移動体の位置把握方法および装置
【課題】 区画されたエリアの領域に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握することができる方法および装置を提供する。
【解決手段】 読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置情報とともに記憶される。読取装置のX軸およびY軸方向の移動に対してエリアの前側に位置する前側辺と後側に位置する後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に夫々読取られるエリアが対象エリアとされる。読取装置が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に、読取装置に読取られた目標タグが候補目標タグとして選別される。読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグが対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグとして特定される。
【解決手段】 読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置情報とともに記憶される。読取装置のX軸およびY軸方向の移動に対してエリアの前側に位置する前側辺と後側に位置する後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に夫々読取られるエリアが対象エリアとされる。読取装置が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に、読取装置に読取られた目標タグが候補目標タグとして選別される。読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグが対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグとして特定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画されたエリアの領域に位置する移動体を把握する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産ラインに投入される人員は、生産する品種、必要な生産数、納入までの時間等により時々刻々変化する。この際に生じる生産ライン毎の人員の過不足は、生産ライン間の作業者の渡り歩きや、リリーフマンの投入、更には休憩時間・定時時間外の作業者の投入により対応しているので、各生産ラインにおいて作業者の出入が頻繁に発生する。生産ラインにおいては、生産実績情報を収集する必要があるので、従来、生産ラインに投入された作業者が、氏名、生産ライン名、作業時間などを手入力していた。しかしながら、作業者の出入は頻繁に発生するので、作業者にこの手入力を徹底するのは困難であり、入力忘れ・遅れが発生する。このため人員データの精度が悪くなり、人員データに基づいて算出する工数や労務費が現状を反映できなくなる場合があった。
【0003】
工場などの構内において、作業者が手入力することなく、物品や作業者等の移動体の位置を自動的に把握するシステムが特許文献1に記載されている。このシステムでは、移動体に担持されたタグの識別符号を読取る読取装置が、生産設備や柱などレイアウトのポイントとなる箇所に設置され、レイアウト上の各位置と対応付けされている。各読取装置の読取範囲は、レイアウト全体をカバーするように設定され、各読取装置の読取範囲内に位置する移動体は、各読取装置によりタグの識別符号を読取られ、この識別符号を読取った読取装置の設置位置に位置するとして画面上のレイアウトに表示される。
【0004】
また、特許文献2には、識別符号を発信するタグを構内の既知位置に一定間隔で設置し、移動体にタグの識別符号を読取る読取装置を取付け、読取装置が読取ったタグの識別符号を移動体の識別符号とともに無線機により管理局に送信し、管理局では無線機により受信したタグと移動体との識別符号に基づいて各移動体の位置を把握する移動体の位置検出システムが開示されている。
【特許文献1】特開平11−249778号公報(第5乃至7頁、図1,2)
【特許文献2】特開平7−55927号公報(第3,4頁、図1,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が生産ラインに頻繁に出入する傾向は、多品種少量生産が進むにつれて増大し、各生産ラインの人員を正確にかつ安価に自動的に把握することが今後さらに望まれる。しかしながら、上記特許文献1に記載されたシステムでは、生産ラインが多くなるにつれて多数の読取装置が必要であり、システムがコスト高になってしまう。また、各読取装置の読取範囲を他の読取装置の読取範囲と干渉することなく、かつ漏れなく設定することが困難であり、また、一つのタグの識別符号が複数の読取装置により読取られた場合の区分けができない問題がある。これに対処するために読取装置に指向性を持たせて読取範囲を狭くすると、高価な読取装置が更に多数必要となる。また、移動体に読取装置を取付けることは、移動体によっては物理的に不可能であり、コスト面でも不利である。
【0006】
本発明は係る問題を解消するためになされたもので、区画されたエリアの領域に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握することができる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、全体平面上に区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する方法にして、前記移動体を特定する識別符号が付された目標タグを各移動体に担持させ、前記各エリアを前記全体平面に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形状とし、前記各エリアおよびエリアの各隅を特定する符号が付されたエリアタグを前記各エリアの4隅に配備し、一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置を、前記X軸、Y軸方向に各読取位置毎に移動させ、前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶し、前記読取タグデータに含まれるエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別し、前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定することである。
【0008】
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることである。
【0009】
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることである。
【0010】
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に間歇的に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、前記読取装置が各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶して読取タグデータを作成することである。
【0011】
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られたエリアを前記読取タグデータから検索して対象エリアとし、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことである。
【0012】
請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録し、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことである。
【0013】
請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、全体平面内において区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する装置にして、前記各移動体に担持され移動体を特定する識別符号が付された目標タグと、前記全体平面において互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形に区画された複数のエリアの各4隅に配備され、各エリアおよびエリアの各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグと、一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置と、該読取装置を前記X軸、Y軸方向に各読取位置に移動させる移動装置と、前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに記憶する読取タグデータ記憶手段と、前記読取タグデータ記憶手段に記憶されたエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する候補目標タグ選別手段と、前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグ選別手段により候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する移動体確定手段とを設けたことである。
【0014】
請求項8に記載の発明の構成上の特徴は、請求項7において、前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、前記移動装置は前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、前記候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで前記読取装置が移動される間に、前記読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別することである。
【0015】
請求項9に記載の発明の構成上の特徴は、請求項7または8において、前記読取装置は前記エリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を各読取位置で無線により受信して前記読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、前記移動装置は、前記読取装置が前記エリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で前記読取タグデータ記憶手段に送信することである。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶される。読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に、読取装置に読取られた目標タグが候補目標タグとして選別される。読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグが対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグとして確定される。
【0017】
これにより、区画されたエリアの領域に位置する移動体を自動的に把握するシステムにおいて、高価な読取装置の数量を少なくすることができ、かつ複数の読取装置の読取範囲が干渉することなく、エリア内に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握することができる。
【0018】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に読取装置が位置すると、読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとするので、簡単な方法で対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを選別することができる。
【0019】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に読取装置が位置すると、読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとするので、簡単な方法で対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを選別することができる。
【0020】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、エリアの各辺をこの仮想直線上に位置させている。読取装置は読取範囲の境界線が仮想直線上に停止するようにX軸、Y軸方向に間歇的に移動され、各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置の情報とともに記憶される。
【0021】
これにより、読取装置が各タグの識別符号を正確に読取ることができるとともに、対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを正確に選別することができる。
【0022】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に読取られたエリアを読取タグデータから検索して対象エリアとしたので、候補目標タグの選別および目標タグの確定を対象エリアのみについて容易かつ迅速に行うことができる。
【0023】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録しているので、候補目標タグの選別および目標タグの確定を対象エリアのみについて容易かつ迅速に行うことができる。
【0024】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、読取タグデータ記憶手段は、読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶する。候補目標タグ選別手段は、読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する。移動体確定手段は、読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグを対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する。
【0025】
これにより、高価な読取装置の数量を少なくするとともに、複数の読取装置の読取範囲が干渉することなく、エリア内に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握可能な移動体の位置把握装置を提供することができる。
【0026】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、エリアの各辺をこの仮想直線上に位置させている。移動装置は、読取範囲の境界線が読取位置で仮想直線上に位置するように読取装置をX軸、Y軸方向に間歇的に移動させる。候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで読取装置が移動される間に、読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する。
【0027】
これにより、読取装置が各タグの識別符号を正確に読取ることができるとともに、対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する目標タグを候補目標タグとして容易に選別することができる。
【0028】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、読取装置はエリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を無線により受信して読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、移動装置は読取装置がエリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で読取タグデータ記憶手段に送信するので、移動する読取装置からタグの識別符号を読取位置の情報と関連付けて構内配線することなく読取タグデータ記憶手段に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る移動体の位置把握方法および装置を工場の生産ライン内に位置する作業者を把握する装置に適用した実施の形態について図面に基づいて説明する。図1,2において、移動体の位置把握装置10は、工場のフロア11に複数の生産ライン12(12a,12b)が配設され、各生産ライン12に作業者13(13a,13b)が配置され、作業者13は移動体として目標タグ14(14a,14b)を担持している。工場フロア11である全体平面は、各生産ライン12において作業者13が通常作業を行うために移動する範囲を囲むように複数のエリア15(15a,15b)に区画されている。各エリア15は工場フロア11に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺H(Hu1,Hu2,Hv1,Hv2)を有する矩形に区画されている。各エリア15の4隅には、各エリア15および各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグ16(16a1〜a4,16b1〜16b4)が配備されている。
【0030】
工場フロア11の上方にはX軸およびY軸方向に延在するレール17が敷設され、各レール17には読取装置18が夫々装架され、移動装置19によりX軸、Y軸方向に間歇的に移動されるようになっている。各読取装置18は、無指向性のアンテナの交信エリアである所定直径の円形の読取範囲20を有し、この読取範囲20内に位置するタグの識別符号を読取るようになっている。読取装置18は読取位置P(Px0,Px1・・・),(Py0,Py1・・・)で停止して、読取範囲20内の目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取り、これら識別符号をコンピュータ21に無線機22により送信する。工場フロア11はX軸、Y軸方向に小間隔Lx、Lyで格子状に延在する仮想直線23により分割され、各エリア15の各辺Hは仮想直線23上に位置されている。移動装置19は読取装置18をX軸、Y軸方向に各読取位置Pに間歇的に移動させ、各読取位置Pで読取範囲20の境界線のY軸、X軸方向部分を仮想直線23上に位置させる。移動装置19は、読取装置18がエリアタグおよび目標タグの識別符号を読取った各読取位置Pの情報を無線機22でコンピュータ21に送信する。
【0031】
移動装置19は、読取装置18が載置された台車24が車輪を介してレール17に装架され、車輪がモータにより回転駆動されてレール17上を移動される。移動装置19には、位置センサ25が各レール17に沿って各読取位置Pに対応して設けられ、各位置センサ25の検出信号はエンコーダ26により2進コード化され、移動制御装置27の端子T1〜T4に読取位置の情報として入力される。移動制御装置27はモータを起動して台車24を移動させ、位置センサ25が台車24により作動されるとモータを停止して台車24を読取位置Pに所定時間停止させ、所定時間経過後に台車24を移動させることを繰返す。このように台車24および読取装置18はX軸、Y軸方向に間歇的に移動し、レール17の各端で移動方向を反転して往復動を繰返す。移動制御装置27にはスイッチSW1〜SW4が設けられ、台車24に載置された読取装置18の識別符号がスイッチSW1〜SW4をオン・オフすることによりセットされる。移動制御装置27は台車24が読取位置Pに移動して位置センサ25を作動すると、台車24を停止させるとともに、位置センサ25により検出されエンコーダ26により2進コード化された読取位置の情報と、スイッチSW1〜SW4にセットされた読取装置18の識別符号とを無線機22によりコンピュータ21にRS232Cなどの入出力ポートを介して入力する。
【0032】
目標タグ14およびエリアタグ16は、各々の識別符号を無線で発信する電池内蔵型電子タグであり、タグの識別符号を読取る読取装置18は無指向性のアンテナを有し、交信エリアである所定直径の円形の読取範囲20内に位置するタグの識別符号を受信して読取ることができる。目標タグ14、エリアタグ16および読取装置18は、例えばRF CODE社製のSpiderIIIAを用いるとよい。読取装置18は無線機22を介してコンピュータ21と交信し、コンピュータ21から送信された読取指令に応じて読取範囲20内に位置する目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取り、自己の識別符号とともにコンピュータ21に送信する。
【0033】
次に、エリア15の領域に位置する移動体13を同定するロジックについて説明する。符号15kを付されたエリア15k内に符号13kを付された作業者13kが配置されているとすると、作業者13kは、符号13kと対応する識別符号14kを付された目標タグ14kを担持している。エリア15k の4隅には、エリアタグ16が配備され、各エリアタグ16にはエリア15kおよび各隅を示す識別符号16k1,16k2,16k3,16k4が夫々付されている。読取装置18がY軸方向に移動されるとき、読取装置18の移動に対してエリア15kの前側に位置する前側辺Hu1の両端に配備される両端エリアタグ16の識別符号は(16k1,16k2)とされ、後側に位置する後側辺Hu2の両端に配備される両端エリアタグ16の識別符号は(16k3,16k4)とされており、読取装置18がX軸方向に移動されるときは、前側辺Hv1の両端に配備された両端エリアタグ16の識別符号は(16k1,16k3)となり、後側辺Hv2の両端に配備された両端エリアタグ16の識別符号は(16k2,16k4)となる。目標タグ14、エリアタグ16を個別に示す場合、目標タグ14k、エリアタグ16k1〜16k4のように識別符号を参照番号として付して各目標タグ、エリアタグを表す。
【0034】
例えば、図1において読取装置18が、Y軸レール17上を図1において上から下に向かって間歇的に移動され、各読取位置Py0〜Py6で、円形の読取範囲20内に位置する目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取ると、各読取位置Py0〜Py6で読取られるエリアタグ16、目標タグ14および読取られなくなるエリアタグ16、目標タグ14は次のようになる。
【0035】
Py0の初期状態では、
・ 両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16a3,16a4)および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が読取られ、
・ 目標タグ14a,14bが読取られる。
Py1では、
・読取装置18のY軸方向移動に対してエリア15aの前側の前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16a1,16a2が読取られなくなる。
Py2では、
・ 目標タグ14aが読取られなくなる。
Py3では、
・ エリア15aの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16a3,16a4が読取られなくなる。
Py4では、
・ 変化がない。
Py5では、
・ エリア15bの前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16b1,16b2が読取られなくなる。
Py6では、
・ エリア15bの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16b3,16b4が読取られなくなる。
・ 目標タグ14bが読取られなくなる。
【0036】
対象エリア15aの前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16a1,16a2が読取装置18により読取られる読取位置Py0に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16a1,16a2が読取られなくなった読取位置Py1に読取装置18が位置すると、読取装置18の読取範囲20の境界線は対象エリア15aの前側辺Hu1の下方近傍位置に位置する。対象エリア15aの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16a3,16a4が読取装置18により読取られる読取位置Py2に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16a3,16a4が読取られなくなった読取位置Py3に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線は対象エリア15aの後側辺Hu2の下方近傍位置に位置する。読取装置18は上から下に向かって移動され、目標タグ14aは、読取位置Py1とPy3との間のPy2で読取られなくなるので、目標タグ14aはエリア15aの前側辺Hu1と後側辺Hu2との間に位置する候補目標タグとして選別される。
【0037】
対象エリア15bの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16b3,16b4が読取装置18により読取られる読取位置Py5に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16b3,16b4が読取られなくなった読取位置Py6に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線は対象エリア15bの後側辺Hu2の下方近傍位置に位置する。図3に示す場合のように目標タグ14bがエリアタグ16b3,16b4と読取位置Py6において同じタイミングで読取られなくなると、何ら制約を設けなければ、目標タグ14bは対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置するのか、下に位置するのか判断できない。
【0038】
図4に示すように、読取装置18を移動装置19により各読取位置Pに停止させながら間歇的に移動させ、各読取位置Pで読取範囲20の境界線のX軸方向部分をX軸方向に延在する仮想直線23上に位置させるようにすると、読取位置Pynで読取られていた目標タグ14bがエリアタグ16b3,16b4と同じタイミングで読取位置Pyn+1で読取られなくなった場合、目標タグ14bが対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置する候補目標タグとして選別できる。しかし、このようにすると図5の斜線で示す範囲に位置する目標タグ14bが、対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置すると判断される。しかしながら、エリア15の各辺Hを生産ライン12の機械が占有する部分など作業者13が入らない場所に設定し、エリア15の辺Hの近傍に目標タグ14が存在しないようにすると、斜線範囲の目標タグ14が対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置すると誤判断されることは通常では発生しない。
【0039】
X軸方向においても同様に、読取装置18をX軸方向に延在するレール17上を図1において左右に間歇的に移動させることにより、読取装置18のX軸方向移動に対して対象エリア15a,15bの前側に位置する前側辺Hv1と後側に位置する後側辺Hv2との間に位置する目標タグ14a,14bを候補目標タグとして選別できる。各読取装置18のY軸およびX軸方向の両移動のいずれにおいても、対象エリア15a,15bの領域に位置する候補目標タグとして選別された目標タグ14a,14bが対象エリア15a,15bの領域に位置する作業者13の目標タグ14a,14bとして確定される。
【0040】
エリア15の辺Hの近傍に位置すると判断された目標タグ14が、エリア15に対応する生産ライン12に配置された作業者が担持する目標タグ14と一致するようにするためには、矩形のエリア15の4隅に配備されるエリアタグ16の位置を読取装置18の円形の読取範囲20の影響を加味して調整し、或いは格子状の仮想直線23の間隔を小さくして読取装置18の読取位置である読取位置Pの間隔を狭くするとよい。
【0041】
コンピュータ21はCPU、メインメモリ、入出力ポートおよびハードディスクなどで構成され、読取装置18および移動制御装置27が無線機22を介してRS232Cなどの入出力ポートに接続されている。読取装置18はエリアタグ16および目標タグ14が発信する識別符号を各読取位置Pで無線により受信してコンピュータ21の入力ポートに無線機22で送信し、移動装置19は、読取装置18がエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を受信した各読取位置Pの情報を無線機22でコンピュータ21の入力ポートに送信する。28は読取タグデータ記憶手段で、コンピュータ21の入力ポートおよびハードディスク等で構成され、読取装置18が各読取位置Pで読取ったエリアタグ16および目標タグ14の識別符号、および移動装置19が送信する各読取位置の情報を無線機22を介して入力され、読取装置18が各読取位置Pで読取ったエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を各読取位置Pの情報とともに記憶する。コンピュータ21には、上記ロジックに基づいてエリア15の領域に位置する移動体13を把握する各種プログラムが記憶されている。
【0042】
次に、本実施の形態に係る移動体の位置把握方法および装置の作動を説明する。読取装置18をX軸およびY軸方向に同様に移動させて、対象エリアの領域に位置する目標タグの候補目標タグを選別するので、先ず読取装置18をY軸方向に移動させて候補目標タグを選別する場合について詳細に説明する。
【0043】
コンピュータ21は図6に示すタグ識別符号収集プログラムを実行し、移動装置19のモータが起動されて台車24がレール17上をY軸方向に移動され、位置センサ25が台車24により作動されると、モータが停止されて台車24に載置された読取装置18が読取位置Py0に停止される(ステップS1)。位置センサ25のオン信号がエンコーダ26により2進コード化された読取位置の情報Py0、および移動制御装置27のスイッチSW1〜SW4にセットされた読取装置18の識別符号が無線機22を介してコンピュータ21に入力される(ステップS2)。コンピュータ21は、読取装置18にタグの識別符号の読取りを指令し、読取装置18は読取範囲20に位置する目標タグ14a,14bおよびエリアタグ16a1,16a2,16a3,16a4および16b1,16b2,16b3,16b4を読取る(ステップS3)。読取装置18は、読取ったタグの識別符号を自己の識別符号とともにコンピュータ21に無線機22を介して入力する(ステップS4)。このように所定時間の経過毎に、読取装置18が読取位置Py0,Py1・・・に順次移動して停止され、各読取位置Pynで目標タグ14およびエリアタグ16が読取られ、読取装置18がY軸方向に延在するレール17の一端から他端まで移動される間に、コンピュータ21は各読取位置Pynで入力されたエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取位置毎に記憶し、図7に示す読取タグデータ29を作成する(ステップS5,S6)。
【0044】
図8に示す目標タグ処理プログラムが実行され、各読取位置Pynで読取られた目標タグ14の識別符号14a,14bが、図9に示す目標タグテーブル30の読取タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS11)。全読取位置について、読取位置Pyn-1で存在していてPynで消えた目標タグ14が検索され、目標タグテーブル30の消失目標タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS12〜S14)。
【0045】
図10に示すエリアタグ処理プログラムが実行され、読取装置18がレール17の一端から他端までY軸方向に移動される間に、このY軸方向移動に対してエリア15の前側に位置する前側辺Hu1および後側に位置する後側辺Hu2の各両端に配備された両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16a3,16a4)および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が読取装置18の移動に連れて読取装置18に読取られたエリア15a,15bが対象エリアとして読取タグデータ29から検索される(ステップS21)。ステップS21は、エリア15の前側辺Hu1と後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグが読取装置18の移動に連れて読取装置18に夫々読取られるエリアを対象エリアとする対象エリア選定手段を構成している。各読取位置Pynで読取られた対象エリア15a,15bの両端エリアタグの識別符号(16a1,16a2)、(16a3,16a4)、および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が、図11に示すエリアタグテーブル31の読取タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS22)。全読取位置Pについて、読取位置Pyn-1で存在していてPynで消えたエリアタグ16が検索され、エリアタグテーブル31の消失エリアタグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS23〜S25)。
【0046】
読取装置18はタグ識別符号収集プログラムによりX軸方向に同様に移動され、各読取位置Pxnでエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取ってコンピュータ21に送信し、コンピュータ21は各読取位置Pxnで入力されたエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取位置毎に記憶し、X軸方向移動に関する読取タグデータを作成する。コンピュータ21は目標タグ処理プログラム、エリアタグ処理プログラムを実行し、X軸方向移動に関する目標タグテーブルおよびエリアタグテーブルを同様に作成する。
【0047】
次に、図12に示す目標タグ確定プログラムが実行され、読取装置18のY軸方向移動に対する各対象エリア15a,15bの前側辺Hu1、および後側辺Hu2の両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16b1,16b2)、および(16a3,16a4)、(16b3,16b4)が図13に示す候補目標タグテーブル32の両端エリアタグ欄に対象エリア別に記入され(ステップS31)、各両端エリアタグが消失した読取位置Py1,Py3およびPy5,Py6がエリアタグテーブル31から読み出され、候補目標タグテーブル32の両端エリアタグ消失読取位置欄に消失した各両端エリアタグに対応して記入される(ステップS32)。対象エリア15a,15bの前側辺Hu1と後側辺Hu2の各両端エリアタグが消失した読取位置の間Py1〜Py3,Py5〜Py6で消失した目標タグ14a,14bが目標タグテーブル30から検索され、これが候補目標タグ14a,14bとして選別され候補目標タグテーブル32の候補目標タグ欄に記入される(ステップS33)。
【0048】
読取装置18をX軸方向に移動させた場合も同様に対象エリア15a,15bについて候補目標タグ14a,14bが選別される(ステップS34)。対象エリア15a,15bの各々について、読取装置18のY軸およびX軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグ欄に記入された候補目標タグ14a,14bが各対象エリア15a,15bの領域に位置する移動体の目標タグ14a、14bとして確定される(ステップS35)。
【0049】
上記実施の形態では、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16の両方が読取装置18により読取られていた直後に、両端エリアタグ16の両方が読取られなくなった読取位置に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺の近傍位置に位置するとしているが、両端エリアタグ16の両方が読取装置18により読取られていた直後に、該両端エリアタグ16の一方が読取られなくなった読取位置に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺の近傍位置に位置するとしてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、読取範囲20内に位置する目標タグ14および対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16が、読取装置18の移動に連れて読取範囲20外に移動するタイミングに基づいて目標タグ14が前側辺と後側辺との間に位置するか否か判定しているが、読取範囲20外に位置する目標タグ14および対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16が、読取装置18の移動に連れて読取範囲20内に入るタイミングに基づいて目標タグ14が対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置するか否か判定するようにしてもよい。
【0051】
上記実施の形態では、読取装置18のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリア15の前側に位置する前側辺Hu1,Hv1および後側に位置する後側辺Hu2,Hv2の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置18の移動に連れて読取装置18に読取られたエリアを読取タグデータから検索して対象エリアとしているが、前側辺Hu1,Hv1および後側辺Hu2,Hv2の各両端に配備された両端エリアタグが、読取装置18のX軸およびY軸方向の移動において読取装置18に読取られるエリア15を対象エリアとしてコンピュータ12に予め登録しておいてもよい。
【0052】
また、読取装置18の読取範囲20の半径を可変とし、コンピュータ12から無線機22を介して読取装置18に読取範囲20の半径を指示するようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、X軸、Y軸方向に夫々1個の読取装置18を移動させるようにしているが、全体平面を小間隔で格子状に区画するX軸、Y軸方向の複数の仮想直線上にそれぞれ読取装置18を設置し、X軸、Y軸方向に移動させるようにしてもよい。これにより、より多くの対象エリアについて、移動体の位置を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】移動体の位置把握装置を示す概略図。
【図2】読取装置、移動装置およびコンピュータの関係を示す図。
【図3】読取範囲の境界線をエリアの2辺の間に位置させた場合の説明図。
【図4】読取範囲の境界線をエリアの辺上に位置させた場合の説明図。
【図5】読取範囲の境界線をエリアの辺上に位置させた場合の不具合を説明する図。
【図6】タグ識別符号収集プログラムを示す図。
【図7】読取タグデータを示す図。
【図8】目標タグ処理プログラムを示す図。
【図9】目標タグテーブルを示す図。
【図10】エリアタグ処理プログラムを示す図。
【図11】両端エリアタグテーブルを示す図。
【図12】目標タグ確定プログラムを示す図。
【図13】候補目標タグテーブルを示す図。
【符号の説明】
【0055】
10…移動体の位置把握装置、11…工場フロア(全体平面)、12a,12b…生産ライン、13a,13b…作業者(移動体)、14a,14b…目標タグ、15a,15b…エリア、16a1〜16a4,16b1〜16b4…エリアタグ、17…レール(移動経路)、18…読取装置、19…移動装置、20…読取範囲、21…コンピュータ、22…無線機、23…仮想直線、24…台車、25…位置センサ、26…エンコーダ、27…移動制御装置、28…読取タグデータ記憶手段、29…読取タグデータ、30…目標タグテーブル、31…エリアタグテーブル、32…候補目標タグテーブル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画されたエリアの領域に位置する移動体を把握する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産ラインに投入される人員は、生産する品種、必要な生産数、納入までの時間等により時々刻々変化する。この際に生じる生産ライン毎の人員の過不足は、生産ライン間の作業者の渡り歩きや、リリーフマンの投入、更には休憩時間・定時時間外の作業者の投入により対応しているので、各生産ラインにおいて作業者の出入が頻繁に発生する。生産ラインにおいては、生産実績情報を収集する必要があるので、従来、生産ラインに投入された作業者が、氏名、生産ライン名、作業時間などを手入力していた。しかしながら、作業者の出入は頻繁に発生するので、作業者にこの手入力を徹底するのは困難であり、入力忘れ・遅れが発生する。このため人員データの精度が悪くなり、人員データに基づいて算出する工数や労務費が現状を反映できなくなる場合があった。
【0003】
工場などの構内において、作業者が手入力することなく、物品や作業者等の移動体の位置を自動的に把握するシステムが特許文献1に記載されている。このシステムでは、移動体に担持されたタグの識別符号を読取る読取装置が、生産設備や柱などレイアウトのポイントとなる箇所に設置され、レイアウト上の各位置と対応付けされている。各読取装置の読取範囲は、レイアウト全体をカバーするように設定され、各読取装置の読取範囲内に位置する移動体は、各読取装置によりタグの識別符号を読取られ、この識別符号を読取った読取装置の設置位置に位置するとして画面上のレイアウトに表示される。
【0004】
また、特許文献2には、識別符号を発信するタグを構内の既知位置に一定間隔で設置し、移動体にタグの識別符号を読取る読取装置を取付け、読取装置が読取ったタグの識別符号を移動体の識別符号とともに無線機により管理局に送信し、管理局では無線機により受信したタグと移動体との識別符号に基づいて各移動体の位置を把握する移動体の位置検出システムが開示されている。
【特許文献1】特開平11−249778号公報(第5乃至7頁、図1,2)
【特許文献2】特開平7−55927号公報(第3,4頁、図1,4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業者が生産ラインに頻繁に出入する傾向は、多品種少量生産が進むにつれて増大し、各生産ラインの人員を正確にかつ安価に自動的に把握することが今後さらに望まれる。しかしながら、上記特許文献1に記載されたシステムでは、生産ラインが多くなるにつれて多数の読取装置が必要であり、システムがコスト高になってしまう。また、各読取装置の読取範囲を他の読取装置の読取範囲と干渉することなく、かつ漏れなく設定することが困難であり、また、一つのタグの識別符号が複数の読取装置により読取られた場合の区分けができない問題がある。これに対処するために読取装置に指向性を持たせて読取範囲を狭くすると、高価な読取装置が更に多数必要となる。また、移動体に読取装置を取付けることは、移動体によっては物理的に不可能であり、コスト面でも不利である。
【0006】
本発明は係る問題を解消するためになされたもので、区画されたエリアの領域に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握することができる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、全体平面上に区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する方法にして、前記移動体を特定する識別符号が付された目標タグを各移動体に担持させ、前記各エリアを前記全体平面に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形状とし、前記各エリアおよびエリアの各隅を特定する符号が付されたエリアタグを前記各エリアの4隅に配備し、一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置を、前記X軸、Y軸方向に各読取位置毎に移動させ、前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶し、前記読取タグデータに含まれるエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別し、前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定することである。
【0008】
請求項2に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることである。
【0009】
請求項3に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることである。
【0010】
請求項4に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に間歇的に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、前記読取装置が各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶して読取タグデータを作成することである。
【0011】
請求項5に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られたエリアを前記読取タグデータから検索して対象エリアとし、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことである。
【0012】
請求項6に記載の発明の構成上の特徴は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録し、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことである。
【0013】
請求項7に記載の発明の構成上の特徴は、全体平面内において区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する装置にして、前記各移動体に担持され移動体を特定する識別符号が付された目標タグと、前記全体平面において互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形に区画された複数のエリアの各4隅に配備され、各エリアおよびエリアの各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグと、一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置と、該読取装置を前記X軸、Y軸方向に各読取位置に移動させる移動装置と、前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに記憶する読取タグデータ記憶手段と、前記読取タグデータ記憶手段に記憶されたエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する候補目標タグ選別手段と、前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグ選別手段により候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する移動体確定手段とを設けたことである。
【0014】
請求項8に記載の発明の構成上の特徴は、請求項7において、前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、前記移動装置は前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、前記候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで前記読取装置が移動される間に、前記読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別することである。
【0015】
請求項9に記載の発明の構成上の特徴は、請求項7または8において、前記読取装置は前記エリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を各読取位置で無線により受信して前記読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、前記移動装置は、前記読取装置が前記エリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で前記読取タグデータ記憶手段に送信することである。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶される。読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に、読取装置に読取られた目標タグが候補目標タグとして選別される。読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグが対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグとして確定される。
【0017】
これにより、区画されたエリアの領域に位置する移動体を自動的に把握するシステムにおいて、高価な読取装置の数量を少なくすることができ、かつ複数の読取装置の読取範囲が干渉することなく、エリア内に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握することができる。
【0018】
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に読取装置が位置すると、読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとするので、簡単な方法で対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを選別することができる。
【0019】
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に読取装置が位置すると、読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとするので、簡単な方法で対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを選別することができる。
【0020】
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、エリアの各辺をこの仮想直線上に位置させている。読取装置は読取範囲の境界線が仮想直線上に停止するようにX軸、Y軸方向に間歇的に移動され、各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号が各読取位置の情報とともに記憶される。
【0021】
これにより、読取装置が各タグの識別符号を正確に読取ることができるとともに、対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する候補目標タグを正確に選別することができる。
【0022】
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に読取られたエリアを読取タグデータから検索して対象エリアとしたので、候補目標タグの選別および目標タグの確定を対象エリアのみについて容易かつ迅速に行うことができる。
【0023】
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置の移動に連れて読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録しているので、候補目標タグの選別および目標タグの確定を対象エリアのみについて容易かつ迅速に行うことができる。
【0024】
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、読取タグデータ記憶手段は、読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶する。候補目標タグ選別手段は、読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する。移動体確定手段は、読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグとして選別された目標タグを対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する。
【0025】
これにより、高価な読取装置の数量を少なくするとともに、複数の読取装置の読取範囲が干渉することなく、エリア内に位置する移動体を自動的に正確、かつ低コストで把握可能な移動体の位置把握装置を提供することができる。
【0026】
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、エリアの各辺をこの仮想直線上に位置させている。移動装置は、読取範囲の境界線が読取位置で仮想直線上に位置するように読取装置をX軸、Y軸方向に間歇的に移動させる。候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで読取装置が移動される間に、読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する。
【0027】
これにより、読取装置が各タグの識別符号を正確に読取ることができるとともに、対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置する目標タグを候補目標タグとして容易に選別することができる。
【0028】
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、読取装置はエリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を無線により受信して読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、移動装置は読取装置がエリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で読取タグデータ記憶手段に送信するので、移動する読取装置からタグの識別符号を読取位置の情報と関連付けて構内配線することなく読取タグデータ記憶手段に送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る移動体の位置把握方法および装置を工場の生産ライン内に位置する作業者を把握する装置に適用した実施の形態について図面に基づいて説明する。図1,2において、移動体の位置把握装置10は、工場のフロア11に複数の生産ライン12(12a,12b)が配設され、各生産ライン12に作業者13(13a,13b)が配置され、作業者13は移動体として目標タグ14(14a,14b)を担持している。工場フロア11である全体平面は、各生産ライン12において作業者13が通常作業を行うために移動する範囲を囲むように複数のエリア15(15a,15b)に区画されている。各エリア15は工場フロア11に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺H(Hu1,Hu2,Hv1,Hv2)を有する矩形に区画されている。各エリア15の4隅には、各エリア15および各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグ16(16a1〜a4,16b1〜16b4)が配備されている。
【0030】
工場フロア11の上方にはX軸およびY軸方向に延在するレール17が敷設され、各レール17には読取装置18が夫々装架され、移動装置19によりX軸、Y軸方向に間歇的に移動されるようになっている。各読取装置18は、無指向性のアンテナの交信エリアである所定直径の円形の読取範囲20を有し、この読取範囲20内に位置するタグの識別符号を読取るようになっている。読取装置18は読取位置P(Px0,Px1・・・),(Py0,Py1・・・)で停止して、読取範囲20内の目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取り、これら識別符号をコンピュータ21に無線機22により送信する。工場フロア11はX軸、Y軸方向に小間隔Lx、Lyで格子状に延在する仮想直線23により分割され、各エリア15の各辺Hは仮想直線23上に位置されている。移動装置19は読取装置18をX軸、Y軸方向に各読取位置Pに間歇的に移動させ、各読取位置Pで読取範囲20の境界線のY軸、X軸方向部分を仮想直線23上に位置させる。移動装置19は、読取装置18がエリアタグおよび目標タグの識別符号を読取った各読取位置Pの情報を無線機22でコンピュータ21に送信する。
【0031】
移動装置19は、読取装置18が載置された台車24が車輪を介してレール17に装架され、車輪がモータにより回転駆動されてレール17上を移動される。移動装置19には、位置センサ25が各レール17に沿って各読取位置Pに対応して設けられ、各位置センサ25の検出信号はエンコーダ26により2進コード化され、移動制御装置27の端子T1〜T4に読取位置の情報として入力される。移動制御装置27はモータを起動して台車24を移動させ、位置センサ25が台車24により作動されるとモータを停止して台車24を読取位置Pに所定時間停止させ、所定時間経過後に台車24を移動させることを繰返す。このように台車24および読取装置18はX軸、Y軸方向に間歇的に移動し、レール17の各端で移動方向を反転して往復動を繰返す。移動制御装置27にはスイッチSW1〜SW4が設けられ、台車24に載置された読取装置18の識別符号がスイッチSW1〜SW4をオン・オフすることによりセットされる。移動制御装置27は台車24が読取位置Pに移動して位置センサ25を作動すると、台車24を停止させるとともに、位置センサ25により検出されエンコーダ26により2進コード化された読取位置の情報と、スイッチSW1〜SW4にセットされた読取装置18の識別符号とを無線機22によりコンピュータ21にRS232Cなどの入出力ポートを介して入力する。
【0032】
目標タグ14およびエリアタグ16は、各々の識別符号を無線で発信する電池内蔵型電子タグであり、タグの識別符号を読取る読取装置18は無指向性のアンテナを有し、交信エリアである所定直径の円形の読取範囲20内に位置するタグの識別符号を受信して読取ることができる。目標タグ14、エリアタグ16および読取装置18は、例えばRF CODE社製のSpiderIIIAを用いるとよい。読取装置18は無線機22を介してコンピュータ21と交信し、コンピュータ21から送信された読取指令に応じて読取範囲20内に位置する目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取り、自己の識別符号とともにコンピュータ21に送信する。
【0033】
次に、エリア15の領域に位置する移動体13を同定するロジックについて説明する。符号15kを付されたエリア15k内に符号13kを付された作業者13kが配置されているとすると、作業者13kは、符号13kと対応する識別符号14kを付された目標タグ14kを担持している。エリア15k の4隅には、エリアタグ16が配備され、各エリアタグ16にはエリア15kおよび各隅を示す識別符号16k1,16k2,16k3,16k4が夫々付されている。読取装置18がY軸方向に移動されるとき、読取装置18の移動に対してエリア15kの前側に位置する前側辺Hu1の両端に配備される両端エリアタグ16の識別符号は(16k1,16k2)とされ、後側に位置する後側辺Hu2の両端に配備される両端エリアタグ16の識別符号は(16k3,16k4)とされており、読取装置18がX軸方向に移動されるときは、前側辺Hv1の両端に配備された両端エリアタグ16の識別符号は(16k1,16k3)となり、後側辺Hv2の両端に配備された両端エリアタグ16の識別符号は(16k2,16k4)となる。目標タグ14、エリアタグ16を個別に示す場合、目標タグ14k、エリアタグ16k1〜16k4のように識別符号を参照番号として付して各目標タグ、エリアタグを表す。
【0034】
例えば、図1において読取装置18が、Y軸レール17上を図1において上から下に向かって間歇的に移動され、各読取位置Py0〜Py6で、円形の読取範囲20内に位置する目標タグ14およびエリアタグ16の識別符号を読取ると、各読取位置Py0〜Py6で読取られるエリアタグ16、目標タグ14および読取られなくなるエリアタグ16、目標タグ14は次のようになる。
【0035】
Py0の初期状態では、
・ 両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16a3,16a4)および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が読取られ、
・ 目標タグ14a,14bが読取られる。
Py1では、
・読取装置18のY軸方向移動に対してエリア15aの前側の前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16a1,16a2が読取られなくなる。
Py2では、
・ 目標タグ14aが読取られなくなる。
Py3では、
・ エリア15aの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16a3,16a4が読取られなくなる。
Py4では、
・ 変化がない。
Py5では、
・ エリア15bの前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16b1,16b2が読取られなくなる。
Py6では、
・ エリア15bの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16b3,16b4が読取られなくなる。
・ 目標タグ14bが読取られなくなる。
【0036】
対象エリア15aの前側辺Hu1の両端に配備された両端エリアタグ16a1,16a2が読取装置18により読取られる読取位置Py0に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16a1,16a2が読取られなくなった読取位置Py1に読取装置18が位置すると、読取装置18の読取範囲20の境界線は対象エリア15aの前側辺Hu1の下方近傍位置に位置する。対象エリア15aの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16a3,16a4が読取装置18により読取られる読取位置Py2に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16a3,16a4が読取られなくなった読取位置Py3に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線は対象エリア15aの後側辺Hu2の下方近傍位置に位置する。読取装置18は上から下に向かって移動され、目標タグ14aは、読取位置Py1とPy3との間のPy2で読取られなくなるので、目標タグ14aはエリア15aの前側辺Hu1と後側辺Hu2との間に位置する候補目標タグとして選別される。
【0037】
対象エリア15bの後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグ16b3,16b4が読取装置18により読取られる読取位置Py5に読取装置18が位置した直後に、両端エリアタグ16b3,16b4が読取られなくなった読取位置Py6に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線は対象エリア15bの後側辺Hu2の下方近傍位置に位置する。図3に示す場合のように目標タグ14bがエリアタグ16b3,16b4と読取位置Py6において同じタイミングで読取られなくなると、何ら制約を設けなければ、目標タグ14bは対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置するのか、下に位置するのか判断できない。
【0038】
図4に示すように、読取装置18を移動装置19により各読取位置Pに停止させながら間歇的に移動させ、各読取位置Pで読取範囲20の境界線のX軸方向部分をX軸方向に延在する仮想直線23上に位置させるようにすると、読取位置Pynで読取られていた目標タグ14bがエリアタグ16b3,16b4と同じタイミングで読取位置Pyn+1で読取られなくなった場合、目標タグ14bが対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置する候補目標タグとして選別できる。しかし、このようにすると図5の斜線で示す範囲に位置する目標タグ14bが、対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置すると判断される。しかしながら、エリア15の各辺Hを生産ライン12の機械が占有する部分など作業者13が入らない場所に設定し、エリア15の辺Hの近傍に目標タグ14が存在しないようにすると、斜線範囲の目標タグ14が対象エリア15bの後側辺Hu2の上に位置すると誤判断されることは通常では発生しない。
【0039】
X軸方向においても同様に、読取装置18をX軸方向に延在するレール17上を図1において左右に間歇的に移動させることにより、読取装置18のX軸方向移動に対して対象エリア15a,15bの前側に位置する前側辺Hv1と後側に位置する後側辺Hv2との間に位置する目標タグ14a,14bを候補目標タグとして選別できる。各読取装置18のY軸およびX軸方向の両移動のいずれにおいても、対象エリア15a,15bの領域に位置する候補目標タグとして選別された目標タグ14a,14bが対象エリア15a,15bの領域に位置する作業者13の目標タグ14a,14bとして確定される。
【0040】
エリア15の辺Hの近傍に位置すると判断された目標タグ14が、エリア15に対応する生産ライン12に配置された作業者が担持する目標タグ14と一致するようにするためには、矩形のエリア15の4隅に配備されるエリアタグ16の位置を読取装置18の円形の読取範囲20の影響を加味して調整し、或いは格子状の仮想直線23の間隔を小さくして読取装置18の読取位置である読取位置Pの間隔を狭くするとよい。
【0041】
コンピュータ21はCPU、メインメモリ、入出力ポートおよびハードディスクなどで構成され、読取装置18および移動制御装置27が無線機22を介してRS232Cなどの入出力ポートに接続されている。読取装置18はエリアタグ16および目標タグ14が発信する識別符号を各読取位置Pで無線により受信してコンピュータ21の入力ポートに無線機22で送信し、移動装置19は、読取装置18がエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を受信した各読取位置Pの情報を無線機22でコンピュータ21の入力ポートに送信する。28は読取タグデータ記憶手段で、コンピュータ21の入力ポートおよびハードディスク等で構成され、読取装置18が各読取位置Pで読取ったエリアタグ16および目標タグ14の識別符号、および移動装置19が送信する各読取位置の情報を無線機22を介して入力され、読取装置18が各読取位置Pで読取ったエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を各読取位置Pの情報とともに記憶する。コンピュータ21には、上記ロジックに基づいてエリア15の領域に位置する移動体13を把握する各種プログラムが記憶されている。
【0042】
次に、本実施の形態に係る移動体の位置把握方法および装置の作動を説明する。読取装置18をX軸およびY軸方向に同様に移動させて、対象エリアの領域に位置する目標タグの候補目標タグを選別するので、先ず読取装置18をY軸方向に移動させて候補目標タグを選別する場合について詳細に説明する。
【0043】
コンピュータ21は図6に示すタグ識別符号収集プログラムを実行し、移動装置19のモータが起動されて台車24がレール17上をY軸方向に移動され、位置センサ25が台車24により作動されると、モータが停止されて台車24に載置された読取装置18が読取位置Py0に停止される(ステップS1)。位置センサ25のオン信号がエンコーダ26により2進コード化された読取位置の情報Py0、および移動制御装置27のスイッチSW1〜SW4にセットされた読取装置18の識別符号が無線機22を介してコンピュータ21に入力される(ステップS2)。コンピュータ21は、読取装置18にタグの識別符号の読取りを指令し、読取装置18は読取範囲20に位置する目標タグ14a,14bおよびエリアタグ16a1,16a2,16a3,16a4および16b1,16b2,16b3,16b4を読取る(ステップS3)。読取装置18は、読取ったタグの識別符号を自己の識別符号とともにコンピュータ21に無線機22を介して入力する(ステップS4)。このように所定時間の経過毎に、読取装置18が読取位置Py0,Py1・・・に順次移動して停止され、各読取位置Pynで目標タグ14およびエリアタグ16が読取られ、読取装置18がY軸方向に延在するレール17の一端から他端まで移動される間に、コンピュータ21は各読取位置Pynで入力されたエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取位置毎に記憶し、図7に示す読取タグデータ29を作成する(ステップS5,S6)。
【0044】
図8に示す目標タグ処理プログラムが実行され、各読取位置Pynで読取られた目標タグ14の識別符号14a,14bが、図9に示す目標タグテーブル30の読取タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS11)。全読取位置について、読取位置Pyn-1で存在していてPynで消えた目標タグ14が検索され、目標タグテーブル30の消失目標タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS12〜S14)。
【0045】
図10に示すエリアタグ処理プログラムが実行され、読取装置18がレール17の一端から他端までY軸方向に移動される間に、このY軸方向移動に対してエリア15の前側に位置する前側辺Hu1および後側に位置する後側辺Hu2の各両端に配備された両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16a3,16a4)および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が読取装置18の移動に連れて読取装置18に読取られたエリア15a,15bが対象エリアとして読取タグデータ29から検索される(ステップS21)。ステップS21は、エリア15の前側辺Hu1と後側辺Hu2の両端に配備された両端エリアタグが読取装置18の移動に連れて読取装置18に夫々読取られるエリアを対象エリアとする対象エリア選定手段を構成している。各読取位置Pynで読取られた対象エリア15a,15bの両端エリアタグの識別符号(16a1,16a2)、(16a3,16a4)、および(16b1,16b2)、(16b3,16b4)が、図11に示すエリアタグテーブル31の読取タグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS22)。全読取位置Pについて、読取位置Pyn-1で存在していてPynで消えたエリアタグ16が検索され、エリアタグテーブル31の消失エリアタグ欄に読取位置Pynに対応して登録される(ステップS23〜S25)。
【0046】
読取装置18はタグ識別符号収集プログラムによりX軸方向に同様に移動され、各読取位置Pxnでエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取ってコンピュータ21に送信し、コンピュータ21は各読取位置Pxnで入力されたエリアタグ16および目標タグ14の識別符号を読取位置毎に記憶し、X軸方向移動に関する読取タグデータを作成する。コンピュータ21は目標タグ処理プログラム、エリアタグ処理プログラムを実行し、X軸方向移動に関する目標タグテーブルおよびエリアタグテーブルを同様に作成する。
【0047】
次に、図12に示す目標タグ確定プログラムが実行され、読取装置18のY軸方向移動に対する各対象エリア15a,15bの前側辺Hu1、および後側辺Hu2の両端エリアタグ(16a1,16a2)、(16b1,16b2)、および(16a3,16a4)、(16b3,16b4)が図13に示す候補目標タグテーブル32の両端エリアタグ欄に対象エリア別に記入され(ステップS31)、各両端エリアタグが消失した読取位置Py1,Py3およびPy5,Py6がエリアタグテーブル31から読み出され、候補目標タグテーブル32の両端エリアタグ消失読取位置欄に消失した各両端エリアタグに対応して記入される(ステップS32)。対象エリア15a,15bの前側辺Hu1と後側辺Hu2の各両端エリアタグが消失した読取位置の間Py1〜Py3,Py5〜Py6で消失した目標タグ14a,14bが目標タグテーブル30から検索され、これが候補目標タグ14a,14bとして選別され候補目標タグテーブル32の候補目標タグ欄に記入される(ステップS33)。
【0048】
読取装置18をX軸方向に移動させた場合も同様に対象エリア15a,15bについて候補目標タグ14a,14bが選別される(ステップS34)。対象エリア15a,15bの各々について、読取装置18のY軸およびX軸方向の両移動のいずれにおいても候補目標タグ欄に記入された候補目標タグ14a,14bが各対象エリア15a,15bの領域に位置する移動体の目標タグ14a、14bとして確定される(ステップS35)。
【0049】
上記実施の形態では、対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16の両方が読取装置18により読取られていた直後に、両端エリアタグ16の両方が読取られなくなった読取位置に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺の近傍位置に位置するとしているが、両端エリアタグ16の両方が読取装置18により読取られていた直後に、該両端エリアタグ16の一方が読取られなくなった読取位置に読取装置18が位置すると、読取範囲20の境界線が対象エリアの前側辺または後側辺の近傍位置に位置するとしてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、読取範囲20内に位置する目標タグ14および対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16が、読取装置18の移動に連れて読取範囲20外に移動するタイミングに基づいて目標タグ14が前側辺と後側辺との間に位置するか否か判定しているが、読取範囲20外に位置する目標タグ14および対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグ16が、読取装置18の移動に連れて読取範囲20内に入るタイミングに基づいて目標タグ14が対象エリアの前側辺と後側辺との間に位置するか否か判定するようにしてもよい。
【0051】
上記実施の形態では、読取装置18のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリア15の前側に位置する前側辺Hu1,Hv1および後側に位置する後側辺Hu2,Hv2の各両端に配備された両端エリアタグが読取装置18の移動に連れて読取装置18に読取られたエリアを読取タグデータから検索して対象エリアとしているが、前側辺Hu1,Hv1および後側辺Hu2,Hv2の各両端に配備された両端エリアタグが、読取装置18のX軸およびY軸方向の移動において読取装置18に読取られるエリア15を対象エリアとしてコンピュータ12に予め登録しておいてもよい。
【0052】
また、読取装置18の読取範囲20の半径を可変とし、コンピュータ12から無線機22を介して読取装置18に読取範囲20の半径を指示するようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、X軸、Y軸方向に夫々1個の読取装置18を移動させるようにしているが、全体平面を小間隔で格子状に区画するX軸、Y軸方向の複数の仮想直線上にそれぞれ読取装置18を設置し、X軸、Y軸方向に移動させるようにしてもよい。これにより、より多くの対象エリアについて、移動体の位置を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】移動体の位置把握装置を示す概略図。
【図2】読取装置、移動装置およびコンピュータの関係を示す図。
【図3】読取範囲の境界線をエリアの2辺の間に位置させた場合の説明図。
【図4】読取範囲の境界線をエリアの辺上に位置させた場合の説明図。
【図5】読取範囲の境界線をエリアの辺上に位置させた場合の不具合を説明する図。
【図6】タグ識別符号収集プログラムを示す図。
【図7】読取タグデータを示す図。
【図8】目標タグ処理プログラムを示す図。
【図9】目標タグテーブルを示す図。
【図10】エリアタグ処理プログラムを示す図。
【図11】両端エリアタグテーブルを示す図。
【図12】目標タグ確定プログラムを示す図。
【図13】候補目標タグテーブルを示す図。
【符号の説明】
【0055】
10…移動体の位置把握装置、11…工場フロア(全体平面)、12a,12b…生産ライン、13a,13b…作業者(移動体)、14a,14b…目標タグ、15a,15b…エリア、16a1〜16a4,16b1〜16b4…エリアタグ、17…レール(移動経路)、18…読取装置、19…移動装置、20…読取範囲、21…コンピュータ、22…無線機、23…仮想直線、24…台車、25…位置センサ、26…エンコーダ、27…移動制御装置、28…読取タグデータ記憶手段、29…読取タグデータ、30…目標タグテーブル、31…エリアタグテーブル、32…候補目標タグテーブル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体平面上に区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する方法にして、
前記移動体を特定する識別符号が付された目標タグを各移動体に担持させ、
前記各エリアを前記全体平面に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形状とし、
前記各エリアおよびエリアの各隅を特定する符号が付されたエリアタグを前記各エリアの4隅に配備し、
一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置を、前記X軸、Y軸方向に各読取位置毎に移動させ、
前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶し、
前記読取タグデータに含まれるエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別し、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定することを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、
前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に間歇的に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、
前記読取装置が各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶して読取タグデータを作成することを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られたエリアを前記読取タグデータから検索して対象エリアとし、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録し、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項7】
全体平面内において区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する装置にして、
前記各移動体に担持され移動体を特定する識別符号が付された目標タグと、
前記全体平面において互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形に区画された複数のエリアの各4隅に配備され、各エリアおよびエリアの各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグと、
一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置と、
該読取装置を前記X軸、Y軸方向に各読取位置に移動させる移動装置と、
前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに記憶する読取タグデータ記憶手段と、
前記読取タグデータ記憶手段に記憶されたエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する候補目標タグ選別手段と、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグ選別手段により候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する移動体確定手段と、
を設けたことを特徴とする移動体の位置把握装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、
前記移動装置は前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、
前記候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで前記読取装置が移動される間に、前記読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別することを特徴とする移動体の位置把握装置。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記読取装置は前記エリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を各読取位置で無線により受信して前記読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、前記移動装置は、前記読取装置が前記エリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で前記読取タグデータ記憶手段に送信することを特徴とする移動体の位置把握装置。
【請求項1】
全体平面上に区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する方法にして、
前記移動体を特定する識別符号が付された目標タグを各移動体に担持させ、
前記各エリアを前記全体平面に設定された互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形状とし、
前記各エリアおよびエリアの各隅を特定する符号が付されたエリアタグを前記各エリアの4隅に配備し、
一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置を、前記X軸、Y軸方向に各読取位置毎に移動させ、
前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに読取タグデータとして記憶し、
前記読取タグデータに含まれるエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別し、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定することを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項3】
請求項1において、
前記対象エリアの前側辺または後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていない直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られる読取位置に前記読取装置が位置すると、前記読取装置の読取範囲の境界線が前記対象エリアの前側辺または後側辺に位置するとすることを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、
前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に間歇的に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、
前記読取装置が各読取位置で読取った各エリアタグおよび目標タグの識別符号を各読取位置の情報とともに記憶して読取タグデータを作成することを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られたエリアを前記読取タグデータから検索して対象エリアとし、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の移動において、各移動に対してエリアの前側に位置する前側辺および後側に位置する後側辺の各両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置の移動に連れて前記読取装置に読取られるエリアを対象エリアとして予め登録し、該対象エリアのみについて前記候補目標タグの選別および目標タグの確定を行うことを特徴とする移動体の位置把握方法。
【請求項7】
全体平面内において区画された複数のエリアの各領域に位置する移動体を把握する装置にして、
前記各移動体に担持され移動体を特定する識別符号が付された目標タグと、
前記全体平面において互いに直交するX軸およびY軸と平行な辺を有する矩形に区画された複数のエリアの各4隅に配備され、各エリアおよびエリアの各隅を特定する識別符号が付されたエリアタグと、
一定の大きさの読取範囲内に位置する前記目標タグおよびエリアタグの識別符号を読取る読取装置と、
該読取装置を前記X軸、Y軸方向に各読取位置に移動させる移動装置と、
前記読取装置が各読取位置で読取ったエリアタグおよび目標タグの識別符号を前記各読取位置の情報とともに記憶する読取タグデータ記憶手段と、
前記読取タグデータ記憶手段に記憶されたエリアタグおよび目標タグに関するデータに基づいて、前記読取装置の読取範囲の境界線が対象エリアの前側辺から後側辺まで移動した間に読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別する候補目標タグ選別手段と、
前記読取装置のX軸およびY軸方向の両移動のいずれにおいても前記候補目標タグ選別手段により候補目標タグとして選別された目標タグを前記対象エリアの領域に位置する移動体の目標タグと確定する移動体確定手段と、
を設けたことを特徴とする移動体の位置把握装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記全体平面をX軸、Y軸方向に小間隔で格子状に延在する仮想直線により分割し、前記エリアの各辺を前記仮想直線上に位置させて前記各エリアを前記全体平面上に区画し、
前記移動装置は前記読取装置をX軸、Y軸方向に各読取位置に移動させ、各読取位置で前記読取範囲の境界線のY軸、X軸方向部分を前記仮想直線上に位置させ、
前記候補目標タグ選別手段は、対象エリアの前側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置から、後側辺の両端に配備された両端エリアタグが前記読取装置により読取られていた直後に、該両端エリアタグの少なくとも一方が読取られなくなった読取位置まで前記読取装置が移動される間に、前記読取装置に読取られた目標タグを候補目標タグとして選別することを特徴とする移動体の位置把握装置。
【請求項9】
請求項7または8において、
前記読取装置は前記エリアタグおよび目標タグが発信する識別符号を各読取位置で無線により受信して前記読取タグデータ記憶手段に無線機で送信し、前記移動装置は、前記読取装置が前記エリアタグおよび目標タグの識別符号を受信した各読取位置の情報を無線機で前記読取タグデータ記憶手段に送信することを特徴とする移動体の位置把握装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−38693(P2006−38693A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220351(P2004−220351)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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