説明

移動通信端末

【課題】ローミング先の通信ネットワークに接続されている状態でユーザの承認無しでデータ通信が行われないようにして、予想外の通信料金が課金されないようにする。
【解決手段】制御ユニット10にダウンロード可否判定制御機能103を新たに設け、SMS Pushノーティフィケーションが受信されたことが検出された場合に、現在自端末が位置登録している通信ネットワークが契約先NW1であるかローミング先NW2であるかを判定する。そして、自端末が契約先の第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されている場合には、上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を継続させ、一方自端末がローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されている場合には、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されるまで上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を停止させるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の移動通信端末に係わり、特にローミング先の通信ネットワークを経由してデータ通信を行う機能を備えた移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やPDA等の移動通信端末には、通話機能や電子メールの送受信機能に加えてwebブラウジング機能を備えた端末が増えている。また、ニュースや音楽、ゲーム、電子コミック、動画等のコンテンツをダウンロードし、このダウンロードデータを端末で再生する機能を備えた端末も多くなっている。コンテンツをダウンロードする方式には、端末からのダウンロード要求に応じてコンテンツサーバが該当するコンテンツをダウンロードする方式と、契約されたコンテンツをコンテンツサーバがプッシュ配信する方式がある。いずれの方式を使用した場合でも、多数の端末が同一時間帯にコンテンツをダウンロードすると、通話や電子メール、webブラウジング等のその他の通信のための回線容量を圧迫し好ましくない。
【0003】
そこで従来では、例えばコンテンツのダウンロードに先立ちサーバから端末にメッセージを送り、このメッセージを受信したとき端末において自己が存在する場所の現在時刻が特定時間帯に属しているか否かを判定する。そして、現在時刻が特定時間帯に属している場合にコンテンツをダウンロードする方式が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。このような方式を採用すれば、コンテンツのダウンロードを通話や電子メール、webブラウジング等のその他の通信が少ない夜間等の特定時間帯に行うことが可能となり、これにより回線容量を圧迫しないようにすることができる。
【特許文献1】特開2002−260214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、移動通信端末の中にはローミング機能を備えた端末がある。ローミングとは、端末が契約先の通信事業者のサービスエリア外にいるときに、異なる通信事業者の通信ネットワークに接続するようにしたものである。ローミングを使用すると、端末が契約先の通信事業者のサービスエリア外にいるときでも、通信可能な状態を維持することが可能となる。
【0005】
ところが、ローミング先の通信ネットワークに接続された状態でコンテンツのダウンロードが行われると、一般にローミング先の通信ネットワークを使用するときの通信料金は契約先の通信ネットワークを使用する場合に比べ高額なため、ユーザにとって予期しない通信料金が課金されることがある。一般的にローミングは昼夜等の時間帯に関係なく行われる。このため、仮に先に述べた特許文献1に記載された発明を適用して、コンテンツのダウンロードタイミングを夜間等の特定時間帯に限定したとしても、ローミング先の通信ネットワークを使用している以上、契約先の通信ネットワークを使用する場合よりも高額な料金が請求されることに変わりなく、上記通信料金の問題は依然として解決されない。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、ローミング先の通信ネットワークに接続されている状態でユーザの承認無しでデータ通信が行われないようにし、これにより予期しない通信料金が課金されないようにした移動通信端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の一つの観点は、コンテンツ配信装置に対し契約先の第1の通信ネットワーク又はローミング先の第2の通信ネットワークを介して接続され、上記コンテンツ配信装置からプッシュ方式によりダウンロードされるコンテンツデータを受信する機能を備える移動通信端末にあって、現在自端末が接続されている通信ネットワークが第1の通信ネットワークであるか第2の通信ネットワークであるかを判定する機能を備え、上記コンテンツデータのダウンロードに先立ち上記コンテンツ配信装置から送信されるプッシュ配信の通信信号を受信した場合に、このとき自端末が接続されている通信ネットワークが上記第1の通信ネットワークである場合に、上記コンテンツ配信装置から上記第1の通信ネットワークを介してダウンロードされるコンテンツデータを受信し、一方自端末が接続されている通信ネットワークが上記第2の通信ネットワークである場合には、上記コンテンツデータのダウンロードを制限するように構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明の一観点によれば、コンテンツデータのダウンロードに先立ち、現在自端末が接続されている通信ネットワークが第1の通信ネットワークであるか第2の通信ネットワークであるかが判定され、第2の通信ネットワークと判定された場合には上記コンテンツデータのダウンロードが制限される。この結果、ローミング先の通信ネットワークに接続されている状態でユーザの承認無しでコンテンツデータがダウンロードされることは阻止され、これにより予期しない通信料金が課金される不具合は防止される。
すなわち、ローミング先の通信ネットワークに接続されている状態でユーザの承認無しでデータ通信が行われないようになり、これにより想定外の通信料金が課金されないようにした移動通信端末を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる移動通信端末が使用されるシステムの概略構成図である。このシステムは、異なる通信事業者が運用する第1及び第2の移動通信ネットワークNW1,NW2と、これらの移動通信ネットワークNW1,NW2が接続される有線通信ネットワークNW0を備える。
【0010】
移動通信端末MS1〜MSnはローミング機能を備えており、上記第1及び第2の移動通信ネットワークNW1,NW2のうち、通常は契約先の通信事業者が運用する第1の移動通信ネットワークNW1に接続され、当該第1の移動通信ネットワークNW1に接続できない場合に上記第2の移動通信ネットワークNW2に接続される。
【0011】
有線通信ネットワークNW0は、例えばIP(Internet Protocol)通信ネットワークからなり、この有線通信ネットワークNW0にはコンテンツサーバCSVが接続される。コンテンツサーバCSVは、ニュースや音楽、映像等のコンテンツデータを蓄積し、これらのコンテンツデータを選択的に配信先の移動通信端末MS1〜MSnへ配信する。
【0012】
また上記第1の移動通信ネットワークNW1には事業者サーバPSVが接続されている。この事業者サーバPSVには、プッシュ配信サービス用のプロキシ・サーバ(PPG;Push Proxy Gateway)と、文字メッセージ・サービス用のセンタ装置(SMSC;Short Message Service Center)が設けられている。PPGは、上記コンテンツサーバCSVが移動通信端末MS1〜MSnに対しコンテンツデータを配信する際に使用されるもので、コンテンツサーバCSVからSMS Push メッセージを受信したときに、SMS Push ノーティフィケーションと呼ばれる通知信号をSMSCへ送信する。SMSCは、上記SMS Push ノーティフィケーションを配信先の移動通信端末MS1〜MSnに向け送信する。すなわち、コンテンツサーバCSVは移動通信端末MS1〜MSnに対し、上記事業者サーバPSVに設けられたPPG及びSMSCを利用して、コンテンツデータのプッシュ配信サービスを行う。
【0013】
ところで、移動通信端末MS1〜MSnは例えば携帯電話機又はPDAからなり、次のように構成される。図2はその構成を示すブロック図である。
すなわち、移動通信ネットワークNW1,NW2の基地局(図示せず)から送信された無線信号は、アンテナ1で受信されたのち無線ユニット2に入力される。無線ユニット2は、アンテナ共用器、受信回路及び周波数シンセサイザを備える。そして、上記入力された無線信号を、受信回路において周波数シンセサイザ(SYN)4から出力された局部発振信号とミキシングして中間周波数又はベースバンド周波数の受信信号にダウンコンバートし、この周波数変換された受信信号を直交復調して、その復調信号をCDMA(Code Division Multiple Access)信号処理ユニット3に入力する。
【0014】
CDMA信号処理ユニット3はRAKE受信機を備える。RAKE受信機は、上記入力された復調信号に含まれる複数のパスをそれぞれ拡散符号により逆拡散処理する。そして、この逆拡散処理された各パスの信号の位相を合わせたのち合成する。この結果、予め定められた伝送フォーマットの受信パケットデータが再生される。この受信パケットデータは圧縮伸長処理ユニット(compressor/expander process unit)(以後コンパンダと称する)4に入力される。
【0015】
コンパンダ4は、制御ユニット10の制御に従い通信モードごとに受信パケットデータの復号処理を行う。先ず音声通話モード又はテレビジョン電話モードの場合には、上記入力された受信パケットデータを多重分離処理によりメディアごとに分離し、この分離されたメディアデータごとに復号処理を施す。例えば受信パケットデータにオーディオデータが含まれていれば、このオーディオデータをスピーチコーデックにより復号する。また受信パケットデータにビデオデータが含まれていれば、このビデオデータをビデオコーデックにより復号する。この復号処理により得られたディジタルオーディオ信号はPCM(Pulse Code Modulation)符号処理ユニット(以後PCMコーデックと称する)5に、またディジタルビデオ信号は制御ユニット10にそれぞれ入力される。
【0016】
PCMコーデック5は、上記入力されたディジタルオーディオ信号をPCM復号してアナログオーディオ信号を出力する。このアナログオーディオ信号は、受話増幅器6にて増幅されたのちスピーカ7より拡声出力される。制御ユニット10は、上記入力されたディジタルビデオ信号をビデオRAM(Random Access Memory)を利用して表示デバイス13に表示させる。
【0017】
また、メール受信モード又はコンテンツ受信モードの場合には、コンパンダ4は受信パケットデータをデパケットすることによりメールデータ又はコンテンツデータを再生し、制御ユニット10に入力する。制御ユニット10は、上記入力されたメールデータ又はコンテンツデータを一旦記憶ユニット11に記憶させる。そして、入力デバイス12においてユーザがメールデータの表示操作を行うと、上記記憶ユニット11から該当するメールデータを読み出して上記コンパンダ4により復号させ、この復号されたテキストデータや画像データを表示デバイス13に表示させる。また、ユーザがコンテンツデータの再生操作を行った場合には、そのコンテンツデータをそのメディアの種類に応じて上記コンパンダ4で復号させる。そして、音楽コンテンツであればそのオーディオデータをPCMコーデック5でPCM復号させたのち受話増幅器6を介してスピーカ7から出力させ、一方映像コンテンツであればそのビデオデータを上記コンパンダ4で復号させたのち表示デバイス13に表示させる。
【0018】
一方、音声通話モード又はテレビジョン電話モードにおいて、マイクロホン8に入力された話者の音声信号は送話増幅器9により適正レベルまで増幅されたのち、PCMコーデック5によりディジタルオーディオ信号に変換されたのちコンパンダ4に入力される。コンパンダ4は、PCMコーデック5から出力されたディジタルオーディオ信号より入力音声のエネルギ量を検出し、この検出結果に基づいて送信データレートを決定する。そして、上記ディジタルオーディオ信号を上記送信データレートに応じたフォーマットの信号に符号化し、これによりオーディオデータを生成する。また、図示しないカメラにより撮像されたビデオ信号は、制御ユニット10によりディジタル化されてコンパンダ4に入力される。コンパンダ4は、制御ユニット10から出力されたディジタルビデオ信号を符号化してビデオデータを生成する。そして、これらの音声データ及び映像データを多重分離部で所定の伝送フォーマットに従いパケット化し、この送信パケットデータをCDMA信号処理ユニット3へ出力する。
【0019】
また、メール送信モードが設定された場合には、入力デバイス12におけるユーザの入力操作に応じて制御ユニット10においてテキストデータからなるメールデータが作成される。そして、この作成されたメールデータは制御ユニット10からコンパンダ4へ出力される。コンパンダ4は、上記メールデータを上記送信パケットデータに変換し、CDMA信号処理ユニット3へ出力する。
【0020】
CDMA信号処理ユニット3は、上記コンパンダ4から出力された送信パケットデータに対し、送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いてスペクトラム拡散処理を施して、その出力信号を無線ユニット2に供給する。無線ユニット2は送信回路を備え、上記スペクトラム拡散された信号を、例えばQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式やQAM(Quadrature Amplitude Modulation)方式等のディジタル変調方式を使用して変調する。そして、この変調処理により生成された送信信号を、周波数シンセサイザから発生される局部発振信号と合成して無線信号にアップコンバートし、制御ユニット10により指示される送信電力レベルとなるように上記無線信号を高周波増幅する。この増幅された無線信号はアンテナ共用器を介してアンテナ1に供給され、このアンテナ1から自端末との間で無線リンクが確立されている移動通信用基地局へ向けて送信される。
【0021】
入力デバイス12には、ダイヤルキーに加え、発信キー、終了キー、電源キー、音量調節キー、モード指定キー等の機能キーが設けられている。また表示デバイス13には、LCD(Liquid Crystal Display)が設けられている。LCDには、先に述べたメールやコンテンツの表示データ等が表示されると共に、電話帳データや通信相手ユーザが使用する端末の電話番号、送受信履歴、自端末の動作状態等も表示される。なお、14は電源ユニットであり、バッテリ15の出力をもとに所定の動作電源電圧Vccを生成して上記各ユニットに供給する。
【0022】
制御ユニット10は例えばマイクロコンピュータを備えたもので、この発明に係わる制御機能としてローミング制御機能101と、ダウンロード制御機能102と、ダウンロード可否判定制御機能103を有している。これらの制御機能はいずれも、アプリケーション・プログラムをCPU(Central Processing Unit)に実行させることにより実現される。
【0023】
ローミング制御機能101は、自端末が契約先の通信事業者が運用する第1の移動通信ネットワークNW1の基地局を捕捉できなくなった場合に、ローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2の基地局を探索し、当該基地局を捕捉できた場合にローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に対し位置登録を行って待ち受け状態に移行する処理を実行する。また、このローミング中に、契約先の第1の移動通信ネットワークNW1の基地局を定期的に探索し、当該基地局が捕捉できたときに第1の移動通信ネットワークNW1に対し位置登録を行う処理を実行する。
【0024】
ダウンロード制御機能102は、予め定められた手順に従い、コンテンツサーバCSVからプッシュ配信されるコンテンツデータを受信するための制御を実行する。図3はそのシーケンスの一例を示すものである。
すなわち、コンテンツサーバCSVはコンテンツデータのダウンロードに先立ち、SMS Push メッセージを事業者サーバPSVのPPGに送信する。PPGはSMSCに対しSMS Pushノーティフィケーションと呼ばれる通知信号を送り、SMSCはこのSMS Pushノーティフィケーションをコンテンツ配信先の移動通信端末MS1〜MSnへ向け転送する。
【0025】
これに対し移動通信端末MS1〜MSnのダウンロード制御機能102は、上記SMS Pushノーティフィケーションが自端末宛てのものかどうかを判定する。そして、自端末宛てだった場合に、当該SMS PushノーティフィケーションからコンテンツサーバCSVのアクセス先ロケーション情報を抽出し、このロケーション情報をもとにコンテンツサーバCSVに対し無線ユニット2からdescriptor取得要求を送信させる。これに対しコンテンツサーバCSVからdescriptorが送られると、ダウンロード制御機能102は当該descriptorからコンテンツが保存されているロケーション情報と当該コンテンツを利用するために必要な情報を抽出し、この抽出した情報に基づいてコンテンツサーバCSVに対し無線ユニット2からコンテンツ取得要求を送信させる。そして、上記コンテンツ取得要求に応じてコンテンツサーバCSVから該当するコンテンツデータがダウンロードされると、このダウンロードされたコンテンツデータを無線ユニット2、CDMA信号処理ユニット3及びコンパンダ4を介して受信して記憶ユニット11に記憶させる処理を実行する。
【0026】
ダウンロード可否判定制御機能103は、上記ダウンロード制御機能102において自端末宛てのSMS Pushノーティフィケーションが受信されたことが検出された場合に、現在自端末が位置登録している通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1であるかローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2であるかを判定する。そして、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されている場合には、上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を継続させ、一方自端末が第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されている場合には、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されるまで上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を停止させる。
【0027】
次に、以上のように構成された移動通信端末MS1〜MSnによるコンテンツのダウンロード受信動作を説明する。図4は、その制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
待ち受け状態において制御ユニット10は、電話やメールの着信等を監視しながら、ステップS41においてSMS Pushノーティフィケーションの到来を監視する。この状態で、自端末宛てのSMS Pushノーティフィケーションが受信されると、ステップS42で当該受信されたSMS Pushノーティフィケーションのメッセージ内容を解析する。この解析処理では、コンテンツサーバCSV中のdescriptorが保存されているロケーション情報が抽出される。
【0028】
続いて制御ユニット10は、ステップ43により現在自端末が位置登録している通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1であるかローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2であるかを判定する。そして、自端末が第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されている場合には、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されるまでコンテンツのダウンロード制御を停止する。
【0029】
一方、元々自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されているか、又は自端末が第1の移動通信ネットワークNW1のサービスエリア内に移動して、当該第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されると、制御ユニット10は以下のようにコンテンツのダウンロード制御を再開する。
【0030】
すなわち、先ずステップS44に移行してここでdescriptor取得要求を生成し、コンパンダ4、CDMA信号処理ユニット3及び無線ユニット2によりコンテンツサーバCSVへ送信させる。そして、ステップS45においてコンテンツサーバCSVからのdescriptorの到来を監視し、descriptorが受信されるとステップS46において当該受信されたdescriptorを解析する。この解析処理では、descriptorから、コンテンツが保存されているロケーション情報と、当該コンテンツを利用するために必要な情報を抽出する処理が行われる。
【0031】
次に制御ユニット10は、ステップS47において、上記抽出されたロケーション情報に基づいて、コンテンツサーバCSVに対し無線ユニット2からコンテンツ取得要求を送信させる。そして、上記コンテンツ取得要求に応じてコンテンツサーバCSVからコンテンツデータがダウンロードされると、ステップS48において、このダウンロードされたコンテンツデータを無線ユニット2、CDMA信号処理ユニット3及びコンパンダ4を介して受信して記憶ユニット11に記憶させる。
【0032】
以上述べたように第1の実施形態では、制御ユニット10にダウンロード可否判定制御機能103を新たに設け、SMS Pushノーティフィケーションが受信されたことが検出された場合に、現在自端末が位置登録している通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1であるかローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2であるかを判定する。そして、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されている場合には、上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を継続させ、一方自端末が第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されている場合には、自端末が第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されるまで上記ダウンロード制御機能102によるダウンロード制御を停止させるようにしている。
【0033】
したがって、コンテンツデータのダウンロードに先立ち、現在自端末が位置登録されている通信ネットワークが契約先であるかローミング先であるかが判定され、ローミング先と判定された場合には、契約先の通信ネットワークNW1に位置登録されるまでコンテンツデータのダウンロード制御が停止される。このため、ローミング先の通信ネットワークNW2に接続されている状態で、ユーザの承認無しでコンテンツデータがダウンロードされることは防止される。この結果、予期しない通信料金が課金される不具合は防止される。
【0034】
しかも、コンテンツデータのダウンロードに先立ち、コンテンツサーバCSVの要求に応じて事業者サーバPSVからプッシュ配信の通信信号(SMS Pushノーティフィケーション)が送られることに着目し、このSMS Pushノーティフィケーションの受信をトリガとして上記位置登録先の通信ネットワークの判定が行われる。このため、コンテンツサーバCSVと移動通信端末MS1〜MSnとの間に新たなシーケンスを追加することなく、既存のシーケンスを利用してこの発明を実現できる。
【0035】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、ダウンロード可否判定制御機能103において、自端末がローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されていると判定された場合に、実行すべきダウンロード処理をユーザに選択させるためのメニュー情報を表示し、このメニュー情報の表示中にユーザが所望の項目を選択した場合に、当該選択された項目に対応する処理を実行するようにしたものである。
【0036】
なお、この第2の実施形態において、移動通信端末MS1〜MSnの基本構成は前記第1の実施形態と同一なので、前記図2を延用して異なる部分についてのみ説明する。
制御ユニット10に備えられたダウンロード可否判定制御機能103は、SMS Pushノーティフィケーションが受信されると、コンテンツのプッシュ配信通知を受信した旨のメッセージと、実行すべきダウンロード処理をユーザに選択させるためのメニュー情報を表示デバイス13に表示させる。そして、当該情報を表示してから一定時間内に入力デバイス12においてユーザが項目の選択操作を行った場合に、当該選択された項目に対応する処理を実行する。
【0037】
以下、その制御動作を具体的に説明する。図5はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
待ち受け状態において制御ユニット10は、電話やメールの着信等を監視しながら、ステップS51においてSMS Pushノーティフィケーションの到来を監視する。この状態で、自端末宛てのSMS Pushノーティフィケーションが受信されると、ステップS52で当該受信されたSMS Pushノーティフィケーションのメッセージ内容を解析する。この解析処理では、コンテンツサーバCSV中のdescriptorが保存されているロケーション情報が抽出される。
【0038】
続いて制御ユニット10は、ステップ53により現在自端末が位置登録している通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1であるかローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2であるかを判定する。そして、自端末が契約事業者が運用する第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されていたとする。そうすると制御ユニット10は以下のようにコンテンツのダウンロード制御を実行する。
【0039】
すなわち、先ずステップS54に移行してここでdescriptor取得要求を生成し、コンパンダ4、CDMA信号処理ユニット3及び無線ユニット2によりコンテンツサーバCSVへ送信させる。そして、ステップS55においてコンテンツサーバCSVからのdescriptorの到来を監視し、descriptorが受信されるとステップS56において当該受信されたdescriptorを解析する。この解析処理では、descriptorから、コンテンツが保存されているロケーション情報と、当該コンテンツを利用するために必要な情報を抽出する処理が行われる。次に制御ユニット10は、ステップS57において、上記抽出されたロケーション情報をもとに、コンテンツサーバCSVに対し無線ユニット2からコンテンツ取得要求を送信させる。そして、上記コンテンツ取得要求に応じてコンテンツサーバCSVからコンテンツデータがダウンロードされると、ステップS58において、このダウンロードされたコンテンツデータを無線ユニット2、CDMA信号処理ユニット3及びコンパンダ4を介して受信して記憶ユニット11に記憶させる。
【0040】
一方、上記ステップS53による判定の結果、自端末がローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されていたとする。この場合制御ユニット10は、ステップS61において、上記SMS Pushノーティフィケーションが受信された旨のメッセージと、ユーザに処理を選択させるための処理選択メニューを表示デバイス3に表示させる。処理選択メニューには、(1)コンテンツを直ちに取得する、(2)コンテンツを取得しない、(3)契約事業者の通信ネットワークに復帰したら取得する、(4)契約事業者の通信ネットワークに復帰したらメッセージを再表示する、からなる4つの処理項目が設定される。
【0041】
さて、この状態でユーザが、入力デバイス12において上記メニューに表示された各処理項目のうち、(1)コンテンツを直ちに取得する、を選択したとする。そうすると制御ユニット10は、ステップS62からステップS54に移行して以後ステップS54〜ステップS58によりコンテンツデータの取得処理を実行する。この結果、コンテンツサーバCSVのコンテンツデータはローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2を介して即時移動通信端末にダウンロードされる。したがってユーザは所望のコンテンツデータを即時取得することができる。
これに対しユーザが、入力デバイス12において(2)コンテンツを取得しない、を選択したとする。この場合制御ユニット10は、ステップS63により当該選択操作を検出すると、コンテンツの取得制御を中止して待ち受け状態に復帰する。
【0042】
一方、入力デバイス12においてユーザが、(3)契約事業者の通信ネットワークに復帰したら取得する、を選択したとする。そうすると制御ユニット10は、ステップS64からステップS66に移行して、ここで現在位置登録している移動通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1に変更されたか否かを監視する。そして、この状態で自端末が第1の移動通信ネットワークNW1のサービスエリア内に移動して、当該第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されると、制御ユニット10はステップS54に移行して以後ステップS54〜ステップS58によりコンテンツデータの取得処理を実行する。したがって、自端末が契約先の第1の通信ネットワークNW1に位置登録されると、その時点で自動的にコンテンツデータのダウンロードが行われる。
【0043】
また入力デバイス12においてユーザが、(4)契約事業者の通信ネットワークに復帰したらメッセージを再表示する、を選択したとする。そうすると制御ユニット10は、ステップS65からステップS67に移行して、ここで現在位置登録している移動通信ネットワークが契約先の第1の移動通信ネットワークNW1に変更されたか否かを監視する。そして、この状態で自端末が第1の移動通信ネットワークNW1のサービスエリア内に移動して、当該第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されると、制御ユニット10はステップS68に移行して、ここで上記SMS Pushノーティフィケーションが受信された旨のメッセージと、ユーザに処理を選択させるための処理選択メニューを表示デバイス3に再表示させる。ただし、このとき処理選択メニューには、(5)コンテンツを取得する、(6)コンテンツを取得しない、の2つの処理項目が表示される。
【0044】
そしてこの状態で、ユーザが入力デバイス12において、上記表示された処理項目のうち(5)コンテンツを取得する、を選択すると、制御ユニット10はステップS69からステップS54に移行して以後ステップS54〜ステップS58によりコンテンツデータの取得処理を実行する。一方、ユーザが(6)コンテンツを取得しない、を選択すると、制御ユニット10はステップS70において、コンテンツのダウンロード制御を中止して待ち受け状態に戻る。
【0045】
したがって、ユーザは自端末が契約先の第1の移動通信ネットワークNW1のサービスエリア内に戻った時点でコンテンツのダウンロードが可能になったことを知ることができ、さらにその上でコンテンツを取得するか否かを自ら選択することが可能となる。すなわち、自端末が契約先の第1の移動通信ネットワークNW1に位置登録されている期間にのみコンテンツデータのダウンロードが可能となり、その上ユーザの取得指示が入力された場合にのみコンテンツデータを取得することが可能となる。
【0046】
以上述べたように第2の実施形態では、ダウンロード可否判定制御機能103において、自端末がローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されていると判定された場合に、実行すべきダウンロード処理をユーザに選択させるためのメニュー情報を表示し、このメニュー情報の表示中にユーザが所望の項目を選択した場合に、当該選択された項目に対応する処理を実行するようにしている。
したがって、自端末がローミング先の第2の移動通信ネットワークNW2に位置登録されている場合には、ユーザの選択操作に応じて当該ユーザが希望する形態でコンテンツのダウンロード処理を実行させることができる。
【0047】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、前記第2の実施形態では処理選択メニューを表示すると、ユーザが処理項目を選択するまで処理を待機するようにした。しかし、これに限るものではなく、処理選択メニューを表示してから予め設定された時間内にユーザが処理項目を選択したか否かを監視し、ユーザが選択操作を行わないまま一定時間が経過すると、上記(1)〜(4)各処理項目のうち予め設定した処理項目に対応する処理を実行するようにしてもよい。また、ユーザが選択操作を行わないまま一定時間が経過すると、一旦上記処理選択メニュー等の表示を終了し、この表示終了後所定時間が経過した時点でSMS Pushノーティフィケーションが受信された旨のメッセージと、ユーザに処理を選択させるための処理選択メニューを表示デバイス3に再表示させるように構成してもよい。
【0048】
また、前記第1の実施形態では、コンテンツデータのダウンロードに先立ち、コンテンツサーバCSVの要求に応じて事業者サーバPSVからプッシュ配信の通信信号(SMS Pushノーティフィケーション)が送られることに着目し、このSMS Pushノーティフィケーションの受信をトリガとして上記位置登録先の通信ネットワークの判定を行うようにした。しかし、これに限るものではなく、例えば自律的に定期的又は不定期に位置登録先の通信ネットワークの判定を行い、事業者サーバPSVからプッシュ配信の通信信号が送られた場合に、その直前における位置登録先通信ネットワークの判定結果に基づいてコンテンツのダウンロード制御を継続させるか停止させるかを判断するように構成してもよい。
【0049】
その他、移動通信端末の種類や構成、コンテンツのダウンロード制御の手順と内容、コンテンツの種類や構成等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態に係わる移動通信端末が使用されるシステムの概略構成図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係わる移動通信端末の構成を示すブロック図である。
【図3】SMSを利用したコンテンツデータのプッシュ配信シーケンスの一例を示す図である。
【図4】図2に示した移動通信端末によるコンテンツ受信制御の手順と制御内容を示すフローチャートである。
【図5】この発明の第2の実施形態に係わる移動通信端末によるコンテンツ受信制御の手順と制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1…アンテナ、2…無線ユニット、3…CDMA信号処理ユニット、4…コンパンダ、5…PCMコーデック、6…受話増幅器、7…スピーカ、8…マイクロホン、9…送話増幅器、10…制御ユニット、11…記憶ユニット、12…入力デバイス、13…表示デバイス、14…電源ユニット、15…バッテリ、101…ローミング制御機能、102…ダウンロード制御機能、103…ダウンロード可否判定制御機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ配信装置に対し契約先の第1の通信ネットワーク又はローミング先の第2の通信ネットワークを介して接続され、前記コンテンツ配信装置からプッシュ方式によりダウンロードされるコンテンツデータを受信する機能を備える移動通信端末であって、
前記コンテンツデータのダウンロードに先立ち、前記コンテンツ配信装置から送信されるプッシュ配信の通信信号を受信する手段と、
前記プッシュ配信の通知信号が受信された場合に、現在自端末が接続されている通信ネットワークが第1の通信ネットワークであるか第2の通信ネットワークであるかを判定する手段と、
前記判定する手段により自端末が接続されている通信ネットワークが前記第1の通信ネットワークと判定された場合に、前記コンテンツ配信装置から前記第1の通信ネットワークを介してダウンロードされるコンテンツデータを受信する手段と、
前記判定する手段により自端末が接続されている通信ネットワークが前記第2の通信ネットワークと判定された場合に、前記コンテンツデータのダウンロードを制限するダウンロード制限手段と
を具備することを特徴とする移動通信端末。
【請求項2】
前記ダウンロード制限手段は、自端末が接続されている通信ネットワークが前記第2の通信ネットワークと判定された場合に、前記コンテンツ配信装置からのコンテンツデータのダウンロードを中止することを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記ダウンロード制限手段は、
自端末が接続されている通信ネットワークが前記第2の通信ネットワークと判定された場合に、当該第2の通信ネットワークから第1の通信ネットワークへの接続先の変更を監視する手段と、
第2の通信ネットワークから第1の通信ネットワークへの接続先の変更が検出された場合に、前記コンテンツ配信装置から前記第1の通信ネットワークを介してダウンロードされるコンテンツデータを受信する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項4】
前記ダウンロード制限手段は、
自端末が接続されている通信ネットワークが前記第2の通信ネットワークと判定された場合に、前記プッシュ配信の通知信号が受信された旨を前記移動通信端末のユーザに報知する手段と、
前記報知に対しユーザがコンテンツデータのダウンロードを許可する旨の指示を入力した場合に、前記コンテンツ配信装置から前記第2の通信ネットワークを介してダウンロードされるコンテンツデータを受信する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項5】
前記ダウンロード制限手段は、
自端末が接続されている通信ネットワークが前記第2の通信ネットワークと判定された場合に、コンテンツデータを直ちに受信する第1の処理と、コンテンツデータの受信を中止する第2の処理と、接続先の通信ネットワークが第1の通信ネットワークに復旧した後にコンテンツデータを受信する第3の処理と、接続先の通信ネットワークが第1の通信ネットワークに復旧した後に前記プッシュ配信の通知信号が受信された旨を前記移動通信端末のユーザに再報知する第4の処理のうち少なくとも2つを選択メニューとしてユーザに提示する提示手段と、
前記選択メニューとして提示された処理の一つがユーザにより選択指定された場合に、当該選択指定された処理を実行する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の移動通信端末。
【請求項6】
前記ダウンロード制限手段は、
前記提示手段により選択メニューが提示されてから予め設定された時間が経過するまでの期間に前記ユーザによる選択指定が行われたか否かを判定する手段と、
前記期間内に前記選択操作が行われなかった場合に、前記第1乃至第4の各処理のうち予め設定された処理を実行する手段と
を備えることを特徴とする請求項5記載の移動通信端末。
【請求項7】
コンテンツ配信装置に対し契約先の第1の通信ネットワーク又はローミング先の第2の通信ネットワークを介して接続され、前記コンテンツ配信装置からプッシュ方式によりダウンロードされるコンテンツデータを受信する機能を備える移動通信端末であって、
前記コンテンツデータのダウンロードに先立ち、前記コンテンツ配信装置から送信されるプッシュ配信の通信信号を受信する手段と、
現在自端末が接続されている通信ネットワークが第1の通信ネットワークであるか第2の通信ネットワークであるかを判定する手段と、
前記プッシュ配信の通知信号が受信されたときに、前記判定する手段による判定結果が前記第1の通信ネットワークである場合、前記コンテンツ配信装置から前記第1の通信ネットワークを介してダウンロードされるコンテンツデータを受信する手段と、
前記プッシュ配信の通知信号が受信されたときに、前記判定する手段による判定結果が前記第2の通信ネットワークである場合、前記コンテンツデータのダウンロードを制限するダウンロード制限手段と
を具備することを特徴とする移動通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−288966(P2008−288966A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132919(P2007−132919)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】