説明

移動無線端末装置

【課題】ユーザが利用する国や地域を意識することなしに、その国や地域に応じた時刻設定を行い利便性を向上させた移動無線端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御部40は、当該移動無線端末装置で使用可能な通信システムの周波数帯域、全域を受信(スキャン)して、利用可能な通信システムを検出し、この検出した通信システムを利用するためのパラメータ(例えばESN)を選択的に記憶部41より読み出して、上記システムを利用する。また、利用可能な通信システムが運用される地域に応じて、時刻を補正するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば複数の国、または地域で使用可能な移動無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、例えばCDMA方式のように、世界的に共通して用いられる通信方式の登場により、複数の国や地域で使用可能な携帯電話機などの移動無線端末装置の開発が進められている。
【0003】
しかし、携帯電話システムなどの移動無線通信システムでは、例え通信方式が同じであっても、国や地域毎に使用する周波数や電話番号などの端末識別情報の形態が異なっているため、ユーザは使用する国や地域に応じて、端末装置の設定変更を強いられることになり、利便性に問題が生じうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同じ移動無線端末装置を、複数の国や地域で用いる場合、国や地域毎に使用する周波数や電話番号などの端末識別情報の形態が異なっており、また国や地域毎により時差が生じるため、端末装置の設定変更を強いられる虞があるという問題があった。
【0005】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、ユーザが利用する国や地域を意識することなしに、その国や地域に応じた設定を行い利便性を向上させた移動無線端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、時刻を計時する計時手段と、複数の無線通信システムで用いられる周波数を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出する通信システム検出手段と、この通信システム検出手段が検出した無線通信システムに応じて、計時手段が計時する時刻を設定する時刻設定手段とを具備して構成するようにした。
【発明の効果】
【0007】
以上述べたように、この発明では、複数の無線通信システムで用いられる周波数を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出し、この検出した無線通信システムに応じて、計時手段が計時する時刻を設定するようにしている。
【0008】
したがって、この発明によれば、利用可能な無線通信システムに応じた時刻設定が自動的になされるので、ユーザが利用する国や地域を意識することなしに、その国や地域に応じた時刻設定を行い利便性を向上させた移動無線端末装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明に係わる移動無線端末装置の一実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した移動無線端末装置の国籍登録処理を説明するためのフローチャート。
【図3】図1に示した移動無線端末装置のパラメータ設定切替処理を説明するためのフローチャート。
【図4】日本と韓国の各通信システムで用いられる移動無線端末装置が通信に用いる周波数を示す図。
【図5】日本と韓国の各通信システムで用いられる移動無線端末装置が与えられるESNの体系の差を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、この発明の一実施形態に係わる移動通信端末装置について説明する。図1は、その構成を示すもので、ここではCDMA方式を通信方式とする移動通信端末装置を例に挙げている。
【0011】
空間から、アンテナ1で受信された無線周波信号は、アンテナ共用器2に入力される。アンテナ共用器2は、受信用フィルタ21と送信用フィルタ22とからなる。これらのフィルタ21,22は、それぞれ2つのフィルタ特性を有しており、後述の制御部40からの制御電圧Vc1に応じて、上記特性が制御される。
【0012】
アンテナ1より入力された無線周波信号のうち、図示しない基地局から送信された帯域の無線周波信号は受信用フィルタ21を通過して、受信部(RX)3に入力される。なお、この無線周波信号は送信用フィルタ22により、後述の送信部5に入力されることはない。
【0013】
受信部3では、上記無線周波信号が周波数シンセサイザ(SYN)4から出力された受信局部発振信号とミキシングされて中間周波信号に周波数変換される。なお、上記周波数シンセサイザ4から発生される受信局部発振信号の周波数は、制御部40からの制御電圧Vc2によって指示される。
【0014】
受信部3にて得られた中間周波信号は、CDMA信号処理部6において、直交復調処理が施されたのち、逆拡散処理が施されて、データレートに応じた所定のフォーマットのデータに変換される。
【0015】
そしてこの変換結果は、受信データとして音声符号処理部7に入力され、また上記受信データのうち、データレートを示すデータについては、受信データレートとして制御部40に入力される。
【0016】
音声符号処理部7は、上記CDMA信号処理部6にて得られた受信データに対して、制御部40から通知される受信データレートに応じた伸長処理を施し、この処理結果をPCM符号処理部8に入力する。
【0017】
PCM符号処理部8は、音声符号処理部7にて伸張された受信データを復号してアナログ受話信号を得る。このアナログ受話信号は、増幅器9にて増幅された後スピーカ10より拡声出力される。
【0018】
一方、話者の入力音声は、マイクロホン11を通じてアナログ送話信号として入力され、増幅器12で適正レベルまで増幅された後、PCM符号処理部8にてPCM符号化処理が施され、送信データとして音声符号処理部7に出力される。
【0019】
音声符号処理部7は、PCM符号処理部8から入力される送信データより入力音声のエネルギー量を検出し、この検出結果に基づいてデータレートを決定し、制御部40に通知する。そして、上記送信データを上記データレートに応じたフォーマットのバースト信号に圧縮し、CDMA信号処理部6に入力する。
【0020】
CDMA信号処理部6は、上記音声符号処理部7にて圧縮されたバースト信号に対して、送信チャネルに応じたPN符号を用いて拡散処理を施す。そしてこの処理結果に対して、直交変調処理を施し、直交変調信号として送信部(TX)5に入力する。
【0021】
送信部5は、上記直交変調信号を送信局部発振信号と合成して無線周波信号に変換し、制御部40により通知される送信データレートに基づいて、上記無線周波信号の有効部分だけを高周波増幅して、アンテナ共用器2に入力する。なお上記送信局部発振信号は、周波数シンセサイザ4にて生成されるもので、制御部40からの制御電圧Vc2に応じた周波数の発振信号である。
【0022】
アンテナ共用器2に入力された送信部5からの無線周波信号は、送信用フィルタ22により、送信帯域の無線周波信号のみがアンテナ1に入力されて、上記基地局に向けて空間に放射される。尚、この送信帯域の無線周波信号は、受信用フィルタ21により、受信部3に入力されることはない。
【0023】
31は電源回路であり、バッテリ30の出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成して各回路に供給する。
【0024】
制御部40は、例えばマイクロコンピュータを主制御部とし、各部を統括して制御している。その制御内容としては、図示しない基地局と通信リンクを開設して通信を行なう通常の通信制御する。
【0025】
また制御部40は、新たな制御機能として、2つのシステム通信帯域を監視して通信に用いることが可能なシステムを検出する通信システム検出制御と、この制御により検出された通信システムを利用するための設定を行なう通信設定制御とを行う通信帯域切換制御手段40aを有する。
【0026】
記憶部41は、例えばROMやRAMなどの半導体メモリを記憶媒体としたもので、この記憶媒体には制御部40の制御プログラムの他に、図4に示すような、日本と韓国の通信システムをそれぞれ利用するための制御データを記憶する通信設定テーブルの他に、ユーザによる各種設定データや、日本と韓国の電話帳情報をそれぞれ記憶するダイヤルデータテーブル、短縮ダイヤル等に対応させたダイヤルデータ(電話帳情報)を記憶する。
【0027】
コンソールユニット(CU)42にはダイヤルキー、発信キー、電源キー、終了キー、音量調節キーおよびモード指定キーなどのキー群と、通話相手端末の電話番号や装置の動作状態などを表示するためのLCD表示器、バッテリ30のDischarge 状態を示す(バッテリ30の充電を要求する)LEDランプが設けられている。
【0028】
次に、上記構成の移動無線端末装置の国籍登録処理とパラメータ設定切替処理について説明する。なお、この処理は、通信帯域切換制御手段40aの制御により行われる。
まず、図2に示すフローチャートを参照して国籍登録処理について説明する。
【0029】
電源がONされると、まずステップ2aでは、ユーザがコンソールユニット42の操作を通じて、国籍登録要求を行っているか否かを判定する。ここで、国籍登録要求がなされた場合には、ステップ2bに移行し、一方、上記要求がなされない場合には、後述する図3のパラメータ設定切替処理に移行する。
【0030】
ステップ2bでは、当該移動無線端末装置で使用可能な通信システムの周波数帯域、全域を受信(スキャン)して、現時点で通信に使用可能な周波数を検出し、ステップ2cに移行する。
【0031】
ステップ2cでは、ステップ2bにて検出した周波数が、図4に示すような「日本」で使用する通信システムの基地局で使用するものであるか否かを判定する。ここで、「日本」で使用する通信システムの基地局で使用するものであると判定された場合には、ステップ2dに移行し、一方、「日本」の通信システムのものでないと判定された場合には、ステップ2eに移行する。
【0032】
ステップ2dでは、当該移動無線端末装置の国籍情報として、記憶部41に「日本」を設定するとともに、日本の通信システムを利用できるように、記憶部41の通信設定テーブルから、日本の通信システムを利用するための種々のパラメータを読み込む。そして、電話帳情報の読み出し要求に対しては、日本国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、日本の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、当該処理を終了して、日本の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。
【0033】
なお、ここで読み込まれるパラメータとしては、端末装置の製造者が端末装置毎に付与する識別番号ESN1、端末装置の電話番号MIN1、利用する通信事業者を識別するシステムID1などがある。
【0034】
一方、ステップ2eでは、ステップ2bと同様に、当該移動無線端末装置で使用可能な通信システムの周波数帯域、全域を受信(スキャン)して、現時点で通信に使用可能な周波数を検出し、ステップ2fに移行する。
【0035】
ステップ2fでは、ステップ2eにて検出した周波数が、図4に示すような「韓国」で使用する通信システムの基地局で使用するものであるか否かを判定する。ここで、「韓国」で使用する通信システムの基地局で使用するものであると判定された場合には、ステップ2gに移行し、一方、「韓国」の通信システムのものでないと判定された場合には、ステップ2hに移行する。
【0036】
ステップ2gでは、当該移動無線端末装置の国籍情報として、記憶部41に「韓国」を設定とともに、韓国の通信システムを利用できるように、記憶部41の通信設定テーブルから、韓国の通信システムを利用するための種々のパラメータを読み込む。そして、電話帳情報の読み出し要求に対しては、韓国国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、韓国の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、当該処理を終了して、韓国の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。
【0037】
なお、ここで読み込まれるパラメータは、ステップ2dと同様に、端末装置の製造者が端末装置毎に付与する識別番号ESN2、端末装置の電話番号MIN2、利用する通信事業者を識別するシステムID2などであるが、図5に示すように、例えば日本のESN1と韓国のESN2は、その体系が異なっている。
【0038】
一方、ステップ2hでは、「日本」、「韓国」のいずれの通信システムも捕捉できないことより、コンソールユニット42のLCD表示器にエラー表示を行い、一定時間経過後、ステップ2bに移行して、再スキャンを実行する。
以上のような国籍登録処理がなされるため、例えば、日本国内において、ユーザが移動無線端末装置の電源を投入後、コンソールユニット42を操作して、国籍登録要求を行うと、移動無線端末装置は、使用可能な通信システムの周波数帯域、全域をスキャンする。
【0039】
この結果、移動無線端末装置は、日本の通信システムの基地局からの電波を受信して、この周波数を検出すると、この検出した周波数が日本の通信システムで用いられる周波数であることより、国籍情報として「日本」を記録する。
【0040】
そしてまた、移動無線端末装置は、日本の通信システムを利用するための種々のパラメータを読み込むとともに、電話帳情報の読み出し要求に対しては、日本国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、日本の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、当該処理を終了して、日本の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。
【0041】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、利用する通信システムを設定するためのパラメータ設定切替処理について説明する。
まず、ステップ3aでは、記憶部41より、国籍情報を読み出し、ステップ3bに移行する。
【0042】
ステップ3bでは、当該移動無線端末装置で使用可能な通信システムの周波数帯域、全域を受信(スキャン)して、現時点で通信に使用可能な周波数を検出し、ステップ3cに移行する。
【0043】
ステップ3cでは、ステップ3bにて検出した周波数が、図4に示すような「日本」で使用する通信システムの基地局で使用するものであるか否かを判定する。ここで、「日本」で使用する通信システムの基地局で使用するものである判定された場合には、ステップ3dに移行し、一方、「日本」の通信システムのものでない、すなわち「韓国」の通信システムと判定された場合には、ステップ3iに移行する。
【0044】
ステップ3dでは、ステップ3aにて読み出した国籍情報が「日本」であるか否かを判定する。ここで、国籍情報が「日本」であると判定された場合には、通信システムを利用するためのパラメータの設定変更は行わずに当該処理を終了し、すでに設定されているパラメータを用いて、日本の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。一方、国籍情報が「日本」でない、すなわち国籍情報が「韓国」と判定された場合には、ステップ3eに移行する。
【0045】
ステップ3eでは、通信方式として日本の通信方式を採用するとともに、ESNを日本のもの(ESN1)に設定し、ステップ3fに移行する。
ステップ3fでは、電話帳情報の読み出し要求に対して、日本国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、日本の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、ステップ3gに移行する。
【0046】
ステップ3gでは、現在、制御部40の時計機能により計時している時刻(韓国時間)に対して、日本との時差を考慮した時刻補正を行い、ステップ3hに移行する。なお、この時差情報は、記憶部41に記憶される。
【0047】
ステップ3hでは、通話時間を累積するデータボックスを日本用のものに切り替え、当該処理を終了する。この後、移動無線端末装置は、ステップ3eからステップ3hにおいて新たに設定したパラメータを用いて、日本の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。なお、上記データボックスは、記憶部41に記憶される。
【0048】
一方、ステップ3iは、ステップ3bと同様に、当該移動無線端末装置で使用可能な通信システムの周波数帯域、全域を受信(スキャン)して、現時点で通信に使用可能な周波数を検出し、ステップ3jに移行する。
【0049】
ステップ3jでは、ステップ3iにて検出した周波数が、図4に示すような「韓国」で使用する通信システムの基地局で使用するものであるか否かを判定する。ここで、「韓国」で使用する通信システムの基地局で使用するものである判定された場合には、ステップ3kに移行し、一方、「韓国」の通信システムのものでない、すなわち「日本」の通信システムと判定された場合には、ステップ3lに移行する。
【0050】
ステップ3kでは、ステップ3aにて読み出した国籍情報が「韓国」であるか否かを判定する。ここで、国籍情報が「韓国」であると判定された場合には、通信システムを利用するためのパラメータの設定変更は行わずに当該処理を終了し、すでに設定されているパラメータを用いて、韓国の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。一方、国籍情報が「韓国」でない、すなわち国籍情報が「日本」と判定された場合には、ステップ3mに移行する。
【0051】
ステップ3lでは、「日本」、「韓国」のいずれの通信システムも捕捉できないことより、コンソールユニット42のLCD表示器にエラー表示を行い、一定時間経過後、ステップ3bに移行して、再スキャンを実行する。
ステップ3mでは、通信方式として韓国の通信方式を採用するとともに、ESNを韓国のもの(ESN2)に設定し、ステップ3nに移行する。
ステップ3nでは、電話帳情報の読み出し要求に対して、韓国国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、韓国の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、ステップ3oに移行する。
【0052】
ステップ3oでは、現在、制御部40の時計機能により計時している時刻(日本時間)に対して、韓国との時差を考慮した時刻補正を行い、ステップ3pに移行する。なお、この時差情報は、記憶部41に記憶される。
【0053】
ステップ3pでは、通話時間を累積するデータボックスを韓国用のものに切り替え、当該処理を終了する。この後、移動無線端末装置は、ステップ3mからステップ3pにおいて新たに設定したパラメータを用いて、韓国の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。なお、上記データボックスは、記憶部41に記憶される。
【0054】
以上のようなパラメータ設定の変更処理がなされるため、例えば、国籍情報として「日本」を登録している移動無線端末装置を韓国国内で用いると、まず移動無線端末装置は、使用可能な通信システムの周波数帯域、全域をスキャンする。
【0055】
この結果、検出した周波数が、国籍情報に一致しない韓国の通信システムの周波数であることより、移動無線端末装置は、韓国の通信システムを利用するための種々のパラメータを読み込むとともに、電話帳情報の読み出し要求に対しては、韓国国内用のダイヤルデータテーブルを参照するように設定し、短縮ダイヤルを使用した際には、韓国の電話番号以外は国際電話として発信するように設定し、当該処理を終了して、韓国の通信システムを通じた受信待ち受けを行う。
【0056】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置では、利用可能な通信システムを検出し、この検出した通信システムを利用するためのパラメータ(例えばESN)を選択的に記憶部41より読み出して、上記システムを利用するようにしている。また、ユーザからの電話帳情報の読み出し要求に対しては、上記検出した通信システムの国に対応するダイヤルデータテーブルを参照し、また短縮ダイヤルを使用した際には、上記検出した通信システムの国の電話番号以外には国際電話として発信するようにしている。
【0057】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、ユーザが国家間を移動しても、ユーザが利用する国を意識することなしに、種々の設定変更を行うことなく利用することができる。
【0058】
すなわち、この発明は、複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、複数の無線通信システムで用いられる周波数帯域を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出する通信システム検出手段と、複数の無線通信システムと接続するための自己に割り当てられた識別データを、無線通信システム毎に記憶する識別情報記憶手段と、この識別情報記憶手段に記憶される識別データのうち、通信システム検出手段にて検出した無線通信システムに対応する識別データを用いて、この無線通信システムを通じた通信を行う通信手段とを具備して構成するようにした。
【0059】
上記構成の移動無線端末装置では、複数の無線通信システムで用いられる周波数帯域を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出し、この検出した無線通信システムに対応する識別データを用いて通信を行うようにしている。
【0060】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、利用する国や地域の通信システムで使用可能な識別データが自動的に設定されるので、ユーザが利用する国や地域を意識して識別データの設定を行うことなしに通信を行うことができる。
【0061】
また、この発明は、複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、複数の無線通信システムで用いられる周波数帯域を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出する通信システム検出手段と、接続先の電話番号情報を、複数の無線通信システム毎に対応づけて記憶する電話番号情報記憶手段と、ユーザから電話番号情報の表示要求があった場合に、電話番号情報記憶手段に記憶される電話番号情報のうち、通信システム検出手段にて検出した無線通信システムに対応する電話番号情報を優先的に表示する情報表示手段とを具備して構成するようにした。
【0062】
上記構成の移動無線端末装置では、ユーザから電話番号情報の表示要求があった場合に、電話番号情報記憶手段に記憶される電話番号情報のうち、利用可能な無線通信システムに対応する電話番号情報を優先的に表示するようにしている。
【0063】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、ユーザが利用する国や地域を意識することなしに、その国や地域の通信システムに応じた電話番号情報を優先的に呼び出すことができる。
【0064】
さらに、この発明は、複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、複数の無線通信システムで用いられる周波数帯域を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出する通信システム検出手段と、接続先の電話番号情報に、この接続先が属する国を識別する国識別情報を付加して記憶する電話番号情報記憶手段と、ユーザから電話番号情報を用いた発呼要求があった場合に、通信システム検出手段にて検出した無線通信システムに対応する国外の接続先に対しては、この接続先に対応する国識別情報と電話番号情報とに基づいて発呼し、一方、通信システム検出手段にて検出した無線通信システムに対応する国内の接続先に対しては、この接続先に対応する電話番号情報を用いて発呼する通信手段とを具備して構成するようにした。
【0065】
上記構成の移動無線端末装置では、ユーザから電話番号情報を用いた発呼要求があった場合に、利用可能な無線通信システムに対応する国外の接続先に対しては、この接続先に対応する国識別情報と電話番号情報とに基づいて発呼し、一方、利用可能な無線通信システムに対応する国内の接続先に対しては、この接続先に対応する電話番号情報を用いて発呼するようにしている。
【0066】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、ユーザが利用する国や地域に対応する通信システムの別を意識することなしに、予め記憶した電話番号情報を用いて、国外へ向けた発信や国内へ向けた発信を行うことができる。
【0067】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、日本と韓国の両国のダイヤルデータテーブルをそれぞれ設け、ユーザからの電話帳情報の読み出し要求に対して、利用する通信システムの国に対応するダイヤルデータテーブルを参照するようにした。これに代わって、例えば、各ダイヤルデータの国に割り当てられている国際電話番号を各ダイヤルデータに付加して、1つのダイヤルデータテーブルとして記憶しておき、国内への発信の場合には、上記国際電話番号をキャンセルして発呼を行うようにしてもよい。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1…アンテナ、2…アンテナ共用器、21…受信用フィルタ、22…送信用フィルタ、3…受信部(RX)4…周波数シンセサイザ(SYN)、5…送信部(TX)、6…CDMA信号処理部、7…音声符号処理部、8…PCM符号処理部、9…増幅器、10…スピーカ、11…マイクロホン、12…増幅器、30…バッテリ、31…電源回路、40…制御部、40a…通信帯域切換制御手段、41…記憶部、42…コンソールユニット(CU)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記複数の無線通信システムで用いられる周波数を順次受信して、利用可能な無線通信システムを検出する通信システム検出手段と、
この通信システム検出手段が検出した無線通信システムに応じて、前記計時手段が計時する時刻を設定する時刻設定手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。
【請求項2】
前記時刻設定手段は、前記計時手段が計時する時刻が、前記通信システム検出手段が検出した無線通信システムを運用する地域の時刻ではない場合に、その無線通信システムを運用する地域の時刻に補正することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項3】
前記時刻設定手段は、
地域毎の時差情報を記憶する時差情報記憶手段と、
前記通信システム検出手段の検出結果と、前記時差情報記憶手段が記憶する時差情報とに基づいて、前記時計手段が計時する時刻を補正する補正手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
【請求項4】
複数の無線通信システムに選択的に無線接続して、通信することが可能な移動無線端末装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記複数の無線通信システムで用いられる周波数を順次受信して、利用可能な周波数を検出する周波数検出手段と、
この周波数検出手段が検出した周波数に基づいて、前記計時手段が計時する時刻を設定する時刻設定手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。
【請求項5】
前記時刻設定手段は、前記計時手段が計時する時刻が、前記周波数検出手段が検出した周波数を用いる無線通信システムを運用する地域の時刻ではない場合に、その無線通信システムを運用する地域の時刻に補正することを特徴とする請求項4に記載の移動無線端末装置。
【請求項6】
前記時刻設定手段は、
地域毎の時差情報を記憶する時差情報記憶手段と、
前記周波数検出手段の検出結果と、前記時差情報記憶手段が記憶する時差情報とに基づいて、前記時計手段が計時する時刻を補正する補正手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載の移動無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−35220(P2010−35220A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256151(P2009−256151)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【分割の表示】特願2005−92782(P2005−92782)の分割
【原出願日】平成11年8月18日(1999.8.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】