説明

磁気記録装置および位置決め補正方法

【課題】超高記録密度磁気記録を可能としながらもディスクリートトラックへ正確なヘッド位置決めを行うこと。
【解決手段】磁気記録装置において、記録ヘッドと再生ヘッドとを有する複合型磁気ヘッドと、ディスクリート領域とヘッドの位置決め補正情報を書き込み可能な補正情報記録領域とトラッキング中心とディスクリートトラック中心の中心ずれ量を測定するための中心ずれ量検出領域とを備えたハードディスクと、再生ヘッドが所定のトラックに位置決めされた状態から位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、中心ずれ量検出情報を再生ヘッドにより読み出すヘッド再生信号処理回路615と、ヘッドの移動と中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行して、読み出された中心ずれ量検出情報に基づいて位置決め補正情報を決定する振幅値記憶判断回路612と備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ書き込み可能な磁気記録領域を有する複数のトラックと隣接するトラック間にデータ書き込み不能な非磁性領域とを有するディスクリート領域を備えたディスクリートトラック型の磁気記憶媒体を用いた磁気記録装置および位置決め補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、計算機の記録容量の増大に伴い、ハードディスクドライブ装置(HDD)等の磁気記録装置の記録容量は、大容量化される傾向にある。磁気記録装置の記憶容量を大容量化するために、磁気ヘッドから発生する信号磁界によって形成される磁気記録層中の記録磁区列を微細化してより高密度な記録を行う必要があるが、このような記録方式として、垂直記録方式が従来から一般的に知られている。
【0003】
この垂直記録方式では、磁気記録媒体の記録層面内に対して垂直方向に磁化させることによって記録する方式である。しかしながら、この垂直記録方式では、100Gbit/in2以上の超記録密度となると、磁気ヘッド側面から発生するサイドフリンジングによって、隣接するトラックへの書き込み動作が行われてしまい、記録不良および再生不良が生じてしまうという問題がある。
【0004】
このため、磁気記録媒体の記録層の円周方向に非磁性体から構成される非磁性領域を形成し、磁性体部分である磁気記録領域にのみデータを記録していく、いわゆるディスクリートトラック型の磁気記録媒体が提唱されている。このディスクリートトラック型の磁気記録媒体によれば、トラック間に非磁性体領域が設けられているため、隣接するトラックにデータを書き込んでしまうことが回避され、良好な記録再生特性を実現することができるという利点がある。
【0005】
ここで、従来の磁気記録装置では、磁気記録媒体へのデータの書き込みを行う記録ヘッドと、磁気記録媒体からのデータの読み出しを行う再生ヘッドを同一のスライダーに実装した複合ヘッドを使用することが一般的に行われている。この複合ヘッドは、ロータリ型のドライブ構造では、ヘッドアクチュエータの先端に支持され、磁気記録媒体のトラックを横切る径方向に移動して所望のセクタに位置決めされるように制御される。また、磁気記録媒体の記録面には、トラック方向に一定間隔でトラック位置およびセクタ位置などの位置情報を記録したサーボ領域が設けられている。
【0006】
ディスクリートトラック構造の磁気記録媒体は、表面上が磁気記録部として有効な第1の部分と非有効な第2部分とが形成されている。第1の部分は、磁性膜が設けられた凸部の磁性領域である。第2の部分は非磁性領域、または凹部で磁気記録ができない領域である。即ち、第2の部分は、磁性膜が形成されている場合でも、凹部により実質的に非磁性領域として構成された部分である。
【0007】
このような磁気記録媒体であれば、通常のサーボトラックライタを使用することなく、磁気記録媒体上にサーボデータが記録されたサーボ領域を埋め込むことができる。
【0008】
ところで、サーボデータには、セクタ及びトラックアドレス以外に、トラック内の位置偏差を検出するためのサーボパターン(以下、「偏差検出用サーボパターン」という。)が含まれている。偏差検出用サーボパターンには、バースト型サーボパターン以外に、位相差型サーボパターンと呼ばれるサーボパターンがある。
【0009】
この位相差型サーボパターンの一つとして、データトラックに対して傾斜した直線からなるパターンを備える形態がある。サーボ信号の処理方法により、一方向の傾斜パターンを備える形態や逆方向の傾斜パターンとの両方を備える形態がある
しかしながら、このような従来技術では、アームの回転中心とヘッドの位置関係から決められたサーボパターンが磁気記録媒体に埋め込まれているので、予め想定された理想的なサーボパターンとヘッドの位置関係がずれる場合では、サーボパターンによるヘッドの位置決めの中心と、データを記録するディスクリートトラックの中心とがずれ、正確なデータの読み書きができない場合がある。
【0010】
すなわち、理想的には埋め込まれたサーボパターンでヘッドを位置決めした時の中心、すなわちトラッキング中心に対してデータを読み書きするディスクリートトラックの中心とが一致する必要があるが、磁気記録媒体の製造工程においてサーボパターンを基板に転写する際に転写誤差が生じた場合には、トラッキング中心とディスクリートトラックの中心とが一致しなくなり、トラッキング状態であってもディスクリートトラックの中心からずれた位置にヘッドが位置決めされ、エラー率が許容範囲以下となる位置でデータの読み書きができない場合があるという問題がある。
【0011】
また、データトラックに対して傾斜した直線からなるサーボパターンを備える位相差型サーボパターンの場合、アームの回転中心とヘッドの位置関係から決められた傾斜角度のサーボパターンが埋め込まれるが、ヘッドの取り付け誤差等の影響により本来のヘッド角度とパターン角度の関係にずれが生じ、このためにトラッキング中心にずれが生じる問題がある。
【0012】
これに対して従来の位相差型サーボパターンでは、ヘッド角度とパターン角度との相対角度のずれを補正するために、順傾斜パターンと逆傾斜パターンとを備え、順傾斜パターンを再生したサーボ信号と逆傾斜パターンを再生した信号とは逆の角度ずれの影響が現れるため、この2つを用いることでトラッキングずれを緩和している(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
【特許文献1】特開2000−123506号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このような従来技術では、順傾斜と逆傾斜の2種のサーボパターンを設けているため、サーボ領域の面積が通常の磁気記録媒体よりも増大し、磁気記録媒体の記録密度の向上を図ることができないという問題がある。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体において、超高記録密度磁気記録を可能としながらもディスクリートトラックへ正確なヘッド位置決めを行うことができ、良好な記録再生特性を得ることができる磁気記録装置および位置決め補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる磁気記録装置は、記録ヘッドと再生ヘッドとを有する複合型磁気ヘッドと、データを記録するための磁気記憶媒体と、前記磁気記憶媒体に設けられ、前記記録ヘッドによってデータ書き込み可能な磁気記録領域を有する複数のトラックと隣接するトラック間に前記記録ヘッドによってデータ書き込み不能な非磁性領域とを有するディスクリート領域と、前記磁気記憶媒体に設けられ、前記記録ヘッドと前記再生ヘッドのうち一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めする際の位置決め補正情報を書き込み可能な補正情報記録領域と、前記磁気記憶媒体に設けられ、前記一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めした場合のトラッキング中心と前記ディスクリート領域の実際のトラック中心との相対距離である中心ずれ量を測定するための中心ずれ量検出情報が予め記録された中心ずれ量検出領域と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる位置決め補正方法は、データ書き込み可能な磁気記録領域を有する複数のトラックと隣接するトラック間にデータ書き込み不能な非磁性領域とを有するディスクリート領域と、前記記録ヘッドと前記再生ヘッドのうち一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めする際の位置決め補正情報を書き込み可能な補正情報記録領域と、前記一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めした場合のトラッキング中心と前記ディスクリート領域の実際のトラック中心との相対距離である中心ずれ量を測定するための中心ずれ量検出情報が予め記録された中心ずれ量検出領域とを備えたディスクリートトラック型の磁気記憶媒体の所定のトラックに前記再生ヘッドが位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、前記中心ずれ量検出情報を前記再生ヘッドにより読み出す再生ステップと、前記再生ヘッドおよび前記記録ヘッドの移動と前記中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行して、読み出された前記中心ずれ量検出情報に基づいて前記位置決め補正情報を決定する決定ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体において、超高記録密度磁気記録を可能としながらもディスクリートトラックへ正確なヘッド位置決めを行うことができ、良好な記録再生特性を得ることができる磁気記録装置および位置決め補正方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる磁気記録装置および位置決め補正方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、本発明の磁気記録装置および位置決め補正方法を、磁気記録媒体としてのハードディスク(HD)を備えたハードディスクドライブ装置(HDD)および当該ハードディスクドライブ装置における複合型磁気ヘッドの位置決め補正に適用したものである。
【0020】
まず、本実施の形態にかかるハードディスクの構造について説明する。本実施の形態のハードディスクは、再生ヘッドと記録ヘッドの記憶媒体半径方向の相対距離であるオフセット量を測定するためのオフセット量測定領域が、ディスクリート領域とサーボ領域との間に半径方向に設けられた構造のものである。
【0021】
図1は、本実施の形態にかかるハードディスクの構造を示す模式図である。本実施の形態のハードディスクは、各トラックの記録領域の間に非磁性領域を有するディスクリートトラック型となっており、各セクタはディスクリート領域101とサーボ領域103と補正情報記録領域102とから構成される。
【0022】
ディスクリート領域101は、記録領域と各トラックの記録領域の間にデータの書き込みが不可能な非磁性領域とを有する領域である。 本実施の形態では、ディスクリート領域101の記録領域に、後述する中心ずれ量検出領域が設けられた構造となっている。
【0023】
サーボ領域103は、セクタのアドレス情報であるトラック番号とセクタ番号や、同期情報やヘッドのオフトラック量検出の情報等を有するサーボデータが記憶された領域であり、磁性部と非磁性部とで構成されるサーボパターンが形成されている。
【0024】
補正情報記録領域102は、HDDの再生ヘッドと記録ヘッドとをそれぞれ位置決め制御する際の位置決め補正量を記録しておくための領域であり、ディスクリート領域101とサーボ領域103との間に半径方向に設けられている。サーボ領域103と補正情報記録領域102は、セクタごとに存在している。
【0025】
図2は、本実施の形態のハードディスクにおけるディスクリート領域101とサーボ領域の詳細な構造を示す模式図である。図2において、破線はトラックの中心位置を示している。
【0026】
サーボ領域103は、図2に示すように、プリアンブル部201と、アドレス部202と、偏差検出部203とから構成されている。ディスクリート領域101は、磁性体からなる磁気記録領域301のトラック間に非磁性体からなる非磁性領域302が設けられた構造であるディスクリート型トラックの構造となっている。
【0027】
サーボ領域103のプリアンブル部201は、再生用クロックをディスクパターンに同期させるための情報が記録された領域である。アドレス部202は、シリンダやセクタ等のアドレス等の情報が記録された領域である。偏差検出部203は、ヘッドのトラック中心からのオフトラック量を検出するための情報が記録された領域である。この偏差検出部203は、図2に示すように、磁性体部がデータトラック106に対して一定角度で傾斜した直線状のパターンである位相差型サーボパターンで形成されている。
【0028】
ディスクリート領域101は、記録ヘッドによりデータの書き込み可能な磁性体からなる記録領域302と、各トラック間、すなわち記録領域302間に設けられ、記録ヘッドによりデータの書き込み不可能な非磁性領域301とから構成される。補正情報記録領域102は、データの書き込み可能な磁性体を有し、非磁性領域は省略可能な構成となっている。
【0029】
中心ずれ量検出領域104は、ヘッドをサーボ領域103内でトラック中心位置に位置決めした際の位置であるトラッキング中心位置とディスクリート領域101のトラック(以下、「ディスクリートトラック」という。)の実際の中心位置とのずれ量を検出するための領域である。この中心ずれ量検出領域104は、補正情報記録領域102の周方向であるヘッド進行方向において隣接するディスクリート領域101の記録領域302の内部に、隣接するトラック間で180度位相をずらした市松状のパターンで予め形成されている。
【0030】
図3は、磁気ヘッド510がサーボ領域103に位置決めされた状態を示す模式図である。本実施の形態では、磁気ヘッド510として記録ヘッド511と再生ヘッド512が分離して設けられた複合ヘッドを使用している。図3では、再生ヘッド512がトラック中心位置に位置決めされた状態を示している。ハードディスクの各シリンダが図1に示すように円盤形状であり、磁気ヘッドが移動する軌跡が円弧状であるため、再生ヘッド512と記録ヘッド511のハードディスクの経方向の相対距離(オフセット量)は、トラックごとに変化する。本実施の形態では、再生ヘッド512、および記録ヘッド511それぞれをディスクリートトラック中心へ位置決めするための位置決め補正量を補正情報領域102に記録するようになっている。
【0031】
しかしながら、このような位置決め補正量を用いてヘッド510をトラック中心へ位置決めした場合でも、アームの回転中心とヘッド510の位置関係から決められたサーボパターンがハードディスクに埋め込まれているので、予め想定された理想的なサーボパターンとヘッド510の位置関係がずれる場合では、サーボパターンによるヘッドの位置決めの中心位置とディスクリートトラックの中心位置とがずれ、正確なデータの読み書きができない場合がある。
【0032】
図4−1は、サーボパターンが理想的にサーボ領域103に転写されている場合のサーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心との関係を示す模式図である。図4−2は、サーボパターンの転写ミスが生じた場合のサーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心との関係を示す模式図である。
【0033】
図4−1に示すように、サーボパターンが理想的にサーボ領域103に転写されている場合では、サーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心とが一致する。しかしながら、サーボパターンの転写ミスが生じた場合のサーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心とがずれ、ヘッド510がトラッキング状態であってもディスクリートトラックの中心からずれた位置にヘッドが位置決めされ、エラー率が許容範囲以下となる位置でデータの読み書きができなくなってしまう場合がある。
【0034】
また、本実施の形態のハードディスクのようにデータトラック106に対して傾斜した直線からなるサーボパターンである位相差型サーボパターンを記録したサーボ領域103の場合、アームの回転中心とヘッドの位置関係から決められた傾斜角度のサーボパターンが埋め込まれるが、ヘッドの取り付け誤差等の影響により本来のヘッド角度とパターン角度の関係にずれが生じ、このためにトラッキング中心にずれが生じる問題がある。
【0035】
また、サーボパターンを順傾斜パターンと逆傾斜パターンとで形成することによって、ヘッドスキュー角度とパターン角度との相対角度のずれを補正することも考えられる。図5−1は、順傾斜パターンと逆傾斜パターンとからなるサーボパターン上をヘッド510がスキュー角度0で走査している状態を示す模式図である。図5−2は、順傾斜パターンと逆傾斜パターンとからなるサーボパターン上をヘッド510がスキュー角度をもって走査している状態を示す模式図である。図5−3は、図5−1と図5−2の場合の再生信号を示すグラフである。図5−3において、横軸は時間を示し、縦軸は再生信号の振幅値を示している。また、図5−3において、(a)がヘッド510がスキュー角度をもって走査している状態(図5−1)における再生信号であり、(b)がヘッド510がスキュー角度をもって走査している状態(図5−2)における再生信号である。
【0036】
図5−3に示すように、され、順傾斜パターンを再生したサーボ信号と逆傾斜パターンを再生したサーボ信号とは逆の角度ずれの影響が現れるため、この2つのサーボ信号を用いてヘッドスキュー角度とパターン角度との相対角度のずれを補正することもできる。しかしながら、このような順傾斜パターンと逆傾斜パターンとからなるサーボパターンをサーボ領域103に形成すると、サーボ領域103の領域面積が増大することになり、ハードディスクの記録密度の向上を図れない。
【0037】
このため、本実施の形態の磁気記録装置では、中心ずれ量、すなわちトラッキング中心とディスクリートトラック中心のずれ量を、ディスクリート領域101内に形成した上記中心ずれ量検出領域104に記録された中心ずれ量検出情報を再生することによって求め、補正情報を決定し、超高記録密度磁気記録を可能としながらもディスクリートトラックの中心へ正確なヘッド位置決めを行うことができ、良好な記録再生特性を得ることとしている。
【0038】
次に、本実施の形態のハードディスクドライブ装置(HDD)の構成について説明する。図6は、本実施の形態のハードディスクドライブ装置の構成を示す構成図である。本実施の形態にかかるハードディスクドライブ装置(HDD)は、ハードディスク(HD)624と、磁気ヘッド621、およびサスペンションアーム622などの機構を備えた駆動機構部620と、ハードディスクドライブ装置内部のプリント基板上に制御回路として設けられたHDD制御部610とを備えた構成となっている。
【0039】
HDD制御部610は、図6に示すように、システムコントローラ611と、振幅値記憶判断回路612(記憶部、決定部)と、オフセット記憶回路613と、記録パターン生成回路614と、位置決めアクチュエータ制御回路618と、ヘッド再生信号処理回路615(再生部)と、ヘッド記録信号処理回路616(記録部)と、オフセット付与回路617とを備えた構成となっている。
【0040】
振幅値記憶判断回路612は、再生ヘッド612から再生した再生信号の振幅値を記憶し、最大振幅値を決定するものである。オフセット記憶回路613はトラックごとの最大振幅値を最適オフセット量として記憶するものである。
【0041】
記録パターン生成回路614は、ハードディスクに書き込むデータの記録パターンを生成するものである。位置決めアクチュエータ制御回路618は、再生ヘッド612および記録ヘッド611の位置決めを行うものである。位置決めアクチュエータ制御回路618は、記録ヘッド511による記録領域へのデータ記録時にオフセット付与回路617から最適オフセット量を受け取って、磁気ヘッド610を受け取った最適オフセット量だけハードディスクの径方向に移動させる。ヘッド再生信号処理回路615は、再生ヘッド612からの再生信号を受け取り、システムコントローラ611に受け渡すものである。ヘッド記録信号処理回路616は、記録パターン生成回路614によって生成された記録パターンの信号を記録ヘッド511によってハードディスクに記録するものである。オフセット付与回路617は、オフセット記憶回路613に保持されている最適オフセット量を、位置決めアクチュエータ制御回路618に受け渡すものである。
【0042】
システムコントローラ611は、振幅値記憶判断回路612、オフセット記憶回路613、記録パターン生成回路614、位置決めアクチュエータ制御回路618、ヘッド再生信号処理回路615、ヘッド記録信号処理回路616、オフセット付与回路617を制御するものである。
【0043】
次に、このように構成された本実施の形態にかかるハードディスクドライブ装置によるオフセット量測定処理について説明する。本実施の形態にかかるハードディスクドライブ装置では、中心ずれ量測定処理は、埋め込み測定パターンを用いたオフセット測定処理の中で実行されるようになっている。図7は、オフセット測定処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
本実施の形態にかかるオフセット測定処理は、非磁性部が存在しない補正情報記録領域102に、初期化が行われ、まだデータの磁気情報が書き込まれていない状態で、測定開始セクタから開始される。この状態で、再生ヘッド512と記録ヘッド511が搭載された磁気ヘッド510を支持するサスペンションアーム622は、磁気ヘッド510を経方向への移動距離を示すTをTmaxで初期化する(ステップS701)。ヘッド再生信号処理回路615はかかる位置でセクタ領域の開始信号の到来を待つ(ステップS702)。
【0045】
ヘッド再生信号処理回路615はセクタ領域開始信号を受けると、システムコントローラ611はサーボ領域103からの再生信号に基づいて位置決めアクチュエータ623を変位させ、サーボ領域103のトラック中心位置に再生ヘッド512を位置決めする(ステップS703)。
【0046】
次に、磁気ヘッド510が測定開始セクタのサーボ領域103を通過した時に、サーボ領域103の通過を告知するフラグ信号を検知すると(ステップS704)、磁気ヘッドを再生ヘッド512の示すトラック中心位置から距離T(初回はTmax)だけ内周方向に移動させる(ステップS705)。図8は再生ヘッド512の示すトラック中心位置から距離Tmaxだけ内周方向に移動した状態を示す説明図である。
【0047】
かかる移動方向は、外周方向であってもよい。そして、再生ヘッド512によりディスクリート領域101に設けられた中心ずれ量検出領域104を用いて中心ずれ量検出情報を再生する(ステップS706)。
【0048】
図9−1は、中心ずれ量検出情報を測定する場合の信号処理の一例を示す説明図である。ディスクリート領域101に設けられた中心ずれ量検出情報の再生信号を、再生信号の周期を4分割してサンプリングを行う。この値に対して、正弦波係数[1, 1, −1, −1]を乗算したものの和を振幅検出値とする。なお、中心ずれ量検出情報は隣接するトラックで、すなわち奇数トラックと偶数トラックとで、径方向の位相を180度ずらして配置する。図9−2は、中心ずれ量検出情報の再生信号の振幅を示すグラフである。このような処理により、図9−2の(a)に示すように目標トラックの隣トラック中心の場合では検出値が−4、図9−2の(b)に示すように隣接するトラックの中間では検出値が0、図9−2の(c)に示すように目標トラックの中心では検出値4と検出される。これにより、中心ずれ量検出情報を隣接するトラックで同相に配置する場合よりも、検出感度をよくすることができる。これは、同相に配置された場合には、上記図9−1、9−2の例で、検出値がそれぞれ+4、0、+4となり、検出値を判断する際に誤判断のおそれがあるからである。
【0049】
この信号の振幅値の測定は、ディスクリート領域101の到来よりやや遅いタイミングで発生するトリガ信号を受けて終了する。このようなステップS702からS706までの中心ずれ量の測定処理を所定のnセクタに対して各セクタで行い(ステップS707)、中心ずれ量を内周側にT分としたときの振幅値データとして、振幅値記憶判断回路612に保存する(ステップS708)。そして、振幅値記憶判断回路612に保存されている前回の中心ずれ量と現在の中心ずれ量を各セクタにおいて比較して、全セクタにおいて現在の中心ずれ量の振幅値が極大が検出されたか否かを判断する(ステップS709)。そして、検出されていない場合には、T=T−T0として(ステップS710)、ステップS702からS708までの処理を繰り返す。これにより、磁気ヘッド510は、ディスク内周側に距離Tだけ移動した状態からディスク外周側へ距離T0だけ移動した状態にし、ステップS702からS708までの中心ずれ量測定処理が実行されることになる。
【0050】
図10は、磁気ヘッド510をトラック中心位置から内周方向に距離Tmaxだけ移動した位置から外周方向にT0に移動した状態を示す説明図である。
【0051】
このようにして得られた中心ずれ量に対する振幅値のデータは1つのセクタで、図11に示すように中心ずれ量と振幅値のグラフとして表すことができる。図11に示すように、中心ずれ量を内周側にTmaxとした状態から、徐々に磁気ヘッド510外周側に変化させる場合、測定した振幅値が極大となって変曲する中心ずれ量が得られるか、振幅値が所定の値以上となれば測定自体を終了することができる。振幅値記憶判断回路612は、このように記憶したデータに基づいて、振幅値が始めて最大値または所定の値以上となる中心ずれ量を検出し、この中心ずれ量の最適値で、補正情報であるオフセット量を補正する。
【0052】
すなわち、磁気ヘッド510を徐々にディスク外周側へ距離T0ずつ移動して中心ずれ量検出領域104のパターンの再生を行い、現在の中心ずれ量の振幅値が極大と検出された位置がディスクリートトラック中心の位置である。
【0053】
従って、ステップS709において、振幅値記憶判断回路612が現在の中心ずれ量の振幅値が極大または所定の値以上となっていると判断した場合には、現在のオフセット量から中心ずれ量で補正した値を現在処理中のトラックにおける最適オフセット量Toptと決定し(ステップS711)、オフセット記憶回路613に保存する(ステップS712)。
【0054】
これにより、一つのトラックにおける最適オフセット量が決定されるが、かかるステップS701からS712までの測定処理を全てのトラックについて実行する。これにより、全トラックにおける最適オフセット量が測定されることになる。図12は、オフセット記憶回路613に保存されたトラック毎の最適オフセット量の一例をテーブル化した説明図である。このように、オフセット記憶回路613には、セクタ毎、トラック毎の最適オフセット量が保存されることになる。
【0055】
次に、本実施の形態にかかるハードディスクドライブ装置による位置決め補正情報記録処理について説明する。図13は、位置決め補正情報記録処理の手順を示すフローチャートである。
【0056】
本実施の形態にかかる位置決め補正情報記録処理は、非磁性部が存在しない補正情報記録領域102に、初期化が行われ、まだデータの磁気情報が書き込まれていない状態で、記録開始セクタから開始される。まず、磁気ヘッド510を位置決めする目標トラックを設定する(ステップS1301)。そして、記録開始セクタの到来をシステムコントローラで受信すると(ステップS1302)、再生ヘッド512をサーボ領域103の示すトラック中心位置に位置決めする(ステップS1303)。
【0057】
次に、システムコントローラ611は、サーボ信号の終了をヘッド再生信号処理回路から検知すると(ステップS1304)、引き続き到来する磁性体部を有する補正情報記録領域102に対して、記録ヘッド511によって位置決め補正量のパターンの記録動作を行う(ステップS1305)。
【0058】
このとき記録される位置決め補正量の記録パターンは、所定の周波数で変化するビットパターンであり、サーボ信号の周波数と同じであることが望ましい。ハードディスクドライブ装置の変調回路における共通の周波数とすることで、フィルタ回路処理を容易に追加することができる。
【0059】
位置決め補正量のパターンを構成するビットパターンは、再生ヘッド位置決め時補正量(第1の補正情報)と記録ヘッド位置決め時補正量(第2の補正情報)とからなっている。図14に示すように、磁気ヘッド510とサスペンションアーム622の軸が同一であれば、サスペンションアームアーム622はベアリング軸周りに回転するため、再生ヘッド512と記録ヘッド511の、ディスクリート領域に対する位置関係はヘッド510の傾き角であるスキュー角により、トラックの中心に対して、再生ヘッド512の中心が位置決めされたとき、記録ヘッド511の中心位置はトラック中心からずれた状態となる。このため、再生ヘッド512をディスクリートトラック中心へ位置決めする場合と、記録ヘッド511をディスクリートトラック中心へ位置決めする場合とでは、異なる位置決め補正量となる。ディスクリートトラックにおける記録ヘッド位置決めのオフセット量の測定処理によりオフセット量を測定し、このオフセット量の値を記録ヘッド位置決め補正量とする。
【0060】
従って、再生ヘッド位置決め補正量としてオフセット記憶回路613で保持しているオフセット量を、記録ヘッド位置決め補正量として記録ヘッドのオフセット量を設定する。補正情報記録領域102に記録されている位置決め補正量は、位置決め分解能に対するオフセット指令量から決められるビット列となる。従って、補正情報記録領域102は、最大オフセット指令量を構成するビット列の数によって決定される。
【0061】
ここで、位置決め補正量は、補正情報が測定されたm番目のセクタに対して、(m+1) 番目の位置決め補正量を、m番目のセクタに記録する。これにより、該当セクタの位置決め補正制御を行う際、前のセクタでの位置決め制御を行っているときに、事前に読み出すことで、位置決め補正を迅速に行うことができる。
【0062】
これにより、一つのセクタにおける位置決め補正量が記録されるが、かかるステップS1301からS1305までの測定処理を全てのセクタ及びトラックについて実行する(ステップS1306,S1307)。これにより、全セクタおよびトラックにおいて位置決め補正情報が記録されることになる。
【0063】
次に、本実施の形態にかかるハードディスクドライブ装置による位置決め補正処理について説明する。補正情報記録領域102に記録された位置決め補正量は、サーボ信号と同様に、ヘッド再生信号処理回路615で再生ヘッド612からの再生信号を受け取り、システムコントローラ611に受け渡される。mセクタの位置決め制御を行っているときに、mセクタに記録されている位置決め補正情報量をデコードし、(m+1)セクタの位置決め制御を行うときに、この補正量を反映させる。このとき、再生ヘッドをディスクリートトラック中心に位置決めする場合には、再生ヘッド位置決め補正量を適用し、記録ヘッドをディスクリートトラック中心に位置決めする場合には、記録ヘッド位置決め補正量を適用する。このようにして、磁気ヘッドを最適オフセット量だけ径方向に移動して位置決めを行うことにより、ディスクリートトラックに対して適切にデータの書き込みおよび読み出しが可能となる。
【0064】
なお、振幅値記憶判断回路612に記憶されたデータの振幅値の最大値が、あらかじめ規定された振幅値よりも小さい場合は、オフセット量が最適なオフセット量に到達していない可能性がある。この場合には、振幅値記憶判断回路612によってかかる状態を判断し、記録開始セクタから再度位置決め補正情報記録処理を開始し、オフセット量測定処理についても再度実行されるように構成すればよい。なお、この記録開始セクタでのオフセット量は前回の記録処理開始時のオフセット量Tmaxより大きい値となるように設定される。
【0065】
このように本実施の形態のハードディスクには、補正情報記録領域102が設けられ、補正情報記録領域102はデータの書き込み可能な磁性体を有し、非磁性領域は省略可能な構成となっており、また、中心ずれ量検出領域104のパターンは、補正情報記録領域102の後のディスクリート領域101内に設けられ、隣接するトラック間で、180度位相をずらした市松状のパターンで形成されているので、ディスクリートトラック型のハードディスクにおいてトラック中心のずれ量を正確に測定して、測定したオフセット量を補正して位置決め制御を行うことができる。このため、データの書き込み時にディスクリート領域101のトラック中心位置に磁気記録を行うことが可能となり、また、データの読み出し時にもディスクリート領域101のトラック中心位置に信号再生を行うことが可能となり、再生信号を劣化させずにディスクリート作用を効果的に発揮させ、超高記録密度磁気記録を可能としながらも良好な記録再生特性を得ることができる。
【0066】
また、本実施の形態のハードディスクでは、サーボ領域103とディスクリート領域101の間に補正情報記録領域102が設けられ、補正情報記録領域102には一つ後のセクタにおける位置決め補正量が記録されており、次のセクタの制御時のための位置決め補正量を先行してデコードできるため、磁気ヘッドの位置決め補正を迅速に行うことができる。
【0067】
さらに、本実施の形態の磁気記録装置では、磁気ヘッド510を、位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、再生ヘッド512により中心ずれ量演出領域104の中心ずれ量検出情報のパターンを読み出し、磁気ヘッド510の移動と中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行し、振幅値記憶判断回路612に記憶された複数の測定データの振幅値が極大となる振幅値を最適オフセット量として決定しているので、ディスクリートトラック型のハードディスクにおいて非磁性部の存在しない補正情報記録領域102に測定された位置決め補正量を記録でき、オフセット補正位置決め制御を行うことで正確な位置に記録再生を行うことができる。
【0068】
なお、本実施の形態のハードディスクでは、各セクタに対して全て中心ずれ量検出領域104を形成した構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、位置決め補正を行う精度に応じたオフセット量の測定が可能な数のセクタのみに中心ずれ量検出領域104を設ける構成としてもよい。
【0069】
また、本実施の形態のハードディスクでは、全てのトラックに対して、中心ずれ量検出領域104を形成した構成となっているが、これに限定されるものではなく、例えば、所定のトラックにのみ、中心ずれ量検出領域104を設ける構成としてもよい。この場合、最適オフセット量を測定したトラック以外のトラックに対する最適オフセット量は、既知の最適オフセット量から補間処理を行うことにより算出するようにハードディスクドライブ装置を構成すればよい。
【0070】
また、本実施の形態のハードディスクでは、全てのトラックに対して、中心ずれ量検出情報の測定を行い、補正情報記録領域102に位置決め補正量を記録しているが、これに限定されるものではなく、測定された補正情報を平均化した所定の領域であるゾーン毎に共通の値として補正情報記録領域102に記録する構成としてもよい。
【0071】
(変形例1)
本実施の形態のハードディスクでは、サーボ領域103の偏差検出部が、プリアンブル部に対し斜め傾斜した一様なパターンで形成されているが、これに限定されるものではなく、バースト型方式のサーボパターンで形成されている場合にも本発明を適用することができる。図15は、偏差検出部1503が4相からなるバースト型のサーボパターンで形成されている場合のサーボ領域103の詳細な構造図である。この場合にも、ハードディスクドライブ装置の構成は上記実施の形態と同様であり、また、オフセット量測定処理(中心ずれ量検出処理を含む)、位置決め補正情報記録処理および位置決め補正処理は、上記実施の形態と同様に行われる。
【0072】
(変形例2)
また、サーボ領域103の偏差検出部を、Nullパターンのサーボパターンで形成されている場合にも本発明を適用することができる。図16は、偏差検出部1603が2相からなるNullパターンのサーボパターンで形成されている場合のサーボ領域103の詳細な構造図である。この場合にも、ハードディスクドライブ装置の構成は上記実施の形態と同様であり、また、オフセット量測定処理(中心ずれ量検出処理を含む)、位置決め補正情報記録処理および位置決め補正処理は、上記実施の形態と同様に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明にかかる磁気記録装置及び位置決め補正方法は、ハードディスク、ハードディスクドライブ装置およびハードディスクドライブ装置で実行される位置決め補正方法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施の形態にかかるハードディスクの構造を示す模式図である。
【図2】本実施の形態のハードディスクにおけるディスクリート領域101とサーボ領域の詳細な構造を示す模式図である。
【図3】磁気ヘッド510がサーボ領域103に位置決めされた状態を示す模式図である。
【図4−1】サーボパターンが理想的にサーボ領域103に転写されている場合のサーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心との関係を示す模式図である。
【図4−2】サーボパターンの転写ミスが生じた場合のサーボパターンによるヘッド位置決めのトラッキング中心とディスクリートトラック中心との関係を示す模式図である。
【図5−1】順傾斜パターンと逆傾斜パターンとからなるサーボパターン上をヘッド510がスキュー角度0で走査している状態を示す模式図である。
【図5−2】順傾斜パターンと逆傾斜パターンとからなるサーボパターン上をヘッド510がスキュー角度をもって走査している状態を示す模式図である。
【図5−3】図5−1と図5−2の場合の再生信号を示すグラフである。
【図6】本実施の形態のハードディスクドライブ装置の構成を示す構成図である。
【図7】オフセット測定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】再生ヘッド512の示すトラック中心位置から距離Tmaxだけ内周方向に移動した状態を示す説明図である。
【図9−1】中心ずれ量検出情報を測定する場合の信号処理の一例を示す説明図である。
【図9−2】中心ずれ量検出情報の再生信号の振幅を示すグラフである。
【図10】磁気ヘッド510をトラック中心位置から内周方向に距離Tmaxだけ移動した位置から外周方向にT0に移動した状態を示す説明図である。
【図11】オフセット量と振幅値のグラフである。
【図12】オフセット記憶回路613に保存されたトラック毎の最適オフセット量の一例をテーブル化した説明図である。
【図13】位置決め補正情報記録処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】再生ヘッド512と記録ヘッド511のディスクリート領域に対する位置関係を示す模式図である。
【図15】本実施の形態の変形例1のハードディスクにおけるディスクリート領域101とサーボ領域の詳細な構造を示す模式図である。
【図16】本実施の形態の変形例2のハードディスクにおけるディスクリート領域101とサーボ領域の詳細な構造を示す模式図である。
【符号の説明】
【0075】
101 ディスクリート領域
102 補正情報記録領域
103 サーボ領域
104 中心ずれ量検出領域
106 データトラック
201 プリアンブル部
202 アドレス部
203,1503,1603 偏差検出部
301 非磁性領域
302 磁性領域
510 複合型磁気ヘッド
512 記録ヘッド
512 再生ヘッド
610 HDD制御部
611 システムコントローラ
611 記録ヘッド
612 再生ヘッド
613 オフセット記憶回路
616 ヘッド記録信号処理回路
618 位置決めアクチュエータ制御回路
621 磁気ヘッド
622 サスペンションアームアーム
623 位置決めアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドと再生ヘッドとを有する複合型磁気ヘッドと、
データを記録するための磁気記憶媒体と、
前記磁気記憶媒体に設けられ、前記記録ヘッドによってデータ書き込み可能な磁気記録領域を有する複数のトラックと隣接するトラック間に前記記録ヘッドによってデータ書き込み不能な非磁性領域とを有するディスクリート領域と、
前記磁気記憶媒体に設けられ、前記記録ヘッドと前記再生ヘッドのうち一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めする際の位置決め補正情報を書き込み可能な補正情報記録領域と、
前記磁気記憶媒体に設けられ、前記一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めした場合のトラッキング中心と前記ディスクリート領域の実際のトラック中心との相対距離である中心ずれ量を測定するための中心ずれ量検出情報が予め記録された中心ずれ量検出領域と、
を備えたことを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
前記中心ずれ量検出領域は、前記ディスクリート領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記補正情報記録領域は、前記磁気記録媒体の半径方向に亘って設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記磁気記録媒体は、前記複合型磁気ヘッドの位置決め行うための位置情報が記録されたサーボ領域をさらに備え、
前記補正情報記録領域は、前記サーボ領域と前記ディスクリート領域との間に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
前記サーボ領域は、再生信号のクロックを同期させるための情報が記録されたプリアンブル部と、シリンダの情報が記録されたアドレス部と、前記複合型ヘッドのオフトラック量を検出するため検出情報が記録された偏差検出部とを有し、
前記偏差検出部は、前記プリアンブル部の情報記録パターンに対して傾斜パターンで前記検出情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項6】
前記補正情報記録領域と前記中心ずれ量検出領域は、前記トラックを構成するセクタ領域ごとに設けられていることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録装置。
【請求項7】
前記中心ずれ量検出情報は、奇数トラックと偶数トラックとで径方向の位相が180度ずれるように前記中心ずれ量記録領域に記録されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記補正情報記録領域には、前記再生ヘッドを各トラックの中心位置に位置決めするための第1の補正情報と、前記記録ヘッドを各トラックの中心に位置決めするための第2の補正情報とを有する前記位置決め補正情報が記録されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の磁気記録装置。
【請求項9】
前記第2の補正情報は、前記再生ヘッドと前記記録ヘッドとの半径方向の相対距離を示すオフセット量を含むことを特徴とする請求項8に記載の磁気記録装置。
【請求項10】
前記再生ヘッドが所定のトラックに位置決めされた状態から前記位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、前記中心ずれ量検出情報を前記再生ヘッドにより読み出す再生部と、
前記再生ヘッドおよび前記記録ヘッドの移動と前記中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行して、読み出された前記中心ずれ量検出情報に基づいて前記位置決め補正情報を決定する決定部と、をさらに備え、
前記位置決め補正情報は、前記決定部により前記位置決め補正情報を決定したセクタの直前のセクタの前記補正情報記録領域に記録されていることを特徴とする請求項8または9に記載の磁気記録装置。
【請求項11】
前記再生ヘッドが所定のトラックに位置決めされた状態から前記位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、前記中心ずれ量検出情報を前記再生ヘッドにより読み出す再生部と、
前記再生ヘッドおよび前記記録ヘッドの移動と前記中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行して、読み出された前記中心ずれ量検出情報に基づいて前記位置決め補正情報を決定する決定部と、をさらに備え、
所定の領域内の各トラックにおいて決定された前記位置決め補正情報を平均した値が前記所定の領域における共通の前記位置決め補正情報として前記補正情報記録領域に記録されていることを特徴とする請求項8または9に記載の磁気記録装置。
【請求項12】
データ書き込み可能な磁気記録領域を有する複数のトラックと隣接するトラック間にデータ書き込み不能な非磁性領域とを有するディスクリート領域と、前記記録ヘッドと前記再生ヘッドのうち一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めする際の位置決め補正情報を書き込み可能な補正情報記録領域と、前記一方のヘッドを各トラックの中心に位置決めした場合のトラッキング中心と前記ディスクリート領域の実際のトラック中心との相対距離である中心ずれ量を測定するための中心ずれ量検出情報が予め記録された中心ずれ量検出領域とを備えたディスクリートトラック型の磁気記憶媒体の所定のトラックに前記再生ヘッドが位置決めされた位置から予め定められた距離だけ径方向に移動させた状態で、前記中心ずれ量検出情報を前記再生ヘッドにより読み出す再生ステップと、
前記再生ヘッドおよび前記記録ヘッドの移動と前記中心ずれ量検出情報の読み出しを複数回実行して、読み出された前記中心ずれ量検出情報に基づいて前記位置決め補正情報を決定する決定ステップと、
を含むことを特徴とする位置決め補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−95168(P2007−95168A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283069(P2005−283069)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】