磁気ヘッド、および情報記憶装置
【課題】
磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供する。
【解決手段】
先端から磁力線を発する磁極と、磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、光学極から離れた位置から光学極の先端の側方に光を照射する光照射部と、光照射部から光学極の先端に至る間を埋めた、磁極の屈折率および光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部とを備えた。
磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供する。
【解決手段】
先端から磁力線を発する磁極と、磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、光学極から離れた位置から光学極の先端の側方に光を照射する光照射部と、光照射部から光学極の先端に至る間を埋めた、磁極の屈折率および光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体に光および磁場を印加する磁気ヘッド、および情報記録媒体に対して光および磁場を用いて情報アクセスを行う情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の進展に伴い、情報量は増大の一途を辿っている。この情報量の増大に対応して、飛躍的に高い記録密度の情報記録方式や情報記憶装置の開発が待望されている。特に、磁場で情報アクセスが行われる磁気ディスクは、情報の書き換えが可能な高密度記録媒体として注目されており、さらなる高記録密度化などのために盛んに研究開発が行われている。
【0003】
磁気ディスクに高記録密度で情報を記録する方法の1つとして、磁界を発生する磁極と光を照射する光照射手段とを備えた磁気ヘッドを適用し、磁気ディスクに光を照射することによって記録膜の温度をキュリー点に近づけ、その状態で、磁界を記録膜に印加することによって記録膜の磁化方向を情報に応じた方向に向けて情報を記録する熱アシスト記録方式が知られている。
【0004】
この熱アシスト記録方式においては、光の照射領域が磁界の印加領域よりも広いと、磁気ディスク上の、磁界が印加されて情報が書き込まれる書込領域に隣接するトラックまで加熱されてしまい、既に記録されている情報が破壊されてしまう恐れがある。一方、磁気ディスク自体も、1ビットの情報を記録するための記録面積(ビットサイズ)が縮小されることによって、記録容量の向上が図られており、微小な書込領域に精度よく光を照射して、書込領域のみを確実に加熱することが求められている。近年では、光源から発せられた光を直接に書込領域に照射するのではなく、入射光の波長よりも小さい微小開口から発生する近接場光を利用し、波長より小さいサイズの照射スポットを形成して書込領域を加熱することが行われている。
【0005】
上述した近接場光を利用する技術に関して、磁界を発生する磁極に隣接して微小開口を設け、その微小開口に光導波路によって光を伝搬して近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、三角形を有する2つの磁極を微小な隙間を空けてボウタイ状に配置し、光ファイバーなどによってその隙間に光を照射して近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献3参照)や、磁極と磁気ディスクとを微小な隙間を空けて配置しておき、その隙間に光を照射することによって近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。これら特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載された技術によると、近接場光によって微小な領域を照射することができ、上述したような情報の破壊などを回避することができる。
【特許文献1】特開2003−6803号公報
【特許文献2】特開2002−298302号公報
【特許文献3】特開2003−195002号公報
【特許文献4】特開2003−67901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、光を伝搬する光導波路としては、光が伝搬されるコアと、コアを取り囲んで光を閉じ込めるクラッドとで構成されたものが一般的であるが、光を効率よく伝搬するためには、コアおよびクラッドを波長以上の厚みに形成する必要がある。このため、光導波路を磁極に隣接して配置しても、光の照射領域の中心が磁界の印加領域である書込領域の中心から1.5波長以上は離れてしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に記載された技術では、磁界の印加領域に精度よく光を照射することができるが、磁極がボウタイ状を有しているため、近接場光の発生効率が劣る。さらに、磁極と磁気ディスクとの間に近接場光を発生させるためには、磁極の厚さを数nmにまで薄く形成する必要があり、磁極によって発生される磁界強度が低下してしまうという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献1から特許文献3に記載された技術では、光を照射させずに磁場のみで情報アクセスを行う従来の磁気情報記憶装置と比較して、磁極の形状が変更されたり、狭いスペースに光導波路が設けられるため、熱アシスト記録方式が採用された磁気情報記憶装置を製造するために、作製工程を大幅に変更しなければならない。
【0009】
一方、特許文献4に記載された技術では、従来の磁気情報記憶装置に備えられている磁気ヘッドを磁気ディスクに近接させ、それら磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の隙間に光を照射する照射手段を磁気ヘッドの外側などに用意すればよく、従来の磁気情報記憶装置を作製する工程を流用することができる。ここで、磁気情報記憶装置では、磁気ディスクをトラックに沿って走査することが一般的であり、磁気ヘッドがトラックに対して移動していく向きをトラック走査方向と称する。磁力線を発する主磁極と、磁束を主磁極にフィードバックするための補助磁極とを備えた磁気ヘッドでは、それらの磁極がトラック走査方向に沿って前方から補助磁極、主磁極の順に配置され、主磁極の下の、トラック走査方向における前側の領域に記録磁界が形成される。しかし、特許文献4に記載された技術においては、補助磁極が邪魔してしまうため、トラック走査方向の前方からは光を照射することができず、トラック走査方向の後方などから光を照射すると考えられる。このような構成で、記録磁界が形成される領域に近接場光を発生させるためには、主磁極の、トラック走査方向の厚みを十分に薄くしなければならず、磁界強度が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の磁気ヘッドは、先端から磁力線を発する磁極と、
磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の磁気ヘッドによると、相互に異なる屈折率を有する磁極と光学極とが接触しており、それらの屈折率差によって、光照射部から光学極に照射された光が効率よく近接場光に変換され、近接場光が光学極から出射される。したがって、光導波路で光を磁極や光学極の近くにまで導く必要がなく、その分、光学極のサイズを縮小することができ、磁界の印加位置と光の照射位置とを十分に近づけることができる。また、微小な光学極は、もともと空いている隙間に配置することができるため、従来の磁気情報記憶装置用の磁気ヘッドを作製する工程に、薄膜処理などで光学極を形成する過程を追加するだけで、大きな変更を要さずに、熱アシスト記録方式が採用された磁気情報記憶装置用の磁気ヘッドを作製することができる。
【0013】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部から上記光学極の先端に至る間の、少なくとも光学極側を埋めた、磁極の屈折率および光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことが好ましい。
【0014】
充填部を備えることによって、近接場光を確実に発生させることができる。
【0015】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極の先端と上記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることが好ましい。
【0016】
光学極の先端と磁極の先端とが記録媒体上のトラックに沿って並べられることによって、磁極によって磁界が印加されるトラックのみが光によって確実に加熱される。
【0017】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、記録媒体上のトラックに沿った方向について、先端の幅が、上記光照射部によって照射される光の波長よりも小さいものであることは好適である。
【0018】
本発明の好適な形態の磁気ヘッドによると、光の照射位置を磁場の印加位置に確実に近づけることができる。
【0019】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、記録媒体上のトラックに交わる方向について、先端の幅が、上記磁極の先端の幅以下となっているものであることは好ましい。
【0020】
光学極の先端の、トラックに交わる方向における幅が磁極の先端の幅以下であることによって、記録媒体上の、磁界が印加される位置に隣接するトラックまで加熱されてしまう不具合が回避される。
【0021】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることが好ましい。
【0022】
高屈折率材料と低屈折率材料とをトラックに沿う方向に積層させることによって、効率よく近接場光を発生させることができる。
【0023】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなる、高屈折率材料が光学極内で磁極側に偏って存在したものであることが好ましい。
【0024】
高屈折率材料が磁極側に偏って存在することによって、近接場光の照射ピークを、磁極によって磁界が印加される位置にさらに近づけることができる。
【0025】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料に、記録媒体上のトラックに沿う方向に挟まれてなるものであることが好適である。
【0026】
高屈折率材料が低屈折率材料に挟まれることによって、簡易な構成で近接場光が効率よく発生される。
【0027】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を先端に沿って延び、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることも好ましい。
【0028】
低屈折率材料が高屈折率材料を取り巻くことによっても、効率よく近接場光が発生される。
【0029】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、「上記光学極の、光照射部によって光が照射される側方部分を覆った、光の波長よりも薄い、磁極の屈折率および充填部の屈折率の双方どちらよりも低い屈折率を有する被覆部を備え、
上記充填部が、光照射部から被覆部に至る間を埋めたものである」という形態が好ましい。
【0030】
被覆部によって光学極が覆われることによって、光学極が保護されるとともに、屈折率差によるカップリング効率が向上し、さらに効率よく近接場光が発生される。
【0031】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、光照射部によって光が照射される部分が平面形状となったものであることが好ましい。
【0032】
本発明の磁気ヘッドでは、光導波路などによって光学極に光が伝搬されるのではなく、光照射部から出射された光が光学極に照射される。したがって、光学極で発生する近接場光の照射スポット以外の領域に近接場光の迷光が発生する恐れがあるが、光学極の、光照射部によって光が照射される部分が平面形状に形成されることによって、近接場光の迷光が軽減される。
【0033】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記磁極は、磁極の先端が、光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなったものであることが好ましい。
【0034】
磁極の先端が小さいほど微小な領域に磁界を印加することができ、記録媒体に高記録密度に情報を記録することができるが、磁極全体の大きさを小型化してしまうと、磁気強度が劣化してしまう。磁極の先端が、光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなり、それ以外の部分では太くなっていることによって、高記録密度化と磁気強度の向上を両立することができる。
【0035】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に偏光した光を照射するものであることが好ましい。
【0036】
光がトラックに沿った方向に偏光されていると、光学極で発生される近接場光の発生効率が劣化するとともに、近接場光の迷光が増大してしまう。このため、光学極に、トラックに交わる方向に偏光した光が照射されることが好ましい。
【0037】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に光を照射するものであることが好ましい。
【0038】
上述したように、光学極は、その先端が磁極の先端とトラックに沿った方向に並べて配置されることが好適であり、この好適な配置においては、光はトラックに交わる方向から照射されることが効率的である。
【0039】
また、本発明の磁気ヘッドは、光を取り込んで光照射部へと導く光導入部を備えたことが好ましい。
【0040】
光導入部によって、光が効率よく光照射部へと導入される。
【0041】
また、本発明の磁気ヘッドは、光の照射を受けて光を取り込むグレーティングと、グレーティングで取り込まれた光を光照射部へと導く導波路とを有する光導入部を備えたことが好ましい。
【0042】
例えば、磁気ヘッドに対して光が正面から照射されるのではなく、光が斜めから照射される配置条件でも、グレーティングによって光を効率よく光照射部に導くことができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0043】
また、本発明の磁気ヘッドは、「光を反射するミラーを備え、
上記光照射部が、ミラーによって反射された光を直接又は間接に光学極の先端に照射するものである」という形態も好ましい。
【0044】
ミラーが設けられることによって、光照射部が磁気ヘッドの内部に取り付けられていても、光学極に光を照射することができる。
【0045】
また、本発明の磁気ヘッドは、「Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
上記光照射部が、Siミラーによって反射された光を直接又は間接に光学極の先端に照射するものである」という形態も好適である。
【0046】
本発明の好適な形態の磁気ヘッドによると、製造工程を簡略化することができる。
【0047】
また、上記目的を達成する本発明の情報記憶装置は、情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
磁気ヘッドを保持して、磁気ヘッドを情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする。
【0048】
本発明の情報記憶装置によると、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができ、高記録密度で情報記録媒体に情報を書き込むことができる。
【0049】
尚、本発明にいう情報記憶装置については、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、本発明にいう情報記憶装置には、上記の基本形態のみではなく、前述した磁気ヘッドの各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0050】
また、上記目的を達成する本発明の磁気ヘッドは、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
コイルの端子部と、
主磁極と補助磁極との間に設けられ、主磁極の屈折率および補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
磁界発生部、端子部、光学極、前記光照射部、および光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする。
【0051】
また、上記目的を達成する本発明の情報記憶装置は、情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
コイルの端子部と、
主磁極と補助磁極との間に設けられ、主磁極の屈折率および補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで光照射部へと導く光導入部とを備え、
磁界発生部、端子部、光学極、光照射部、および光導入部が所定の基材の同一面側に配置された磁気ヘッド、
情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
磁気ヘッドを保持して、磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする。
【0052】
本発明の磁気ヘッド、および情報記憶装置によると、磁界強度を低下を抑え、高精度な情報アクセスを実現することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0056】
図1に示す光アシスト磁気記録再生装置1は、本発明の情報記憶装置の第1実施形態に相当するものであり、本発明の磁気ヘッドの第1実施形態が組み込まれている。この図1には、光アシスト磁気記録再生装置1のハウジング内が露出した状態が示されており、この光アシスト磁気記録再生装置1には、矢印R方向に回転する磁気ディスク2と、磁気ディスク2に対して情報記録と情報再生を行う、後述する磁気ヘッドが搭載されたスライダ5と、スライダ5に向けて光を発する光源6と、スライダ5を保持して、アーム軸3aを中心に磁気ディスク2表面に沿って移動するキャリッジアーム3と、キャリッジアーム3を駆動するアームアクチュエータ4が備えられている。ハウジングの内部空間は、図示しないカバーによって閉鎖される。
【0057】
図2は、スライダ5の先端を示す図であり、図3は、スライダ5に搭載された磁気ヘッド15の概略構成図である。
【0058】
スライダ5の先端には、磁気ディスク2に磁界と光を印加する磁気ヘッド15、光源6から発せられた光を取り込むカップリング用グレーティング11、カップリング用グレーティング11で取り込まれた光を磁気ヘッド15付近に設けられた光照射口12aまで導く光導波路12、磁気ディスク2に記録された情報が読み取られて生成された再生信号が出力される再生パット13、磁気ヘッド15に備えられたコイルに電流を流すためのコイル線引き出し用パット14が備えられている。光源6から発せられた光は、カップリング用グレーティング11によって偏光されて光導波路12内に取り込まれ、さらに、光導波路12によって、光が光照射口12aまで確実に導かれる。光照射口12aは、本発明にいう光照射部の一例に相当し、カップリング用グレーティング11は、本発明にいうグレーティング部の一例にあたり、光導波路12は、本発明にいう光導波路の一例にあたり、カップリング用グレーティング11と光導波路12とを合わせたものは、本発明にいう光導入部の一例に相当する。
【0059】
また、磁気ディスク2が図1に示す矢印R方向に回転することによって、磁気ヘッド15は、磁気ディスク2をトラックに沿って矢印R方向とは逆方向に走査する(以下では、磁気ディスク2を走査する方向をトラック走査方向と称する)。図3は、磁気ヘッド15を矢印R方向における前方、すなわち、トラック走査方向における後方から見た図であり、磁気ヘッド15には、トラック走査方向における後方から順に、磁力線を発する主磁極21、コイル引き出し線22が延びたコイル23、および主磁極21が発した磁束を拾ってコイル23と主磁極21にフィードバックする補助磁極24の順に配置されており、補助磁極24のさらに前方には、GMR膜(巨大磁気抵抗効果膜)によって磁界を検知して、磁気ディスク2に記録された情報を読み取る再生ヘッドが配置されている。本発明においては、磁気ディスク2からの情報の読み取りよりも、磁気ディスク2への情報の書き込みに特徴があるため、本明細書においては、再生ヘッドの図示を省略する。
【0060】
磁気ディスク2への情報アクセスにあたっては、図1に示すアームアクチュエータ4によってキャリッジアーム3が駆動され、サンプルサーボ方式によって、スライダ5に搭載された磁気ヘッド15が、回転する磁気ディスク2上の所望のトラックに高精度に位置決めされる。磁気ヘッド15は、磁気ディスク2の回転に伴って、磁気ディスク2の各トラックに並ぶ各微小領域に順次近接する。
【0061】
磁気ディスク2に情報が記録されるときには、光源6から発せられた光が光導波路12によって光照射口12aに導かれ、主磁極21の先端に並べて配置された光学部材(後述する)に照射され、光が光学部材を通過する際に発生される近接場光が磁気ディスク2上の微小領域に照射される。近接場光が照射されると、磁気ディスク2上の微小領域が熱せられ、直後に主磁極21によって記録磁場が印加される。その結果、磁気ディスク2の記録膜の磁化方向が情報に応じた方向に向けられて、磁気ディスク2に情報が記録される。
【0062】
また、磁気ディスク2からの情報の再生時には、GMR膜(図示しない)によって、各微小領域の磁化方向が検知され、それらの磁化それぞれが発生する磁界に応じた電気的な再生信号が生成される。
【0063】
基本的には、以上のようにして磁気ディスク2に対して情報アクセスが行われる。
【0064】
次に、磁気ヘッド15について詳しく説明する。
【0065】
図4は、磁気ヘッド15の概略を示す斜視図であり、図5は、磁気ヘッド15をトラック走査方向に平行、かつ主磁極21を通る面で切断したときの断面図である。以下では、トラック走査方向をZ軸、トラック間方向をX軸、磁気ヘッド15と磁気ディスク2との間隔方向をY軸として図示する。
【0066】
図4に示すように、磁気ヘッド15には、トラック走査方向の前方から順に、補助磁極24、コイル23、光学部材25、および主磁極21が並べて配置されており、それらが配置された空間は、充填部26によって充填されている。主磁極21は、本発明にいう磁極の一例にあたり、光学部材25は、本発明にいう光学極の一例に相当する。また、充填部26は、本発明にいう充填部の一例に相当する。
【0067】
主磁極21および補助磁極24は、Fe−Co系合金や、Fe−Ni系合金などといった磁性材料で構成されている。図5に示すように、補助磁極24は、磁気ディスク2に平行な平行部分24aと、磁気ディスク2に対して垂直、かつトラック走査方向に直交する垂直部分24bとで形成されている。また、主磁極21は、先端21aが磁気ディスク2と対向するとともに、後端21bが補助磁極24の垂直部分24bに接続されており、螺旋状に巻回された導体231(例えば、銅など)が絶縁材料232(例えば、アルミナなど)で充填されたコイル23が取り付けられている。その結果、主磁極21がコイル23の芯となり、主磁極21の先端21aから、磁気ディスク2上の、補助磁極24に近い側の領域Pに強い磁界分布を形成する磁力線が発せられる。
【0068】
主磁極21の先端21aと、補助磁極24の平行部分24aとの間には、光照射部12aから照射される光のビーム径よりも小さい隙間が設けられており、その隙間に光学部材25が挟み込まれている。光学部材25は、主磁極21より高屈折率で、高融点、非磁性の材料(例えば、Si:層厚660nmにおいて、n=3.80,k=0.01,融点1420℃)で構成された第1部材251が、第1部材251および主磁極21よりも低屈折率で、高融点、非磁性の材料(例えば、SiO2:層厚660nmにおいて、n=1.48,k=0.0,融点1730℃)で構成された2枚の第2部材252に挟まれた3層構造を有している。本明細書では、材料の複素屈折率をn−j・kと表現することとし、nは屈折率の実部、kは虚数部、jは虚数単位を表わすものとする。
【0069】
充填部26は、磁気ヘッド15内の空間を充填するとともに、主磁極21、補助磁極24、および光学部材25などの保護も兼ねている。充填部26を構成する材料としては、第1部材251より低屈折率、かつ第2部材252より高屈折率であり、高融点、非磁性の材料(例えば、TiO2:n=2.56,k=0.06,融点温度1840℃)が適用される。尚、光導波路12によって伝搬されて、光照射口12aから出射される光Lを屈折させずに確実に光学部材25に照射させるためには、光充填部26は、導波路12内で光が通過するコア(後述する)の屈折率と同等の屈折率を有する材料で構成されることが好ましい。
【0070】
光学部材25に光が照射されると、主磁極21、光学部材25、および充填部26それぞれの屈折率差によって、第1部材251と第2部材252との境界でプラズモンが発生し、光学部材25から磁気ディスク2に近接場光が照射される。上述したように、主磁極21の先端21aからは、磁気ディスク2上の、補助磁極24に近い側の領域Pに強い磁界強度分布を形成する磁力線が発せられるが、光学部材25は、主磁極21と補助磁極24との間に配置されているため、高強度な磁界が印加される領域Pに高精度に近接場光を照射することができる。
【0071】
ここで、本実施形態においては、主磁極21および光学部材25が一体的に加工されることによって、磁界の印加位置と近接場光の照射位置とが精度よく合わせられる。以下では、主磁極21および光学部材25の作製方法、およびそれらの形状の特徴について説明する。
【0072】
本実施形態の磁気ヘッド15を作製するにあたっては、まず、従来の磁気ヘッド作製における主磁極21の形成に先駆けて、例えば、リソグラフィ技術等が用いられて光学部材25が成膜される。
【0073】
続いて、光学部材25の上に主磁極21が成膜され、FIB(Focus Ion Beam)装置等で、主磁極21および光学部材25の、磁気ディスク2に対向する先端部分が同時に切削加工される。この切削加工により、主磁極21のトラック間方向の幅が決定される。
【0074】
図6は、磁極と光学部材の切削加工例を示す図である。
【0075】
本実施形態においては、主磁極21および光学部材25の先端部分の、光導波路12によって伝搬されてきた光Lが照射される側の面が、トラック走査方向に平行な平面形状に形成されているとともに、その平面部分の、磁気ヘッド15の底面(磁気ディスク2と対向する面)からの高さが光Lのビーム径の1/√2以上に形成されている。このような平面部分に光Lが照射されることによって、光学部材25によって近接場光が効率よく発生されるとともに、近接場光の迷光が軽減される。
【0076】
また、主磁極21および光学部材25の、光Lが照射されない側の面では、先端が細く、先端を除く部分は太く形成されている。主磁極21の先端部分を細く形成し、それ以外の部分を太く形成することによって、磁気ディスク2上の微小領域に高精度に磁界を印加することができるとともに、磁界強度の低減を抑えることができる。
【0077】
図6に示すような切削加工により、光学部材25から磁気ディスク2に近接場光が照射されるスポットサイズは、主磁極21のトラック間方向の幅と同等か、それ以下のサイズに形成することができ、主磁極21によって磁界が印加される領域に高精度に近接場光を照射することができる。また、本実施形態の作製方法によると、主磁極21を形成する前に光学部材25を形成するだけで、大きな変更を要さずに従来の磁気ディスクの作製方法を流用することができるとともに、主磁極21と光学部材25とが一緒に切削加工されるため、磁界の印加位置と光の照射位置との位置を合わせる工程が不要となる。
【0078】
続いて、光学部材25に照射される光L、および光Lを伝搬する光導波路12について説明する。
【0079】
図4に示すように、主磁極21および光学部材25の、光Lが照射される側の面はトラック走査方向と平行な平面形状に形成されており、光Lがその平面部分に大きな入射角で入射するほど近接場光への変換効率が向上し、平面部分に対して垂直に入射する場合が最も変換効率に優れている。しかし、光Lを光学部材25に垂直入射させようとすると、その光軸が磁気ヘッド15の底面に設定されることになり、実際にはそのような光Lを発生させることは困難である。したがって、本実施形態においては、トラック間方向(X軸方向)に主たる偏光方向をもつ光Lを、光学部材25に45度程度の入射角で入射させる。
【0080】
図6に示すように、光照射口12aに光を伝搬させるために設けられた光導波路12は、図1に示す光源6から発せられた光Lが伝搬されるコア122と、コア122を取り囲んで光を閉じ込めるクラッド121とで構成されており、コイル23が配置された位置を避けて、さらに、図3に示すように、コイル引き出し線22が引き出される側とは逆の側に配置される。コイル23は、ミクロン単位の厚さを有しているため、そのコイル23によって生じるスペースを利用することによって、コア122とクラッド121の厚さを十分に確保することができる。コア122とクラッド121が十分に厚い光導波路12を適用することによって、光の吸収等によるロスが軽減され、光源6から発せられる光の光量自体を低減することができるため、磁気ヘッド15の加熱を抑えることができる。光導波路12のコア122としては、例えば、Ta2O5のような光学的に透明で高屈折率な材料が用いられる。また、クラッド122としては、例えば、SiO2などのように、コア122よりも低屈折率な材料が用いられる。
【0081】
図7は、本実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0082】
図7では、磁気ヘッド15と磁気ディスク2との間の距離を10nmとしたときに、磁気ヘッド15から3nmの地点における、磁気ディスク2側から見た電磁場強度分布が示されている。
【0083】
このシミュレーションモデルでは、主磁極21および補助磁極24を構成する磁性材料としてFe(n=2.36,k=3.27,融点温度1730℃)、第1部材251を構成する材料としてSi(n=3.84,k=0.016,融点温度1420℃)、第2部材252を構成する材料としてSiO2(n=1.48,k=0.0,融点温度1730℃)、充填部26を構成する材料としてTiO2(n=2.56,k=0.06,融点温度1840℃)が適用されている。またシミュレーションモデルの形状は、主磁極21および光学部材25のトラック間方向の幅が320nm、第1部材251のトラック走査方向の厚さが40nm、第2部材252のトラック走査方向の厚さが240nmとしている。また、光Lは、波長がλ=660nmであり、入射角45度で第1部材251の先端に入射している。
【0084】
図7に示すように、光Lの波長より狭い第1部材251の部分に電磁場強度のピークが生じていることがわかる。ピーク強度は、119[(V/m)2]であった。
【0085】
図8は、図7と同じ面での近接場光のスポットプロファイル(強度分布)を示すグラフである。
【0086】
図8パート(A)の横軸は、磁気ヘッド15のトラック間方向(X軸方向)における位置を表わしており、図8パート(B)の横軸は、トラック走査方向(Z軸方向)における位置を表わしている。これらの図の縦軸は、光強度を表わしている。
【0087】
このシミュレーションモデルでの近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向(Z軸方向)が60nm、トラック間方向(X軸方向)が240nmであった。尚、シミュレーションモデルの光源6の電場振幅は、1[(V/m)2]で計算している。
【0088】
このように、本実施形態によると、図8に示すような小さな光スポットによって磁気ディスク2を照射することができるとともに、図7に示すような高強度な近接場光を磁気ディスク2に照射することができる。したがって、1つのビットサイズに集中して光が照射され、さらに、光の照射位置が磁場の印加位置に十分に近づけられるため、高記録密度による情報の記録再生を実現することができる。
【0089】
また、本実施形態によると、従来の磁気ヘッドに薄い光学部材25が追加されただけで、それ以外の要素の形状や構成がほとんど変更されないため、製造プロセスの変更が小さく、GMR膜などで構成される再生部分の性能も劣化させずに維持することができる。
【0090】
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、補助磁極、および光学部材の形状が異なるだけで、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0091】
図9は、本発明の第2実施形態である磁気ヘッド15Bの概略を示す斜視図であり、図10は、磁気ヘッド15Bをトラック走査方向に平行、かつ主磁極21を通る面で切断したときの断面図である。
【0092】
図9に示すように、本実施形態の磁気ヘッド15Bは、図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15とほぼ同様の構成を有しているが、本実施形態の磁気ヘッド15Bは、補助磁極24Bが、トラック走査方向に直交する垂直部分のみで構成されている。また、図10に示すように、本実施形態の磁気ヘッド15Bでは、光学部材25Bにおいて、第1部材251が主磁極21寄りに配置されている。
【0093】
図11は、磁気ヘッド15Bを、トラック走査方向における後方から見たときの概略構成図である。
【0094】
本実施形態の磁気ヘッド15Bにおいては、補助磁極24Bに平行部分24a(図5参照)が設けられていないため、光導波路12Bを光学部材25Bが配置されている主磁極21の先端付近まで延ばすことができる。その結果、光Lが光学部材25Bに効率よく照射される。
【0095】
図12は、本発明の第2実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0096】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシュミレーションモデルとほぼ同様の材料で構成されているが、第1部材251のトラック走査方向の厚さを40nm、第2部材252のトラック走査方向の厚さを、主磁極21に近い側が240nm、遠い側が1120nmとしている。
【0097】
図12に示すように、ピーク強度は97[(V/m)2]であり、十分に高強度な近接場光が照射されていることがわかる。また、図12と同じ面における近接場光のスポットサイズは、トラック走査方向(Z軸方向)が55nm、トラック間方向(X軸方向)が320nmであった。このように、第1部材251と第2部材252とが不均等に配置されている場合であっても、第1部材251の部分に近接場光を効率よく照射することができる。
【0098】
以上で、本発明の第2実施形態の説明を終了し、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0099】
図13は、本発明の第3実施形態である磁気ヘッド15Cの、主磁極21および光学部材25の先端付近を示す概略構成図である。
【0100】
本実施形態の磁気ヘッド15Cは、図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15とほぼ同様の構成を有しているが、主磁極21および光学部材25の先端部分が、光の波長よりも薄い膜厚の薄膜27で覆われている点が異なる。この薄膜27は、主磁極21の屈折率、および充填部26の屈折率よりも低屈折率を有し、かつ透明な材料で構成されており、本発明にいう被覆膜の一例に相当する。
【0101】
図14は、本発明の第3実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0102】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、主磁極21および光学部材25を薄膜27で覆ったモデルである。薄膜27として、光学部材25の第2部材252と同じSiO2(n=1.48,k=0.0,融点温度1730℃)を、膜厚40nmで成膜した。図14では、近接場光のピーク強度が152[(V/m)2]であり、近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向が60nm、トラック間方向が300nmであった。
【0103】
主磁極21および光学部材25が薄膜27で覆われることによって、それら主磁極21および光学部材25が保護されるとともに、効率よく近接場光が発生される。本実施形態のシミュレーションモデルでは、第1実施形態のシミュレーションモデルと比較して、第1部材251で発生する近接場光を約26%増加させることができた。
【0104】
尚、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、図13に示すように主磁極21と光学部材25の先端部分を薄膜27で覆うのではなく、主磁極21と光学部材25の、トラック間方向における両面にのみ薄膜27を形成した場合、近接場光のピーク強度が2つ形成される。しかし、主磁極21および光学部材25の、磁気ディスク2に近い先端側のトラック間方向の幅を共に狭くすることで、1つのピーク強度を形成することができる。
【0105】
図15は、主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における両面にのみ薄膜27を形成したときの電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0106】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における幅を160nmに狭め、それら主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における両端にSiO2を、膜厚40nmで成膜した。図15では、近接場光のピーク強度が192[(V/m)2]であり、近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向が60nm、トラック間方向が140nmであった。
【0107】
以上で、本発明の第3実施形態の説明を終了し、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態も、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0108】
図16は、本発明の第4実施形態の磁気ヘッド15Dを磁気ディスク2側から見たときの概略構成図である。
【0109】
図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15の光学部材25は、第1部材251と第2部材252とがトラック走査方向に積層されているが、本実施形態の光学部材25は、第1部材251が第2部材252を取り囲んでいる。また、第1部材252は、トラック走査方向の幅が主磁極21の先端の幅よりも狭く形成されており、磁気ディスク2に照射される近接場光の発生スポットの縮小が図られている。
【0110】
この磁気ヘッド15Dでは、第2部材252が高屈折率な第1部材251を覆っており、図13に示す第3実施形態の磁気ヘッド15Cにおける薄膜27の役割を担っている。このように、低屈折率な薄膜は、主磁極21と光学部材25全体を覆ってもよく、光学部材25のみを覆ってもよい。また、光Lが照射される先端部分にのみ薄膜が形成されることによって、主磁極21と補助磁極24との間に配置された光学部材25に効率よく光をカップリングすることができ、近接場光の発生効率を向上させることができる。
【0111】
以上で、本発明の第4実施形態の説明を終了し、本発明の第5実施形態について説明する。本発明の第5実施形態も、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0112】
図17は、本発明の第5実施形態である磁気ヘッド15Eの、主磁極21および光学部材25の先端付近を示す概略構成図である。
【0113】
図17に示す本実施形態の磁気ヘッド15Eは、上述した第1実施形態から第4実施形態の磁気ヘッド15とは異なり、光学部材25Eが1種類の材料で構成されている。
【0114】
図18は、本実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0115】
このシミュレーションモデルにおいては、光学部材25Eのトラック走査方向(Z軸方向)の厚さを160nm、トラック間方向(X軸方向)の厚さを320nm、垂直方向(Y軸方向)の厚さ120nmとしている。
【0116】
図18では、ピーク強度は44[(V/m)2]であり、近接場光のスポットサイズは、トラック走査方向(Z軸方向)が110nm、トラック間方向(X軸方向)が120nmであった。1層で構成された光学部材25Eでは、図7に示す相互に異なる屈折率を有する2層構造の光学部材25と比較して、強度ピークが形成される範囲がトラック走査方向に広がっているが、実用上、問題ない程度であることが確認された。
【0117】
このように、本発明にいう光学極は、複数層で構成されていることが好ましいが、1層で構成されていてもよい。
【0118】
以上で、本発明の第5実施形態の説明を終了し、本発明の第6実施形態について説明する。本発明の第6実施形態についても、図2に示す第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、相違点に注目して説明する。
【0119】
図19は、本実施形態のスライダ5Fの先端付近を示す図である。
【0120】
本実施形態のスライダ5Fでは、図2に示す第1実施形態のスライダ5とは異なり、磁気ヘッド15がスライダ5Fの先端ではなく内部に配置されている。スライダ5Fは、トラック走査方向における前方から順に、本体部分を構成するAiTiC基盤33、光を反射するSi基板31、透明なモールドガラス34、コア121とクラッド122とで構成される光導波路12が積層されており、光導波路12の先端に磁気ヘッド15が配置されている。また、光導波路12のコア121には、カップリング用グレーティング11が設けられており、Si基板31には、光を反射してカップリング用グレーティング11に導くミラー面32が形成されている。Si基板31は、本発明にいうSi基板の一例にあたり、モールドガラス34は、本発明にいうモールドガラスの一例に相当する。また、ミラー面32は、本発明にいうミラーの一例にあたるとともに、本発明にいうSiミラーの一例に相当する。
【0121】
光源6(図1参照)で発せられた光Lは、モールドガラス34に入射し、ミラー面32で反射されて、カップリング用グレーティング11に導かれる。カップリング用グレーティング11では、光Lがコア121とクラッド122とで構成された光導波路にカップリングされ、光Lは光導波路を伝搬して、磁気ヘッド15の光学部材25に照射される。この図19に示す構成は、スライダ5Fの小型化などにより、カップリング用グレーティング11をスライダ5Fの先端に配せない場合に有効である。
【0122】
図19に示すスライダ5Fを作製するにあたっては、まず、スライダ5Fの本体部分となるAlTiC基盤33上にSi基板31を貼り付ける。このSi基板31の厚さは、スライダ5Fの外部に設けられた光源6で発せられた光Lを効率よく入射させるために、ミリ単位、もしくはサブミリ単位で形成する。
【0123】
続いて、ウェットエッチングによる異方性エッチングによって、Si基板31上にミラー面32などを形成する。Siの結晶方位は、ウェットエッチングによって形成された面で反射された光がスライダ5F内部に導かれるように、結晶方位をあらかじめ選択しておく。
【0124】
続いて、ウェットエッチングによって形成されたSi基板31上に、透明なモールドガラス(低融点ガラス)34を押し当て接着し、不要部分を研磨などにより平滑化する。モールドガラスを用いるのは、磁気ヘッド15に入射する光Lのビーム径が、ミリ単位、もしくはサブミリ単位であるので、物理的成膜法や化学的成膜法では、事実上作製が不可能なためである。
【0125】
モールドガラス34が形成されたら、モールドガラス34を通過しミラー面32で反射された光Lが導かれる位置に、カップリング用グレーティング11を作製する。さらに、カップリング用グレーティング11上に、モールドガラス34より屈折率が高い材料で光導波路12のコア121を成膜し、その上にクラッド122を成膜する。光導波路12は、数ミクロンサイズの厚さなので、一般的な成膜法で作製できる。そしてクラッド122を平滑化し、リソグラフィ技術を駆使して磁気ヘッド15を作製する。
【0126】
このように、本実施形態によると、スライダ5Fを、簡易な工程で容易に作製することができる。
【0127】
ここで、本発明にいう記録媒体としては、光もしくは熱と磁気によって情報を記録する記録媒体を使用することを想定しており、面内磁気記録膜、あるいは垂直磁気記録膜を有する記録媒体の両方を適用することができる。
【0128】
また、上記では、磁気ディスクに記録された情報を読み取るためにGMR膜を備える例について説明したが、情報の読み取り方法については、磁気抵抗効果素子を使用する方法に限られるものではなく、情報を光学的に検知するものであってもよい。
【0129】
また、上記では、巻き線コイルと異なるレイヤーに光学部材を作製する例について説明したが、光学部材を巻き線コイルと同じレイヤー上に作製してもよい。
【0130】
また、上記では、光導波路で光を光学極の先端に近くにまで伝搬しているが、レンズ系によって直接に光学局の先端部に照射してもよい。
【0131】
また、Si基板とモールドガラスとで構成されたスライダにおいては、カップリング用グレーティングと光導波路とで光学極に光を照射しているが、これらを介さずにSiミラー面の反射光を光学極の側面に直接照射してもよい。
【0132】
以下、本発明の各種形態について付記する。
【0133】
(付記1)
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
【0134】
(付記2)
前記光照射部から前記光学極の先端に至る間の、少なくとも該光学極側を埋めた、前記磁極の屈折率および前記光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0135】
(付記3)
前記光学極の先端と前記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0136】
(付記4)
前記光学極は、記録媒体上のトラックに沿った方向について、先端の幅が、前記光照射部によって照射される光の波長よりも小さいものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0137】
(付記5)
前記光学極は、記録媒体上のトラックに交わる方向について、先端の幅が、前記磁極の前記先端の幅以下となっているものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0138】
(付記6)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
(付記7)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなる、該高屈折率材料が該光学極内で前記磁極側に偏って存在したものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0139】
(付記8)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料に、記録媒体上のトラックに沿う方向に挟まれてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0140】
(付記9)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を該先端に沿って延び、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、該高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0141】
(付記10)
前記光学極の、前記光照射部によって光が照射される側方部分を覆った、該光の波長よりも薄い、前記磁極の屈折率および前記充填部の屈折率の双方どちらよりも低い屈折率を有する被覆部を備え、
前記充填部が、前記光照射部から該被覆部に至る間を埋めたものであることを特徴とする付記2記載の磁気ヘッド。
【0142】
(付記11)
前記光学極は、前記光照射部によって光が照射される部分が平面形状となったものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0143】
(付記12)
前記磁極は、該磁極の先端が、前記光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなったものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0144】
(付記13)
前記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に偏光した光を照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0145】
(付記14)
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0146】
(付記15)
光の照射を受けて該光を取り込むグレーティングと、前記グレーティングで取り込まれた光を前記光照射部へと導く導波路とを有する光導入部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0147】
(付記16)
光を反射するミラーを備え、
前記光照射部が、前記ミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0148】
(付記17)
Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
前記Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
前記光照射部が、前記Siミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0149】
(付記18)
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【0150】
(付記19)
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする磁気ヘッド。
【0151】
(付記20)
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備え、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置された磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】スライダの先端を示す図である。
【図3】スライダに搭載された磁気ヘッドの概略構成図である。
【図4】磁気ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図5】磁気ヘッドをトラック走査方向に平行、かつ主磁極を通る面で切断したときの断面図である。
【図6】磁極と光学部材の切削加工例を示す図である。
【図7】第1実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】図7と同じ面での近接場光のスポットプロファイル(強度分布)を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態である磁気ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図10】磁気ヘッドをトラック走査方向に平行、かつ主磁極を通る面で切断したときの断面図である。
【図11】磁気ヘッドを、トラック走査方向における後方から見たときの概略構成図である。
【図12】本発明の第2実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態である磁気ヘッドの、主磁極および光学部材の先端付近を示す概略構成図である。
【図14】本発明の第3実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】主磁極および光学部材の、トラック間方向における両面にのみ薄膜を形成したときの電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】本発明の第4実施形態の磁気ヘッドを磁気ディスク側から見たときの概略構成図である。
【図17】本発明の第5実施形態である磁気ヘッドの、主磁極および光学部材の先端付近を示す概略構成図である。
【図18】本発明の第5実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】本発明の第6実施形態のスライダの先端付近を示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 光アシスト磁気記録再生装置
2 磁気ディスク
3 キャリッジアーム
4 アームアクチュエータ
5 スライダ
6 光源
15 磁気ヘッド
11 カップリング用グレーティング
12 光導波路
12a 光照射口
13 再生パット
14 コイル線引き出し用パット
21 主磁極
22 コイル引き出し線
23 コイル
24 補助磁極
25 光学部材
26 充填部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶媒体に光および磁場を印加する磁気ヘッド、および情報記録媒体に対して光および磁場を用いて情報アクセスを行う情報記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化社会の進展に伴い、情報量は増大の一途を辿っている。この情報量の増大に対応して、飛躍的に高い記録密度の情報記録方式や情報記憶装置の開発が待望されている。特に、磁場で情報アクセスが行われる磁気ディスクは、情報の書き換えが可能な高密度記録媒体として注目されており、さらなる高記録密度化などのために盛んに研究開発が行われている。
【0003】
磁気ディスクに高記録密度で情報を記録する方法の1つとして、磁界を発生する磁極と光を照射する光照射手段とを備えた磁気ヘッドを適用し、磁気ディスクに光を照射することによって記録膜の温度をキュリー点に近づけ、その状態で、磁界を記録膜に印加することによって記録膜の磁化方向を情報に応じた方向に向けて情報を記録する熱アシスト記録方式が知られている。
【0004】
この熱アシスト記録方式においては、光の照射領域が磁界の印加領域よりも広いと、磁気ディスク上の、磁界が印加されて情報が書き込まれる書込領域に隣接するトラックまで加熱されてしまい、既に記録されている情報が破壊されてしまう恐れがある。一方、磁気ディスク自体も、1ビットの情報を記録するための記録面積(ビットサイズ)が縮小されることによって、記録容量の向上が図られており、微小な書込領域に精度よく光を照射して、書込領域のみを確実に加熱することが求められている。近年では、光源から発せられた光を直接に書込領域に照射するのではなく、入射光の波長よりも小さい微小開口から発生する近接場光を利用し、波長より小さいサイズの照射スポットを形成して書込領域を加熱することが行われている。
【0005】
上述した近接場光を利用する技術に関して、磁界を発生する磁極に隣接して微小開口を設け、その微小開口に光導波路によって光を伝搬して近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、三角形を有する2つの磁極を微小な隙間を空けてボウタイ状に配置し、光ファイバーなどによってその隙間に光を照射して近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献3参照)や、磁極と磁気ディスクとを微小な隙間を空けて配置しておき、その隙間に光を照射することによって近接場光を発生させる技術(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。これら特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に記載された技術によると、近接場光によって微小な領域を照射することができ、上述したような情報の破壊などを回避することができる。
【特許文献1】特開2003−6803号公報
【特許文献2】特開2002−298302号公報
【特許文献3】特開2003−195002号公報
【特許文献4】特開2003−67901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、光を伝搬する光導波路としては、光が伝搬されるコアと、コアを取り囲んで光を閉じ込めるクラッドとで構成されたものが一般的であるが、光を効率よく伝搬するためには、コアおよびクラッドを波長以上の厚みに形成する必要がある。このため、光導波路を磁極に隣接して配置しても、光の照射領域の中心が磁界の印加領域である書込領域の中心から1.5波長以上は離れてしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に記載された技術では、磁界の印加領域に精度よく光を照射することができるが、磁極がボウタイ状を有しているため、近接場光の発生効率が劣る。さらに、磁極と磁気ディスクとの間に近接場光を発生させるためには、磁極の厚さを数nmにまで薄く形成する必要があり、磁極によって発生される磁界強度が低下してしまうという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献1から特許文献3に記載された技術では、光を照射させずに磁場のみで情報アクセスを行う従来の磁気情報記憶装置と比較して、磁極の形状が変更されたり、狭いスペースに光導波路が設けられるため、熱アシスト記録方式が採用された磁気情報記憶装置を製造するために、作製工程を大幅に変更しなければならない。
【0009】
一方、特許文献4に記載された技術では、従来の磁気情報記憶装置に備えられている磁気ヘッドを磁気ディスクに近接させ、それら磁気ヘッドと磁気ディスクとの間の隙間に光を照射する照射手段を磁気ヘッドの外側などに用意すればよく、従来の磁気情報記憶装置を作製する工程を流用することができる。ここで、磁気情報記憶装置では、磁気ディスクをトラックに沿って走査することが一般的であり、磁気ヘッドがトラックに対して移動していく向きをトラック走査方向と称する。磁力線を発する主磁極と、磁束を主磁極にフィードバックするための補助磁極とを備えた磁気ヘッドでは、それらの磁極がトラック走査方向に沿って前方から補助磁極、主磁極の順に配置され、主磁極の下の、トラック走査方向における前側の領域に記録磁界が形成される。しかし、特許文献4に記載された技術においては、補助磁極が邪魔してしまうため、トラック走査方向の前方からは光を照射することができず、トラック走査方向の後方などから光を照射すると考えられる。このような構成で、記録磁界が形成される領域に近接場光を発生させるためには、主磁極の、トラック走査方向の厚みを十分に薄くしなければならず、磁界強度が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の磁気ヘッドは、先端から磁力線を発する磁極と、
磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の磁気ヘッドによると、相互に異なる屈折率を有する磁極と光学極とが接触しており、それらの屈折率差によって、光照射部から光学極に照射された光が効率よく近接場光に変換され、近接場光が光学極から出射される。したがって、光導波路で光を磁極や光学極の近くにまで導く必要がなく、その分、光学極のサイズを縮小することができ、磁界の印加位置と光の照射位置とを十分に近づけることができる。また、微小な光学極は、もともと空いている隙間に配置することができるため、従来の磁気情報記憶装置用の磁気ヘッドを作製する工程に、薄膜処理などで光学極を形成する過程を追加するだけで、大きな変更を要さずに、熱アシスト記録方式が採用された磁気情報記憶装置用の磁気ヘッドを作製することができる。
【0013】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部から上記光学極の先端に至る間の、少なくとも光学極側を埋めた、磁極の屈折率および光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことが好ましい。
【0014】
充填部を備えることによって、近接場光を確実に発生させることができる。
【0015】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極の先端と上記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることが好ましい。
【0016】
光学極の先端と磁極の先端とが記録媒体上のトラックに沿って並べられることによって、磁極によって磁界が印加されるトラックのみが光によって確実に加熱される。
【0017】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、記録媒体上のトラックに沿った方向について、先端の幅が、上記光照射部によって照射される光の波長よりも小さいものであることは好適である。
【0018】
本発明の好適な形態の磁気ヘッドによると、光の照射位置を磁場の印加位置に確実に近づけることができる。
【0019】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、記録媒体上のトラックに交わる方向について、先端の幅が、上記磁極の先端の幅以下となっているものであることは好ましい。
【0020】
光学極の先端の、トラックに交わる方向における幅が磁極の先端の幅以下であることによって、記録媒体上の、磁界が印加される位置に隣接するトラックまで加熱されてしまう不具合が回避される。
【0021】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることが好ましい。
【0022】
高屈折率材料と低屈折率材料とをトラックに沿う方向に積層させることによって、効率よく近接場光を発生させることができる。
【0023】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなる、高屈折率材料が光学極内で磁極側に偏って存在したものであることが好ましい。
【0024】
高屈折率材料が磁極側に偏って存在することによって、近接場光の照射ピークを、磁極によって磁界が印加される位置にさらに近づけることができる。
【0025】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料に、記録媒体上のトラックに沿う方向に挟まれてなるものであることが好適である。
【0026】
高屈折率材料が低屈折率材料に挟まれることによって、簡易な構成で近接場光が効率よく発生される。
【0027】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を先端に沿って延び、磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることも好ましい。
【0028】
低屈折率材料が高屈折率材料を取り巻くことによっても、効率よく近接場光が発生される。
【0029】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、「上記光学極の、光照射部によって光が照射される側方部分を覆った、光の波長よりも薄い、磁極の屈折率および充填部の屈折率の双方どちらよりも低い屈折率を有する被覆部を備え、
上記充填部が、光照射部から被覆部に至る間を埋めたものである」という形態が好ましい。
【0030】
被覆部によって光学極が覆われることによって、光学極が保護されるとともに、屈折率差によるカップリング効率が向上し、さらに効率よく近接場光が発生される。
【0031】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光学極は、光照射部によって光が照射される部分が平面形状となったものであることが好ましい。
【0032】
本発明の磁気ヘッドでは、光導波路などによって光学極に光が伝搬されるのではなく、光照射部から出射された光が光学極に照射される。したがって、光学極で発生する近接場光の照射スポット以外の領域に近接場光の迷光が発生する恐れがあるが、光学極の、光照射部によって光が照射される部分が平面形状に形成されることによって、近接場光の迷光が軽減される。
【0033】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記磁極は、磁極の先端が、光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなったものであることが好ましい。
【0034】
磁極の先端が小さいほど微小な領域に磁界を印加することができ、記録媒体に高記録密度に情報を記録することができるが、磁極全体の大きさを小型化してしまうと、磁気強度が劣化してしまう。磁極の先端が、光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなり、それ以外の部分では太くなっていることによって、高記録密度化と磁気強度の向上を両立することができる。
【0035】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に偏光した光を照射するものであることが好ましい。
【0036】
光がトラックに沿った方向に偏光されていると、光学極で発生される近接場光の発生効率が劣化するとともに、近接場光の迷光が増大してしまう。このため、光学極に、トラックに交わる方向に偏光した光が照射されることが好ましい。
【0037】
また、本発明の磁気ヘッドにおいて、上記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に光を照射するものであることが好ましい。
【0038】
上述したように、光学極は、その先端が磁極の先端とトラックに沿った方向に並べて配置されることが好適であり、この好適な配置においては、光はトラックに交わる方向から照射されることが効率的である。
【0039】
また、本発明の磁気ヘッドは、光を取り込んで光照射部へと導く光導入部を備えたことが好ましい。
【0040】
光導入部によって、光が効率よく光照射部へと導入される。
【0041】
また、本発明の磁気ヘッドは、光の照射を受けて光を取り込むグレーティングと、グレーティングで取り込まれた光を光照射部へと導く導波路とを有する光導入部を備えたことが好ましい。
【0042】
例えば、磁気ヘッドに対して光が正面から照射されるのではなく、光が斜めから照射される配置条件でも、グレーティングによって光を効率よく光照射部に導くことができ、設計の自由度を向上させることができる。
【0043】
また、本発明の磁気ヘッドは、「光を反射するミラーを備え、
上記光照射部が、ミラーによって反射された光を直接又は間接に光学極の先端に照射するものである」という形態も好ましい。
【0044】
ミラーが設けられることによって、光照射部が磁気ヘッドの内部に取り付けられていても、光学極に光を照射することができる。
【0045】
また、本発明の磁気ヘッドは、「Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
上記光照射部が、Siミラーによって反射された光を直接又は間接に光学極の先端に照射するものである」という形態も好適である。
【0046】
本発明の好適な形態の磁気ヘッドによると、製造工程を簡略化することができる。
【0047】
また、上記目的を達成する本発明の情報記憶装置は、情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
磁極の先端に並んだ先端を有する、磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
磁気ヘッドを保持して、磁気ヘッドを情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする。
【0048】
本発明の情報記憶装置によると、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができ、高記録密度で情報記録媒体に情報を書き込むことができる。
【0049】
尚、本発明にいう情報記憶装置については、ここではその基本形態のみを示すのにとどめるが、本発明にいう情報記憶装置には、上記の基本形態のみではなく、前述した磁気ヘッドの各形態に対応する各種の形態が含まれる。
【0050】
また、上記目的を達成する本発明の磁気ヘッドは、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
コイルの端子部と、
主磁極と補助磁極との間に設けられ、主磁極の屈折率および補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
磁界発生部、端子部、光学極、前記光照射部、および光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする。
【0051】
また、上記目的を達成する本発明の情報記憶装置は、情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
コイルの端子部と、
主磁極と補助磁極との間に設けられ、主磁極の屈折率および補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
光学極の側方から光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで光照射部へと導く光導入部とを備え、
磁界発生部、端子部、光学極、光照射部、および光導入部が所定の基材の同一面側に配置された磁気ヘッド、
情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
磁気ヘッドを保持して、磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする。
【0052】
本発明の磁気ヘッド、および情報記憶装置によると、磁界強度を低下を抑え、高精度な情報アクセスを実現することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、磁界強度を低下させずに、磁界の印加位置の近くに光を照射することができる磁気ヘッド、および情報記憶装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0055】
図1は、本発明の一実施形態を示す図である。
【0056】
図1に示す光アシスト磁気記録再生装置1は、本発明の情報記憶装置の第1実施形態に相当するものであり、本発明の磁気ヘッドの第1実施形態が組み込まれている。この図1には、光アシスト磁気記録再生装置1のハウジング内が露出した状態が示されており、この光アシスト磁気記録再生装置1には、矢印R方向に回転する磁気ディスク2と、磁気ディスク2に対して情報記録と情報再生を行う、後述する磁気ヘッドが搭載されたスライダ5と、スライダ5に向けて光を発する光源6と、スライダ5を保持して、アーム軸3aを中心に磁気ディスク2表面に沿って移動するキャリッジアーム3と、キャリッジアーム3を駆動するアームアクチュエータ4が備えられている。ハウジングの内部空間は、図示しないカバーによって閉鎖される。
【0057】
図2は、スライダ5の先端を示す図であり、図3は、スライダ5に搭載された磁気ヘッド15の概略構成図である。
【0058】
スライダ5の先端には、磁気ディスク2に磁界と光を印加する磁気ヘッド15、光源6から発せられた光を取り込むカップリング用グレーティング11、カップリング用グレーティング11で取り込まれた光を磁気ヘッド15付近に設けられた光照射口12aまで導く光導波路12、磁気ディスク2に記録された情報が読み取られて生成された再生信号が出力される再生パット13、磁気ヘッド15に備えられたコイルに電流を流すためのコイル線引き出し用パット14が備えられている。光源6から発せられた光は、カップリング用グレーティング11によって偏光されて光導波路12内に取り込まれ、さらに、光導波路12によって、光が光照射口12aまで確実に導かれる。光照射口12aは、本発明にいう光照射部の一例に相当し、カップリング用グレーティング11は、本発明にいうグレーティング部の一例にあたり、光導波路12は、本発明にいう光導波路の一例にあたり、カップリング用グレーティング11と光導波路12とを合わせたものは、本発明にいう光導入部の一例に相当する。
【0059】
また、磁気ディスク2が図1に示す矢印R方向に回転することによって、磁気ヘッド15は、磁気ディスク2をトラックに沿って矢印R方向とは逆方向に走査する(以下では、磁気ディスク2を走査する方向をトラック走査方向と称する)。図3は、磁気ヘッド15を矢印R方向における前方、すなわち、トラック走査方向における後方から見た図であり、磁気ヘッド15には、トラック走査方向における後方から順に、磁力線を発する主磁極21、コイル引き出し線22が延びたコイル23、および主磁極21が発した磁束を拾ってコイル23と主磁極21にフィードバックする補助磁極24の順に配置されており、補助磁極24のさらに前方には、GMR膜(巨大磁気抵抗効果膜)によって磁界を検知して、磁気ディスク2に記録された情報を読み取る再生ヘッドが配置されている。本発明においては、磁気ディスク2からの情報の読み取りよりも、磁気ディスク2への情報の書き込みに特徴があるため、本明細書においては、再生ヘッドの図示を省略する。
【0060】
磁気ディスク2への情報アクセスにあたっては、図1に示すアームアクチュエータ4によってキャリッジアーム3が駆動され、サンプルサーボ方式によって、スライダ5に搭載された磁気ヘッド15が、回転する磁気ディスク2上の所望のトラックに高精度に位置決めされる。磁気ヘッド15は、磁気ディスク2の回転に伴って、磁気ディスク2の各トラックに並ぶ各微小領域に順次近接する。
【0061】
磁気ディスク2に情報が記録されるときには、光源6から発せられた光が光導波路12によって光照射口12aに導かれ、主磁極21の先端に並べて配置された光学部材(後述する)に照射され、光が光学部材を通過する際に発生される近接場光が磁気ディスク2上の微小領域に照射される。近接場光が照射されると、磁気ディスク2上の微小領域が熱せられ、直後に主磁極21によって記録磁場が印加される。その結果、磁気ディスク2の記録膜の磁化方向が情報に応じた方向に向けられて、磁気ディスク2に情報が記録される。
【0062】
また、磁気ディスク2からの情報の再生時には、GMR膜(図示しない)によって、各微小領域の磁化方向が検知され、それらの磁化それぞれが発生する磁界に応じた電気的な再生信号が生成される。
【0063】
基本的には、以上のようにして磁気ディスク2に対して情報アクセスが行われる。
【0064】
次に、磁気ヘッド15について詳しく説明する。
【0065】
図4は、磁気ヘッド15の概略を示す斜視図であり、図5は、磁気ヘッド15をトラック走査方向に平行、かつ主磁極21を通る面で切断したときの断面図である。以下では、トラック走査方向をZ軸、トラック間方向をX軸、磁気ヘッド15と磁気ディスク2との間隔方向をY軸として図示する。
【0066】
図4に示すように、磁気ヘッド15には、トラック走査方向の前方から順に、補助磁極24、コイル23、光学部材25、および主磁極21が並べて配置されており、それらが配置された空間は、充填部26によって充填されている。主磁極21は、本発明にいう磁極の一例にあたり、光学部材25は、本発明にいう光学極の一例に相当する。また、充填部26は、本発明にいう充填部の一例に相当する。
【0067】
主磁極21および補助磁極24は、Fe−Co系合金や、Fe−Ni系合金などといった磁性材料で構成されている。図5に示すように、補助磁極24は、磁気ディスク2に平行な平行部分24aと、磁気ディスク2に対して垂直、かつトラック走査方向に直交する垂直部分24bとで形成されている。また、主磁極21は、先端21aが磁気ディスク2と対向するとともに、後端21bが補助磁極24の垂直部分24bに接続されており、螺旋状に巻回された導体231(例えば、銅など)が絶縁材料232(例えば、アルミナなど)で充填されたコイル23が取り付けられている。その結果、主磁極21がコイル23の芯となり、主磁極21の先端21aから、磁気ディスク2上の、補助磁極24に近い側の領域Pに強い磁界分布を形成する磁力線が発せられる。
【0068】
主磁極21の先端21aと、補助磁極24の平行部分24aとの間には、光照射部12aから照射される光のビーム径よりも小さい隙間が設けられており、その隙間に光学部材25が挟み込まれている。光学部材25は、主磁極21より高屈折率で、高融点、非磁性の材料(例えば、Si:層厚660nmにおいて、n=3.80,k=0.01,融点1420℃)で構成された第1部材251が、第1部材251および主磁極21よりも低屈折率で、高融点、非磁性の材料(例えば、SiO2:層厚660nmにおいて、n=1.48,k=0.0,融点1730℃)で構成された2枚の第2部材252に挟まれた3層構造を有している。本明細書では、材料の複素屈折率をn−j・kと表現することとし、nは屈折率の実部、kは虚数部、jは虚数単位を表わすものとする。
【0069】
充填部26は、磁気ヘッド15内の空間を充填するとともに、主磁極21、補助磁極24、および光学部材25などの保護も兼ねている。充填部26を構成する材料としては、第1部材251より低屈折率、かつ第2部材252より高屈折率であり、高融点、非磁性の材料(例えば、TiO2:n=2.56,k=0.06,融点温度1840℃)が適用される。尚、光導波路12によって伝搬されて、光照射口12aから出射される光Lを屈折させずに確実に光学部材25に照射させるためには、光充填部26は、導波路12内で光が通過するコア(後述する)の屈折率と同等の屈折率を有する材料で構成されることが好ましい。
【0070】
光学部材25に光が照射されると、主磁極21、光学部材25、および充填部26それぞれの屈折率差によって、第1部材251と第2部材252との境界でプラズモンが発生し、光学部材25から磁気ディスク2に近接場光が照射される。上述したように、主磁極21の先端21aからは、磁気ディスク2上の、補助磁極24に近い側の領域Pに強い磁界強度分布を形成する磁力線が発せられるが、光学部材25は、主磁極21と補助磁極24との間に配置されているため、高強度な磁界が印加される領域Pに高精度に近接場光を照射することができる。
【0071】
ここで、本実施形態においては、主磁極21および光学部材25が一体的に加工されることによって、磁界の印加位置と近接場光の照射位置とが精度よく合わせられる。以下では、主磁極21および光学部材25の作製方法、およびそれらの形状の特徴について説明する。
【0072】
本実施形態の磁気ヘッド15を作製するにあたっては、まず、従来の磁気ヘッド作製における主磁極21の形成に先駆けて、例えば、リソグラフィ技術等が用いられて光学部材25が成膜される。
【0073】
続いて、光学部材25の上に主磁極21が成膜され、FIB(Focus Ion Beam)装置等で、主磁極21および光学部材25の、磁気ディスク2に対向する先端部分が同時に切削加工される。この切削加工により、主磁極21のトラック間方向の幅が決定される。
【0074】
図6は、磁極と光学部材の切削加工例を示す図である。
【0075】
本実施形態においては、主磁極21および光学部材25の先端部分の、光導波路12によって伝搬されてきた光Lが照射される側の面が、トラック走査方向に平行な平面形状に形成されているとともに、その平面部分の、磁気ヘッド15の底面(磁気ディスク2と対向する面)からの高さが光Lのビーム径の1/√2以上に形成されている。このような平面部分に光Lが照射されることによって、光学部材25によって近接場光が効率よく発生されるとともに、近接場光の迷光が軽減される。
【0076】
また、主磁極21および光学部材25の、光Lが照射されない側の面では、先端が細く、先端を除く部分は太く形成されている。主磁極21の先端部分を細く形成し、それ以外の部分を太く形成することによって、磁気ディスク2上の微小領域に高精度に磁界を印加することができるとともに、磁界強度の低減を抑えることができる。
【0077】
図6に示すような切削加工により、光学部材25から磁気ディスク2に近接場光が照射されるスポットサイズは、主磁極21のトラック間方向の幅と同等か、それ以下のサイズに形成することができ、主磁極21によって磁界が印加される領域に高精度に近接場光を照射することができる。また、本実施形態の作製方法によると、主磁極21を形成する前に光学部材25を形成するだけで、大きな変更を要さずに従来の磁気ディスクの作製方法を流用することができるとともに、主磁極21と光学部材25とが一緒に切削加工されるため、磁界の印加位置と光の照射位置との位置を合わせる工程が不要となる。
【0078】
続いて、光学部材25に照射される光L、および光Lを伝搬する光導波路12について説明する。
【0079】
図4に示すように、主磁極21および光学部材25の、光Lが照射される側の面はトラック走査方向と平行な平面形状に形成されており、光Lがその平面部分に大きな入射角で入射するほど近接場光への変換効率が向上し、平面部分に対して垂直に入射する場合が最も変換効率に優れている。しかし、光Lを光学部材25に垂直入射させようとすると、その光軸が磁気ヘッド15の底面に設定されることになり、実際にはそのような光Lを発生させることは困難である。したがって、本実施形態においては、トラック間方向(X軸方向)に主たる偏光方向をもつ光Lを、光学部材25に45度程度の入射角で入射させる。
【0080】
図6に示すように、光照射口12aに光を伝搬させるために設けられた光導波路12は、図1に示す光源6から発せられた光Lが伝搬されるコア122と、コア122を取り囲んで光を閉じ込めるクラッド121とで構成されており、コイル23が配置された位置を避けて、さらに、図3に示すように、コイル引き出し線22が引き出される側とは逆の側に配置される。コイル23は、ミクロン単位の厚さを有しているため、そのコイル23によって生じるスペースを利用することによって、コア122とクラッド121の厚さを十分に確保することができる。コア122とクラッド121が十分に厚い光導波路12を適用することによって、光の吸収等によるロスが軽減され、光源6から発せられる光の光量自体を低減することができるため、磁気ヘッド15の加熱を抑えることができる。光導波路12のコア122としては、例えば、Ta2O5のような光学的に透明で高屈折率な材料が用いられる。また、クラッド122としては、例えば、SiO2などのように、コア122よりも低屈折率な材料が用いられる。
【0081】
図7は、本実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0082】
図7では、磁気ヘッド15と磁気ディスク2との間の距離を10nmとしたときに、磁気ヘッド15から3nmの地点における、磁気ディスク2側から見た電磁場強度分布が示されている。
【0083】
このシミュレーションモデルでは、主磁極21および補助磁極24を構成する磁性材料としてFe(n=2.36,k=3.27,融点温度1730℃)、第1部材251を構成する材料としてSi(n=3.84,k=0.016,融点温度1420℃)、第2部材252を構成する材料としてSiO2(n=1.48,k=0.0,融点温度1730℃)、充填部26を構成する材料としてTiO2(n=2.56,k=0.06,融点温度1840℃)が適用されている。またシミュレーションモデルの形状は、主磁極21および光学部材25のトラック間方向の幅が320nm、第1部材251のトラック走査方向の厚さが40nm、第2部材252のトラック走査方向の厚さが240nmとしている。また、光Lは、波長がλ=660nmであり、入射角45度で第1部材251の先端に入射している。
【0084】
図7に示すように、光Lの波長より狭い第1部材251の部分に電磁場強度のピークが生じていることがわかる。ピーク強度は、119[(V/m)2]であった。
【0085】
図8は、図7と同じ面での近接場光のスポットプロファイル(強度分布)を示すグラフである。
【0086】
図8パート(A)の横軸は、磁気ヘッド15のトラック間方向(X軸方向)における位置を表わしており、図8パート(B)の横軸は、トラック走査方向(Z軸方向)における位置を表わしている。これらの図の縦軸は、光強度を表わしている。
【0087】
このシミュレーションモデルでの近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向(Z軸方向)が60nm、トラック間方向(X軸方向)が240nmであった。尚、シミュレーションモデルの光源6の電場振幅は、1[(V/m)2]で計算している。
【0088】
このように、本実施形態によると、図8に示すような小さな光スポットによって磁気ディスク2を照射することができるとともに、図7に示すような高強度な近接場光を磁気ディスク2に照射することができる。したがって、1つのビットサイズに集中して光が照射され、さらに、光の照射位置が磁場の印加位置に十分に近づけられるため、高記録密度による情報の記録再生を実現することができる。
【0089】
また、本実施形態によると、従来の磁気ヘッドに薄い光学部材25が追加されただけで、それ以外の要素の形状や構成がほとんど変更されないため、製造プロセスの変更が小さく、GMR膜などで構成される再生部分の性能も劣化させずに維持することができる。
【0090】
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態は、補助磁極、および光学部材の形状が異なるだけで、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0091】
図9は、本発明の第2実施形態である磁気ヘッド15Bの概略を示す斜視図であり、図10は、磁気ヘッド15Bをトラック走査方向に平行、かつ主磁極21を通る面で切断したときの断面図である。
【0092】
図9に示すように、本実施形態の磁気ヘッド15Bは、図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15とほぼ同様の構成を有しているが、本実施形態の磁気ヘッド15Bは、補助磁極24Bが、トラック走査方向に直交する垂直部分のみで構成されている。また、図10に示すように、本実施形態の磁気ヘッド15Bでは、光学部材25Bにおいて、第1部材251が主磁極21寄りに配置されている。
【0093】
図11は、磁気ヘッド15Bを、トラック走査方向における後方から見たときの概略構成図である。
【0094】
本実施形態の磁気ヘッド15Bにおいては、補助磁極24Bに平行部分24a(図5参照)が設けられていないため、光導波路12Bを光学部材25Bが配置されている主磁極21の先端付近まで延ばすことができる。その結果、光Lが光学部材25Bに効率よく照射される。
【0095】
図12は、本発明の第2実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0096】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシュミレーションモデルとほぼ同様の材料で構成されているが、第1部材251のトラック走査方向の厚さを40nm、第2部材252のトラック走査方向の厚さを、主磁極21に近い側が240nm、遠い側が1120nmとしている。
【0097】
図12に示すように、ピーク強度は97[(V/m)2]であり、十分に高強度な近接場光が照射されていることがわかる。また、図12と同じ面における近接場光のスポットサイズは、トラック走査方向(Z軸方向)が55nm、トラック間方向(X軸方向)が320nmであった。このように、第1部材251と第2部材252とが不均等に配置されている場合であっても、第1部材251の部分に近接場光を効率よく照射することができる。
【0098】
以上で、本発明の第2実施形態の説明を終了し、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0099】
図13は、本発明の第3実施形態である磁気ヘッド15Cの、主磁極21および光学部材25の先端付近を示す概略構成図である。
【0100】
本実施形態の磁気ヘッド15Cは、図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15とほぼ同様の構成を有しているが、主磁極21および光学部材25の先端部分が、光の波長よりも薄い膜厚の薄膜27で覆われている点が異なる。この薄膜27は、主磁極21の屈折率、および充填部26の屈折率よりも低屈折率を有し、かつ透明な材料で構成されており、本発明にいう被覆膜の一例に相当する。
【0101】
図14は、本発明の第3実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0102】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、主磁極21および光学部材25を薄膜27で覆ったモデルである。薄膜27として、光学部材25の第2部材252と同じSiO2(n=1.48,k=0.0,融点温度1730℃)を、膜厚40nmで成膜した。図14では、近接場光のピーク強度が152[(V/m)2]であり、近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向が60nm、トラック間方向が300nmであった。
【0103】
主磁極21および光学部材25が薄膜27で覆われることによって、それら主磁極21および光学部材25が保護されるとともに、効率よく近接場光が発生される。本実施形態のシミュレーションモデルでは、第1実施形態のシミュレーションモデルと比較して、第1部材251で発生する近接場光を約26%増加させることができた。
【0104】
尚、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、図13に示すように主磁極21と光学部材25の先端部分を薄膜27で覆うのではなく、主磁極21と光学部材25の、トラック間方向における両面にのみ薄膜27を形成した場合、近接場光のピーク強度が2つ形成される。しかし、主磁極21および光学部材25の、磁気ディスク2に近い先端側のトラック間方向の幅を共に狭くすることで、1つのピーク強度を形成することができる。
【0105】
図15は、主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における両面にのみ薄膜27を形成したときの電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0106】
このシミュレーションモデルは、図7に示す第1実施形態のシミュレーションモデルにおいて、主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における幅を160nmに狭め、それら主磁極21および光学部材25の、トラック間方向における両端にSiO2を、膜厚40nmで成膜した。図15では、近接場光のピーク強度が192[(V/m)2]であり、近接場光のサイズは、半値全幅でトラック走査方向が60nm、トラック間方向が140nmであった。
【0107】
以上で、本発明の第3実施形態の説明を終了し、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態も、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0108】
図16は、本発明の第4実施形態の磁気ヘッド15Dを磁気ディスク2側から見たときの概略構成図である。
【0109】
図4に示す第1実施形態の磁気ヘッド15の光学部材25は、第1部材251と第2部材252とがトラック走査方向に積層されているが、本実施形態の光学部材25は、第1部材251が第2部材252を取り囲んでいる。また、第1部材252は、トラック走査方向の幅が主磁極21の先端の幅よりも狭く形成されており、磁気ディスク2に照射される近接場光の発生スポットの縮小が図られている。
【0110】
この磁気ヘッド15Dでは、第2部材252が高屈折率な第1部材251を覆っており、図13に示す第3実施形態の磁気ヘッド15Cにおける薄膜27の役割を担っている。このように、低屈折率な薄膜は、主磁極21と光学部材25全体を覆ってもよく、光学部材25のみを覆ってもよい。また、光Lが照射される先端部分にのみ薄膜が形成されることによって、主磁極21と補助磁極24との間に配置された光学部材25に効率よく光をカップリングすることができ、近接場光の発生効率を向上させることができる。
【0111】
以上で、本発明の第4実施形態の説明を終了し、本発明の第5実施形態について説明する。本発明の第5実施形態も、第1実施形態とほぼ同様の構成を有しているため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0112】
図17は、本発明の第5実施形態である磁気ヘッド15Eの、主磁極21および光学部材25の先端付近を示す概略構成図である。
【0113】
図17に示す本実施形態の磁気ヘッド15Eは、上述した第1実施形態から第4実施形態の磁気ヘッド15とは異なり、光学部材25Eが1種類の材料で構成されている。
【0114】
図18は、本実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【0115】
このシミュレーションモデルにおいては、光学部材25Eのトラック走査方向(Z軸方向)の厚さを160nm、トラック間方向(X軸方向)の厚さを320nm、垂直方向(Y軸方向)の厚さ120nmとしている。
【0116】
図18では、ピーク強度は44[(V/m)2]であり、近接場光のスポットサイズは、トラック走査方向(Z軸方向)が110nm、トラック間方向(X軸方向)が120nmであった。1層で構成された光学部材25Eでは、図7に示す相互に異なる屈折率を有する2層構造の光学部材25と比較して、強度ピークが形成される範囲がトラック走査方向に広がっているが、実用上、問題ない程度であることが確認された。
【0117】
このように、本発明にいう光学極は、複数層で構成されていることが好ましいが、1層で構成されていてもよい。
【0118】
以上で、本発明の第5実施形態の説明を終了し、本発明の第6実施形態について説明する。本発明の第6実施形態についても、図2に示す第1実施形態と同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、相違点に注目して説明する。
【0119】
図19は、本実施形態のスライダ5Fの先端付近を示す図である。
【0120】
本実施形態のスライダ5Fでは、図2に示す第1実施形態のスライダ5とは異なり、磁気ヘッド15がスライダ5Fの先端ではなく内部に配置されている。スライダ5Fは、トラック走査方向における前方から順に、本体部分を構成するAiTiC基盤33、光を反射するSi基板31、透明なモールドガラス34、コア121とクラッド122とで構成される光導波路12が積層されており、光導波路12の先端に磁気ヘッド15が配置されている。また、光導波路12のコア121には、カップリング用グレーティング11が設けられており、Si基板31には、光を反射してカップリング用グレーティング11に導くミラー面32が形成されている。Si基板31は、本発明にいうSi基板の一例にあたり、モールドガラス34は、本発明にいうモールドガラスの一例に相当する。また、ミラー面32は、本発明にいうミラーの一例にあたるとともに、本発明にいうSiミラーの一例に相当する。
【0121】
光源6(図1参照)で発せられた光Lは、モールドガラス34に入射し、ミラー面32で反射されて、カップリング用グレーティング11に導かれる。カップリング用グレーティング11では、光Lがコア121とクラッド122とで構成された光導波路にカップリングされ、光Lは光導波路を伝搬して、磁気ヘッド15の光学部材25に照射される。この図19に示す構成は、スライダ5Fの小型化などにより、カップリング用グレーティング11をスライダ5Fの先端に配せない場合に有効である。
【0122】
図19に示すスライダ5Fを作製するにあたっては、まず、スライダ5Fの本体部分となるAlTiC基盤33上にSi基板31を貼り付ける。このSi基板31の厚さは、スライダ5Fの外部に設けられた光源6で発せられた光Lを効率よく入射させるために、ミリ単位、もしくはサブミリ単位で形成する。
【0123】
続いて、ウェットエッチングによる異方性エッチングによって、Si基板31上にミラー面32などを形成する。Siの結晶方位は、ウェットエッチングによって形成された面で反射された光がスライダ5F内部に導かれるように、結晶方位をあらかじめ選択しておく。
【0124】
続いて、ウェットエッチングによって形成されたSi基板31上に、透明なモールドガラス(低融点ガラス)34を押し当て接着し、不要部分を研磨などにより平滑化する。モールドガラスを用いるのは、磁気ヘッド15に入射する光Lのビーム径が、ミリ単位、もしくはサブミリ単位であるので、物理的成膜法や化学的成膜法では、事実上作製が不可能なためである。
【0125】
モールドガラス34が形成されたら、モールドガラス34を通過しミラー面32で反射された光Lが導かれる位置に、カップリング用グレーティング11を作製する。さらに、カップリング用グレーティング11上に、モールドガラス34より屈折率が高い材料で光導波路12のコア121を成膜し、その上にクラッド122を成膜する。光導波路12は、数ミクロンサイズの厚さなので、一般的な成膜法で作製できる。そしてクラッド122を平滑化し、リソグラフィ技術を駆使して磁気ヘッド15を作製する。
【0126】
このように、本実施形態によると、スライダ5Fを、簡易な工程で容易に作製することができる。
【0127】
ここで、本発明にいう記録媒体としては、光もしくは熱と磁気によって情報を記録する記録媒体を使用することを想定しており、面内磁気記録膜、あるいは垂直磁気記録膜を有する記録媒体の両方を適用することができる。
【0128】
また、上記では、磁気ディスクに記録された情報を読み取るためにGMR膜を備える例について説明したが、情報の読み取り方法については、磁気抵抗効果素子を使用する方法に限られるものではなく、情報を光学的に検知するものであってもよい。
【0129】
また、上記では、巻き線コイルと異なるレイヤーに光学部材を作製する例について説明したが、光学部材を巻き線コイルと同じレイヤー上に作製してもよい。
【0130】
また、上記では、光導波路で光を光学極の先端に近くにまで伝搬しているが、レンズ系によって直接に光学局の先端部に照射してもよい。
【0131】
また、Si基板とモールドガラスとで構成されたスライダにおいては、カップリング用グレーティングと光導波路とで光学極に光を照射しているが、これらを介さずにSiミラー面の反射光を光学極の側面に直接照射してもよい。
【0132】
以下、本発明の各種形態について付記する。
【0133】
(付記1)
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
【0134】
(付記2)
前記光照射部から前記光学極の先端に至る間の、少なくとも該光学極側を埋めた、前記磁極の屈折率および前記光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0135】
(付記3)
前記光学極の先端と前記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0136】
(付記4)
前記光学極は、記録媒体上のトラックに沿った方向について、先端の幅が、前記光照射部によって照射される光の波長よりも小さいものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0137】
(付記5)
前記光学極は、記録媒体上のトラックに交わる方向について、先端の幅が、前記磁極の前記先端の幅以下となっているものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0138】
(付記6)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
(付記7)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなる、該高屈折率材料が該光学極内で前記磁極側に偏って存在したものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0139】
(付記8)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料に、記録媒体上のトラックに沿う方向に挟まれてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0140】
(付記9)
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を該先端に沿って延び、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、該高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0141】
(付記10)
前記光学極の、前記光照射部によって光が照射される側方部分を覆った、該光の波長よりも薄い、前記磁極の屈折率および前記充填部の屈折率の双方どちらよりも低い屈折率を有する被覆部を備え、
前記充填部が、前記光照射部から該被覆部に至る間を埋めたものであることを特徴とする付記2記載の磁気ヘッド。
【0142】
(付記11)
前記光学極は、前記光照射部によって光が照射される部分が平面形状となったものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0143】
(付記12)
前記磁極は、該磁極の先端が、前記光学極に光が照射される部分よりも先で先細りとなったものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0144】
(付記13)
前記光照射部が、記録媒体上のトラックに交わる方向に偏光した光を照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0145】
(付記14)
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0146】
(付記15)
光の照射を受けて該光を取り込むグレーティングと、前記グレーティングで取り込まれた光を前記光照射部へと導く導波路とを有する光導入部を備えたことを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0147】
(付記16)
光を反射するミラーを備え、
前記光照射部が、前記ミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0148】
(付記17)
Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
前記Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
前記光照射部が、前記Siミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする付記1記載の磁気ヘッド。
【0149】
(付記18)
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【0150】
(付記19)
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする磁気ヘッド。
【0151】
(付記20)
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備え、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置された磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の一実施形態を示す図である。
【図2】スライダの先端を示す図である。
【図3】スライダに搭載された磁気ヘッドの概略構成図である。
【図4】磁気ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図5】磁気ヘッドをトラック走査方向に平行、かつ主磁極を通る面で切断したときの断面図である。
【図6】磁極と光学部材の切削加工例を示す図である。
【図7】第1実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】図7と同じ面での近接場光のスポットプロファイル(強度分布)を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態である磁気ヘッドの概略を示す斜視図である。
【図10】磁気ヘッドをトラック走査方向に平行、かつ主磁極を通る面で切断したときの断面図である。
【図11】磁気ヘッドを、トラック走査方向における後方から見たときの概略構成図である。
【図12】本発明の第2実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図13】本発明の第3実施形態である磁気ヘッドの、主磁極および光学部材の先端付近を示す概略構成図である。
【図14】本発明の第3実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図15】主磁極および光学部材の、トラック間方向における両面にのみ薄膜を形成したときの電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図16】本発明の第4実施形態の磁気ヘッドを磁気ディスク側から見たときの概略構成図である。
【図17】本発明の第5実施形態である磁気ヘッドの、主磁極および光学部材の先端付近を示す概略構成図である。
【図18】本発明の第5実施形態における電磁場強度分布のシミュレーション結果を示す図である。
【図19】本発明の第6実施形態のスライダの先端付近を示す図である。
【符号の説明】
【0153】
1 光アシスト磁気記録再生装置
2 磁気ディスク
3 キャリッジアーム
4 アームアクチュエータ
5 スライダ
6 光源
15 磁気ヘッド
11 カップリング用グレーティング
12 光導波路
12a 光照射口
13 再生パット
14 コイル線引き出し用パット
21 主磁極
22 コイル引き出し線
23 コイル
24 補助磁極
25 光学部材
26 充填部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項2】
前記光照射部から前記光学極の先端に至る間の、少なくとも該光学極側を埋めた、前記磁極の屈折率および前記光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記光学極の先端と前記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を該先端に沿って延び、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、該高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
光を反射するミラーを備え、
前記光照射部が、前記ミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
前記Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
前記光照射部が、前記Siミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【請求項10】
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項1】
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えたことを特徴とする磁気ヘッド。
【請求項2】
前記光照射部から前記光学極の先端に至る間の、少なくとも該光学極側を埋めた、前記磁極の屈折率および前記光学極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する充填部を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項3】
前記光学極の先端と前記磁極の先端は、記録媒体上のトラックに沿った方向に並んでなることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項4】
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料と、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料とが記録媒体上のトラックに沿う方向に積層されてなるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項5】
前記光学極は、前記磁極の屈折率よりも高い屈折率を有する高屈折率材料が該光学極の先端内を該先端に沿って延び、前記磁極の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率材料が、該高屈折率材料が延びた方向を除く他の方向を取り巻いてなるものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項6】
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部を備えたことを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項7】
光を反射するミラーを備え、
前記光照射部が、前記ミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項8】
Si基板がエッチングされてなる、光を反射するSiミラーと、
前記Si基板のエッチングされた部分を埋めるモールドガラスとを備え、
前記光照射部が、前記Siミラーによって反射された光を直接又は間接に前記光学極の先端に照射するものであることを特徴とする請求項1記載の磁気ヘッド。
【請求項9】
情報記録媒体に対し、光および磁場を用いて情報アクセスを行う磁気ヘッドであって、
先端から磁力線を発する磁極と、
前記磁極の先端に並んだ先端を有する、該磁極の屈折率とは異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部とを備えた磁気ヘッド、
前記情報記録媒体を保持する媒体保持部、および
前記磁気ヘッドを保持して、該磁気ヘッドを前記情報記録媒体に対して位置決めするヘッド保持部を備えたことを特徴とする情報記憶装置。
【請求項10】
主磁極と補助磁極とコイルとを有する磁界発生部と、
前記コイルの端子部と、
前記主磁極と補助磁極との間に設けられ、前記主磁極の屈折率および前記補助磁極の屈折率のいずれとも異なる屈折率を有する光学極と、
前記光学極の側方から該光学極の先端に光を照射する光照射部と、
光を取り込んで前記光照射部へと導く光導入部とを備えたことと、
前記磁界発生部、前記端子部、前記光学極、前記光照射部、および前記光導入部が所定の基材の同一面側に配置されたこととを特徴とする磁気ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−220174(P2007−220174A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37482(P2006−37482)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、「大容量光ストレージ技術の開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構、「大容量光ストレージ技術の開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]