説明

磁気共鳴イメージング装置

【課題】MRI装置において、スライス領域設定時のオペレータの操作性を向上させること。
【解決手段】位置決めを行なうための撮像を行なって元画像を生成する元画像生成部61と、元画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する第1MPR断面設定部63と、第1のMPR断面における第1MPR画像生成部64と、第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み前記第1のMPR断面にそれぞれ直交する2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する第2MPR断面設定部65と、2つの第2のMPR断面における第2MPR画像生成部66と、2つの第2のMPR画像の表示を制御する画像表示制御部69と、2つの第2のMPR断面上で設定された第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定するスライス領域設定部67と、スライス領域に従って、所要部位の診断に供する撮像を実行する撮像実行部68と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の所要部位に対するスライス領域を決定する撮像を行なって、所要部位のスライス領域を設定して撮像を行なう磁気共鳴イメージング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線CT(conputed tomography)装置、MRI(magnetic resonance imaging)装置及び超音波診断装置等の画像診断装置によって生成された画像データを、MPR(multi planar reconstruction)画像や3次元画像等の画像データに処理し、表示させるようになってきている。
【0003】
また、MPR画像には、直交3断面としてのアキシャル画像、コロナル画像及びサジタル画像や、オブリーク画像、ダブルオブリーク画像、曲面MPR画像等の画像がある。直交3断面を選択して撮像を行なう場合、直交3断面を基に生成された2次元撮像画像としてのMPR画像を位置決め用画像として用いている。位置決めの際、MPR画像の断面の直交方向における幅(スライス領域)は、スライス条件(スライス厚、スライス枚数及びスライス長)を基に決定していた(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−290171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、オペレータが視覚的にスライス領域を決定することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、スライス領域設定時のオペレータの操作性を向上させることができる磁気共鳴イメージング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、上述した課題を解決するために、被検体の所要部位に対して位置決めを行なうための撮像を行なって、断面画像である元画像を生成する元画像生成部と、前記元画像生成部によって生成された前記元画像の断面に直交する第1のMPR(multi−planar reconstruction)断面を設定する第1MPR断面設定部と、前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面における第1のMPR画像を生成する第1MPR画像生成部と、前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み前記第1のMPR断面にそれぞれ直交する2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する第2MPR断面設定部と、前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像をそれぞれ生成する第2MPR画像生成部と、前記第2MPR画像生成部によって生成された前記2つの第2のMPR画像の表示を制御する画像表示制御部と、前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面上でそれぞれ設定された前記第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定するスライス領域設定部と、前記スライス領域設定部によって設定された前記スライス領域に従って、前記所要部位の診断に供する撮像を実行する撮像実行部と、を有する。
【0007】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置は、上述した課題を解決するために、被検体の所要部位に対して位置決めを行なうための撮像を行なって、断面画像である元画像を生成する元画像生成部と、前記元画像生成部によって生成された前記元画像を基に、前記元画像に直交する2断面の断面画像である2つの直交画像をそれぞれ生成する直交画像生成部と、前記元画像生成部によって生成された前記元画像と、前記直交画像生成部によって生成された前記2つの直交画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する第1MPR断面設定部と、前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1MPR断面における第1のMPR画像を生成する第1MPR画像生成部と、前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み前記第1のMPR断面にそれぞれ直交する2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する第2MPR断面設定部と、前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像をそれぞれ生成する第2MPR画像生成部と、前記第2MPR画像生成部によって生成された前記2つの第2のMPR画像の表示を制御する画像表示制御部と、前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面上でそれぞれ設定された前記第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定するスライス領域設定部と、前記スライス領域設定部によって設定された前記スライス領域に従って、前記所要部位の診断に供する撮像を実行する撮像実行部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る磁気共鳴イメージング装置によると、スライス領域設定時のオペレータの操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る磁気共鳴イメージング(MRI:magnetic resonance imaging)装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明に係るMRI装置の実施形態の構成を示す概略図である。
【0011】
図1は、患者(被検体)Pを連続的に移動させながら撮像を行なう本実施形態のMRI装置10を示す。このMRI装置10は、大きくは、撮像系11と制御系12とから構成される。
【0012】
MRI装置10の撮像系11には、架台(図示しない)が備えられ、その架台内に、静磁場磁石21と、この静磁場磁石21の内部であって静磁場磁石21と同軸上に筒状のシムコイル22と、静磁場磁石21の内部で筒状に形成される傾斜磁場コイルユニット23とを収容する。また、撮像系11には、ラーモア周波数(共鳴周波数)の高周波(RF:radio frequency)信号を送信するRFコイル24と、患者Pを架台内に進退させる寝台機構25とが設けられる。
【0013】
一方、MRI装置10の制御系12には、静磁場電源31、傾斜磁場電源32、シムコイル電源33、送信器34、受信器35、シーケンスコントローラ(シーケンサ)36及びコンピュータ37が設けられる。
【0014】
静磁場磁石21は静磁場電源31と接続される。静磁場電源31から供給された電流によって撮像領域(FOV:field of view)に静磁場を形成させる。
【0015】
シムコイル22はシムコイル電源33と接続され、シムコイル電源33からシムコイル22に電流を供給して、静磁場を均一化する。
【0016】
傾斜磁場コイルユニット23は、X軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zで構成される。また、傾斜磁場コイルユニット23の内側には寝台機構25の天板26が設けられ、その天板26には患者Pが載置される。天板26は、寝台機構25によって移動させられる。
【0017】
また、傾斜磁場コイルユニット23は、傾斜磁場電源32と接続される。傾斜磁場コイルユニット23のX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zはそれぞれ、傾斜磁場電源32のX軸傾斜磁場電源32x、Y軸傾斜磁場電源32y及びZ軸傾斜磁場電源32zとそれぞれ接続される。
【0018】
そして、X軸傾斜磁場電源32x、Y軸傾斜磁場電源32y及びZ軸傾斜磁場電源32zからそれぞれX軸傾斜磁場コイル23x、Y軸傾斜磁場コイル23y及びZ軸傾斜磁場コイル23zに供給された電流により、撮像領域にそれぞれX軸方向の傾斜磁場Gx、Y軸方向の傾斜磁場Gy、Z軸方向の傾斜磁場Gzを形成する。
【0019】
RFコイル24はマルチコイルで構成され、送信器34及び受信器35と接続される。RFコイル24は、送信器34から高周波信号を受けて患者Pに高周波磁場パルスを送信する機能と、患者P内部の原子核スピンの高周波信号による励起に伴って発生したNMR信号を受信して受信器35に与える機能を有する。RFコイル24の送受方式としては、送信コイルと受信コイルとを1つのコイルで兼用する方式と、送信コイルと受信コイルに別々のコイルを用いる方式に分けられる。なお、MRI装置10にはRFコイル24を設けるが、図1では、RFコイル24の一例としての頭部用コイルのみを例示している。
【0020】
一方、制御系12のシーケンスコントローラ36は、寝台機構25、傾斜磁場電源32、送信器34及び受信器35と接続される。シーケンスコントローラ36は、図示しないプロセッサ、例えばCPU(central processing unit)及びメモリを備えており、寝台機構25、傾斜磁場電源32、送信器34及び受信器35を駆動させるために必要な制御情報、例えば傾斜磁場電源32に印加すべきパルス電流の強度や印加時間、印加タイミング等の動作制御情報を記述したシーケンス情報を記憶する。
【0021】
また、シーケンスコントローラ36は、記憶した所定のシーケンスに従って寝台機構25を駆動させることによって、天板26を架台に対してZ軸方向に進退させる。さらに、シーケンスコントローラ36は、記憶した所定のシーケンスに従って傾斜磁場電源32、送信器34及び受信器35を駆動させることによって、架台内にX軸傾斜磁場Gx、Y軸傾斜磁場Gy,Z軸傾斜磁場Gz及びRF信号を発生させる。
【0022】
送信器34は、シーケンスコントローラ36から受けた制御情報に基づいてRF信号をRFコイル24に与える。一方、受信器30は、RFコイル24から受けたNMR信号に所要の信号処理を実行すると共にA/D(analog to digital)変換することにより、受信器35からデジタル化されたNMR信号である生データ(raw data)を生成する。また、生成した生データをシーケンスコントローラ36に与える。シーケンスコントローラ36は、受信器35からの生データを受けてコンピュータ37に与える。
【0023】
コンピュータ37は、プロセッサとしてのCPU51、メモリ52、HD(hard disk)53、IF(interface)54、入力装置55及び表示装置56等、コンピュータとしての基本的なハードウェアから構成される。CPU51は、共通信号伝送路としてのバスBを介して、コンピュータ37を構成する各ハードウェア構成要素52,53,54,55及び56に相互接続されている。また、コンピュータ37は、IF54を介して病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNに相互通信可能に接続される。なお、コンピュータ37には、各種アプリケーションプログラムやデータを記憶したメディアから各種アプリケーションプログラムやデータを読み込むドライブを具備する場合もある。
【0024】
CPU51は、メモリ52に記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU51は、HD53に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送されIF54で受信されてHD53にインストールされたプログラムを、メモリ52にロードして実行する。
【0025】
メモリ52は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備え、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU51のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いたりする記憶装置である。
【0026】
HD53は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクによって構成され、読み取り装置(図示しない)に着脱不能で内蔵されている。HD53は、コンピュータ37にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)やデータを記憶する記憶装置である。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置55によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
【0027】
IF54は、各規格に応じた通信制御を行なう通信制御装置である。IF54により、コンピュータ37は、ネットワークN網に接続することができる。
【0028】
入力装置55としては、技師等のオペレータによって操作が可能なキーボード、マウス及びジョイスティック等が挙げられ、操作に従った入力信号がCPU51に送られる。
【0029】
表示装置56は、画像合成回路、D/A変換回路及びモニタ等を含み、モニタを介してMRI画像を表示する。
【0030】
図2は、本実施形態のMRI装置10の機能を示すブロック図である。
【0031】
CPU51がプログラムを実行することによって、図2に示すように、MRI装置10は、元画像生成部61、直交画像生成部62、第1MPR断面設定部63、第1MPR画像生成部64、第2MPR断面設定部65、第2MPR画像生成部66、スライス領域設定部67、撮像実行部68及び画像表示制御部69として機能する。なお、MRI装置10の構成要素61乃至69をソフトウェアとして機能させる場合として説明するが、構成要素61乃至69の一部又は全部をMRI装置10に回路として設ける場合であってもよい。また、直交画像生成部62は、MRI装置10に必須の構成要素ではない。
【0032】
元画像生成部61は、シーケンスコントローラ36を制御することによって患者Pの所要部位に対するスライス領域を設定するための撮像を行なって、断面画像である元画像を生成する機能を有する。具体的には、元画像生成部61は、コロナル(CO)画像、アキシャル(AX)画像及びサジタル(SG)画像の直交3断面画像のうち1つの断面画像を元画像として生成する。ここでは、元画像生成部61は、サジタル画像を元画像として生成するものとして説明する。
【0033】
直交画像生成部62は、元画像生成部61によって生成された元画像を基に、元画像に直交する2断面の断面画像である直交断面を生成する機能を有する。例えば、直交画像生成部62は、元画像生成部61によって生成されたサジタル画像を基に、他の直交3断面画像であるコロナル画像及びアキシャル画像を再構成する。
【0034】
第1MPR断面設定部63は、元画像生成部61によって生成された元画像の断面に直交する第1のMPR(multi−planar reconstruction)断面を設定する機能を有する。例えば、第1MPR断面設定部63は、元画像生成部61によって生成されたサジタル画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する。また、直交画像生成部62を有する場合、第1MPR断面設定部63は、元画像生成部61によって生成された元画像と、直交画像生成部62によって生成された2つの直交画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する。例えば、直交画像生成部62を有する場合、第1MPR断面設定部63は、元画像としてのサジタル画像と、直交画像としてのコロナル画像及びアキシャル画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する。
【0035】
第1MPR画像生成部64は、第1MPR断面設定部63によって設定された第1のMPR断面における第1のMPR画像を生成する機能を有する。
【0036】
第2MPR断面設定部65は、第1MPR断面設定部63によって設定された第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含む2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する機能を有する。
【0037】
第2MPR画像生成部66は、第2MPR断面設定部65によって設定された2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像をそれぞれ生成する機能を有する。第2のMPR画像は、スライス領域の設定及び変更等、いわゆる位置決め用の画像として用いられる。
【0038】
スライス領域設定部67は、第2MPR断面設定部65によって設定された2つの第2のMPR断面上でそれぞれ設定された第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定する機能を有する。
【0039】
撮像実行部68は、スライス領域設定部67によって設定されたスライス領域に従って、所要部位の診断に供する撮像を実行する機能を有する。
【0040】
画像表示制御部69は、元画像生成部61、第1MPR画像生成部64及び第2MPR画像生成部66から出力された断面画像の表示装置56への表示を制御する機能を有する。また、直交画像生成部62を有する場合、画像表示制御部69は、元画像生成部61によって生成された元画像と、直交画像生成部62によって生成された2つの直交画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の表示装置56への表示を制御する機能を有する。さらに、画像表示制御部69は、第1MPR断面設定部63、第2MPR断面設定部65及びスライス領域設定部67による設定処理の際、入力装置55から入力されるコマンドの表示装置56への表示を制御する機能を有する。
【0041】
続いて、MRI装置10の構成要素61乃至70の機能を具体的に説明する。
【0042】
まず、患者Pの所要部位に対する位置決めを行なうための撮像を行なう。その撮像では、技師等のオペレータは、患者Pを天板26に載置させ、静磁場磁石21により静磁場が印加された静磁場空間である架台内に天板に載置された患者Pを挿入する。これにより、患者Pには静磁場が印加されることになる。この状態で、オペレータは、患者Pの挿入が確実に行なわれたことを確かめ、入力装置55を用いて撮影開始の指示を入力する。その入力に応じて、CPU51は、プログラムを実行する。
【0043】
元画像生成部61は、シーケンスコントローラ36を介して、傾斜磁場、高周波パルスを所定のタイミングで患者Pに印加する。また、これに対応してRFコイル24では磁気共鳴信号が受信される。シーケンスコントローラ36から受信された信号を基に、元画像としてのサジタル画像を生成する。画像表示制御部69は、元画像生成部61から出力される元画像としてのサジタル画像を表示装置56のモニタに表示させる。また、直交画像生成部62を有する場合、画像表示制御部69は、元画像生成部61によって生成されたサジタル画像と、直交画像生成部62によって生成されたコロナル画像及びアキシャル画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像を表示装置56のモニタに表示させる。
【0044】
図3乃至図5、図8は、表示装置56のモニタに表示される断面画像の表示画面の一例を示す模式図である。図3は、表示装置56のモニタに表示される患者Pの頭部のサジタル画像、コロナル画像及びアキシャル画像の3面表示の画面を示している。図3に示すように、コロナル画像はX−Z断面画像を、サジタル画像はY−Z断面画像を、アキシャル画像はX−Y断面画像をそれぞれ示している。なお、図3に示す表示画面上に、スライス条件(スライス厚、スライス枚数及びスライス長)等を設定・変更可能なアイコン等を併せて表示させてもよい。
【0045】
また、図2に示す第1MPR断面設定部63は、表示装置56のモニタに表示された断面画像上にコマンド入力された直線を含み断面画像に直交する断面を、第1のMPR断面として設定する。具体的には、図4の表示画面に示すように、オペレータが入力装置55を用いて表示装置56のモニタに表示されたサジタル画像、コロナル画像及びアキシャル画像のうち1つの断面画像、例えば、サジタル画像上に直線L1をコマンド入力することで、第1MPR断面設定部63は、直線L1を含みサジタル画像に直交する断面(U−V断面)を、第1のMPR断面として設定する。第1MPR画像生成部64は、第1のMPR断面における第1のMPR画像を生成する。さらに、図4に示すように、画像表示制御部69は、第1MPR画像生成部64によって生成された第1のMPR画像を表示装置56に表示させる。
【0046】
また、図5の表示画面に示すように、オペレータが入力装置55を用いて表示装置56のモニタに表示された第1のMPR画像上に直線L2をコマンド入力することで、第2MPR断面設定部65は、画像表示制御部69によって表示された第1のMPR画像上にコマンド入力された直線L2を対角線とする四角形Qの対向する2辺の直線を含み第1のMPR画像に直交する2つの断面を、第2のMPR断面として設定する。
【0047】
図6及び図7は、第2のMPR断面を示す模式図である。図6は、四角形Qの対向する2辺の直線を含む2つの断面の一例(第2のMPR断面F1−第2のMPR断面F2)を、図7は、四角形Qの対向する2辺の直線を含む2つの断面の他の例(第2のMPR断面F3−第2のMPR断面F4)をそれぞれ示している。
【0048】
図2に示す第2MPR画像生成部66は、第2MPR断面設定部65によって設定された2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像を生成する。さらに、図8の表示画面に示すように、画像表示制御部69は、第2MPR画像生成部66によって生成された2つの第2のMPR画像(第2のMPR断面F3,F4)を表示装置56に表示させる。
【0049】
図2に示すスライス領域設定部67は、画像表示制御部69によって表示された2つの第2のMPR画像上にそれぞれコマンド入力された各幅を基に、スライス領域を設定する。具体的には、図8の表示画面に示すように、オペレータが入力装置55を用いて表示装置56のモニタに表示された断面F3の第2のMPR画像上に指定線W1,W2をコマンド入力する一方、断面F4の第2のMPR画像上に指定線W3,W4をコマンド入力することで、スライス領域設定部67は、指定線W1,W2に挟まれる幅W1−2と、指定線W3,W4に挟まれる幅W3−4とを基に、第2のMPR断面F3,F4に挟まれた空間で、幅W1−2,W3−4内に形成されるスライス領域を設定する。
【0050】
患者Pを天板26に載置したまま、オペレータは入力装置55を用いて撮影開始の指示を入力する。図2に示す撮像実行部68は、スライス領域設定部67によって設定されたスライス領域に従って、シーケンスコントローラ36を介して所要部位の診断に供する撮像を実行する。
【0051】
ここで、幅W1−2と幅W3−4とが等しい場合、図9に示すように、スライス領域内に形成される各スライス面は、全て第2のMPR断面F1,F2に直交する。すなわち、幅W1−2と幅W3−4とが等しい場合、全てのスライス面が平行に形成される。言い換えれば、全てのスライス面を平行に形成したい場合、オペレータは、図8に示す表示画面において、幅W1−2と幅W3−4とを等しく設定すればよい。なお、全てのスライス面を平行に形成する場合、図8に示す表示画面において、オペレータが指定線W1,W2,W3を入力すると、指定線W1,W2から幅W1−2が、幅W1−2と指定線W3とから幅W3−4がそれぞれ設定される。
【0052】
一方、幅W1−2と幅W3−4とが等しくない場合、図10に示すように、スライス領域内に形成される各スライス面は、幅W1−2と幅W3−4との差異に応じて扇状に形成される。また、幅W1−2と幅W3−4とが等しくない場合、図11に示すように、スライス領域内に形成される複数のスライス面によって構成される各スラブは、幅W1−2と幅W3−4との差異に応じて扇状に形成される。
【0053】
本実施形態のMRI装置10によると、第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み第1のMPR断面に直交する2つの断面における2つの第2のMPR画像を表示し、それら2つの第2のMPR画像を基に、視覚的にスライス領域を設定することができる。よって、本実施形態のMRI装置10によると、スライス領域設定時のオペレータの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係るMRI装置の実施形態の構成を示す概略図。
【図2】本実施形態のMRI装置の機能を示すブロック図。
【図3】表示装置のモニタに表示される断面画像の表示画面の一例を示す模式図。
【図4】表示装置のモニタに表示される断面画像の表示画面の一例を示す模式図。
【図5】表示装置のモニタに表示される断面画像の表示画面の一例を示す模式図。
【図6】第2のMPR断面を示す模式図。
【図7】第2のMPR断面を示す模式図。
【図8】表示装置のモニタに表示される断面画像の表示画面の一例を示す模式図。
【図9】スライス領域内のスライス面の一例を示す模式図。
【図10】スライス領域内のスライス面の一例を示す模式図。
【図11】スライス領域内のスライス面の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0055】
10 MRI装置
11 撮像系
12 制御系
36 シーケンスコントローラ
37 コンピュータ
51 CPU
52 メモリ
55 入力装置
56 表示装置
61 元画像生成部
62 直交画像生成部
63 第1MPR断面設定部
64 第1MPR画像生成部
65 第2MPR断面設定部
66 第2MPR画像生成部
67 スライス領域設定部
68 撮像実行部
69 画像表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の所要部位に対して位置決めを行なうための撮像を行なって、断面画像である元画像を生成する元画像生成部と、
前記元画像生成部によって生成された前記元画像の断面に直交する第1のMPR(multi−planar reconstruction)断面を設定する第1MPR断面設定部と、
前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面における第1のMPR画像を生成する第1MPR画像生成部と、
前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み前記第1のMPR断面にそれぞれ直交する2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する第2MPR断面設定部と、
前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像をそれぞれ生成する第2MPR画像生成部と、
前記第2MPR画像生成部によって生成された前記2つの第2のMPR画像の表示を制御する画像表示制御部と、
前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面上でそれぞれ設定された前記第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定するスライス領域設定部と、
前記スライス領域設定部によって設定された前記スライス領域に従って、前記所要部位の診断に供する撮像を実行する撮像実行部と、
を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
前記画像表示制御部は、前記元画像生成部によって生成された前記元画像の表示を制御し、前記第1MPR断面設定部は、前記画像表示制御部によって表示された前記元画像上に入力された直線を含み前記元画像に直交する断面を、前記第1のMPR断面として設定する構成とすることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
被検体の所要部位に対して位置決めを行なうための撮像を行なって、断面画像である元画像を生成する元画像生成部と、
前記元画像生成部によって生成された前記元画像を基に、前記元画像に直交する2断面の断面画像である2つの直交画像をそれぞれ生成する直交画像生成部と、
前記元画像生成部によって生成された前記元画像と、前記直交画像生成部によって生成された前記2つの直交画像との3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の断面に直交する第1のMPR断面を設定する第1MPR断面設定部と、
前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1MPR断面における第1のMPR画像を生成する第1MPR画像生成部と、
前記第1MPR断面設定部によって設定された前記第1のMPR断面上に設定された平行する2直線をそれぞれ含み前記第1のMPR断面にそれぞれ直交する2つの断面を、2つの第2のMPR断面として設定する第2MPR断面設定部と、
前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面における2つの第2のMPR画像をそれぞれ生成する第2MPR画像生成部と、
前記第2MPR画像生成部によって生成された前記2つの第2のMPR画像の表示を制御する画像表示制御部と、
前記第2MPR断面設定部によって設定された前記2つの第2のMPR断面上でそれぞれ設定された前記第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、スライス領域を設定するスライス領域設定部と、
前記スライス領域設定部によって設定された前記スライス領域に従って、前記所要部位の診断に供する撮像を実行する撮像実行部と、
を有することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記画像表示制御部は、前記3つの断面画像のうち少なくとも1つの断面画像の表示を制御し、前記第1MPR断面設定部は、前記画像表示制御部によって表示された前記断面画像上に入力された直線を含み前記断面画像に直交する断面を、前記第1のMPR断面として設定する構成とすることを特徴とする請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記画像表示制御部は、前記第1MPR画像生成部によって生成された前記第1のMPR画像の表示を制御し、前記第2MPR断面設定部は、前記画像表示制御部によって表示された前記第1のMPR画像上に入力された直線を対角線とする四角形の対向する2辺を、前記2直線として設定する構成とすることを特徴とする請求項1及び3のうちいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記スライス領域設定部は、前記画像表示制御部によって表示された前記2つの第2のMPR画像上にそれぞれ入力された前記第1のMPR断面の直交方向の各幅を基に、前記スライス領域を設定する構成とすることを特徴とする請求項1及び3のうちいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記各幅が等しい場合、前記撮像実行部は、前記スライス領域内の全てのスライス面を平行に形成するように前記撮像を実行する構成とすることを特徴とする請求項1及び3のうちいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記各幅が等しくない場合、前記撮像実行部は、前記スライス領域内のスライス面を前記各幅の差異に応じて扇状に形成するように前記撮像を実行する構成とすることを特徴とする請求項1及び3のうちいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
前記各幅が等しくない場合、前記撮像実行部は、前記スライス領域内の複数のスライス面によって構成されるスラブを前記各幅の差異に応じて扇状に形成するように前記撮像を実行する構成とすることを特徴とする請求項1及び3のうちいずれかに記載の磁気共鳴イメージング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−295761(P2008−295761A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145405(P2007−145405)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】