説明

移動無線端末装置

【課題】効率的に無線通信システムを選択可能な移動無線端末装置を提供する。
【解決手段】移動無線端末装置の位置情報を検出する位置情報検出手段21と、移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または関連する情報を検出する無線通信システム種別情報検出手段22と、位置情報と、無線通信システム種別情報または関連する情報とを記憶する記憶手段と、位置情報および無線通信システム種別情報または関連する情報を、記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段23と、移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の位置情報および無線通信システム種別情報または関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システムの種別情報または関連する情報を選択する無線通信システム種別情報検索手段24とそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、移動無線端末装置に関し、特に複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯電話機などの移動無線端末装置の中には、CDMA(Code Division Multiple Access)2000、W(Wideband)−CDMAなどの3G(3rd Generation)−CDMA網などに加え、Wi−Fi(Wireless Fidelity)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、フェムトなど複数の通信システムと通信することができるものもあり、このような移動無線端末装置を使用すると、ユーザは、幅広いサービスの提供を受けることができる。
【0003】
しかしながら、その反面、以下のような課題が挙げられる。
上記のような複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置では、獲得可能な通信システムを総当り的に検索する(システムサーチを行なう)ため、検索にかかる時間が増大してしまい、特定の通信システムに待ち受けるまでに長い時間を要する。また、このため、移動無線端末装置の電池の消耗が早くなる。
【0004】
また、複数の通信システムを利用可能な移動無線端末装置において、予めプログラムされた一定の優先順位で利用可能な通信システムの検索をする方法や、ユーザ操作により利用する通信システムを設定するといった方法がある。
しかしながら、予めプログラムされた一定の優先順位で利用可能な通信システムを検索する場合、移動無線端末装置がサービスエリア外にあり、特定の通信システムを利用できない環境にある場合においても、常に一定の優先順位で通信システムの検索を行なうため、サービス獲得までに時間がかかり効率的でない。
【0005】
また、ユーザ操作により利用する通信システムを設定する場合、単にユーザの手間がかかるだけでなく、ユーザは通信を希望する通信システムのサービスエリアの変更などを意識する必要がある。
さらに、上述の複数の通信システムを利用可能な移動無線端末装置おいて、移動無線端末装置の位置と移動速度とに基づいて利用する通信システムの検索を行なう方法が知られている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−309445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献記載の方法を用いるには、利用可能な全ての通信システムに関するデータを予めデータベースに保持しておかなければならない。
また、利用可能な全ての通信システムについて総当り的な検索を行なうため、システムサーチに時間がかかる。
そこで、本件は、効率的に無線通信システムを選択可能な移動無線端末装置を提供することを目的の1つとする。
【0008】
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件の移動無線端末装置は、複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置であって、該移動無線端末装置の位置情報を検出する位置情報検出手段と、該移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検出する無線通信システム種別情報検出手段と、該位置情報検出手段で検出された上記の移動無線端末装置の位置情報と、該無線通信システム種別情報検出手段で検出された上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶する記憶手段と、上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段と、該移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、該記憶制御手段によって、該記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択する無線通信システム種別情報検索手段とそなえて構成される。
【発明の効果】
【0010】
効率的に無線通信システムを選択可能な移動無線端末装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る移動無線端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示すCPUを機能的に表現した図である。
【図3】各通信システムのエリア構成の一例を示す図である。
【図4】データベースに蓄積されるデータベース情報の構造の一例を示す図である。
【図5】(A),(B)は、表示部の画面表示の一例を示す図である。
【図6】レコードを地図上に表示した場合の画面表示の一例を示す図である。
【図7】移動無線端末装置の通信システムの選択の動作フローである。
【図8】データベースに蓄積されるデータベース情報の構造の他の一例を示す図である。
【図9】一変形例に係る移動無線端末装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも例示に過ぎず、以下に示す各実施形態及び変形例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、各実施形態及び変形例を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることはいうまでもない。
〔1〕一実施形態
(1.1)移動無線端末の構成
図1は、一実施形態に係る移動無線端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0013】
図1に示す移動無線端末装置10は、例示的に、種々の制御や演算を行なう処理装置であるCPU(Central Processing Unit)11と、移動無線端末10が利用のデータやプログラムなどを記憶する記憶装置12と、それぞれ後述するCDMA(Code Division Multiple Access)プロトコルモジュール27,WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)プロトコルモジュール28,LTE(Long Term Evolution)プロトコルモジュール29及びGPS(Global Positioning System)モジュール30に対応する送受信アンテナ13〜16と、マイク17及びレシーバ18と、表示装置の一例であるLCD(Liquid Crystal Display)19と、入力キー20とをそなえる。
【0014】
図2は、図1に示すCPUを機能的に表現した図である。なお、図2に示す機能構成の全体についても、特に矛盾が生じない限りは移動無線端末装置10と表記する。
この図2に示す移動無線端末装置10は、例示的に、位置情報検出部21と、システム種別情報検出部22と、記憶制御部23と、システム種別情報検索部24と、システム選択モジュール25と、システム優先度テーブル26と、CDMAプロトコルモジュール27と、WiMAXプロトコルモジュール28と、LTEプロトコルモジュール29と、GPSモジュール30とをそなえる。
【0015】
CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28,LTEプロトコルモジュール29は、それぞれ、対応する通信システムの規格に応じたプロトコル動作を行なうものであり、例えば、所定の符号化・変調処理及び復調・復号処理を施す。
GPSモジュール30は、GPSを利用して、移動無線端末装置10の現在位置、もしくは、移動無線端末装置10が通信中の基地局の位置を測位する。
【0016】
位置情報検出部21は、移動無線端末装置10の現在位置を示す位置情報を取得する。この位置情報は、例えば、経度緯度情報のように、移動無線端末装置10の位置を特定できる情報で表される。即ち、位置情報検出部21は、移動無線端末装置10の位置情報を検出する位置情報検出手段の一例として機能する。
なお、上記位置情報は、現在通信中の通信システムを通じて取得することができる。例えば、CDMAシステムなどでは、網からの報知情報に含まれている経度緯度情報を使用することができる。図2の例では、位置情報検出部21は、CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28またはLTEプロトコルモジュール29を介して、経度緯度情報を取得する。
【0017】
また、CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28及びLTEプロトコルモジュール29から受動的に取得できる位置情報がない場合は、移動無線端末装置10に搭載されたGPSの機能を用いて取得してもよい。即ち、CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28及びLTEプロトコルモジュール29は、それぞれGPSモジュール30と結合されており、任意のタイミングでGPSモジュール30から位置情報を取得することができる。
【0018】
また、位置情報検出部21は、GPSモジュール30から直接位置情報を取得することもできる。
システム種別情報検出部22は、移動無線端末装置10が通信可能な通信システムを示す無線通信システム種別情報を検出する。即ち、システム種別情報検出部22は、移動無線端末装置10が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検出する無線通信システム種別情報検出手段の一例として機能する。
【0019】
ここで、図1に示す記憶装置12は、上記位置情報と上記無線通信システム種別情報とを関連付けたデータを蓄積する(以下、蓄積されるデータをレコードともいう)。即ち、上記の記憶装置12は、位置情報検出手段で検出された移動無線端末装置10の位置情報と、無線通信システム種別情報検出手段で検出された無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶する記憶手段の一例として機能する。
【0020】
図3は、各通信システムのエリア構成の一例を示す図であり、図4は、図3に示すエリア構成に対応する、記憶装置12に蓄積されるデータベース情報の構造の一例を示す図である。
図4に示されるように、記憶装置12には、少なくとも無線通信システム種別情報と位置情報とが記憶される。
【0021】
また、レコードを記憶した時刻情報を併せて記憶することで、例えば、記憶後一定時間経過したレコードについては記憶装置12から削除するなど、記憶装置12のメンテナンスに使用することができる。なお、上記時刻情報にかえて、基準時刻からの経過時間を用いても良い。
また、記憶装置12に記憶された内容を、着脱可能な小型メモリ等を用いて他の端末に移すことで、情報を共有することができる。これにより、ユーザは、例えば、端末を新たに購入した際に、過去に他の端末によって蓄積されたデータを利用することができる。
【0022】
さらに、複数のユーザの行動範囲が同じであれば、各ユーザが取得した情報を共有することで、効率的にデータベースを構築できる。
記憶制御部23は、記憶装置12への記憶制御を行なうものであり、所定のタイミングで、無線通信システム種別情報や位置情報からなるデータを、記憶装置12へ記憶させる。即ち、記憶制御部23は、移動無線端末装置10の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段の一例として機能する。
【0023】
なお、記憶手段に自律的に順次記憶させていくタイミングは、例えば、移動無線端末装置10が、ハンドオフなどによりある通信システムを捕捉、獲得した際、一定時間経過した際(定期的に記憶させる)、位置登録や接続動作などで、ある通信システムにアクセスした際、などを含む。
システム種別情報検索部24は、移動無線端末装置10の位置情報を基に、当該位置情報に応じた通信システムの検索を行なう。即ち、システム種別情報検索部24は、移動無線端末装置10の現在位置情報を入力情報として、記憶制御手段によって、記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の移動無線端末装置の位置情報および無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択する無線通信システム種別情報検索手段の一例として機能する。
【0024】
具体的には、システム種別情報検索部24は、移動無線端末装置10の現在地の経度緯度(ここでは、緯度をX(−90≦X≦90),経度をY(−180≦Y≦180)とする。)と、記憶装置12内に蓄積された各レコードの経度緯度(それぞれ緯度をXn(−90≦X≦90),経度をYn(−180≦Y≦180)とし、n=1,2,3,…,N(ただしNは総レコード数)とする。)との距離Dnを算出する。
【0025】
Dnは、例えば、以下の式(1)を用いて算出することができる。
【0026】
【数1】

【0027】
なお、現在地とデータベース内の各レコードの近さを確認できれば良い為、各Dnの単位は、統一されていれば任意に決定してよい。
システム種別情報検索部24は、上記の式(1)で求めたDn(n=1,2,3,…,N)のうち、小さい値を有する(つまり現在地から近い)通信システムから順に、移動無線端末装置10が選択する通信システムの優先順位づけを行なう。
【0028】
図3に示す例において、移動無線端末装置10が、(35.71,149.53)の場所に存在する場合、各通信システムの優先度は、WiMAX>CDMA>LTEとなる。
また、これに基づき、後述するシステム選択モジュール25は、求められた優先度に基づき、WiMAX,CDMA,LTEの順に通信システムの獲得を行なう。各通信システム内での基地局の獲得手順は、それぞれの通信システムの規格で定められた方法で実施する。
【0029】
なお、通信システムの獲得を試みたがどの通信システムも獲得できなかった場合、何れかの通信システムが獲得できるまで、再び上記の優先度に基づいて通信システムの獲得を試みる。移動無線端末装置10の電力消費を考慮して、徐々に通信システムの獲得を試みる間隔を広げてもよい。
また、初回電源ON時など、記憶装置12にレコードが存在しない場合、システム選択モジュール25は、予めプログラミングされた優先順位での通信システムの獲得を試みる。また、所定の通信システムを待ち受けた際に、待ち受けた通信システムの種別と位置情報とを記憶装置12に保持する。
【0030】
ここで、図1に示すLCD19は、記憶装置12内に蓄積されたレコードの内容を、移動無線端末装置10のユーザに対して表示するものである。即ち、LCD19は、記憶手段に記憶されている移動無線端末装置10の位置情報と無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを表示する表示手段、もしくは、記憶手段に記憶されている移動無線端末装置の位置情報に対応する地図上に、対応する上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を表示する表示手段の一例として機能する。
【0031】
図5(A),(B)は、LCD19における画面表示の一例を示す図である。
図5(A)は、ある時刻における画面表示の一例を示す。また、更に時間が経過した場合、記録されたレコードが増えるため、図5(B)のような画面表示になる。
なお、画面表示の際に、緯度経度で示される位置情報を地名に変換して表示することで、ユーザビリティーを向上させることができる。
【0032】
また、図6に示すように、蓄積されたレコードを地図上に表示させることで、ユーザが、所望する通信システムが利用可能な場所を視覚的に理解することができ、所望する通信システムが利用可能な場所への移動が容易になる。
さらに、図6の点線で示すように、蓄積されたレコードの配置に基づき、各通信システムの利用可能エリアを推測して表示することで、ユーザはより直感的に各通信システムの利用可能エリアを把握することができる。
【0033】
また、時刻情報を地図上に表示することで、移動無線端末装置10の移動履歴を時系列で確認することができる。
なお、地図データは、移動無線端末の工場出荷時において記憶装置12に予め記憶させておいても良いし、所定の通信システムへのアクセス時にダウンロードして記憶装置12へ記憶させても良い。
【0034】
システム選択モジュール25は、システム種別情報検索部24で求められた優先度に基づき、通信システムの獲得を行なう。このため、システム選択モジュール25は、CDMAプロトコルモジュール27と、WiMAXプロトコルモジュール28と、LTEプロトコルモジュール29とに接続される。
なお、システム種別情報検索部24で求められた優先度を、記憶装置12内に設けられたシステム優先度テーブル26が一旦保持し、システム選択モジュール25は、システム優先度テーブル26を参照することで通信システムの優先度についての情報を取得しても良い。
【0035】
(1.2)移動無線端末装置の通信システム選択の動作フロー
以下に、上述した移動無線端末装置10の通信システム選択の動作フローを説明する。
図7は、移動無線端末装置の通信システムの選択の動作フローである。
移動無線端末装置10は、電源ON時に(この他には、無線ロスト(圏外),通信終了及び一定時間経過などの際に)通信システムの選択を開始する。
【0036】
まず、位置情報検出部21は、移動無線端末10の現在の位置情報を取得する(ステップS1)。
次に、システム種別情報検索部24は、記憶装置12に記憶された通信システムから、現在位置に近い通信システムから順に優先順位づけを行ない、システム選択モジュール25は当該優先順位に基づき通信システムの獲得を試みる(ステップS2)。なお、初回電源ON時など、記憶装置12にレコードが存在しない場合、システム選択モジュール25は、予めプログラミングされた優先順位での通信システムの獲得を試みる。
【0037】
そして、システム選択モジュール25は、通信システムを獲得する(ステップS3)。
次に、位置情報検出部21は、現在の位置情報を取得する(ステップS4)。
そして、システム種別情報検出部22は、ステップS3で獲得した通信システムの情報を無線通信システム種別情報として検出し、記憶制御部23は、システム種別情報検出部22が検出した無線通信システム種別情報と、ステップS4で位置情報検出部21が取得した位置情報とを記憶装置12に蓄積すべく、記憶装置12の内容を更新する(ステップS5)。
【0038】
次に、移動無線端末装置10は、獲得システムでの待ち受けを行なう(ステップS6)。
ここで、無線ロスト,通信終了及び一定時間の経過などで、通信システムの再選択を行なう必要がある場合には(ステップS7のiルート)、ステップS1へ移行する。
一方、ハンドオフなどにより、例えば新たな基地局を獲得した場合(ステップS7のiiルート)、記憶装置12の更新を行なうべく、ステップS4へ移行する。
【0039】
また、前回のシステム獲得から一定時間の経過があった場合(ステップS7のiiiルート)、ステップS4へ移行する。
さらに、位置登録や接続動作などで通信システムにアクセスした場合は(ステップS7のivルート)、ステップS4へ移行する。
即ち、図7に示す移動無線端末装置の通信システム選択の動作フローにおいては、移動無線端末装置の位置情報を検出するステップと、移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または無線通信システム種別情報に関連する情報を検出するステップと、移動無線端末装置の位置情報および無線通信システム種別情報または無線通信システム種別情報に関連する情報を、移動無線端末装置付設の記憶手段に自律的に順次記憶させていくステップと、移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の移動無線端末装置の位置情報および無線通信システム種別情報または無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択するステップとを実行していることになる。
【0040】
なお、上述した例では、図7に示す動作フローをステップS1から開始したが、例えば、ステップS4から開始することとしてもよい。
上述した構成によると、移動無線端末装置10は、利用可能な通信システムに関する情報と位置情報とを記憶装置12に自律的に順次記憶させておき、必要に応じて、現在位置情報を基に、当該記憶装置12から利用する通信システムを適応的に検索することにより、利用する通信システムを効率的に選択することができる。
【0041】
これにより、ユーザは、素早く的確な通信システムにアクセスすることができる。
また、システムサーチにかかる時間を低減することができるため、移動無線端末装置の電力消費を抑えることができる。
〔2〕その他
なお、上述した移動無線端末装置10の各構成及び各機能は、必要に応じて取捨選択してもよいし、適宜組み合わせて用いてもよい。即ち、本発明の機能を発揮できるように、上記の各構成及び各機能を取捨選択したり、適宜組み合わせて用いたりしてもよい。
【0042】
また、上述した一実施形態における位置情報検出部21,システム種別情報検出部22,記憶制御部23,システム種別情報検出部24,システム選択モジュール25,CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28,LTEプロトコルモジュール29及びGPSモジュール30は、コンピュータが、制御プログラムを実行することにより機能する。即ち、制御プログラムは、少なくともコンピュータに、複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置の位置情報および移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または無線通信システム種別情報に関連する情報を、移動無線端末装置付設の記憶手段に自律的に順次記憶させていくステップと、移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の移動無線端末装置の位置情報および無線通信システム種別情報または無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択するステップとを実行させるための機能を有するものである。
【0043】
なお、上記制御プログラムは、例えば、フレキシブルディスク,CD(CD−ROM,CD−R,CD−RW等),DVD(DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW,HD DVD等),ブルーレイディスク,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。そして、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。又、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信経路を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0044】
また、本件において、コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステムとを含む概念であり、オペレーティングシステムの制御の下で動作するハードウェアを意味している。さらに、オペレーティングシステムが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。本件においては、CPU11がコンピュータとしての機能を有しているのである。
【0045】
さらに、上述した一実施形態では、移動無線端末装置10が、CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28及びLTEプロトコルモジュール29の3種類の通信モジュールをそなえる例について説明したが、これらはあくまで例示であり、利用可能な通信システムの種類や数を限定する意図はない。即ち、例えば、Wi−Fiなどの他の通信システムを利用する場合や、2種類または4種類以上の通信システムを利用する場合についても同様に実施することができる。
【0046】
移動無線端末装置10がより多くの通信システムを利用する場合、本件は、上述したように、効率的なシステムサーチを行なうことができるため、より一層の効果を期待できる。
また、上述した一実施形態では、記憶装置12に、無線通信システム種別情報と位置情報とを関連付けて記憶させる例について説明したが、無線通信システム種別情報にかえて無線通信システム種別情報に関連する情報を用いても良い。
【0047】
例えば、図8に示すように、サービスを提供する事業者の情報と位置情報とを記憶装置12に記憶させても良い。
これにより、ユーザは、現在位置において利用可能な事業者のサービスを効率的に選択することができる。
さらに、事業者は、事業者の情報及び位置情報をユーザから受け取ることにより、ユーザが実際に利用できているサービスエリアを的確に把握することができる。これにより、事業者は、サービスエリアの調査を行なう必要がなくなる。
【0048】
また、本件は、上述した一実施形態における移動無線端末装置10として、例えば、携帯電話機(フィーチャーフォンやスマートフォンなど),携帯メディアプレイヤー及び携帯ゲーム機など、複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置であれば、任意の移動無線端末装置を用いて実施することができる。
さらに、本件は、この他に、例えば、携帯電話機やデータ通信カードなどの通信用装置と接続された、パソコンなどのユーザ端末を用いて実施することができる。
【0049】
図9は、上述した一実施形態の一変形例に係る移動無線端末装置10′のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図9中、既述の符号を付した各構成については、前述の各構成と同様の機能を具備するので、その詳細な説明は省略する。
ユーザ端末40は、例えば、当該ユーザ端末40のUSB端子や専用のスロットにセットされた通信用装置50を介して通信を行なう。
【0050】
図9に示す例では、ユーザ端末40は、LCD19及び入力キー20をそなえ、通信用装置50は、CPU11と、記憶装置12と、送受信アンテナ13〜16とをそなえる。 なお、ユーザ端末40のLCD19及び入力キー20を通信用装置50がそなえることで、図9に示される全構成をデータ通信カード40に集約してもよい。
また、図9に示す通信用装置50の各構成は、ユーザ端末40がそなえていてもよい。
【0051】
さらに、通信用装置50のCPU11によって実現される各機能(即ち、図2に示す位置情報検出部21,システム種別情報検出部22,記憶制御部23,システム種別情報検索部24,システム選択モジュール25,システム優先度テーブル26,CDMAプロトコルモジュール27,WiMAXプロトコルモジュール28,LTEプロトコルモジュール29及びGPSモジュール30)は、ユーザ端末40に分担させても良い。
【0052】
この場合、通信用装置50の処理をユーザ端末40が担うことができ、通信用装置50の処理負荷が軽減されるため、処理の高速化やデータ通信用装置50の回路規模の縮小化などが可能になる。
以上の実施形態及び変形例に関し、さらに以下の付記を開示する。
〔3〕付記
(付記1)
複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置であって、
該移動無線端末装置の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
該移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検出する無線通信システム種別情報検出手段と、
該位置情報検出手段で検出された上記の移動無線端末装置の位置情報と、該無線通信システム種別情報検出手段で検出された上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶する記憶手段と、
上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段と、
該移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、該記憶制御手段によって、該記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択する無線通信システム種別情報検索手段とそなえて構成されたことを特徴とする、移動無線端末装置。
(付記2)
該記憶制御手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報および上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置の待ち受ける無線通信システムが未知もしくは変更される場合または一定時間が経過した場合に、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段として構成されたことを特徴とする、付記1記載の移動無線端末装置。
(付記3)
該記憶制御手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報および上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置の待ち受ける無線通信システムが未知もしくは変更される場合として、該移動無線端末装置が新たな無線通信システムで待ち受けた場合に、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段として構成されたことを特徴とする、付記2記載の移動無線端末装置。
(付記4)
該無線通信システム種別情報検索手段が、該移動無線端末装置の現在位置情報が入力されると、上記現在位置情報と該記憶手段に蓄積されている複数の上記の移動無線端末装置の位置情報との距離情報をそれぞれ演算し、演算結果に基づき、該現在位置情に近い上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報の順に優先度を決定し、この優先度に従って、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を検索する手段として構成されたことを特徴とする、付記1ないし付記3のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記5)
上記現在位置情報の入力が、該移動無線端末装置の電源オン時または該移動無線端末装置の通信終了時または該移動無線端末装置が圏外状態から待ち受けた場合に行なわれることを特徴とする、付記4記載の移動無線端末装置。
(付記6)
該移動無線端末装置の初回電源オン時は、該無線通信システム種別情報検索手段による検索に優先して、予め決められた優先度に従って、上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検索する初回電源オン時無線通信システム種別情報検索手段が設けられたことを特徴とする、付記1ないし付記5のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記7)
該位置情報検出手段が、該移動無線端末装置が利用の無線通信システムからの報知情報に含まれる該移動無線端末装置の位置情報またはGPSによる位置情報を選択的に検出する手段として構成されたことを特徴とする、付記1ないし付記6のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記8)
該記憶手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報と上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶したときの時刻情報に関連する情報も記憶する手段として構成されたことを特徴とする、付記1ないし付記7のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記9)
該記憶手段に記憶されている上記の移動無線端末装置の位置情報と上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを表示する表示手段が設けられていることを特徴とする、付記1ないし付記7のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記10)
該記憶手段に記憶されている上記の移動無線端末装置の位置情報に対応する地図上に、対応する上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を表示する表示手段が設けられていることを特徴とする、付記1ないし付記7のいずれかに記載の移動無線端末装置。
(付記11)
該表示手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報と上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶したときの時刻情報に関連する情報も、上記の移動無線端末装置の位置情報と上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報に併記して表示する表示手段として構成されたことを特徴とする、付記9または付記10に記載の移動無線端末装置。
(付記12)
複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置において、
該移動無線端末装置の位置情報を検出するステップと、
該移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検出するステップと、
上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置付設の記憶手段に自律的に順次記憶させていくステップと、
該移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、該記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、該現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択するステップとをそなえて構成されたことを特徴とする、移動無線端末装置における無線通信システム種別情報検索方法。
(付記13)
コンピュータに、
複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置の位置情報および該移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置付設の記憶手段に自律的に順次記憶させていくステップと、
該移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、該記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、該現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択するステップとを実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0053】
10,10′ 移動無線端末装置
11 CPU
12 記憶装置
13〜16 送受信アンテナ
17 マイク
18 レシーバ
19 LCD
20 入力キー
21 位置情報検出部
22 システム種別情報検出部
23 記憶制御部
24 システム種別情報検索部
25 システム選択モジュール
26 システム優先度テーブル
27 CDMAプロトコルモジュール
28 WiMAXプロトコルモジュール
29 LTEプロトコルモジュール
30 GPSモジュール
40 ユーザ端末
50 通信用装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信システムの利用が可能な移動無線端末装置であって、
該移動無線端末装置の位置情報を検出する位置情報検出手段と、
該移動無線端末装置が利用の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を検出する無線通信システム種別情報検出手段と、
該位置情報検出手段で検出された上記の移動無線端末装置の位置情報と、該無線通信システム種別情報検出手段で検出された上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報とを記憶する記憶手段と、
上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段と、
該移動無線端末装置の現在位置情報を入力情報として、該記憶制御手段によって、該記憶手段に自律的に順次蓄積された複数組の上記の移動無線端末装置の位置情報および上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を適応的に検索して、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を選択する無線通信システム種別情報検索手段とそなえて構成されたことを特徴とする、移動無線端末装置。
【請求項2】
該記憶制御手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報および上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置の待ち受ける無線通信システムが未知もしくは変更される場合または一定時間が経過した場合に、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段として構成されたことを特徴とする、請求項1記載の移動無線端末装置。
【請求項3】
該記憶制御手段が、上記の移動無線端末装置の位置情報および上記無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報を、該移動無線端末装置の待ち受ける無線通信システムが未知もしくは変更される場合として、該移動無線端末装置が新たな無線通信システムで待ち受けた場合に、該記憶手段に自律的に順次記憶させていく記憶制御手段として構成されたことを特徴とする、請求項2記載の移動無線端末装置。
【請求項4】
該無線通信システム種別情報検索手段が、該移動無線端末装置の現在位置情報が入力されると、上記現在位置情報と該記憶手段に蓄積されている複数の上記の移動無線端末装置の位置情報との距離情報をそれぞれ演算し、演算結果に基づき、該現在位置情に近い上記の無線通信システム種別情報または該無線通信システム種別情報に関連する情報の順に優先度を決定し、この優先度に従って、現在位置での無線通信システム種別情報または該現在位置での無線通信システム種別情報に関連する情報を検索する手段として構成されたことを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の移動無線端末装置。
【請求項5】
上記現在位置情報の入力が、該移動無線端末装置の電源オン時または該移動無線端末装置の通信終了時または該移動無線端末装置が圏外状態から待ち受けた場合に行なわれることを特徴とする、請求項4記載の移動無線端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55442(P2013−55442A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191298(P2011−191298)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】