説明

磁気共鳴イメージング装置およびこの装置における高周波コイルの設置位置を検出する方法

【課題】 RFコイルの設置位置を自動的に検出できるようにする。
【解決手段】 撮像対象となる被検体Pを載置するための天板51に対して着脱可能なRFコイルユニット6の設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数のソケット63を設ける。コイル位置検出部71は、RFコイルユニット6の設置位置を、RFコイルユニットの設置位置を定めるために複数のソケット63のいずれが使用されているかに基づいて検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴現象を利用して被検体の磁気共鳴(MR)画像を取得する磁気共鳴イメージング(MRI)装置およびこの装置における高周波コイルの設置位置を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング装置においては、被検体の腹部上などに複数の高周波コイル(RFコイル)を配置して、被検体を移動させながら撮像する技術がある。
【0003】
なお、複数のRFコイルを選択的に使用して撮像するMRI装置は、例えば特許文献1によって知られている。
【特許文献1】特開2003−334177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような被検体を移動させながら撮像する技術の場合に、複数のRFコイルのそれぞれから出力されるMR信号の全てを再構成に常に用いるようにすると、再構成のための時間の増大や得られる画像数の増大を来たし、診断の効率を低下させてしまう恐れがあった。
【0005】
上記の不具合を回避するために、複数のRFコイルのうちで撮像領域内に位置しているRFコイルを選択し、そのRFコイルが出力するMR信号のみを再構成に用いることが望ましい。しかしながら、上腹部に配置するRFコイルは設置位置の自由度が高いため、MRI装置ではRFコイルの設置位置を把握することが困難であり、当該設置位置を事前に特定するためには操作者のセッティングを必要とするため、操作者の負担が増加してしまう。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、RFコイルの設置位置を自動的に検出できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による磁気共鳴イメージング装置は、撮像対象となる被検体を載置するための天板と、前記天板に対して着脱可能な高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部と、前記高周波コイルの設置位置を、当該高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかに基づいて検出する検出部とを備える。
【0008】
本発明の第2の態様による磁気共鳴イメージング装置は、被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを備える。
【0009】
本発明の第3の態様による磁気共鳴イメージング装置は、被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部と、前記高周波コイルの設置位置を、当該高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかに基づいて検出する検出部とを備える。
【0010】
本発明の第4の態様による方法は、撮像対象となる被検体を載置するための天板と、前記天板に対して着脱可能な高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを具備した磁気共鳴イメージング装置における前記高周波コイルの設置位置を検出する方法であって、前記高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかを認識し、この認識した前記位置決め部が前記複数の位置決め部のいずれであるかに基づいて前記高周波コイルの設置位置を検出する。
【0011】
本発明の第5の態様による方法は、撮像対象となる被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを具備した磁気共鳴イメージング装置における前記高周波コイルの設置位置を検出する方法であって、前記高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかを認識し、この認識した前記位置決め部が前記複数の位置決め部のいずれであるかに基づいて前記高周波コイルの設置位置を検出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、RFコイルの設置位置を自動的に検出できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係るMRI装置100のブロック図である。
【0015】
MRI装置100は、静磁場発生部1、勾配磁場発生部2、送受信部3、演算・記憶部4、寝台ユニット5、高周波(RF)コイルユニット6、位置検出ユニット7、ユーザインタフェースユニット8および制御部9を備えている。
【0016】
静磁場発生部1はさらに、主磁石11および静磁場電源12を含む。主磁石11としては、例えば超伝導磁石が利用される。静磁場電源12は、主磁石11に電流を供給する。主磁石11は、強力な静磁場を形成する。
【0017】
勾配磁場発生部2はさらに、勾配磁場コイル21および勾配磁場電源22を含む。勾配磁場コイル21は、互いに直交するX、YおよびZ軸方向の勾配磁場を形成する。勾配磁場電源22は、勾配磁場コイル21に電流を供給する。勾配磁場コイル21は、静磁場に勾配磁場を重畳する。勾配磁場電源22には、制御部9によって制御信号が供給され、これに応じて勾配磁場コイル21に供給する電流を変化させる。これによって勾配磁場発生部2は、静磁場空間を任意に符号化するための勾配磁場を適宜に形成する。すなわち、勾配磁場電源22からX,Y,Z軸の勾配磁場コイル21に供給されるパルス電流を上述の勾配磁場制御信号に基づいて変化させることにより、X,Y,Z軸方向の勾配磁場は合成され、互いに直交するスライス選択用の勾配磁場、位相エンコード用の勾配磁場および読み出し(周波数エンコード)用の勾配磁場が任意の方向に設定される。
【0018】
なお、主磁石11および勾配磁場コイル21は、空洞を有したガントリに収容される。そして静磁場の中心は上記の空洞内に位置する。
【0019】
送受信部3はさらに、送信器31および受信器32を含む。送信器31は、基準信号発生器、変調器および電力増幅器等を備えており、静磁場の強度に応じて定まる磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数を有した基準信号を選択励起波形で変調することによって高周波の送信信号を得る。送信器31は、得られた送信信号をRFコイルユニット6へ供給する。受信器32は、RFコイルユニット6から出力されるMR信号に対して、中間周波変換、位相検波、更にはフィルタリング等の信号処理を行った後、A/D変換を行なう。更に受信器32は、上記のMR信号がQD方式の体積コイルにより生成される、互いに位相が90°異なる2つのMR信号である場合に位相合わせを行なうための90°移相器を備えている。
【0020】
演算・記憶部4はさらに、高速演算回路41と記憶回路42とを含む。記憶回路42はさらに、MR信号記憶回路421と画像データ記憶回路422とを含む。MR信号記憶回路421は、受信器32によってディジタル化されたMR信号を記憶する。画像データ記憶回路422は、高速演算回路41によって生成される画像データを記憶する。高速演算回路41は、MR信号記憶回路421に記憶されたMR信号に対して2次元フーリエ変換による再構成処理を行ない、実空間の画像データを生成する。
【0021】
寝台ユニット5はさらに、天板51および移動機構部52を含む。天板51の形状は、細長い薄板状である。天板51は、寝台のベース部によってその長手方向(図1中の矢印A,B方向)にスライド可能に指示される。天板51の上面には、被検体Pがその体軸方向が長手方向にほぼ一致するように載置される。従って天板51は、被検体Pを体軸方向に搬送する。そして天板51は、静磁場外から静磁場内に被検体Pを送り込むとともに、静磁場に対する被検体Pの位置を変化させることによって、被検体Pに対するイメージング位置を任意に設定する。移動機構部52は、天板51をその長手方向に移動させる。
【0022】
RFコイルユニット6はさらに、RFコイル61および支持部62を含む。RFコイル61は、送信器31から供給された送信信号に基づいてRFパルスを送信する。またRFコイル61は、被検体Pから放射されたMR信号を検出し、このMR信号を受信器32へ送る。支持部62は、天板51に取り付けられており、RFコイル61を天板51の上方に位置するように支持する。RFコイル61は、支持部62に対して着脱可能である。また支持部62は、天板51の長手方向にスライド可能である。
【0023】
位置検出ユニット7はさらに、コイル位置検出部71および支持体位置検出部72を含む。コイル位置検出部71は、RFコイル61が装着されている位置を検出する。支持体位置検出部72は、支持部62の位置を検出する。
【0024】
ユーザインタフェースユニット8はさらに、入力部81および表示部82を含む。入力部81は、操作卓上にスイッチ、キーボード、マウス等の各種入力デバイスを備えている。入力部81は、操作者により入力される情報や指示を取得する。入力部81が取得する情報は例えば、被検体Pに関する各種の情報や、撮影方式およびパルスシーケンス等の撮影条件や表示条件に関する情報などである。入力部81が取得する指示は例えば、撮影開始の指示、天板51の移動に関する指示等である。表示部82は、ビデオメモリ、変換回路およびモニタを備える。画像データ記憶回路422に保存された画像データが制御部9を介して表示部82に供給されると、表示部82は当該画像データをビデオメモリに記憶する。そして、この画像データと入力部81から入力された被検体情報等の付帯情報とがビデオメモリにおいて合成される。この合成によりビデオメモリにて作成された画像データは、変換回路においてテレビフォーマット変換とD/A変換とが行われて画像信号とされた上で、モニタに供給される。モニタは、画像信号が表す画像を表示する。モニタとしては、cathode-ray tube(CRT)またはliquid crystal display(LCD)などが利用できる。
【0025】
制御部9はさらに、主制御回路91、シーケンス制御回路92および移動機構制御回路93を含む。主制御回路91は、CPUと記憶回路とを備え、MRI装置100を統括して制御する。主制御回路91の記憶回路には、入力部81において取得された撮影条件や表示条件等に関する情報が保存される。主制御回路91のCPUは、記憶回路に記憶された上記の情報に基づき、シーケンス制御回路92に対しパルスシーケンス情報を供給する。パルスシーケンス情報は例えば、勾配磁場コイル21に供給する電流の大きさ、送信信号のレベル、印加時間、印加タイミング等に関する情報である。シーケンス制御回路92は、CPUと記憶回路とを備え、パルスシーケンス情報にしたがって勾配磁場電源22、送信器31および受信器32を制御する。移動機構制御回路93は、CPUと記憶回路とを備え、天板51を移動させるための制御信号を生成し、この制御信号を移動機構部52に供給する。
【0026】
図2および図3はRFコイルユニット6の詳細な構成を示す図である。
【0027】
支持部62は、図2に示す第1の支持体62aおよび第2の支持体62bを含む。第1および第2の支持体62a,62bは、天板51にその長手方向に沿って形成された溝51a,51bにガイドされて、天板51の長手方向にスライド可能である。溝51a,51bは、天板51の長手方向に交差する方向に、被検体Pを載置するのに十分な距離を置いて平行している。
【0028】
さて図2および図3に示すようにRFコイルユニット6は、RFコイル61および支持部62の他に、ソケット63、凹部64、連結部材65a,65b、プラグ66および嵌合部材67を含む。
【0029】
複数のソケット63が、天板51の長手方向に沿って配列された状態で第1の支持体62aに設けられる。ソケット63と同数の凹部64が、ソケット63とそれぞれ対を形成するように配列された状態で第1の支持体62aに設けられる。なお、本実施形態においては、3対のソケット63および凹部64を設けているが、この数は任意であって良い。
【0030】
連結部材65a,65bは、例えばフレキシブルなベルト状の部材である。連結部材65aは、一端がRFコイル61に取り付けられ、他端がプラグ66に取り付けられている。連結部材65bは、一端がRFコイル61に取り付けられ、他端が嵌合部材67に取り付けられている。
【0031】
プラグ66は、ソケット63に対して挿抜可能である。プラグ66がソケット63に挿入されているときに、RFコイル61が送信器31および受信器32に電気的に接続されるように電気配線がなされている。またプラグ66がソケット63に装着されているときにはプラグ66がソケット63に嵌合する。つまりソケット63およびプラグ66は、RFコイル61をMRI装置の本体側に電気的に接続するとともに機械的に固定するためのコネクタを構成している。
【0032】
嵌合部材67は、凹部64に対して挿抜可能である。嵌合部材67が凹部64に挿入されているときには嵌合部材67が凹部64に嵌合する。かくして凹部64および嵌合部材67は、RFコイル61をMRI装置の本体側に機械的に固定するための固定部を構成している。
【0033】
かくして、プラグ66をソケット63に挿入するとともに、嵌合部材67を凹部64に挿入することによって、一対のソケット63および凹部64に対して1つのRFコイル61が組み付けられる。このように組み付けられたRFコイル61の第1および第2の支持体62a,62bに対する相対的な位置は、プラグ66および嵌合部材67がソケット63および凹部64にそれぞれ嵌合していることによって天板51の長手方向に関して規定される。すなわち、対をなすソケット63および凹部64のそれぞれにより形成される3つの装着位置のそれぞれに、任意にRFコイル61を装着することが可能である。
【0034】
ソケット63は、プラグ66が挿入されているか否かを表す第1の検出信号をコイル位置検出部71へと出力する機能を備える。この機能は例えば、プラグ66が挿入されることによって閉じる電気的接点をソケット63に設けて、上記の電気的接点が閉じた際にソケット63のID情報を含んだ検出信号を出力する構成によって実現できる。
【0035】
第1の支持体62aは、天板51に対する相対的な位置を表した第2の検出信号を支持体位置検出部72へと出力する機能を備える。この機能は、例えば周知の位置検出センサを用いることなどによって実現できる。
【0036】
次に以上のように構成されたMRI装置の動作について説明する。
【0037】
天板51をガントリから引き出し、かついずれのRFコイル61も装着されない状態では、天板51上に被検体Pを容易に載置することができる。操作者は、天板51上に被検体Pを載置した後に、被検体Pの撮像対象となる部位に応じて、任意の数のRFコイル61を装着する。この際、例えば先にプラグ66をソケット63に挿入するならば、第1の支持体62aを若干移動させることによって、RFコイル61と被検体Pとの相対的な位置関係を微調整することができる。第1の支持体62aが、ソケット63の配置ピッチの1/2程度の距離を移動可能であれば、上記の微調整の自由度が高い。続いて、当該凹部64がプラグ66を挿入済みのソケット63に対向するように第2の支持体62bを若干移動させることによって、嵌合部材67を凹部64に容易に挿入することができる。もちろん、先に嵌合部材67を凹部64に挿入した後に、プラグ66をソケット63に挿入することも可能である。
【0038】
このようにRFコイル61を装着するためにプラグ66が挿入されたソケット63からは、第1の検出信号がコイル位置検出部71へと出力されるようになる。コイル位置検出部71は、入力される第1の検出信号に含まれるID情報に基づいて、RFコイル61が装着されている装着位置を検出する。コイル位置検出部71は、検出結果を表したコイル位置情報を主制御回路91へ送る。
【0039】
一方、支持体位置検出部72は、第1の支持体62aから出力される第2の検出信号に基づいて、支持体62aの位置を検出する。支持体位置検出部72は、検出結果を表した支持体位置情報を主制御回路91へ送る。
【0040】
ここで、主制御回路91は、検出された複数のRFコイル61のコイル位置情報に基づいて、所望の撮影領域において十分な感度を得られるRFコイル61を選択してMR画像の撮影を開始する。RFコイル61で得られたRF信号に基づいて、高速演算回路41にてMR画像の再構成が行われる。再構成されたMR画像は、表示部82にて表示される。
【0041】
また、十分な感度のRFコイル61が存在しない、または不十分であると判断した場合には、例えば撮影動作を解除し、その他のRFコイル61のコイル位置情報に基づいて、同様の手順で、感度が判定されて、所望の撮像領域におけるMR画像の撮影が行われる。
【0042】
あるいは主制御回路91は、コイル位置情報と支持体位置情報とに基づいて、装着されているRFコイル61の天板51に対する相対的な位置を判断する。そして主制御回路91は、天板51を移動させながらの撮像を行う場合には、天板51の位置と装着されているRFコイル61の天板51に対する相対的な位置とに基づいて、適切なRFコイル61を撮像に用いるように制御することもできる。なお適切なRFコイル61は、静磁場の中心の最も近くに位置するRFコイル61とするのが好ましい。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、それぞれが一対のソケット63および凹部64によって形成される複数の装着可能位置に対してRFコイル61を任意に装着可能である。そして装着されたRFコイル61の設置位置は、RFコイル61を装着するためにプラグ66が複数のソケット63のいずれに挿入されたかに基づいて検出する。かくして本実施形態のMRI装置では、任意に装着されたRFコイル61の設置位置を正確に把握することが可能である。そして、RFコイル61の設置位置を考慮して適切なRFコイル61を選択的に撮像に使用するようにすることによって、再構成のための処理を軽減するとともに、不必要な画像が得られることを防止した効率的な撮像を、操作者の負担を増加させること無しに行うことが可能となる。
【0044】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0045】
RFコイル61を位置決めするための構造は、上記の実施形態に示したものには限定されず、他の各種の位置決め構造に変更することが可能である。例えば、凹部64および嵌合部材67に代えてソケットおよびプラグを設けるようにしても良い。例えば、ソケット63およびプラグ66と、凹部64および嵌合部材67とのいずれかを設けないようにしても良い。なお、ソケット63およびプラグ66を設けない場合には、別途ケーブルなどを用いてRFコイル61と送受信部3とを電気的に接続する。ソケット63をRFコイル61側に取り付け、プラグ66を天板51側に設けても良い。凹部64をRFコイル61側に取り付け、嵌合部材67を天板51側に設けても良い。
【0046】
第1および第2の支持体62a,62bを設けずに、ソケット63および凹部64を天板51に直接的に設けるようにしても良い。第1および第2の支持体62a,62bを天板51に固定して設けるようにしても良い。これらの場合には、支持体位置検出部72を省略することも可能である。また主制御回路91においては、装着されているRFコイル61の天板51に対する相対的な位置をコイル位置情報のみに基づいて判断することも可能である。
【0047】
第1の検出信号をコイル位置検出部71へと出力する機能は、凹部64、第1の支持体62a、第2の支持体62b、あるいは天板51などに設けることも可能である。
【0048】
第1の検出信号をパラレルにコイル位置検出部71に入力するようにして、コイル位置検出部71ではどの第1の検出信号が入力されているかに基づいてRFコイル61の位置を検出することも可能である。この場合には、第1の検出信号にID情報を含める必要が無い。
【0049】
RFコイル61にRFコイル61の個々を識別するためのID情報やRFコイル61の種類を識別するためのID情報を出力する機能を備えて、このID情報を第1の検出信号に含めるようにしても良い。このようにした場合、RFコイル61が持つコイルエレメントのプラグ66に対する相対的な位置が異なる複数の種類のRFコイル61を装着可能として、かつ装着されているRFコイル61におけるコイルエレメントの位置をプラグ66に対する相対的な位置の違いをも考慮して正確に検出することが可能となる。また、複数のコイルエレメントを内蔵するRFコイル61が挿着された場合に、各コイルエレメントの個々の位置を検出することも可能である。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の一実施形態に係るMRI装置のブロック図。
【図2】図1中のRFコイルユニットの詳細な構成を示す図。
【図3】図1中のRFコイルユニットの詳細な構成を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1…静磁場発生部、2…勾配磁場発生部、3…送受信部、4…演算・記憶部、5…寝台ユニット、6…高周波(RF)コイルユニット、7…位置検出ユニット、8…ユーザインタフェースユニット、9…制御部、11…主磁石、12…静磁場電源、21…勾配磁場コイル、22…勾配磁場電源、31…送信器、32…受信器、41…高速演算回路、42…記憶回路、51…天板、51a,51b…溝、52…移動機構部、61…RFコイル、62…支持部、62a…第1の支持体、62b…第2の支持体、63…ソケット、64…凹部、65a,65b…連結部材、66…プラグ、67…嵌合部材、71…コイル位置検出部、72…支持体位置検出部、81…入力部、82…表示部、91…主制御回路、92…シーケンス制御回路、93…移動機構制御回路、100…MRI装置、421…信号記憶回路、422…画像データ記憶回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象となる被検体を載置するための天板と、
前記天板に対して着脱可能な高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部と、
前記高周波コイルの設置位置を、当該高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかに基づいて検出する検出部とを具備したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記高周波コイルを前記天板に電気的および機械的に接続するために互いに嵌合する第1および第2の部材の一方と、前記高周波コイルを前記天板に固定するために互いに嵌合する第3および第4の部材一方とのうちの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記第1および前記第2の部材の一方と、前記第3および第4の部材の一方とを、前記天板に載置される前記被検体の体軸を挟んで対向するように配置したことを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記天板に対して前記被検体の体軸方向に移動可能に配置される支持体をさらに備え、
前記検出部は、前記支持体の位置を加味して前記高周波コイルの位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記高周波コイルをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記位置決め部は、前記第1および第2の部材の一方と前記第3および第4の部材の一方との少なくともいずれか一方を含み、
前記高周波コイルには、前記第1乃至第4の部材のうちで前記位置決め部に含まれる部材と嵌合する部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記第1乃至第4の部材のうちの少なくともいずれか1つは、ベルト状の連結部材を介して前記高周波コイルに取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記複数の位置決め部にそれぞれ対応した複数の発生部をさらに備え、前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部に対応する前記発生部が、対応する前記位置決め部を識別する識別信号を発生し、
かつ前記検出部は、前記発生部が発生する識別信号に基づいて前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部を判断することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記複数の位置決め部にそれぞれ対応した複数の発生部をさらに備え、前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部に対応する前記発生部が、対応する前記位置決め部を識別するとともに、対応する前記位置決め部により設置位置が定められている前記高周波コイルを識別する識別信号を発生し、
かつ前記検出部は、前記発生部が発生する識別信号に基づいて前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部と前記高周波コイルとを識別し、これに基づいて前記高周波コイルに内蔵されるコイルエレメントの位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
前記検出部は、前記高周波コイルに複数のコイルエレメントが内蔵される場合に、これら複数のコイルエレメントの位置をそれぞれ検出することを特徴とする請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、
前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、
前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、
前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを具備したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
前記位置決め部は、前記高周波コイルを前記天板に電気的および機械的に接続するために互いに嵌合する第1および第2の部材の一方と、前記高周波コイルを前記天板に固定するために互いに嵌合する第3および第4の部材一方とのうちの少なくとも一方を含み、
前記高周波コイルには、前記第1乃至第4の部材のうちで前記位置決め部に含まれる部材と嵌合する部材が取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
前記位置決め部は、前記第1および第2の部材の一方と、前記第3および第4の部材一方との双方を含み、
前記位置決め部が含む前記第1または第2の部材と前記第3または第4の部材とが互いにほぼ同ピッチで配置されていることを特徴とする請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
前記第1および前記第2の部材の一方と、前記第3および第4の部材の一方とを、前記天板に載置される前記被検体の体軸を挟んで対向するように配置したことを特徴とする請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項15】
前記高周波コイルの設置位置を、当該高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかに基づいて検出する検出部をさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項16】
前記天板に対して前記被検体の体軸方向に移動可能に配置される支持体をさらに備え、
前記検出部は、前記支持体の位置を加味して前記高周波コイルの位置を検出することを特徴とする請求項15に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項17】
前記第1乃至第4の部材のうちの少なくともいずれか1つは、ベルト状の連結部材を介して前記高周波コイルに取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項18】
前記複数の位置決め部にそれぞれ対応した複数の発生部をさらに備え、前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部に対応する前記発生部が、対応する前記位置決め部を識別する識別信号を発生し、
かつ前記検出部は、前記発生部が発生する識別信号に基づいて前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部を判断することを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項19】
前記複数の位置決め部にそれぞれ対応した複数の発生部をさらに備え、前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部に対応する前記発生部が、対応する前記位置決め部を識別するとともに、対応する前記位置決め部により設置位置が定められている前記高周波コイルを識別する識別信号を発生し、
かつ前記検出部は、前記発生部が発生する識別信号に基づいて前記高周波コイルの設置位置を定めるために使用されている前記位置決め部と前記高周波コイルとを識別し、これに基づいて前記高周波コイルに内蔵されるコイルエレメントの位置を検出することを特徴とする請求項11に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項20】
前記検出部は、前記高周波コイルに複数のコイルエレメントが内蔵される場合に、これら複数のコイルエレメントの位置をそれぞれ検出することを特徴とする請求項19に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項21】
被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、
前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、
前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、
前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部と、
前記高周波コイルの設置位置を、当該高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかに基づいて検出する検出部とを具備したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項22】
撮像対象となる被検体を載置するための天板と、前記天板に対して着脱可能な高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを具備した磁気共鳴イメージング装置における前記高周波コイルの設置位置を検出する方法において、
前記高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかを認識し、
この認識した前記位置決め部が前記複数の位置決め部のいずれであるかに基づいて前記高周波コイルの設置位置を検出することを特徴とする方法。
【請求項23】
撮像対象となる被検体を載置する天板を有するとともに前記被検体をその体軸方向に移動させるために前記天板を第1の方向にスライドさせる寝台と、前記寝台によって静磁場中に送り込まれた前記被検体に対して傾斜磁場および高周波パルスを印加する印加部と、前記傾斜磁場および前記高周波パルスの印加に応じて前記被検体から放射される磁気共鳴信号をそれぞれ検出するための少なくとも1つの高周波コイルと、前記高周波コイルの設置位置をそれぞれ異なる複数の位置に定める複数の位置決め部とを具備した磁気共鳴イメージング装置における前記高周波コイルの設置位置を検出する方法において、
前記高周波コイルの設置位置を定めるために前記複数の位置決め部のいずれが使用されているかを認識し、
この認識した前記位置決め部が前記複数の位置決め部のいずれであるかに基づいて前記高周波コイルの設置位置を検出することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−144140(P2007−144140A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287950(P2006−287950)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】