説明

移動通信端末及び測位方式選択方法

【課題】GPS測位方式及び無線LAN測位方式を含む複数の測位演算方式のうちから高精度の演算方式を効率的に選択すること。
【解決手段】この移動通信端末1は、移動体通信方式によって基地局2a,2b,…からの報知信号を受信する移動体通信部13と、無線LAN通信方式を利用した測位演算を実行する無線LAN測位部12と、GPS測位方式による測位演算を実行するGPS測位部11と、移動体通信部13によって報知信号の受信が可能な基地局数と所定閾値とを比較することにより、基地局数の大小を判定する比較部14と、比較部14によって基地局数が多いと判定された場合は、無線LAN測位部12に測位演算を実行させるように制御し、比較部14によって基地局数が少ないと判定された場合は、GPS測位部11に測位演算を実行させるように制御する測位方式選択部15とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信端末及び測位方式選択方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機やカーナビゲーションシステム等の電子機器に搭載された測位機能においては、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を利用した測位方式や、移動体通信網の無線基地局から受信する信号を利用した測位方式等の複数の測位方式が広く用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、GPS測位方式と、GPS測位方式に無線基地局からの信号を利用する測位方式を組み合わせたハイブリッド測位方式と、無線基地局の信号を利用するセルセクタ測位方式とを利用可能な移動通信端末が開示されている。また、近年では、無線LAN通信に利用されるアクセスポイントからの信号を利用した測位方式(以下、「無線LAN測位方式」と言う。)も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−322237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された測位方式の選択方法では、観測衛星数によってGPS単独測位が可能であると判断される場合には、GPS測位方式が優先的に利用されている。そのため、無線LAN測位方式が可能な場合であっても、当該測位方式を選択した効率的な測位演算の実現が困難であった。また、無線LAN測位方式による測位演算の精度を判断するには、観測可能なアクセスポイントの数の判定が必要となり、端末に対する処理負荷が高くなる傾向がある。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、GPS測位方式及び無線LAN測位方式を含む複数の測位演算方式のうちから高精度の演算方式を効率的に選択することが可能な移動通信端末及び測位方式選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の移動通信端末は、複数の測位演算方式によって測位演算が可能に構成された移動通信端末であって、移動体通信方式によって複数の基地局からの信号を受信する移動体通信手段と、無線LAN通信方式を利用した測位演算を実行する第1の測位演算手段と、GPS測位方式による測位演算を実行する第2の測位演算手段と、移動体通信手段によって信号の受信が可能な基地局数と所定数とを比較することにより、基地局数の大小を判定する比較手段と、比較手段によって基地局数が多いと判定された場合は、第1の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御し、比較手段によって基地局数が少ないと判定された場合は、第2の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御する測位方式選択手段と、を備える。
【0008】
或いは、本発明の測位方式選択方法は、測位演算を実行する際に複数の測位演算方式の中から測位演算方式を選択するための測位方式選択方法であって、移動体通信手段が、移動体通信方式によって複数の基地局からの信号を受信する移動体通信ステップと、第1の測位演算手段が、無線LAN通信方式を利用した測位演算を実行する第1の測位演算ステップと、第2の測位演算手段が、GPS測位方式による測位演算を実行する第2の測位演算ステップと、比較手段が、移動体通信手段によって信号の受信が可能な基地局数と所定数とを比較することにより、基地局数の大小を判定する比較ステップと、比較ステップにおいて基地局数が多いと判定された場合は、第1の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御し、比較ステップにおいて基地局数が少ないと判定された場合は、第2の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御する測位方式選択ステップと、を備える。
【0009】
このような移動通信端末及び測位方式選択方法によれば、移動体通信手段による信号受信が可能な基地局、すなわち、周辺基地局の数が多い場合に無線LAN通信方式を利用した測位演算が優先的に実行され、その一方で、周辺基地局の数が少ない場合にはGPS測位方式による測位演算が優先的に実行される。これにより、周辺基地局数によって市街地であるか、又は郊外であるかが判断されて、それに応じて精度の高い測位方式が選択される。併せて、移動通信端末が本来有している通信機能を有効利用して無線LAN通信方式を利用した測位演算の精度が判断される。その結果、GPS測位方式及び無線LAN測位方式を含む複数の測位演算方式のうちから高精度の演算方式を効率的に選択することができる。
【0010】
ここで、測位方式選択手段は、第1及び第2の測位演算手段による測位演算が失敗した場合には、それぞれ、第2及び第1の測位演算手段によって再度測位演算を実行させるように制御する、ことが好ましい。この場合、複数の測位方式を有効に利用して確実に測位演算結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、GPS測位方式及び無線LAN測位方式を含む複数の測位演算方式のうちから高精度の演算方式を効率的に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の好適な一実施形態である移動通信端末1を示す概略構成図である。
【図2】図1の移動通信端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図1の移動通信端末の測位処理時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面とともに本発明による移動通信端末、及び測位方式選択方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の好適な一実施形態である移動通信端末1を示す概略構成図である。同図に示す移動通信端末1は、IMT(International Mobile Telecommunications)2000等の移動体通信方式による通信機能、及びIEEE std 802.11により規格化された無線LAN通信方式による通信機能を有するとともに、GPS衛星から受信した信号を利用したGPS測位機能を有する携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、スマートフォン等の携帯型の通信端末である。
【0015】
同図に示すように、移動通信端末1は、周辺に位置する複数の基地局2a,2b,…のいずれかを介して移動体通信ネットワークNW1に接続可能に構成されている。これにより、移動通信端末1は、移動体通信ネットワークNW1に接続された各種端末装置やサーバ装置との間でパケットデータ通信及び音声通信が可能にされる。具体的には、移動体通信ネットワークNW1には、移動通信端末1にGPS測位に必要なGPS測位アシストデータを提供するための測位アシストサーバ3、及び無線LANを利用した測位方式(以下、「無線LAN測位方式」と呼ぶ。)に基づいた測位演算結果を移動通信端末1に提供する測位演算サーバ4が接続され、移動通信端末1は測位アシストサーバ3及び測位演算サーバ4との間で相互にパケットデータを送受信することが可能にされている。また、移動通信端末1は、周辺に位置する複数の無線LANアクセスポイント5a,5b,…のいずれかを介して無線LAN(図示せず)にも接続可能に構成されている。なお、図1には、移動通信端末1の周辺に存在する基地局及び無線LANアクセスポイントが2台ずつ図示されているが、3台以上の任意の台数が存在してもよい。
【0016】
次に、移動通信端末1のハードウェア構成及び機能構成について詳細に説明する。
【0017】
図2に示すように、移動通信端末1は、物理的には、CPU32と、主記憶装置であるRAM33及びROM34と、ハードディスク装置等の補助記憶装置39と、入力デバイスである入力キー、マウス等の入力装置38、ディスプレイ、スピーカ等の出力装置40と、他の端末装置、サーバ装置や、移動体通信ネットワークNW1内の設備等との間でのデータの送受信を司る移動通信モジュール35と、GPS衛星からの信号を受信してGPS測位を実行するGPS測位モジュール36と、無線LAN通信によるデータの送受信を司る無線LANモジュール37とを含む情報処理装置として構成されている。移動通信端末1によって実現される機能は、図2に示すCPU32、RAM33等のハードウェア上に所定のプログラムを読み込ませることにより、CPU32の制御のもとで移動通信モジュール35、GPS測位モジュール36、無線LANモジュール37、入力装置38、出力装置40を動作させるとともに、RAM33や補助記憶装置39におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0018】
図1に戻って、移動通信端末1は、機能的な構成要素として、GPS測位部(第2の測位演算手段)11、無線LAN測位部(第1の測位演算手段)12、移動体通信部(移動体通信手段)13、比較部(比較手段)14、測位方式選択部(測位方式選択手段)15、及びアプリケーション機能部16a,16bを備える。
【0019】
アプリケーション機能部16a,16bは、GPS測位部11又は無線LAN測位部12によって取得された移動通信端末1の位置情報を、様々なデータ形式に加工して移動通信端末1のユーザやその他の端末のユーザに提供するための機能を有する。例えば、アプリケーション機能部16a,16bは、位置情報に対応した地図情報や店舗情報等を移動体通信ネットワークNW1から取得して表示させたり、位置情報を用いた緊急情報通知を移動体通信ネットワークNW1を介して他の端末に送信したりする機能を有する。
【0020】
GPS測位部11は、測位方式選択部15からの制御により、移動通信端末1の現在位置に関する位置情報を取得するためにGPS測位方式による測位演算を処理する。その際、GPS測位部11は、移動体通信部13を介して測位アシストサーバ3から受信されたGPS測位アシストデータを利用して、GPS衛星から信号を受信することにより測位演算を実行する。また、GPS測位部11は、測位演算の結果生成された移動通信端末1に関する位置情報を、測位結果が正常に完了したかを示す測位結果情報と共に測位方式選択部15に返す。すなわち、GPS測位部11は、GPS衛星からの信号が捕捉できなかったこと等が原因で位置情報が正常に演算できなかったときは、測位処理が異常終了した旨の測位結果情報を生成する。
【0021】
無線LAN測位部12は、測位方式選択部15からの制御により、移動通信端末1に関する位置情報を取得するために無線LAN測位方式を利用した測位演算を処理する。すなわち、GPS測位部11は、無線LANの接続点としての役割を持つ機器である無線LANアクセスポイント5a,5b,…からのビーコン信号を探索する。そして、無線LAN測位部12は、そのビーコン信号に含まれる無線LANアクセスポイント5a,5b,…を識別する識別情報とビーコン信号の電波強度情報とを特定し、移動体通信部13を介して測位演算サーバ4に送信する。また、無線LAN測位部12は、それに応じて測位演算サーバ4によって演算された位置情報を、移動体通信部13を介して受信する。
【0022】
さらに、無線LAN測位部12は、測位演算によって生成された位置情報を、測位結果が正常に完了したかを示す測位結果情報と共に測位方式選択部15に返す。ここで、無線LAN測位部11は、無線LANアクセスポイント5a,5b,…からのビーコン信号が捕捉できなかったこと等が原因で位置情報が正常に演算できなかったときは、測位処理が異常終了した旨の測位結果情報を生成する。
【0023】
なお、上述したGPS測位部11による測位演算の所要時間TTFF(Time To First Fix:初回測位時間)は、一般に10〜15秒程度であり、無線LAN測位部12による測位演算の所要時間TTFFは、1〜2秒程度である。つまり、無線LAN測位部12による測位の演算時間は、GPS測位部11による測位の演算時間よりも非常に短い。これは、GPS測位が遠距離に配置されたGPS衛星からの電波を利用しているのに対し、無線LAN測位が近距離に配置された無線LANアクセスポイントの電波を利用していることに起因している。
【0024】
移動体通信部13は、IMT2000方式の移動体通信方式を利用して複数の基地局2a,2b,…との間で信号を送受信する。これにより、移動体通信部13は、測位演算に関連するデータを、移動体通信ネットワークNW1に接続された測位アシストサーバ3及び測位演算サーバ4との間で送受信する。例えば、移動体通信部13は、GPS測位部11からの要求により、測位アシストサーバ3からGPS測位アシストデータを受信する。また、移動体通信部13は、無線LAN測位部12から渡された無線LANアクセスポイント5a,5b,…に関する識別情報及び電波強度情報を測位演算サーバ4に送信すると共に、それに応じて測位演算サーバ4によって演算された位置情報を受信する。
【0025】
さらに、移動体通信部13は、測位方式選択部15によって測位演算が開始される前に、周辺の複数の基地局2a,2b,…から、それらの基地局2a,2b,…の存在を移動通信端末に報知するための報知信号を受信する。なお、移動体通信部13による報知信号の受信は、移動通信端末1を移動体通信ネットワークNW1に接続可能な状態に維持しておくために、所定のタイミングで繰り返し実行される。そして、移動体通信部13は、報知信号に含まれる報知信号の送信元の基地局2a,2b,…を特定する“基地局特定情報”を抽出して、その“基地局特定情報”を比較部14に出力する。
【0026】
比較部14は、移動体通信部13によって報知信号が受信された基地局の数を特定し、その数によって基地局数の大小を判定する。具体的には、比較部14は、移動体通信部13から出力された“基地局特定情報”に基づいて基地局数をカウントする。そして、比較部14は、予め設定された閾値Nthと基地局数とを比較し、基地局数が閾値Nth未満の場合は、基地局数が“少ない”と判定し、基地局数が閾値Nth以上の場合は、基地局数が“多い”と判定し、その判定結果を測位方式選択部15に出力する。ここで、比較部14は、測位方式選択部15からの判定の要求に応じて、その時点での基地局数をカウントしてもよいし、その時点より以前の所定期間内において基地局数の平均値を算出し、その平均値を用いて基地局数の大小を判定してもよい。
【0027】
測位方式選択部15は、アプリケーション機能部16a,16bからの測位要求に応じて、GPS測位方式及び無線LAN測位方式のうちから測位方式を選択し、それに応じてGPS測位部11又は無線LAN測位部12のいずれかによって測位演算が実行されるように制御する。具体的には、測位方式選択部15は、比較部14による判定結果が基地局数が“多い”ことを示す場合には、移動通信端末1が市街地に存在すると判断し、無線LAN測位部12に対して測位演算を要求する。これに対して、測位方式選択部15は、その判定結果が基地局数が“少ない”ことを示す場合には、移動通信端末1が郊外に存在すると判断し、GPS測位部11に対して測位演算を要求する。
【0028】
また、測位方式選択部15は、比較部14による判定結果に応じて選択された測位方式による測位演算が失敗した場合には、選択された測位方式以外の測位方式によって再度測位演算が実行されるように制御する。すなわち、比較部14による判定結果に応じて無線LAN測位部12が選択され、無線LAN測位部12による測位処理が異常終了した場合には、GPS測位部11に対して測位演算を再度実行するように要求する。その一方で、比較部14による判定結果に応じてGPS測位部11が選択され、GPS測位部11による測位処理が異常終了した場合には、無線LAN測位部12に対して測位演算を再度実行するように要求する。
【0029】
以下、図3を参照して、移動通信端末1の測位動作について説明するとともに、併せて移動通信端末1における測位方式選択方法について詳述する。図3は、移動通信端末1の測位処理時の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、移動通信端末1において、アプリケーション機能部16a,16bを利用したコンテンツの取得要求等の測位要求が発生する(ステップS101)。なお、測位開始の発生契機は、移動通信端末1のユーザからの要求には限定されず、移動体通信ネットワークNW1に接続された他の端末装置等からの要求やアプリケーション機能部16a,16bによる自動起動等が契機であってもよい。この測位要求に応じて、移動通信端末1の比較部14において周辺の基地局の数がカウントされる(ステップS102)。
【0031】
次に、比較部14によって、カウントした周辺基地局数と閾値Nthとが比較される(ステップS103)。その結果、周辺基地局数が閾値Nth未満の場合には(ステップS103;YES)、測位方式選択部15は、GPS測位方式による測位を要求し、GPS測位部11による測位演算が実行されるように制御する(ステップS104)。その後、GPS測位部11から測位方式選択部15に対して、測位演算結果である位置情報及び測位結果情報が出力され、測位方式選択部15において測位演算が成功したか否かが判断される(ステップS105)。測位演算が成功した場合には(ステップS105;YES)、位置情報がアプリケーション機能部16a,16bに渡されて、アプリケーション機能部16a,16bによって所定の出力形式に加工されて出力装置40に出力される(ステップS106)。これに対して、測位演算が失敗した場合には(ステップS105;NO)、測位方式選択部15は、無線LAN測位方式による測位を要求し、無線LAN測位部12による測位演算が再度実行されるように制御する(ステップS107)。これにより、無線LAN測位部12によって生成された位置情報及び測位結果情報は、アプリケーション機能部16a,16bに渡されて、アプリケーション機能部16a,16bによって出力装置40に出力され(ステップS108)、測位処理を完了する。
【0032】
一方、比較部14による比較の結果、周辺基地局数が閾値Nth以上の場合には(ステップS103;NO)、測位方式選択部15は、無線LAN測位方式による測位を要求し、無線LAN測位部12による測位演算が実行されるように制御する(ステップS109)。その後、無線LAN測位部12から測位方式選択部15に対して、測位演算結果である位置情報及び測位結果情報が出力され、測位方式選択部15において測位演算が成功したか否かが判断される(ステップS110)。測位演算が成功した場合には(ステップS110;YES)、位置情報がアプリケーション機能部16a,16bに渡されて、アプリケーション機能部16a,16bによって所定の出力形式に加工されて出力装置40に出力される(ステップS111)。これに対して、測位演算が失敗した場合には(ステップS110;NO)、測位方式選択部15は、GPS測位方式による測位を要求し、GPS測位部11による測位演算が再度実行されるように制御する(ステップS112)。これにより、GPS測位部11によって生成された位置情報及び測位結果情報は、アプリケーション機能部16a,16bに渡されて、アプリケーション機能部16a,16bによって出力装置40に出力され(ステップS113)、測位処理を完了する。
【0033】
以上説明した移動通信端末1及び測位方式選択方法によれば、移動体通信部13による報知信号の受信が可能な基地局、すなわち、周辺基地局の数が多い場合に、無線LAN通信方式を利用した測位演算が優先的に実行され、その一方で、周辺基地局の数が少ない場合にはGPS測位方式による測位演算が優先的に実行される。これにより、周辺基地局数によって市街地であるか、又は郊外であるかが判断されて、それに応じて精度の高い測位方式が選択される。これは、市街地においては、建物等の障害物が多くGPS測位方式の精度が落ちると予想されるに対して、無線LAN測位方式の精度が高いと予想され、かつ、無線LAN測位方式の測位演算時間TTFFも短いことを考慮している。これに対して、郊外では、無線LANアクセスポイントの設置密度が低いので、無線LAN測位方式の精度が低いと予想されるのに対して、障害物が少ないのでGPS測位方式の精度が高いと予想される。
【0034】
このとき、移動通信端末1が本来有している機能である基地局からの報知信号の受信機能を有効活用して、周辺が市街地か郊外かが判断される。その結果、無線LANアクセスポイントからの信号を探索することなく、無線LAN測位方式及びGPS測位方式のうちから高精度の演算方式を効率的に選択することができる。
【0035】
また、測位方式選択部15は、GPS測位部11及び無線LAN測位部12による測位演算が失敗した場合には、それぞれ、無線LAN測位部12及びGPS測位部11によって再度測位演算を実行させるように制御するので、複数の測位方式を有効に利用して確実に測位演算結果を得ることができる。
【0036】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示すシステムにおいては、GPS測位部11がGPS測位アシストデータを利用して測位演算を行っていたが、GPS測位アシストデータを利用しないで自立型の測位演算方式を採用してもよい。
【0037】
また、無線LAN測位部12は、測位演算サーバ4に対して無線LAN測位方式による測位演算を要求していたが、無線LAN測位部12において測位演算を直接実行するようにしてもよい。
【0038】
また、比較部14は、報知信号から抽出された“基地局特定情報”を利用して周辺基地局数をカウントしていたが、報知情報に含まれる基地局周辺の信号到達エリア(セル)を識別する“セル識別情報”を利用してそのセルの数をカウントし、そのカウント結果を周辺基地局数としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…移動通信端末、2a,2b…基地局、11…GPS測位部(第2の測位演算手段)、12…無線LAN測位部(第1の測位演算手段)、13…移動体通信部(移動体通信手段)、14…比較部(比較手段)、15…測位方式選択部(測位方式選択手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の測位演算方式によって測位演算が可能に構成された移動通信端末であって、
移動体通信方式によって複数の基地局からの信号を受信する移動体通信手段と、
無線LAN通信方式を利用した測位演算を実行する第1の測位演算手段と、
GPS測位方式による測位演算を実行する第2の測位演算手段と、
前記移動体通信手段によって信号の受信が可能な前記基地局数と所定数とを比較することにより、前記基地局数の大小を判定する比較手段と、
前記比較手段によって前記基地局数が多いと判定された場合は、前記第1の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御し、前記比較手段によって前記基地局数が少ないと判定された場合は、前記第2の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御する測位方式選択手段と、
を備えることを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
前記測位方式選択手段は、前記第1及び第2の測位演算手段による測位演算が失敗した場合には、それぞれ、前記第2及び第1の測位演算手段によって再度測位演算を実行させるように制御する、
ことを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
測位演算を実行する際に複数の測位演算方式の中から測位演算方式を選択するための測位方式選択方法であって、
移動体通信手段が、移動体通信方式によって複数の基地局からの信号を受信する移動体通信ステップと、
第1の測位演算手段が、無線LAN通信方式を利用した測位演算を実行する第1の測位演算ステップと、
第2の測位演算手段が、GPS測位方式による測位演算を実行する第2の測位演算ステップと、
比較手段が、前記移動体通信手段によって信号の受信が可能な前記基地局数と所定数とを比較することにより、前記基地局数の大小を判定する比較ステップと、
前記比較ステップにおいて前記基地局数が多いと判定された場合は、前記第1の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御し、前記比較ステップにおいて前記基地局数が少ないと判定された場合は、前記第2の測位演算手段に測位演算を実行させるように制御する測位方式選択ステップと、
を備えることを特徴とする測位方式選択方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−247679(P2011−247679A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119293(P2010−119293)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】