説明

移動通信システム

【課題】移動局UE#1と移動局UE#2との間の直接通信において、信号間の直交性を維持する。
【解決手段】本発明に係る移動通信システムでは、周波数F1において、Uuインタフェースを介した無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、周波数F2において、Uuインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2から無線基地局eNBへのデータ信号の送信と、Udインタフェースを介した移動局UE#1と移動局UE#2との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、Udインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図6に、従来のLTE(Long Term Evolution)方式におけるTA(Timing Advance)制御の様子について示す。
【0003】
図6に示すように、TA制御では、無線基地局eNBが、移動局UE#1及び移動局UE#2によって送信される上りリンク信号が直交するように、上りリンク信号の受信タイミング(「Uu UL」)を揃えるべく、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して「TA command(TA1及びTA2)」を送信するように構成されている。
【0004】
移動局UE#1及び移動局UE#2は、無線基地局eNBから受信した「TA command(TA1及びTA2)」に基づいて、上りリンク信号の送信タイミング(「Uu UL」)を調整するように構成されている。
【0005】
このように、TA制御を適用することで、上りリンク信号の伝搬遅延を補正することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS36.323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、従来のLTE方式の移動通信システムでは、複数の移動局UEが、同一セル(或いは、無線基地局eNB配下のセル)内に位置している場合であっても、データ信号及び制御信号の両方が、無線基地局eNBを介して送受信されるように構成されているため、無線基地局eNBの処理負荷が増大してしまうという問題点があった。
【0008】
かかる問題点を解決するために、複数の移動局UEが、無線基地局eNBとの間で設定されているUuインタフェースにおける無線リンクを介することなく、移動局間インタフェース(以下、Udインタフェース)における無線リンクを介して、データ信号の送受信を行うことを想定することができる。
【0009】
かかる移動局UE#1と移動局UE#2との間の直接通信(すなわち、Ud通信やD2D通信)を考えた場合、Udインタフェースを介した送信タイミングの調整は、移動局UE#1と移動局UE#2との間の距離が問題となる。
【0010】
例えば、図7(a)に示すように、移動局UE#1と無線基地局eNBとの間の距離(伝搬遅延T1)及び移動局UE#2と無線基地局eNBとの間の距離(伝搬遅延T2)が変わらなくても、移動局UE#1や移動局UE#2が、円弧上を移動すれば、移動局UE#1と移動局UE#2との間の距離(伝搬遅延TX)は変わってくる。
【0011】
また、実際には、各移動局UE#1及び移動局UE#2の軌跡は、複雑であり、図7(b)に例示するように、移動局UE#1と無線基地局eNBとの間の距離(伝搬遅延T1)及び移動局UE#2と無線基地局eNBとの間の距離(伝搬遅延T2)と同時に、移動局UE#1と移動局UE#2との間の距離(伝搬遅延TX)も変わってくると考えられる。
【0012】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、移動局UE#1と移動局UE#2との間の直接通信において、信号間の直交性を維持することができる移動通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の特徴は、第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信と、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【0014】
本発明の第2の特徴は、第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信と、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【0015】
本発明の第3の特徴は、第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、第3周波数において、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、移動局UE#1と移動局UE#2との間の直接通信において、信号間の直交性を維持することができる移動通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る無線基地局の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける送受信タイミングを示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける送受信タイミングを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける送受信タイミングを示す図である。
【図6】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【図7】従来の移動通信システムについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0019】
本実施形態に係る移動通信システムは、LTE方式の移動通信システムであって、図1に示すように、コアネットワークと、コアネットワーク装置に接続されている無線基地局eNBとを具備している。なお、本発明は、LTE方式以外のセルラー方式の移動通信システムにも適用可能である。
【0020】
本実施形態に係る移動通信システムでは、移動局UE#1及び移動局UE#2と無線基地局eNBとの間のUuインタフェースと、移動局UE#1と移動局UE#2との間のUdインタフェースとが規定されている。
【0021】
移動局UE#1は、移動局UE#2との間で、Uuインタフェースを介することなく、Udインタフェースを介して、データ信号を送受信することができるように構成されている。
【0022】
また、移動局UE#1は、無線基地局eNBとの間で、Uuインタフェースを介して、データ信号及び制御信号を送受信することができるように構成されている。
【0023】
同様に、移動局UE#2は、移動局UE#1との間で、Uuインタフェースを介することなく、Udインタフェースを介して、データ信号を送受信することができるように構成されている。
【0024】
また、移動局UE#2は、無線基地局eNBとの間で、Uuインタフェースを介して、データ信号及び制御信号を送受信することができるように構成されている。
【0025】
図2に示すように、無線基地局eNBは、スケジューリング部11と、送信部12と、受信部13とを具備している。
【0026】
スケジューリング部11は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェース(PUSCH/PDSCH)を介した送信機会「Uu UL」及び「Uu DL」や、Udインタフェースを介した送信機会「Ud Tx」及び「Ud Rx」を割り当てるように構成されている。
【0027】
送信部12は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェースを介して、PDCCHを用いて、Uuインタフェースを介した送信機会やUdインタフェースを介した送信機会を通知するように構成されている。
【0028】
また、送信部12は、移動局UE#1及び移動局UE#2に対して、Uuインタフェースを介して、PDSCHを用いて、データ信号(トランスポートブロック)を送信するように構成されている。
【0029】
受信部13は、移動局UE#1及び移動局UE#2から、Uuインタフェースを介して、PUSCHを用いて、データ信号(トランスポートブロック)を受信するように構成されている。
【0030】
なお、本実施形に係る移動通信システムにおいて、Uuインタフェースにおける送受信で用いられる周波数及びUdインタフェースにおける送受信で用いられる周波数の組み合わせによって、以下の3つのケースを想定する。
【0031】
<ケース1>
第1に、図3を参照して、Udインタフェースにおける送受信で用いられる周波数及びUuインタフェースにおける上りリンクの送受信で用いられる周波数が同じケース1について説明する。
【0032】
図3に示すように、ケース1では、周波数F2において、Udインタフェースにおける送受信及びUuインタフェースにおける上りリンクの送受信が時分割で行われるように構成されている。
【0033】
また、図3に示すように、ケース1では、周波数F1において、Uuインタフェースにおける下りリンクの送受信が行われるように構成されている。
【0034】
なお、ケース1では、移動局UE#1及び移動局UE#2は、周波数F2において、Uu/Udインタフェースを介した送信を行う場合とUdインタフェースを介した受信を行う場合とで、内部回路を切り替える必要があり、かかる内部回路の切り替えを行うための時間が必要となる。
【0035】
したがって、移動局UE#1及び移動局UE#2は、各サブフレームにおいて、かかる切替時間を除いた残りの時間内で、Udインタフェースを介した受信を行う必要がある。
【0036】
すなわち、移動局UE#1(或いは、移動局UE#2)は、移動局UE#1と移動局UE#2との間の伝搬遅延TXを考慮した上で、移動局UE#2(或いは、移動局UE#1)の受信ウィンドウ「Ud Rx」内に届くように、Udインタフェースを介してデータ信号を送信する必要がある。
【0037】
したがって、例えば、図3に示すように、移動局UE#1から移動局UE#2にデータ信号が送信される場合、周波数F2上で、移動局UE#1がUdインタフェースを介して移動局UE#2に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#2において、上述の切替時間や信号の直交性維持に要する時間を考慮して、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT1a及びT1bが設けられるように構成されている。
【0038】
同様に、移動局UE#2から移動局UE#1にデータ信号が送信される場合、周波数F2上で、移動局UE#2がUdインタフェースを介して移動局UE#1に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#4において、上述の切替時間や信号の直交性維持に要する時間を考慮して、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT2a及びT2bが設けられるように構成されている。
【0039】
すなわち、周波数F2上で、移動局UE#1がUdインタフェースを介して移動局UE#2に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#2や、移動局UE#2がUdインタフェースを介して移動局UE#1に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#4において、かかるデータ信号の送信が行われる時間を通常のサブフレームの時間長よりも短くするように構成されている。
【0040】
例えば、かかるサブフレーム#2/#4において、OFDMシンボル数を減らすことによって、かかるデータ信号の送信が行われる時間を通常のサブフレームの時間長よりも短くするように構成されている。
【0041】
すなわち、通常のサブフレームにおけるOFDMシンボル数が「14」であるところ、かかるサブフレーム#2/#4では、OFDMシンボル数を「13」や「12」等に減らすように構成されていてもよい。
【0042】
なお、かかる所定ギャップの1つ又は複数は、図3に示すT2aのように「0」であってもよい。
【0043】
ここで、所定ギャップの時間長、或いは、該所定ギャップを除いたサブフレームの時間長は、シンボル単位で規定されていてもよい。
【0044】
また、所定ギャップの時間長(例えば、シンボル数)は、無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2に対して通知されてもよい。例えば、かかる所定ギャップの時間長は、RRCシグナリングで通知されてもよい。
【0045】
ここで、かかる受信ウィンドウ「Ud Rx」は、伝搬遅延T1/T2(又は、TA1及びTA2の大きさ)にも依存して変化する。したがって、Udインタフェースにおける送信タイミング「Ud Tx」は、T1/T2/TXの全てに依存することになる。
【0046】
なお、TA1及びTA2は、無線基地局eNBに既知であるが、TXは、無線基地局eNBでは不明である。また、上述の通り、TA1やTA2が不変であっても、TXが変わっている場合もある。
【0047】
なお、ケース1では、移動局UEによってUdインタフェースを介して送信された信号が無線基地局eNBに(干渉として)届くタイミングが、「Uu UL」のタイミングと揃うため、周波数F1上の直交性を保つことができる。
【0048】
<ケース2>
第2に、図4を参照して、Udインタフェースにおける送受信で用いられる周波数及びUuインタフェースにおける下りリンクの送受信で用いられる周波数が同じケース2について説明する。
【0049】
図4に示すように、ケース2では、周波数F1において、Udインタフェースにおける送受信及びUuインタフェースにおける下りリンクの送受信が時分割で行われるように構成されている。
【0050】
また、図4に示すように、ケース2では、周波数F2において、Uuインタフェースにおける上りリンクの送受信が行われるように構成されている。
【0051】
なお、ケース2では、移動局UE#1及び移動局UE#2は、周波数F1において、Udインタフェースを介した送信を行う場合とUu/Udインタフェースを介した受信を行う場合とで、内部回路を切り替える必要があり、かかる内部回路の切り替えを行うための時間が必要となる。
【0052】
したがって、例えば、図4に示すように、移動局UE#1から移動局UE#2にデータ信号が送信される場合、周波数F1上で、移動局UE#1がUdインタフェースを介して移動局UE#2に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#2において、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT1a及びT1bが設けられるように構成されている。
【0053】
同様に、移動局UE#2から移動局UE#1にデータ信号が送信される場合、周波数F1上で、移動局UE#2がUdインタフェースを介して移動局UE#1に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#4において、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT2a及びT2bが設けられるように構成されている。
【0054】
なお、かかる所定ギャップの1つ又は複数は、図4に示すT1a/T2a/T2bのように「0」であってもよい。
【0055】
したがって、ケース2でも、ケース1と同様に、移動局UE#1(又は、移動局UE#2)は、移動局UE#2(又は、移動局UE#1)の受信ウィンドウ「Ud Rx」を考慮して、Udインタフェースを介したデータ信号の送信を行う必要があり、Udインタフェースにおける送信タイミング「Ud Tx」は、T1/T2/TXの全てに依存することになる。
【0056】
なお、ケース1では、移動局UEによってUdインタフェースを介して送信された信号が周辺の他の移動局UEに(干渉として)届くタイミングは、Udインタフェースを介して送信した移動局UEと周辺の他の移動局UEとの間の距離に依存する。
【0057】
したがって、移動局UEによってUdインタフェースを介して送信された信号が、周辺の他の移動局UEのUuインタフェースにおける受信ウィンドウ「Uu DL」に干渉しないように直交性を保つためには、これらの伝搬遅延も考慮して、所定ギャップとして十分なギャップを設ける必要がある。
【0058】
<ケース3>
第3に、図5を参照して、Udインタフェースにおける送受信で用いられる周波数及びUuインタフェースにおける送受信で用いられる周波数と異なるケース3について説明する。
【0059】
図5に示すように、ケース3では、周波数F1において、Uuインタフェースにおける下りリンクの送受信が行われ、周波数F2において、Uuインタフェースにおける上りリンクの送受信が行われ、周波数F3において、Udインタフェースにおける送受信が行われるように構成されている。
【0060】
また、周波数F3では、Udインタフェースにおける送受信(UE#1→UE#2)及びUdインタフェースにおける送受信(UE#2→UE#1)が時分割で行われるように構成されている。
【0061】
なお、ケース3では、移動局UE#1及び移動局UE#2は、周波数F3において、Udインタフェースを介した送信を行う場合とUdインタフェースを介した受信を行う場合とで、内部回路を切り替える必要があり、かかる内部回路の切り替えを行うための時間が必要となる。
【0062】
したがって、移動局UE#1(又は、移動局UE#2)は、かかる切替時間を考慮して、移動局UE#2(又は、移動局UE#1)において、Udインタフェースを介して送信するデータ信号が受信ウィンドウ「Ud Rx」内に収まるように、Udインタフェースを介したデータ信号の送信タイミング「Ud Tx」を決める必要がある。
【0063】
したがって、例えば、図5に示すように、移動局UE#1から移動局UE#2にデータ信号が送信される場合、周波数F3上で、移動局UE#1がUdインタフェースを介して移動局UE#2に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#2において、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT1a及びT1bが設けられるように構成されている。
【0064】
同様に、移動局UE#2から移動局UE#1にデータ信号が送信される場合、周波数F3上で、移動局UE#2がUdインタフェースを介して移動局UE#1に対してデータ信号の送信が行われるサブフレーム#4において、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップT2a及びT2bが設けられるように構成されている。
【0065】
なお、かかる所定ギャップの1つ又は複数は、図5に示すT1a/T2bのように「0」であってもよい。
【0066】
また、UuインタフェースでPDCCHを介してUdインタフェースにおける割り当て通知を受信する関係上、UuインタフェースとUdインタフェースとのタイミング関係、例えば、「Uu DL」と「Ud Tx」とのタイミング差を示すT1c/T2cを決める必要がある。
【0067】
また、Udインタフェースで用いられる周波数は、他の移動局UE間のUdインタフェースに用いられてもよい。
【0068】
したがって、Udインタフェースを介して送信される信号間の直交性を維持するためには、T1c/T2c等を適切に調整する必要がある。
【0069】
移動局UE#1から移動局UE#2への送信及び移動局UE#1から移動局UE#2への送信において異なる周波数を用いる場合は、上述の切替時間は不要となるものの、Udインタフェースを介して送信される信号間の直交性維持等を実現するために、T1c/T2c等を適切に調整する必要がある。
【0070】
なお、上述の例では、1サブフレームごとに、Uuインタフェースを介した送受信やUdインタフェースを介した送受信が切り替わる場合を示したが、本発明は、複数のサブフレームに渡って「Ud Tx」や「Ud Rx」や「Uu UL」や「Uu DL」が連続する時分割パターンにも適用可能である。なお、かかる時分割パターンは、ダイナミックに変更になってもよい。
【0071】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、上述のように、Udインタフェースを介してデータ信号の送信が行われるサブフレームにおいて、かかるデータ信号の送信が行われるタイミング「Ud Tx」の前後に、所定ギャップを設けることによって、移動局UE#1と移動局UE#2との間の直接通信において、干渉を抑圧することができる。
【0072】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0073】
本実施形態の第1の特徴は、移動局UE#1(第1移動局)及び移動局UE#2(第2移動局)と無線基地局eNBとの間のUuインタフェース(無線基地局インタフェース)と、移動局UE#1と移動局UE#2との間のUdインタフェース(移動局間インタフェース)とが規定されている移動通信システムであって、周波数F1(第1周波数)において、Uuインタフェースを介した無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、周波数F2(第2周波数)において、Uuインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2から無線基地局eNBへのデータ信号の送信と、Udインタフェースを介した移動局UE#1と移動局UE#2との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、Udインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【0074】
本実施形態の第2の特徴は、移動局UE#1及び移動局UE#2と無線基地局eNBとの間のUuインタフェースと、移動局UE#1と移動局UE#2との間のUdインタフェースとが規定されている移動通信システムであって、周波数F1において、Uuインタフェースを介した無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2へのデータ信号の送信と、Udインタフェースを介した移動局UE#1と移動局UE#2との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、周波数F2において、Uuインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2から無線基地局eNBへのデータ信号の送信が行われるように構成されており、Udインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【0075】
本実施形態の第3の特徴は、移動局UE#1及び移動局UE#2と無線基地局eNBとの間のUuインタフェースと、移動局UE#1と移動局UE#2との間のUdインタフェースとが規定されている移動通信システムであって、周波数F1において、Uuインタフェースを介した無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、周波数F2において、Uuインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2から無線基地局eNBへのデータ信号の送信が行われるように構成されており、周波数F3(第3周波数)において、Udインタフェースを介した移動局UE#1と移動局UE#2との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、Udインタフェースを介した移動局UE#1及び移動局UE#2によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを要旨とする。
【0076】
本実施形態の第1乃至第3の特徴において、所定ギャップの時間長、或いは、該所定ギャップを除いたサブフレームの時間長は、シンボル単位で規定されていてもよい。
【0077】
本実施形態の第1乃至第3の特徴において、所定ギャップの時間長は、無線基地局eNBから移動局UE#1及び移動局UE#2に対して通知されてもよい。
【0078】
なお、上述の無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0079】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0080】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとして無線基地局eNBや移動局UE#1/UE#2等内に設けられていてもよい。
【0081】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0082】
UE#1、UE#2…移動局
eNB…無線基地局
11…スケジューリング部
12…送信部
13…受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、
第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、
第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信と、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、
前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項2】
第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、
第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信と、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、
第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、
前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項3】
第1移動局及び第2移動局と無線基地局との間の無線基地局インタフェースと、該第1移動局と該第2移動局との間の移動局間インタフェースとが規定されている移動通信システムであって、
第1周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、
第2周波数において、前記無線基地局インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局から前記無線基地局へのデータ信号の送信が行われるように構成されており、
第3周波数において、前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局と前記第2移動局との間のデータ信号の送受信が時分割で行われるように構成されており、
前記移動局間インタフェースを介した前記第1移動局及び前記第2移動局によってデータ信号の送信が行われるタイミングの前後に所定ギャップが設けられるように構成されていることを特徴とする移動通信システム。
【請求項4】
前記所定ギャップの時間長、或いは、該所定ギャップを除いたサブフレームの時間長は、シンボル単位で規定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動通信システム。
【請求項5】
前記所定ギャップの時間長は、前記無線基地局から前記第1移動局及び前記第2移動局に対して通知されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の移動通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−244422(P2012−244422A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112653(P2011−112653)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】