説明

移動通信方法及び呼セッション制御ノード

【課題】緊急呼の発信処理が開始されてから緊急呼の接続が完了するまでの遅延を短縮する。
【解決手段】本発明に係る移動通信方法は、コアネットワーク内で、UEによる緊急呼用のコネクションを設定する工程Aと、UEによる「IMS Emergency Registration処理」を行う工程Bと、UEによる緊急呼の発信処理を行う工程Cとを有しており、工程Bにおいて、IMSに対して、HSSに保持されているUEの在圏セルの「Cell ID」を送信し、工程Cにおいて、IMSは、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信方法及び呼セッション制御ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPPのTS23.167やTS23.401において、IMSを介して緊急呼を発信する際の動作について規定されている。
【0003】
かかる動作によれば、UE(User Equipment、移動局)は、緊急呼用のPDN(Packet Data Network)に対するコネクション(Emergency PDNコネクション)の設定や、かかるコネクション上での「IMS Emergency Registration処理」を行った上で、IMS(IP Multimedia Subsystem、サービス制御ネットワーク)内のP-CSCF(Proxy Call Session Control Function、呼セッション制御ノード)に対して、緊急呼の発信であることを示すSIP(Session Initiation Protocol)信号である「INVITE」を送信するように構成されている。
【0004】
ここで、IMSは、かかる「INVITE」を受信した後に、UEの位置情報に基づいて、かかる緊急呼の接続先を選択するように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS23.167
【非特許文献1】3GPP TS23.401
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の移動通信システムでは、3GPPのTS23.167に規定されているように、P-CSCFが、UEからの「INVITE」を受信した後に、E-CSCF(Emergency Call Session Control Function、緊急呼用呼セッション制御ノード)に対して、かかる「INVITE」を転送し、E-CSCFが、LRF(Location Retrieval Function)経由で、UEの位置情報として、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得して、接続すべき緊急通報装置を選択し、かかる緊急通報装置に対して、かかる「INVITE」を送信する。
【0007】
したがって、緊急呼の発信処理が開始されてから緊急呼の接続が完了するまでの遅延が増大してしまうという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、緊急呼の発信処理が開始されてから緊急呼の接続が完了するまでの遅延を短縮することができる移動通信方法及び呼セッション制御ノードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、移動通信方法であって、コアネットワーク内で、前記移動局による緊急呼用のコネクションを設定する工程Aと、前記移動局による緊急呼用のサービス制御ネットワークに対する登録処理を行う工程Bと、前記移動局による緊急呼の発信処理を行う工程Cとを有しており、前記工程Bにおいて、前記サービス制御ネットワークに対して、加入者管理サーバに保持されている該移動局の在圏セルの識別情報を送信し、前記工程Cにおいて、前記サービス制御ネットワークは、前記移動局の在圏セルの識別情報に基づいて、前記緊急呼の接続先である緊急通報装置を選択することを要旨とする。
【0010】
本発明の第2の特徴は、移動局にサービスを提供している呼セッション制御ノードであって、前記移動局に係る加入者情報を取得する際に、該移動局の在圏セルの識別情報を取得するように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、緊急呼の発信処理が開始されてから緊急呼の接続が完了するまでの遅延を短縮することができる移動通信方法及び呼セッション制御ノードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの全体構成及び動作について説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】本発明の変更例1に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態に係る移動通信システム)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムについて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムは、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)を収容する移動通信システムである。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信システムにおいて、E-UTRANには、eNB(無線基地局)が設けられている。
【0016】
また、本実施形態に係る移動通信システムは、E-UTRANを収容するコアネットワーク内に、MME(Mobility Management Entity、移動管理ノード)や、S/P-GW(Serving/PDN-Gateway、ゲートウェイ装置)を具備している。
【0017】
さらに、本実施形態に係る移動通信システムは、IMS内に、AS(Application Server、アプリケーションサーバ)や、S-CSCF(Serving Call Session Control Function、UEのサービング呼セッション制御ノード)や、I-CSCF(Interrogate Call Session Control Function)や、E-CSCF等を具備している。
【0018】
なお、本実施形態に係る移動通信システムは、HSS(Home Subscriber Server、加入者管理サーバ)や、緊急呼の接続先である緊急通報装置10等を具備している。
【0019】
なお、本発明は、UTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)/GERAN(GSM EDGE Radio Access Network)等を収容する移動通信システムであってもよい。
【0020】
かかる場合、上述のMMEの代わりに、SGSN/GGSN(Serving/Gateway GPRS Support Node、パケット交換機)が設けられ、上述のeNBの代わりに、RNC(Radio Network Controller、無線回線制御局)/BSS(無線基地局)設けられている。
【0021】
なお、図面において、UEとP-CSCFとの間の信号については、SGSN、S-GW、P-GW或いはGGSNを介して転送される。
【0022】
以下、図2乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムの動作について説明する。
【0023】
第1に、図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける「Emergency Attach処理(緊急呼用のアタッチ処理)」について説明する。
【0024】
図2に示すように、ステップS1001において、UEは、在圏装置であるMME(SGSN)に対して、緊急呼に係る処理であることを示す緊急呼情報を含む「Attach Request」を送信する。
【0025】
MME(SGSN)とHSSとの間で、Diameterプロトコルが用いられている場合、ステップS1002Aにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を含む「Update Location」を送信する。
【0026】
HSSは、ステップS1003Aにおいて、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を保存し、ステップS1004Aにおいて、MME(SGSN)に対して、「Update Location Ack」を送信する。
【0027】
一方、かかるMME(SGSN)とHSSとの間で、MAP(Mobile Application Part)プロトコルが用いられている場合、ステップS1002Bにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、「Update Location」を送信する。
【0028】
ステップS1003Bにおいて、HSSは、かかるMME(SGSN)に対して、「Insert Subscriber Data」を送信し、ステップS1004Bにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、上述のUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を含む「Insert Subscriber Data Ack」を送信する。
【0029】
HSSは、ステップS1005Bにおいて、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を保存し、ステップS1006Bにおいて、かかるMME(SGSN)に対して、「Update Location Ack」を送信する。
【0030】
ここで、MME(SGSN)は、UEが、かかるMME(SGSN)を管理するオペレータの加入者端末であるか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0031】
そして、MME(SGSN)は、UEが、かかるMME(SGSN)を管理するオペレータの加入者端末であると判定した場合にのみ、上述のUEの在圏セルの「Cell ID」を通知するように構成されていてもよい。
【0032】
また、MME(SGSN)は、「Update Location」又は「Insert Subscriber Data Ack」に対して、緊急呼情報を含めなくてもよい。
【0033】
なお、図2に示す「Emergency Attach処理」において、UEの位置情報(在圏情報)として、UEの在圏セルの「Cell ID」を例示しているが、その他のUEの位置情報(例えば、位置登録エリアや事業者固有のエリア識別情報等)について、「Cell ID」に代わり或いは「Cell ID」と共に送信されてもよい。以下、本明細書における「Cell ID」の記述についても同様である。
【0034】
ステップS1007において、かかるMME(SGSN)とS/P-GW(GGSN)との間で、Emergency PDNコネクションが設定される。
【0035】
ステップS1008において、かかるMME(SGSN)は、UEに対して、「Attach Accept」を送信する。
【0036】
第2に、図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける「Emergency PDN Connection設定処理(UEによる緊急呼用のコネクションを設定する処理)」について説明する。
【0037】
ステップS2001において、UEが、在圏装置であるMME(SGSN)に対して、緊急呼に係る処理であることを示す緊急呼情報を含む「PDN Connection Request」を送信する。
【0038】
ステップS2002において、かかるMME(SGSN)とS/P-GW(GGSN)との間で、Emergency PDNコネクションが設定される。
【0039】
MME(SGSN)とHSSとの間で、Diameterプロトコルが用いられている場合、ステップS2003Aにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を含む「Notify Request」を送信する。
【0040】
HSSは、ステップS2004Aにおいて、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を保存し、ステップS2005Aにおいて、MME(SGSN)に対して、「Notify Request Ack」を送信する。
【0041】
一方、かかるMME(SGSN)とHSSとの間で、MAPプロトコルが用いられている場合、ステップS2003Bにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、「Update Location」を送信する。
【0042】
ステップS2004Bにおいて、HSSは、かかるMME(SGSN)に対して、「Insert Subscriber Data」を送信し、ステップS2005Bにおいて、かかるMME(SGSN)は、HSSに対して、上述のUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を含む「Insert Subscriber Data Ack」を送信する。
【0043】
HSSは、ステップS2006Bにおいて、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急情報を保存し、ステップS2007Bにおいて、かかるMME(SGSN)に対して、「Update Location Ack」を送信する。
【0044】
ここで、MME(SGSN)は、UEが、かかるMME(SGSN)を管理するオペレータの加入者端末であるか否かについて判定するように構成されていてもよい。
【0045】
そして、MME(SGSN)は、UEが、かかるMME(SGSN)を管理するオペレータの加入者端末であると判定した場合にのみ、上述のUEの在圏セルの「Cell ID」を通知するように構成されていてもよい。
【0046】
また、MME(SGSN)は、「Notify Request」又は「Insert Subscriber Data Ack」に対して、緊急呼情報を含めなくてもよい。
【0047】
また、MME(SGSN)は、「Notify Request」又は「Insert Subscriber Data Ack」以外のメッセージによって、上述のUEの在圏セルの「Cell ID」及び緊急呼情報を通知するように構成されていてもよい。
【0048】
ステップS2008において、かかるMME(SGSN)は、UEに対して、「PDN Connection Request Ack」を送信する。
【0049】
なお、図2に示す「Emergency Attach処理」が行われた場合には、かかる「Emergency PDN Connection設定処理」は行われなくてもよい。
【0050】
以上、図2に示す「Emergency Attach処理」及び図3に示す「Emergency PDN Connection設定処理」において、HSSは、受信した「Cell ID」について、一定時間経過後に削除してもよいし、「Emergency Attach処理」や「Emergency PDN Connection設定処理」や「IMS Emergency Registration処理」の有効期限が満了した場合において、MMEやS-CSCFより、かかる通知を受信した後に削除してもよい。
【0051】
第3に、図4を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおける「IMS Emergency Registration処理(緊急呼用のサービス制御ネットワークに対する登録処理)」について説明する。
【0052】
図4に示すように、ステップS3001において、UEは、P-CSCFに対して、「Register」を送信し、ステップS3002において、P-CSCFは、I-CSCFに対して、「Register」を送信する。
【0053】
ステップS3003において、I-CSCFは、HSSに対して、「Cx-Query/Cx-Select-pull」を送信する。
【0054】
ここで、HSSは、図2に示す「Emergency Attach処理」或いは図3に示す「Emergency PDN Connection設定処理」によって、既に、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得して保存しているものとする。
【0055】
ステップS3004において、HSSは、I-CSCFに対して、「Cx-Query Resp/Cx-Select-pull Resp」を送信する。
【0056】
ステップS3005において、I-CSCFは、S-CSCFに対して、「Register」を送信する。
【0057】
ステップS3006において、S-CSCFは、HSSに対して、緊急呼情報及び登録有効時間を含む「Cx-put/Cx-pull」を送信する。
【0058】
ステップS3007において、HSSは、S-CSCFに対して、「Cx-put Resp/Cx-pull Resp」を送信する。
【0059】
ここで、HSSは、「IMS Emergency Registration処理」であることを判定して、S-CSCFに対して、「Cx-put Resp/Cx-pull Resp」によって、UEの在圏セルの「Cell ID」を通知してもよい。
【0060】
ステップS3007Aにおいて、S-CSCFは、E-CSCFに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を含む「Register」を送信する。ここで、S-CSCFは、「Register」に、UEの在圏セルの「Cell ID」を含めなくてもよい。
【0061】
ステップS3007Bにおいて、E-CSCFは、S-CSCFに対して、「200 OK」を送信する。
【0062】
かかるステップS3007A及びS3007Bは、実施されなくてもよい。かかる場合、S-CSCF、AS或いはP-CSCFにおいて、緊急通報装置10が選択される。
【0063】
ステップS3008において、S-CSCFは、I-CSCFに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を含む「200 OK」を送信し、ステップS3009において、I-CSCFは、P-CSCFに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を含む「200 OK」を送信する。
【0064】
ここで、S-CSCF及びI-CSCFは、「200 OK」に、UEの在圏セルの「Cell ID」を含めなくてもよいし、I-CSCF及びP-CSCFに対して、別のメッセージによって、UEの在圏セルの「Cell ID」を通知してもよい。
【0065】
ステップS3010において、P-CSCFは、UEに対して、「200 OK」を送信する。
【0066】
なお、S-CSCFは、ステップ3008において、「200 OK」に、UEの在圏セルの「Cell ID」を含める代わりに、ステップS3011において、P-CSCFに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を含む「Notify」を送信してもよい。
【0067】
かかる場合、ステップS3012において、P-CSCFは、S-CSCFに対して、「200 OK」を送信する。
【0068】
なお、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」において、ASが、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得してもよい。
【0069】
また、図4において、S-CSCFは、図2や図3に示すように、MMEからHSSに対して「Notify Request」等が送信された際に、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得してもよいし、HSSに対して加入者情報を問い合わせ際に取得してもよい。
【0070】
後者のケースで、例えば、HSSは、UEの在圏セルの「Cell ID」を保持していない場合等に、S-CSCFからの加入者情報の問い合わせに応じて、MMEから、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得してもよい。
【0071】
すなわち、例えば、図4のステップS3006において、HSSが、「Cx-put/Cx-pull」の受信に応じて、MMEに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を問い合わせてもよい。
【0072】
第4に、図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムにおけるUEによる緊急呼の発信処理について説明する。
【0073】
図5に示すように、ステップS4001において、UEは、P-CSCFに対して、UEの緊急呼用ユーザ識別子及び緊急呼発信識別子を含む「INVITE」を送信する。なお、UEの緊急呼用ユーザ識別子は、その他のユーザ識別子であってもよい。
【0074】
ステップS4002において、P-CSCFは、E-CSCFを選択する。
【0075】
ここで、P-CSCFは、UEの緊急呼用ユーザ識別子から、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」により取得して保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」を特定してもよい。
【0076】
また、P-CSCFは、「INVITE」に含まれる他の情報を考慮して、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」により取得して保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」を特定してもよい。
【0077】
また、P-CSCFは、保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、E-CSCFを選択してもよい。
【0078】
ステップS4003において、P-CSCFは、E-CSCFに対して、UEの緊急呼用ユーザ識別子と緊急呼発信識別子とUEの在圏セルの「Cell ID」とを含む「INVITE」を送信する。なお、UEの緊急呼用ユーザ識別子は、その他のユーザ識別子であってもよい。
【0079】
ここで、E-CSCFが、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」により、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得して保存している場合には、P-CSCFは、「INVITE」に、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」を含めなくてもよい。
【0080】
ステップS4004において、E-CSCFは、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択する。
【0081】
ここで、E-CSCFは、P-CSCFからの「INVITE」に含まれるUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよいし、保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0082】
また、E-CSCFは、自身が取得可能なUEの他の位置情報や、オペレータポリシー等を考慮して、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0083】
ステップS4005において、E-CSCFは、選択した緊急通報装置10に対して、「INVITE」を送信する。ここで、E-CSCFは、かかる「INVITE」に、選択した緊急通報装置10に係る情報を含めてもよい。
【0084】
ここで、E-CSCFは、「INVITE」に、UEの在圏セルの「Cell ID」やUEの緯度経度情報等のUEの位置情報を含めてもよい。
【0085】
その後、3GPPのTS23.167やTS23.228に従う緊急呼の接続処理が実施される。
【0086】
ここで、UEが、ローミング中のUEでない場合であって、かつ、S-CSCF又はS-CSCFが接続されるASが、緊急呼ルーティングを実施する場合には、ステップS4003における「INVITE」は、S-CSCFまで転送されてもよい。
【0087】
ここで、かかる「INVITE」は、E-CSCFを経由してもよいし、E-CSCFを経由しなくてもよい。
【0088】
かかる場合、P-CSCFは、「INVITE」に、UEの在圏セルの「Cell ID」を設定しなくてもよく、かかる「INVITE」を受信したS-CSCF又はASが、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0089】
本発明の第1の実施形態に係る移動通信システムによれば、IMS内のP-CSCFが、「INVITE」を受信する前に、「IMS Emergency Registration処理」により、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得して保存することができるので、「INVITE」の受信から緊急通報装置10への接続までの遅延を短縮することができる。
【0090】
(変更例1)
図6を参照して、本変更例1に係る移動通信システムについて説明する。以下、本変更例1に係る移動通信システムについて、上述の第1の実施形態に係る移動通信システムとの相違点に着目して説明する。
【0091】
ここで、図6を参照して、本発明の変更例1に係る移動通信システムにおけるUEによる緊急呼の発信処理について説明する。
【0092】
図6に示すように、ステップS5001において、UEは、P-CSCFに対して、UEの緊急呼用ユーザ識別子及び緊急呼発信識別子を含む「INVITE」を送信する。なお、UEの緊急呼用ユーザ識別子は、その他のユーザ識別子であってもよい。
【0093】
ステップS5002において、P-CSCFは、S-CSCFを選択する。
【0094】
ここで、P-CSCFは、UEの緊急呼用ユーザ識別子から、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」により取得して保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」を特定してもよい。
【0095】
また、P-CSCFは、「INVITE」に含まれる他の情報を考慮して、図4に示す「IMS Emergency Registration処理」により取得して保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」を特定してもよい。
【0096】
また、P-CSCFは、保存しているUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、S-CSCFを選択してもよい。
【0097】
ステップS5003において、P-CSCFは、S-CSCFに対して、UEの緊急呼用ユーザ識別子と緊急呼発信識別子とUEの在圏セルの「Cell ID」とを含む「INVITE」を送信する。なお、UEの緊急呼用ユーザ識別子は、その他のユーザ識別子であってもよい。
【0098】
ステップS5004において、S-CSCFは、ASに対して、UEの緊急呼用ユーザ識別子と緊急呼発信識別子とUEの在圏セルの「Cell ID」とを含む「INVITE」を送信する。なお、UEの緊急呼用ユーザ識別子は、その他のユーザ識別子であってもよい。
【0099】
ステップS5005において、ASは、かかるUEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択する。
【0100】
ここで、ASは、自身が取得可能なUEの他の位置情報(HSSから取得したUEの位置情報)や、オペレータポリシー等を考慮して、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0101】
ステップS5006において、ASは、S-CSCFに対して、選択した緊急通報装置10に係る情報を含む「INVITE」を送信する。
【0102】
ここで、ASは、「INVITE」に、UEの在圏セルの「Cell ID」やUEの緯度経度情報等のUEの位置情報を含めてもよい。
【0103】
ステップS5007において、S-CSCFは、選択した緊急通報装置10に対して「INVITE」を送信する。ここで、S-CSCFは、かかる「INVITE」に、選択した緊急通報装置10に係る情報を含めてもよい。
【0104】
ここで、S-CSCFは、「INVITE」に、UEの在圏セルの「Cell ID」やUEの緯度経度情報等のUEの位置情報を含めてもよい。
【0105】
その後、3GPPのTS23.167やTS23.228に従う緊急呼の接続処理が実施される。
【0106】
なお、S-CSCFが、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択する場合には、ステップS5004乃至S5006の動作が省略される。
【0107】
かかる場合、S-CSCFは、自身が取得可能なUEの他の位置情報(HSSから取得したUEの位置情報)やオペレータポリシー等を考慮して、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0108】
本発明は、緊急呼通報装置10を選択する時間を短縮することを例として記載しているが、緊急呼によらず、UEによる通信用PDNコネクションの設定処理と発信処理とを同時に実施するようなサービスにおいて、接続先を高速に選択する仕組みとして、同様に適用可能である。
【0109】
例えば、図4に記載の動作(ステップS3006において「Cx-put/Cx-pull」を受信したHSSが、在圏装置から「Cell ID」を取得する動作)を、IMS緊急呼以外の通常呼用の「IMS Registration処理」時に適用することで、通常の「IMS Registration処理」を契機に、呼セッション制御ノードが「Cell ID」を取得することが可能となり、「IMS Registration処理」時の在圏情報に応じた着信呼制御等が可能となる。
【0110】
以上に述べた本実施形態の特徴は、以下のように表現されていてもよい。
【0111】
本実施形態の第1の特徴は、移動通信方法であって、コアネットワーク内で、UE(移動局)による緊急呼用のコネクションを設定する工程Aと、UEによる「IMS Emergency Registration処理(緊急呼用のサービス制御ネットワークに対する登録処理)」を行う工程Bと、UEによる緊急呼の発信処理を行う工程Cとを有しており、工程Bにおいて、IMS(サービス制御ネットワーク)に対して、HSS(加入者管理サーバ)に保持されているUEの在圏セルの「Cell ID(識別情報)」を送信し、工程Cにおいて、IMSは、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択することを要旨とする。
【0112】
本実施形態の第1の特徴において、UEによる「Emergency Attach処理(緊急呼用のアタッチ処理)」を行う工程を更に有し、かかる工程において、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を送信してもよい。
【0113】
ここで、かかる工程において、UEについての有効なプロファイル情報が保持されているか否かについて或いはUEがローミング中であるか否かについて判定し、かかる判定結果に基づいて、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を送信するか否かについて判定してもよい。
【0114】
本実施形態の第1の特徴において、工程Aにおいて、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を送信してもよい。
【0115】
ここで、かかる工程Aにおいて、UEについての有効なプロファイル情報が保持されているか否かについて或いはUEがローミング中であるか否かについて判定し、かかる判定結果に基づいて、HSSに対して、UEの在圏セルの「Cell ID」を送信するか否かについて判定してもよい。
【0116】
本実施形態の第1の特徴において、工程Cにおいて、IMS内のE-CSCF(緊急呼用呼セッション制御ノード)が、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0117】
本実施形態の第1の特徴において、工程Cにおいて、IMS内のAS(アプリケーションサーバ)が、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0118】
本実施形態の第1の特徴において、工程Cにおいて、IMS内のS-CSCF(移動局のサービング呼セッション制御ノード)が、UEの在圏セルの「Cell ID」に基づいて、緊急呼の接続先である緊急通報装置10を選択してもよい。
【0119】
本実施形態の第2の特徴は、UEにサービスを提供しているS-CSCF(呼セッション制御ノード)であって、UEに係る加入者情報を取得する際に、UEの在圏セルの「Cell ID」を取得するように構成されていることを要旨とする。
【0120】
なお、上述のUEやeNB/RNC/BSSやMME/SGSNやS/P-GW/GGSNやHSSやP-CSCFやS-CSCFやI-CSCFやE-CSCFやAS等の動作は、ハードウェアによって実施されてもよいし、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0121】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0122】
かかる記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体に情報を読み書きできるように、当該プロセッサに接続されている。また、かかる記憶媒体は、プロセッサに集積されていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ASIC内に設けられていてもよい。かかるASICは、UEやeNB/RNC/BSSやMME/SGSNやS/P-GW/GGSNやHSSやP-CSCFやS-CSCFやI-CSCFやE-CSCFやAS等内に設けられていてもよい。また、かかる記憶媒体及びプロセッサは、ディスクリートコンポーネントとしてUEやeNB/RNC/BSSやMME/SGSNやS/P-GW/GGSNやHSSやP-CSCFやS-CSCFやI-CSCFやE-CSCFやAS等内に設けられていてもよい。
【0123】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0124】
HSS…加入者管理サーバ
MME…移動管理ノード
S-GW、P-GW…ゲートウェイ装置
P-CSCF、E-CSCF、I-CSCF、S-CSCF…呼セッション制御ノード
AS…アプリケーションサーバ
UE…移動局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアネットワーク内で、前記移動局による緊急呼用のコネクションを設定する工程Aと、
前記移動局による緊急呼用のサービス制御ネットワークに対する登録処理を行う工程Bと、
前記移動局による緊急呼の発信処理を行う工程Cとを有しており、
前記工程Bにおいて、前記サービス制御ネットワークに対して、加入者管理サーバに保持されている該移動局の在圏セルの識別情報を送信し、
前記工程Cにおいて、前記サービス制御ネットワークは、前記移動局の在圏セルの識別情報に基づいて、前記緊急呼の接続先である緊急通報装置を選択することを特徴とする移動通信方法。
【請求項2】
移動局による緊急呼用のアタッチ処理を行う工程を更に有し、
前記工程において、前記加入者管理サーバに対して、前記移動局の在圏セルの識別情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項3】
前記工程Aにおいて、前記加入者管理サーバに対して、前記移動局の在圏セルの識別情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項4】
前記工程Cにおいて、前記サービス制御ネットワーク内の緊急呼用呼セッション制御ノードが、前記移動局の在圏セルの識別情報に基づいて、前記緊急呼の接続先である緊急通報装置を選択することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項5】
前記工程Cにおいて、前記サービス制御ネットワーク内のアプリケーションサーバが、前記移動局の在圏セルの識別情報に基づいて、前記緊急呼の接続先である緊急通報装置を選択することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項6】
前記工程Cにおいて、前記サービス制御ネットワーク内の前記移動局のサービング呼セッション制御ノードが、該移動局の在圏セルの識別情報に基づいて、前記緊急呼の接続先である緊急通報装置を選択することを特徴とする請求項1に記載の移動通信方法。
【請求項7】
前記工程において、前記移動局についての有効なプロファイル情報が保持されているか否かについて或いは該移動局がローミング中であるか否かについて判定し、該判定結果に基づいて、前記加入者管理サーバに対して、該移動局の在圏セルの識別情報を送信するか否かについて判定することを特徴とする請求項2に記載の移動通信方法。
【請求項8】
前記工程Aにおいて、前記移動局についての有効なプロファイル情報が保持されているか否かについて或いは該移動局がローミング中であるか否かについて判定し、該判定結果に基づいて、前記加入者管理サーバに対して、該移動局の在圏セルの識別情報を送信するか否かについて判定することを特徴とする請求項3に記載の移動通信方法。
【請求項9】
移動局にサービスを提供している呼セッション制御ノードであって、
前記移動局に係る加入者情報を取得する際に、該移動局の在圏セルの識別情報を取得するように構成されていることを特徴とする呼セッション制御ノード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−169872(P2012−169872A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29234(P2011−29234)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】