説明

移動ロボットシステム、移動ロボット制御装置、該制御装置に用いられる移動制御方法及び移動制御プログラム

【課題】高度な計算処理装置や操作者による画面の連続的な注視を必要としない移動ロボットシステムを提供する。
【解決手段】タッチパネル22は、操作者が押下することにより、表示されている画面内の任意の位置を指定可能な構成とされている。
タッチパネル22に表示されている画面内にある任意点の位置を操作者が指定(画面タッチ)したとき、任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置(目標地点P)として、ロボットの移動機構を制御して同ロボットを自動的に移動すると共に、操作者の手動による操作に対応して移動機構を制御するための融合型操作インタフェース(タッチパネル22、マニュアル操作部23)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動ロボットシステム、移動ロボット制御装置、該制御装置に用いられる移動制御方法及び移動制御プログラムに係り、特に、カメラセンサなどの撮影手段と移動機構とを有する移動ロボットの位置を目標地点に移動する場合に用いて好適な移動ロボットシステム、移動ロボット制御装置、該制御装置に用いられる移動制御方法及び移動制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像認識によりロボットの操作を行う場合、ロボットには、その位置確認などのための複数のカメラセンサを搭載する必要がある。この場合、ロボットの移動目標地点を把握するための複雑な画像処理が必要となるので、搭載されるカメラセンサに合わせた高度な計算処理装置が必要となり、装置が複雑かつ規模が大きくなるという問題点がある。また、ロボットで撮影された画像が表示されている操作装置の画面を操作者がタッチすることで同ロボットを操作する方法がある。この方法では、画面内にロボットの動作方向を示す記号が表示され、この記号を操作者が押下している間、継続して指示方向へロボットが移動するが、操作者はロボットが目標地点に移動するまで絶えず画面を注視する必要があり、操作性が悪いという問題点がある。このため、高度な計算処理装置や操作者による画面の連続的な注視を必要としないロボット制御装置が要求されている。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば、特許文献1に記載された移動ロボットシステムがある。
この移動ロボットシステムでは、移動ロボットのカメラにより撮影された周囲環境画像が同移動ロボットから携帯電話などの端末に送信され、同端末の画面上にこの画像が表示されると共に、画像上の特定位置を指定するためのポインタが表示される。ユーザがポインタを移動させ、同ポインタが端末に表示される画像のエッジから外れる位置まで移動すると、端末から移動ロボットに、外れた方向にカメラの視線方向を移動させる指令が送信される。移動ロボットでは、カメラの視線方向が変更され、新たな周囲環境画像が端末に送信される。ユーザは、この更新された画像上でポインタを移動させて床面位置を指定し、移動ロボットに送信する。移動ロボットでは、端末から指定された位置に移動する動作が行われる。
【0004】
また、特許文献2に記載された自律移動型ロボットでは、カメラを内蔵し、画像撮影時の当該自律移動型ロボットの方向、及び、内蔵しているカメラの方向及び画角が記憶され、撮影画像の中から監視対象物の映っている位置を指定することで、自動的に自律移動型ロボット及びカメラの移動制御が行われ、カメラの画面中央に監視対象物が映る。
【0005】
また、特許文献3に記載された移動ロボットの遠隔操縦のための衝突防止システムでは、移動ロボットにより、装着されたカメラで撮影した映像データが制御機器へ送信される。制御機器により、映像データが受信されて分析され、分析された結果が画面にディスプレイされて移動ロボットに制御データが送信される。移動ロボットは、受信した制御データに基づいて移動する。また、遠隔地で移動ロボットを制御する制御機器の画面に、移動ロボットと衝突の可能性がある障害物にカラーをオーバーラップさせることによって、画面サイズの小さい制御機器でも、移動ロボットを制御するユーザが効果的に障害物を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−255552号公報
【特許文献2】特開2006−139525公報
【特許文献3】特開2007−320024公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記関連技術では、次のような課題があった。
すなわち、特許文献1に記載された移動ロボットシステムでは、端末から床面位置を指定できる視線方向制御が行われ、移動ロボットは、端末から指定された位置に移動するが、この発明とはハード構成や処理方法が異なる。
【0008】
また、特許文献2に記載された自律移動型ロボットでは、ユーザが手動でロボット及びカメラの姿勢制御を行うことなく、効率的に監視対象物の映像が取得されるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なる。
【0009】
また、特許文献3に記載された衝突防止システムでは、ユーザに移動ロボットの移動に関する情報が容易に伝達され、また、ユーザが効果的に障害物を認識できるが、この発明とはハード構成や処理方法が異なる。
【0010】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、高度な計算処理装置や操作者による画面の連続的な注視を必要としない移動ロボットシステム、移動ロボット制御装置、該制御装置に用いられる移動制御方法及び移動制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットと、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置とを備えてなる移動ロボットシステムに係り、前記画像表示手段は、操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、前記移動ロボット制御装置は、前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられていることを特徴としている。
【0012】
この発明の第2の構成は、周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットに対して、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置に係り、前記画像表示手段は、操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられていることを特徴としている。
【0013】
この発明の第3の構成は、周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットに対して、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置に用いられる移動制御方法に係り、前記画像表示手段は、操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、移動制御プログラムが、コンピュータに、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作を行わせることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この発明の構成によれば、高度な計算処理装置や操作者による画面の連続的な注視を必要としない移動ロボットシステム、移動ロボット制御装置、該制御装置に用いられる移動制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態である移動ロボットシステムの要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1中のロボット制御装置21の機能を模式的に示す図である。
【図3】図2中のロボット11が稼働する環境の例を示す図である。
【図4】図2中のロボット11が稼働する環境の例を示す図である。
【図5】図4中の通路Lをカメラセンサ13により撮影しているときのタッチパネル22の画面の例を示す図である。
【図6】図5のタッチパネル22の画面中にマニュアル操作部23が表示されている状態を示す図である。
【図7】ロボット11を目標地点Pに移動するときの制御処理を説明する図である。
【図8】ロボット11を目標地点Pに移動するときの制御処理を説明する図である。
【図9】ロボット11を目標地点Pに移動するときの制御処理を説明する図である。
【図10】図6中のマニュアル操作部23の操作方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記融合型操作インタフェースは、上記画像表示手段(タッチパネル)に表示され、上記操作者が手動による操作を行うための手動操作用画面(マニュアル操作部)を有する移動ロボットシステムを実現する。
【0017】
また、上記融合型操作インタフェースは、上記移動ロボット(ロボット)が地上を移動することにより上記画像表示手段(タッチパネル)の上記画面内に地面が表示されているとき、上記手動操作用画面(マニュアル操作部)を、上記画像表示手段(タッチパネル)に表示されている上記画面内の上記地面に対応する領域以外の領域に表示する構成とされている。また、上記融合型操作インタフェースの上記手動操作用画面(マニュアル操作部)は、上記移動ロボット(ロボット)を任意の方向に移動(前後左右)又は停止させる構成とされている。また、上記融合型操作インタフェースの上記手動操作用画面(マニュアル操作部)は、上記画像表示手段(タッチパネル)の上記画面内に半透明に表示される構成とされている。
【実施形態】
【0018】
図1は、この発明の一実施形態である移動ロボットシステムの要部の電気的構成を示すブロック図である。
この形態の移動ロボットシステムは、同図に示すように、ロボット11と、移動機構12と、カメラセンサ13と、ロボット制御装置21と、タッチパネル22とから構成されている。ロボット11には、移動機構12及びカメラセンサ13が接続されている。カメラセンサ13は、周辺環境の画像を撮影するためのものである。移動機構12は、車輪や駆動モータなどで構成され、ロボット制御装置21の制御に基づいてロボット11を移動する。
【0019】
ロボット制御装置21は、ロボット11と有線接続又は無線接続(たとえば、Bluetooth など)されると共に、カメラセンサ13で撮影された周辺環境の画像を受信して表示するタッチパネル22を有し、操作者が同タッチパネル22に表示されている画面を参照して所定の操作を行うとき、移動機構12を制御する。タッチパネル22は、操作者が押下することにより、表示されている画面内の任意の位置を指定可能なものである。ロボット制御装置21は、特に、この実施形態では、タッチパネル22に表示されている画面内にある任意点の位置を操作者が指定(たとえば、画面内の目標地点を押下)したとき、同任意点に対応する実際の位置を目標位置として、移動機構12を制御してロボット11を自動的に移動すると共に、操作者の手動による操作に対応して移動機構12を制御するための融合型操作インタフェースが設けられている。このロボット制御装置21は、移動制御プログラムに基づいて機能するコンピュータで構成されている。
【0020】
図2は、図1中のロボット制御装置21の機能を模式的に示す図である。
このロボット制御装置21は、図2に示すように、カメラセンサ13で撮影された画像をタッチパネル22に出力し、操作者が同タッチパネル22の画像内の目標地点Pをタッチすることで、移動機構12を制御してロボット11を実際の目標地点Pへ移動させる。
【0021】
図3及び図4は、図2中のロボット11が稼働する環境の例を示す図である。
図3では、ロボット11の側面が示され、同ロボット11は通路L内の地面Gの上に存在し、同ロボット11の前方にはドアD52がある。図4では、ロボット11の上面が示され、カメラセンサ13により通路Lを撮影している状態が示されている。また、ロボット11の両脇が壁W,Wで遮られ、前方にドアD52がある。
【0022】
図5は、図4中の通路Lをカメラセンサ13により撮影しているときのタッチパネル22の画面の例を示す図である。
このタッチパネル22の画面では、図5に示すように、目標地点Pが画像内に納まっている。操作者がロボット11を操作する際は、タッチパネル22に表示されている目標地点Pを直接タッチし、ロボット制御装置21により、同ロボット11の現在の位置から実際の目標地点Pまでの移動量が算出され、移動が行われる。
【0023】
図6は、図5のタッチパネル22の画面中にマニュアル操作部23が表示されている状態を示す図である。
このマニュアル操作部23は、図6に示すように、タッチパネル22に表示され、操作者が手動による操作(マニュアル操作)を行うためのものである。このマニュアル操作部23は、上記融合型操作インタフェースの一部を構成している。また、上記融合型操作インタフェースは、ロボット11が地上を移動することによりタッチパネル22の画面内に地面Gが表示されているとき、マニュアル操作部23を、同タッチパネル22の画面内の地面Gに対応する領域以外の領域(たとえば、画面内の上半分の領域)に表示する。また、マニュアル操作部23は、タッチパネル22の画面内に半透明に表示され、カメラセンサ13により撮影された画像を隠さないようにしている。
【0024】
図7、図8及び図9は、ロボット11を目標地点Pに移動するときの制御処理を説明する図、及び図10が、図6中のマニュアル操作部23の操作方法を説明する図である。
これらの図を参照して、この形態のロボット制御装置21に用いられる移動制御方法の処理内容について説明する。
このロボット制御装置21では、タッチパネル22に表示されている画面内にある任意点の位置を操作者が指定(画面タッチ)したとき、移動制御プログラムが、コンピュータに、上記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置(目標地点P)として、ロボット11の移動機構12を制御して同ロボット11を自動的に移動すると共に、操作者の手動による操作(マニュアル操作)に対応して移動機構12を制御するための融合型操作を行わせる。
【0025】
すなわち、図7では、タッチパネル22に表示されている画面が示され、画面の各端部は、それぞれ、カメラセンサ13の撮像範囲の上端SU、下端SD、左端SL及び右端SRに対応している。このとき、表示されている画面を格子状に分割することで、同画面内の格子の交点の位置が決定される。この図7では、画面が、上下方向の分割線L1 ,L2 ,L3 、及び左右方向の分割線M1 ,M2 ,M3 により分割されている。なお、ここでは、一例として、画面が上下左右に4分割されているが、分割数を増減することにより、目標地点Pまでの移動量の精度を調整でき、分割数を増やすことで、目標地点Pに対する移動距離の精度が向上する。また、分割線は、画面内に可視状で表示する必要はない。目標地点Pは、画面内に表示され、その位置は、たとえば、下端SDから1つめの分割線L1 と、左端SLから1つめの分割線M1 との交点と一致している。
【0026】
図8では、カメラセンサ13の撮像範囲の下端SD、上端SU、図7で定義した上下方向の格子の分割線L1 ,L2 ,L3 、及び交点C1 、C2 が表示されている。この場合、カメラセンサ13の撮像範囲の下端SDと地面Gとが交点C1 で交わり、また、分割線L1 と地面Gとが交点C2 で交わる。図7におけるカメラセンサ13の撮像範囲の下端SDまでの前方距離は、図8におけるカメラセンサ13の撮像範囲下端SDと地面Gとの交点C1 までの距離となる。よって、目標地点Pまでの前方距離FDは、下端SDから1つめの分割線L1 と地面Gとの交点C2 までの距離となる。
【0027】
図9では、カメラセンサ13の撮像範囲の左端SL、右端SR、左右方向の格子の分割線M1 ,M2 ,M3 、目標地点Pまでの前方距離FD上の線と分割線M1 との交点C3 が表示されている。目標地点Pは、カメラセンサ13の撮像範囲の左端SLから1つめの分割線M1 上に位置するので、カメラセンサ13の中心から交点C3 までの左方距離LDが目標地点Pの左方距離となる。なお、カメラセンサ13の撮像範囲の下端SDをロボット11に搭載するカメラセンサに合わせることで、異なるカメラセンサを異なる高さに搭載したロボットに対しても、同様の動作が行われる。
【0028】
マニュアル操作部23では、図10に示すように、手動操作用のボタン31,32,33,34,35,36が扇形状に配置され、ロボット11を任意の方向に移動又は停止させる。この場合、ボタン31を押下することにより、直進命令が行われ、また、扇形の外側を押下するほど移動速度が大きくなる。また、ボタン32乃至ボタン33の領域を押下した場合、その角度によって移動機構12の左右車輪の回転数比が可変され、ボタン33の位置まで行くと、右側の車輪が停止した状態となる(シンチ旋回状態)。
【0029】
同様に、ボタン34乃至ボタン35の領域を押下した場合、その角度によって移動機構12の左右車輪の回転数比が可変され、ボタン35の位置まで行くと、左側の車輪が停止した状態となる(シンチ旋回状態)。これらの押下する部分も、位置が扇形の外側に行くほど、ロボット11全体の速度が大きくなる。また、ボタン36を押下することにより、停止命令が行われる。すなわち、画面タッチによる自動操作と画面上部の手動操作とは、動的に使い分けることができ、画面内の地面Gを指定して自動移動中にボタン36を押下すると、自動移動を中止する。一度手動操作にした場合、操作者がボタンを押下している間、ロボット11が動き続け、手を離すと停止する。また、操作者が画面下半分の地面Gの位置を押下した場合、自動移動に切り替わる。
【0030】
以上のように、この実施形態では、カメラセンサ13と移動機構12を有したロボット11に対して、複雑な画像処理を行うことなく、また、ロボット11が移動中に操作者を拘束することなく、操作者がカメラセンサ13の画像内の任意点を目標地点Pとしてロボット11を操作可能となり、さらに、操作者は、タッチパネル22上を片手で自動移動及び手動移動を共に利用することができる。
【0031】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、上記実施形態では、ロボット11は地上を移動するが、地上の移動のみではなく、移動機構12が空中や水中を移動可能な機能を有していれば、目標地点又は移動方向を指定してロボット11を操作するようにしても良い。また、カメラセンサ13の撮像範囲や表示比率が異なる場合でも、格子の分割数や間隔を調整することで、同様の作用、効果が得られる。また、タッチパネル22に代えて、たとえば、画像内の位置を指定するカーソルを有する画像出力装置を用いても、上記実施形態とほぼ同様の作用、効果が得られる。
【0032】
また、ロボット11に、たとえば超音波センサや赤外線センサのような障害物センサを組み合わせ、操作者が移動不可能な地点を目標地点Pとした場合や、カメラセンサ13では認識できなかった障害物が存在した際に、障害物との接触前にロボット11を停止又は回避させることで、障害物との衝突を防ぐことが可能となる。また、図10に示すマニュアル操作部23では、ロボット11の後進用のボタンが設けられていても良い。
【0033】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
【0034】
(付記1)
周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットと、
該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置とを備えてなる移動ロボットシステムであって、
前記画像表示手段は、
操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、
前記移動ロボット制御装置は、
前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられている移動ロボットシステム。
【0035】
(付記2)
前記融合型操作インタフェースは、
前記画像表示手段に表示され、前記操作者が手動による操作を行うための手動操作用画面を有する付記1記載の移動ロボットシステム。
【0036】
(付記3)
前記融合型操作インタフェースは、
前記移動ロボットが地上を移動することにより前記画像表示手段の前記画面内に地面が表示されているとき、前記手動操作用画面を、前記画像表示手段に表示されている前記画面内の前記地面に対応する領域以外の領域に表示する構成とされている付記2記載の移動ロボットシステム。
【0037】
(付記4)
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記移動ロボットを任意の方向に移動又は停止させる構成とされている付記2又は3記載の移動ロボットシステム。
【0038】
(付記5)
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記画像表示手段の前記画面内に半透明に表示される構成とされている付記2、3又は4記載の移動ロボットシステム。
【0039】
(付記6)
周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットに対して、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置であって、
前記画像表示手段は、
操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、
前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられている移動ロボット制御装置。
【0040】
(付記7)
前記融合型操作インタフェースは、
前記画像表示手段に表示され、前記操作者が手動による操作を行うための手動操作用画面を有する付記6記載の移動ロボット制御装置。
【0041】
(付記8)
前記融合型操作インタフェースは、
前記移動ロボットが地上を移動することにより前記画像表示手段の前記画面内に地面が表示されているとき、前記手動操作用画面を、前記画像表示手段に表示されている前記画面内の前記地面に対応する領域以外の領域に表示する構成とされている付記7記載の移動ロボット制御装置。
【0042】
(付記9)
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記移動ロボットを任意の方向に移動又は停止させる構成とされている付記7又は8記載の移動ロボット制御装置。
【0043】
(付記10)
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記画像表示手段の前記画面内に半透明に表示される構成とされている付記7、8又は9記載の移動ロボット制御装置。
【0044】
(付記11)
周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットに対して、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置に用いられる移動制御方法であって、
前記画像表示手段は、
操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、
前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、移動制御プログラムが、コンピュータに、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作を行わせる移動制御方法。
【0045】
(付記12)
コンピュータを、付記6乃至10のいずれか一に記載の移動ロボット制御装置として機能させる移動制御プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この発明は、操作者が画像表示手段に表示されている画面を参照して所定の操作を行うときに移動ロボットの移動を制御する移動ロボットシステム全般に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
11 ロボット(移動ロボット)
12 移動機構
13 カメラセンサ(撮影手段)
21 ロボット制御装置(移動ロボット制御装置)
22 タッチパネル(画像表示手段、融合型操作インタフェースの一部)
23 マニュアル操作部(融合型操作インタフェースの一部、手動操作用画面)
P 目標地点(目標位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットと、
該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置とを備えてなる移動ロボットシステムであって、
前記画像表示手段は、
操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、
前記移動ロボット制御装置は、
前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられていることを特徴とする移動ロボットシステム。
【請求項2】
前記融合型操作インタフェースは、
前記画像表示手段に表示され、前記操作者が手動による操作を行うための手動操作用画面を有することを特徴とする請求項1記載の移動ロボットシステム。
【請求項3】
前記融合型操作インタフェースは、
前記移動ロボットが地上を移動することにより前記画像表示手段の前記画面内に地面が表示されているとき、前記手動操作用画面を、前記画像表示手段に表示されている前記画面内の前記地面に対応する領域以外の領域に表示する構成とされていることを特徴とする請求項2記載の移動ロボットシステム。
【請求項4】
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記移動ロボットを任意の方向に移動又は停止させる構成とされていることを特徴とする請求項2又は3記載の移動ロボットシステム。
【請求項5】
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記画像表示手段の前記画面内に半透明に表示される構成とされていることを特徴とする請求項2、3又は4記載の移動ロボットシステム。
【請求項6】
周辺環境の画像を撮影するための撮影手段及び移動機構を有する移動ロボットに対して、該移動ロボットと有線接続又は無線接続されると共に、前記撮影手段で撮影された前記画像を受信して表示する画像表示手段を有し、操作者が所定の操作を行うとき、前記移動機構を制御する移動ロボット制御装置であって、
前記画像表示手段は、
操作者が押下することにより、表示されている前記画面内の任意の位置を指定可能な構成とされ、
前記画像表示手段に表示されている前記画面内にある任意点の位置を前記操作者が指定したとき、前記任意点の位置に対応する実際の位置を目標位置として、前記移動機構を制御して前記移動ロボットを移動すると共に、前記操作者の手動による操作に対応して前記移動機構を制御するための融合型操作インタフェースが設けられていることを特徴とする移動ロボット制御装置。
【請求項7】
前記融合型操作インタフェースは、
前記画像表示手段に表示され、前記操作者が手動による操作を行うための手動操作用画面を有することを特徴とする請求項6記載の移動ロボット制御装置。
【請求項8】
前記融合型操作インタフェースは、
前記移動ロボットが地上を移動することにより前記画像表示手段の前記画面内に地面が表示されているとき、前記手動操作用画面を、前記画像表示手段に表示されている前記画面内の前記地面に対応する領域以外の領域に表示する構成とされていることを特徴とする請求項7記載の移動ロボット制御装置。
【請求項9】
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記移動ロボットを任意の方向に移動又は停止させる構成とされていることを特徴とする請求項7又は8記載の移動ロボット制御装置。
【請求項10】
前記融合型操作インタフェースの前記手動操作用画面は、
前記画像表示手段の前記画面内に半透明に表示される構成とされていることを特徴とする請求項7、8又は9記載の移動ロボット制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179682(P2012−179682A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44511(P2011−44511)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】