説明

移動体用充電システム及びそれに用いる充電装置

【課題】中央制御装置での移動体の運行管理を確実なものとする移動体用充電システム及びそれに用いる充電装置を提供することにある。
【解決手段】充電装置2は、移動体1に搭載している充電電池10に接続して充電中のときには充電状態の情報として充電電池10の端子間電圧の値を中央制御装置3に送信し、充電電池10に接続し且つ充電中でない場合には、接続後に充電されたときの充電中の充電電池10の端子間電圧の最大値を中央制御装置3に送信する通信部24を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送台車や移動ロボット等の自律型の移動体に搭載された充電電池を充電する移動体用充電システム及びそれに用いる充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
搬送台車や移動ロボット等の移動体を複数運用する場合、これら複数台の移動体の運行管理を行う中央制御装置が設けられ、各移動体はこの中央制御装置からの指示を受けて運行されるのが一般的である。
【0003】
電力で駆動する移動体は、鉄道車輌のように誘導路や架線から給電されている場合を除き、多くの場合には充電電池を搭載し、この充電電池を電源として走行用の車輪を駆動している。この充電電池を充電する装置としては例えば、特許文献1に開示されているような給電装置がある。
【0004】
そして、上述のように移動体を複数台運用する場合、各移動体に搭載されている充電電池の残量を、移動体が稼働している場合は勿論のこと、充電されている際にも中央制御装置が正確に把握することが重要となる。
【0005】
そのため、中央制御装置が搬送の要求と各移動体の充電電池の残量をどのように処理し、各移動体にどのような指示を与えることが課題となっている。
【0006】
また、移動体を複数台運用する際には、充電中の移動体については、充電電池の電圧が高い移動体から優先して運行を指令する手法が一般的であった。
【特許文献1】特開2005−149808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように充電電池の電圧が高い移動体から優先して運行を指令する手法では、充電電池の残量を電池電圧で評価するため、充電が完了した移動体の充電電池の端子間電圧が、充電中のそれに比べて低くなる場合があり、中央制御装置が正確な電池残量を把握できない場合があるという課題があった。
【0008】
つまり、図6に示すように充電が開始されると充電装置からの電圧印加で充電電池の端子間電圧は上昇し、やがて充電装置の印加電圧値(無負荷電圧)に達して充電完了状態となる。この充電完了後も充電電池に充電装置から電圧が印加されて充電が継続されると、充電電池が鉛蓄電池の場合、過充電となって充電電池の劣化を招く。そのため、充電完了後は充電装置からの電圧印加を停止しなければならない。
【0009】
しかしながら、電圧印加を停止した後は、充電電池の端子間電圧は充電電池の開放電圧まで低下し、そのため電圧値だけの比較では、充電中のそれに比べて低くなる場合があり、上述のように中央制御装置が正確な電池残量を把握できないことになる。
【0010】
本発明は、上述の課題に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは移動体の充電電池の残量を中央制御装置で正確に把握することができ、中央制御装置での移動体の運行管理を確実なものとする移動体用充電システム及びそれに用いる充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、請求項1の移動体用充電システムは、充電電池を電源として搭載している移動体と、前記充電電池の充電状態の情報を取得する移動体情報取得手段と前記充電状態に基づいて前記移動体に対する充電指示を行う移動体指示手段とを有する中央制御装置と、前記充電電池を充電するとともに該充電電池の充電状態の情報を前記中央制御装置に所定のタイミングで送信する充電装置とを備え、該充電装置は、前記充電電池に接続して充電中のときには前記充電状態の情報として前記充電電池の端子間電圧の値を前記中央制御装置に送信し、前記充電電池に接続し且つ充電中でない場合には、接続後に充電されたときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値を前記中央制御装置に送信する手段を具備していることを特徴とする。
【0012】
請求項1の移動体用充電システムの発明によれば、移動体の充電電池に接続し且つ充電中でなく、移動体が待機状態にある充電装置から中央制御装置に対して充電中の充電電池の端子間電圧の最大値を中央制御装置に送ることで、中央制御装置では、充電が終わった状態の充電電池の電圧を把握することができ、それにより稼働中の移動体の充電電池の残量を正確に把握することができ、結果、移動体の運行管理を確実なものとすることが可能となる。
【0013】
請求項2の移動体用充電システムの発明では、請求項1の発明において、前記充電装置は、前記充電電池を接続し且つ充電中でない待機時に前記充電電池の電圧降下量を示す電圧降下情報を取得する電圧降下情報取得手段を備え、前記待機時には接続後に充電されたときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値から前記電圧降下情報と前記経過時間により算出する電圧降下量を差し引いた値を前記中央制御手段に送信することを特徴とする。
【0014】
請求項2の移動体用充電システムの発明によれば、充電装置に移動体の充電電池が接続された待機状態において、充電電池の電圧降下を考慮した値を中央制御装置に送信することで、移動体が再充電するを要する場合に中央制御装置から適切な充電指示を与えることができる。
【0015】
請求項3の充電装置の発明では、移動体に搭載している充電電池に接続して充電中のときには充電状態の情報として前記充電電池の端子間電圧の値を、移動体を管理する中央制御装置に送信し、充電電池に接続し且つ充電中でない場合には、接続後に充電されたときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値を前記中央制御装置に送信する手段を具備していることを特徴とする。
【0016】
請求項3の充電装置の発明によれば、移動体の充電電池の残量を中央制御装置で正確に把握することができ、中央制御装置での移動体の運行管理を確実なものとする移動体用充電システムを実現できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、移動体の充電電池に接続し且つ充電中でなく、移動体が待機状態にある充電装置から中央制御装置に対して充電中の充電電池の端子間電圧の最大値を中央制御装置に送ることで、中央制御装置では、充電が終わった状態の充電電池の電圧を把握することができ、それにより稼働中の移動体の充電電池の残量を正確に把握することができ、結果、移動体の運行管理を確実なものとすることが可能となるという移動体用充電システムを提供でき、またかかる効果を奏する移動体用充電システムを実現できる充電装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下本発明を実施形態により説明する。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態の移動体用充電システムを採用する移動体運用システムは、例えば図2に示す稼働エリア内に、複数の自律型の移動体1と、複数の充電装置2と、各移動体1の運行管理を行う中央制御装置3とを配置して構成され、中央制御装置3と各移動体1との間は電波無線によって情報の授受を、また中央制御装置3と各充電装置2との間は有線(或いは電波無線)によって情報の授受を行うようになっている。
【0020】
移動体1は、図1に示すように充電電池10と、充電電池10を電源として動作し移動体1の走行用の車輪11を駆動して移動体1を走行させる移動体駆動部12と、移動体駆動部12の制御を含めて移動体1全体の制御を行う移動体制御部13と、移動体制御部13と中央制御装置3との間で情報の授受を行うために所定形式の電波無線信号の送受信を行う通信部14と、充電電池10の電池電圧を監視してその電池電圧情報を移動体制御部13に出力する電池電圧監視部15と、充電電池10の電池電圧を定電圧化し移動体制御部13,通信部14に動作電源として供給する移動体電源部16と、充電装置2の給電部20と接続して充電電池10の充電電力の供給を受ける受電部17と、通信用アンテナ18とを備えるとともに、後述する障害物検出手段(図示せず)等を備えている。
【0021】
充電装置2は、給電部20と、給電部20を介して移動体1に充電電力を給電するための充電用電源部21と、給電部20と移動体1の受電部17とを介して移動体1の充電電池10の電池電圧を計測する電池電圧計測部22と、電池電圧計測部22の計測情報に基づいて充電電源部21のオン/オフ制御を行う等、充電装置2全体の制御を行う制御部23と、制御部23と中央制御装置3との間の情報の授受を所定形式の有線信号を用いて行う通信部24と、後述する最大電圧値や閾値等の情報を記憶する記憶部25とを備えており、充電用電源部21は商用電源を整流平滑して直流を得る直流電源部により構成される。
【0022】
中央制御装置3は、各移動体1の通信部14との間で電波無線信号を送受信する通信部30と、通信ケーブル4を介して各充電装置2の通信部24との間で有線信号を送受信する通信部31と、これら通信部30、31を介して各移動体1や充電装置2との間で情報の授受を行い、移動体1の状態や充電装置2の状態を把握する情報取得手段としての機能と、移動体1に対して移動や充電の動作指示を与える指示手段として機能を備えた制御処理部32と、制御処理部32の制御の下で、状態情報等を読み書き自在に記憶するための記憶部33と、通信用アンテナ34とを備えている。
【0023】
尚中央制御装置3と情報授受を行うために各移動体1及び充電装置2は夫々を識別するための識別子が付与され、この識別子を用いて中央制御装置3との間での情報授受を行うようになっている。
【0024】
次に、本実施形態の移動体用充電システムを採用した移動体運用システムの一例を概略的に説明する。
【0025】
移動体1の移動体制御部13は、稼働エリアに設定された特定の作業エリアの情報を含む地図情報や走行のための各種パラメータを記憶するとともに、中央制御装置3から受け取る後述する動作指示情報に含まれる目的地情報と地図情報を基に移動経路を生成して移動体駆動部12を制御する走行制御機能を持っている。障害物検出手段は、超音波センサやレーダー等によって障害物を検出するとともに、自己位置情報を取得するために地図情報と比較する所定の壁や目標物体等の自己位置を推定するための環境情報を取得する機能を備えており、移動体制御部13は地図情報上に登録されている標識となる壁、目標物体等と、取得した環境情報とを比較して自己位置を推定するようになっている。
【0026】
一方中央制御装置3の制御処理部32は移動体1からの自己位置情報を含めた動作状態情報を受け取ると、該動作状態情報に基づいて各移動体1相互の移動経路の干渉を予測したり、予測結果を考慮して1つの作業エリアに複数の移動体1を割り付けないように各移動体1に移動に対応する動作指示情報を送信する機能を備え、記憶部33に記憶させている上述の作業エリアに関する情報や稼働領域の情報、更に移動体1を制御するために必要な情報を参照するようになっている。
【0027】
而して中央制御装置2から動作指示情報に基づいて移動体1は自律的に走行して所定の目的地たる作業エリアへ移動するのである。
【0028】
以上のように中央制御装置2は、動作指示情報を移動体1に送信して移動体1に動作指示を行い、移動体1を所定の作業エリアへ移動させる等の運用を管理するのであるが、本実施形態の移動体用充電システムは、この運用管理以外に中央制御装置2により移動体1に搭載している充電電池10と、該充電電池10を充電するための充電装置2とを管理するシステムである。
【0029】
次に本実施形態における充電システムの動作を図3,図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0030】
充電装置2は、充電動作の待機中においては充電用電源部21を制御部23の制御の下でオフ状態とするとともに、中央制御装置2からの呼び出しに応じて後述する状態情報を中央制御装置2へ送るようになっている。
【0031】
さて、移動体1が中央制御装置2からの充電に関する動作指示情報に基づいて、待機中の充電装置2に向けて移動し、当該移動体1の受電部17を当該充電装置2の給電部20に接続すると、充電装置2の電池電圧計測部22の電圧入力端子間に移動体1に搭載している充電電池10の端子間電圧が印加され、電池電圧計測部22により電池電圧が計測されることになる。この計測出力によって制御部23は移動体1の充電電池10が接続されたことを検出すると、当該移動体1に対する充電を開始する。
【0032】
図3はこの充電装置2の充電動作に対応するフローチャートであり、移動体1に対する充電動作を開始する(ステップS1)と、充電装置2の制御部23はまず充電用電源部21をオンする(ステップS2)。このオンによって充電用電源部21→給電部20→移動体1の受電部17→充電電池10の経路で充電電力が充電電池10に供給され、充電電池10は充電されることになる。
【0033】
一方、電池電圧計測部21は充電用電源部21が接続された状態の充電電池10の端子間電圧の計測を行う(ステップS3)。そしてこの計測電池電圧値を取り込む制御部23は計測電池電圧が記憶部25に記憶している充電電池10の過去の最大電圧値よりも高いか否かを判定する(ステップS4)。充電開始時には記憶部25に記憶されている最大電圧値がリセットされているため、充電開始直後では高いと判定され、この計測電池電圧値を最大電圧値として記憶部25に更新記憶させる(ステップS5)。
【0034】
この記憶処理後の次のステップS6において制御部23は、充電電池10が充電完了状態か否かを判定する。この場合、記憶部25に予め記憶させている充電完了判定用の閾値(充電用電源部21の無負荷電圧にほぼ等しい電圧)と充電電池10の端子間電圧(計測電池電圧値)とを比較して充電完了の判定を行っており、電池電圧計測部21の計測電池電圧値が閾値よりも低く、充電完了状態でないと判定されれば、制御部23はステップS7において中央制御装置3から後述する充電終了の指示があるか否かをチェックする。
【0035】
そして充電完了の指示が無い場合、計測電池電圧値をそのまま当該移動体1の充電電池10の状態情報として中央制御装置3に通信部24を介して送信する(ステップS8)。この後ステップS2に戻り、充電完了状態となるか、充電終了の指示が中央制御装3からあるまで上述の動作を繰り返す。
【0036】
尚ステップS4で計測電池電圧値が記憶部25に記憶してある最大電圧値よりも低いと判定された場合、制御部23は記憶部25に記憶してある最大電圧値の更新処理は行わない。つまり、移動体1の回路部への充電電池10からの回路部への電源供給をオフした状態で充電を開始し、充電開始後回路部への電力供給が行われるような場合、充電電池10の端子間電圧が充電開始時の端子間電圧よりも下がり、ステップS4の判定が”No”となるのである。
【0037】
さてステップS6で充電完了状態と判定された場合或いはステップS7で中央制御装置3から充電終了の指示がある判定された場合、制御部23は充電用電源部21をオフさせる(ステップS9)。次いで制御部23は記憶部25に記憶させている最大電圧値を当該移動体1の充電電池10の状態情報として中央制御装置3に通信部24を介して送信する処理を行う(ステップS10)。
【0038】
この処理後、制御部23は、移動体1が充電装置2から移動するか否かを電池電圧計測部22の計測電圧値の有無で判定し(ステップS11)、移動していない、つまり移動体2が充電装置2に接続されている待機状態にあると判定された場合にはS10に戻り、以後当該移動体1が当該充電装置2から移動したと判定されるまで、ステップS10、S11の処理を繰り返す。
【0039】
そして、ステップS11での判定で移動体1が移動したと判定されると、制御部23は記憶部25に記憶されている上述の最大電圧値をリセットし(ステップS12)、充電動作を終了する(ステップS13)。
【0040】
一方、中央制御装置3は図4に示すフローチャートに基づいて充電関連に対応した動作を常時行っている。次にこのフローチャートに基づいて中央制御装置3の動作を説明する。
【0041】
まず、制御処理部32は、対象となる移動体1の台数nに対応する変数iを”1”とし(ステップS1)、この移動体(i)との間で通信部30による通信が可能か否かを判定し(ステップS2)、通信可能な場合には移動体(i)の動作状態情報を取得し(ステップS3)、この取得後変数iを”i+1”とし(ステップS4)、次のステップS5で全ての移動体1との通信状態の確認が終わったかを変数iの値が移動体1の数nを越えたか否かで判定し、全ての移動体1との通信状態の確認が終わっていない場合にはステップS2に戻る。
【0042】
上述のステップS2において移動体(i)との通信が可能でないと判定された場合、制御処理部32は各充電装置2との間の通信で授受し、記憶部33に記憶させている状態情報から当該移動体(i)が何れかの充電装置2と接続中であるかを判定し(ステップS6)、当該移動体(i)が接続中であれば、当該移動体(i)を接続している充電装置2からの状態情報に含まれる計測電池電圧値を当該移動体(i)の状態情報として参照し(ステップS7)、この参照後上述のステップS4へ移行する。またステップS6で当該移動体(i)が充電装置2と接続していないと判定された場合には、ステップS8で当該移動体(i)が存在していないと判断して中央制御装置3での制御対象から除外する処理を行い、この処理後ステップS4へ移行する。
【0043】
さてステップS5において、全ての移動体1との通信状態を確認したと判定されると、制御処理部32は、対象となる充電装置2の台数mに対応する変数jを”1”とし(ステップS9)、この充電装置(j)との間で通信部31による通信が可能か否かを判定し、(ステップS10)、通信可能な場合には充電装置(j)から状態情報を取得し(ステップS11)、この取得後、当該充電装置(j)に接続中の移動体1の充電電池10の電圧を、状態情報に含まれる計測電池電圧値から取得し(ステップS12)、この取得後変数を”j+1”とし(ステップS13)する。そして次のステップS14で全ての充電装置2との通信状態の確認が終わったかを、変数jの値が充電装置2の台数mを越えたか否かで判定し、全ての充電装置2との通信状態が確認できていない場合にはステップS10に戻り、全ての充電装置2との通信状態が確認できている場合にはステップS15へ移行する。尚、ステップS10において充電装置(j)との通信が可能でないと判定された場合、制御処理部32はステップS13での処理を行う。
【0044】
さて、ステップS15では、移動体1に対する作業エリアからの移動要求の有無や、充電不足の移動体1の有無によって移動体1への充電や走行の動作指示の要/不要の判定を行い、例えば作業エリアから移動要求があると、ステップS16で当該作業エリアに近い位置に存在する移動体1に対して、その作業エリアへ向かうように走行に対応する動作指示情報を送信することを決定して当該動作指示情報を送信する。
【0045】
また移動要求に対して現在充電中でない稼働中の移動体1の台数で処理できなければ、充電装置2から取得した状態情報に基づいて現在充電中の移動体1の中から、電池電圧の高い(電池残量が多い)移動体1を稼働させて充電装置2から移動させて移動要求のあった作業エリアへ移動するように動作情報指示を当該移動体1に送信するとともに充電装置2に対して充電終了の指示情報を送信する(ステップS16)。
【0046】
また更に、充電中でない移動体1からの動作状態情報において充電電池10の電池電圧が低い、つまり電池残量が少ない移動体1があると、当該移動体1に対して空いている最寄りの充電装置2に対して充電するように動作指示情報を送信する(ステップS16)。
【0047】
さて、ステップS16の処理が終了後、或いはステップS15で動作指示情報の送信が不要と判定された場合には、ステップS17で中央制御装置3の制御動作を終了するか否かの判定を行い、終了しない場合にはステップS1へ戻って、上述の動作を繰り返す。制御動作を終了と判定された場合には上述の制御動作終了する。
【0048】
以上のように本実施形態の移動体用充電システムによれば、充電完了後或いは中央制御装置3からの指示による充電終了後、充電装置2に接続されたまま待機状態にある移動体1から充電完了時点或いは終了時点の充電電池10の最大電圧値を中央制御装置3に状態情報として繰り返して充電装置2から送信するので、充電完了時点或いは終了時点の充電電池10の電池電圧を中央制御装置3で把握することができ、その後移動体1が充電装置2から移動して離れた稼働中の移動体1から取得する状態情報に含まれる電池電圧を上述の最大電圧値に基づいて評価することで、現在の充電電池10の電池残量を正確に把握することできる。
【0049】
尚移動体1から中央制御装置3に対して送る動作状態情報としては、当該移動体1で異常状態発生を示す異常状態情報を含み、異常状態発生を中央制御装置3に知らせるようになっている。
【0050】
また上述の移動体1の稼働とは、移動体1の電源を落として完全に動作を停止させている場合を除き、移動体1が走行移動している場合、移動体1が充電装置2に接続されて充電されている状態、更に充電が終了して待機状態にある場合を含む。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態は、基本的には図1の回路構成を用いるものであるが、充電装置2の制御部23内に充電終了後からの経過時間を計時する計時手段(図示せず)を備えるとともに、該計時手段の計時情報と電池電圧計測部21の電圧計測値の情報から充電電池10を接続し且つ充電中でない待機時に充電電池10の所定の単位時間当たりの電圧降下量を示す電圧降下情報を取得する電圧降下情報取得手段としての機能とを備えており、図5のフローチャートで示すようにステップS9で充電用電源部をオフして待機状態になってから、制御部23は単位時間当たりの電圧降下量と経過時間とから電池残量の減少量を積算し(ステップS10a)、この積算値を記憶部25に記憶した充電中の充電電池10の端子間電圧の最大電圧値から差し引いた値を前記中央制御装置3に送信する(ステップS10b)点で実施形態1と相違する。尚その他の動作は実施形態1と同じであるので説明は省略する。
【0052】
而して本実施形態では、待機時の充電電池10の電圧降下を考慮した値を中央制御装置3に送信することで、中央制御装置3は、移動体1が再充電するを要する場合に適切な充電指示を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態1の回路構成図である。
【図2】実施形態1を用いる移動体運用システムのシステム構成図である。
【図3】実施形態1の充電装置の動作説明用フローチャートである。
【図4】実施形態1の中央制御装置の動作説明用フローチャートである。
【図5】実施形態2の充電装置の動作説明用フローチャートである。
【図6】従来の課題説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1 移動体
10 充電電池
11 車輪
12 移動体駆動部
13 移動体制御部
14 通信部
15 電池電圧監視部
16 移動体電源部
17 受電部
18 通信用アンテナ
2 充電装置
20 給電部
21 充電用電源部
22 電池電圧計測部
23 制御部
24 通信部
25 記憶部
3 中央制御装置
30 通信部
31 通信部
32 制御処理部
33 記憶部
34 通信用アンテナ
4 通信ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電電池を電源として搭載している移動体と、前記充電電池の充電状態の情報を取得する移動体情報取得手段と前記充電状態に基づいて前記移動体に対する充電指示を行う移動体指示手段とを有する中央制御装置と、前記充電電池を充電するとともに該充電電池の充電状態の情報を前記中央制御装置に所定のタイミングで送信する充電装置とを備え、
該充電装置は、前記充電電池に接続して充電中のときには前記充電状態の情報として前記充電電池の端子間電圧の値を前記中央制御装置に送信し、前記充電電池に接続し且つ充電中でない場合には、接続後に充電されたときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値を前記中央制御装置に送信する手段を具備していることを特徴とする移動体用充電システム。
【請求項2】
前記充電装置は、前記充電電池を接続し且つ充電中でない待機時に前記充電電池の電圧降下量を示す電圧降下情報を取得する電圧降下情報取得手段を備え、前記待機時には接続後に充電されたとときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値から前記電圧降下情報と前記経過時間により算出する電圧降下量を差し引いた値を前記中央制御手段に送信することを特徴とする請求項1記載の移動体用充電システム。
【請求項3】
移動体に搭載している充電電池に接続して充電中のときには充電状態の情報として前記充電電池の端子間電圧の値を、移動体を管理する中央制御装置に送信し、充電電池に接続し且つ充電中でない場合には、接続後に充電されたときの充電中の前記充電電池の端子間電圧の最大値を前記中央制御装置に送信する手段を具備していることを特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−131807(P2008−131807A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316219(P2006−316219)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】