説明

磁気共鳴イメージング装置、イメージング方法、およびプログラム

【課題】背景組織の輪郭が十分に低減された画像データを得る。
【解決手段】造影剤なしのスキャンSCnonによって、撮影部位のk空間のデータS(k,k)を収集し、造影剤ありのスキャンSCcaによって、動脈のコントラストが強調されたk空間のデータS(k,k)を収集する。そして、k空間のデータの絶対値の差|S|−|S|と、k空間のデータSの位相S/|S|とを用いて、動脈の画像データを算出する。k空間のデータの絶対値の差|S|−|S|と、k空間のデータSの位相S/|S|とを用いることによって、背景組織の輪郭がほとんど残らないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンし、所定の組織の画像データを得る磁気共鳴イメージング装置、イメージング方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MRA(Magnetic Resonance Angiography)の方法と一つとして、造影剤なしのスキャンと、造影剤ありのスキャンとを実行し、造影剤なしのスキャンにより得られた画像と、造影剤ありのスキャンにより得られた画像との差分を求めることによって、血管を撮像する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-122301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、造影剤なしのスキャンにより得られた画像と、造影剤ありのスキャンにより得られた画像との間に位置ずれが生じると、動脈と一緒に、臓器や静脈などの背景組織の輪郭も描出されることがある。したがって、このような背景組織の輪郭は、できるだけ描出されないようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点の発明は、所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンし、前記所定の組織の画像データを得る磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンと、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンとを実行するスキャン手段と、
前記第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出手段と、
を有する磁気共鳴イメージング装置である。

第2の観点の発明は、所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンすることにより得られた磁気共鳴信号に基づいて、前記所定の組織をイメージングするイメージング方法であって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出ステップ、を有するイメージング方法である。

第3の観点の発明は、所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンし、前記所定の組織の画像データを得る磁気共鳴イメージング装置のプログラムであって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出処理、を計算機に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
k空間のデータの絶対値の差と、k空間のデータの位相情報とを用いて画像データを算出することによって、第1のスキャンにおける撮影部位と、第2のスキャンにおける撮影部位との間に位置ずれが生じても、背景組織の輪郭が十分に低減された画像データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
【図2】本実施形態において実行されるスキャンの説明図である。
【図3】MRI装置100の処理フローを示す図である。
【図4】シミュレーション条件の説明図である。
【図5】シミュレーション結果の説明図である。
【図6】ファントム実験の条件の説明図である。
【図7】実験結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置と呼ぶ。MRI:Magnetic Resonance Imaging)100は、磁場発生装置2と、テーブル3と、クレードル4と、造影剤注入装置5と、受信コイル6などを有している。
【0010】
磁場発生装置2は、被検体14が収容されるボア21と、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、送信コイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場B0を印加し、勾配コイル23は勾配磁場を印加し、送信コイル24はRFパルスを送信する。尚、超伝導コイル22の代わりに、永久磁石を用いてもよい。
【0011】
クレードル4は、テーブル3からボア21に移動できるように構成されている。クレードル4によって、被検体14はボア21に搬送される。
【0012】
造影剤注入装置5は、被検体14に造影剤を注入する。
受信コイル6は、被検体14の腹部に取り付けられており、磁気共鳴信号を受信する。
【0013】
MRI装置100は、更に、シーケンサ7、送信器8、勾配磁場電源9、受信器10、中央処理装置11、入力装置12、および表示装置13を有している。
【0014】
シーケンサ7は、中央処理装置11の制御を受けて、パルスシーケンスを実行するための情報を送信器8および勾配磁場電源9に送る。具体的には、シーケンサ7は、中央処理装置11の制御を受けて、RFパルスの情報(中心周波数、バンド幅など)を送信器8に送り、勾配磁場の情報(勾配磁場の強度など)を勾配磁場電源9に送る。
【0015】
送信器8は、シーケンサ7から送られた情報に基づいて、RFコイル24を駆動する駆動信号を出力する。
【0016】
勾配磁場電源9は、シーケンサ7から送られた情報に基づいて、勾配コイル23を駆動する駆動信号を出力する。
【0017】
受信器10は、受信コイル6で受信された磁気共鳴信号を信号処理し、中央処理装置11に伝送する。
【0018】
中央処理装置11は、シーケンサ7および表示装置13に必要な情報を伝送したり、受信器10から受け取った信号に基づいて画像を再構成するなど、MRI装置100の各種の動作を実現するように、MRI装置100の各部の動作を制御する。中央処理装置11は、例えばコンピュータ(computer)によって構成される。また、中央処理装置11は、画像データ算出手段111を有している。画像データ算出手段111は、後述する式(7)に従って、画像データを算出する。中央処理装置11は、画像データ算出手段111の一例であり、所定のプログラムを実行することにより、この手段として機能する。
【0019】
入力装置12は、オペレータ15の操作に応じて、種々の命令を中央処理装置11に入力する。表示装置13は種々の情報を表示する。
【0020】
MRI装置100は、上記のように構成されている。本実施形態では、MRI装置100を用いて、動脈の画像を得るためのスキャンを行う。次に、本実施形態において、動脈の画像を得るために実行されるスキャンについて説明する。
【0021】
図2は、本実施形態において実行されるスキャンの説明図である。
本実施形態では、2回のスキャンが行われる。1回目のスキャンは、造影剤なしのスキャンSCnonであり、2回目のスキャンは造影剤ありのスキャンSCcaである。造影剤ありのスキャンSCcaでは、造影剤なしのスキャンSCnonよりも、動脈のコントラストが強調される。したがって、造影剤なしのスキャンSCnonにより得られたデータと、造影剤ありのスキャンSCcaにより得られたデータとの差分を求めることにより、動脈が描出され背景組織が抑制された画像を得ることが可能となる。
【0022】
尚、従来の方法では、1回目のスキャン(造影剤なしのスキャンSCnon)が終了してから2回目のスキャン(造影剤ありのスキャンSCca)が開始するまでの間に、撮影部位が変位した場合、背景組織の輪郭が除去されずに残ってしまうという問題があった。しかし、本実施形態の方法では、1回目のスキャンが終了してから2回目のスキャンが開始するまでの間に撮影部位が変位しても、背景組織の輪郭がほとんど残らないようにすることができるという効果がある。以下に、この効果が得られる理由について説明する。
【0023】
先ず、被検体の撮影部位が基準位置に位置しているとする。このときのk空間のデータS(k,k)は、以下の式(1)で表すことができる。
【数1】

ρ(x,y):座標(x,y)における画像データ
【0024】
また、被検体の撮影部位が基準位置から、x方向にΔxだけ変位し、y方向にΔyだけ変位したとする。撮影部位がΔxおよびΔyだけ変位したときのk空間のデータS(k,k)は、以下の式(2)で表すことができる。
【数2】

【0025】
式(1)と式(2)とを比較すると、実空間での位置の変位は、k空間では位相の変化に相当することがわかる。したがって、k空間のデータS(k,k)およびS(k,k)のそれぞれについて絶対値をとり、両者の差分をとれば、信号はゼロになる。つまり、以下の関係が成り立つ。
|S(k,k)|−|S(k,k)|=0 ・・・(3)
【0026】
本実施形態では、撮影部位がΔxおよびΔyだけ変位しても、k空間の絶対値の差分をとれば信号がゼロになるという点に着目して、背景組織を除去している。ただし、本実施形態では、背景組織を除去する一方で、動脈を描出しなければならない。そこで、背景組織の除去と、動脈の描出とを実現するために、k空間のデータS(k,k)は、造影剤なしのスキャンSCnonによって収集し、一方、k空間のデータS(k,k)は、造影剤なしのスキャンSCnonよりも動脈のコントラストが強調されるように、造影剤ありのスキャンSCcaによって収集することを考える。この場合、造影剤なしのスキャンSCnonにより得られたk空間のデータS(k,k)は、動脈の信号は十分に小さいと考えられるので、以下の式(4)で表すことができる。
【数3】

ρ(x,y):背景組織の信号
【0027】
また、造影剤ありのスキャンSCcaにより得られたk空間のデータS(k,k)は、以下の式(5)で表すことができる。
【数4】

ρ(x,y):動脈の信号
ρ(x,y):背景組織の信号
【0028】
ここで、背景組織が描出されず、動脈のみが描出されるときのk空間のデータをS(k,k)とすると、S(k,k)は、以下の式(6)で表すことができる。
【数5】

【0029】
次に、S(k,k)の絶対値とS(k,k)の絶対値との差分ΔSを求め、差分ΔSと、S(k,k)の位相Pとを乗算し、乗算により得られたΔS・Pを逆フーリエ変換することにより得られる画像データを考える。このときの画像データをρ′(x,y)とすると、ρ′(x,y)は、以下の式(7)で表すことができる。
【数6】

【0030】
尚、式(7)では、説明の便宜上、S(k,k)は単に「S」で表し、S(k,k)は単に「S」で表している。
【0031】
式(7)において、|S|−|S|は、S(k,k)の絶対値とS(k,k)の絶対値との差分ΔSを表しており、S/|S|は、S(k,k)の位相Pを表している。式(7)は、更に、以下のように変形することができる。
【数7】

【0032】
ここで、S/S<<1とし、S/Sの一次までを考慮すると、式(8)は、以下のように変形することができる。
【数8】

【0033】
式(9)を参照すると、第一項の動脈の信号ρ(x,y)の他に、第二項が、動脈の信号ρ(x,y)とは別の余分な信号として残る。しかし、第二項は、例えば、MIPを実行することにより、除去できると考えられる。したがって、式(7)に示すように、S(k,k)の絶対値とS(k,k)の絶対値との差分ΔSを求め、差分ΔSと、S(k,k)の位相Pとを乗算し、逆フーリエ変換することにより、動脈が強調して描出され、背景組織が十分に低減された画像データが得られることが分かる。
【0034】
次に、造影剤なしのスキャンSCnonと、造影剤ありのスキャンSCcaとを順に実行し(図2参照)、被検体の動脈の画像を撮影するときのMRI装置100の処理フローについて説明する。
【0035】
図3は、MRI装置100の処理フローを示す図である。
ステップST1では、造影剤なしのスキャンSCnonを実行する(図2参照)。造影剤なしのスキャンSCnonによって、撮影部位のk空間のデータS(k,k)を収集することができる。尚、スキャンSCnon中に撮影部位が呼吸や心拍により変位する場合は、呼吸同期法や心電同期法を併用して撮影部位をスキャンすればよい。撮影部位のk空間のデータS(k,k)を収集した後、ステップST2に進む。
【0036】
ステップST2では、造影剤ありのスキャンSCcaを実行する(図2参照)。造影剤ありのスキャンSCcaによって、撮影部位のk空間のデータS(k,k)を収集することができる。尚、スキャンSCca中に撮影部位が呼吸や心拍により変位する場合は、呼吸同期法や心電同期法を併用して撮影部位をスキャンすればよい。造影剤ありのスキャンSCcaでは、造影剤なしのスキャンSCnonよりも、動脈のコントラストが強調される。撮影部位のk空間のデータS(k,k)を収集した後、ステップST3に進む。
【0037】
ステップST3では、画像データ算出手段11(図1参照)が、式(7)を用いて画像データを算出し、フローを終了する。式(7)を用いて画像データを算出することによって、背景組織が十分に低減された動脈の画像データを得ることができる。
【0038】
尚、背景組織が十分に低減された動脈の画像データが得られることを検証するため、シミュレーションを行った。以下に、シミュレーション結果について、図4および図5を参照しながら説明する。
【0039】
図4は、シミュレーション条件の説明図である。
図4(a)は、背景組織Bを概略的に示す図、図4(b)は、動脈Vと背景組織Bとを概略的に示す図である。背景組織Bは円で模擬されており、動脈Vは縦棒で模擬されている。尚、図4(b)の背景組織Bは、図4(a)の背景組織Bに対して、x方向にΔxだけ位置がずれており、y方向にΔyだけ位置がずれているとする。
【0040】
図4(a1)〜(a4)は、それぞれ、図4(a)の背景組織Bの絶対値画像、位相画像、MR信号の実数部分の画像、およびMR信号の虚数部分の画像を示している。また、図4(b1)〜(b4)は、それぞれ、図4(b)の動脈Vおよび背景組織Bの絶対値画像、位相画像、MR信号の実数部分の画像、およびMR信号の虚数部分の画像を示している。
【0041】
図5は、図4(a)の背景組織Bと、図4(b)の動脈Vおよび背景組織Bとの差分により得られる画像のシミュレーション結果の説明図である。
【0042】
図5(a)は、図4(b)の動脈Vおよび背景組織Bのk空間のデータSと、図4(a)の背景組織Bのk空間のデータSとの差分S−Sを求め、k空間のデータの差分S−Sを逆フーリエ変換することにより得られた差分画像である。
図5(b)は、図4(a1)に示す背景組織Bの絶対値画像と、図4(b1)に示す動脈Vおよび背景組織Bの絶対値画像との差分により得られた差分画像である。
図5(c)は、本実施形態の式(7)を用いて得られた差分画像である。
【0043】
図5(a)および(b)の画像には、背景組織Bを模擬した円の輪郭が残っているが、本実施形態の式(7)を用いて得られた図5(c)の画像は、背景組織Bの信号がほぼ完全に除去できていることが分かる。したがって、本実施形態によれば、背景組織が十分に低減された動脈の画像データが得られることがわかる。
【0044】
更に、式(7)の第二項が画質に与える影響を検証するため、ファントム実験を行った。以下に、ファントム実験の結果について、図6および図7を参照しながら説明する。
【0045】
図6は、ファントム実験の条件の説明図である。
図6(a)は、背景組織Bを模擬したファントムを示す図、図6(b)は、動脈Vと背景組織Bとを模擬したファントムを示す図である。背景組織Bは、中央部に溝を有する円形で表されており、動脈Vは、横棒で表されている。尚、図6(b)の背景組織Bは、図6(a)の背景組織Bに対して、x方向にΔxだけ位置がずれており、y方向にΔyだけ位置がずれているとする。
図6(a1)〜(a4)は、それぞれ、図6(a)のファントムの絶対値画像、位相画像、k空間の絶対値、およびk空間の位相を示している。また、図6(b1)〜(b4)は、それぞれ、図6(b)のファントムの絶対値画像、位相画像、k空間の絶対値、およびk空間の位相を示している。
【0046】
図7は、図6(a)の背景組織Bを模擬したファントムと、図6(b)の動脈Vおよび背景組織Bを模擬したファントムとの差分により得られる画像の実験結果を示す図である。
図7(a)は、図6(b)の動脈Vおよび背景組織Bを模擬したファントムのk空間のデータSと、図6(a)の背景組織Bを模擬したファントムのk空間のデータSとの差分S−Sを求め、k空間のデータの差分S−Sを逆フーリエ変換することにより得られた差分画像である。
図7(b)は、図6(a1)の背景組織Bを模擬したファントムの絶対値画像と、図6(b1)の動脈Vおよび背景組織Bを模擬したファントムの絶対値画像との差分により得られた差分画像である。
図7(c)は、本実施形態の式(7)を用いて得られた差分画像である。
【0047】
図7(a)の画像は、背景組織Bの信号が除去されずに残っており、図7(b)の画像は、背景組織Bの輪郭が残っている。一方、本実施形態の方法により得られた図7(c)の画像は、背景組織Bは十分に低減されており、動脈Vを模擬した横棒が強調して描出されていることが分かる。尚、図7(c)の画像には、式(7)の第二項の影響によるゴーストが現れているが、図7(c)に現れている程度のゴーストは、差分処理後にMIP処理をすれば、十分に除去できると考えられる。
【0048】
尚、本実施形態では、2回のスキャンにおいて造影剤を使用しているが、2回目のスキャンが、1回目のスキャンよりも動脈を強調することができるのであれば、造影剤は必ずしも必要ではなく、非造影MRAで撮影してもよい。また、本実施形態では、2回目のスキャンにおいて動脈を強調しているが、1回目のスキャンで動脈を強調してもよい。
【0049】
本実施形態では、式(7)を用いて動脈の画像データを算出している。しかし、k空間のデータの絶対値の差|S|−|S|と、k空間のデータの位相S/|S|とを用いることによって動脈の画像データを算出することができるのであれば、式(7)とは別の式を用いてもよい。
【0050】
本実施形態では、動脈の画像データを求めている。しかし、本発明は、静脈など、動脈以外の別の組織の画像データを求める場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0051】
100 MRI装置
2 磁場発生装置
3 テーブル
4 クレードル
5 造影剤注入装置
6 受信コイル
7 シーケンサ
8 送信器
9 勾配磁場電源
10 受信器
11 中央処理装置
12 入力装置
13 表示装置
14 被検体
21 ボア
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 送信コイル
111 画像データ作成手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンし、前記所定の組織の画像データを得る磁気共鳴イメージング装置であって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンと、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンとを実行するスキャン手段と、
前記第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出手段と、
を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記第1のスキャンは造影剤なしのスキャンであり、前記第2のスキャンは造影剤ありのスキャンである、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記第1のスキャンおよび第2のスキャンは、造影剤なしのスキャンである、請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記画像データ算出手段は、以下の式に基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【数9】

【請求項5】
所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンすることにより得られた磁気共鳴信号に基づいて、前記所定の組織をイメージングするイメージング方法であって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出ステップ、を有するイメージング方法。
【請求項6】
所定の組織と背景組織とを含む撮影部位をスキャンし、前記所定の組織の画像データを得る磁気共鳴イメージング装置のプログラムであって、
前記撮影部位をスキャンする第1のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値と、前記第1のスキャンよりも前記所定の組織が強調されるように前記撮影部位をスキャンする第2のスキャンにより得られた前記撮影部位のk空間のデータの絶対値との差を求め、前記差と、前記第2のスキャンにより得られたk空間のデータの位相情報とに基づいて、前記所定の組織の画像データを算出する画像データ算出処理、
を計算機に実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−245049(P2011−245049A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121530(P2010−121530)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】