説明

磁気記録媒体用基板の洗浄装置及び磁気記録媒体用基板の洗浄方法

【課題】洗浄液が周囲に飛散しにくく、磁気記録面上での磁気ヘッドの低浮上化に対応できる高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板の得られる磁気記録媒体用基板の洗浄装置および洗浄方法を提供する。
【解決手段】磁気記録媒体用基板1上に洗浄液を供給する洗浄液ノズル4と、多孔質材料からなる洗浄具3、3と、洗浄具3、3、を磁気記録媒体用基板1上で摺動させる摺動手段と、磁気記録媒体用基板1上から洗浄具3、3を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段7とを備える磁気記録媒体用基板1の洗浄装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体用基板の洗浄装置及び磁気記録媒体用基板の洗浄方法に関し、特に、高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板の得られる磁気記録媒体用基板の洗浄装置及び磁気記録媒体用基板の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ハードディスクドライブなどに用いられる磁気記録媒体用の基板としては、アルミニウム基板やガラス基板が用いられている。近年、磁気記録媒体の記録密度はますます高まってきており、磁気記録面上でのヘッドの低浮上化に対応できるように、磁気記録媒体用基板の表面に対して高い平坦度が求められると共に高い清浄度が求められている。このため、磁気記録媒体用基板の表面に付着した埃等を除去するための高度な洗浄技術が求められている。
【0003】
磁気記録媒体用基板の洗浄方法として、例えば、特許文献1には、磁気ディスク基板などのワークの表面に研磨加工などの表面処理を行った後、該ワークの表面に付着している異物などを除去するために、ワークを洗浄槽内でコンベアにより搬送しながら、液体を用いて洗浄し、その後、液体で洗浄されたワークを洗浄槽から1つずつ取り出してスクラブ洗浄機の回転ブラシによりワークを1つずつスクラブ洗浄する方法が開示されている。ここで用いられるスクラブ洗浄機としては、ワークの表面に接触するカップ型またはロール型の回転ブラシを有するものなどがある。
【0004】
また、特許文献2には、スクラブ洗浄により洗い流されるべき研磨滓やポリッシュの遊離砥粒等がスポンジ状の樹脂からなるパッド中に吸い込まれてパッド内に留まり、基板表面が疵つけられることを防止するために、スポンジ状パッドの内部構造に互いに連通した空隙部を設け、パッドの底面から表面に洗浄水を供給する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−96245号公報
【特許文献2】特開2000−315318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、磁気記録媒体の記録容量の上昇はさらに激しさを増しており、磁気記録媒体用基板の洗浄方法に対して今まで以上の高い清浄度が求められている。このため、今までは許容されていた極微小の付着物が欠陥原因として問題視されるようになってきた。例えば、特許文献2に記載の技術を採用した場合、パッド内のゴミ等は洗浄水によりパッド内から流れ出されるため、パッド内を清浄に保つことはできるものの、パッド内から流れ出た研磨滓やポリッシュの遊離砥粒等が洗浄基板に付着する場合があった。
また、従来の洗浄装置では、磁気記録媒体用基板の洗浄液が周囲に飛散するという不都合があった。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、洗浄液が周囲に飛散しにくく、磁気記録面上での磁気ヘッドの低浮上化に対応できる高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板の得られる磁気記録媒体用基板の洗浄装置を提供することを目的とする。
また、洗浄液が周囲に飛散しにくく、高い洗浄仕上がりが得られる磁気記録媒体用基板の洗浄方法および、磁気記録面上でのヘッドの低浮上化に対応できる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意努力検討した。その結果、磁気記録媒体用基板上に洗浄液を供給しながら洗浄具を磁気記録媒体用基板上で摺動させて洗浄する際に、洗浄具として多孔質材料からなるものを用い、洗浄液の少なくとも一部を、洗浄具を介して吸引して排出することで、洗浄液が周囲に飛散しにくく、洗浄によって磁気記録媒体用基板や洗浄具から放出された埃等のゴミが磁気記録媒体用基板上に付着することを防止でき、高い洗浄仕上がりが得られることを見出し、本願発明を完成させた。すなわち本願発明は下記に関する。
【0008】
(1)磁気記録媒体用基板上に洗浄液を供給する洗浄液ノズルと、多孔質材料からなる洗浄具と、前記洗浄具を前記磁気記録媒体用基板上で摺動させる摺動手段と、前記磁気記録媒体用基板上から前記洗浄具を介して前記洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段とを備えることを特徴とする磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【0009】
(2)前記洗浄具が、円筒形で側面を前記磁気記録媒体用基板の表面に対向させて、前記表面に平行な方向を軸として回転されるものであり、前記洗浄具の前記円筒形の中心軸に沿って、前記側面から吸引された前記洗浄液を排出するための排出通路が形成されており、前記洗浄液排出手段が、前記排出通路の端部に取り付けられた洗浄液排出管と、前記洗浄液排出管内の圧力を減圧する減圧手段とを備えていることを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
(3)前記洗浄具が、円筒形で一端面を前記磁気記録媒体用基板の表面に対向させて、前記表面に直交する方向を軸として回転されるものであり、前記洗浄液排出手段が、前記洗浄具の前記円筒形の他端面に取り付けられた洗浄液排出管と、前記洗浄液排出管内の圧力を減圧する減圧手段とを備えていることを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
(4)前記洗浄液ノズル、前記洗浄具、前記摺動手段および前記洗浄液排出手段が、それぞれ2つずつ設けられ、前記磁気記録媒体用基板に対して対称に配置されていることを特徴とする(2)または(3)に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【0010】
(5)洗浄液ノズルにより磁気記録媒体用基板上に洗浄液を供給させるとともに、多孔質材料からなる洗浄具を前記磁気記録媒体用基板上で摺動させる洗浄工程を有し、前記洗浄工程において、前記洗浄液の少なくとも一部を、前記磁気記録媒体用基板上から前記洗浄具を介して吸引して排出することを特徴とする磁気記録媒体用基板の洗浄方法。
(6)前記洗浄工程において、前記磁気記録媒体用基板を挟み込むように配置された2つの洗浄具を前記磁気記録媒体用基板の両面上でそれぞれ摺動させることを特徴とする(5)に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄方法。
【0011】
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて前記磁気記録媒体用基板を洗浄する工程を備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置は、磁気記録媒体用基板上から洗浄具を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段を備えているので、磁気記録媒体用基板を洗浄するに際し、洗浄具を介して洗浄液を吸引して排出することにより、洗浄液が周囲に飛散しにくくなるとともに、洗浄によって磁気記録媒体用基板から放出された埃等のゴミを磁気記録媒体用基板から放出された後速やかに洗浄液とともに吸引して洗浄具に捕獲させることができる。したがって、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて洗浄した場合、洗浄によって磁気記録媒体用基板から放出されたゴミが、磁気記録媒体用基板に再度接触することがなく、洗浄によって磁気記録媒体用基板から放出されたゴミを速やかに磁気記録媒体用基板上から除去できる。
また、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置では、磁気記録媒体用基板上から洗浄具を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段を備えているので、洗浄具から洗浄液に埃等のゴミが放出されることはないし、洗浄具に捕獲された磁気記録媒体用基板から放出されたゴミが再度放出されることもない。
【0013】
このように、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて洗浄した場合、洗浄によって磁気記録媒体用基板から放出されたゴミが磁気記録媒体用基板に再度接触することはないし、洗浄具から洗浄液にゴミが放出されることもないので、高い洗浄仕上がりが得られる。その結果、磁気記録面上での磁気ヘッドの低浮上化に対応できる高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板を実現できる。
【0014】
本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄方法では、洗浄工程において、洗浄液の少なくとも一部を、前記磁気記録媒体用基板上から前記洗浄具を介して吸引して排出するので、洗浄液が周囲に飛散しにくく、洗浄によって磁気記録媒体用基板から放出されたゴミや洗浄具から放出されるゴミが、磁気記録媒体用基板上に付着することを防止でき、高い洗浄仕上がりが得られる。
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いる磁気記録媒体用基板を洗浄する工程において清浄度の高い表面が得られるので、磁気記録面上でのヘッドの低浮上化に対応できる磁気記録媒体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る磁気記録媒体用基板の洗浄装置及び磁気記録媒体用基板の洗浄方法、磁気記録媒体の製造方法について、図面を参照して説明する。
「第1実施形態」
本実施形態では、磁気記録媒体用基板の洗浄装置及び磁気記録媒体用基板の洗浄方法として、磁気記録媒体の製造工程に含まれる磁気記録媒体用基板の洗浄工程を行なう場合を例に挙げて説明する。なお、ここでの磁気記録媒体用基板の洗浄工程は、磁気記録媒体の製造工程においていかなる段階で行なわれる洗浄工程であってもよいが、例えば、所定の表面平均粗さRaとなるように、磁気記録媒体用基板の表面にメカニカルテクスチャー加工を施した後のスクラブ洗浄工程とすることができる。
【0016】
図1(a)は、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置の一例を磁気記録媒体用基板上側から見た平面図である。また、図1(b)は、図1(a)に示す洗浄装置のA−A‘断面図であり、図1(c)は、図1(a)に示す洗浄装置のB−B‘断面図である。また、図1(d)は、図1(a)に示す洗浄装置に備えられたブラシを拡大して示した拡大斜視図である。
【0017】
図1(a)〜図1(d)に示す洗浄装置は、洗浄される磁気記録媒体用基板1上に洗浄液を供給する洗浄液ノズル4と、ブラシ(洗浄具)3と、ブラシ3を磁気記録媒体用基板1上で摺動させる摺動手段と、磁気記録媒体用基板1上からブラシ3を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段7とを備えている。また、洗浄液ノズル4、ブラシ3、摺動手段および洗浄液排出手段7は、それぞれ2つずつ設けられており、磁気記録媒体用基板1に対して対称に配置されている。なお、図1に示す洗浄装置は、磁気記録媒体用基板1が水平となるように配置されていてもよいし、磁気記録媒体用基板1が垂直となるように配置されていてもよいし、磁気記録媒体用基板1が斜めになるように配置されていてもよい。
【0018】
磁気記録媒体用基板1は、磁気記録媒体の製造工程に含まれる洗浄工程を行なう前の被洗浄物である。磁気記録媒体用基板1としては、例えば、直径3.5インチ程度以下で中央に開口部の形成されたディスク状の一般的なものなどが挙げられる。また、磁気記録媒体用基板1の材質としては、特に限定されないが、NiPメッキ膜の形成されたAl合金基板、ガラス基板、セラミックス基板、可曉性樹脂基板、NiP膜をスパッタ法により蒸着せしめた基板などが挙げられる。
【0019】
また、洗浄液ノズル4は、磁気記録媒体用基板1上に、水、界面活性剤などの洗浄液を所定の供給量で供給するものである。
【0020】
また、本実施形態においては、ブラシ3が2本設けられており、図1(a)および図1(b)に示すように、2本のブラシ3、3が、磁気記録媒体用基板1を挟み込むように配置されている。ブラシ3は、多数の空隙を有するスポンジ状の樹脂などの多孔質材料からなるものであり、PVA(ポリビニルアルコール)スポンジなどが用いられる。PVAスポンジは、親水性高分子であるPVAからなるものであり、高い吸水性および保水性を有し、洗浄用途に適した特性を有する。さらに、ブラシ3として、過酸化水素を含有する保管液中で保管されたPVAスポンジを用いることが好ましい。保管液から取り出されたブラシ3は、純水中でもみ洗いする方法などにより、ブラシ3に含まれた保管液を洗い流してから用いることが好ましい。
【0021】
本実施形態においては、ブラシ3、3として、円筒形(ロール型)のものが用いられており、側面3aを磁気記録媒体用基板1の表面に対向させて配置されている。
また、図1(d)に示すように、各ブラシ3には、円筒形の中心軸に沿って排出通路3bが形成されている。排出通路3bは、ブラシ3の側面3aから吸引された洗浄液を排出するためのものである。
【0022】
また、摺動手段は、ブラシ3を磁気記録媒体用基板1上で摺動させるものであり、磁気記録媒体用基板1を保持して回転させるチャックローラ2と、ブラシ3、3を回転させる回転手段(図示略)とからなる。
本実施形態において、チャックローラ2は、磁気記録媒体用基板1の一面側の洗浄に用いられる摺動手段と、他面側の洗浄に用いられる摺動手段とにおいて共通して用いられるものである。チャックローラ2は、図1(a)に示すように、磁気記録媒体用基板1の外周に接して等間隔で4本配置されている。そして、4本のチャックローラ2を所定の回転数で同一方向に回転させることにより、磁気記録媒体用基板1が、チャックローラ2に保持された状態で、磁気記録媒体用基板1の表面に直交する方向を軸として、所定の速度で回転されるようになっている。
また、本実施形態においては、図1(b)および図1(c)に示すように、ブラシ3、3が、それぞれ側面3aを磁気記録媒体用基板1の表面に対向させた状態で、回転手段(図示略)により、磁気記録媒体用基板1の表面に平行な方向を軸として、相反する方向に所定の回転数で回転されるようになっている。
【0023】
また、本実施形態において、洗浄液排出手段7は、ブラシ3に設けられた排出通路3bの端部に取り付けられた洗浄液排出管7aと、洗浄液排出管7a内の圧力を減圧するポンプなどの減圧手段(図示略)とを有している。したがって、本実施形態においては、減圧手段により洗浄液排出管7a内の圧力を減圧することによって、磁気記録媒体用基板1上の洗浄液の少なくとも一部が、多孔質材料からなるブラシ3の側面3aである摺動面から吸引されてブラシ3内の空隙を通過し、排出通路3bおよび洗浄液排出管7aを順に通って外部に排出されるようになっている。
具体的には、洗浄液排出管7a内の圧力は、到達圧0.01Pa程度の真空ポンプ(減圧手段)で洗浄液排出管7a内を吸引して、大気圧を101325Paとした場合に、ブラシ3付近の洗浄液排出管7a内の圧力が100000Pa以下で洗浄液が適度に吸引される程度となるように調整することが好ましい。
【0024】
図1(a)〜図1(d)に示す洗浄装置を用いて磁気記録媒体用基板1を洗浄するには、まず、洗浄する磁気記録媒体用基板1をチャックローラ2に保持させ、磁気記録媒体用基板1を両面から挟み込むように2本のブラシ3、3を配置する。そして、洗浄液ノズル4により磁気記録媒体用基板1上に洗浄液を供給させ、チャックローラ2を図1(a)に示す矢印の方向に回転させて磁気記録媒体用基板1を図1(a)に示す矢印の方向に回転させるとともに、回転手段によりブラシ3、3を図1(b)および図1(c)に示す矢印の方向に回転させて、磁気記録媒体用基板1の両面上でそれぞれブラシ3、3を摺動させ、磁気記録媒体用基板1の両面を同時に洗浄する(洗浄工程)。本実施形態においては、洗浄工程において、減圧手段により洗浄液排出管7a内の圧力を減圧し、洗浄液の少なくとも一部を、磁気記録媒体用基板1上からブラシ3、3を介して吸引して排出通路3bおよび洗浄液排出管7aを通って外部に排出する。
【0025】
なお、本発明においては、洗浄工程において用いられた洗浄液の全量を、ブラシ3、3を介して外部に排出することが好ましいが、洗浄液の少なくとも一部を、ブラシ3、3を介して吸引して排出すれば、洗浄液の全量を外部に排出しなくても本発明の効果は得られる。
【0026】
本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置は、磁気記録媒体用基板1上からブラシ3、3を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段7を備えているので、ブラシ3、3を介して洗浄液を吸引して排出することにより、洗浄によって磁気記録媒体用基板1から放出された埃等のゴミを磁気記録媒体用基板1から放出された後速やかに洗浄液とともに吸引してブラシ3、3に捕獲させることができる。したがって、本実施形態の洗浄方法では、洗浄によって磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミが、磁気記録媒体用基板1に再度接触することはなく、速やかに磁気記録媒体用基板1上から除去される。さらに、本実施形態の洗浄方法では、磁気記録媒体用基板1上からブラシ3、3を介して洗浄液を吸引して排出するので、ブラシ3、3に埃等のゴミが付着していたとしても、ブラシ3、3から洗浄液にゴミが放出されることはないし、ブラシ3、3に捕獲された磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミが再度放出されることもない。
【0027】
ここで、例えば、ノズルを用いて外部から洗浄液を供給する、または、スポンジ状のスクラブパッドの内部から洗浄液を供給する従来の洗浄装置では、洗浄液の供給される部分には常に清浄な洗浄液が供給されるものの、洗浄によって磁気記録媒体用基板や洗浄具から放出された埃等のゴミを含む洗浄液が被洗浄物に触れることにより、被洗浄物にゴミが付着する可能性があった。
これに対し、本実施形態の洗浄方法では、洗浄によって磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミが磁気記録媒体用基板1に再度接触することはないし、ブラシ3、3から洗浄液に埃等のゴミが放出されることもないので、高い洗浄仕上がりが得られる。したがって、本実施形態によれば、磁気記録面上での磁気ヘッドの低浮上化に対応できる高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板1が得られる。
【0028】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置では、磁気記録媒体用基板1上からブラシ3、3を介して洗浄液を吸引して排出するので、洗浄液ノズル4により磁気記録媒体用基板1上に供給された洗浄液が周囲に飛散しにくいものとなる。
【0029】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置は、ブラシ3が、円筒形で側面3aを磁気記録媒体用基板1の表面に対向させて、前記表面に平行な方向を軸として回転されるものであり、ブラシ3の円筒形の中心軸に沿って、側面3aから吸引された洗浄液を排出するための排出通路3bが形成されており、洗浄液排出手段7が、排出通路3bの端部に取り付けられた洗浄液排出管7aと、洗浄液排出管7a内の圧力を減圧する減圧手段とを備えているので、洗浄工程において、減圧手段により洗浄液排出管7a内の圧力を減圧することにより、磁気記録媒体用基板1上の洗浄液の少なくとも一部が、多孔質材料からなるブラシ3の側面3aである摺動面から吸引されてブラシ3内の空隙を通過し、排出通路3bおよび洗浄液排出管7aを順に通って外部に排出されるものとなる。
【0030】
したがって、本実施形態の洗浄装置では、洗浄液の存在下でブラシ3の側面3aである摺動面と磁気記録媒体用基板1とが擦れることにより、磁気記録媒体用基板1から埃等のゴミが放出された場合に、磁気記録媒体用基板1から放出された直後のゴミを、ブラシ3の側面3aである摺動面から洗浄液とともにブラシ3に捕獲できるものとなる。また、本実施形態の洗浄装置では、ブラシ3の円筒形の中心軸に沿って、側面3aから吸引された洗浄液を排出するための排出通路3bが形成されているので、ブラシ3の側面3aにおける洗浄液の吸引力のムラが少ないものとなり、磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミを効率よく除去できるとともに、洗浄液が排出通路3bおよび洗浄液排出管7aを通って効率よく外部に排出されるものとなる。
【0031】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置では、洗浄液ノズル4、ブラシ3、摺動手段および洗浄液排出手段7が、それぞれ2つずつ設けられ、磁気記録媒体用基板1に対して対称に配置されているので、洗浄工程において、2本のブラシ3、3を磁気記録媒体用基板1の両面上でそれぞれ摺動させることによって、磁気記録媒体用基板1の両面の全面を同時に洗浄でき、効率よく洗浄工程を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置において、ブラシ3として、過酸化水素を含有する保管液中で保管されたPVAスポンジを用いた場合には、保管中のPVAスポンジにかびが発生することに起因する不都合を十分に防止できる。したがって、過酸化水素を含有する保管液中で保管されたブラシ3を用いて磁気記録媒体用基板1を洗浄した場合、磁気記録媒体用基板1の表面にかびが付着することはないし、保管時に使用した過酸化水素がブラシ3に含まれていたとしても、洗浄時に洗浄液とともに排出通路3bおよび洗浄液排出管7aを通って外部に排出されるため、洗浄後の磁気記録媒体用基板1の表面に過酸化水素が残留することもない。さらに、過酸化水素を含有する保管液中で保管されたブラシ3を用いる場合、従来の防かび剤を用いなくてすむため、従来の防かび剤が、洗浄後の磁気記録媒体用基板1の表面に残留することもない。したがって、より一層高い洗浄仕上がりが得られる。
【0033】
なお、上述した実施形態においては、磁気記録媒体用基板1上でブラシ3を摺動させるために、チャックローラ2を回転させて磁気記録媒体用基板1を回転させるとともに、回転手段によりブラシ3を回転させたが、磁気記録媒体用基板1とブラシ3の両者を同時に回転させる方法に限定されるものではなく、いずれか一方のみを回転させてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態においては、ブラシ3の円筒形の中心軸に沿って、側面3aから吸引された洗浄液を排出するための排出通路3bが形成されている場合を例に挙げて説明したが、排出通路3bの形状は、本実施形態の形状に限定されるものではない。例えば、洗浄液をむらなく効率よく外部に排出できるように、円筒形の中心軸に沿って伸びる排出通路に、排出通路から側面3aに向かって放射状に伸びる分岐通路が接続されているものとしてもよいし、円筒形の中心軸を囲むようにらせん状に設けられたものとしてもよい。
【0035】
「第2実施形態」
図2は、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置の他の例を磁気記録媒体用基板上側から見た平面図である。なお、図2に示す洗浄装置において、図1に示す洗浄装置と同一のものについては同一の符号を付し、その説明を省略する。
図2に示す洗浄装置は、図1に示す洗浄装置と同様に、洗浄される磁気記録媒体用基板1上に洗浄液を供給する洗浄液ノズル4と、ブラシ(洗浄具)5と、ブラシ5を磁気記録媒体用基板1上で摺動させる摺動手段と、磁気記録媒体用基板1上からブラシ5を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段71とを備えている。また、図2に示す洗浄装置においても、洗浄液ノズル4、ブラシ5、摺動手段および洗浄液排出手段71は、それぞれ2つずつ設けられており、磁気記録媒体用基板1に対して対称に配置されている(図2においては、磁気記録媒体用基板の一面側のみ図示し、他面側に設置された洗浄液ノズル4、ブラシ5、摺動手段および洗浄液排出手段71は図示略)。なお、図2に示す洗浄装置においても、磁気記録媒体用基板1が水平となるように配置されていてもよいし、磁気記録媒体用基板1が垂直となるように配置されていてもよいし、磁気記録媒体用基板1が斜めになるように配置されていてもよい。
【0036】
本実施形態においても、ブラシ5は、2本設けられており、2本のブラシ5、5が、磁気記録媒体用基板1を挟み込むように配置されている。また、本実施形態においても、ブラシ5は、多数の空隙を有するスポンジ状の樹脂などの多孔質材料からなるものであり、PVAスポンジなどが用いられる。さらに、ブラシ5として、過酸化水素を含有する保管液中で保管されたPVAスポンジを用いることが好ましい。保管液から取り出されたブラシ5は、純水中でもみ洗いする方法などにより、ブラシ5に含まれた保管液を洗い流してから用いることが好ましい。
また、ブラシ5としては、円筒形(カップ型)のものが用いられており、一端面を磁気記録媒体用基板1の表面に対向させて配置されている。また、図2に示すように、ブラシ5の他端面5aには、ブラシ5を保持するためのアーム6が取り付けられている。
【0037】
また、摺動手段は、ブラシ5を磁気記録媒体用基板1上で摺動させるものであり、磁気記録媒体用基板1を保持して回転させる図1に示す洗浄装置と同様の4本のチャックローラ2と、アーム6を介してブラシ5を所定の位置に移動させるとともに回転させる回転手段(図示略)とからなる。本実施形態においては、図2に示すように、ブラシ5が、それぞれ一端面を磁気記録媒体用基板1の表面に対向させた状態で、回転手段(図示略)により、磁気記録媒体用基板1の表面に直交する方向を軸として、同じ方向に所定の回転数で回転されるとともに、磁気記録媒体用基板1に対する相対位置を移動されるようになっている。
【0038】
また、本実施形態において、洗浄液排出手段7は、ブラシ5の他端面5aに取り付けられ、一部がアーム6の内部に埋め込まれた洗浄液排出管71aと、洗浄液排出管71a内の圧力を減圧するポンプなどの減圧手段(図示略)とを有している。したがって、本実施形態においては、減圧手段により洗浄液排出管71a内の圧力を減圧することによって、磁気記録媒体用基板1上の洗浄液の少なくとも一部が、多孔質材料からなるブラシ5の一端面である摺動面から吸引されてブラシ5内の空隙を通過し、洗浄液排出管71aを通って外部に排出されるようになっている。
【0039】
図2に示す洗浄装置を用いて磁気記録媒体用基板1を洗浄するには、まず、洗浄する磁気記録媒体用基板1をチャックローラ2に保持させ、磁気記録媒体用基板1を両面から挟み込むように2本のブラシ5、5を配置する。そして、洗浄液ノズル4により磁気記録媒体用基板1上に洗浄液を供給させ、チャックローラ2を回転させて磁気記録媒体用基板1を図2に示す矢印Bの方向に回転させるとともに、回転手段によりブラシ5、5を図2に示す矢印Aの方向に回転させて、磁気記録媒体用基板1の両面上でそれぞれブラシ5を摺動させ、磁気記録媒体用基板1の両面を同時に洗浄する(洗浄工程)。本実施形態においては、洗浄工程において、減圧手段により洗浄液排出管71a内の圧力を減圧し、洗浄液の少なくとも一部を、磁気記録媒体用基板1上からブラシ5を介して吸引して洗浄液排出管71aを通って外部に排出する。
【0040】
本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置においては、磁気記録媒体用基板1上からブラシ5を介して洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段71を備えているので、第1実施形態と同様に、洗浄液が周囲に飛散しにくくなるとともに、洗浄によって磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミが磁気記録媒体用基板1に再度接触することはないし、ブラシ5から洗浄液に埃等のゴミが放出されることもないので、高い洗浄仕上がりが得られ、磁気記録面上での磁気ヘッドの低浮上化に対応できる高い清浄度を有する磁気記録媒体用基板1が得られる。
【0041】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置は、ブラシ5が、円筒形で一端面を磁気記録媒体用基板1の表面に対向させて、前記表面に直交する方向を軸として回転されるものであり、洗浄液排出手段71が、ブラシ5の円筒形の他端面5aに取り付けられた洗浄液排出管71aと、洗浄液排出管71a内の圧力を減圧する減圧手段とを備えているので、洗浄工程において、減圧手段により洗浄液排出管71a内の圧力を減圧することにより、磁気記録媒体用基板1上の洗浄液の少なくとも一部が、多孔質材料からなるブラシ5の一端面である摺動面から吸引されてブラシ5内の空隙を通過し、洗浄液排出管71aを通って外部に排出されるものとなる。
【0042】
したがって、本実施形態の洗浄装置は、洗浄液の存在下でブラシ5の一端面である摺動面と磁気記録媒体用基板1とが擦れることにより、磁気記録媒体用基板1から埃等のゴミが放出された場合に、磁気記録媒体用基板1から放出された直後のゴミを、摺動面であるブラシ5の一端面から洗浄液とともにブラシ5に捕獲できるものとなる。また、本実施形態の洗浄装置では、洗浄液排出手段71が、ブラシ5の円筒形の他端面5aに取り付けられた洗浄液排出管71aを備えているので、摺動面であるブラシ5の一端面における洗浄液の吸引力のムラが少なく、磁気記録媒体用基板1から放出されたゴミを効率よく除去できるとともに、洗浄液が洗浄液排出管71aを通って効率よく外部に排出されるものとなる。
【0043】
また、本実施形態の磁気記録媒体用基板1の洗浄装置においても、洗浄液ノズル4、ブラシ5、摺動手段および洗浄液排出手段71が、それぞれ2つずつ設けられ、磁気記録媒体用基板1に対して対称に配置されているので、洗浄工程において、2本のブラシ5を磁気記録媒体用基板1の両面上でそれぞれ摺動させることによって、磁気記録媒体用基板1の両面の全面を同時に洗浄でき、効率よく洗浄工程を行うことができる。
【0044】
「第3実施形態」
次に、第1実施形態または第2実施形態の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて磁気記録媒体用基板を洗浄する工程を備える磁気記録媒体の製造方法について説明する。
まず、所定の材質の磁気記録媒体用基板1を用意し、磁気記録媒体用基板1の表面に研磨加工を施し、磁気記録媒体用基板1の表面を所定の表面平均粗さRaとする。続いて、磁気記録媒体用基板1を洗剤の入れられた洗浄槽中に浸漬させて浸漬洗浄する。次いで、第1実施形態または第2実施形態の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いる上述した洗浄方法により、磁気記録媒体用基板1をスクラブ洗浄する。
【0045】
その後、洗浄された磁気記録媒体用基板1の表面に、スパッタ法を用いて、例えば、CrW合金などの非磁性合金からなる下地膜と、CoCrPtTaCu合金などの磁性合金からなる磁気記録層膜とを形成する。その後、磁気記録層膜の上に、例えば、プラズマCVD法を用いて硬質炭素膜からなる保護膜を形成し、保護膜の形成された磁気記録媒体用基板1の表面にディッピング法によりPFPE潤滑剤を塗布することにより、磁気記録媒体とする。
【0046】
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法によれば、第1実施形態または第2実施形態の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて磁気記録媒体用基板を洗浄する工程を行うことにより清浄度の高い表面が得られるので、磁気記録面上でのヘッドの低浮上化に対応できる磁気記録媒体が得られる。
【0047】
「実施例」
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例)
磁気記録媒体用基板として、表面に厚さ10μmのNiPメッキ膜の形成された直径3.5インチ、厚さ0.8mmのディスク状のアルミニウム合金基板を用意した。この磁気記録媒体用基板の表面に、表面平均粗さRaが1nmとなるようにメカニカルテクスチャー加工を施した。続いて、磁気記録媒体用基板を5%の濃度のアルカリ系洗剤(商品名:RBS225、ケミカルプロダクト社製)の入れられた洗浄槽中に浸漬させて浸漬洗浄した。
【0048】
その後、図2に示す洗浄装置を用いて磁気記録媒体用基板の両面を同時に、3回スクラブ洗浄した。このスクラブ洗浄では、ブラシ5として、5質量%の過酸化水素水からなる保管液中に30℃で7日間保管し、純水中でもみ洗いする方法によりブラシから保管液を洗い流した直径8.5cm、厚さ2cmのカップ型のPVAスポンジ(イーグル化成社製)を用いた。スクラブ洗浄の条件は、ブラシ5の回転速度を500rpm、磁気記録媒体用基板1の回転速度を120rpm、1回あたりのスクラブ洗浄時間を8秒間とし、洗浄液ノズル4により洗浄液として純水を供給量1リットル/分で供給させた。なお、洗浄中、洗浄液排出管71a内の圧力を減圧して90000Paとし、洗浄に用いた洗浄液を磁気記録媒体用基板1上からブラシ5を介して吸引して洗浄液排出管71aを通じて外部に排出したが、洗浄液排出管71a以外から放出される洗浄液はほとんど認められず、周囲に飛散する洗浄液はほとんどなかった。
【0049】
このようにして洗浄された磁気記録媒体用基板の表面に、スパッタ法を用いて、厚さ8nmのCrW合金(25質量%Cr−75質量%W)からなる下地膜と、厚さ30nmのCoCrPtTaCu合金(18質量%Cr−8質量%Pt−3質量%Ta−1質量%Cu−残部Co)からなる磁気記録層膜とを形成した。その後、磁気記録層膜の上にプラズマCVD法を用いて厚さ7nmのカーボン膜からなる保護膜を形成し、保護膜の形成された磁気記録媒体用基板の表面にディッピング法によりPFPE潤滑剤を塗布する方法により磁気記録媒体を製造した。
【0050】
(比較例)
洗浄液排出手段が設けられていないこと以外は図2に示す洗浄装置と同様の洗浄装置を用い、洗浄中にブラシを介して洗浄液を吸引して排出しなかったこと以外は、実施例と同様にして磁気記録媒体を製造した。
【0051】
このようにして得られた実施例および比較例の磁気記録媒体100枚について、圧電素子付きヘッドの用いられたグライドテスターを用いて磁気記録媒体の表面形状の検査を行った。なお、ヘッドのグライド高さ(ヘッドと磁気記録媒体との距離)は0.25μインチとした。
その結果、実施例では、100枚の磁気記録媒体について不良箇所が見つからなかった。 これに対し、比較例では、2枚の不良が見つかった。なお、比較例の2枚の不良の磁気記録媒体は、スクラブ洗浄時に磁気記録媒体用基板の表面に残留した物質が原因であると推測された。
【0052】
また、実施例および比較例の磁気記録媒体を微分干渉光学顕微鏡(600倍)で観察した。その結果、比較例の磁気記録媒体では、磁気記録層膜などからなる積層膜の中央付近に、磁気記録媒体用基板のスクラブ洗浄不良に起因するふくれが発生していた。これに対し、実施例の磁気記録媒体では、良好な磁気記録層膜が形成されていた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置の一例を示した図である。
【図2】図2は、本発明の磁気記録媒体用基板の洗浄装置の他の例を磁気記録媒体用基板上側から見た平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…磁気記録媒体用基板、2…チャックローラ、3…ブラシ、3a…側面、3b…排出通路、4…洗浄液ノズル、5…ブラシ、6…アーム、7、71…洗浄液排出手段、7a、71a…洗浄液排出管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体用基板上に洗浄液を供給する洗浄液ノズルと、
多孔質材料からなる洗浄具と、
前記洗浄具を前記磁気記録媒体用基板上で摺動させる摺動手段と、
前記磁気記録媒体用基板上から前記洗浄具を介して前記洗浄液を吸引して排出する洗浄液排出手段とを備えることを特徴とする磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄具が、円筒形で側面を前記磁気記録媒体用基板の表面に対向させて、前記表面に平行な方向を軸として回転されるものであり、前記洗浄具の前記円筒形の中心軸に沿って、前記側面から吸引された前記洗浄液を排出するための排出通路が形成されており、
前記洗浄液排出手段が、前記排出通路の端部に取り付けられた洗浄液排出管と、前記洗浄液排出管内の圧力を減圧する減圧手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄具が、円筒形で一端面を前記磁気記録媒体用基板の表面に対向させて、前記表面に直交する方向を軸として回転されるものであり、
前記洗浄液排出手段が、前記洗浄具の前記円筒形の他端面に取り付けられた洗浄液排出管と、前記洗浄液排出管内の圧力を減圧する減圧手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄液ノズル、前記洗浄具、前記摺動手段および前記洗浄液排出手段が、それぞれ2つずつ設けられ、前記磁気記録媒体用基板に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置。
【請求項5】
洗浄液ノズルにより磁気記録媒体用基板上に洗浄液を供給させるとともに、多孔質材料からなる洗浄具を前記磁気記録媒体用基板上で摺動させる洗浄工程を有し、
前記洗浄工程において、前記洗浄液の少なくとも一部を、前記磁気記録媒体用基板上から前記洗浄具を介して吸引して排出することを特徴とする磁気記録媒体用基板の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄工程において、前記磁気記録媒体用基板を挟み込むように配置された2つの洗浄具を前記磁気記録媒体用基板の両面上でそれぞれ摺動させることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体用基板の洗浄方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の磁気記録媒体用基板の洗浄装置を用いて前記磁気記録媒体用基板を洗浄する工程を備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−102772(P2010−102772A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273098(P2008−273098)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】