説明

磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴イメージング方法

【課題】高速な撮像を実現すると共にアーチファクト発生を防止し画像品質を向上する。
【解決手段】FIESTAにて被検体で撮像する際に、互いに逆位相の関係にある第1RFパルスRFと第2RFパルスRFとを一対とし、それぞれに対応する第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とに同じ位相エンコードを施し、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性のステップに対応するように順次収集する。その後、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集した時間軸方向で交互になるように、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2との一方についての複素共役データMR1*,MR2*を、k空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応するように、順次生成し、k空間を埋める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴イメージング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置は、医療用途、産業用途などのさまざまな分野において利用されている。
【0003】
磁気共鳴イメージング装置は、静磁場空間内の被検体のスピンを核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)現象によって励起させ、その励起に伴って発生する磁気共鳴(MR)信号に基づいて、被検体のスライスについての画像を生成する。
【0004】
磁気共鳴イメージング装置においては、撮像目的に応じて、さまざまな撮像方法で被検体を撮像している。たとえば、磁気共鳴イメージング装置において用いられる撮像方法として、FIESTAと呼ばれる方法が知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0005】
この方法は、縦緩和時間と横緩和時間との両者よりも短い繰り返し時間(TR:Time of Repetition)で、RF(Radio Frequency)パルスを被検体に送信し、被検体のスピンの縦磁化と横磁化とを定常状態(SSFP:Steady State Free Precession)にする。そして、その定常状態において発生する磁気共鳴信号に基づいて、被検体のスライスについて撮像する。そして、ここでは、TR内に印加される勾配磁場の時間積分値がゼロになるように、スライス選択方向と位相エンコード方向と周波数エンコード方向とのそれぞれに勾配磁場を印加している。つまり、磁気共鳴信号の収集後に横磁化をリワインドし、勾配磁場によりエンコードされた位相をリセットしている。このため、本撮像方法においては、FID(Free Induction Decay)信号とエコー信号とを含む磁気共鳴信号を収集しているために、信号強度が大きくなって、高いコントラストの画像を高速に撮像することを実現できる。
【特許文献1】特許2898329号公報
【特許文献2】特開2003−10148号公報
【特許文献3】特開2003−319917号公報
【特許文献4】特開2003−310572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本撮像方法においては、TR内で3軸の勾配磁場をリワインドし、FID信号とエコー信号との両者を含むように磁気共鳴信号を収集しているために、渦電流や残留磁化などの影響によって各TRの信号間に位相差が発生した場合には、画像へのアーチファクトの発生が顕在化する場合がある。たとえば、ゴーストやシェーディングやバンドなどのアーチファクトが発生する場合がある。特に、画像のコントラストを向上させるために、セントリックオーダーやセグメントセントリックオーダーで位相エンコードを施す場合には、隣接するTR間での勾配磁場の強度の差が大きくなるため、渦電流や残留磁化が大きくなってアーチファクトの発生が著しくなる場合があり、画像品質の向上が困難であった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、高速な撮像を実現可能にすると共に、アーチファクトの発生を防止して画像品質を向上可能な磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴イメージング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的の達成のために本発明の磁気共鳴イメージング装置は、静磁場内の被検体にRFパルスを送信し、前記被検体のスピンを励起させる送信部と、前記送信部によって励起される前記被検体のスライスを選択するように、前記被検体のスライス選択方向に勾配磁場を印加するスライス選択勾配磁場印加部と、前記RFパルスにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードするように、前記被検体の位相エンコード方向に勾配磁場を印加する位相エンコード勾配磁場印加部と、前記RFパルスにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードするように、前記被検体の周波数エンコード方向に勾配磁場を印加する周波数エンコード勾配磁場印加部と、前記位相エンコードと前記周波数エンコードとが施された前記磁気共鳴信号をk空間に対応するように収集するデータ収集部と、前記データ収集部により収集された前記磁気共鳴信号に基づいて、前記被検体の前記スライスについての画像を生成する画像生成部とを有し、前記送信部は、前記スライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるような繰り返し時間で前記RFパルスを前記被検体に送信し、前記スライス選択勾配磁場印加部と前記位相エンコード勾配磁場印加部と前記周波数エンコード勾配磁場印加部とのそれぞれは、前記繰り返し時間内における時間積分値がゼロになるように前記勾配磁場のそれぞれを前記被検体に印加する磁気共鳴イメージング装置であって、前記送信部は、前記RFパルスとして、第1RFパルスと、前記第1RFパルスの位相に対して逆位相になる第2RFパルスとを前記繰り返し時間で交互に繰り返して送信し、前記位相エンコード勾配磁場印加部は、前記第1RFパルスに対応する第1磁気共鳴信号と、前記第2RFパルスに対応する第2磁気共鳴信号とが前記磁気共鳴信号として前記k空間の位相エンコード方向における同じステップに対応して前記データ収集部によって収集されるように、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を印加すると共に、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とが前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応して前記データ収集部によって収集されるように、順次、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を前記繰り返し時間で繰り返して印加し、前記データ収集部は、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれか一方を前記繰り返し時間において交互になるように選択し、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集すると共に、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性の前記磁気共鳴信号として選択されなかった他方の前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれかについての複素共役データを生成し、前記複素共役データを前記k空間の位相エンコード方向における他方の極性のステップに対応した前記磁気共鳴信号として収集する。
【0009】
上記目的の達成のために本発明の磁気共鳴イメージング方法は、静磁場内の被検体にRFパルスを送信すると共に、前記被検体のスライス選択方向に勾配磁場を印加し、前記スライス選択方向の勾配磁場により選択された前記被検体のスピンを励起する第1ステップと、前記被検体の位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、前記第1ステップにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする第2ステップと、前記被検体の周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、前記第1ステップにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする第3ステップと、前記第2ステップと前記第3ステップとにより前記位相エンコードと前記周波数エンコードとが施された前記磁気共鳴信号をk空間に対応するように収集する第4ステップと、前記第4ステップにより収集された磁気共鳴信号に基づいて、前記被検体の前記スライスについての画像を生成する第5ステップとを有し、前記スライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるような繰り返し時間で前記RFパルスを前記被検体に送信し、前記繰り返し時間内における時間積分値がゼロになるように前記勾配磁場のそれぞれを前記被検体に印加する磁気共鳴イメージング方法であって、前記第1ステップでは、前記RFパルスとして、第1RFパルスと、前記第1RFパルスの位相に対して逆位相になる第2RFパルスとを前記繰り返し時間で交互に繰り返して送信し、前記第2ステップでは、前記第1RFパルスに対応する第1磁気共鳴信号と、前記第2RFパルスに対応する第2磁気共鳴信号とが前記磁気共鳴信号として前記k空間の位相エンコード方向における同じステップに対応して前記第4ステップで収集されるように、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を印加すると共に、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とが前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応して前記第4ステップで収集されるように、順次、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を前記繰り返し時間で繰り返して印加し、前記第4ステップでは、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれか一方を前記繰り返し時間において交互になるように選択し、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集すると共に、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性の前記磁気共鳴信号として選択されなかった他方の前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれかについての複素共役データを生成し、前記複素共役データを前記k空間の位相エンコード方向における他方の極性のステップに対応した前記磁気共鳴信号として収集する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高速な撮像を実現可能にすると共に、アーチファクトの発生を防止して画像品質を向上可能な磁気共鳴イメージング装置および磁気共鳴イメージング方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下より、本発明にかかる実施形態の一例について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を示す構成図である。
【0013】
図1に示すように、磁気共鳴イメージング装置は、静磁場マグネット部12と、勾配コイル部13と、RFコイル部14と、RF駆動部22と、勾配駆動部23と、データ収集部24と、制御部25と、クレードル26と、データ処理部31と、操作部32と、表示部33とを有する。
【0014】
以下より、各構成要素について、順次、説明する。
【0015】
静磁場マグネット部12は、被検体が収容される撮像空間11に静磁場を形成するために設けられている。静磁場マグネット部12は、一対の永久磁石により構成されている。そして、静磁場マグネット部12は、静磁場の方向が被検体40の体軸方向に対して垂直な方向Zに沿うように構成されている。なお、静磁場マグネット部12は、超伝導磁石により構成されていてもよい。
【0016】
勾配コイル部13は、静磁場が形成された撮像空間11に勾配磁場を形成し、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号に位置情報を付加する。ここでは、勾配コイル部13は、3系統を有し、撮像条件に応じて、スライス選択方向に勾配磁場を形成するスライス選択勾配磁場印加部13aと、位相エンコード方向に勾配磁場を形成する位相エンコード勾配磁場印加部13bと、周波数エンコード方向に勾配磁場を形成する周波数エンコード勾配磁場印加部13cとして、それぞれが機能する。勾配コイル部13においては、スライス選択勾配磁場印加部13aは、被検体40のスライス選択方向に勾配磁場を印加し、RFコイル部14がRFパルスを送信することによって励起させる被検体40のスライスを選択する。そして、位相エンコード勾配磁場印加部13bは、被検体の位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする。そして、周波数エンコード勾配磁場印加部13cは、被検体の周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、RFパルスにより励起されたスライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
【0017】
RFコイル部14は、図1に示すように、被検体40の撮像領域を囲むように配置される。RFコイル部14は、静磁場マグネット部12により静磁場が形成される撮像空間11内において、電磁波であるRFパルスを被検体に送信して高周波磁場を形成し、被検体40の撮像領域におけるプロトンのスピンを励起する。そして、RFコイル部14は、その励起された被検体40内のプロトンから発生する電磁波を磁気共鳴信号として受信する。
【0018】
RF駆動部22は、RFコイル部14を駆動させて撮像空間11内に高周波磁場を形成するために、ゲート変調器(図示なし)とRF電力増幅器(図示なし)とRF発振器(図示なし)とを有する。RF駆動部22は、制御部25からの制御信号に基づいて、RF発振器からのRF信号を、ゲート変調器を用いて所定のタイミングおよび所定の包絡線の信号に変調する。そして、ゲート変調器により変調されたRF信号を、RF電力増幅器により増幅した後、RFコイル部14に出力する。
【0019】
勾配駆動部23は、制御部25からの制御信号に基づいて、勾配パルスを勾配コイル部13に印加して駆動させ、静磁場が形成されている撮像空間11内に勾配磁場を発生させる。勾配駆動部23は、3系統の勾配コイル部13に対応して3系統の駆動回路(図示なし)を有する。
【0020】
データ収集部24は、制御部25からの制御信号に基づいて、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号を収集し、データ処理部31に出力する。データ収集部24は、位相エンコードと周波数エンコードとが施された磁気共鳴信号を、k空間に対応するように収集する。ここでは、データ収集部24は、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号をRF駆動部22のRF発振器の出力を参照信号として位相検波器が位相検波した後に、そのアナログ信号の磁気共鳴信号をA/D変換器がデジタル信号に変換する。そして、その収集した磁気共鳴信号をメモリに記憶後、データ処理部31に出力する。
【0021】
制御部25は、コンピュータと、所定のパルスシーケンスに対応するようにコンピュータに各部の機能を実行させるプログラムとを有する。そして、制御部25は、操作部32からデータ処理部31を介して入力される操作信号に基づいて、RF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とのそれぞれに、所定のパルスシーケンスを実行させる制御信号を出力し制御を行う。
【0022】
クレードル26は、被検体40を載置する台である。クレードル部26は、制御部25からの制御信号に基づいて、撮像空間11の内部と外部との間を移動する。
【0023】
データ処理部31は、コンピュータと、所定のデータ処理をコンピュータに実行させるプログラムとを有する。データ処理部31は、操作部32に接続されており、操作部32からの操作信号が入力される。そして、データ処理部31は、制御部25に接続されており、オペレータによって操作部32に入力される操作信号を制御部25に出力する。また、データ処理部31は、データ収集部24に接続されており、データ収集部24が収集された磁気共鳴信号を取得し、その取得した磁気共鳴信号に対して画像処理を行って、被検体のスライスについての画像を生成する。そして、データ処理部31は、その生成した画像を表示部33に出力する。
【0024】
操作部32は、キーボードやマウスなどの操作デバイスにより構成されている。操作部32は、オペレータによって操作され、その操作に応じた操作信号をデータ処理部31に出力する。
【0025】
表示部33は、CRTなどの表示デバイスにより構成されている。表示部33は、被検体40からの磁気共鳴信号に基づいて生成される被検体のスライスについての画像を表示する。
【0026】
なお、上記の実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、勾配コイル部13は、本発明のスライス選択勾配磁場印加部、位相エンコード勾配磁場印加部、周波数エンコード勾配磁場印加部に相当する。また、本実施形態のRFコイル部14は、本発明の送信部に相当する。また、本実施形態のデータ収集部24は、本発明のデータ収集部に相当する。また、本実施形態のデータ処理部31は、本発明の画像生成部に相当する。また、本実施形態の表示部33は、本発明の表示部に相当する。
【0027】
以下より、上記の本実施形態の磁気共鳴イメージング装置を用いて、被検体のスライスを撮像する磁気共鳴イメージング方法について説明する。
【0028】
はじめに、クレードル26に被検体40を載置した後、被検体40の撮像領域に対応するようにRFコイル部14を設置する。そして、オペレータにより操作部32に入力される撮像条件に基づいて、操作部32が操作信号を制御部25にデータ処理部31を介して出力する。ここでは、TR,TE,フリップアングルαなどがオペレータにより入力される。
【0029】
そして、操作部32に入力された撮像条件に基づいて、被検体40が載置されているクレードル26を、静磁場が形成されている撮像空間11内に移動するように、制御部25が制御する。
【0030】
そして、その操作信号に基づいて、制御部25がRF駆動部22と勾配駆動部23とデータ収集部24とのそれぞれに制御信号を出力し、被検体40にRFパルスと勾配磁場とをTRごとに印加して、その被検体40から発生する磁気共鳴信号を収集する。ここでは、FIESTAに基づいて、磁気共鳴信号を収集する。具体的には、被検体のスライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるようなTRでRFパルスを被検体に送信する。そして、これと共に、各TRでのスライス選択方向Gsと周波数エンコード方向Grとの勾配磁場を、エコー時間TEを中心とした時間軸方向において対称になるように印加する。また、各TRでの位相エンコード方向Gpの勾配磁場を、エコー時間TEを中心とした時間軸方向において反対称になるように印加する。つまり、スライス選択方向Gsと位相エンコード方向Gpと周波数エンコード方向Grとのそれぞれの勾配磁場を、それぞれのTR内において時間積分値がゼロになるように印加する。
【0031】
図2は、本実施形態の制御部25が各部を制御する手順を示すパルスシーケンス図である。図2においては、RFパルスRFと、スライス選択方向Gsの勾配磁場と、位相エンコード方向Gpの勾配磁場と、周波数エンコード方向Grの勾配磁場とを、2つのTRに対応するように示している。なお、ここでは、縦軸が磁場強度を示し、横軸が時間を示している。
【0032】
まず、第1繰り返し時間TRにおいては、図2に示すように、第1RFパルスRFによる被検体40への高周波磁場の印加を、RFコイル部14が行う。たとえば、フリップアングルαが30°になるように高周波磁場を被検体40に印加する。そして、この時、被検体40のスライスを選択するように、勾配コイル部13が第1スライス選択方向勾配磁場Gsを被検体40のスライス選択方向Gsに印加する。これによって、選択された被検体40のスライスにおけるプロトンのスピンが励起されて、磁気共鳴信号が発生する。
【0033】
つぎに、第2スライス選択方向勾配磁場Gsを勾配コイル部13がスライス選択方向Gsに印加する。ここでは、第2スライス選択方向勾配磁場Gsは、前述の第1スライス選択方向勾配磁場Gsの時間積分値の絶対値の半分であって逆極性であると共に、後述する第3スライス選択方向勾配磁場Gsと同じ時間積分値になるように印加される。これにより、第1スライス選択方向勾配磁場Gsが印加されて分散された被検体40のスピンの位相が、同位相になるように補正される。
【0034】
そして、第2スライス選択方向勾配磁場Gsを印する際においては、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを勾配コイル部13が位相エンコード方向Gpに印加すると共に、第1周波数エンコード方向勾配磁場Grを勾配コイル部13が周波数エンコード方向Grに印加する。ここでは、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpは、k空間の位相エンコード方向Gpにおけるステップに対応する磁場強度で印加され、磁気共鳴信号を位相エンコードする。一方、第1周波数エンコード方向勾配磁場Grは、後述する第2周波数エンコード方向勾配磁場Grの時間積分値の絶対値に対して半分の時間積分値であって逆極性の勾配磁場として印加され、磁気共鳴信号をサンプリングする読み出し時間TSの前にスピンの位相を分散し、エコー時間TEにてスピンが同位相になるように調整する。
【0035】
つぎに、第2周波数エンコード方向勾配磁場Grを勾配コイル部13が周波数エンコード方向Grに印加する。第2周波数エンコード方向勾配磁場Grは、読み出し時間TSに対応するように印加され、磁気共鳴信号を周波数エンコードする。
【0036】
そして、第2周波数エンコード方向勾配磁場Grの印加時においては、制御部25がデータ収集部24に制御信号を送信し、RFコイル部14が受信する磁気共鳴信号をデータ収集部24に収集させる。ここでは、オペレータによって操作部32に入力された周波数エンコード方向Grのステップに対応するようなサンプリング間隔で、データ収集部24が磁気共鳴信号として第1磁気共鳴信号MR1を収集する。そして、その収集した第1磁気共鳴信号MR1をデータ収集部24がデータ処理部31に出力する。
【0037】
つぎに、読み出し時間TSの後に、第1スライス選択方向勾配磁場Gsと第2スライス選択方向勾配磁場Gsとをキャンセルするように、勾配コイル部13が第3スライス選択方向勾配磁場Gsをスライス選択方向Gsに印加する。ここでは、第3スライス選択方向勾配磁場Gsは、前述の第2スライス選択方向勾配磁場Gsと同じ時間積分値であって、第1スライス選択方向勾配磁場Gsの時間積分値の絶対値の半分の時間積分値になるようにスライス選択方向Gsに印加される。つまり、第3スライス選択方向勾配磁場Gsは、データ収集後に残る横磁化を巻き戻すためのリワインダー勾配磁場であり、第1スライス方向勾配磁場Gsを印加する前の状態に、スライス選択方向Gsにおける勾配磁場をリセットする。
【0038】
また、第3スライス選択方向勾配磁場Gsの印加時においては、勾配コイル部13は、第2位相エンコード方向勾配磁場Gpを印加すると共に、第3周波数エンコード方向勾配磁場Grを印加する。第2位相エンコード方向勾配磁場Gpは、第3スライス選択方向勾配磁場Gsと同様に、リワインダー勾配磁場であり、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpをキャンセルするように位相エンコード方向Gpに印加される。つまり、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpをと同じ時間積分値であって逆極性となるように、勾配コイル部13が第2位相エンコード方向勾配磁場Gpを位相エンコード方向Gpに印加し、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを印加する前の状態になるように位相エンコード方向Gpにおける勾配磁場をリセットする。また、第3周波数エンコード方向勾配磁場Grも同様に、リワインダー勾配磁場であり、第1周波数エンコード方向勾配磁場Grと第2周波数エンコード方向勾配磁場Grとをキャンセルするように、周波数エンコード方向Grに印加される。ここでは、前述の第1周波数エンコード方向勾配磁場Grと同じ時間積分値であって、第2周波数エンコード方向勾配磁場Grの時間積分値の絶対値の半分の時間積分値になるように、第3周波数エンコード方向勾配磁場Grが印加される。そして、第1周波数エンコード方向勾配磁場Grを印加する前の状態になるように、周波数エンコード方向Grにおける勾配磁場をリセットする。
【0039】
つぎに、第2繰り返し時間TRにおいては、第1RFパルスRFの印加からTR経過後に、再度、同じフリップアングルαの第2RFパルスRFの印加を行う。ここでは、前述したように、被検体のスライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるようなTRで、第1RFパルスRFと、第2RFパルスRFとを被検体に送信する。そして、これと共に、第1RFパルスRFの位相に対して第2RFパルスRFの位相が逆位相になるように、第2RFパルスRFを被検体に送信する。つまり、第1RFパルスRFと第2RFパルスRFとによる高周波磁場が180°の位相差を互いに有するように、第1RFパルスRFと第2RFパルスRFとを、TRごとに交互に被検体に送信する。
【0040】
そして、第1繰り返し時間TRの場合と同様に、各勾配磁場を印加し、磁気共鳴信号として第2磁気共鳴信号MR2を収集する。
【0041】
図3は、本実施形態において、TRごとに磁気共鳴信号を位相エンコードする第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを示す図であり、縦軸が磁場強度を示し、横軸が時間を示している。また、図3においては、第1繰り返し時間TRの場合を白丸で表記し、第2繰り返し時間TRの場合を黒丸で表記している。
【0042】
図3に示すように、第2繰り返し時間TRにおいては、第1RFパルスRFに対応する第1磁気共鳴信号MR1と、その第1RFパルスRFに対して逆位相になる第2RFパルスRFに対応する第2磁気共鳴信号MR2とが、k空間の位相エンコード方向Gpにおける同じステップに対応してデータ収集部24によって磁気共鳴信号として収集されるように、位相エンコード勾配磁場印加部13bが、位相エンコード方向Gpに勾配磁場を印加する。つまり、第2繰り返し時間TRにおいては、第1繰り返し時間TRと同じ位相エンコード方向Gpのステップに対応するように、第1繰り返し時間TRと同じ第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを位相エンコード方向Gpに印加する。ここでは、位相エンコード勾配磁場印加部13bは、第1繰り返し時間TRの場合と同様に、データ収集部24がk空間の位相エンコード方向Gpにおいて最も低空間周波数側の第1ステップに対応するように、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを位相エンコード方向Gpに印加する。
【0043】
その後、図3に示すように、第1繰り返し時間TRと第2繰り返し時間TRとを一対として、位相エンコード方向Gpの勾配磁場の時間積分値を位相エンコードステップに対応して変化させて、本パルスシーケンスを繰り返す。具体的には、各TRにおいて、第1RFパルスRFと第2RFパルスRFとをTRごとに交互に繰り返して送信し、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを、位相エンコードステップごとに一対として収集する。
【0044】
そして、ここでは、k空間の位相エンコード方向Gpにおいて隣接するステップについての磁気共鳴信号を、データ収集部24が、順次、収集するように、位相エンコード勾配磁場印加部13bが第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを被検体に印加する。そして、さらに、位相エンコード勾配磁場印加部13bは、データ収集部24がk空間の位相エンコード方向Gpにおいて低空間周波数側のステップから高空間周波数側のステップへ、順次、磁気共鳴信号を収集するように、第1位相エンコード方向勾配磁場Gpを被検体に印加する。
【0045】
図4は、k空間と、そのk空間に対応するように収集される第1磁気共鳴信号MR1および第2磁気共鳴信号MR2との関係を示す図である。
【0046】
本実施形態においては、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とをk空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性のステップに対応するようにデータ収集部24が収集し記憶する。たとえば、図4に示すように、k空間に位相エンコード方向Gpにおいて、正の極性のステップを埋めるように、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集する。つまり、k空間の半分を埋めるように第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集する。
【0047】
そして、ここでは、前述したように、k空間の位相エンコード方向Gpにおいて隣接するステップについての第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを、データ収集部24が、順次、収集する。たとえば、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpにおいて低空間周波数側のステップから高空間周波数側のステップへと順次生めるように、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集する。具体的には、図4に示すように、k空間の位相エンコード方向Gpの正極性における低空間周波側の第1位相エンコードステップから、順次、第2位相エンコードステップ,第3位相エンコードステップ,第4位相エンコードステップとのように、順次、高空間周波側の位相エンコードステップに対応するように、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集する。
【0048】
つぎに、k空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号を、データ収集部24が生成し収集する。
【0049】
図5は、データ収集部24が、k空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号を生成する様子を示す図である。そして、図6は、データ収集部24がk空間の位相エンコード方向Gpにおける両方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号を収集した様子を示す図である。
【0050】
ここでは、図5に示すように、データ収集部24は、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とのいずれか一方をTRにおいて交互になるように選択し、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集する。そして、これと共に、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性の磁気共鳴信号として選択されなかった第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とのいずれかについての複素共役データを生成し、その複素共役データをk空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集する。
【0051】
具体的には、図5に示すように、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpの正の極性における低空間周波側の第1位相エンコードステップに対応するように収集された第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2との内から、一方の第1磁気共鳴信号MR1を選択し、そのまま第1位相エンコードステップに対応して記憶する。そして、これと共に、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性の磁気共鳴信号として選択しなかった他方の第2磁気共鳴信号MR2についての複素共役データMR2*を生成する。そして、その複素共役データMR2*を、k空間の位相エンコード方向Gpにおける負の極性の第1位相エンコードステップに対応するように、磁気共鳴信号として収集する。
【0052】
つぎに、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpの正の極性における第2位相エンコードステップに対応するように収集された第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2との内から、第2磁気共鳴信号MR2を選択し、そのまま第2位相エンコードステップに対応して記憶する。つまり、正の極性における第1位相エンコードステップにて選択的に記憶した磁気共鳴信号と、RFパルスの位相が異なる磁気共鳴信号を選択的に記憶する。そして、これと共に、データ収集部24は、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性の磁気共鳴信号として選択しなかった第1磁気共鳴信号MR1についての複素共役データMR1*を生成する。そして、その複素共役データMR1*を、k空間の位相エンコード方向Gpにおける負の極性の第2位相エンコードステップに対応するように、磁気共鳴信号として収集する。
【0053】
そして、このように収集した各位相エンコードステップの順に応じて交互になるように第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とのいずれか一方を選択し、選択しなかった第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とのいずれか一方についての複素共役データを生成する。そして、図6に示すように、各位相エンコードステップに対応するように各磁気共鳴信号を記憶する。
【0054】
つぎに、データ収集部24により収集された磁気共鳴信号に基づいて、データ処理部31が被検体のスライスについての画像を生成する。
【0055】
ここでは、前述のようにして、データ収集部24により収集された第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2と、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2との複素共役データMR1*,MR2*とを磁気共鳴信号として用いる。そして、この磁気共鳴信号に対してフーリエ変換処理を施し、被検体40のスライスについての画像を生成する。そして、データ処理部31は、その生成した画像についてのデータを表示部33に出力する。
【0056】
そして、データ処理部31により生成した画像を表示部33が表示する。
【0057】
以上のように、本実施形態は、被検体40のスライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるようなTRでRFパルスを被検体に送信すると共に、TR内における時間積分値がゼロになるように、各方向の勾配磁場を被検体に印加して、被検体のスライスについて撮像する。そして、ここでは、RFコイル部14は、RFパルスとして、第1RFパルスRF1と、その第1RFパルスRF1の位相に対して逆位相になる第2RFパルスRF2とをTRで交互に繰り返して送信する。そして、勾配コイル部13は、第1RFパルスRF1に対応する第1磁気共鳴信号MR1と、第2RFパルスRF2に対応する第2磁気共鳴信号RF2とが、磁気共鳴信号としてk空間の位相エンコード方向Gpにおける同じステップに対応してデータ収集部24によって収集されるように、位相エンコード方向Gpに勾配磁場を印加する。そして、これと共に、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とがk空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性のステップに対応してデータ収集部24によって収集されるように、順次、位相エンコード方向Gpに勾配磁場をTRで繰り返して印加する。そして、データ収集部24は、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とのいずれか一方をTRにおいて交互になるように選択し、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集する。そして、これと共に、k空間の位相エンコード方向Gpにおける一方の極性の磁気共鳴信号として選択されなかった他方の第1磁気共鳴信号と第2磁気共鳴信号とのいずれかについての複素共役データMR1*,MR2*を生成し、その複素共役データをk空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集する。そして、このようにしてデータ収集部24により収集された磁気共鳴信号に基づいて、被検体のスライスについての画像を生成し、その生成された画像を表示部33が表示する。
【0058】
このように、本実施形態は、FIESTAのようにコヒーレント型SSFP法で被検体を撮像する際において、互いに逆位相の関係にある第1RFパルスと第2RFパルスとを一対として、それぞれをTRごとに印加し、第1RFパルスと第2RFパルスとのそれぞれに対応した第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とに同じ位相エンコードをして、TRごとに順次収集する。このため、渦電流や残留磁化などの影響が受けにくくなり、画像にアーチファクトが発生することを防止することができる。そして、本実施形態においては、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを一対として、k空間の位相エンコード方向において一方の極性となる半分の領域に対応するように、順次、位相エンコードを施して収集する。そして、第1磁気共鳴信号MR1と第2磁気共鳴信号MR2とを収集した時間軸方向で交互になるように、第1磁気共鳴信号と第2磁気共鳴信号とのいずれか一方についての複素共役データを、順次、生成する。そして、直接的に磁気共鳴信号が収集されなかった他方の極性となる残り半分のk空間のステップに対応するように、その複素共役データを磁気共鳴信号として埋める。そして、このk空間に対応するように収集された磁気共鳴信号に基づいて、被検体のスライスについての画像を生成する。このため、本実施形態は、高速にデータ収集をすることができる。
【0059】
また、本実施形態においては、k空間の位相エンコード方向において隣接するステップについての磁気共鳴信号を、データ収集部24が、順次、収集するように、勾配コイル部13が位相エンコード方向Gpの勾配磁場を被検体に印加する。そして、k空間の位相エンコード方向Gpにおいて低空間周波数側のステップから高空間周波数側のステップへ、磁気共鳴信号をデータ収集部24が、順次、収集するように、勾配コイル部13が位相エンコード方向Gpの勾配磁場を被検体に印加する。このため、本実施形態は、隣接するTR間での勾配磁場の強度の差を小さくできるために、渦電流や残留磁化を小さくして、アーチファクトの発生を防止することができる。
【0060】
なお、本発明の実施に際しては、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置の構成を示す構成図である。
【図2】図2は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、制御部が各部を制御する手順を示すパルスシーケンス図である。
【図3】図3は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、TRごとに磁気共鳴信号を位相エンコードする第1位相エンコード方向勾配磁場を示す図である。
【図4】図4は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、k空間と、そのk空間に対応するように収集される第1磁気共鳴信号および第2磁気共鳴信号2との関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、データ収集部が、k空間の位相エンコード方向Gpにおける他方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号を生成する様子を示す図である。
【図6】図6は、本発明にかかる実施形態の磁気共鳴イメージング装置において、データ収集部がk空間の位相エンコード方向Gpにおける両方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号を収集した様子を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
11:撮像空間、
12:静磁場マグネット部、
13:勾配コイル部(スライス選択勾配磁場印加部、位相エンコード勾配磁場印加部、周波数エンコード勾配磁場印加部)、
14:RFコイル部(送信部)、
22:RF駆動部、
23:勾配駆動部、
24:データ収集部(データ収集部)、
25:制御部、
26:クレードル、
31:データ処理部(画像生成部)、
32:操作部、
33:表示部(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静磁場内の被検体にRFパルスを送信し、前記被検体のスピンを励起させる送信部と、前記送信部によって励起される前記被検体のスライスを選択するように、前記被検体のスライス選択方向に勾配磁場を印加するスライス選択勾配磁場印加部と、前記RFパルスにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードするように、前記被検体の位相エンコード方向に勾配磁場を印加する位相エンコード勾配磁場印加部と、前記RFパルスにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードするように、前記被検体の周波数エンコード方向に勾配磁場を印加する周波数エンコード勾配磁場印加部と、前記位相エンコードと前記周波数エンコードとが施された前記磁気共鳴信号をk空間に対応するように収集するデータ収集部と、前記データ収集部により収集された前記磁気共鳴信号に基づいて、前記被検体の前記スライスについての画像を生成する画像生成部とを有し、前記送信部は、前記スライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるような繰り返し時間で前記RFパルスを前記被検体に送信し、前記スライス選択勾配磁場印加部と前記位相エンコード勾配磁場印加部と前記周波数エンコード勾配磁場印加部とのそれぞれは、前記繰り返し時間内における時間積分値がゼロになるように前記勾配磁場のそれぞれを前記被検体に印加する磁気共鳴イメージング装置であって、
前記送信部は、前記RFパルスとして、第1RFパルスと、前記第1RFパルスの位相に対して逆位相になる第2RFパルスとを前記繰り返し時間で交互に繰り返して送信し、
前記位相エンコード勾配磁場印加部は、前記第1RFパルスに対応する第1磁気共鳴信号と、前記第2RFパルスに対応する第2磁気共鳴信号とが前記磁気共鳴信号として前記k空間の位相エンコード方向における同じステップに対応して前記データ収集部によって収集されるように、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を印加すると共に、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とが前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応して前記データ収集部によって収集されるように、順次、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を前記繰り返し時間で繰り返して印加し、
前記データ収集部は、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれか一方を前記繰り返し時間において交互になるように選択し、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集すると共に、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性の前記磁気共鳴信号として選択されなかった他方の前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれかについての複素共役データを生成し、前記複素共役データを前記k空間の位相エンコード方向における他方の極性のステップに対応した前記磁気共鳴信号として収集する
磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記位相エンコード勾配磁場印加部は、前記k空間の位相エンコード方向において隣接するステップについての前記磁気共鳴信号を前記データ収集部が、順次、収集するように、前記位相エンコード方向の勾配磁場を前記被検体に印加する
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記位相エンコード勾配磁場印加部は、前記k空間の位相エンコード方向において低空間周波数側のステップから高空間周波数側のステップへ前記磁気共鳴信号を前記データ収集部が、順次、収集するように、前記位相エンコード方向の勾配磁場を前記被検体に印加する
請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記画像生成部により生成された前記画像を表示する表示部
を有する
請求項1から3にいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
静磁場内の被検体にRFパルスを送信すると共に、前記被検体のスライス選択方向に勾配磁場を印加し、前記スライス選択方向の勾配磁場により選択された前記被検体のスピンを励起する第1ステップと、
前記被検体の位相エンコード方向に勾配磁場を印加し、前記第1ステップにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を位相エンコードする第2ステップと、
前記被検体の周波数エンコード方向に勾配磁場を印加し、前記第1ステップにより励起された前記スライスからの磁気共鳴信号を周波数エンコードする第3ステップと、
前記第2ステップと前記第3ステップとにより前記位相エンコードと前記周波数エンコードとが施された前記磁気共鳴信号をk空間に対応するように収集する第4ステップと、
前記第4ステップにより収集された磁気共鳴信号に基づいて、前記被検体の前記スライスについての画像を生成する第5ステップと
を有し、前記スライスにおけるスピンの縦磁化と横磁化とが定常状態になるような繰り返し時間で前記RFパルスを前記被検体に送信し、前記繰り返し時間内における時間積分値がゼロになるように前記勾配磁場のそれぞれを前記被検体に印加する
磁気共鳴イメージング方法であって、
前記第1ステップでは、前記RFパルスとして、第1RFパルスと、前記第1RFパルスの位相に対して逆位相になる第2RFパルスとを前記繰り返し時間で交互に繰り返して送信し、
前記第2ステップでは、前記第1RFパルスに対応する第1磁気共鳴信号と、前記第2RFパルスに対応する第2磁気共鳴信号とが前記磁気共鳴信号として前記k空間の位相エンコード方向における同じステップに対応して前記第4ステップで収集されるように、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を印加すると共に、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とが前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応して前記第4ステップで収集されるように、順次、前記位相エンコード方向に前記勾配磁場を前記繰り返し時間で繰り返して印加し、
前記第4ステップでは、前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれか一方を前記繰り返し時間において交互になるように選択し、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性のステップに対応した磁気共鳴信号として収集すると共に、前記k空間の位相エンコード方向における一方の極性の前記磁気共鳴信号として選択されなかった他方の前記第1磁気共鳴信号と前記第2磁気共鳴信号とのいずれかについての複素共役データを生成し、前記複素共役データを前記k空間の位相エンコード方向における他方の極性のステップに対応した前記磁気共鳴信号として収集する
磁気共鳴イメージング方法。
【請求項6】
前記第2ステップでは、前記k空間の位相エンコード方向において隣接するステップについての前記磁気共鳴信号を前記データ収集部が、順次、収集するように、前記位相エンコード方向の勾配磁場を前記被検体に印加する
請求項5に記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項7】
前記第2ステップでは、前記k空間の位相エンコード方向において低空間周波数側のステップから高空間周波数側のステップへ前記磁気共鳴信号を前記データ収集部が、順次、収集するように、前記位相エンコード方向の勾配磁場を前記被検体に印加する
請求項6に記載の磁気共鳴イメージング方法。
【請求項8】
前記第5ステップにより生成された前記画像を表示する第6ステップ
を有する
請求項5から7にいずれかに記載の磁気共鳴イメージング方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−198067(P2006−198067A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−11413(P2005−11413)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】