説明

磁気粘性流体緩衝器

【課題】組み立てが容易な簡便な構造を有する磁気粘性流体緩衝器を提供すること。
【解決手段】磁界の作用によって粘性が変化する磁気粘性流体が封入されたシリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に配置され、シリンダ1内を二つの流体室3,4に画成するピストン2と、ピストン2の摺動によって磁気粘性流体が通過する流路8と、流路8に磁界を作用させるコイル8と、ピストン2が固定されるロッド5とを備える。ピストン2は、ロッド5に挿入され外周にコイル9が巻装されたピストンコア6と、ピストンコア6の外周に所定の間隔をもって配置されることによってピストンコアの外周との間に流路8の一部を形成するピストンリング7とを備え、ピストンコア6及びピストンリング7はロッド5に締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界の作用によって見かけの粘性が変化する磁気粘性流体を利用した磁気粘性流体緩衝器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される緩衝器として、磁気粘性流体が通過する流路に磁界を作用させ、磁気粘性流体の見かけの粘性を変化させることによって、減衰力を発生させるものがある。
【0003】
この種の緩衝器として、ロッドにピストンアッセンブリを固定し、そのピストンアッセンブリをシリンダ内に摺動自在に配置する構造のものがある。
【0004】
特許文献1には、ピストンコアと、磁束リングと、ピストンコアの端部に配置されたエンドプレートとを備える緩衝器が開示されている。
【0005】
特許文献1に記載の緩衝器の組み立ては、各部材を組み付け型内に配置した状態にて、クリンプダイにて圧縮荷重を加え、磁束リングとエンドプレートとをクリンプ部材を介して結合することによって行われる。
【特許文献1】米国特許第6260675号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1における緩衝器では、組み付け専用の型を必要とするため、緩衝器の組み立てを容易に行うことができない。
【0007】
このように、磁気粘性流体を利用した緩衝器は、磁気粘性流体が通過する流路を形成するための部材や、その流路に磁界を作用させるコイル等の複数の部材にて構成されるため、組み立てには大変な労力を要する。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、組み立てが容易な簡便な構造を有する磁気粘性流体緩衝器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、磁界の作用によって粘性が変化する磁気粘性流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動自在に配置され、前記シリンダ内を二つの流体室に画成するピストンと、前記ピストンに形成され前記ピストンの摺動によって前記磁気粘性流体が通過する流路と、前記ピストンの内部に収容され前記流路に磁界を作用させるコイルと、前記ピストンが連結されるロッドとを備える磁気粘性流体緩衝器であって、前記ピストンは、前記ロッドに挿入され外周に前記コイルが巻装されたピストンコアと、前記ピストンコアの外周に所定の間隔をもって配置されることによって前記ピストンコアの外周との間に前記流路の一部を形成するピストンリングとを備え、前記ピストンコア及び前記ピストンリングは前記ロッドに締結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、磁気粘性流体が通過する流路を形成するピストンは、ピストンコアとピストンリングとによって構成され、双方ともロッドに直接締結される。このように、本発明に係る磁気粘性流体緩衝器は、簡便な構造を有するものであり、組み立てに際して型等の特別な治具を必要とせず、簡便に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1を参照して本発明の実施の形態1である磁気粘性流体緩衝器100について説明する。図1(a)は磁気粘性流体緩衝器100の断面図であり、図1(b)は図1(a)におけるB矢視図であり、図1(c)は図1におけるC矢視図である。なお、図1(a)に示す断面図は、図1(b)におけるA−O−A断面である。
【0013】
磁気粘性流体緩衝器100は、自動車等の車両の車体と車軸との間に介装され、車体姿勢の変化を抑制する緩衝器として機能するものである。
【0014】
磁気粘性流体緩衝器100は、筒状のシリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に配置され、シリンダ1内を二つの流体室3,4に画成するピストン2とを備える。
【0015】
ピストン2は、ロッド5の一端に連結されている。ロッド5の他端は、シリンダ1の外部へ延在している。
【0016】
シリンダ1内には磁気粘性流体が封入されている。この磁気粘性流体は、磁界の作用によって見かけの粘性が変化するものであり、油等の液体中に強磁性を有する微粒子を分散させた液体である。磁気粘性流体の粘性は、作用する磁界の強さを変更することによって調節することができ、磁界を除くことによって元の状態に戻る。
【0017】
なお、シリンダ1内には、ロッド5の侵入、退出によるシリンダ1内の容積変化を補償するガス室(図示せず)が設けられている。
【0018】
ピストン2は、ロッド5の先端側に締結されたピストンコア6と、ロッド5の基端側に締結されたピストンリング7とを備える。ピストンコア6及びピストンリング7は、磁性材料で構成される。
【0019】
ロッド5一端の外周には、二つ環状段部5a,5bが形成されることによって、先端側から小径な第一締結部5c,位置決め部5d,及び第二締結部5eが形成される。第一締結部5c及び第二締結部5eには雄ねじが形成され、位置決め部5dの外周は平滑状に形成されている。
【0020】
ピストンコア6は、図2に示すように、軸方向に貫通する貫通孔6fを有する略円筒形状の部材である。貫通孔6f内周には、環状段部6gが形成されることによって、平滑状に形成された位置決め穴6aと、位置決め穴6aよりも小径で雌ねじが形成された締結部6bとが形成される。
【0021】
ロッド5とピストンコア6は、位置決め部5dと位置決め穴6aとがぴったりと嵌合することによって同軸上に位置決めされ、第一締結部5cと締結部6bとが螺合して噛合うことによって締結される。
【0022】
ピストンリング7は、ピストンコア6の外周に所定の間隔をもって配置され、ロッド5の第二締結部5eに締結される。これにより、ピストンコア6の外周とピストンリング7の内周との間には、磁気粘性流体が通過する流路の一部を構成する環状流路8aが形成される。
【0023】
以下、ピストンリング7について説明する。
【0024】
ピストンリング7は、図3に示すように、ロッド5に締結されると共にシリンダ1内周と摺動するプレート部7aと、ピストンコア6の外周を所定の間隔をもって取り囲むリング部7bとを備える。
【0025】
プレート部7aは、軸方向に貫通する貫通孔7hを有し、貫通孔7h内周には雌ねじを有する締結部7iが形成される。この締結部7iとロッド5の第二締結部5eとが螺合して噛合うことによって、ロッド5とピストンリング7は締結される。
【0026】
プレート部7aの外周7cはシリンダ1内周と摺動し、外周7cには、外周7cとシリンダ1内周との間における磁気粘性流体の通過を防止するためのシール材(図示せず)が設けられる。
【0027】
また、プレート部7aにおけるピストンコア6に対向する面には環状の溝部7dが形成され、この溝部7dには、ピストンコア6の一端が嵌合する。
【0028】
リング部7bは、プレート部7aの外縁部と一体に、かつシリンダ1内周と平行に延在して形成される。リング部7bの内周とピストンコア6の外周との間が、環状流路8aである。
【0029】
プレート部7aの両面には、それぞれ環状溝7f,7gが形成され、その環状溝7fと7gとの一部が連通することによって、プレート部7aには複数の円弧状の貫通孔7e(本実施の形態では4個)が形成される。
【0030】
これにより、流体室3と流体室4とは、環状流路8a及び円弧状の貫通路7eによって連通する。この環状流路8a及び貫通路7eにて磁気粘性流体が通過する流路8が構成される。
【0031】
このように、流路8は、ロッド5基端側では、流体室3に対して貫通孔7eを通じて連通するのに対して、ロッド5先端側では、流体室4に対して環状に開口する。これは、ピストンコア6及びピストンリング7は、双方ともロッド5に対して直接締結されるため、ロッド5先端側では、ピストン2を固定するための部材が必要無く、ピストンリング7先端、つまりリング部7bの先端が自由端となるためである。流路8が流体室4に対して環状に開口することによって、流体室4の磁気粘性流体が流路8に流れ易くなる。
【0032】
以上のように、ロッド5の先端にピストンコア6とピストンリング7とを締結することによって、ピストン2には流体室3と流体室4とをつなぐ流路8が形成され、ピストン2がシリンダ1内を摺動することによって、磁気粘性流体が流路8を通過する。
【0033】
なお、プレート部7aに形成された環状溝7fは、図1に示すように、流体室3に対してテーパ状に開口させるのが望ましい。このように構成することにより、プレート部7aに形成された複数の貫通孔7eは、流体室3に対してテーパ状に開口することになる。これにより、流体室3の磁気粘性流体が流路8に流れ易くなると共に、プレート部7aにおける流体室3に対向する面に、鉄分等の異物が堆積するのを防止することができる。
【0034】
ピストンコア6の外周にはコイル9が巻装されている。具体的には、ピストンコア6の外周には環状の段部6cが形成されており、コイル9はピストンコア6外周の小径部に配置され、段部6cと磁性材料にて構成された環状のヨーク10とによって挟持されている。
【0035】
なお、ヨーク10とピストンコア6とを一体に形成することによって、ピストンコア6の外周に環状の凹部を形成し、その凹部にコイル9を収容するようにしてもよい。
【0036】
このように、コイル9は、ピストン2の内部に収容され、流路8に面して形成される。したがって、コイル9に電流を流すことによってコイル9は磁力を発生し、その磁力は、ピストンコア6、ヨーク10、及びリング部7bが構成する磁気通路を介して、流路8を流れる磁気粘性流体に作用することになる。
【0037】
ピストン2の先端、つまりピストンコア6の先端には流体室4に向けて開口する凹部6dが形成される。凹部6dには、ロッド5を軸方向に貫通する中空部5f、及びピストンコア6に形成され段部6cに開口する連通孔6eが連通している。コイル9のリード線9aは、連通孔6eを挿通して凹部6dに導かれ、凹部6dの底面に配置された環状のワッシャー12、及びロッド5の中空部5fを挿通しロッド5の外部に導かれ、車両に搭載されたコントローラ(図示せず)に接続される。このようにして、コイル9には、コントローラからの駆動電流が入力される。
【0038】
磁気粘性流体が、ピストンコア6の凹部6d及びロッド5の中空部5fを通じて外部へ流出しないように、凹部6dには接着剤や樹脂等のシール材13が充填される。流体室4に向けて開口する凹部6dをシール材13にて充填することによって、流体室4とロッド5とを隔絶することができるため、ロッド5の中空部5fにシール材13を充填する必要はなく、また、ピストンコア6とロッド5との間のシールも考慮する必要が無い。このように、凹部6dへのシール材13の充填のみによって、高い気密性を得ることができる。
【0039】
以上のように構成される磁気粘性流体緩衝器100の動作について説明する。
【0040】
シリンダ1内にてピストン2が摺動すると、ピストン2両側の流体室3,4の磁気粘性流体が流路8を介して移動する。このとき、コイル9に電流を流すと磁気粘性流体に磁力が作用し、磁気粘性流体の粘性が変化する。これにより、磁気粘性流体緩衝器100は、流路8を流れる磁気粘性流体の粘性抵抗の大きさに応じた減衰力を発生する。
【0041】
コイル9の電流が大きくなるほど磁気粘性流体の粘性は大きくなり、磁気粘性流体緩衝器100の発生する減衰力も大きくなる。このように、磁気粘性流体緩衝器100が発生する減衰力の調節は、コイル9に流す電流を変化させ流路8に作用する磁場の強さを変化させることによって行われる。
【0042】
なお、流路8とロッド5との軸がずれている場合、流路8を通過する磁気粘性流体の流れに乱れが生じる。その場合、磁気粘性流体緩衝器100の減衰力にばらつきが発生し、減衰力の制御性に悪影響を及ぼすことになる。
【0043】
したがって、流路8とロッド5との同軸度は高い精度が要求される。流路8のロッド5に対する同軸度は、ピストンコア6とピストンリング7との相対位置によって決定される。ピストンコア6は、位置決め穴6aがロッド5の位置決め部5dに嵌合することよって、ロッド5に対して同軸上に位置決めされる。したがって、流路8のロッド5に対する同軸度は、ピストンリング7とロッド5との締結部の寸法精度によることになる。このため、ピストンリング7とロッド5との締結部の寸法管理を行うことによって、流路8のロッド5に対する同軸度を高精度に保つことができ、磁気粘性流体緩衝器100の減衰力のばらつきを防止することができる。
【0044】
次に、磁気粘性流体緩衝器100の組立方法について説明する。
【0045】
まず、ピストン2をロッド5に対して組み付ける前に、図4に示すように、ピストンコア6の外周に環状に巻装されたコイル9を挿入し、段部6cに当接させる。次に、環状のヨーク10をピストンコア6の外周に挿入し、コイル9を段部6cとヨーク10によって挟持する。
【0046】
次に、凹部6dの底面に環状のワッシャー12を配置する。そして、コイル9のリード線9aを、連通孔6eに挿通し凹部6dに導き、ワッシャー12の穴12aに通す。この状態にて、凹部6dにシール材13を注入し、凹部6d及び連通孔6eにシール材13を充填する。
【0047】
なお、シール材13の充填は、ワッシャー12の穴12aとリード線9aとの隙間からシール材13が漏れないように、その隙間をワッシャー12の背面からシールして行う。
【0048】
以上のようにして、図4に示すピストンコアアッセンブリ15を得ることができる。
【0049】
ピストン2をロッド5に対して組み付けるには、まず、ピストンリング7を、ロッド5に先端側から挿入し、プレート部7aの締結部7iをロッド5の第二締結部5eに螺合させる。これにより、ピストンリング7はロッド5に対して締結される。
【0050】
次に、ピストンコアアッセンブリ15を、ロッド5に先端側から挿入し、ピストンコア6の位置決め穴6aをロッド5の位置決め部5dに嵌合させると共に、締結部6bをロッド5の第一締結部5cに螺合させる。これにより、ピストンコア6はロッド5に対して同軸上に締結される。なお、ロッド5の位置決め部5dの外周には、ロッド5とピストンコア6との間における磁気粘性流体の漏れを防ぐためのOリング16が設けられている。
【0051】
このように、ピストンリング7及びピストンコア6をロッド5に対して締結することによって、ピストン2はロッド5に固定されると共に、ピストン2には流路8が形成される。
【0052】
最後に、ピストン2が固定されたロッド5をシリンダ1内に挿入することによって、磁気粘性流体緩衝器100を得ることができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態1によれば、シリンダ1内を流体室3,4に区画し、かつ流路8を形成するピストン2は、ロッド5先端側のピストンコア6とロッド5基端側のピストンリング7とによって構成され、ピストンコア6及びピストンリング7は双方ともロッド5に対して直接締結される。つまり、本実施の形態1におけるピストンコア6及びピストンリング7は、ピストン2を構成する部材であると共に、ピストン2をロッド5に締結するための締結部材の機能も備えるものである。
【0054】
このように、本実施の形態1の磁気粘性流体緩衝器100は、部品数の少ない簡便な構造を有するものである。したがって、磁気粘性流体緩衝器100の組立は、組み立てに際して型等の特別な治具を必要とせず、ロッド5の先端側からピストンリング7とピストンコア6とを順番に組み付けることのみによって行うことができるため、簡便に行うことができる。
【0055】
以下に、本実施の形態1の他の態様を示す。
【0056】
図5に示すように、リング部7bの外周に、シリンダ1の内周と摺動する環状のダストワイパ18を設けるようにしてもよい。シリンダ1の内周には、鉄粉等の異物が付着し易く、その場合には、シリンダ1内周に対するピストン2の摺動性が悪くなる。しかし、ダストワイパ18を設けることによって、シリンダ1内周に付着した異物を除去できるため、ピストン2の摺動性を良好に保つことができる。
【0057】
また、本実施の形態1では、ピストンコア6をロッド5先端側、ピストンリング7をロッド5基端側に締結する構成としたが、ピストンコア6をロッド5基端側、ピストンリング7をロッド5先端側に締結するように構成することも当然可能である。この場合には、流路8は、ロッド基端側である流体室3に対して環状に開口することになり、また、シール材13が充填される凹部は、ピストンリング7の先端に形成されることになる。
【0058】
(実施の形態2)
次に、図6を参照して本発明の実施の形態2である磁気粘性流体緩衝器200について説明する。図6は磁気粘性流体緩衝器200の断面図である。
【0059】
本実施の形態2の磁気粘性流体緩衝器200の構成は、上述の実施の形態1の磁気粘性流体緩衝器100と略同様であるため、相違点を中心に説明する。磁気粘性流体緩衝器100と同様の構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0060】
本実施の形態2の磁気粘性流体緩衝器200における磁気粘性流体緩衝器100との相違点は、ピストンリング7は非磁性材料にて構成され、ピストンリング7のリング部7bの内周に環状の磁性体リング20が設けられている点である。
【0061】
このように、磁気粘性流体緩衝器200におけるピストンリング7は、磁気粘性流体が通過する流路8に面するリング部7b内周のみが磁性材料にて構成され、それ以外の部分は非磁性材料にて構成される。
【0062】
ピストンリング7は、非磁性材料であるアルミニウムを主成分として構成される。磁性体リング20は、リング部7bの内周に圧入され、ピストンリング7と一体にアッセンブリ化される。
【0063】
磁気粘性流体緩衝器200の組立は、アッセンブリ化されたピストンリング7及びピストンコア6をロッド5に対して順番に締結することによって行われる。
【0064】
以上ように、本実施の形態2は、ピストンリング7における流路8に面する部分のみを磁性材料にて構成し、それ以外の部分は軽量な非磁性材料にて構成するものである。したがって、本実施の形態2によれば、流路8の周囲に磁気通路を構成しつつピストン2の軽量化を図ることができるため、磁気粘性流体緩衝器200が発生する減衰力を損なうこと無く、ピストン2の動作を良好にすることができる。
【0065】
また、ピストン2の外周は非磁性材料にて構成されるため、流路8周囲の磁気通路を流れる磁力がシリンダ1の外部に漏れることが無く、磁気粘性流体緩衝器200の周囲に配置される他の機器への磁力による悪影響を防止することができる。
【0066】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、車両に搭載する緩衝器に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】(a)本発明の実施の形態1における磁気粘性流体緩衝器100を示す断面図である。(b)図1(a)におけるB矢視図である。(c)図1(a)におけるC矢視図である。
【図2】ピストンコア6を示す断面図である。
【図3】ピストンリング7を示す断面図である。
【図4】ピストンコアアッセンブリ15を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における磁気粘性流体緩衝器100の他の態様を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2における磁気粘性流体緩衝器200を示す断面図である。
【符号の説明】
【0069】
100,200 磁気粘性流体緩衝器
1 シリンダ
2 ピストン
3,4 流体室
5 ロッド
6 ピストンコア
7 ピストンリング
7a プレート部
7b リング部
8 流路
9 コイル
10 ヨーク
13 シール材
15 ピストンコアアッセンブリ
20 磁性体リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界の作用によって粘性が変化する磁気粘性流体が封入されたシリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に配置され、前記シリンダ内を二つの流体室に画成するピストンと、
前記ピストンに形成され前記ピストンの摺動によって前記磁気粘性流体が通過する流路と、
前記ピストンの内部に収容され前記流路に磁界を作用させるコイルと、
前記ピストンが連結されるロッドと、
を備える磁気粘性流体緩衝器であって、
前記ピストンは、前記ロッドに挿入され外周に前記コイルが巻装されたピストンコアと、前記ピストンコアの外周に所定の間隔をもって配置されることによって前記ピストンコアの外周との間に前記流路の一部を形成するピストンリングとを備え、
前記ピストンコア及び前記ピストンリングは前記ロッドに締結されることを特徴とする磁気粘性流体緩衝器。
【請求項2】
前記ピストンコア及び前記ピストンリングは、前記ロッドに螺合することによって締結されることを特徴とする請求項1に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項3】
前記ピストンリングの先端は自由端であり、
前記流路は、前記ピストンリングの自由端側では前記流体室に対して環状に開口していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項4】
前記ピストンリングは、内周が前記ロッドに締結されると共に外周が前記シリンダ内周と摺動するプレート部と、前記ピストンコアの外周を所定の間隔をもって取り囲むリング部とを備え、
前記プレート部に、前記流路の一部と連通する貫通孔が形成されることによって、前記二つの流体室が連通することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項5】
前記ピストンリングは非磁性材料にて構成され、
前記リング部の内周には、環状の磁性体リングが圧入されることを特徴とする請求項4に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項6】
前記プレート部の前記貫通孔は、前記流体室に対してテーパ状に開口することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項7】
前記ピストンリングの外周には、前記シリンダ内周と摺動するダストワイパが設けられることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の磁気粘性流体緩衝器。
【請求項8】
前記ピストンの先端には、前記流体室に向けて開口する凹部が形成され、
前記ロッドには、軸方向に貫通すると共に前記凹部と連通する中空部が形成され、
前記コイルのリード線は、前記凹部及び前記ロッドの中空部を通ることにより前記ロッド外部に導かれ、
前記凹部にはシール材が充填されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁気粘性流体緩衝器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−303582(P2007−303582A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133782(P2006−133782)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】