説明

神経細胞生長発育及び神経幹細胞生成促進化合物

【課題】神経細胞生長発育及び神経幹細胞生成促進化合物の提供。
【解決手段】下記式に示される化学構造を具えたプレニルフラボノン化合物である。


[R1〜R7は水素基(−H)、水酸基(−OH)、イソプレン基等を示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の、神経幹細胞の再生と分化を促進することによりする化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の神経幹細胞(neural stem cell,NSCs)は自己更新修復を行え、並びに体外培養条件下で、ある刺激因子の刺激により分化して多種類の異なる形態の細胞、例えば、神経元細胞(Neurons)、星状膠細胞(Astrocytes)とオリゴデンドロサイト(oligodendrocyte、乏突起神経膠細胞)となる。これらの分化後の細胞は哺乳類の中枢神経の発育に対して、及び、成年動物神経系統の効能表現上、いずれも非常に重要な役割を果たす。周知の神経幹細胞はすでに多種類の哺乳類(例えばマウス、ラット、豚及び人類)の中枢神経系統より、その発育して成熟する過程中に分離されている。そのうち、人類中枢神経システム中の神経幹細胞は、それと同源のげっ歯類のものに類似している。
【0003】
哺乳類の神経幹細胞は発育中の中枢神経システム中に存在するほか、成熟した器官中にも存在する。これまでの研究報告によると、現在既に、胚胎幹細胞からの神経幹細胞の派生が可能であるが、内生性神経幹細胞の調整メカニズムについてはよく分かっていない。
【0004】
神経退化性疾病の治療に関しては、損傷した神経細胞を救い、並びに該神経細胞の再生を刺激するのが理想的な治療策略である。現在、既に神経幹細胞を移植して損傷した細胞を補修し、並びに内生性神経幹細胞を活性化して神経細胞に自己更新の可能性を提供する試みがなされている。
【0005】
現在、科学者は神経幹細胞に対して初歩的な理解を有しているが、神経幹細胞を神経細胞の修復に応用するならば、有効にそれらの増殖或いは分化を制御し特定効能を具備する細胞となす方法が必要である。これまでの多くの研究報告によると、神経幹細胞は既に成長因子を有する培養条件下で増殖させることができる。このような成長因子で現在知られているものとしては、塩基性線維芽細胞成長因子(basic Fibroblast Growth Factor;bFGF)及び上皮成長因子(Epithelial Growth Factor;EGF)等がある。すでに無血清で前述の成長因子を含有する培養基中に、懸濁培養の状態で、神経幹細胞は集中し、いわゆる体性神経幹(前駆)細胞(neurospheres)を形成する。また一方で、このような成長因子を除去して代りに既知的マイトジェン因子(mitogen factor)、塩基性線維芽細胞成長因子或いは上皮成長因子以外の他の成長因子、神経栄養因子(neurotrophic factors)を適量補充すると、神経幹細胞は刺激を受けて分化し、分化した細胞は主に星状膠細胞(90%以上)となり、少部分が神経元細胞(10%以下)となる。
【0006】
このほか、従来の研究結果によると、現在多くの親神経性因子が科学者により発見されており、グリア細胞由来神経栄養因子(Glial−derived Neurotrophic Factor;GDNF)、大脳由来神経栄養因子(Brain-derived Neurotrophic Factor;BDNF)、神経成長因子(Nerve Growth Factor;NGF)、神経栄養因子3(Neurotrophin−3;NT3)、神経栄養因子4(NT4)、及び血小板由来成長因子(Platelet−derived Growth Factor;PDGF)などがある。これらの親神経性因子は神経細胞生存を促進する活性を有することが実証されているが、臨床上は多くの使用上の制限がある。これはこれらの親神経性因子を生体中に投与する時、これらの親神経性因子が比較的大きな分子量を有するために、脳血液関門(Blood Brain Barrier;BBB)を通過して脳部に達しにくい。
【0007】
これにより、もし比較的小さい分子量を有し、且つ内生性神経幹細胞を活性化できる化合物を探し出して、神経幹細胞の増殖とその特性の維持を促進するのに用い、更には神経幹細胞を分化させて効能を具備する神経元細胞となすことができれば、神経幹細胞を宿主体内に移植するのに役立ち、これにより退化性神経疾病の有効な予防或いは治療策略となすことができ、並びに神経退化因子を有する個体に予防の効果を提供できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
周知の技術の欠点を克服するため、本発明の目的は、神経細胞の増殖を促進するのに用いることができる化合物を提供することにあり、それは比較的小さい分子量を具備し、これにより脳血液関門を容易に通過して脳部に達し、これにより神経細胞の死亡を抑制し、並びにその生存率を増加させることができるものとする。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、神経幹細胞の分化を促進するのに用いることができる化合物を提供することにあり、それは神経幹細胞を分化させ特定効能を具備する神経元細胞となすのを促すものとする。
【0010】
本発明の目的を達成するため、本発明によると、一種の、神経細胞増殖を促進する化合物を提供し、それは以下の式一の化学構造式のプレニルフラボノン(prenylflavanones)化合物である。
【0011】
【化1】

【0012】
そのうち、R1は水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、イソプレン基、或いは式二或いは式三で示されるゲラニル基とされる。
【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
周知のように、脳皮質神経細胞を低密度(160cells/mm2以下)の状況で培養すると、神経細胞を死亡しやすく、培養しにくい。本発明の指す化合物は、神経細胞の生存率を増すほか、低密度の培養状況下でも、神経細胞の死亡を顕著に減少させる。このほか、本発明の化合物は神経細胞の生長を促進するのに用いられ、例えば神経繊維を太く長くするのに用いられる。このほか、本発明の化合物は神経幹細胞の形成を促進するのに用いられ、並びにその分化を誘発して神経元細胞となす。
【0016】
本発明は以下の実施方式により更に説明されるが、ここで述べられる実施方式は本発明の内容を制限するものではない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がそれに基づきなしうる改良と修飾は本発明の範疇より離脱しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物は以下の一般式一の化学構造式を有し、
【化4】

そのうち、R1は水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、イソプレン基、或いは式二或いは式三で示されるゲラニル基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
【化5】

【化6】

請求項2の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR2は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
請求項3の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR4は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
請求項4の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR5は式(2)或いは式(3)に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R4、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
請求項5の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR6は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R4、R5及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
請求項6の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物は神経幹細胞を刺激して分化させ神経元細胞となし得ることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物としている。
請求項7の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物を包含したことを特徴とする、培養基の添加物としている。
請求項8の発明は、請求項7記載の培養基の添加物において、該培養基は細胞培養の培養基とされることを特徴とする、培養基の添加物としている。
請求項9の発明は、請求項8記載の培養基の添加物において、該細胞は神経幹細胞とされることを特徴とする、培養基の添加物としている。
請求項10の発明は、請求項7記載の培養基の添加物において、該培養基が更に成長因子を含有したことを特徴とする、培養基の添加物としている。
請求項11の発明は、請求項10記載の培養基の添加物において、該成長因子は上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、及び神経成長因子からなる群より選択されることを特徴とする、培養基の添加物としている。
請求項12の発明は、請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物を含有したことを特徴とする、神経幹細胞の分化を刺激、促進神経元細胞生長及発育する医薬組成物としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の化合物は神経幹細胞を長時間培養するのに用いることができ、並びにその集中して球状となる特性を維持させることができ、並びに神経幹細胞を神経元細胞へと分化させることができる。一方で、本発明の化合物は、連続培養時に、7日ごとに一度培養基を交換する状況で長時間培養するのに使用でき、且つ神経幹細胞の培養に用いると、その生存は30日以上となる。しかし、周知の成長因子を使用すると、一般に3−4日に培養基を交換しなければならず、これにより常温で活性を失いやすく、本発明の小分子化合物の特性はこの因子の影響を受けない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明による神経細胞の増殖を促進する化合物は、以下の式一に示される化学構造を有する
【0020】
本発明の目的を達成するため、本発明によると、一種の、神経細胞増殖を促進する化合物を提供し、それは以下の式一の化学構造式のプレニルフラボノン化合物である。
【0021】
【化7】

【0022】
そのうち、R1は水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、イソプレン基、或いは式(2)或いは式(3)で示されるゲラニル基とされる。
【0023】
【化8】

【0024】
【化9】

【0025】
本発明の前述のプレニルフラボノン化合物は、既知の有機化学合成技術により合成可能であるほか、天然物中より近似の化学構造を有する化合物を分離し、更に既知の化学修飾技術で一部の官能基を修飾することにより獲得される。
【0026】
本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式四に示される化学構造式を具備する。
【0027】
【化10】

【0028】
そのうち、R1,R2,R3,R5,R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0029】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式五に示される化学構造式を具備する。
【0030】
【化11】

【0031】
そのうち、R1,R2,R3,R5,R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0032】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式六に示される化学構造式を具備する。
【0033】
【化12】

【0034】
そのうち、R1,R2,R3,R4,R5及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0035】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式七に示される化学構造式を具備する。
【0036】
【化13】

【0037】
そのうち、R1,R2,R3,R4,R5及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の炭素の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0038】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式八に示される化学構造式を具備する。
【0039】
【化14】

【0040】
そのうち、R1,R2,R3,R4,R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0041】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式九に示される化学構造式を具備する。
【0042】
【化15】

【0043】
そのうち、R1,R2,R3,R4,R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0044】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式十に示される化学構造式を具備する。
【0045】
【化16】

【0046】
そのうち、R1,R3,R4,R5,R6及びR7はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0047】
或いは、本発明の前述のプレニルフラボノン化合物の実施例は、以下の式十一に示される化学構造式を具備する。
【0048】
【化17】

【0049】
そのうち、R1,R3,R4,R5,R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされる。
【0050】
本発明の前述の神経細胞増殖を促進するのに用いられる化合物の更なる実例は、以下のような化学構造式を具備する。
【0051】
化合物A(Propolin A)
【0052】
【化18】

【0053】
化合物B(Propolin B)
【0054】
【化19】

【0055】
化合物C(Propolin C)
【0056】
【化20】

【0057】
化合物D(Propolin D)
【0058】
【化21】

【0059】
化合物E(Propolin E)
【0060】
【化22】

【0061】
化合物F(Propolin F)
【0062】
【化23】

【0063】
化合物G(Propolin G)
【0064】
【化24】

【0065】
化合物H(Propolin H)
【0066】
【化25】

【0067】
本発明の化合物は以下のような特徴を具備している。
(1)本発明の化合物を低密度(160cells/mm2以下)神経細胞の培養条件下で、顕著に神経細胞(例えば、脳皮質神経細胞)の生長を促進し、これにより神経細胞の生存率を高めることができる。したがって本発明の化合物は神経細胞を培養する理想的な添加剤を含まれる。
(2)神経細胞の生長と発育に対する影響上、本発明の化合物は塩基性線維芽細胞成長因子或いは上皮成長因子で処理したものに較べ、比較的太く、長く、さらに多く分岐した神経繊維を獲得できる。本発明の化合物はこのような効能を有するため、神経退化性疾病における細胞の損傷或いは死亡に対する修復及び再生に応用でき、神経退化型疾病、例えばアルツハイマー病(Alzheimer)、パーキンソン病(Parkinson)、脳卒中、ルー・ゲーリック病(Lou Gehrig’s)など、及びミエリン(myelin)損傷または異常の疾病、例えば多発性硬化症(multiple sclerosis)の治療に役立つ。本発明の化合物は単独または他の化合物と組み合わせて使用することができる。
(3)神経幹細胞の生成の促進に関して、本発明の化合物で処理すると、塩基性線維芽細胞成長因子或いは上皮成長因子で処理したものに較べ、より神経幹細胞の生成を促進し、並びにこのような球状特性を維持し体外培養の状況下で少なくとも30日、生存させ、本発明物は成長因子と較べてより優れた培養基添加剤であることが分かる。このような神経幹細胞は誘導分化され神経元細胞、星状膠細胞及びオリゴデンドロサイトに分化誘導される。本発明の化合物は神経幹細胞の移植前と移植後の生存率を改善するにも拘らず、神経幹細胞をさらに効能的な神経細胞に変化させることができる。
(4)本発明の化合物は神経元幹細胞(neuronal stem cells)を主とする神経幹細胞(neural stem cell)を誘導生成するのに用いられ、並びにこれら幹細胞を更に分化させて神経元細胞(neurons)となす可達到60%以上,この数は従来の技術では達成できないのである(従来技術のベスト値は僅20−30%)。このほか、本発明の化合物は周知の成長因子とは異なり、これにより応用上、塩基性線維芽細胞成長因子と合併使用することにより、神経幹細胞を増殖させて有効に神経幹細胞を量子化し、これにより大量に神経元幹細胞を獲得でき、将来的な退化性神経疾病を治療する細胞療法に応用可能である。或いは従来の技術を用い、本発明の化合物により大量の裸のnaked神経幹細胞を生産、収穫及び純化し、移植治療に使われるのである。
【0068】
本発明の化合物は前述の効能と特徴を具え、これにより本発明の化合物は神経幹細胞の体外培養の添加剤とされ得て、前述の周知の技術で使用される大分子蛋白質(例えば上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、グリア細胞由来神経栄養因子、大脳由来性神経栄養因子、神経成長因子、神経栄養因子3、神経栄養因子4、及び血小板由来成長因子等)とは異なる。本発明の化合物、プレニルフラボノン化合物は分子量が比較的小さい小分子物質であり、それは培養液内でその特性を比較的長く維持できる(約7−9日に一度培養基を交換すればよい、その他は3−4日おきに交換する)。このほか、本発明の化合物は神経幹細胞の顕著な分化を誘導して神経元細胞となすことができる。このほか、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の明細書を読めばわかるように、本発明の化合物中には更に成長因子が包含され得て、それは神経幹細胞の培養に用いられ、その増殖を促進する。前述の成長因子の本発明中で挙げられる例は、上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子及び神経成長因子を包含するが、これに限られるわけではない。これは神経学方面の研究に対して更に良好で新興の実験用無血清の細胞培養添加剤である。
【0069】
このほか、周知の小分子物質は脳血液関門を通過して脳細胞に到達しやすく、現在米国のFDA(Food and Drug Administration)は積極的に人体幹細胞移植治療方式の認可を進めており、特に、神経退化性疾病方面に治療に関してそうである。本発明の化合物中に包含されるプレニルフラボノン化合物は小分子物質であり、且つそれは無血清の培養基中で効能性を具備する神経元細胞の形成を促進し、並びに低細胞密度の状況下で神経細胞の生存を促進し、これにより本発明の化合物が具備するこのような特性は、前述の人体幹細胞移植の治療の補助に対して、極めて大きな幇助を提供する。
【0070】
このほか、本発明の技術領域に主熟する技術者であれば、本発明の前述の説明を読めば了解するように、本発明の化合物は周知の技術により開発して医薬化合物となすことができる。
【0071】
実施例1
神経幹細胞を培養する生長培養基を製造する。それは、B−27無血清神経細胞培養基(B−27 supplemented neurobasal medium,Gibco)中にペニシリンG(penicillin G)、硫酸スプレプトマイシン(streptomycin sulphate)及び0.5mMのL−グルタミン(L−glutamine)を添加したものとする。
麻酔状態下で、妊娠16日の雌鼠(Wistar)の腹腔中より胎嚢中の未出生胎鼠を乗り出す。胎鼠大脳組織を取り出し、0.1%のトリプシン溶液摂氏25度下で1分間作用させる。りん酸塩バッファ溶液(PBS solution)で3回洗った後、周知の機械方式で上下に混合してその細胞を分散させる。その後、前述の胎鼠大脳組織細胞を含有する溶液に70μmナイロン細胞ストレーナー(nylon cell strainer,Falcon)を通過させ、脳細胞を溶液中に釈放する。その後、この溶液を1000rpmの回転速度で10分間遠心分離し、さらに前述の神経幹細胞を培養する生長培養基で置換し、これにより、神経幹細胞の細胞群を含有する懸濁液を獲得できる。
前述の脳細胞の懸濁液を約150,000cells/mLのうち10mLを取り出して細胞量直径10cmでペトリ皿(Petri dish)上に放置し、並びにそれを摂氏37度、5%CO2、及び相対湿度95%の環境下で培養し、脳細胞を培養する。細胞培養の生長培養基は三日ごとに二回交換し、毎回半分の培養液を交換する。
実験を行う時は、ペトリ皿培養細胞で、対照グループの生長培養基中に上皮生長因子(5ng/mL)、塩基性線維芽細胞成長因子(5ng/mL)或いは神経成長因子(5ng/mL)を添加する。実験グループの生長培養基中にはそれぞれ本発明の化合物A〜Hを加える。ブランクコントロールグループの生長培養基中には5μLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加える。その後、以上の培養条件で培養し、並びに7日培養後に顕微鏡で懸濁液した神経幹細胞の大きさ、外形と生存率を観察する。得られた結果は図1に示される。
結果が示すように、本発明の化合物A〜H、上皮成長因子、神経成長因子はいずれも神経幹細胞を集中させて球状(体性神経幹(前駆)細胞)となし、且つブランクコントロールグループの形成する体性神経幹(前駆)細胞より大きい。これから明らかに、本発明の化合物は周知の成長因子と同じく神経幹細胞の生長の目的を達成することがわかる。また即ち、本発明の化合物は神経幹細胞球状物の増殖に対して促進の効果を有する。
【0072】
実施例2
実施例1で得られた細胞懸濁液を300cells/mm2の細胞量で30μg/mLのポリDリジン(poly−D−lysine,Sigma)を吸着した6孔培養トレイ中で培養し、摂氏37度、5%CO2、及び相対湿度95%の環境下で培養する。
10μMの化合物A、化合物B、化合物D、化合物E、化合物F、化合物G、及び化合物Hを含有する生長培養基中でそれぞれ培養し。このほか、コントロールグループの生長培養基中に5μLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加える。培養分化してなる細胞は大脳皮質神経細胞(cortical neurons)と総称される、三重複試験を行う。5日培養後、周知の活細胞数計数の方法で細胞を計数(MTTassay)し、並びに540nm吸光値で結果を判読し、結果を図2に示した。
図2の結果に示されるように、実験グループの吸光値はブランクコントロールグループよりも明らかに高く、そのうち、化合物A、DとGでの効果が最も良好であった。この結果は本発明の化合物が確実に顕著に大脳皮質神経細胞の生存率を増すことを示す。
【0073】
実施例3
実施例1で得られた細胞懸濁液を異なる細胞密度(150,300cells/mm2)の細胞量ですでに30μg/mLのポリDリジン(poly−D−lysine,Sigma)を吸着した6孔培養トレイ中で培養し、摂氏37度、5%CO2、及び相対湿度95%の環境下で培養する。
化合物A、化合物B、化合物D、化合物Gを含有する生長培養基中でそれぞれ培養し。このほか、生長培養基中に5μLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えてコントロールグループとなす。培養分化してなる細胞は大脳皮質神経細胞(cortical neurons)と総称される、三重複試験を行う。5日培養後、周知の活細胞数計数の方法で細胞を計数(MTT assay)し、並びに540nm吸光値で結果を判読し、結果を図3に示した。
周知の大脳皮質神経細胞を640cells/mm2の細胞密度で生長培養基中で培養する時、細胞の生存率は90%より高く、160cells/mm2の細胞密度で培養する時、細胞の生存率は約50%に下がる。これにより、培養時の細胞密度が160cells/mm2より低い時、適時にいずれかの生長因子を添加することがなければ、細胞の死亡率は大幅に増加する。これはこのような状況下では、細胞数が少なすぎて細胞と細胞の間の距離が相互に遠くなりすぎ、このため細胞と細胞の間で生長因子の伝送が行われにくくなるためである。
図3の結果からわかるように、本発明の化合物を添加した実験グループ中、培養開始の細胞密度がどのようであっても、得られる吸光値はいずれもコントロールグループより顕著に高くなり、この結果は、本発明の化合物の添加が、低細胞密度下で培養される神経細胞の生存率を顕著に改善することを示す。
【0074】
実施例4
実施例1で得られた細胞を38cells/mm2の細胞量で、すでに30μg/mLのポリDリジン(poly−D−lysine,Sigma)を吸着した6孔培養トレイ中で培養し、摂氏37度、5%CO2、及び相対湿度95%の環境下で培養する化合物A、化合物B、化合物D、化合物Gを含有する生長培養基中でそれぞれ培養し。このほか、生長培養基中に5μLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えてコントロールグループとなす。培養分化してなる細胞は大脳皮質神経細胞(cortical neurons)と総称される、三重複試験を行う。5日培養後、顕微鏡で細胞を観察し並びに神経繊維(neurite)長さを計算し、得られた結果を図4に示した。
図4に示されるように、完全にいかなる成長因子も加えないブランクコントロールグループは、顕微鏡下で、その神経元細胞体(soma)の萎縮、神経細胞の完全な死亡の状況が観察され(図4の(A))、ゆえに測定される神経繊維の長さはゼロとなる。しかし、実験グループにそれぞれ化合物A 2.5μM、化合物B 5μM、化合物D 5μM、化合物G 5μMを加えた後、顕微鏡下で実験グループ中の神経元細胞は続けて生長し、且つ神経繊維は外向きの伸長し、並びに一つの神経元細胞体から少なくとも3本の神経繊維が伸出し、且つそのうち1本は長く且つ後端が分岐して複数の神経突起となる。神経繊維長さを分析すると、化合物Aを加えた後、神経繊維L1長さは236μm、神経繊維L2長さは161μm(図4の(B))、化合物Bを加えた後、神経繊維L1長さは235μm(図4の(C))、図D中に化合物Dを加えた後、神経繊維L1の長さは211μm(図4の(D))、図E中に化合物Gを加えた後、神経繊維L1の長さは316μmとなり、神経繊維L2の長さは216μmとなった(図4の(E))。
この結果からわかるように、本発明の化合物は低細胞濃度(38cells/mm2)下で、神経細胞の生存を促進し、並びにその神経繊維を伸長させ、且つ発育させて成熟した神経元細胞となす。
【0075】
実施例5
実施例1神経幹細胞を培養し始める時、培養基中化合物A或いはEGFを加え、三日後、細胞が集まり神経球となる。この細胞懸濁液中より100μLを取り出し、それを希釈して1mLとなす。続いて、250μLの体性神経幹(前駆)細胞を含有する上澄み液を吸い取り、既に30μg/mLのポリDリジン(poly−D−lysine,Sigma)を吸着したスライドグラス上で培養し、培養基を取り除き、化合物A又はEGFを添加したもの或いは成長因子を添加しないものを培養し、前述同じ培養環境において再び三日培養すると、大脳皮質神経細胞となす。一次抗体に結合された神経元細胞が二次抗体で認識された後に、神経元細胞は蛍光の励起下で蛍光を発生する。
図5を参照されたい。左列は蛍光励起下の写真(白光のものは神経細胞、図中の陰影部分は死亡した細胞或いは非神経細胞であり、右列は可視光下の細胞形態であり、それはこの視野間の全ての細胞を現出している。これにより図5の結果より実際に観察できることは、神経幹細胞培養開始時に化合物Aを加えると、後に細胞が分化して大脳皮質神経細胞となる時に化合物Aを加えても加えなくても、いずれも神経幹細胞は分化して神経元細胞となり(図5の(A)、(B))、細胞に上皮成長因子を加えた時、神経細胞は増殖(図5の(C))するが、その成長してなるものはほとんどが非神経元細胞であり、後に上皮成長因子を加えないと、細胞が成長してなる非神経細胞は継続して加えたものに較べて少なくなる。これからわかるように上皮成長因子は神経細胞の増殖を促進してその生存率を増すが、ただしその増殖させる細胞のほとんどは非神経元細胞の前駆細胞であり、一方、本発明の化合物は神経幹細胞の生存を増すほか、その分化に影響し、それを神経元細胞へと発展させる。
【0076】
実施例6
実施例5と同じ実験操作を行うが、神経幹細胞の培養開始時に、化合物Dを添加し並びに上皮成長因子と合併使用し、その後、幹細胞を取り出してスライドグラス上に載せ、その後、全ての細胞をスライドグラス上に貼り付けた後、細胞液を除去して新たに、化合物D、或いは上皮成長因子を含有するか、或いは成長因子を含有しない培養液を加えるか、或いは化合物Dを加え並びに上皮成長因子と合併使用し、3日培養した後に免疫蛍光染色で細胞形態を観察した。
図6を参照されたい。左列は蛍光励起下での写真(白光のものは神経細胞、図中の陰影部分は死亡した細胞或いは非神経細胞であり)、右列は可視光下の細胞形態であり、それはこの視野間の全ての細胞を現出している。これにより図6の結果より実際に観察できることは、神経幹細胞培養開始及びスライドグラスに貼り付けた時に化合物Dを加え並びに上皮成長因子を合併すると、神経幹細胞の顕著な増殖の状況が観察され、並びに分化後には神経元細胞に向けて発展する(図6の(A))。細胞をスライドグラスに貼り付けた後、上皮成長因子のみを加えたものは、その細胞が分化して非神経元細胞となり(図6の(C))、化合物Dを含有したものは、その神経幹細胞が分化して神経元細胞となる(図6の(B))。このほか、細胞をスライドグラスに貼り付けた後に、成長因子を加えないと、神経幹細胞は分化して神経元細胞となるが、その神経細胞の数量は更に化合物Dを加えたものに較べて少ない(図6の(D))。これからわかるように、上皮成長因子は神経細胞の増殖を促進し、本発明の化合物を合併使用すると、これにより比較的多くの細胞が神経元細胞に向けて発展する。この実験結果からわかるように、神経元幹細胞の発育時に本発明の化合物を加えることで、神経幹細胞を神経元幹細胞(neuronal stem cells)に向けて発展させることができ、細胞分化後神経元細胞となる。
【0077】
実施例7
実施例1中の化合物Aで培養した神経幹細胞を続けて培養し、7日ごとに一度培養基を交換する。このほか、ジメチルスルホキシドでブランクコントロールグループとなす。第30日培養した時、100μLの神経幹細胞の細胞液を吸い出し、それを希釈して1mLとなす。その後、250μLの上澄み液を吸い取り、それを既に30μg/mLのポリDリジン(poly−D−lysine,Sigma)を吸着したスライドグラス上で培養し、顕微鏡で神経幹細胞の外観形態を観察し、得られた結果を図7に示した。
図7を参照されたい。図7より、全く成長因子を加えないコントロールグループ(図7の(A))には生存する細胞がほぼなく、且つ正常神経幹細胞が集中して球状となる特性を現出できず、細胞懸濁培養時にすでに萎縮の状態を現出することがわかる。化合物Aを加えて培養した神経幹細胞はその集中して球状となる特性を維持可能で(図7の(B))、並びにこの細胞を続けて三日培養した後に実施例5と同じ免疫蛍光染色法を用いて染色し、顕微鏡下で神経幹細胞が正常に分化して神経元細胞となり、並びに続けて神経繊維の生長を続けることがわかる(図7の(C))。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】神経幹細胞を本発明の化合物と周知の成長因子を加えた培養基で培養後の外観形態写真である。 (A)化合物A;(B)化合物B;(C)化合物C;(D)化合物D;(E)化合物E;(F)化合物F;(G)化合物G;(H)化合物H;(I)ブランクコントロールグループ;(J)上皮成長因子;(K)神経成長因子;
【図2】培養基中に本発明の化合物を加えた場合の大脳皮質神経細胞生長に対する影響の結果分析図(*表p<0.0005);
【図3】本発明の化合物で異なる細胞密度の大脳皮質神経細胞を培養した時の影響の結果分析図である(*表p<0.005;**表p<0.05);
【図4】本発明の化合物の神経細胞の神経繊維長さに対する影響により得られる写真; (A)ブランクコントロールグループ;(B)化合物A;(C)化合物B;(D)化合物D;(E)化合物G;
【図5】顕微鏡で神経細胞が誘導され分化した後に観察して得られた写真であり、そのうち、左列は蛍光励起下での写真、右列は可視光下での細胞形態である; (A)先に化合物Aで培養し、その後更に化合物Aで培養 (B)先に化合物Aで培養し、その後、加えない培養基で培養し、分化の過程において、添加物を使用せず、培養基のみ使用 (C)先に上皮成長因子で培養し、その後、更に成長因子で培養 (D)先に上皮成長因子で培養し、その後、加えない培養基で培養(分化の過程において、添加物を使用せず、培養基のみ使用)
【図6】顕微鏡で神経細胞が誘導され分化した後に観察して得られた写真であり、そのうち、左列は蛍光励起下での写真、右列は可視光下での細胞形態である; (A)先に化合物Dと上皮成長因子を使い、これにより神経幹細胞球まで成長させ、再び化合物Dと上皮成長因子を加え、並びに分化させる (B)先に化合物Dと表皮成長因子を使い、これにより神経幹細胞球まで成長させ、再び化合物Dを加え、並びに分化させる (C)先に皮成長因子と表皮成長因子を使い、これにより神経幹細胞球まで成長させ、再び上皮成長因子を加えて、並びに分化させる (D)先に化合物Dと上皮成長因子を使い、これにより神経幹細胞球まで成長させ、成長因子を添加せず、分化の過程において、添加物を使用せず、培養基のみ使用する
【図7】神経幹細胞を30日培養した後の外観形態の写真 (A)ブランクコントロールグループ (B)化合物A添加 (C)化合物Aを加え、細胞分化の過程を経て、蛍光励起使用下での写真

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物は以下の式一の化学構造式を有し、
【化1】

そのうち、R1は水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基(isoprene)、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、イソプレン基、或いは式二或いは式三で示されるゲラニル基(geranyl)とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【化2】

【化3】

【請求項2】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR2は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R3、R4、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【請求項3】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR4は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R5、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【請求項4】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR5は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R4、R6及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【請求項5】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物中のR6は式二或いは式三に示されるゲラニル基とされ、R1、R2、R3、R4、R5及びR7 はそれぞれ独立に、水素基(−H)、水酸基(−OH)、炭素数1〜3個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、或いは、イソプレン基とされることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【請求項6】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物において、該化合物は神経幹細胞を刺激して分化させ神経元細胞となし得ることを特徴とする、神経細胞生長を促進する化合物。
【請求項7】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物を包含したことを特徴とする、培養基の添加物。
【請求項8】
請求項7記載の培養基の添加物において、該培養基は細胞培養の培養基とされることを特徴とする、培養基の添加物。
【請求項9】
請求項8記載の培養基の添加物において、該細胞は神経幹細胞とされることを特徴とする、培養基の添加物。
【請求項10】
請求項7記載の培養基の添加物において、該培養基が更に成長因子を含有したことを特徴とする、培養基の添加物。
【請求項11】
請求項10記載の培養基の添加物において、該成長因子は上皮成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、及び神経成長因子からなる群より選択されることを特徴とする、培養基の添加物。
【請求項12】
請求項1記載の神経細胞生長を促進する化合物を含有したことを特徴とする、神経幹細胞の分化を刺激、促進神経元細胞生長及発育する医薬組成物。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−269650(P2007−269650A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94911(P2006−94911)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506107726)彦臣生技藥品股▲ふん▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】