説明

移植機

【課題】植付作業機の前方に整地ロータを設け、この整地ロータを圃場面に接地する作用位置と圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、整地ロータへの駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータを接地させた状態のもとで誤って植付走行を行って圃場面を荒らすことがないように報知手段を設ける。
【解決手段】植付作業機15に対する整地ロータ34の相対的な高さを検出する高さ検出手段73と、整地ロータ34への駆動力の入切を検出する入力検出手段74を設け、前記高さ検出手段73によって整地ロータ34が作用位置にあることを検出すると共に、前記入力検出手段74によってロータ34への駆動力の切状態を検出した時、当該植付作業機15の接地走行を防止すべく報知手段76,77を作動させるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植付作業機の前方に設けられ、回転駆動することによって圃場を整地する整地ロータ等の整地装置を備えた移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機の一例である乗用型田植機は、機体の後部に設けた昇降リンク機構を介して植付作業機を昇降可能に連結すると共に、この植付作業機の前方に整地ロータを設け、該整地ロータを圃場面に接地する作用位置と圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機は既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−65111号公報(第4−6頁、図3−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のものは、植付作業機による苗植え付け位置前方の荒れた圃場面を整地しながら苗を植え付ける際は、整地ロータを接地させると共に回転駆動させての植付走行を行い、また圃場面の整地を行わずに苗を植え付ける際には、整地ロータが圃場面に接地しないように収納位置まで上昇させると共に回転駆動を停止しての植付走行をおこなっている。
【0004】
しかし、誤って整地ロータへの駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータを接地させた状態のもとで移植機を走行させた場合は、整地ロータの駆動系の抵抗により整地ロータの自由回転がなされず、当該整地ロータによる泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合が発生する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決することを目的とした請求項1の発明は、植付作業機の前方に整地ロータを備え、該整地ロータを、圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータが作用位置にあり、且つ当該整地ロータへの伝動が切り状態にある時に作動する報知手段を設けたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2の発明は、植付ロータを備えた植付作業機を機体後部に昇降自在に連結し、該植付作業機の前部に整地ロータを備え、該整地ロータを、植付作業機に対する相対高さ位置を変更して圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータが作用位置にあって当該整地ロータへの伝動が切り状態にあり、且つ植付作業機が圃場面に接地した植付作業姿勢状態にある時に作動する報知手段を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、植付作業機の前方に整地ロータを備え、該整地ロータを、圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータが作用位置にあり、且つ当該整地ロータへの伝動が切り状態にある時に作動する報知手段を設けたことによって、作業者が誤って整地ロータへの駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータを圃場面に接地させた状態のもとで移植機を走行させることがないように、前記報知手段でもって知らしめることが可能になり、従来のように整地ロータによる泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合が起こることを解消できるようになる。
【0008】
また、請求項2の発明によれば、植付装置を備えた植付作業機を機体後部に昇降自在に連結し、該植付作業機の前部に整地ロータを備え、該整地ロータを、植付作業機に対する相対高さ位置を変更して圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータが作用位置にあって当該整地ロータへの伝動が切り状態にあり、且つ植付作業機が圃場面に接地した植付作業姿勢状態にある時に作動する報知手段を設けたことによって、植付作業の開始前に植付作業機を圃場面(地面)から上昇させて行う点検や調整作業等の不要な時に報知手段を作動させることなく、実際に作業走行を開始する直前に、誤って整地ロータへの駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータを圃場面に接地させた状態のもとで走行をすることがないように、作業者に知らしめることが可能になり、当該整地ロータによる泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合の発生が起こることを解消できるようになる。
【0009】
一方、作業走行において圃場の枕地で植付作業機を圃場面から上昇させて旋回する際には、整地ロータからの泥土の跳ね上がり飛散を防止すべく当該整地ロータへの駆動力の伝達を断って旋回することも行われており、この場合は、枕地旋回が終わり次の植付行程への幅寄せが完了し、植付作業機を圃場面に接地させて作業走行を開始する直前に、前記報知手段でもって整地ロータへの駆動力の入れ忘れを作業者に知らしめることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、移植機の一例である乗用型田植機11の側面図であって、該乗用型田植機11の機体フレーム12の後端部には、油圧シリンダ13を備える昇降リンク機構14が設けてあり、この昇降リンク機構14を介して植付作業機15を昇降可能に連結すると共に、機体フレーム12の下部には、左右一対の前輪16と後輪17を備えている。
【0011】
そして、機体フレーム12の前部には、図示しないエンジン等を被包するボンネット18を備えており、エンジンから出力される動力を、図示しない油圧式無段変速装置とトランスミッションケース内の動力伝達装置を介して、走行動力と植付動力とに分配して左右一対の前輪16と後輪17、及び植付作業機15に伝達するように構成している。
【0012】
また、機体フレーム12の後部上方には、運転席19を載置し、この運転席19の前方には各種モニタを表示する操作パネル21を装備すると共に、該操作パネル21の上部に運転ハンドル22、該運転ハンドル22の下方には操縦部23の床面を形成するステップ24を設けている。
【0013】
更に詳しくは、昇降リンク機構14の後端には、リンクホルダ25が取付けてあり、このリンクホルダ25の図示しないローリング軸を介して、植付作業機15をローリング可能に支持する角パイプ状の植付フレーム26を横設している。そして、この植付フレーム26から立設させた左右一対の苗載台支持フレーム27によって、前高後低状の傾斜姿勢で左右往復動可能に苗載台28を支持している。
【0014】
また、植付フレーム26の後側下部には、複数の植付伝動ケース29が取り付けてあり、この植付伝動ケース29に内装した図示しないチェン伝動機構及び植付駆動軸等を介して回転駆動する、当該植付伝動ケース29の後端部に組付けた植付装置(ロータリケース)である植付ケース31の両端部に備えた一対の移植杆32によって、苗載台28上に並置されているマット苗から一株分の苗を掻取って連続的に圃場に移植することができるようになっている。即ち、植付ケース31には、自らの回転に伴って一対の移植杆32を所定の軌跡に沿って回転運動させることができる図示しない遊星ギヤ機構を内装している。
【0015】
そして、植付伝動ケース29の下方には、複数のフロート33が機体の左右方向に所定の間隔を存して配設してあり、乗用型田植機11は、当該フロート33の下面が圃場面に接地する状態まで植付作業機15を下降させた後、機体を走行させながら上述の如く移植作業を行うことができるようになっている。
【0016】
また、図1及び図2に示すように、後輪17とフロート33との空間には、複数の整地ロータ34を植付作業機15の略全幅にわたってロータ軸35に軸支した整地装置36を配置してあって、当該整地ロータ34を圃場面に接地させて回転駆動させることによって、枕地等の荒れた圃場面の整地を行うことができるように構成している。
【0017】
次に、図2〜図4に基づいて整地ロータ34の支持構造について説明する。植付フレーム26から立設させた左右一対の苗載台支持フレーム27の上部に、操作軸37を回動可能に軸支すると共に当該操作軸37の一側端部に側面視でコの字状のブラケット38を固設し、更にこのブラケット38に、整地ロータ34を圃場面に接地する作用位置と圃場面から離間した収納位置に変更することができる昇降操作レバー39を取り付けている。
【0018】
そして、操作軸37の両端には、回動アーム41が固設してあり、この回動アーム41の先端に縦アーム42を垂下させて連結し、更にこの縦アーム42の下端部には、植付フレーム26の上面に取り付けた支持アーム43の筒部43aに下方から挿通したシャフト44を連結すると共に、当該シャフト44の下端に固設したボス部44aに整地ロータ34のロータ軸35を軸支することができるように構成している。
【0019】
一方、整地ロータ34の昇降操作レバー39が設けられている側の苗載台支持フレーム27には、昇降操作レバー39用のレバーガイド45が設けてあり、このレバーガイド45に備える複数段の係止溝45aのうち、当該昇降操作レバー39を係止溝45aの所望の位置に係止することによって、例えば図3に示すように、整地ロータ34が圃場面から離間する収納位置と、図4に示すように、整地ロータ34が圃場面に接地する複数段の作用位置とに多段調節することができるようになっている。
【0020】
即ち、昇降操作レバー39を上下方向に回動操作することによって操作軸37が回動し、それに連動する縦アーム42に連結すると共に支持アーム43の筒部43aに案内されるシャフト44を介して整地ロータ34が昇降操作されるようになっており、次いで当該昇降操作レバー39を左右方向に操作して上述の係止溝45aに係止することによって、整地ロータ34の位置決めがなされ、例えば図4に示すような整地ロータ34の作用位置においては、整地ロータ34はフロート33の下面からの突出量が10〜40mmの範囲で調節が可能であり、植付作業におけるマット苗の植付深さより浅い表層部分の整地を行うことができるようになっている。
【0021】
尚、整地ロータ34は、側面視で略六角形に形成してあって、その周面には、当該整地ロータ34の回転により荒れた圃場面を掻き均して均平にする6枚の板状整地部材34aを配置しており、この板状整地部材34aと、該板状整地部材34aを側面視で六角形の稜角に配置せしめる連結部材34bとを、ポリアミド(ナイロン)等の熱可塑性樹脂による射出成形により一体的に形成すると共に、当該整地ロータ34を全体としては篭型構造に形成している。即ち、整地ロータ34を篭型構造に形成することによって、整地作業時に当該整地ロータ34における泥流の後方への抜けを良好に保っている。
【0022】
次に、整地装置36の伝動系について説明する。機体フレーム12後部下方のリヤアクスルケース51の前部には、図示しない油圧式無段変速装置とトランスミッションケース内の動力伝達装置を介して伝達されるエンジンの動力を、後輪17の駆動力と整地ロータ34の駆動力に分配する伝動機構と、整地ロータ34への駆動力の伝動を断接するクラッチ機構を備えた分配ケース52を設けている。そして、この分配ケース52内の伝動機構によって分岐した動力を、伝動軸53を介して整地装置36の駆動ケース54内の伝動機構に伝達している。
【0023】
また、運転席19の後方一側には、整地ロータ34への伝動を断接するクラッチ機構を入/切操作するクラッチレバー55が設けてあり、このクラッチレバー55で前記クラッチ機構を入り操作することにより、整地ロータ34を車速に対して1.5〜2.5倍程度の周速で回転させ、一方、前記クラッチ機構を切り操作することによって、整地ロータ34への駆動力の伝達を断つことができるように構成している。
【0024】
以上説明した構成の整地装置36を備える乗用型田植機11で植付作業を行うにあたり、整地ロータ34を圃場面に接地して回転駆動させることによって、枕地等の荒れた圃場面の整地を行いながら苗を植え付ける場合は、先ず昇降操作レバー39を回動操作して整地ロータ34がフロート33の下面よりも下方で圃場面に接地する作用位置となるように調節し、次いでクラッチレバー55によって整地装置36のクラッチ機構を入り操作して、当該整地ロータ34へ駆動力が伝達される状態とする。
【0025】
そして、フロート33の下面が圃場面に接地する状態まで植付作業機15を下降させ、次いで植付クラッチを入り操作して乗用型田植機11の走行を開始すると、当該乗用型田植機11の走行に伴って整地ロータ34が回転し、荒れた圃場面が掻き均されて均平に整地された後に、移植杆32が苗載台28上に並置されているマット苗から一株分の苗を掻取って連続的に圃場に移植する作業が行われる。
【0026】
ここで、枕地等の荒れた圃場面への植付作業を終了した後、既に整地された圃場面に苗を植え付ける場合等において、整地装置36を使用しないで走行する際は、先ずクラッチレバー55によって整地装置36のクラッチ機構を切り操作して、整地ロータ34への駆動力の伝達を絶つと共に、昇降操作レバー39を回動操作して整地ロータ34を収納位置まで持ち上げておくのが通常であるが、クラッチレバー55によるクラッチ機構の切り操作のみを行い、整地ロータ34を作用位置から収納位置に変更することを忘れる場合がある。
【0027】
一方、既に整地された圃場面への植付作業を終了した後、荒れた圃場面への植付作業を行う場合は、昇降操作レバー39の操作で整地ロータ34を作用位置とするのみで作業走行を開始する際に、整地ロータ34を回転駆動させるクラッチ機構をクラッチレバー55によって入り操作することを忘れている場合がある。
【0028】
これらの場合、整地ロータ34は圃場面に接地した状態で、且つ整地ロータ34への駆動力の伝達が断たれた状態にあり、この状態で乗用型田植機11による作業走行を開始すると整地ロータ34駆動系の抵抗により整地ロータ34の自由回転がなされず、当該整地ロータ34による泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合が発生する虞があった。
【0029】
そこで、上述の如く整地ロータ34が圃場面に接地した状態で、且つ整地ロータ34への駆動力の伝達が断たれた状態のもとで走行を行うことがないように、当該走行を開始する直前に作業者に知らしめる報知手段としての警報ブザー75と、警報ランプ76とを設けてあり(図5参照)、以下両報知手段75,76の作動制御について詳細に説明する。
【0030】
図5に示すブロック図のように、乗用型田植機11に備える制御部61は、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されており、当該制御部61の入力側に接続される各種センサ及びスイッチ類、及び出力側に接続される出力装置について説明する。
【0031】
乗用型田植機11は、図6に示すように、植付作業機15の昇降操作と植付クラッチの入/切操作を行う上下及び前後揺動可能なクイックアップレバー62を備えている。即ち、クイックアップレバー62の上下方向の操作によって植付作業機15の昇降、及び図示しない植付クラッチの入・切がなされる一方、前後方向の操作によって図示しない左右の線引きマーカの作動開始順序が選択できるようになっている。
【0032】
また、図7に示す如く、植付作業機15を昇降させる油圧シリンダ13の伸縮動作を制御する油圧コントロールバルブ63の近傍には、クイックアップレバー62の上方又は下方への操作に基づいて回転駆動するリフタカムモータ64を配設してあり、このリフタカムモータ64に設けられたピニオンギヤ64aと、リフタカム65のセクタギヤ65aとを歯合させると共に、図示しないバルブ操作板の係合ピンと係合する第1カム部をリフタカム65に設け、この第1カム部がバルブ操作板の係合ピンに係合した状態で、当該リフタカム65がスリーブ軸66を中心として回動するように構成し、以って油圧コントロールバルブ63をリフタカムモータ64の回転駆動に応じて、上げ・固定・下げ・植付の4ポジションに移動制御することができる昇降制御機構Aを備えている。
【0033】
そして、制御部61の入力側には、上述したリフタカム65の回動角度を検出するリフタカムポテンショメータ71、植付作業機15の上昇高さを検出するリフト角ポテンショメータ72、整地ロータ34を圃場面に接地する作用位置と圃場面から離間した収納位置に変更可能な昇降操作レバー39の操作位置を検出する整地装置昇降レバースイッチ73(図2参照)、整地ロータ34への伝動を断接するクラッチ機構を入/切操作するクラッチレバー55の操作位置を検出する整地装置クラッチレバースイッチ74(図1参照)、警報停止スイッチを兼ねるホーンスイッチ75(図6参照)等を、所定の入力インタフェース回路を介して接続する一方、制御部61の出力側には、上述したリフタカムモータ64、及び警報ブザー76、警報ランプ77等を所定の出力インタフェース回路を介して接続している。
【0034】
つまり、制御部61は、整地ロータ34が圃場面に接地した状態で、且つ整地ロータ34への駆動力の伝達が断たれた状態のもとで、誤って乗用型田植機11による植付作業機15の接地走行(植付走行)が行われないように、上述したリフタカムポテンショメータ71とリフト角ポテンショメータ72の検出値と、整地装置昇降レバースイッチ73と整地装置クラッチレバースイッチ74の検出結果に基づいて、当該走行が開始される直前に作業者に知らしめる報知手段としての警報ブザー76の作動と、警報ランプ77の点灯制御を実行するためのプログラムを備えており、以下フローチャートに基づき説明する。
【0035】
ここで、図8に示す第一実施例のフローチャートは、整地装置36を引きずりながら乗用型田植機11を走行させることを防止する警報制御を示すものであって、先ずステップS1で、整地ロータ34を昇降操作する昇降操作レバー39の位置が、非作業高さ位置にあるか、または作業高さ位置にあるかを整地装置昇降レバースイッチ73のON/OFFによって判断し、非作業高さ位置(整地装置昇降レバースイッチ73がON)であればステップS2に進み、作業高さ位置(整地装置昇降レバースイッチ73がOFF)であればステップS3に進む。
【0036】
ステップS2では、警報フラグがセットされているか否かを判断し、リセットされていれば元に戻り、セットされていればステップS3に進む。
【0037】
ステップS2では、整地ロータ34を回転駆動させるクラッチ機構を入/切操作するクラッチレバー55の操作位置が入り状態にあるか切り状態にあるかを整地装置クラッチレバースイッチ74のON/OFFによって判断し、クラッチレバー55の操作位置が入り状態(整地装置クラッチレバースイッチ74がON)であればステップS2に進み、切り
状態(整地装置クラッチレバースイッチ74がOFF)であればステップS4に進む。
【0038】
ステップS4では、警報フラグがセットされているか否かを判断し、リセットされていればステップS5に進み、セットされていればステップS6に進む。
【0039】
ステップS5では、警報フラグをセットしてステップS6に進み、このステップS6で警報ブザー76を作動させると共に警報ランプ77を点灯させてステップS7に進む。
【0040】
ステップS7では、警報停止スイッチを兼ねるホーンスイッチ75の操作の有無を判断し、操作が無ければ元に戻り、操作が有ればステップS8に進む。
【0041】
そして、ステップS8では、警報フラグをリセットしてステップS9に進み、このステップS9で警報ブザー76を停止させると共に警報ランプ77を消灯して元に戻るといった制御が実行されるようになっている。
【0042】
即ち、上述した第一実施例のフローチャートによれば、植付作業機15の前方に整地ロータ34を備え、この整地ロータ34を圃場面に接地する作用位置と圃場面から離間した収納位置に変更可能になした乗用型田植機11において、植付作業機15に対する整地ロータ34の相対的な高さを検出する高さ検出手段として、整地ロータ34を昇降操作する昇降操作レバー39の位置を検出する整地装置昇降レバースイッチ73を用い、また整地ロータ34への駆動力の入切を検出する入力検出手段として、整地ロータ34のクラッチ機構を入/切操作するクラッチレバー55の操作位置を検出する整地装置クラッチレバースイッチ74を用いて、前記高さ検出手段である整地装置昇降レバースイッチ73によって整地ロータ34が作用位置にあることを検出すると共に、前記入力検出手段である整地装置クラッチレバースイッチ74によって整地ロータ34への駆動力の切状態を検出した時、当該植付作業機15の接地走行を防止するべく報知手段である警報ブザー76と警報ランプ77を作動させるように構成している。
【0043】
したがって、誤って整地ロータ34への駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータ34を圃場面に接地させた状態のもとで走行を行うことがないように、報知手段である警報ブザー76と警報ランプ77でもって作業者に知らしめることが可能になり、当該整地ロータ34による泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合が起こることを解消できるようになる。そして、作業者が上述したクラッチレバー55による整地ロータ34のクラッチ機構の入れ忘れや、整地ロータ34を昇降操作する昇降操作レバー39の位置が作業高さ位置にあることに気付いて、両レバー39,55を正常な操作位置操作すると、前記警報ブザー76と警報ランプ77による報知が解除されるようになっている。
【0044】
また、図9に示す第二実施例のフローチャートは、上述した図8に示す第一実施例のフローチャートの途中において、具体的にはステップS4に、植付作業機15が圃場面に接地した植付作業姿勢状態にあることを、植付作業機15の上昇高さを検出するリフト角ポテンショメータ72によって判断する制御ステップを追加することによって、植付作業の開始前に行う点検や調整作業において不要に報知手段である警報ブザー76と警報ランプ77を作動させることなく、実際に植付作業を開始する直前に、整地ロータ34への駆動力の伝達を断ち、且つ整地ロータ34を圃場面に接地させた状態のもとで誤って植付走行を行うことがないように、第一実施例と同様に作業者に知らしめることが可能になり、当該整地ロータ34による泥押しが発生して圃場面を荒らしたり、隣接する既植条側に泥土が押しやられて既植苗を押し倒してしまうといった不具合が起こることを解消できるようになる。
【0045】
一方、作業走行において圃場の枕地で植付作業機15を圃場面から上昇させて旋回する際には、整地ロータ34からの泥土の跳ね上がり飛散を防止すべく当該整地ロータ34への駆動力の伝達を断って旋回することも行われており、この場合は、枕地旋回が終わり次の植付行程への幅寄せが完了し、植付作業機15を圃場面に接地させて作業走行を開始する直前に、報知手段である警報ブザー76と警報ランプ77でもって整地装置への駆動力の入れ忘れを作業者に知らしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】乗用型田植機の側面図。
【図2】整地ロータの支持構造を示す背面図。
【図3】整地ロータが収納位置にある時の乗用型田植機の後部側面。
【図4】整地ロータが作用位置にある時の乗用型田植機の後部側面。
【図5】制御部のブロック図。
【図6】運転ハンドル周辺を示す斜視図。
【図7】昇降制御装置の構成を示す側面図。
【図8】整地装置の引きずり防止警報制御を示すフローチャート(第一実施例)。
【図9】整地装置の引きずり防止警報制御を示すフローチャート(第二実施例)。
【符号の説明】
【0047】
15 植付作業機
31 植付装置
36 整地装置
76 報知手段(警報ブザー)
77 報知手段(警報ランプ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植付作業機(15)の前方に整地ロータ(34)を備え、該整地ロータ(34)を、圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータ(34)が作用位置にあり、且つ当該整地ロータ(34)への伝動が切り状態にある時に作動する報知手段(76,77)を設けたことを特徴とする移植機。
【請求項2】
植付装置(31)を備えた植付作業機(15)を機体後部に昇降自在に連結し、該植付作業機(15)の前部に整地ロータ(34)を備え、該整地ロータ(34)を、植付作業機(15)に対する相対高さ位置を変更して圃場面に接地する作用位置と、圃場面から離間した収納位置に変更可能になした移植機において、前記整地ロータ(34)が作用位置にあって当該整地ロータ(34)への伝動が切り状態にあり、且つ植付作業機(15)が圃場面に接地した植付作業姿勢状態にある時に作動する報知手段(76,77)を設けたことを特徴とする移植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−333805(P2006−333805A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163675(P2005−163675)
【出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】