説明

移動体端末装置及び受信感度報知方法

【課題】外部のリーダライタからの電磁波を適切に受信してユーザが迅速且つ確実にサービスを利用することができる移動体端末装置及び受信感度報知方法を提供すること。
【解決手段】外部リーダライタ(R/W)2と非接触で通信を行う移動体端末装置1において、ICカード部12で外部R/W2からの電磁波を受信すると、制御部11で当該電磁波に応じた自装置の受信感度を判定し、報知部14で判定された自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知する。報知部14は、ディスプレイ141、振動素子142、スピーカ143又は発光素子144のいずれか又はこれらの組合せによりユーザへの報知を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末装置及び受信感度報知方法に関し、特に、非接触カード機能を搭載した移動体端末装置及びその受信感度報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、非接触カード機能を搭載した携帯端末は広く普及しており、これらの携帯端末を用いた多種多様のサービスが提供されている。例えば、その代表的なサービスとして知られている電子決済サービスの他(例えば、特許文献1参照)、航空機の搭乗手続きや住宅の施錠・開錠を行うことなども可能となっている。今後、非接触カード機能の利用範囲は、更に拡大することが予想される。このような状況下においては、非接触カード機能の利用時における操作性をいかに向上するかが重要な課題となってくる。
【特許文献1】特願2002−109427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような各種サービスにおいて、携帯端末の非接触カード機能を利用する際には、店舗などに配設された外部リーダ/ライタ(R/W)から発信される電磁波を用いた情報通信によって、携帯端末の非接触カード部と外部R/Wとの間で必要な情報を交換している。従って、携帯端末でサービスの提供を受けるためには、外部R/Wからの電磁波を非接触カード部で適切に受信することが必要となる。ところが、非接触カード部でこの電磁波を適切に受信できる範囲は非常に限られている。このため、非接触カード部を外部R/W上の所定位置にかざさない場合には、外部R/Wからの電磁波を受信できず、携帯端末でサービスの提供を受けることができないという問題がある。
【0004】
携帯端末においては、非接触カード部を外部R/Wの所定位置にかざすことができるように、非接触カード部に対応する外面部分に一定のマークを付すなどの工夫が為されている。しかし、外部R/Wに携帯端末をかざす際には、当該マークがユーザから死角に配置されることとなるため、上述のような課題が完全に解決するには至っていない。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、外部のリーダライタからの電磁波を適切に受信してユーザが迅速且つ確実にサービスを利用することができる移動体端末装置及び受信感度報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動体端末装置は、外部のリーダライタと非接触で通信を行う移動体端末装置であって、前記リーダライタからの電磁波を受信する受信手段と、前記電磁波に応じた自装置の受信感度を判定する判定手段と、前記自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知する報知手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知するようにしたので、受信感度に応じて報知内容を設定しておくことで、リーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。そして、当該位置でリーダライタとの通信を行うことで、後続するサービス提供に必要な情報を不備なく交換可能となるので、ユーザにおいて迅速且つ確実にサービスを利用することが可能となる。
【0008】
本発明の移動体端末装置において、前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置を把握可能な内容を報知することが好ましい。この構成によれば、報知内容を通じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。
【0009】
また、本発明の移動体端末装置において、前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置に自装置を導く内容を報知することが好ましい。この構成によれば、報知内容を通じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置に自装置を導くことが可能となるので、ユーザにおいて当該位置を簡単且つ確実に把握することが可能となる。
【0010】
例えば、前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置までの距離に対応する内容を報知するようにしても良い。この場合、距離に対応する報知内容を通じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置に自装置を導くことが可能となるので、ユーザにおいて当該位置までの距離を一見して認識でき、当該位置をより簡単且つ確実に把握することが可能となる。
【0011】
さらに、本発明の移動体端末装置において、前記報知手段は、前記自装置の受信感度に応じた内容を表示する表示手段、前記自装置の受信感度に応じて振動する振動手段、前記自装置の受信感度に応じた音声を出力する音声出力手段又は前記自装置の受信感度に応じて発光する発光手段のいずれか又はこれらの組合せを備えることが好ましい。この構成によれば、表示手段、振動手段、音声出力手段又は発光手段のいずれか又はこれらの組合せによってリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。
【0012】
本発明の受信感度報知方法は、外部のリーダライタと非接触で通信を行う移動体端末装置における受信感度報知方法であって、前記リーダライタからの電磁波を受信し、前記電磁波に応じた自装置の受信感度を判定し、前記自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知することを特徴とする。
【0013】
この方法によれば、自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知するようにしたので、受信感度に応じて報知内容を設定しておくことで、リーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。そして、当該位置でリーダライタとの通信を行うことで、後続するサービス提供に必要な情報を不備なく交換可能となるので、ユーザにおいて迅速且つ確実にサービスを利用することが可能となる。
【0014】
本発明の受信感度報知方法において、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置を把握可能な内容を報知することが好ましい。この場合には、報知内容に応じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。
【0015】
また、本発明の受信感度報知方法において、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置に自装置を導く内容を報知することが好ましい。この場合、報知内容を通じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置に自装置を導くことが可能となるので、ユーザにおいて当該位置を簡単且つ確実に把握することが可能となる。
【0016】
例えば、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置までの距離に対応する内容を報知するようにしても良い。この場合、距離に対応する報知内容を通じてリーダライタからの電磁波を適切に受信できる位置に自装置を導くことが可能となるので、ユーザにおいて当該位置までの距離を一見して認識でき、当該位置をより簡単且つ確実に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る移動体端末装置によれば、外部リーダライタからの電磁波を受信する受信手段と、前記電磁波に応じた自装置の受信感度を判定する判定手段と、前記自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知する報知手段と、を具備するので、前記リーダライタからの電磁波を適切に受信してユーザが迅速且つ確実にサービスを利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係る移動体端末装置及び受信感度報知方法は、移動体端末装置の非接触カード機能を用いたサービスの提供を受ける際、当該サービスの提供前における外部R/Wとの情報通信を行う際の効率性を向上するものである。このため、非接触カード機能を用いたあらゆるサービスに適用することが可能である。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置の非接触カード機能を用いたサービス提供システムの概略構成を示す図である。図1に示すシステムは、本発明に係る移動体端末(携帯電話)1と、この移動体端末1にサービス提供を行うサービス提供者の店舗等に配設される外部R/W2と、外部R/W2と接続されたサービス提供装置3とから主に構成されている。サービス提供装置3は、移動体端末1の非接触カード機能を用いた情報通信により必要な情報を交換した後、電子決済サービスなどの各種サービスを移動体端末1に提供する。
【0020】
図1に示す移動体端末1は、図2に示す構成を有する。図2は、本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置の概略構成を示す図である。なお、図2に示す構成は、本発明を説明するために簡略化したものであり、通常の移動体端末装置に搭載される構成要素は備えているものとする。ここで、移動体端末1は、折り畳み式の形状を有するものとし、非接触カード機能がフェリカ(FeliCa)(登録商標)である場合について説明するものとする。
【0021】
移動体端末1は、端末全体の制御を行う制御部11と、非接触カード機能を実現するためのICカード部12と、移動体端末1における受信感度に応じた内容をユーザに報知するための制御(以下、「報知制御」という)を行う報知制御部13と、報知制御された文字や画像、振動、音声及び光によって移動体端末1における受信感度に応じた内容をユーザに対して報知する報知部14と、報知の形態や内容を指定するデータ(以下、「報知データ」という)のテーブル(以下、「報知データテーブル」という)を格納する記憶部15と、報知データの新規入力や更新の指示等をユーザから受け付ける入力部16と、外部R/W2やネットワークとの間の通信を制御する通信制御部17と、アンテナ18とを含んでいる。
【0022】
ICカード部12は、フェリカコンテンツをバッファリングする非接触ICチップ121と、非接触カード機能を実現させるためのコントローラ(フェリカオペレーティングシステム)122とを有する。報知制御部13は、移動体端末1で使用される表示を制御する表示制御部131と、移動体端末1で使用される振動(バイブレーション)を制御する振動制御部132と、移動体端末1で使用される音声を制御する音声制御部133と、移動体端末1で使用される発光を制御する発光制御部134とを有する。報知部14は、表示制御された文字、画像及び映像を表示するディスプレイ141と、振動制御に応じて振動する振動素子142と、音声制御された音声(メロディを含む)を出力するスピーカ143と、発光制御に応じて発光する発光素子144とを有する。
【0023】
ディスプレイ141は、移動体端末1のメイン画面を構成するメインディスプレイ1411と、サブ画面を構成するサブディスプレイ1412とを有する。メインディスプレイ1411は、移動体端末1を開いた状態で駆動するものとし、サブディスプレイ1412は、移動体端末1を閉じた状態で駆動するものとする。発光素子144は、複数色の発光が可能な構成を有する。ここでは、赤色及び青色の2色が発光可能に構成されている。
【0024】
ICカード部12は、外部R/W2との間で非接触カード通信を行う。すなわち、外部R/W2から発信する電磁波をICカード部12が受信すると、その電磁波によりICカード部12のコイルに電流が流れることで、コントローラ122が起動してICカード部12が使用可能となる。そして、この起動状態下において、外部R/W2から種々の情報(例えば、フェリカコンテンツ)を取得することが可能となる。このようにして取得した種々の情報は、必要に応じて非接触ICチップ121にバッファリングされる。
【0025】
制御部11は、判定手段として機能し、外部R/W2が発信する電磁波に応じて決定される移動体端末1における受信感度を判定し、その判定結果に応じた報知内容を報知制御部13に通知する。制御部11は、外部R/W2が発信する電磁波に応じてICカード部12のコイルに流れる電流量をモニタリングし、予め定めた閾値データ(電流量データ)と比較することで、移動体端末1における受信感度を判定する。また、制御部11は、判定結果に応じた報知内容を報知制御部13に通知する際、後述する報知データ内に指定された報知要素に応じて報知制御部13のいずれかの該当制御部131〜134を選択して判定結果に応じた報知内容を通知する。なお、ここでは、移動体端末1における受信感度を判定する際、外部R/W2からの電磁波に応じてコイルに流れる電流量をモニタリングするが、受信感度の判定手法については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0026】
記憶部15は、制御部11が移動体端末1における受信感度を判定する際に参照する閾値データを格納すると共に、その閾値データを用いて判定される受信感度に対応した報知内容が登録された報知データテーブルを格納する。図3は、記憶部15で管理される報知データテーブルの一例を示す図である。なお、図3においては、移動体端末1における受信感度を判定する際に参照する閾値データとして、2つの閾値データ(第1閾値データ、第2閾値データ)が設定された場合について示している。
【0027】
図3に示すように、報知データテーブルにおいては、各報知データに、番号(報知データ番号)が割り当てられると共に、報知を行う要素(以下、「報知要素」という)、報知形態及び受信感度に応じた報知内容が登録されている。報知要素には、報知部14のいずれかの構成要素が指定され、報知形態には、報知要素に応じた報知の形態が指定される。報知内容は、3つに分けて指定されている。すなわち、受信感度の判定に用いる電流量が、第1閾値データ以下である場合(以下、「通信不能レベルの場合」という)、第1閾値データと第2閾値データとの間である場合(以下、「通信準備レベルの場合」という)、並びに、第2閾値データ以上である場合(以下、「通信可能レベルの場合」という)に分けて指定されている。
【0028】
報知制御部13における表示制御部131、振動制御部132、音声制御部133及び発光制御部134は、制御部11から通知された報知内容に応じて各報知要素(ディスプレイ141、振動素子142、スピーカ143及び発光素子144)を制御する。すなわち、表示制御部131は、受信感度に応じた表示内容をディスプレイ141に表示させ、振動制御部132は、受信感度に応じて振動素子142を振動させ、音声制御部133は、受信感度に応じた音声をスピーカ143から出力させ、発光制御部134は、受信感度に応じて発光素子144を発光させる。
【0029】
ここで、図3に示す報知データテーブルの内容を参照しながら、本移動体端末1における報知内容について説明する。報知データ番号「1」の報知データ(以下、適宜「報知データ1」という。)においては、報知要素としてメインディスプレイ1411が設定され、報知形態として文字表示が設定されている。このため、例えば、入力部16により報知データ1が選択された場合には、受信感度に応じてメインディスプレイ1411に異なる態様で文字表示が行われる。報知内容としては、受信感度が通信不能レベルの場合には文字表示を行わず、通信準備レベルの場合には「準備中」の文字を表示する一方、通信可能レベルの場合には「準備完了」の文字を表示する内容が設定されている。これにより、ユーザは、メインディスプレイ1411の文字表示を確認することで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。なお、報知データ2については、報知要素がサブディスプレイ1412である点を除き、報知データ1と同一である。
【0030】
報知データ3においては、報知要素として振動素子142が設定され、報知形態として振動が設定されている。このため、例えば、入力部16により報知データ3が選択された場合には、受信感度に応じて振動素子142が異なった態様で振動する。報知内容としては、受信感度が通信不能レベルの場合には振動を行わず、通信準備レベルの場合には「0.5秒間隔」で振動素子142を振動させる一方、通信可能レベルの場合には「1.0秒間隔」で振動素子142を振動させる内容が設定されている。これにより、ユーザは、振動素子142の振動を確認することで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0031】
報知データ4においては、報知要素としてスピーカ143が設定され、報知形態としてメロディ出力が設定されている。このため、例えば、入力部16により報知データ4が選択された場合には、受信感度に応じてスピーカ143から異なる態様でメロディ出力が行われる。報知内容としては、受信感度が通信不能レベルの場合にはメロディ出力を行わず、通信準備レベルの場合には「小音量」でメロディ出力を行う一方、通信可能レベルの場合には「大音量」でメロディ出力を行う内容が設定されている。これにより、ユーザは、スピーカ143からのメロディ出力を確認することで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0032】
報知データ5においては、報知要素として発光素子144が設定され、報知形態として発光が設定されている。このため、例えば、入力部16により報知データ5が選択された場合には、受信感度に応じて発光素子144が異なる態様で発光する。報知内容としては、受信感度が通信不能レベルの場合には発光を行わず、通信準備レベルの場合には「赤色」に発光素子144を発光させる一方、通信可能レベルの場合には「青色」に発光素子144を発光させる内容が設定されている。これにより、ユーザは、発光素子144における発光色を確認することで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0033】
また、報知データテーブルに登録される報知データにおいては、2種類以上の報知形態を組み合わせることも可能である。例えば、報知データ6においては、報知要素としてサブディスプレイ1412及びスピーカ143が設定され、報知形態として文字表示及びメロディ出力が設定されている。このため、例えば、入力部16により報知データ6が選択された場合には、受信感度に応じてサブディスプレイ1412に異なる態様で文字表示が行われると共に、スピーカ143から異なる態様でメロディ出力が行われる。報知内容としては、受信感度が通信不能レベルの場合には文字表示及びメロディ出力を行わず、通信準備レベルの場合には「準備中」の文字を表示すると共に「小音量」でメロディ出力を行う一方、通信可能レベルの場合には「準備完了」の文字を表示すると共に「大音量」でメロディ出力を行う内容が設定されている。これにより、ユーザは、サブディスプレイ1412の表示と共にスピーカ143からのメロディ出力を確認することで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0034】
なお、図3に示す報知データの内容は一例を示したものであり、ユーザに対して受信感度を分かり易く報知することを目的として適宜変更が可能である。図3に示す例でいえば、受信感度に応じてメインディスプレイ1411に表示される文字(報知データ1)、振動素子142を振動させる時間(報知データ2)、スピーカ143から出力させる音声等(報知データ3)、発光素子144による発光色(報知データ4)などについて任意に設定することが可能である。特に、報知の態様として好適なディスプレイ141については、文字だけでなく画像を組み合わせた態様や、画像のみの態様で受信感度に応じた内容をユーザに報知することも可能である。これらの報知内容を、入力部16を用いてユーザから任意に設定するようにすることも可能である。
【0035】
また、図3においては、2つの閾値データを設定した場合について示しているが、閾値データの設定数についても適宜変更が可能である。複数の閾値データを設定する際には、その設定数に応じて報知内容を設定することが好ましい。例えば、図3に示すように、複数の閾値データを設定しておき、受信感度が最も良好となる外部R/W2上の位置に移動体端末1を導くような報知内容を設定することは実施の形態として好ましい。このような報知内容を設定した場合には、当該報知内容を通じて外部R/W2からの電磁波を適切に受信できる位置に移動体端末1を導くことが可能となるので、ユーザにおいて当該位置を簡単且つ確実に把握することが可能となる。
【0036】
受信感度が最も良好となる外部R/W2上の位置に移動体端末1を導く報知内容としては、サブディスプレイ1412における文字表示の場合には、受信感度が最も良好な外部R/W2上の位置までの距離に応じてその文字表示を変化させることが考えられる。この場合、受信感度が良好な最も良好な外部R/W2上の位置に到達するまでの残りの距離(例えば、「残り2cm」など)等の文字表示を行うことが想定される。このような報知内容を設定した場合、距離に対応する報知内容を通じて外部R/W2からの電磁波を適切に受信できる位置に移動体端末1を導くことが可能となるので、ユーザは、サブディスプレイ1412の表示を確認することで、当該位置までの距離を一見して認識でき、当該位置をより簡単且つ確実に把握することが可能となる。なお、ここでは、受信感度が最も良好となる外部R/W2上の位置に移動体端末1を導く報知内容の例として、報知形態がサブディスプレイ1412における文字表示の場合について示しているが、報知部14における他の構成要素に適用することが可能である。例えば、報知形態がスピーカ4における音声出力の場合には、受信感度が良好な最も良好な外部R/W2上の位置に到達するまでの残りの距離(例えば、「残り2cm」など)等の音声出力を行うことなどが考えられる。
【0037】
次に、上記構成を有する移動体端末装置において受信感度をユーザに報知する場合の処理について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る移動体端末装置において受信感度をユーザに報知する処理を説明するためのシーケンス図である。
【0038】
移動体端末1において、ICカード部12は、常時、店舗等に配設された外部R/W2から発信される電磁波を待機した状態となっており、制御部11は、外部R/W2からの電磁波に応じてICカード部12のコイルに流れる電流量を監視することで、外部R/W2から電磁波を受信したか監視している(ST1)。電磁波を受信したと判定すると、制御部11は、記憶部15から閾値データ(ここでは、第1閾値データ及び第2閾値データ)を読み出す(ST2)。そして、外部R/W2から受信した電磁波に応じて決定される受信感度を判定する(ST3)。具体的には、外部R/W2から受信した電磁波によりICカード部12のコイルに流れる電流量と、第1閾値データ及び第2閾値データに設定された電流量とを比較することで受信感度を判定する。
【0039】
受信感度を判定した後、制御部11は、記憶部15から報知データを読み出す(ST4)。そして、この読み出した報知データから報知要素及び報知内容を抽出し、抽出した報知要素に対応する報知制御部13内の該当制御部に判定結果に応じた報知内容を通知する(ST5)。報知制御部13内の該当制御部は、制御部11から通知された報知内容に応じて、管理下の報知要素の報知制御を行う(ST6)。具体的には、管理下の報知要素に対して判定結果に応じた報知内容の報知を指示する(報知指示)。報知指示を受けた報知要素は、この報知指示に含まれる報知内容に応じて報知処理を行う(ST7)。移動体端末1においては、このような電磁波の受信から報知処理までの処理を、電磁波を受信している間、継続する。ユーザは、このようにして報知される報知内容を確認しながら、移動体端末1の位置を移動させることで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0040】
ここで、図4に示すシーケンスに従って報知される内容について図3に示す報知データ、並びに、図5及び図6を用いて具体的に説明する。なお、ここでは、図3に示す報知データ2がユーザにより選択された場合について説明するものとする。
【0041】
図5は、外部R/W2の外観について示す図であり、図6は、閉じた状態における移動体端末1の外観について示す図である。図5に示すように、外部R/W2の表面中央には、移動体端末1をかざす目標とされるマーク21が付されている。また、外部R/W2の表面近傍には、マーク21を中心として、移動体端末1における受信感度が通信可能レベルとなる領域(通信可能レベル領域)22が形成され、この通信可能レベル領域22の外側に、受信感度が通信準備レベルとなる領域(通信準備レベル領域)23が形成され、この通信準備レベル領域24の外側に、受信感度が通信不能レベルとなる領域(通信不能レベル領域)24が形成されている。また、移動体端末1の外面には、図6(a)に示すように、サブディスプレイ1412が配設されると共に、その近傍に発光素子144及び撮像素子Cが配設されている。
【0042】
図4に示すシーケンスに従って処理を行う過程で、ST3にて移動体端末1における受信感度の判定を行うと、制御部11は、記憶部15から報知データを読み出し(ST4)、当該報知データから報知要素及び報知内容を抽出する。ここでは、報知データ2が読み出され、報知要素としてサブディスプレイ1412、報知内容として各受信感度に応じた文字情報が抽出される。そして、制御部11は、サブディスプレイ1412に対応する表示制御部131に受信感度の判定結果に応じた報知内容を通知する(ST5)。すなわち、受信感度が通信不能レベルの場合には、表示対象となる文字情報がない旨を通知し、通信準備レベルの場合には、表示対象となる文字情報が「準備中」である旨を通知し、通信可能レベルの場合には、表示対象となる文字情報が「準備完了」である旨を通知する。
【0043】
報知内容の通知を受けると、表示制御部131は、その報知内容に応じてサブディスプレイ1412の表示を制御する(ST6)。具体的には、受信感度の判定結果に応じた報知内容の表示を指示する。この指示を受けたサブディスプレイ1412は、当該指示に含まれる報知内容を表示する(ST7)。例えば、移動体端末1が図5に示す通信不能レベル領域24に位置する場合には、図6(a)に示すように、サブディスプレイ1412には文字表示が行われることはない。そして、移動体端末1が図5に示す通信準備レベル領域23内に移動した場合には、図6(b)に示すように、サブディスプレイ1412には「準備中」の文字表示が行われることとなる。さらに、移動体端末1が図5に示す通信可能レベル領域22内に移動した場合には、図6(c)に示すように、サブディスプレイ1412には「準備完了」の文字表示が行われることとなる。したがって、ユーザは、このようなサブディスプレイ1412上の文字表示を確認しながら移動体端末1の外部R/W2上の位置を移動させることで、移動体端末1における受信感度が良好な外部R/W2上の位置を把握することが可能となる。
【0044】
このように本実施の形態に係る移動体端末1においては、外部R/W2からの電磁波を受信し、当該電磁波に応じた自装置の受信感度を判定し、その受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知するようにしたので、受信感度に応じて報知内容を設定しておくことで、外部R/W2からの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに把握させることが可能となる。そして、当該位置で外部R/W2との通信を行うことで、後続するサービス提供に必要な情報を不備なく交換可能となるので、ユーザにおいて迅速且つ確実にサービスを利用することが可能となる。
【0045】
特に、本実施の形態に係る移動体端末1においては、自装置の受信感度が最も良好となる外部R/W2上の位置を把握可能な内容(例えば、図3に示す報知データ1の「準備完了」など)を報知するようにしている。これにより、当該報知内容に応じて外部R/W2からの電磁波を適切に受信できる位置をユーザに確実に把握させることが可能となる。
【0046】
なお、上記実施の形態においては、ユーザに報知する内容として、移動体端末1における受信感度に応じた内容をユーザに報知する場合について説明している。しかし、ユーザに報知する内容としては、受信感度に応じた内容に限らず、後続するサービス内容に応じた情報を含めるようにしても良い。例えば、後続するサービス内容が電子決済サービスであって、移動体端末1における受信感度の報知をサブディスプレイ1412で行う場合(ここでは、図6を想定)には、図6(c)に示す文字表示の代わりに図7に示すように、電子決済サービスで利用可能な残高等の情報を表示するようにしても良い。この場合には、移動体端末1における受信感度の良好な外部R/W2上の位置を把握することができると共に、後続するサービス内容に応じた情報も確認することができることから、ユーザにおける確認処理の回数を減らすことが可能となるので、より非接触カード機能の利用時における操作性の向上することが可能となる。
【0047】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態においては、非接触カード機能がフェリカである場合について説明しているが、本発明は非接触カード機能がフェリカ以外の非接触カード機能である場合にも同様に適用することができる。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0048】
例えば、上記実施の形態においては、移動体端末装置にサービス提供を行うサービス提供者の店舗等に配設された外部R/W2からの電磁波に応じて判定した自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知する場合について示しているが、外部R/W2の態様について、これに限定されるものではなく、この他の態様にも適用可能である。例えば、当該外部R/W2と同様のリーダライタ(R/W)機能が移動体端末装置等に搭載される態様においても適用可能である。この場合には、移動体端末装置間で非接触ICカード機能を用いて情報通信等を行う場合において、互いに受信感度の良好な位置を把握でき、適切にその情報通信を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置の非接触カード機能を用いたサービス提供システムの概略構成を示す図である。
【図2】上記実施の形態に係る移動体端末装置の概略構成を示す図である。
【図3】上記実施の形態に係る移動体端末装置が有する記憶部で管理される報知データテーブルの一例を示す図である。
【図4】上記実施の形態に係る移動体端末装置において受信感度をユーザに報知する処理を説明するためのシーケンス図である。
【図5】上記実施の形態に係る外部R/Wの外観について示す図である。
【図6】上記実施の形態に係る移動体端末の閉じた状態における外観であって、各種報知内容をサブディスプレイで表示した状態について示す図である。
【図7】上記実施の形態に係る移動体端末の閉じた状態における外観であって、報知内容の変形例をサブディスプレイで表示した状態について示す図である
【符号の説明】
【0050】
1 移動体端末
2 外部R/W
3 サービス提供装置
11 制御部
12 ICカード部
13 報知制御部
14 報知部
15 記憶部
16 入力部
17 通信制御部
18 アンテナ
121 非接触ICチップ
122 コントローラ
131 表示制御部
132 振動制御部
133 音声制御部
134 発光制御部
141 ディスプレイ
142 振動素子
143 スピーカ
144 発光素子
1411 メインディスプレイ
1412 サブディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部のリーダライタと非接触で通信を行う移動体端末装置であって、前記リーダライタからの電磁波を受信する受信手段と、前記電磁波に応じた自装置の受信感度を判定する判定手段と、前記自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知する報知手段と、を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置を把握可能な内容を報知することを特徴とする請求項1記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置に自装置を導く内容を報知することを特徴とする請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置までの距離に対応する内容を報知することを特徴とする請求項3記載の移動体端末装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記自装置の受信感度に応じた内容を表示する表示手段、前記自装置の受信感度に応じて振動する振動手段、前記自装置の受信感度に応じた音声を出力する音声出力手段又は前記自装置の受信感度に応じて発光する発光手段のいずれか又はこれらの組合せを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動体端末装置。
【請求項6】
外部のリーダライタと非接触で通信を行う移動体端末装置における受信感度報知方法であって、前記リーダライタからの電磁波を受信し、前記電磁波に応じた自装置の受信感度を判定し、前記自装置の受信感度に応じて異なる内容をユーザに報知することを特徴とする受信感度報知方法。
【請求項7】
前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置を把握可能な内容を報知することを特徴とする請求項6記載の受信感度報知方法。
【請求項8】
前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置に自装置を導く内容を報知することを特徴とする請求項7記載の受信感度報知方法。
【請求項9】
前記自装置の受信感度が最も良好となる前記リーダライタ上の位置までの距離に対応する内容を報知することを特徴とする請求項8記載の受信感度報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−74102(P2007−74102A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256348(P2005−256348)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】