説明

移動機及び通信接続方法

【課題】パケット交換ドメインのみで構成される移動通信システムによって形成されるセルに在圏する場合において、当該セルにおいてパケット通信規制が行われている場合でも、従来の回線交換型の通信サービスも規制されてしまうことを防止できる移動機及び通信接続方法を提供する。
【解決手段】移動機300は、移動機が在圏する在圏移動通信システムによって形成される在圏セルのパケット通信規制を含む報知情報を、在圏移動通信システムから受信する報知情報受信部301と、受信した報知情報に基づいて移動通信システムでのパケット通信規制の有無を検出する規制検出部303と、検出されたパケット通信規制に基づいて、回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択するRAT選択部305と、選択された無線アクセス技術に基づいて、接続すべき移動通信システムを決定し、回線交換型通信サービスの接続要求を送信する接続要求送信部307とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセス技術(RAT)が異なる複数の移動通信システムに接続可能な移動機及び通信接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)では、3G(W-CDMA)やLong Term Evolution(LTE)など、無線アクセス技術(RAT)が異なる複数の移動通信システムに関する仕様が規定されている。LTEは、回線交換ドメイン(CSドメイン)は用いられず、パケット交換ドメイン(PSドメイン)のみで構成される。
【0003】
しかしながら、LTEの導入当初から暫くの間においては、LTEが展開されるエリアの広さや設備計画などの理由から、3GとLTEとを併用したサービスの提供が予定されている。
【0004】
具体的には、音声通信など、従来CSドメインの機能を用いて提供されていたサービスは、3GのCSドメインを活用することが検討されている。そこで、LTEのネットワークで待ち受けを行っている移動機であっても、当該サービスを利用する場合には、3GのCSドメインに切り替えるCSフォールバックが規定されている(例えば、非特許文献1)。
【0005】
また、LTEにおいてアクセス規制、具体的にはパケット通信が規制されるパケット通信規制が行われている場合、移動機は、LTEによって形成されるセル(以下、LTEセル)に在圏できないため、別のセル(パケット通信規制が行われていないLTEセル、または別のRATを用いる移動通信システム(例えば、3G)のセル)をサーチすることも3GPPにおいて規定されている。このようなアクセス規制の種別としては、設備などの工事に伴う工事中規制、アクセスを一切許可しないアクセス不可規制、及び特定のアクセスクラスについて規制するアクセスクラス規制などが挙げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 23.272, Circuit Switched (CS) fallback in Evolved Packet System (EPS); Stage 2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したようなアクセス規制、具体的にはパケット通信が規制されるパケット通信規制が行われている場合、当該パケット通信規制が行われているLTEセルに移動機が在圏すると、音声通信の発着信など、従来の回線交換型通信サービスも規制されてしまうことになり、サービス性が著しく低下する。
【0008】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、パケット交換ドメインのみで構成される移動通信システムによって形成されるセルに在圏する場合において、当該セルにおいてパケット通信規制が行われている場合でも、従来の回線交換型の通信サービスも規制されてしまうことを防止できる移動機及び通信接続方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、無線アクセス技術が異なる複数の移動通信システム(LTEシステム10、3Gシステム20)に接続可能な移動機(移動機300)であって、前記移動機が在圏する在圏移動通信システム(LTEシステム10)によって形成される在圏セルを経由したパケット通信が規制されていることを示すパケット通信規制を含む報知情報を、前記在圏移動通信システムから受信する報知情報受信部(報知情報受信部301)と、前記報知情報受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無を検出する規制検出部(規制検出部303)と、前記規制検出部によって検出された前記パケット通信規制に基づいて、回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択する選択部(RAT選択部305)と、前記選択部によって選択された前記無線アクセス技術に基づいて、接続すべき移動通信システムを決定し、決定した前記移動通信システムに対して前記回線交換型通信サービスの接続要求を送信する接続要求送信部(接続要求送信部307)とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第1の特徴において、前記規制検出部は、前記移動機が接続可能であって前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システム(3Gシステム20)のセルを経由した前記回線交換型通信サービスの規制の有無をさらに検出し、前記選択部は、前記規制検出部によって検出された前記在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無、及び前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システムのセルにおける前記回線交換型通信サービスの規制の有無に基づいて、前記回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択してもよい。
【0011】
本発明の第1の特徴において、前記報知情報は、前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システムによって前記在圏セルの周辺に形成される周辺セル(3Gセル)を経由した前記回線交換型通信サービスの規制の有無を示す情報を含み、前記選択部は、前記規制検出部によって検出された前記在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制、及び前記周辺セルにおける前記回線交換型通信サービスの規制の有無に基づいて、前記回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択してもよい。
【0012】
本発明の第1の特徴において、前記接続要求送信部は、前記選択部によって選択された前記無線アクセス技術を用いてVoice over IPによる音声通信が実行できるか否かを判定し、前記Voice over IPによる音声通信が実行できる場合、決定した前記移動通信システムに対して前記Voice over IPによる音声通信の接続要求を送信し、前記Voice over IPによる音声通信が実行できない場合、決定した前記移動通信システムに対して回線交換呼による音声通信の接続要求を送信してもよい。
【0013】
本発明の第2の特徴は、無線アクセス技術が異なる複数の移動通信システムに接続可能な移動機における通信接続方法であって、前記移動機が在圏する在圏移動通信システムによって形成される在圏セルを経由したパケット通信が規制されていることを示すパケット通信規制を含む報知情報に基づいて、前記移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無を検出するステップと、検出された前記パケット通信規制に基づいて、回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択するステップと、選択された前記無線アクセス技術に基づいて、接続すべき移動通信システムを決定し、決定した前記移動通信システムに対して前記回線交換型通信サービスの接続要求を送信するステップとを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の特徴によれば、パケット交換ドメインのみで構成される移動通信システムによって形成されるセルに在圏する場合において、当該セルにおいてパケット通信規制が行われている場合でも、従来の回線交換型の通信サービスも規制されてしまうことを防止できる移動機及び通信接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る移動機300の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るeNodeB 150の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動機300の移動通信システムへの接続動作例1に係るフローである。
【図5】本発明の実施形態に係る移動機300の移動通信システムへの接続動作例2に係るフローである。
【図6】本発明の実施形態に係る移動機300の移動通信システムへの接続動作例3に係るフローである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0017】
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
(1)移動通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る移動通信システムの全体概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、LTEシステム10と、3Gシステム20とによって構成される。LTEシステム10は、パケット交換(PS)ドメインのみで構成される。一方、3Gシステム20は、PSドメイン及び回線交換(CS)ドメインによって構成される。
【0019】
LTEシステム10は、Long Term Evolution(LTE)方式に従った移動通信システムである。3Gシステム20は、3G方式(W-CDMA)に従った移動通信システムである。すなわち、LTEシステム10と3Gシステム20とでは、使用する無線通信技術(RAT)が異なっている。
【0020】
本実施形態では、LTEシステム10での音声通信やテレビ電話には、Voice over IP(VoIP)が用いられるものとし、3Gシステム20での音声通信などには、回線交換(CS)を用いるものとする。
【0021】
LTEシステム10は、ネットワーク装置100及びeNodeB 150を含む。3Gシステム20は、ネットワーク装置200、RNC 210及びNodeB 250を含む。移動機300は、複数の移動通信システム(LTEシステム10、3Gシステム20)に接続することができる。
【0022】
ネットワーク装置100は、eNodeB 150と接続される。ネットワーク装置200は、NodeB 250と接続される。また、ネットワーク装置100とネットワーク装置200とは、相互に接続され、コアネットワーク(不図示)上に設けられる。ネットワーク装置100とネットワーク装置200とは、LTEシステム10と3Gシステム20との間において音声通信などの通信信号や制御信号を送受信する。
【0023】
eNodeB 150は、LTE方式に従った無線アクセスベアラ(RAB)を移動機300と設定し、無線通信を実行する無線基地局である。具体的には、eNodeB 150は、パケット通信用のRABであるPSベアラを移動機300と設定する。
【0024】
RNC 210は、NodeB 250を介して移動機300を制御する。NodeB 250は、3G方式に従った無線アクセスベアラ(RAB)を移動機300と設定し、無線通信を実行する無線基地局である。具体的には、NodeB 250は、パケット通信用のRABであるPSベアラ、または回線交換用のRABであるCSベアラを移動機300と設定する。
【0025】
(2)移動機の機能ブロック構成
図2は、移動機300の機能ブロック図である。図2に示すように、移動機300は、報知情報受信部301、規制検出部303、RAT選択部305及び接続要求送信部307を備える。
【0026】
報知情報受信部301は、LTEシステム10及び3Gシステム20から送信される各種の報知情報を受信する。特に、報知情報受信部301は、移動機300が在圏する在圏移動通信システム(例えば、LTEシステム10)によって形成される在圏セル(LTEセル、図1参照)を経由したパケット通信が規制されていることを示すパケット通信規制を含む報知情報を、当該在圏移動通信システムから受信する。
【0027】
パケット通信規制とは、アクセス規制の一種であり、LTEシステム10全体または特定のLTEセルにおいてIPパケットによる通信(VoIPを含む)が規制されている状態を意味する。パケット通信規制が行われる理由としては、設備などの工事に伴う工事中規制、アクセスを一切許可しないアクセス不可規制、及び特定のアクセスクラスについて規制するアクセスクラス規制などが挙げられる。
【0028】
また、このようなパケット通信規制を含む報知情報は、在圏移動通信システム(LTEシステム10)と異なる無線アクセス技術(RAT)を用いた移動通信システム(3Gシステム20)によって在圏セル(LTEセル)の周辺に形成される周辺セル(3Gセル)を経由したパケット通信規制が行われていないことを示す情報や、回線交換型通信サービスの規制の有無を示す情報を含んでもよい。
【0029】
なお、パケット通信規制などの情報は、例えば、LTEシステム10では報知情報のSIB2(System Information Block Type 2)、3Gシステム20では同SIB3(System Information Block Type 3)を用いて送信することができる。
【0030】
規制検出部303は、LTEシステム10及び3Gシステム20において行われているアクセス規制を検出する。特に、本実施形態では、規制検出部303は、報知情報受信部301が受信した報知情報に基づいて、移動通信システム(LTEシステム10または3Gシステム20)のセルにおけるパケット通信規制の有無を検出する。
【0031】
具体的には、規制検出部303は、報知情報受信部301が受信した報知情報のSIB3またはSIB2を検出し、移動通信システムのセル(または当該移動通信システム全体)におけるパケット通信規制の有無を検出する。
【0032】
また、規制検出部303は、移動機300が接続可能であって、移動機300が在圏している在圏移動通信システムと異なるRATを用いた移動通信システム(例えば、3Gシステム20)のセルを経由した回線交換型通信サービスの規制の有無をさらに検出することもできる。なお、回線交換型通信サービスとは、例えば、音声通信、ISDNによるテレビ電話及びShort Message Service(SMS)である。このような回線交換型通信サービスをPSドメイン経由で伝送するためには、VoIPを用いてIPパケットに伝送すべき情報を変換する必要がある。
【0033】
具体的には、規制検出部303は、セルサーチを実行し、在圏セル(例えば、LTEセル)の周辺に形成されている3Gセルからの報知情報を受信し、当該3Gセルを経由した回線交換型通信サービスの規制の有無を検出する。
【0034】
RAT選択部305は、規制検出部303によって検出されたパケット通信規制に基づいて、パケット通信を実行する場合に用いるRATを選択する。例えば、RAT選択部305は、LTEシステム10においてパケット通信規制が行われている場合、LTEシステム10と異なるRATを用いる3Gシステム20を経由してパケット通信を実行することを決定し、パケット通信を実行する場合に用いるRATとして、3G方式を選択する。反対に、RAT選択部305は、3Gシステム20においてパケット通信規制が行われている場合、3Gシステム20と異なるRATを用いるLTEシステム10を経由してパケット通信を実行することを決定し、パケット通信を実行する場合に用いるRATとして、LTE方式を選択する。
【0035】
また、RAT選択部305は、規制検出部303によって検出された在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制に加え、在圏移動通信システムと異なるRATを用いた移動通信システム(3Gシステム20)のセルにおける回線交換型通信サービスの規制に基づいて、パケット通信を実行する場合に用いるRATを選択することができる。
【0036】
具体的には、RAT選択部305は、在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制が行われている場合、在圏移動通信システムと異なるRATを用いた移動通信システムのセル(または当該移動通信システム全体)において回線交換型通信サービスの規制が行われていないことを、在圏移動通信システムから送信されている報知情報に含まれる回線交換型通信サービスの規制の有無を示す情報に基づいて判定する。なお、回線交換型通信サービスの規制の有無を示す情報については、パケット通信規制などの情報と同様に、LTEシステム10では報知情報のSIB2、3Gシステム20では同SIB3を用いて送信することができる。
【0037】
RAT選択部305は、当該移動通信システムにおいて回線交換型通信サービスの規制が行われていないことを判定した場合、当該移動通信システムが用いるRATを、パケット通信を実行する場合に用いるRATとして選択する。
【0038】
さらに、RAT選択部305は、規制検出部303によって検出された在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制に加え、在圏セルの周辺に位置する周辺セルにおける回線交換型通信サービスの規制に基づいて、パケット通信を実行する場合に用いるRATを選択することもできる。
【0039】
具体的には、RAT選択部305は、在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制が行われている場合、上述したようにセルサーチを実行し、周辺セルを経由した回線交換型通信サービスの規制の有無を検出し、周辺セルにおいて回線交換型通信サービスの規制が行われていないことを判定する。RAT選択部305は、周辺セルにおいて回線交換型通信サービスの規制が行われていないことを判定した場合、周辺セルを形成する移動通信システムが用いるRATを、パケット通信を実行する場合に用いるRATとして選択する。
【0040】
接続要求送信部307は、RAT選択部305によって選択されたRATに基づいて、接続すべき移動通信システムを決定する。さらに、接続要求送信部307は、パケット通信の要求が発生した場合、決定した移動通信システムに対して回線交換型通信サービスの接続要求を送信する。
【0041】
また、接続要求送信部307は、RAT選択部305によって選択されたRATを用いてVoIPによる音声通信(及びSMSなど)が実行できるか否かを判定することもできる。接続要求送信部307は、VoIPよる音声通信が実行できる場合、決定した移動通信システムに対してVoIPによる音声通信の接続要求を送信する。一方、VoIPによる音声通信が実行できない場合、接続要求送信部307は、決定した移動通信システムに対して回線交換(CS)呼による音声通信の接続要求を送信する。
【0042】
(3)無線基地局の機能ブロック構成
図3は、eNodeB 150の機能ブロック図である。図3に示すように、eNodeB 150は、規制情報取得部151及び報知情報送信部153を備える。
【0043】
規制情報取得部151は、eNodeB 150の上位に位置するネットワーク装置100からLTEシステム10(または特定のセル)におけるアクセス規制情報を取得する。また、規制情報取得部151は、3Gシステム20(または特定セル)におけるアクセス規制情報を取得する。なお、アクセス規制情報には、上述したようにパケット通信規制が含まれる。
【0044】
報知情報送信部153は、規制情報取得部151が取得したアクセス規制情報に基づいて、当該アクセス規制情報を含む報知情報をLTEセルに向けて送信する。パケット通信規制を含む報知情報は、上述したように、LTEシステム10では報知情報のSIB2、3Gシステム20では同SIB3を用いて送信することができる。
【0045】
(4)移動機の動作
次に、図4〜図6を参照して、上述した移動機300の動作例1〜3について説明する。
【0046】
(4.1)動作例1
図4は、移動機300の移動通信システムへの接続動作例1に係るフローである。接続動作例1は、パケット通信が規制されている移動通信システム(RAT Aと標記)から音声発信を行う場合である。
【0047】
図4に示すように、移動機300は、RAT A(例えば、LTE)の無線基地局から在圏セルにおけるアクセス規制情報(パケット通信規制)を受信する(S10)。移動機300は、受信したアクセス規制情報に基づいて、RAT Aにおいてパケット通信規制が行われていることを認識し、在圏セルの周辺に形成されている周辺セルのサーチを実行する(S20)。なお、周辺セルは、在圏セルと一部或いはすべての領域が重複していてもよい。移動機300は、セルサーチにより、RAT Aと異なるRAT B(例えば、3G)における回線交換型通信サービスの規制(音声サービス規制)の有無を判定する。
【0048】
移動機300は、回線交換型通信サービスの規制が行われている場合、音声通信による発信を行わず、RAT Aへの在圏を継続する(S30)。一方、移動機300は、回線交換型通信サービスの規制が行われていない場合、RAT Bにおける回線交換型通信サービス(音声サービス)の提供状況を判定する(S40)。具体的には、移動機300は、RAT BにおいてVoIPがサポートされているか否かを判定する。
【0049】
移動機300は、RAT BにおいてVoIPがサポートされている場合、RAT Bを用いてVoIPによる音声通信を開始する(S50)。
【0050】
一方、移動機300は、RAT BにおいてVoIPがサポートされていない場合、RAT BにCSフォールバック(CSFB)を行い、RAT B、つまり、3Gシステム20に対して回線交換呼による音声通信の接続要求を送信する(S60)。移動機300は、その後、RAT Bを用いて回線交換呼による音声通信を開始する(S70)。
【0051】
(4.2)動作例2
図5は、移動機300の移動通信システムへの接続動作例2に係るフローである。以下、上述した接続動作例1との相違点について主に説明する。本接続動作例では、移動機300は、在圏するRAT Aの無線基地局から、RAT Aに加えてRAT Bのアクセス規制に関する情報を取得する(S110)。具体的には、移動機300は、RAT A及びRAT Bにおけるアクセス規制情報を含む報知情報をRAT Aの無線基地局(例えば、eNodeB 150)から受信する。
【0052】
移動機300は、受信した報知情報に基づいて、回線交換型通信サービスの規制(音声サービス規制)が行われていない周辺セルの存在の有無を判定する(S120)。
【0053】
ステップS130〜S170の処理は、上述した接続動作例1のステップS30〜S70と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
接続動作例2によれば、移動機300がセルサーチを実行する接続動作例1と比較して、速やかに周辺セルに移動機300を遷移させることが可能となる。
【0055】
(4.3)動作例3
図6は、移動機300の移動通信システムへの接続動作例3に係るフローである。以下、上述した接続動作例1との相違点について主に説明する。本接続動作例は、移動機300が音声通信の着信動作を示す。
【0056】
図6に示すように、移動機300は、RAT A(例えば、LTE)の無線基地局から在圏セルにおけるアクセス規制情報(パケット通信規制)を受信する(S210)。この動作は、接続動作例1のステップS10と同様である。移動機300は、RAT A(LTEシステム10)に在圏した状態において、音声通信の着信を受け付ける(S220)。
【0057】
移動機300は、RAT Aではパケット通信規制が行われていることにより音声通信が実行できないため、在圏セルの周辺に形成されている周辺セルのサーチを実行する(S230)。さらに移動機300は、セルサーチにより、RAT Aと異なるRAT B(例えば、3G)における回線交換型通信サービスの規制(音声サービス規制)の有無を判定する。この動作は、接続動作例1のステップS20と同様である。
【0058】
以下、移動機300は、上述した接続動作例1の発信と同様に、ステップS240〜S280の処理を実行する。
【0059】
(5)作用・効果
本実施形態に係る移動機300によれば、報知情報受信部301が受信した前記報知情報に基づいて、移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無が検出される。また、検出されたパケット通信規制に基づいて、音声通信など回線交換型通信サービスを実行する場合に用いるRATが選択され、接続すべき移動通信システムが決定される。
【0060】
このため、パケット通信規制が行われているセル(LTEセル)に移動機300が在圏すると、音声通信の発着信など、従来の回線交換型通信サービスも規制されてしまうことになり、サービス性が著しく低下するといった問題を解消することができる。
【0061】
本実施形態では、在圏移動通信システム(例えば、LTEシステム10)から報知される報知情報に、在圏移動通信システムと異なるRATを用いた移動通信システム(3Gシステム20)によって在圏セルの周辺に形成される周辺セル(3Gセル)を経由した回線交換型通信サービスの規制が行われていないことを示す情報を含めることができる。このため、移動機300がセルサーチを実行する場合と比較して、速やかに周辺セルに移動機300をCSフォールバックにより遷移させることが可能となる。
【0062】
本実施形態では、移動機300は、VoIPによる音声通信が実行できる場合、接続先として決定した移動通信システムに対してVoIPによる音声通信の接続要求を送信する。一方、移動機300は、VoIPによる音声通信が実行できない場合、接続先として決定した移動通信システムに対して回線交換呼による音声通信の接続要求を送信すする。このため、VoIPを用いることができる場合にはIPパケットを伝送するPSドメインを優先的に活用することができる。
【0063】
すなわち、移動機300によれば、LTEシステム10において、パケット通信やVoIPが規制されている場合でも、移動機300を3Gシステム20にCSフォールバックによって遷移させることができ、既存のCSフォールバックの機能を使いつつ、サービス性の低下を簡易かつ確実に抑制し得る。
【0064】
(6)その他の実施形態
上述したように、本発明の一実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態が明らかとなろう。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、移動機300は、VoIPによる音声通信が実行できる場合、接続先として決定した移動通信システムに対してVoIPによる音声通信の接続要求を送信する形態としたが、このような機能は、必ずしも実装されていなくても構わない。
【0066】
また、上述した実施形態では、周辺セルの状態を報知情報またはセルサーチによって取得していたが、このような動作を行わず、在圏セルにおいてパケット通信規制が行われている場合には、即座に移動機300をCSフォールバックにより該当するRAT、つまり、3Gシステム20に遷移するようにしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、3GとLTEとを例として説明したが、本発明は、3GやLTE以外の無線アクセス技術(例えば、GSMや無線LAN)にも勿論適用することができる。
【0068】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0069】
10…LTEシステム
20…3Gシステム
100…ネットワーク装置
150…eNodeB
151…規制情報取得部
153…報知情報送信部
200…ネットワーク装置
210…RNC
250…NodeB
300…移動機
301…報知情報受信部
303…規制検出部
305…RAT選択部
307…接続要求送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線アクセス技術が異なる複数の移動通信システムに接続可能な移動機であって、
前記移動機が在圏する在圏移動通信システムによって形成される在圏セルを経由したパケット通信が規制されていることを示すパケット通信規制を含む報知情報を、前記在圏移動通信システムから受信する報知情報受信部と、
前記報知情報受信部が受信した前記報知情報に基づいて、前記移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無を検出する規制検出部と、
前記規制検出部によって検出された前記パケット通信規制に基づいて、回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択する選択部と、
前記選択部によって選択された前記無線アクセス技術に基づいて、接続すべき移動通信システムを決定し、決定した前記移動通信システムに対して前記回線交換型通信サービスの接続要求を送信する接続要求送信部と
を備える移動機。
【請求項2】
前記規制検出部は、前記移動機が接続可能であって前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システムのセルを経由した前記回線交換型通信サービスの規制の有無をさらに検出し、
前記選択部は、前記規制検出部によって検出された前記在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無、及び前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システムのセルにおける前記回線交換型通信サービスの規制の有無に基づいて、前記回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択する請求項1に記載の移動機。
【請求項3】
前記報知情報は、前記在圏移動通信システムと異なる無線アクセス技術を用いた移動通信システムによって前記在圏セルの周辺に形成される周辺セルを経由した前記回線交換型通信サービスの規制の有無を示す情報を含み、
前記選択部は、前記規制検出部によって検出された前記在圏移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無、及び前記周辺セルにおける前記回線交換型通信サービスの規制の有無に基づいて、前記回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択する請求項1に記載の移動機。
【請求項4】
前記接続要求送信部は、
前記選択部によって選択された前記無線アクセス技術を用いてVoice over IPによる音声通信が実行できるか否かを判定し、
前記Voice over IPによる音声通信が実行できる場合、決定した前記移動通信システムに対して前記Voice over IPによる音声通信の接続要求を送信し、
前記Voice over IPによる音声通信が実行できない場合、決定した前記移動通信システムに対して回線交換呼による音声通信の接続要求を送信する請求項1に記載の移動機。
【請求項5】
無線アクセス技術が異なる複数の移動通信システムに接続可能な移動機における通信接続方法であって、
前記移動機が在圏する在圏移動通信システムによって形成される在圏セルを経由したパケット通信が規制されていることを示すパケット通信規制を含む報知情報に基づいて、前記移動通信システムのセルにおけるパケット通信規制の有無を検出するステップと、
検出された前記パケット通信規制に基づいて、回線交換型通信サービスを実行する場合に用いる無線アクセス技術を選択するステップと、
選択された前記無線アクセス技術に基づいて、接続すべき移動通信システムを決定し、決定した前記移動通信システムに対して前記回線交換型通信サービスの接続要求を送信するステップと
を備える通信接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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