のフォトレジスト層63に複数のパターン露光処理部75を形成する。
【0042】
上述した縮小投影露光は、露光マスク盤35として、例えば最終的に前述した凹状ピット23を得る露光パターンを有する第1の露光マスク盤を用いる。
その後、図7Bに示すように、フォトレジスト層63の現像処理を行い、例えばパターン露光部に開口63Wを形成し、図7Cに示すように、この開口63Wを通じて材料層62に対するドライエッチングを行って凹状ピット23、すなわちコントロール情報の記録部を形成する。
【0043】
その後、図7Dに示すように、一旦フォトレジスト層を除去し、表面のクリーニングを行い、改めて、再度フォトレジスト層63を全面的に塗布する。
このフォトレジスト層63に対して、前述した縮小投影露光は、最終的に前述した分離溝19を得る露光パターンを有する第2の露光マスク盤を用いる。
この場合、第2のマスク盤を用いる露光処理は、図9および図10で説明した縮小投影露光装置によってフォトレジスト層に対する露光処理を、先に形成した凹状ピットのパターン位置と位置あわせした状態で行う。
この位置あわせは、例えば第1のマスク盤に位置マークを形成して、凹状ピット23の形成と共に、位置あわせの凹状マーカーを形成しておくことにより、このマーカーを基準に第2の露光マスク盤の位置合せを行うようにすることができる。
【0044】
図8Aに示すように、現像処理を行って分離溝19のパターンの開口63WGを形成する。
図8Bに示すように、フォトレジスト層63の開口63WGを通じて材料層62をドライエッチングして、分離溝19の形成を行う。
このようにして、凹状ピット23や、分離溝19外のランド部24に対して所要の深さを有し、凹状ピット23の深さに比して、十分深い分離溝19を形成する。
図8図Cに示すように、フォトレジスト層を除去し、ランド部と、凹状ピットと、分離溝が形成された面上に、少なくともランド部24と、凹状ピット23内を含んで磁性層13を形成する。
【0045】
上述した縮小投影露光装置における光出射ユニット71は、例えばは波長193nmのArFエキシマレーザーによる露光源であり、縮小投影ユニット73の対物レンズは開口数(N.A.)が0.92で露光範囲が26mm×33mmのステッパーを用いる。この場合、65nm以下の解像力を持つのでトラックピッチ130nmの分離溝を容易に形成することができた。
【0046】
また、この場合、露光範囲が1インチ(25.4mm)直径の円をカバーしているため、1インチ径のDTR方式ハードディスクのパターン露光が可能である。
磁気ディスク基板は、上述したように、表面材料層62としてNiP層が成膜された例えば直径300mmのウェハー基板61が用いられ、この上に感光性フォトレジスト層63が塗布された状態で、上述したように、XYZステージ74に載置チャッキングされて、XY方向のステップ移動と、各位置での繰り返し露光処理がなされることによって基板上で出来るだけ多数の1インチに対応するDTRパターン露光処理75を部形成する。
例えば半径300mmの1枚の基板に20個程度の1インチ径のパターンを露光することが可能である。
【0047】
また、上述したNiP材料層に対する凹状ピットおよび分離溝を形成するエッチングは、例えば塩素系ガス(Cl2、SiCl4等)と酸素(O2)の混合ガスが用いられその流量比によりエッチングレートの調整を行うことができる。
凹状ピット23は、例えば30nmの深さとすることができ、分離溝19の深さは、例えば60nmとすることができる。
【0048】
次に、図8Dに示すように、フォトレジスト層63を除去し、凹状ピット23や分離溝19による凹凸パターンが形成された基板61全体に渡り、Co、Cr、Pt等から成る磁性層13をスパッタ成膜し、更にこの上に図示しないが、DLC(Diamond Like Carbon)等の保護層や、潤滑剤層を順次積層して、複数個分の磁気ディスク形成用基板を得る。
その後、この基板64からレーザー加工等によってそれぞれ例えば1インチサイズのDTRパターン付きハードディスク、すなわち本発明による磁気ディスク10を複数枚,同時に得る。
【0049】
このようにして、多数形成された磁気ディスク10すなわちハードディスクに対し、初期化の磁化処理を行う。
この磁化処理は、第1および第2の2回の直流磁化によってなされる。
この磁化は、例えば図11に示すように、浮上型の直流磁場書き込み用ヘッド80によって行うことができる。この場合、磁気ディスク10を、ターンテーブル(図示せず)上に装着し、例えば3,600rpmで回転駆動させ、この回転される磁気ディスク10の回転による空気圧の変化による浮上力によって磁性層13に対して磁気ヘッドが所要の間隔を保持するように配置し、電源81による通電による電磁誘導磁気ヘッドによって所要の強さの直流磁界をもって磁性層13を例えば回転方向に磁化する。
【0050】
この直流磁場による書き込み用ヘッド80は、例えば書き込み幅が1mm程度で、ヘッドを搭載するスライドがディスクの半径方向に移動するようになされる。
そして、その浮上量は、例えば50nm程度浮上させた状態で、円周方向すなわち磁気トラックに沿って単一方向の磁場を発生させ、記録領域全体に渡ってランド部24、凹状ピット部23、および分離溝19内を一方向に磁化させる。
このようにして、第1の磁化処理を行う。この第1の磁化処理は、最もヘッドからの距離が大きい分離溝19内については、必ずしも磁化される必要はないが、ランド部24と、凹状ピット23内においては、同一方向の直流磁化がなされるようにする。
【0051】
続いて、第2の磁化処理を行う。この第2の磁化処理は、上述した第1の磁化処理工程における磁化とは逆向きの直流磁場の印加によってなされる。この第2の磁化処理においても、第1の磁化処理におけると同様の書込み用磁気ヘッド80によって行うことができる。この場合、その浮上高さ、或いは磁界の強さの調節により、ランド部24のみを磁化反転させ、凹状ピット23内は第1の磁化処理による磁化の向きの磁化方向が保持されるようにする。
【0052】
このように第1および第2の直流磁場による磁化処理によってランド部24と凹状ピット23において、図12にその一部の破断斜視図を示すように、矢印aおよびbで示す互いに逆向きの磁化、すなわち磁化方向が反転した状態を形成する。
【0053】
このようにして、凹状ピット23とその磁化によってコントロール情報の記録がなされた磁気ディスク10に対して読み取り用磁気ヘッド(図示せず)をディスク10上に走査させることにより、凹状ピット23のエッジが磁化反転に対応する信号として検出されることにより、クロック信号、トラッキング用信号、及びアドレス信号を検出し、データ情報記録領域において信号の記録再生を、従来のDTR構造を持たないハードディスクと同様に実行することができるものである。
【0054】
なお、第1の磁化処理における記録領域全体に渡る磁化は、磁気ヘッド走査によることなく、強力で大面積の電磁石を用いて全面的に直流磁場印加を行うようにして、短時間で同一向きの磁化を行うようにすることもできる。
また、分離溝19の深さを十分大にしておくことによって、第1の磁化処理による磁化が不十分とするとか、あるいは磁化されていないランダム配向の状態であっても、データ情報記録領域における信号の記録再生における、分離溝底部からの漏れ磁界の影響を無視することができる。
【0055】
以上述べた磁気ディスクの作製方法により、トラックピッチ130nmで1インチサイズのハードディスクを作製した場合、どの程度の記録容量になるかを、計算すると、TPI(Track per Inch)は195Kbit/inchでBPI(Bit per inch)
がその7倍とすると1.37Mbit/inchとなり、面密度は約200Gbit/inch2になる。1インチ径のディスクでは0.46inchの有効エリアを持つので、サーボ、アドレスピット等の領域などを考慮して効率を80%と見積もると、1枚のディスク10で片面12GB程度の記録容量となる。
【0056】
上述したように、本発明においては、DTR構成によるにもかかわらず、従来におけるような外部交番磁界を用いずに、外部直流磁界での書き込みを可能にしたことによって短時間でサーボ情報を書き込むことができ、従来に比して、格段に生産性の向上を図ることができるものである。
また縮小投影露光方式を用いたフォトリソグラフィ工程を適用することにより、直径200mm〜300mmのウェハ基板から多数の、例えば直径1.3インチ以下の例えば1インチサイズの小径磁気ディスクを量産的に製造することができ、特にモバイル用の小径ハードディスクを量産的に製造することができるものである。
【0057】
なお、上述した磁気ディスクとしての磁気ディスク構造、および初期化方法は、磁気記録をディスク表面と平行方向に磁化することによる長手磁気記録方式であるが、磁化方向をディスク表面と垂直な方向で記録する垂直磁気記録方式でも同様のパターン構造、作製プロセス、および初期化方法が適用できるものである。
また、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な変更、置換又はその同等のものを行うことができることはいうまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の磁気ディスクの一例の概略平面図である。
【図2】本発明の磁気ディスクの一例の要部の模式的パターン図である。
【図3】図2のA−A線の概略断面図である。
【図4】A〜Cは、本発明による磁気ディスクの製造方法に用いるマスク盤の作製方法の一例の工程図である。
【図5】本発明による磁気ディスクの製造方法に用いるレーザービーム露光装置の一例の構成図である。
【図6】本発明による磁気ディスクの製造方法に用いる電子ビーム露光装置の一例の構成図である。
【図7】A〜Dは、本発明による磁気ディスクの製造方法の一例の前半の工程図である。
【図8】A〜Dは、本発明による磁気ディスクの製造方法の一例の後半の工程図である。
【図9】本発明による磁気ディスクの製造方法における縮小露光装置の一例の構成図である。
【図10】縮小露光の露光状態の説明図である。
【図11】本発明による磁気ディスクの初期化磁化の説明図である。
【図12】本発明による磁気ディスクの初期化磁化状態を示す要部断面の斜視図である。
【図13】従来のハードディスクの一部の概略断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1……基板、2……磁性層、3……保護層、4……潤滑層、5……中心孔、11……ディスク基板、12……中心孔、13……磁性層、14……記録領域部、15……磁気トラック、16……データ情報記録領域、17……コントロール情報記録領域、18……データエリア、19……分離溝、20……クロッキングエリア、21……サーボエリア、22アドレスエリア、23……凹状ピット、24……ランド部、31……露光マスク盤の基板32……、遮光金属膜、33……フォトレジスト層、34……露光マスク盤、41……レーザー光源、42……音響光学変調器、43……ビームエキスパンダー、44……対物レンズ、51……除震テーブル、52……エアスライド、53……スピンドル、54……電子ビームカラム、55……電子銃、56……コンデンサーレンズ、57……ブランキング電極(ビーム変調部)、58……アパーチャー、59……ビーム偏向電極、61……基板、62……表面材料層、63……フォトレジスト層、64……磁気ディスク形成用基板、71……光出射ユニット、72……光照射ユニット、73……縮小投影ユニット、74……XYZ駆動ステージ、75……パターン露光処理部、80……直流磁場による書き込み用ヘッド、81……電源、90……フォーカス調整レンズ、91……対物レンズ、92……電子ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ情報記録領域と、コントロール情報記録領域とによるセクタが複数配置される複数の磁気記録トラックが同心的に配置され、
上記各磁気記録トラックの上記データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間が分離溝によって分離され、
上記コントロール情報記録領域のコントロール情報が上記データエリア面に対して上記分離溝と異なる深さを有する凹状ピットとして記録され、
該凹状ピット内と、該凹状ピットおよび上記分離溝の形成部外のランド部とが、初期化状態で、互いに逆向きに選定されて成ることを特徴とする磁気ディスク。
【請求項2】
上記コントロール情報記録領域は、位相信号検出用のクロック信号が書き込まれるクロックエリアと、サーボ信号が書き込まれるサーボエリアと、アドレス情報ないしはID情報が書き込まれるアドレスエリアとを有し、上記クロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報が、上記凹状ピットとして記録されることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
【請求項3】
上記分離溝の深さは、上記凹状ピットの深さより大に選定されて成ることを特徴とする請求項1に記載の磁気ディスク。
【請求項4】
データ情報記録領域と、コントロール情報記録領域とによるセクタが複数配置される複数の磁気記録トラックが同心的に配置される磁気ディスクの製造方法であって、
上記各磁気記録トラックの上記データ情報記録領域におけるデータ書き込みがなされるデータエリア間に分離溝を形成する分離溝形成工程と、
上記コントロール情報記録領域のコントロール情報を上記分離溝に比して浅い深さの凹状ピットとして形成する凹状ピット形成工程と、
上記分離溝および上記凹状ピットの形成部外のランド部と、上記凹状ピット内とに互いに逆向きの磁化を、逆向きの直流磁界印加によって行う磁化工程とを有することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
【請求項5】
上記コントロール情報記録領域は、位相信号検出用のクロック信号が書き込まれるクロックエリアと、サーボ信号が書き込まれるサーボエリアと、アドレス情報ないしはID情報が書き込まれるアドレスエリアとを有し、上記クロック信号、サーボ信号、アドレス情報ないしはID情報が、上記凹状ピットとして記録されることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項6】
上記分離溝形成工程は、上記分離溝のパターンに対応する開口を有するレジスト層をフォトリソグラフィによって形成する工程と、該レジスト層の開口を通じて上記基板面もしくは基板面上に形成された材料面上に、上記所要の深さの分離溝を形成するエッチング工程とを有し、
上記凹状ピットの形成工程は、上記コントロール情報の記録パターンに対応する開口を有するレジスト層をフォトリソグラフィによって形成する工程と、該レジスト層の開口を通じて上記基板面もしくは基板面上に形成された材料面上に、上記分離溝より浅い凹状ピットを形成するエッチング工程とを有し、
上記分離溝形成工程と上記凹状ピット形成工程における上記フォトリソグラフィにおける露光は、電子ビームまたはレーザービームによるパターン露光によるフォトリソグラフィによって形成した露光マスク盤を用いた縮小投影露光によることを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項7】
上記分離溝および凹状ピットが形成された上記基板面もしくは基板面上に形成された材料面に、磁性層を成膜することを特徴とする請求項4に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項8】
上記磁性層に対して、上記分離溝および上記凹状ピットが形成されていないランド部と、上記凹状ピット内とを含んで上記磁気トラック方向に沿って同一方向に少なくとも上記全てのセクタを1方向に先ず直流磁場により磁化させる第1の磁化処理工程と、
上記磁化方向とは反対方向の直流磁場により、上記凹状ピット内の磁化を反転させることがない磁界強度をもって上記ランド部の磁化を反転させる第2の磁化処理工程とを行うことを特徴とするを請求項4に記載の磁気ディスクの製造方法。
【請求項9】
上記第1および第2の磁化処理工程における磁界の選定は、それぞれの磁化を行う磁界発生手段の磁界発生強度あるいは該磁界発生手段と、上記基板との距離の選定によって選定することを特徴とする請求項8に記載の磁気ディスクの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2006−318572(P2006−318572A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140129(P2005−140129)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】