説明

磁気破砕装置

【課題】 破砕対象とする試料と破砕媒体とを収容したチューブを冷却しながら破砕媒体を磁気的に運動させて試料を破砕する磁気破砕装置を提供する。
【解決手段】 冷媒が流通する冷媒流通部31を備えた容器収容筒10に試料と破砕媒体6を収容したチューブ5を挿入すると、複数の電磁極11〜14の磁極36が進出駆動されて容器収容筒10を周囲から押圧してチューブ5を保持する。容器収容筒10の垂直方向に複数段に配設された電磁極11〜14の励磁を制御することにより、強磁性体を主体として形成された破砕媒体6は回転運動あるいは上下運動して試料を摩砕あるいは圧砕する。容器収容筒10は冷却が維持されるので、摩擦熱等により温度上昇した試料の熱はチューブ5、容器収容筒10を通じて放散されるので、温度上昇により試料に変質が生じない破砕処理ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析、検査、実験等に供する試料を収容した容器中に投入した破砕媒体を磁気駆動することによって破砕処理する磁気破砕装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分析や検査などの場において、対象とする試料を破砕あるいは乳化することが求められる。例えば、DNA分析を行うためには、分析対象とする試料の細胞を破砕する前処理が不可欠である。この細胞破砕処理を行う装置として多様な方式のものが知られているが、大別すると、次のような方式のものがある。
【0003】
(1)試料を収容した容器に挿入した攪拌子をモータによって回転駆動し、摩擦あるいは剪断によって細胞破砕する攪拌破砕方式のもの。
(2)容器中に試料と共にビーズ等の破砕媒体を収容し、容器を上下左右に往復振動させて破砕媒体により試料を摩砕あるいは圧砕する振動破砕方式のもの。
(3)試料に超音波や圧力を加えることにより細胞を破裂させる外力破砕方式のもの。
【0004】
これらの細胞破砕装置には、それぞれ一長一短がある。前記攪拌破砕方式のものでは、摩擦熱等により温度上昇しやすく、温度上昇により蛋白質が失活したりRNAが壊れてしまうことを防止するため、容器を氷水などに浸けて冷却しながら破砕処理する必要がある。また、モータからの回転駆動軸を容器中に通す必要があるため、容器の口は開放状態にあり、異物等が混入してコンタミネーションを発生させる恐れがある。また、前記振動破砕方式や外力破砕方式のものでは、装置が大型化したり取り扱いが難しい課題があり、振動破砕方式では攪拌破砕方式と同様に摩擦熱等による温度上昇が避けられないが、激しく往復運動する容器を冷却することが困難であるため、破砕に時間を要するときには途中で容器を取り出して冷却するような手間を必要とする。
【0005】
即ち、生体試料を破砕処理する細胞破砕装置においては、異物が混入しない密閉空間で破砕処理できること、温度上昇を抑えて破砕処理できること、取り扱いが容易でコンパクトであること、処理目的に合った破砕状態を選択できることが備えるべき要件となる。
【0006】
本願発明者は、これらの要件を満たすことができる細胞破砕の新方式を研究した結果、所定位置に保持した密閉容器を冷却しながら容器中に収容した破砕媒体を容器の外部から印加する磁界によって回転運動を含む三次元方向に運動させ、容器中に収容した試料を破砕媒体によって破砕する磁気破砕装置の開発に至った。
【0007】
容器中に収容した磁性体などを外部磁界によって運動させる磁気駆動技術として、マグネットスターラ等の磁気攪拌装置が知られているが、あくまで液体の攪拌装置であって試料を破砕処理できるものではない。
【0008】
容器中に収容した破砕媒体を磁気駆動して試料を破砕処理する従来技術としては、試料に微細な磁気球や金属球を混合し、容器の外部から印加する磁界により試料を破砕する細胞破砕方法が提案されている(特許文献1参照)。この細胞破砕方法は、微細な磁気球や金属球を混合した試料を収容した円筒形容器の直径方向に対向させて2方向あるいは4方向に電磁石を配し、電磁石にランダムなタイミングで通電し、必要に応じて通電方向を切り換えて磁極を反転させることにより、磁気球や金属球に不規則な移動や回転を生じさせ、試料を破砕するとしている。
【0009】
また、円筒形容器の外部から印加する磁界により容器内に収容した磁性体を円筒形容器の軸心方向に往復移動させて試料を破砕する加振機構が提案されている(特許文献2参照)。この装置では、上下に配設された第1及び第2の各ソレノイドの内側に取り付けた容器に投入した磁性体を第1及び第2の各ソレノイドをオン・オフ制御することにより往復直動させて試料を破砕する。容器の底部には予め質量体が収容され、その上に試料を置き、容器内に磁性体を投入して第1及び第2の各ソレノイドを交互に励磁すると、磁性体は往復直動して質量体に衝突するので、試料は質量体と磁性体との間で圧砕される。
【特許文献1】特開2003−000226号公報
【特許文献2】特開2005−111358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来技術として示した細胞破砕方式においては、試料中に混合する破砕媒体は微細な磁気球や金属球としており、それを磁界方向の切り換えによって円筒容器内で移動させるだけなので、質量が小さい破砕媒体によって植物などの繊維質の試料や硬質の試料の破砕に対応させることはできない。また、試料中に破砕媒体を混合して破砕処理するとしているので、開示されているように白血球、細菌、ウイルス等の液体又は軟質の試料あるいは微粉状の試料に限定される。また、破砕媒体は円筒容器の中で励磁された電磁石の側に移動する往復運動や周回運動を行うだけなので、破砕媒体が試料を所要の破砕状態にまで破砕処理するのに時間を要するものと考えられる。破砕処理に時間を要すると試料の温度上昇は避けられず、温度上昇に伴って試料に変質が生じる恐れがある。
【0011】
また、従来技術として示した加振機構では、電磁駆動により磁性体を直動させて質量体に衝突させ、磁性体と質量体との間に収容した試料を圧縮破砕するもので、凍結させた試料や硬質の試料を叩き潰す圧砕の作用は得られるものの、試料を磨り潰す摩砕の作用は得られない。従って、破砕する試料の種類が限定され、従来から知られている凍結試料を金属容器中に収容して外部から打撃を加えて圧砕する凍結破砕の装置を電動駆動に代えたものとしか考えられない。
【0012】
本発明が目的とするところは、容器中に収容した破砕媒体を磁気的に運動させて容器中に収容した試料を摩砕及び圧砕の作用により破砕し、破砕処理に伴う温度上昇を抑えることを可能とした磁気破砕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本願第1発明に係る磁気破砕装置は、強磁性体を主体として形成された破砕媒体と破砕対象とする試料とが投入された容器を収容する容器収容筒と、前記容器収容筒を囲む複数位置に配設された複数の電磁極と、各電磁極の磁極又は全体を容器収容筒に対して進退駆動する磁極進退駆動手段と、各電磁極の励磁を制御する励磁制御手段と、前記容器収容筒を冷却する冷却手段とを備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、容器収容筒に試料と破砕媒体とを投入した容器を挿入すると、磁極進退駆動手段により進出移動した複数の電磁極の各磁極が容器収容筒を押圧して容器収容筒と容器とを密着させるので、容器が保持されると共に冷却手段により容器が冷却され、電磁極からの磁界は至近位置から破砕媒体に印加される。励磁制御手段により各電磁極の励磁を制御すると、破砕媒体を容器中で三次元方向に運動させることができ、容器内壁と擦れ合う回転などの運動により試料は摩砕され、上方に移動させた破砕媒体が容器の底部に落下する運動により試料は圧砕される。試料の種類や状態に応じて摩砕や圧砕の作用が効果的になされる励磁制御を行うことにより、試料は温度上昇を抑えた状態を維持して破砕処理される。
【0015】
上記構成において、任意の電磁極を容器収容筒の軸方向に移動させる電磁極軸方向駆動手段を設けることが好適である。使用する容器のサイズあるいは試料の種類や状態に応じて電磁極軸方向駆動手段により任意の電磁極は容器の軸方向所定高さ方向に移動させることができるので、高さ位置が異なる複数の電磁極から磁界が印加され、破砕媒体は容器中で三次元方向の自在位置に運動させることができ、試料の種類や状態に応じた摩砕や圧砕の作用が効果的になされる。
【0016】
また、容器収容筒の底部に磁極先端が当接し、励磁制御手段によって励磁制御される吸引電磁極を配設することが好適である。容器中の上方に移動させた破砕媒体が落下するとき、吸引電磁極を励磁すると、破砕媒体は磁気吸着により容器の底に激しく衝突するので、容器の底にある試料を圧砕する効果が増大する。また、破砕媒体が回転運動している状態で吸引電磁極を弱く励磁すると、破砕媒体は容器の底に押し付けられた状態で回転するので、試料を磨り潰す効果が増加する。
【0017】
上記吸引電磁極は、容器収容筒方向に進退移動可能に配設することが好適で、使用する容器のサイズが変り、容器収容筒を変更したときにも容器の底部に磁極が当接した状態を保つことができる。
【0018】
また、容器収容筒は、有底円筒形に形成された容器の外面に接する内径、内形状に形成することが好適で、挿入された容器と密着させやすく、容器の冷却効果及び磁界印加の効率化を向上させることができる。
【0019】
この容器収容筒は、着脱可能に設けることが好適であり、容器のサイズ変更に対応でき、劣化したときの交換や洗浄、滅菌消毒にも対応でき、バイオハザード対策上でも有効となる。
【0020】
また、冷却手段は、容器収容筒に形成された冷媒流通部に所要温度に冷却された冷媒を循環させるように構成するのが好適で、冷媒流通部に循環する冷媒により冷却される容器収容筒は密着した容器を冷却するので、摩擦熱等によって温度上昇した試料の熱を速やかに放散することができ、冷媒の温度管理によって試料を所定温度に維持して破砕処理を行うことができる。
【0021】
この冷却手段は、容器収容筒及びそれに形成された放熱フィンに冷風を送風するように構成することもでき、冷却手段を簡易に構成できると同時にランニングコストも低減することができる。
【0022】
また、冷却手段は、冷媒流通部に充填した蓄冷材を凍結させるように構成することにより、予め容器収容筒を冷凍庫等に保管しておくだけで使用時に装着すると、所定回数の破砕処理の間の冷却を簡易に行うことができる。
【0023】
また、破砕媒体は、強磁性体を着磁して構成することにより、破砕媒体に自転運動を生じさせることができ、摩砕作用の向上を図ることができる。
【0024】
また、破砕媒体は、強磁性体の径方向断面が容器を囲む一周面に配設された電磁極の数より少ない数の突出部を設けた形状に形成することによっても、破砕媒体に自転運動を生じさせることができ、摩砕作用の向上を図ることができる。
【0025】
また、破砕媒体は、強磁性体を非磁性体中の偏心位置に封止して構成することにより、破砕媒体が振れ運動しながら回転する作用が生じるので、容器の周壁と擦れ合う状態が増加し、試料を磨り潰す作用が増大する。
【0026】
また、破砕媒体は、清浄化されて軸方向に整列するように清浄化された円筒中に複数個が収容され、円筒の開放端から1個ずつ排出される破砕媒体供給筒に収容することが好適で、容器中に投入する際に手などで触れることなく投入作業を行うことができ、破砕媒体を手などで触れることによって容器中に異物が混入することによる汚染を防止し、作業効率の向上を図ることができる。また、破砕媒体を着磁した場合には、互いに吸着して1個ずつ分離させることが困難になる問題が解消される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、密閉された容器中に収容した試料は、容器を容器収容筒内に保持して冷却を維持しながら至近位置からの磁界印加により破砕媒体が効率よく運動して破砕処理される。容器が一定位置に保持されているので冷却が容易であるため、温度上昇により試料に失活等の変質が生じさせることがなく、コンパクトに構成できるのでDNA解析等の作業を行うクリーンベンチ等の中に設置することも可能となる。また、破砕媒体を運動させる磁界制御を多彩に変化させることができるので、試料の種類や状態に応じた破砕媒体の運動を自在に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
図1は、実施形態に係る磁気破砕装置1の外観構成を示すもので、破砕処理する試料Xと破砕媒体6とを投入して開口部をキャップ7で閉じたチューブ(容器)5を破砕処理装置1の容器挿入穴に挿入することにより、チューブ5を冷却した状態を維持して設定操作部40から設定入力された条件で試料Xに対する破砕処理が実行されるように構成されている。
【0030】
図2は、上記磁気破砕装置1の要部構成を水平方向断面図として示している。中心位置に破砕容器とするチューブ5を収容する容器収容筒10が配設され、この容器収容筒10を取り囲む直径方向の4箇所に電磁極11,12,13,14が配設されている。各電磁極11〜14は、励磁コイル35と、この励磁コイル35中に進退移動可能に嵌挿された磁極36とを備えて構成され、各電磁極11〜14の磁極36はヨーク37によって外方側で磁気的に連結されている。
【0031】
前記容器収容筒10は、使用するチューブ5の周面に接触する内径になるよう熱伝導性に優れた材料、例えば熱伝導性樹脂によって形成され、中心部分である容器収容筒10の外周面に各電磁極11〜14それぞれの磁極36の先端部分が当接することができるように凹部を設けて冷媒流通部31が形成されている。冷媒流通部31に外部から所定温度に管理されて供給される冷媒を循環させることにより、容器収容筒10を介してチューブ5を冷却し、摩擦熱等による試料Xの温度上昇を抑えて破砕処理が実施できるように構成している。
【0032】
図3(a)(b)は、上記磁気破砕装置1の要部構成を垂直方向断面図で示している。図2で示した電磁極11〜14の下方に同様の構成にして電磁極15〜18が配設されている。各電磁極11〜18は、図3(b)に示すように、任意の電磁極11〜18を容器収容筒10の円筒軸方向の任意高さ位置に昇降移動可能である。また、容器収容筒10の底部に対応する位置には、吸引電磁極9が配設されている。
【0033】
図示省略しているが、各電磁極11〜18それぞれの磁極36は磁極進退駆動手段43により進退駆動され、待機時では後退移動して容器収容筒10へのチューブ5の挿入を容易にし、容器収容筒10にチューブ5が挿入されたとき図示する前進位置に進出移動して容器収容筒10をチューブ5に密着させ、周囲から押圧してチューブ5を保持すると共に、容器収容筒10を介したチューブ5の冷却を維持する。また、吸引電磁極9は吸引電磁極昇降駆動手段45により昇降駆動され、チューブ5のサイズに対応する容器収容筒10の高さ変化に応じて容器収容筒10の底部に磁極が当接する位置まで上昇移動する。尚、吸引電磁極9は、上方に付勢された状態に配設することにより、挿入された容器収容筒10の高さ寸法変化に応じて下方に押圧されて後退移動するので、吸引電磁極昇降駆動手段45を設けることなく、常に容器収容筒10の底部に磁極36を当接した状態とすることもできる。
【0034】
また、各電磁極11〜18は電磁極昇降駆動手段(電磁極軸方向駆動手段)44により昇降移動させることができ、使用するチューブ5のサイズや破砕処理方法などの変化に対応して、図3(b)に示すように、任意高さ位置に昇降移動する。前記磁極進退駆動手段43、電磁極昇降駆動手段44、吸引電磁極電磁極昇降駆動手段45は、カム機構あるいはボールネジ機構などによって構成することができ、前記磁極進退駆動手段43、電磁極昇降駆動手段44、吸引電磁極昇降駆動手段45の動作は、後述する制御装置30により駆動制御される。
【0035】
図4は、制御装置30の構成を示すもので、前記磁極進退駆動手段43、電磁極昇降駆動手段44、吸引電磁極昇降駆動手段45の動作を制御する位置制御部41と、各電磁極11〜18及び吸引電磁極9の励磁を制御する励磁制御部42とを備え、これら位置制御部41及び励磁制御部42による制御動作は、設定操作部40から入力される設定入力に基づいて実行される。
【0036】
容器収容筒10は使用するチューブ5の形状寸法に対応させて交換する。容器収容筒10の交換時には、各電磁極11〜18の磁極36を後退移動させ、吸引電磁極9は下降移動する。容器収容筒10は上方に引き出して取り出すことができ、使用するチューブ5の形状寸法に適合するものに交換できる他、劣化した場合には交換することができる。また、取り外して洗浄、滅菌消毒することができるので、バイオハザード対策にも有効である。
【0037】
使用するチューブ5に対応する容器収容筒10を装着し、破砕処理する試料Xと破砕媒体6とを収容したチューブ5を容器収容筒10に挿入し、設定操作部40から試料Xの種類や処理方法などの条件を設定入力すると、吸引電磁極昇降駆動手段45により吸引電磁極9は上昇移動し、その磁極を容器収容筒10の底部に当接させる。位置制御部41は設定入力に応じて電磁極昇降駆動手段44により任意の電磁極11〜18の高さ位置を変更する。次いで、磁極進退駆動手段43により各電磁極11〜18の磁極36を進出駆動し、磁極36の先端が容器収容筒10を押圧して容器収容筒10とチューブ5とを密着させてチューブ5を保持する。また、励磁制御部42は設定操作部40からの設定入力に応じて各電磁極11〜18及び吸引電磁極9の励磁コイル35への励磁電流の供給を制御する。
【0038】
チューブ5は、図5に示すように、一般に遠心チューブあるいはサンプルチューブ等と称されている汎用のチューブ5を適用することができる。チューブ5は、ポリプロピレン、フッ素樹脂等によりキャップ7付き容器に形成したものが好適で、破砕処理などでは1.2mlから5.0mlのものが多く使用されている。ここでは2.0mlのチューブ5を基本サイズとして、サイズ変更に対応可能としている。また、破砕媒体6は軟鋼等の強磁性体を主体として形成したもので、チューブ5の内径より小さい直径で、チューブ5の底部に向く一端をチューブ5の内底部形状に対応する形状に形成したものを基本形状とする。この破砕媒体6の形状、寸法、構造は、後述するように試料Xの種類や処理方法などに応じて最適に構成することができる。
【0039】
各電磁極11〜18の励磁順序は、励磁制御部42によって自在に制御でき、試料Xの種類や状態、破砕処理程度に応じた破砕媒体6の運動を制御できる。例えば、電磁極15と電磁極16の励磁コイル35に互いに異なる方向に励磁電流を供給して磁気回路が形成されるように両電磁極15,16を励磁すると、強磁性体で形成された破砕媒体6は両電磁極15,16の磁極36の間のチューブ5の内壁に吸引される。次いで、同様に電磁極16と電磁極17とを励磁すると、破砕媒体6はチューブ5の内壁に沿って移動し、両電磁極16,17の磁極36の間の内壁に吸引される。このような励磁の切り換えを時計回りあるいは反時計回りに制御すると、破砕媒体6はチューブ5の内壁を擦るように回転するので、破砕媒体6とチューブ5の内壁との間に挟まれた試料Xは磨り潰される。
【0040】
ここでは電磁極11〜18はチューブ5の高さ方向に4個ずつ2段に配設されているので、励磁を上段の電磁極11〜14に切り換えると、破砕媒体6はチューブ5内を上昇移動する。下段の電磁極15〜18の励磁切り換えと同様に電磁極11〜14の励磁切り換え制御を行うと、破砕媒体6をチューブ5内の高い位置で回転させることができる。破砕媒体6が上昇位置にある状態で、上段の電磁極11〜14の励磁を停止すると同時に、吸引電磁極9を励磁すると、破砕媒体6は落下して吸引電磁極9に吸引されるので、破砕媒体6はチューブ5の底部に激しく衝突する。この破砕媒体6の衝突によりチューブ5の底部にある試料Xは圧縮されて砕かれる。
【0041】
従って、破砕媒体6の回転及び上昇落下が所要の頻度でなされるように電磁極11〜18及び吸引電磁極9の励磁を制御すると、チューブ5内に収容された試料Xには破砕媒体6の回転に伴う摩砕作用と上昇落下に伴う圧砕作用とが及び、試料Xは所要の破砕状態に破砕処理される。
【0042】
各電磁極11〜17の高さ位置の変更、吸引電磁極9に対する励磁状態、各電磁極11〜18の励磁切り換え順序は自在に制御できるので、試料Xの種類に応じた様々な破砕処理が可能である。例えば、植物の葉のように嵩高い繊維質の試料Xを破砕処理する場合、電磁極昇降駆動手段44により各電磁極11〜17の高さ位置を、図3(b)に示すように、電磁極15を最下位置とし電磁極14が最上位置となるように、各電磁極11〜18の高さ位置が順に高くなる螺旋状に配置し、励磁制御部42の制御により電磁極15と電磁極16、電磁極16と電磁極17、電磁極17と電磁極18…電磁極13と電磁極14の順にパルス状に励磁し、最上部に位置する電磁極13と電磁極14の励磁を停止すると同時に吸引電磁極9を励磁すると、破砕媒体6は、図6に示すように、チューブ5の内周壁に沿って螺旋状に上昇し、最上昇位置から落下して吸引電磁極9に吸引されてチューブ5の底に衝突する。この破砕媒体6の螺旋上昇して落下する運動が所要回数繰り返されるように制御することにより試料Xは効果的に破砕処理される。
【0043】
この破砕媒体6の運動は、位置制御部41により電磁極昇降駆動手段22を制御して電磁極11〜17の高さ位置を変更すると共に、励磁制御部42により各電磁極11〜18の励磁順序を切り換えることにより自在に変化させることができる。試料Xが軟質のものである場合ではチューブ5の底部付近で破砕媒体6を重点的に回転させることが好適であり、破砕媒体6の上昇して落下する動作頻度を多くすると、圧砕の作用が増加するので硬質の試料Xを破砕処理するのに好適となる。
【0044】
また、吸引電磁極9に対する励磁電流量を制御すると、破砕媒体6をチューブ5の底部に吸引する吸引力を調整することができる。破砕媒体6をチューブ5の底部側で回転させている間に吸引電磁極9を弱く励磁すると、破砕媒体6はチューブ5の底部に押し付けられた状態で回転し、チューブ5の底部にある試料Xを磨り潰す摩砕作用を増加させることができる。
【0045】
上記励磁制御方法では、破砕媒体6の回転はチューブ5の内周壁に沿って移動する公転運動である。破砕媒体6を自転運動させることを加味することによって摩砕作用を大きくでき、破砕媒体6を自転運動させた方が好適な試料Xもある。破砕媒体6を自転運動させるには、破砕媒体6の形状又は構造と電磁極11〜18の励磁制御を変える必要がある。
【0046】
電磁極11〜18の励磁制御を前述したように、隣り合う電磁極15,16、電磁極16,17、電磁極17,18…の順序で励磁する場合、図7に示すように、水平方向断面形状が半円形の強磁性体49をセラミック等の非磁性体48の中に封止し、強磁性体の位置に偏りがある構造の破砕媒体6とすることにより破砕媒体6に自転運動を与えることができる。しかし、試料Xの抵抗やチューブ5と接触する際の抵抗などによって円滑な自転運動が得難い場合もあり得る。そこで、自転運動を確実に得るための破砕媒体6の構造及び励磁制御の方法は次のようにするのが好適である。
【0047】
図8に示すように、破砕媒体6の水平方向断面を円形でなく、直径方向の一方向を長手方向とする長方形状、即ち直径方向の両側が突出した形状に形成すると共に、電磁極11〜18の励磁は直径方向に対向する磁極36が互いに逆極となる励磁電流方向になるよう切り換え制御する。図8においてA,B,C,Dは各電磁極11〜18の磁極36の配設位置を示し、図8(a)に示すように、AがN極、CがS極となるように励磁すると、破砕媒体6は図示するように長手方向がA−C方向となる。次いで、BがN極、DがS極となるように励磁すると、破砕媒体6は90度回転して長手方向がB−D方向となる。A−C、B−Dの励磁を交互に行うことにより、破砕媒体6は励磁切り換え速度に応じた回転速度で自転運動する。
【0048】
しかし、図8(a)に示す破砕媒体6の形状では、チューブ5の内周壁に接触する面積が小さくなるので、摩砕作用の低下は避けられない。そこで、図8(b)に示すように、セラミック等の非磁性体48を円柱形に形成した中に断面が長方形状の強磁性体49を封止した構造に破砕媒体6を形成すると、自転運動の挙動は図8(a)に示す構造と同様でありながら、外形は円柱形なので摩砕作用の低下はない。また、自転運動を主に行う場合の破砕媒体6の直径は、チューブ5の内径より僅かに小さい寸法とすることが好ましく、チューブ5の内周壁と擦れ合うことによる摩砕作用を大きく得ることができる。
【0049】
破砕媒体6の自転運動は、定まった回転軸がなく、試料Xやチューブ5内に収容した液体(緩衝液など)の抵抗があるため振れ運動しながら回転するので、チューブ5の内周壁と擦れ合う度合いは大きいが、対向磁極の磁界強度が拮抗しているときチューブ5の中心位置で内周壁に接触することなく回転する場合もあり得る。そこで、図8(c)に示すように、非磁性体48内に強磁性体49を偏心した状態に封止すると、磁気吸引力にアンバランスが生じるので、破砕媒体6が振れ運動しながら自転する状態を確実に得ることができる。
【0050】
上記のように強磁性体49を非磁性体48の中に封止した破砕媒体6の構造は、金属や鉄成分に触れることが好ましくない試料Xに好適なものとなる。非磁性体48はセラミックでなく、フッ素樹脂などの樹脂やガラスであってもよい。
【0051】
自転運動する破砕媒体6の構造は、図9(a)に示すように、直径方向に着磁させた破砕媒体6とすることによっても前述と同様の励磁制御で破砕媒体6を自転運動させることができる。この破砕媒体6を着磁した構造の場合も、図9(b)に示すように表面を非磁性体48で被覆した構造、図9(c)に示すように、非磁性体48の中に偏心させた状態に封止する構造を適用することができる。このように破砕媒体6を着磁した場合、その保管状態において、破砕媒体6が互いに磁気吸着して取り扱いし難いことになる。この着磁した破砕媒体6の取り扱いを容易にする方策については後述する。
【0052】
以上説明した磁気破砕装置1の構成は比較的小型のチューブ5に対応するものであるが、図10及び図11に示す第2の実施形態に係る構成のように電磁極11〜18の数を増加させることにより、より大型のチューブ5に対応させることが可能になると同時に、より多彩で円滑な破砕媒体6の運動を得ることが可能となる。この構成では、18個の電磁極11〜28を6個ずつ3段重ねに配設した例を示している。
【0053】
この第2の実施形態に係る構成では、電磁極11〜28の配設数が多いため、電磁極昇降駆動手段44を設けることなく、各電磁極11〜28の励磁を切り換えることにより破砕媒体6の昇降運動を容易に行わせることができる。また、容器収容筒10の一周面に配設された電磁極11〜28の数も多いので、破砕媒体6に多様な運動を加えることが可能となり、励磁制御もより多様に実施することができる。
【0054】
上記第2の実施形態の構成において破砕媒体6に自転運動を生じさせるための構成として、図12に示すように、破砕媒体6はその径方向断面形状が十字形になるように形成し、各電磁極11〜28の励磁が対極間でなされるように制御することにより、より強力な自転運動を期待することができる。また、このように周面を凹凸形状とすることにより、試料Xを剪断する作用が増し、植物、筋肉などの繊維質の試料Xを破砕処理するのに効果的である。
【0055】
この破砕媒体6の断面形状は、チューブ5を囲む一周面に6個の電磁極11〜28が3段重ねに配設されていることに対応するもので、1段当たりの電磁極11〜28の数(ここでは6個)より少ない数の突出部を設けることにより、チューブ5を中心として対向する磁極36に対峙する突出部が一対だけになるようにする。ここでは磁極の数が6個であるのに対して、それより少ない4箇所の突出部を形成すると、図示するような十字形の断面となる。図12(a)において、磁極A,Dが互いに逆極となるように励磁すると、破砕媒体6は図示するような状態となり、次いで磁極C,Fを同様に励磁すると、破砕媒体6は30度回転する。次に磁極B,Eを励磁すると、破砕媒体6は更に30度回転する。この励磁順序がなされるように励磁制御を行うことにより、破砕媒体6を任意の速度で自転させることができる。また、図12(b)に示すように、断面十字形の強磁性体49をセラミック等の非磁性体48の中に偏心させて封止することにより、振れ運動しながら自転する効果を得て、摩砕作用の増加を図ることができる。
【0056】
第1及び第2の実施形態に共通して、摩砕及び圧砕の作用を向上させる破砕媒体6の構成例について説明する。図13に示すように、チューブ5の内底部形状に対応する先端形状で非磁性体により形成した台座53の上に、強磁性体を円筒形に形成した回転昇降体54を配して破砕媒体6とする。台座53と回転昇降体54との対向面を粗面とすることにより、回転昇降体54を回転させたときの試料Xを磨り潰す摩砕作用を向上させると同時に、回転昇降体54の回転に追従する台座53の回転による摩砕作用が得られる。また、回転昇降体54を上昇位置から落下させたときに台座53上にある試料Xを圧砕する効果を増加させることができる。台座53に設けたガイド軸55は特に必要なものではないが、破砕媒体6が単一部材でないとチューブ5に投入する作業手間が増加するので、回転昇降体54が台座53上で自由に運動できるように、台座53と回転昇降体54とを一体化している。回転昇降体54の中心穴の内径はガイド軸55の直径より充分に大きく、回転昇降体54の運動の障害とならないようにすることが望ましい。
【0057】
破砕媒体6の運動による試料Xの破砕処理においては摩擦熱の発生は避けられない。また、装置の発熱や磁界印加に伴う発熱による影響も少なからずある。試料Xの温度上昇は、蛋白質の失活など試料Xに変質を及ぼすので、試料Xの温度上昇を抑えて破砕処理することが要求される。ここでは、前述したように、容器収容筒10の冷媒流通部31に所要温度に冷却された冷媒を循環させることにより容器収容筒10を介してチューブ5を冷却し、試料Xの温度上昇を抑えるように構成している。
【0058】
容器収容筒10はチューブ5の周壁に接触する内径に形成され、各電磁極11〜18の磁極36が進出駆動されてチューブ5に密着するので、容器収容筒10により冷却されているチューブ5に接している試料Xの熱は速やかに放散されて温度上昇が抑えられる。容器収容筒10の冷媒流通部31に設けられた冷媒供給口32及び冷媒排出口33は冷却装置と配管接続され、所要温度に冷却された冷媒が冷媒供給口32に供給され、冷却された冷媒は冷媒注入パイプ34から冷媒流通部31の底部に注入される。冷媒流通部31に形成された複数の冷媒流通空間は上下で連通しているので、冷媒注入パイプ34から注入された冷媒は各冷媒流通空間内を流通して容器収容筒10を冷却し、チューブ5と熱交換して温度上昇した冷媒は冷媒排出口33から外部の冷却装置に戻される。この冷媒の循環を継続すると共に冷媒温度を管理することによってチューブ5の温度、ひいては試料Xの温度を一定に維持することが可能となる。
【0059】
冷媒流通部31に供給する冷媒は、必ずしも液体である必要はなく低温空気などの気体であってもよい。冷媒として低温空気を使用する場合、圧縮空気からマイナス温度の空気を生成する超低温空気発生器などを採用すると、冷却構造を簡易に構成することができる。冷媒として冷却空気を用いる場合には、冷媒流通部31は放熱フィンを形成した構造とし、容器収容筒10の下方から冷却空気を吹き付けることによって冷却することもできる。
【0060】
容器収容筒10の冷却は、次のように簡易に実施することもできる。即ち、冷媒流通部31の冷媒流通空間内に蓄冷材を封入し、蓄冷材が凍結するように予め冷凍庫等に保管しておき、使用時に磁気破砕装置1に装着する。この冷却方法であれば、外部に冷却装置を設ける必要がなく、少ない数のチューブ5に対する破砕処理に簡易に対応させることができる。
【0061】
以上説明した構成では複数サイズのチューブ5に対して多様な励磁制御が可能であるが、通常の分析や検査等の場においては、決まったサイズのチューブ5を使用して特定の試料Xに対して決まった破砕処理を行うことが多いので、そのような使途のための特定処理専用機として構成する場合には、電磁極11〜28や吸引電磁極9を昇降駆動するための駆動構造や制御構成は必要でなく、特定の試料Xを破砕処理するのに必要な数の電磁極11〜28を所要位置に配設するだけで済むので、制御構成も簡単になり、磁気破砕装置1を簡易に且つ安価に構成することができる。
【0062】
チューブ5に投入する破砕媒体6は、滅菌消毒されて汚染されていない清浄な状態で保管し、投入時にも汚染されないようにすることが要求される。また、着磁した破砕媒体6の場合、多数個が同じ保管場所に入れられていると、互いに吸着して1個だけを取り出す作業が難しく、作業効率が低下する。
【0063】
そこで、図14に示すように、破砕媒体6の製造工程において、清浄化した複数個の破砕媒体6を清浄化した破砕媒体供給筒50中に軸方向に整列させて収容し、レバー52の操作によって破砕媒体収容筒50の一端をシャッタ51によってより、1個の破砕媒体6が落下するように構成することが好適となる。また、破砕媒体供給筒50に所定個数の破砕媒体6を収容した状態で滅菌消毒処理を行うことも、破砕媒体6を着磁させることも可能である。この構成により破砕媒体6が原因となるコンタミネーションの発生を防止することができると共に、破砕処理のための作業効率の向上を図ることができる。
【0064】
以上説明した各実施形態の構成において、容器収容筒10の底部側に吸引電磁極9を配しているが、上昇位置にある破砕媒体6を底部に吸引する作用は、下方位置にある電磁極11〜28を励磁することによっても可能であり、強い吸引が必要でない場合は吸引電磁極9を廃止することもできる。また、各実施形態の構成において電磁極11〜28は、その磁極36を進退駆動させるように構成しているが、電磁極11〜28全体を進退駆動させるように構成することもできる。
【0065】
また、各実施形態の構成において、電磁極11〜28及び吸引電磁極9は直流励磁が基本であるが、低い周波数で交流励磁することにより、回転磁界の発生による破砕媒体6の回転駆動や、吸引電磁極9を交流励磁することにより破砕媒体6を微振動させることも可能となる。
【0066】
また、各実施形態の構成では、チューブ5を垂直方向に配置しているが、磁気駆動ではチューブ5の配置方向は自由であり、また、チューブ5の開口部をキャップ7で密閉できるので、チューブ5が斜め方向あるいは横方向になるように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上の説明の通り本発明によれば、密閉容器中で試料を破砕処理することができ、容器は所定位置に保持されているので冷却することが容易であり、試料の温度上昇を抑えて破砕できるので時間を要する破砕処理であっても試料に変質を生じさせることがない。また、破砕対象とする試料の種類や状態、破砕処理程度に応じて破砕媒体のチューブ内での運動が最適になるような励磁制御と磁極配設位置とが設定でき、破砕媒体の形状、寸法、構造を最適なものに選択することにより取り扱いが容易な破砕装置に構成できる。また、クリーンベンチ等の中にも設置可能な小型装置として、DNA解析、BSE検査等を効率よく実施できる磁気破砕装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1の実施形態に係る磁気破砕装置の外観構成を示す斜視図。
【図2】同上装置の要部構成を水平方向断面として示す断面図。
【図3】同上装置の要部構成を垂直方向断面として示し、(a)は電磁極を下方寄りに配置した状態、(b)は電磁極を螺旋状に配置した例を示す断面図。
【図4】同上装置の制御構成を示すブロック図。
【図5】チューブの構成例を示す1/2断面図。
【図6】破砕媒体の運動例を示す斜視図。
【図7】破砕媒体の変形例を示す断面図。
【図8】破砕媒体を自転運動させる各種形態を示す断面図。
【図9】破砕媒体を着磁構造とした各種形態を示す断面図。
【図10】第2の実施形態に係る磁気破砕装置の要部構成を水平方向断面として示す断面図。
【図11】同上装置の要部構成を垂直方向断面として示す断面図。
【図12】第2の実施形態の構成に対応する破砕媒体の構成を示す断面図。
【図13】破砕媒体の変形例を示す斜視図。
【図14】破砕媒体供給筒の構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0069】
1 磁気破砕装置
5 チューブ(容器)
6 破砕媒体
9 吸引電磁極
10 容器収容筒
11〜28 電磁極
30 制御装置
31 冷媒流通部(冷却手段)
35 励磁コイル
36 磁極
41 位置制御部
42 励磁制御部
43 磁極進退駆動手段
44 電磁極昇降駆動手段
45 吸引磁極電磁極昇降駆動手段
48 非磁性体
49 強磁性体
50 破砕媒体供給筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性体を主体として形成された破砕媒体と破砕対象とする試料とが投入された容器を収容する容器収容筒と、前記容器収容筒を囲む複数位置に配設された複数の電磁極と、各電磁極の磁極又は全体を容器収容筒に対して進退駆動する磁極進退駆動手段と、各電磁極の励磁を制御する励磁制御手段と、前記容器収容筒を冷却する冷却手段と、を備えてなることを特徴とする磁気破砕装置。
【請求項2】
任意の電磁極を容器収容筒の軸方向に移動させる電磁極軸方向駆動手段が設けられてなる請求項1に記載の磁気破砕装置。
【請求項3】
容器収容筒の底部に磁極先端が当接し、励磁制御手段によって励磁制御される吸引電磁極が配設されてなる請求項1又は2に記載の磁気破砕装置。
【請求項4】
吸引電磁極は、容器収容筒方向に進退移動可能に配設されてなる請求項3に記載の磁気破砕装置。
【請求項5】
容器収容筒は、有底円筒形に形成された容器の外面に接する内径、内形状に形成されてなる請求項1〜4いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項6】
容器収容筒は、着脱可能に設けられてなる請求項1〜5いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項7】
冷却手段は、容器収容筒に形成された冷媒流通部に所要温度に冷却された冷媒を循環させるように構成されてなる請求項1〜6いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項8】
冷却手段は、容器収容筒及びそれに形成された放熱フィンに冷風を送風するように構成されてなる請求項1〜6いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項9】
冷却手段は、冷媒流通部に充填した蓄冷材を凍結させるように構成されてなる請求項1〜6いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項10】
破砕媒体は、強磁性体が着磁されてなる請求項1〜4いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項11】
破砕媒体は、強磁性体の径方向断面が容器を囲む一周面に配設された電磁極の数より少ない数の突出部を設けた形状に形成されてなる請求項1,2,3,4,10いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項12】
破砕媒体は、強磁性体が非磁性体中の偏心位置に封止されてなる請求項1,2,3,4,10,11いずれか一項に記載の磁気破砕装置。
【請求項13】
破砕媒体は、清浄化されて軸方向に整列するように清浄化された円筒中に収容され、円筒の開放端から1個ずつ排出される破砕媒体供給筒に収容されてなる請求項1〜12いずれか一項に記載の磁気破砕装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−136954(P2008−136954A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326494(P2006−326494)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(504073919)
【Fターム(参考)】