移動通信システム、移動局及び無線制御装置
本発明の課題は、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信において、基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損を回避するように、移動局MSにおける情報の受信方法を選択することである。本発明に係る移動局MSは、複数のセルを介して送信された同一情報を受信するための受信方法選択情報を取得する受信方法選択情報取得部11,14,15,16と、受信方法選択情報に基づいて同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定する判定部12とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システム、移動局及び無線制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のPDC(Personal Digital Cellular)等の第2世代移動通信システムでは、移動局が、通信中にセル間を移動する際、ハンドオーバ元セルとの間の通信チャネルを解放した後に、ハンドオーバ先セルとの間の通信チャネルを設定するハンドオーバ方式(ハードハンドオーバ方式)が採用されていた。
【0003】
一方、従来のCDMA移動通信システムでは、移動局が、通信中にセル間を移動する際、ハンドオーバ元セルとの間の通信チャネルを解放する前に、ハンドオーバ先セルとの間の通信チャネルを設定するハンドオーバ方式(ダイバーシチハンドオーバ方式)が採用されている。
【0004】
なお、本明細書では、基地局は、1つのセルを管理するように構成されていてもよいし、複数のセルを管理するように構成されていてもよい。
【0005】
かかるダイバーシチハンドオーバ方式では、移動局は、セルの境界付近の所定領域において、複数のセルとの間の複数の通信チャネルを同時に設定して通信を行うように構成されている。
【0006】
図1(a)乃至(d)に、かかるダイバーシチハンドオーバ方式における情報の伝送方法を示す。図1(a)乃至(d)に示すように、複数の情報の伝送方法が知られている。
【0007】
図1(a)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における上り方向の情報の伝送方法では、基地局BTSが、複数のセルで移動局MSからの情報を受信して、受信した複数の情報を最大比合成(soft combining)して無線制御装置RNCに送信する。
【0008】
一方、図1(b)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における上り方向の情報の伝送方法では、複数の基地局BTS1及びBTS2の各々が、自身が管理するセルで移動局MSからの情報を受信して、受信した複数の情報と共に、受信品質に対応した信頼度情報(受信電力や受信SIRや受信誤り率やCRCチェック結果等)を併せて無線制御装置RNCに送信する。無線制御装置RNCは、各基地局BTS1及びBTS2からの信頼度情報に基づいて、各基地局BTS1及びBTS2からの情報のうち、最も信頼性の高い情報を選択する選択合成(selective combining)を行い、選択合成後の情報を上位局(図示せず)に送信する。
【0009】
また、図1(c)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における下り方向の情報の伝送方法では、基地局BTSが、無線基地局RNCからの情報を分配して複数のセル宛てに同一情報を送信する。移動局MSは、複数のセルを介して同一情報を受信して最大比合成を行う。
【0010】
一方、図1(d)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における下り方向の情報の伝送方法では、無線基地局RNCが、上位局からの情報を分配して複数の基地局BTS1及びBTS2宛てに同一情報を送信する。移動局MSは、複数のセル(基地局BTS1及びBTS2)からの同一情報を受信して最大比合成を行う。
【0011】
また、従来の移動通信システムにおいて、図2に示すように、1つ又は複数の基地局BTSが、所定セル内の不特定多数の移動局MSに対して同一情報を一斉に送信するブロードキャスト(Broadcast)通信が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0012】
さらに、従来の移動通信システムにおいて、図3に示すように、特定グループに属している複数の移動局MSに対して同一情報を送信するマルチキャスト(Multicast)通信が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0013】
かかるブロードキャスト通信やマルチキャスト通信では、移動局MSにおいてセル間移動に起因する受信情報の重複や欠損を軽減するために、複数のセル間でタイミング同期を取って同一情報を送信する方法が考えられている
【非特許文献1】 ▲3rd▼Generation Partnership Project Technical Specification Group Terminals著,23.041 Technical realization of Cell Broadcast Service(CBS),2000年10月
【非特許文献2】 ▲3rd▼Generation Partnership Project Technical Specification Group Radio Access Network著,25.324 Broadcast/Multicast Control BMC,2000年12月
しかしながら、上述のような従来の移動通信システムでは、移動局MSが、複数のセルからの同一情報の送信に係るタイミング同期の精度又は情報の受信方法(例えば、最大比合成、選択合成、又は合成処理なし)を確認することができず、最適な情報の受信方法を選択することができないため、移動局MSにおける受信品質の劣化に伴う基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損が発生するという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信において、基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損を回避するように、移動局MSにおける情報の受信方法を選択することを可能とする移動通信システム、移動局及び無線制御装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0015】
本発明の第1の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定することを要旨とする。
【0016】
本発明の第1の特徴において、無線制御装置が、前記受信方法選択情報として、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の第2の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の特徴は、複数のセルを介して送信された同一情報を受信するための受信方法選択情報を取得する受信方法選択情報取得部と、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定する判定部とを具備することを要旨とする。
【0019】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、ネットワーク又は基地局から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報を受信し、前記判定部が、前記受信方法指示情報に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0021】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、前記複数のセルから該複数のセルの送信タイミング情報をそれぞれ受信し、受信した前記複数の送信タイミング情報に基づいて、前記複数のセルの送信タイミング差を測定する送信タイミング差測定部を更に具備し、前記判定部が、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0022】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、ネットワーク又は基地局から、複数のセル間の送信タイミング差を受信し、前記判定部が、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0023】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、該記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を取得し、前記判定部が、前記制御情報に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0024】
本発明の第3の特徴において、前記制御情報が、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むように構成されていてもよい。
【0025】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を取得し、前記判定部が、前記制御情報及び前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0026】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルから受信した同一情報に対して前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0027】
本発明の第3の特徴において、送信タイミング差と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0028】
本発明の第3の特徴において、送信タイミング差と移動局の処理能力と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、前記判定部は、受信した前記送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0029】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差が第1の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された全ての信頼度情報を用いて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うように判定するように構成されていてもよい。
【0030】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差が第2の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された信頼度情報の内の一部を比較して、受信した前記同一情報に対して選択合成を行う用に判定するように構成されていてもよい。
【0031】
本発明の第4の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する判断部と、前記移動局において前記同一情報を受信するための受信方法選択情報として、前記判断結果を含む制御情報を報知する報知部とを具備することを要旨とする。
【0032】
本発明の第4の特徴において、前記報知部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルに係る制御情報のみを報知するように構成されていてもよい。
【0033】
本発明の第4の特徴において、前記制御情報が、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むように構成されていてもよい。
【0034】
本発明の第4の特徴において、前記報知部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を送信するように構成されていてもよい。
【0035】
本発明の第4の特徴において、前記受信方法選択情報に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備するように構成されていてもよい。
【0036】
本発明の第5の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、前記複数のセル間の送信タイミング差に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを要旨とする。
【0037】
本発明の第5の特徴において、前記受信方法指示部が、前記複数のセル間の送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に基づいて前記指示を行う用に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1(a)乃至(d)は、従来技術に係るダイバーシチハンドオーバ方式における情報の伝送方法を説明するための図である。
【図2】図2は、従来技術に係るブロードキャスト通信を説明するための図である。
【図3】図3は、従来技術に係るマルチキャスト通信を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施形態に係る無線制御装置の機能ブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施形態に係る無線制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図4に、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図を示す。本実施形態に係る移動通信システムは、図4に示すように、無線制御装置RNCの配下に、2つの基地局BTS1及びBTS2を具備している。
【0040】
また、移動局MSが、基地局BTS1により管理されているセル1から基地局BTS2により管理されているセル2に移動する場合、又は、セル1及びセル2の信号を受信可能な領域にいる場合、基地局BTS1と基地局BTS2との間でダイバーシチハンドオーバを行っているものとする。また、移動局MSは、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、ブロードキャスト通信又はマルチキャスト通信を行っているものとする。
【0041】
なお、以下、本明細書では、2つの基地局BTS1及びBTS2に注目して説明するが、本実施形態に係る移動通信システムは、他の基地局BTSが複数存在する場合であっても同様に機能する。
【0042】
図5に、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの機能ブロックを示す。移動局MSは、図5に示すように、受信方法指示情報受信部11と、受信方法判定部12と、受信合成部13とを具備している。
【0043】
受信方法指示情報受信部11は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0044】
具体的には、受信方法指示情報受信部11は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報(受信方法選択情報)を受信するものである。
【0045】
なお、受信方法指示情報は、最大比合成、選択合成又は合成処理なしのいずれかを示すように構成されていてもよい。
【0046】
受信方法指示情報受信部11は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から受信方法指示情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的にネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0047】
受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか或いは選択合成を行うべきかについて判定するものである。
【0048】
具体的には、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報が「最大比合成」を示す場合、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「選択合成」を示す場合、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定する。
【0049】
また、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定するように構成されていてもよい。
【0050】
かかる場合、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報が「最大比合成」を示す場合、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「選択合成」を示す場合、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「合成処理なし」を示す場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0051】
なお、受信方法判定部12は、複数の受信方法指示情報を受信した場合、所定の基準に従って特定の受信方法指示情報を選択し、選択された受信方法指示情報に基づいて、上述の判定を行うように構成されていてもよい。
【0052】
受信合成部13は、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(又は、合成処理を行わない)ように構成されている。
【0053】
図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0054】
ステップ301において、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTS(例えば、基地局BTS1又はBTS2であってもよいし、その他の基地局BTSであってもよい)が、所定のタイミングで、上述の受信方法指示情報を移動局MSに送信する。ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTSは、同一情報を送信する度に、上述の受信方法指示情報を移動局MSに送信してもよい。
【0055】
ステップ302において、移動局MSの受信方法判定部12が、受信方法指示情報受信部11により受信された受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0056】
ステップ303において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0057】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)又は所定の基地局BTSから送信された受信方法指示情報に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(又は、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0058】
(本発明の第2の実施形態に係る移動通信システム)
図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0059】
図7に示すように、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの構成は、送信タイミング情報取得部14及び送信タイミング差測定部15を具備する点で、第1の実施形態に係る移動通信システム用いて好適な移動局MSの構成と相違する。なお、移動局MSは、受信方法指示情報受信部11を具備するように構成されていてもよいし、受信方法指示情報受信部11を具備しないように構成されていてもよい。
【0060】
送信タイミング情報取得部14は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0061】
具体的には、送信タイミング情報取得部14は、複数の基地局BTS1及びBTS2から、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング情報(受信方法選択情報)をそれぞれ受信する。
【0062】
例えば、送信タイミング情報は、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ(MBMSのサービス情報)が各セルにおいて送信される絶対時間情報(例えば、17時00分00秒)や、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータの送信が開始されるフレーム情報によって構成されている。
【0063】
なお、フレーム情報には、フレーム番号(SFN:System Frame Number、CFN:Conncetion Frame Number)と、タイムスロット数又はチップ数とが含まれる。例えば、フレーム情報は、SFN#100から2スロット(256チップ)遅れた時点という情報を含む。
【0064】
なお、送信タイミング情報取得部14は、複数の基地局BTS1及びBTS2から送信タイミング情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的に複数の基地局BTS1及びBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0065】
送信タイミング差測定部15は、送信タイミング情報取得部14によって受信した複数の送信タイミング情報に基づいて、複数の基地局BTS1及びBTS2の送信タイミング差を測定するものである。
【0066】
なお、受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0067】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0068】
図8を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0069】
ステップ501において、複数の基地局BTS1及びBTS2の各々が、所定のタイミングで、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング情報を移動局MSに送信する。複数の基地局BTS1及びBTS2は、同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング情報を移動局MSに送信してもよい。
【0070】
ステップ502において、移動局MSの送信タイミング情報取得部14により受信された複数の送信タイミング情報に基づいて、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を測定する。
【0071】
ステップ503において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング情報取得部14により測定された複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないかについて判定する。
【0072】
ステップ504において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0073】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、複数の基地局BTS1及びBTS2から送信された送信タイミング情報に基づいて、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を測定し、測定した送信タイミング差に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0074】
具体的には、同一情報に対して最大比合成を行う場合、同一情報に対して選択合成を行う場合や合成処理を行わない場合と比べて、移動局UEのメモリ容量や複数のセル間の同期に対して厳しい要求条件が課せられる。
【0075】
したがって、移動局UEは、複数のセル間の送信タイミング差が閾値Th1より小さいという厳しい要求条件をクリアする場合のみ、受信した同一情報に対して最大比合成を行うことができる。
【0076】
(本発明の第3の実施形態に係る移動通信システム)
図9及び図10を参照して、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0077】
図9に示すように、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの構成は、送信タイミング差受信部16を具備する点で、第1の実施形態に係る移動通信システム用いて好適な移動局MSの構成と相違する。なお、移動局MSは、受信方法指示情報受信部11を具備するように構成されていてもよいし、受信方法指示情報受信部11を具備しないように構成されていてもよい。
【0078】
送信タイミング差受信部16は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0079】
具体的には、送信タイミング差受信部16は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を受信する。
【0080】
例えば、送信タイミング差は、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ(MBMSのサービス情報)が各セルにおいて送信される時間情報(例えば、100msや1s)や、フレーム番号とタイムスロット数又はチップ数とを含むフレーム情報や、ビット数によって構成されている。
【0081】
なお、送信タイミング差受信部16は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から送信タイミング情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的にネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0082】
なお、受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないかについて判定する。
【0083】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0084】
図10を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0085】
ステップ701において、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTS(例えば、基地局BTS1又はBTS2であってもよいし、その他の基地局BTSであってもよい)が、所定のタイミングで、セル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を移動局MSに送信する。ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTSは、同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング差を移動局MSに送信してもよい。
【0086】
ステップ702において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング差受信部16により受信された送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0087】
ステップ703において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0088】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)又は所定の基地局BTSから送信された送信タイミング差に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0089】
(本発明の第4の実施形態に係る移動通信システム)
図11及び図13を参照して、本発明の第4の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0090】
本実施形態に係る移動通信システムは、複数の基地局BTS1及びBTS2を介して、移動局MSに対して、マルチメディア同報・放送型通信サービス(MBMS)を提供するものである。
【0091】
本実施形態に係る無線制御装置RNCは、上述の受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(図4では、セル1)の隣接セル(neighboring cell)(図4では、セル2)においてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知するように構成されている。
【0092】
図11に示すように、無線制御装置RNCは、受信部31と、セル管理部32と、判断部33と、制御情報生成部34と、送信タイミング差測定部35と、報知部36とを具備している。
【0093】
受信部31は、無線制御装置RNCの上位局から、上述のマルチメディア同報・放送型通信サービスにおけるブロードキャストサービスやマルチキャストサービスを提供するために必要な情報を取得するものである。
【0094】
例えば、ブロードキャストサービスやマルチキャストサービスを提供するために必要な情報には、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを配信するセルに係る情報や、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを受信する移動局UEに係る情報や、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを開始(又は、終了)する旨を示す情報等が含まれる。
【0095】
セル管理部32は、各セルの位置関係(特に、各セル同士の隣接関係)や、各セル(各基地局BTS)の送信タイミング情報や、各セル(各基地局BTS)で用いられる無線チャネル(ブロードキャストコントロールチャネル(BCCH)やMBMSコントロールチャネル(MCCH)やMBMSトランスポートチャネル(MTCH)等)に係るチャネル情報を管理するものである。
【0096】
例えば、チャネル情報は、使用周波数や、チャネライゼーション符号(Channelisation code)や、スクランブリング符号(Scrambling code)や、拡散符号(Spreading factor)や、送信ダイバーシチの有無や、パイロットシンボルの有無等を含む。
【0097】
判断部33は、受信部31によって受信された情報及びセル管理部32によって管理されている各セルの位置情報を参照して、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)の隣接セル(セル2等)においてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断するものである。
【0098】
例えば、判断部33は、隣接セルにおける無線リソースに空きがあるか否か、隣接セルがブロードキャストデータやマルチキャストデータの配信セルであるか否か、隣接セルを管理する基地局BTSがMBMSを可能なソフトウエアやハードウエアを装備しているか否かに基づいて、隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する。
【0099】
制御情報生成部34は、判断部33による判断結果、すなわち、上述の隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を生成するものである。
【0100】
また、制御情報生成部34は、上述の隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報をさらに含む制御情報を生成するように構成されている。
【0101】
制御情報生成部34は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルに係る制御情報のみを生成するように構成されていてもよい。
【0102】
送信タイミング差測定部35は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルにおける基地局BTSの送信タイミングと上述の在圏セルにおける基地局BTS1の送信タイミングとの差を測定するものである。
【0103】
報知部36は、上述の受信方法選択情報として、上述の制御情報や上述の送信タイミング差を、移動局MSに対して報知するものである。
【0104】
なお、報知部36は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルに係る制御情報のみを報知するように構成されていてもよい。また、報知部36は、既存の報知チャネルを用いて上述の情報を送信してもよいし、MBMS用チャネル(例えば、MCCHやMTCH等)を用いて上述の情報を送信してもよい。
【0105】
図12に示すように、本実施形態に係る移動局MSは、送信タイミング差受信部16と、制御情報受信部17と、受信方法判定部12と、受信合成部13とを具備している。
【0106】
送信タイミング差受信部16は、受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)と隣接セル(セル2等)との間の送信タイミング差を受信するものである。具体的には、送信タイミング差受信部16は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である隣接セル(セル2等)における基地局BTSの送信タイミングと在圏セル(セル1)における基地局BTSの送信タイミングとの差を受信する。
【0107】
また、送信タイミング差受信部16は、在圏セル及び隣接セルに係る送信タイミング情報を受信して、かかる送信タイミング情報から上述の送信タイミング差を測定するように構成されていてもよい。
【0108】
制御情報受信部17は、受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)の隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報や、当該隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報等を含む制御情報を受信するものである。
【0109】
受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差及び制御情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは、合成処理を行わないべきかについて判定するものである。
【0110】
例えば、受信方法判定部12は、図12に示すように、送信タイミング差と、移動局の処理能力と、受信方法とを関連付けるテーブルを具備するように構成されている。かかるテーブルにおいて、移動局の処理能力は、使用可能なメモリ容量や、復調能力等を示す。また、かかるテーブルにおいて、受信方法は、最大比合成方法や、選択合成方法や、合成を行わない方法等を含む。
【0111】
例えば、最大比合成方法又は選択合成方法は、複数のセル(基地局BTS)で用いられる無線チャネルの受信品質(受信電力や受信SIRや受信誤り率等)に対応する信頼度情報やチャネル推定情報を用いて最大比合成又は選択合成を行う方法である。
【0112】
また、選択合成方法は、受信した同一情報についてのCRCチェック結果に基づいて選択合成を行う方法であってもよい。
【0113】
受信方法判定部12は、送信タイミング差受信部16によって受信された送信タイミング差及び現在の移動局MSの処理能力に関連付けられている合成方法を、受信した同一情報についての合成方法として決定する。
【0114】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0115】
なお、受信方法判定部12は、受信電力や受信SIRや受信誤り率やCRCチェック結果等の中から、事前に設定されている一部又は全部を用いた合成方法を行うように判定してもよい。
【0116】
受信合成部13は、受信方法判定部12によって決定された合成方法によって、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ように構成されている。
【0117】
受信合成部13は、受信した送信タイミング差及び制御情報に係る基地局BTSによって管理されている隣接セルからのみ同一情報を受信するように構成されていてもよい。すなわち、移動局MSが、隣接セル10の基地局BTS10に係る送信タイミング差及び制御情報を受信しているが、隣接セル20の基地局BTS20に係る送信タイミング差及び制御情報を受信していない場合、受信合成部13は、在圏セル(セル1)及び隣接セル10からの同一情報のみから受信合成処理を行う。
【0118】
図13を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数の同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0119】
ステップ1001において、無線制御装置RNCが、所定のタイミングで、セル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差と、基地局BTS1及びBTS2が管理するセルに係る制御情報を移動局MSに送信する。無線制御装置RNCは、上述の同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング差を移動局MSに送信してもよい。
【0120】
ステップ1002において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング差受信部16により受信された送信タイミング差及び制御情報受信部17により受信された制御情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0121】
ステップ1003において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0122】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、無線制御装置RNCから送信された隣接セルに係る送信タイミング差及び制御情報に基づいて同一情報に対して最大比合成又は選択合成を行う(或いは,合成処理を行わない)ため、移動局MSがセル間を移動する場合であっても、隣接セルから送信される報知情報を受信することなく、最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0123】
(本発明の第5の実施形態に係る移動通信システム)
図14を参照して、本発明の第5の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0124】
本実施形態に係る無線制御装置RNCは、上述の第4の実施形態に係る無線制御装置RNCにおける送信タイミング差測定部35の代わりに、受信方法判定部37を具備するように構成されている。
【0125】
受信方法判定部37は、判断部33による判断結果や制御情報生成部34によって生成された制御情報やセル管理部32において管理されている各セルの位置関係等に基づいて、移動局MSにおいて、受信した同一情報についての合成方法について決定するものである。かかる決定方法は、上述の移動局MSの受信方法判定部12における決定方法と同様である。
【0126】
報知部36は、移動局MSの在圏セルの隣接セルについての制御情報とともに、受信方法判定部37によって決定された合成方法について移動局MSに送信するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上説明したように、本発明によれば、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信において、基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損を回避するように、移動局MSにおける情報の受信方法を選択することを可能とする移動通信システム、移動局及び無線制御装置を提供することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システム、移動局及び無線制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のPDC(Personal Digital Cellular)等の第2世代移動通信システムでは、移動局が、通信中にセル間を移動する際、ハンドオーバ元セルとの間の通信チャネルを解放した後に、ハンドオーバ先セルとの間の通信チャネルを設定するハンドオーバ方式(ハードハンドオーバ方式)が採用されていた。
【0003】
一方、従来のCDMA移動通信システムでは、移動局が、通信中にセル間を移動する際、ハンドオーバ元セルとの間の通信チャネルを解放する前に、ハンドオーバ先セルとの間の通信チャネルを設定するハンドオーバ方式(ダイバーシチハンドオーバ方式)が採用されている。
【0004】
なお、本明細書では、基地局は、1つのセルを管理するように構成されていてもよいし、複数のセルを管理するように構成されていてもよい。
【0005】
かかるダイバーシチハンドオーバ方式では、移動局は、セルの境界付近の所定領域において、複数のセルとの間の複数の通信チャネルを同時に設定して通信を行うように構成されている。
【0006】
図1(a)乃至(d)に、かかるダイバーシチハンドオーバ方式における情報の伝送方法を示す。図1(a)乃至(d)に示すように、複数の情報の伝送方法が知られている。
【0007】
図1(a)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における上り方向の情報の伝送方法では、基地局BTSが、複数のセルで移動局MSからの情報を受信して、受信した複数の情報を最大比合成(soft combining)して無線制御装置RNCに送信する。
【0008】
一方、図1(b)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における上り方向の情報の伝送方法では、複数の基地局BTS1及びBTS2の各々が、自身が管理するセルで移動局MSからの情報を受信して、受信した複数の情報と共に、受信品質に対応した信頼度情報(受信電力や受信SIRや受信誤り率やCRCチェック結果等)を併せて無線制御装置RNCに送信する。無線制御装置RNCは、各基地局BTS1及びBTS2からの信頼度情報に基づいて、各基地局BTS1及びBTS2からの情報のうち、最も信頼性の高い情報を選択する選択合成(selective combining)を行い、選択合成後の情報を上位局(図示せず)に送信する。
【0009】
また、図1(c)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における下り方向の情報の伝送方法では、基地局BTSが、無線基地局RNCからの情報を分配して複数のセル宛てに同一情報を送信する。移動局MSは、複数のセルを介して同一情報を受信して最大比合成を行う。
【0010】
一方、図1(d)に示すダイバーシチハンドオーバ方式における下り方向の情報の伝送方法では、無線基地局RNCが、上位局からの情報を分配して複数の基地局BTS1及びBTS2宛てに同一情報を送信する。移動局MSは、複数のセル(基地局BTS1及びBTS2)からの同一情報を受信して最大比合成を行う。
【0011】
また、従来の移動通信システムにおいて、図2に示すように、1つ又は複数の基地局BTSが、所定セル内の不特定多数の移動局MSに対して同一情報を一斉に送信するブロードキャスト(Broadcast)通信が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0012】
さらに、従来の移動通信システムにおいて、図3に示すように、特定グループに属している複数の移動局MSに対して同一情報を送信するマルチキャスト(Multicast)通信が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【0013】
かかるブロードキャスト通信やマルチキャスト通信では、移動局MSにおいてセル間移動に起因する受信情報の重複や欠損を軽減するために、複数のセル間でタイミング同期を取って同一情報を送信する方法が考えられている
【非特許文献1】 ▲3rd▼Generation Partnership Project Technical Specification Group Terminals著,23.041 Technical realization of Cell Broadcast Service(CBS),2000年10月
【非特許文献2】 ▲3rd▼Generation Partnership Project Technical Specification Group Radio Access Network著,25.324 Broadcast/Multicast Control BMC,2000年12月
しかしながら、上述のような従来の移動通信システムでは、移動局MSが、複数のセルからの同一情報の送信に係るタイミング同期の精度又は情報の受信方法(例えば、最大比合成、選択合成、又は合成処理なし)を確認することができず、最適な情報の受信方法を選択することができないため、移動局MSにおける受信品質の劣化に伴う基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損が発生するという問題点があった。
【0014】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信において、基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損を回避するように、移動局MSにおける情報の受信方法を選択することを可能とする移動通信システム、移動局及び無線制御装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0015】
本発明の第1の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定することを要旨とする。
【0016】
本発明の第1の特徴において、無線制御装置が、前記受信方法選択情報として、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知するように構成されていてもよい。
【0017】
本発明の第2の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを要旨とする。
【0018】
本発明の第3の特徴は、複数のセルを介して送信された同一情報を受信するための受信方法選択情報を取得する受信方法選択情報取得部と、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定する判定部とを具備することを要旨とする。
【0019】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、ネットワーク又は基地局から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報を受信し、前記判定部が、前記受信方法指示情報に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0021】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、前記複数のセルから該複数のセルの送信タイミング情報をそれぞれ受信し、受信した前記複数の送信タイミング情報に基づいて、前記複数のセルの送信タイミング差を測定する送信タイミング差測定部を更に具備し、前記判定部が、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0022】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、ネットワーク又は基地局から、複数のセル間の送信タイミング差を受信し、前記判定部が、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0023】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、該記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を取得し、前記判定部が、前記制御情報に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0024】
本発明の第3の特徴において、前記制御情報が、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むように構成されていてもよい。
【0025】
本発明の第3の特徴において、前記受信方法選択情報取得部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を取得し、前記判定部が、前記制御情報及び前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0026】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルから受信した同一情報に対して前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0027】
本発明の第3の特徴において、送信タイミング差と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0028】
本発明の第3の特徴において、送信タイミング差と移動局の処理能力と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、前記判定部は、受信した前記送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うように構成されていてもよい。
【0029】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差が第1の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された全ての信頼度情報を用いて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うように判定するように構成されていてもよい。
【0030】
本発明の第3の特徴において、前記判定部が、受信した前記送信タイミング差が第2の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された信頼度情報の内の一部を比較して、受信した前記同一情報に対して選択合成を行う用に判定するように構成されていてもよい。
【0031】
本発明の第4の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する判断部と、前記移動局において前記同一情報を受信するための受信方法選択情報として、前記判断結果を含む制御情報を報知する報知部とを具備することを要旨とする。
【0032】
本発明の第4の特徴において、前記報知部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルに係る制御情報のみを報知するように構成されていてもよい。
【0033】
本発明の第4の特徴において、前記制御情報が、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むように構成されていてもよい。
【0034】
本発明の第4の特徴において、前記報知部が、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を送信するように構成されていてもよい。
【0035】
本発明の第4の特徴において、前記受信方法選択情報に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備するように構成されていてもよい。
【0036】
本発明の第5の特徴は、複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、前記複数のセル間の送信タイミング差に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを要旨とする。
【0037】
本発明の第5の特徴において、前記受信方法指示部が、前記複数のセル間の送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に基づいて前記指示を行う用に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1(a)乃至(d)は、従来技術に係るダイバーシチハンドオーバ方式における情報の伝送方法を説明するための図である。
【図2】図2は、従来技術に係るブロードキャスト通信を説明するための図である。
【図3】図3は、従来技術に係るマルチキャスト通信を説明するための図である。
【図4】図4は、本発明に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、本発明の第3の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図10】図10は、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、本発明の第4の実施形態に係る無線制御装置の機能ブロック図である。
【図12】図12は、本発明の第4の実施形態に係る移動局の機能ブロック図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施形態に係る無線制御装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図4に、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図を示す。本実施形態に係る移動通信システムは、図4に示すように、無線制御装置RNCの配下に、2つの基地局BTS1及びBTS2を具備している。
【0040】
また、移動局MSが、基地局BTS1により管理されているセル1から基地局BTS2により管理されているセル2に移動する場合、又は、セル1及びセル2の信号を受信可能な領域にいる場合、基地局BTS1と基地局BTS2との間でダイバーシチハンドオーバを行っているものとする。また、移動局MSは、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、ブロードキャスト通信又はマルチキャスト通信を行っているものとする。
【0041】
なお、以下、本明細書では、2つの基地局BTS1及びBTS2に注目して説明するが、本実施形態に係る移動通信システムは、他の基地局BTSが複数存在する場合であっても同様に機能する。
【0042】
図5に、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの機能ブロックを示す。移動局MSは、図5に示すように、受信方法指示情報受信部11と、受信方法判定部12と、受信合成部13とを具備している。
【0043】
受信方法指示情報受信部11は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0044】
具体的には、受信方法指示情報受信部11は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報(受信方法選択情報)を受信するものである。
【0045】
なお、受信方法指示情報は、最大比合成、選択合成又は合成処理なしのいずれかを示すように構成されていてもよい。
【0046】
受信方法指示情報受信部11は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から受信方法指示情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的にネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1又はBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0047】
受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか或いは選択合成を行うべきかについて判定するものである。
【0048】
具体的には、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報が「最大比合成」を示す場合、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「選択合成」を示す場合、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定する。
【0049】
また、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定するように構成されていてもよい。
【0050】
かかる場合、受信方法判定部12は、上述の受信方法指示情報が「最大比合成」を示す場合、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「選択合成」を示す場合、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、上述の受信方法指示情報が「合成処理なし」を示す場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0051】
なお、受信方法判定部12は、複数の受信方法指示情報を受信した場合、所定の基準に従って特定の受信方法指示情報を選択し、選択された受信方法指示情報に基づいて、上述の判定を行うように構成されていてもよい。
【0052】
受信合成部13は、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(又は、合成処理を行わない)ように構成されている。
【0053】
図6を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0054】
ステップ301において、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTS(例えば、基地局BTS1又はBTS2であってもよいし、その他の基地局BTSであってもよい)が、所定のタイミングで、上述の受信方法指示情報を移動局MSに送信する。ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTSは、同一情報を送信する度に、上述の受信方法指示情報を移動局MSに送信してもよい。
【0055】
ステップ302において、移動局MSの受信方法判定部12が、受信方法指示情報受信部11により受信された受信方法指示情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0056】
ステップ303において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0057】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)又は所定の基地局BTSから送信された受信方法指示情報に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(又は、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0058】
(本発明の第2の実施形態に係る移動通信システム)
図7及び図8を参照して、本発明の第2の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0059】
図7に示すように、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの構成は、送信タイミング情報取得部14及び送信タイミング差測定部15を具備する点で、第1の実施形態に係る移動通信システム用いて好適な移動局MSの構成と相違する。なお、移動局MSは、受信方法指示情報受信部11を具備するように構成されていてもよいし、受信方法指示情報受信部11を具備しないように構成されていてもよい。
【0060】
送信タイミング情報取得部14は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0061】
具体的には、送信タイミング情報取得部14は、複数の基地局BTS1及びBTS2から、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング情報(受信方法選択情報)をそれぞれ受信する。
【0062】
例えば、送信タイミング情報は、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ(MBMSのサービス情報)が各セルにおいて送信される絶対時間情報(例えば、17時00分00秒)や、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータの送信が開始されるフレーム情報によって構成されている。
【0063】
なお、フレーム情報には、フレーム番号(SFN:System Frame Number、CFN:Conncetion Frame Number)と、タイムスロット数又はチップ数とが含まれる。例えば、フレーム情報は、SFN#100から2スロット(256チップ)遅れた時点という情報を含む。
【0064】
なお、送信タイミング情報取得部14は、複数の基地局BTS1及びBTS2から送信タイミング情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的に複数の基地局BTS1及びBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0065】
送信タイミング差測定部15は、送信タイミング情報取得部14によって受信した複数の送信タイミング情報に基づいて、複数の基地局BTS1及びBTS2の送信タイミング差を測定するものである。
【0066】
なお、受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0067】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0068】
図8を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0069】
ステップ501において、複数の基地局BTS1及びBTS2の各々が、所定のタイミングで、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング情報を移動局MSに送信する。複数の基地局BTS1及びBTS2は、同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング情報を移動局MSに送信してもよい。
【0070】
ステップ502において、移動局MSの送信タイミング情報取得部14により受信された複数の送信タイミング情報に基づいて、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を測定する。
【0071】
ステップ503において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング情報取得部14により測定された複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないかについて判定する。
【0072】
ステップ504において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0073】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、複数の基地局BTS1及びBTS2から送信された送信タイミング情報に基づいて、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を測定し、測定した送信タイミング差に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0074】
具体的には、同一情報に対して最大比合成を行う場合、同一情報に対して選択合成を行う場合や合成処理を行わない場合と比べて、移動局UEのメモリ容量や複数のセル間の同期に対して厳しい要求条件が課せられる。
【0075】
したがって、移動局UEは、複数のセル間の送信タイミング差が閾値Th1より小さいという厳しい要求条件をクリアする場合のみ、受信した同一情報に対して最大比合成を行うことができる。
【0076】
(本発明の第3の実施形態に係る移動通信システム)
図9及び図10を参照して、本発明の第3の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0077】
図9に示すように、本実施形態に係る移動通信システムで用いて好適な移動局MSの構成は、送信タイミング差受信部16を具備する点で、第1の実施形態に係る移動通信システム用いて好適な移動局MSの構成と相違する。なお、移動局MSは、受信方法指示情報受信部11を具備するように構成されていてもよいし、受信方法指示情報受信部11を具備しないように構成されていてもよい。
【0078】
送信タイミング差受信部16は、複数のセル1及びセル2を介して送信された同一情報(ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ)を受信するための受信方法選択情報を取得するものである。
【0079】
具体的には、送信タイミング差受信部16は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から、複数のセル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を受信する。
【0080】
例えば、送信タイミング差は、ブロードキャストデータ又はマルチキャストデータ(MBMSのサービス情報)が各セルにおいて送信される時間情報(例えば、100msや1s)や、フレーム番号とタイムスロット数又はチップ数とを含むフレーム情報や、ビット数によって構成されている。
【0081】
なお、送信タイミング差受信部16は、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から送信タイミング情報が送信されるのを待つように構成されていてもよいし、自発的にネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは基地局BTS1及びBTS2から受信方法指示情報を取得するように構成されていてもよい。
【0082】
なお、受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないかについて判定する。
【0083】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0084】
図10を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数のセルを介して送信された同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0085】
ステップ701において、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTS(例えば、基地局BTS1又はBTS2であってもよいし、その他の基地局BTSであってもよい)が、所定のタイミングで、セル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差を移動局MSに送信する。ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)或いは所定の基地局BTSは、同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング差を移動局MSに送信してもよい。
【0086】
ステップ702において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング差受信部16により受信された送信タイミング差に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0087】
ステップ703において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0088】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、ネットワーク(無線制御装置RNC又はその上位局)又は所定の基地局BTSから送信された送信タイミング差に基づいて、同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ため、移動局MSが、セル間を移動する場合、又は、複数のセルの信号を受信可能な領域にいる場合であっても最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0089】
(本発明の第4の実施形態に係る移動通信システム)
図11及び図13を参照して、本発明の第4の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0090】
本実施形態に係る移動通信システムは、複数の基地局BTS1及びBTS2を介して、移動局MSに対して、マルチメディア同報・放送型通信サービス(MBMS)を提供するものである。
【0091】
本実施形態に係る無線制御装置RNCは、上述の受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(図4では、セル1)の隣接セル(neighboring cell)(図4では、セル2)においてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知するように構成されている。
【0092】
図11に示すように、無線制御装置RNCは、受信部31と、セル管理部32と、判断部33と、制御情報生成部34と、送信タイミング差測定部35と、報知部36とを具備している。
【0093】
受信部31は、無線制御装置RNCの上位局から、上述のマルチメディア同報・放送型通信サービスにおけるブロードキャストサービスやマルチキャストサービスを提供するために必要な情報を取得するものである。
【0094】
例えば、ブロードキャストサービスやマルチキャストサービスを提供するために必要な情報には、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを配信するセルに係る情報や、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを受信する移動局UEに係る情報や、ブロードキャストデータやマルチキャストデータを開始(又は、終了)する旨を示す情報等が含まれる。
【0095】
セル管理部32は、各セルの位置関係(特に、各セル同士の隣接関係)や、各セル(各基地局BTS)の送信タイミング情報や、各セル(各基地局BTS)で用いられる無線チャネル(ブロードキャストコントロールチャネル(BCCH)やMBMSコントロールチャネル(MCCH)やMBMSトランスポートチャネル(MTCH)等)に係るチャネル情報を管理するものである。
【0096】
例えば、チャネル情報は、使用周波数や、チャネライゼーション符号(Channelisation code)や、スクランブリング符号(Scrambling code)や、拡散符号(Spreading factor)や、送信ダイバーシチの有無や、パイロットシンボルの有無等を含む。
【0097】
判断部33は、受信部31によって受信された情報及びセル管理部32によって管理されている各セルの位置情報を参照して、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)の隣接セル(セル2等)においてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断するものである。
【0098】
例えば、判断部33は、隣接セルにおける無線リソースに空きがあるか否か、隣接セルがブロードキャストデータやマルチキャストデータの配信セルであるか否か、隣接セルを管理する基地局BTSがMBMSを可能なソフトウエアやハードウエアを装備しているか否かに基づいて、隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する。
【0099】
制御情報生成部34は、判断部33による判断結果、すなわち、上述の隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を生成するものである。
【0100】
また、制御情報生成部34は、上述の隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報をさらに含む制御情報を生成するように構成されている。
【0101】
制御情報生成部34は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルに係る制御情報のみを生成するように構成されていてもよい。
【0102】
送信タイミング差測定部35は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルにおける基地局BTSの送信タイミングと上述の在圏セルにおける基地局BTS1の送信タイミングとの差を測定するものである。
【0103】
報知部36は、上述の受信方法選択情報として、上述の制御情報や上述の送信タイミング差を、移動局MSに対して報知するものである。
【0104】
なお、報知部36は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である上述の隣接セルに係る制御情報のみを報知するように構成されていてもよい。また、報知部36は、既存の報知チャネルを用いて上述の情報を送信してもよいし、MBMS用チャネル(例えば、MCCHやMTCH等)を用いて上述の情報を送信してもよい。
【0105】
図12に示すように、本実施形態に係る移動局MSは、送信タイミング差受信部16と、制御情報受信部17と、受信方法判定部12と、受信合成部13とを具備している。
【0106】
送信タイミング差受信部16は、受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)と隣接セル(セル2等)との間の送信タイミング差を受信するものである。具体的には、送信タイミング差受信部16は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である隣接セル(セル2等)における基地局BTSの送信タイミングと在圏セル(セル1)における基地局BTSの送信タイミングとの差を受信する。
【0107】
また、送信タイミング差受信部16は、在圏セル及び隣接セルに係る送信タイミング情報を受信して、かかる送信タイミング情報から上述の送信タイミング差を測定するように構成されていてもよい。
【0108】
制御情報受信部17は、受信方法選択情報として、移動局MSが在圏する在圏セル(セル1)の隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報や、当該隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報等を含む制御情報を受信するものである。
【0109】
受信方法判定部12は、上述の送信タイミング差及び制御情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは、合成処理を行わないべきかについて判定するものである。
【0110】
例えば、受信方法判定部12は、図12に示すように、送信タイミング差と、移動局の処理能力と、受信方法とを関連付けるテーブルを具備するように構成されている。かかるテーブルにおいて、移動局の処理能力は、使用可能なメモリ容量や、復調能力等を示す。また、かかるテーブルにおいて、受信方法は、最大比合成方法や、選択合成方法や、合成を行わない方法等を含む。
【0111】
例えば、最大比合成方法又は選択合成方法は、複数のセル(基地局BTS)で用いられる無線チャネルの受信品質(受信電力や受信SIRや受信誤り率等)に対応する信頼度情報やチャネル推定情報を用いて最大比合成又は選択合成を行う方法である。
【0112】
また、選択合成方法は、受信した同一情報についてのCRCチェック結果に基づいて選択合成を行う方法であってもよい。
【0113】
受信方法判定部12は、送信タイミング差受信部16によって受信された送信タイミング差及び現在の移動局MSの処理能力に関連付けられている合成方法を、受信した同一情報についての合成方法として決定する。
【0114】
例えば、受信方法判定部12は、送信タイミング差が閾値Th1より小さい場合(第1の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して最大比合成を行うように判定し、送信タイミング差が閾値Th1以上で閾値Th2より小さい場合(第2の範囲内の値である場合)、受信した同一情報に対して選択合成を行うように判定し、その他の場合、受信した同一情報に対して合成処理を行わないように判定する。
【0115】
なお、受信方法判定部12は、受信電力や受信SIRや受信誤り率やCRCチェック結果等の中から、事前に設定されている一部又は全部を用いた合成方法を行うように判定してもよい。
【0116】
受信合成部13は、受信方法判定部12によって決定された合成方法によって、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)ように構成されている。
【0117】
受信合成部13は、受信した送信タイミング差及び制御情報に係る基地局BTSによって管理されている隣接セルからのみ同一情報を受信するように構成されていてもよい。すなわち、移動局MSが、隣接セル10の基地局BTS10に係る送信タイミング差及び制御情報を受信しているが、隣接セル20の基地局BTS20に係る送信タイミング差及び制御情報を受信していない場合、受信合成部13は、在圏セル(セル1)及び隣接セル10からの同一情報のみから受信合成処理を行う。
【0118】
図13を参照して、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、移動局MSが複数の同一情報についての受信処理を行う場合の動作を説明する。
【0119】
ステップ1001において、無線制御装置RNCが、所定のタイミングで、セル1(基地局BTS1)及びセル2(基地局BTS2)の送信タイミング差と、基地局BTS1及びBTS2が管理するセルに係る制御情報を移動局MSに送信する。無線制御装置RNCは、上述の同一情報を送信する度に、上述の送信タイミング差を移動局MSに送信してもよい。
【0120】
ステップ1002において、移動局MSの受信方法判定部12が、送信タイミング差受信部16により受信された送信タイミング差及び制御情報受信部17により受信された制御情報に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成を行うべきか、選択合成を行うべきか、或いは合成処理を行わないべきかについて判定する。
【0121】
ステップ1003において、移動局MSの受信合成部13が、受信方法判定部12による判定結果に基づいて、受信した同一情報に対して、最大比合成又は選択合成を行う(或いは、合成処理を行わない)。
【0122】
本実施形態に係る移動通信システムによれば、受信合成部13が、無線制御装置RNCから送信された隣接セルに係る送信タイミング差及び制御情報に基づいて同一情報に対して最大比合成又は選択合成を行う(或いは,合成処理を行わない)ため、移動局MSがセル間を移動する場合であっても、隣接セルから送信される報知情報を受信することなく、最適な情報の受信方法を選択することができる。
【0123】
(本発明の第5の実施形態に係る移動通信システム)
図14を参照して、本発明の第5の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。以下、本実施形態に係る移動通信システムについて、上述の実施形態に係る移動通信システムとの相違点を主として説明する。
【0124】
本実施形態に係る無線制御装置RNCは、上述の第4の実施形態に係る無線制御装置RNCにおける送信タイミング差測定部35の代わりに、受信方法判定部37を具備するように構成されている。
【0125】
受信方法判定部37は、判断部33による判断結果や制御情報生成部34によって生成された制御情報やセル管理部32において管理されている各セルの位置関係等に基づいて、移動局MSにおいて、受信した同一情報についての合成方法について決定するものである。かかる決定方法は、上述の移動局MSの受信方法判定部12における決定方法と同様である。
【0126】
報知部36は、移動局MSの在圏セルの隣接セルについての制御情報とともに、受信方法判定部37によって決定された合成方法について移動局MSに送信するように構成されている。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上説明したように、本発明によれば、ブロードキャスト通信やマルチキャスト通信において、基地局BTSの送信電力の増加又は移動局MSにおける受信情報の重複又は欠損を回避するように、移動局MSにおける情報の受信方法を選択することを可能とする移動通信システム、移動局及び無線制御装置を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、
前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、
前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを特徴とする移動通信システム。
【請求項3】
複数のセルを介して送信された同一情報を受信するための受信方法選択情報を取得する受信方法選択情報取得部と、
前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定する判定部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項4】
前記判定部は、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項5】
前記受信方法選択情報取得部は、ネットワーク又は基地局から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報を受信し、
前記判定部は、前記受信方法指示情報に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項6】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、前記複数のセルから該複数のセルの送信タイミング情報をそれぞれ受信し、
受信した前記複数の送信タイミング情報に基づいて、前記複数のセルの送信タイミング差を測定する送信タイミング差測定部を更に具備し、
前記判定部は、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項7】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、ネットワーク又は基地局から、複数のセル間の送信タイミング差を受信し、
前記判定部は、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項8】
無線制御装置は、前記受信方法選択情報として、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項9】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、
前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する判断部と、
前記移動局において前記同一情報を受信するための受信方法選択情報として、前記判断結果を含む制御情報を報知する報知部とを具備することを特徴とする無線制御装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルに係る制御情報のみを報知することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項11】
前記制御情報は、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むことを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項12】
前記報知部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を送信することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項13】
前記受信方法選択情報に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項14】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、該記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を取得し、
前記判定部は、前記制御情報に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項15】
前記制御情報は、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項16】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を取得し、
前記判定部は、前記制御情報及び前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項17】
前記判定部は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルから受信した同一情報に対して前記判定を行うことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項18】
送信タイミング差と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項19】
送信タイミング差と移動局の処理能力と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項20】
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差が第1の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された全ての信頼度情報を用いて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うように判定することを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項21】
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差が第2の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された信頼度情報の内の一部を比較して、受信した前記同一情報に対して選択合成を行う用に判定することを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項22】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、
前記複数のセル間の送信タイミング差に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを特徴とする無線制御装置。
【請求項23】
前記受信方法指示部は、前記複数のセル間の送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に基づいて前記指示を行うことを特徴とする請求項22に記載の無線制御装置。
【請求項1】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、
前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定することを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムであって、
前記移動局において、前記複数のセルを介して同一情報を受信するための受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを特徴とする移動通信システム。
【請求項3】
複数のセルを介して送信された同一情報を受信するための受信方法選択情報を取得する受信方法選択情報取得部と、
前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて判定する判定部とを具備することを特徴とする移動局。
【請求項4】
前記判定部は、前記受信方法選択情報に基づいて、受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか、選択合成を行うか、又は合成処理を行わないかについて判定することを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項5】
前記受信方法選択情報取得部は、ネットワーク又は基地局から、最大比合成又は選択合成を示す受信方法指示情報を受信し、
前記判定部は、前記受信方法指示情報に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項6】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、前記複数のセルから該複数のセルの送信タイミング情報をそれぞれ受信し、
受信した前記複数の送信タイミング情報に基づいて、前記複数のセルの送信タイミング差を測定する送信タイミング差測定部を更に具備し、
前記判定部は、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項7】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、ネットワーク又は基地局から、複数のセル間の送信タイミング差を受信し、
前記判定部は、前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項8】
無線制御装置は、前記受信方法選択情報として、前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を報知することを特徴とする請求項1に記載の移動通信システム。
【請求項9】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、
前記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについて判断する判断部と、
前記移動局において前記同一情報を受信するための受信方法選択情報として、前記判断結果を含む制御情報を報知する報知部とを具備することを特徴とする無線制御装置。
【請求項10】
前記報知部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルに係る制御情報のみを報知することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項11】
前記制御情報は、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むことを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項12】
前記報知部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を送信することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項13】
前記受信方法選択情報に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを特徴とする請求項9に記載の無線制御装置。
【請求項14】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、該記移動局が在圏する在圏セルの隣接セルにおいてブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能であるか否かについての情報を含む制御情報を取得し、
前記判定部は、前記制御情報に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の移動局。
【請求項15】
前記制御情報は、前記隣接セルで用いられる無線チャネルに係るチャネル情報を含むことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項16】
前記受信方法選択情報取得部は、前記受信方法選択情報として、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルの送信タイミングと前記在圏セルの送信タイミングとの差を取得し、
前記判定部は、前記制御情報及び前記送信タイミング差に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項17】
前記判定部は、ブロードキャストサービス又はマルチキャストサービスが提供可能である前記隣接セルから受信した同一情報に対して前記判定を行うことを特徴とする請求項14に記載の移動局。
【請求項18】
送信タイミング差と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項19】
送信タイミング差と移動局の処理能力と前記同一情報についての合成方法とを関連付けて記憶する記憶部を具備し、
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に関連付けられている前記合成方法に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項20】
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差が第1の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された全ての信頼度情報を用いて、受信した前記同一情報に対して最大比合成を行うように判定することを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項21】
前記判定部は、受信した前記送信タイミング差が第2の範囲内の値である場合、前記複数のセルで用いられる無線チャネルの受信品質に対応する設定された信頼度情報の内の一部を比較して、受信した前記同一情報に対して選択合成を行う用に判定することを特徴とする請求項7に記載の移動局。
【請求項22】
複数のセルを介して移動局に同一情報を送信する移動通信システムにおいて用いられる無線制御装置であって、
前記複数のセル間の送信タイミング差に基づいて、前記移動局において受信した前記同一情報に対して、最大比合成を行うか又は選択合成を行うかについて指示する受信方法指示部を具備することを特徴とする無線制御装置。
【請求項23】
前記受信方法指示部は、前記複数のセル間の送信タイミング差及び前記移動局の処理能力に基づいて前記指示を行うことを特徴とする請求項22に記載の無線制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【国際公開番号】WO2005/020471
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513317(P2005−513317)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012026
【国際出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/012026
【国際出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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