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移植片拒絶反応及び移植片対宿主疾患を防ぐ移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液及び移植免疫反応抑制方法
説明

移植片拒絶反応及び移植片対宿主疾患を防ぐ移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液及び移植免疫反応抑制方法

【課題】移植片拒絶反応及び移植片対宿主疾患の両方を抑制しうる移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液及びこれを用いた移植免疫反応抑制方法を提供する。
【解決手段】本発明の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液は、ポリフェノールと、これが溶解される液とを備え、ポリフェノールが細胞、組織又は器官などの移植片の抗原決定基に付着して、移植片と宿主との免疫反応である移植片拒絶反応及び移植片対宿主疾患の発現を抑制することを特徴とする。また、本発明の移植免疫反応抑制方法は、移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液ポリフェノールに、移植前の移植片を浸漬することを特徴とする。有効成分であるポリフェノールとして適しているのは、(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の移植免疫反応抑制液は、ポリフェノールと、これが溶解される液とを備え、ポリフェノールが細胞、組織又は器官などの移植片表面に付着してこれと宿主との免疫反応を抑制することを特徴とする。また、本発明の移植免疫阻害方法は、ポリフェノールと、これが溶解される培養液とを備える移植免疫阻害剤に、移植前の移植片を浸漬することを特徴とする。有効成分であるポリフェノールとして適しているのは、(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)である。
【背景技術】
【0002】
組織又は器官の移植は、しばしば多くの病気治療に必要不可欠である。しかし、ドナーと宿主間の免疫非適合により、宿主が移植体に対して急性又は慢性拒絶反応を示すという問題が頻繁に発生し、過敏性拒絶反応の場合は、宿主は生命を脅かされる状況に陥る。組織又は器官移植後に続くこれらの拒絶反応は、宿主がその組織や器官を異物として認識することにより発生する。生命を脅かすもう一つの問題として移植片対宿主疾患(GVHD)があり、この場合は移植片に残存するT細胞が宿主の体を攻撃する。
【特許文献1】特開2000−344602
【特許文献2】米国特許公報US 5,908,624
【非特許文献1】Ashida, H. et al. (2000) Flavones and flavonols at dietary levels inhibit a transformation of aryl hydrocarbon receptor induced by dioxin. FEBS Letters 476:213-217.
【非特許文献2】Chen, A. M. and Scott, M. D. (2003) Immunocamouflage: Prevention of transfusion-induced graft-versus-host disease via polymer grafting of donor cells. J. Biomed. Mater. Res. 67A:626-636.
【非特許文献3】Gudmundsdottir, H. and Turka, L. A. (1999) T cell costimulatory blockade: New therapies for transplant rejection. J. Am. Soc. Nephrol. 10:1356-1365.
【非特許文献4】Hyon, S.-H. and Kim, D.-H. (2001a) Long-term preservation of rat pancreatic islets under physiological conditions. J. Biotech. 85:241-246.
【非特許文献5】Hyon, S.-H. and Kim, D.-H. (2001b) Hibernation of Mammalian cells at a living body temperature. Biotechnol. Bioprocess Eng. 6:289-292.
【非特許文献6】Hyon, S.-H. (2004) A non-frozen living tissue bank for allotransplantation using green tea polyphenols. Yonsei Med. J. 45:1025-1034.
【非特許文献7】Hyon, S.-H. et al. (2005) Protection of human fibroblasts from reactive oxygen species by green tea polyphenolic compounds. Key Engineering Materials 288-9:665-668.
【非特許文献8】Noguchi, H. et al. (2004) A new cell-permeable peptide allows successful allogeneic islet transplantation in mice. Nature Medicine 10:305-309.
【非特許文献9】Sazkuka, M. et al.(1996) Evidence for the interaction between (-)-epigallocatechin gallate and human plasma proteins fibronectin, fibrinogen, and histidine-rich glycoprotein. Biosci. Biotech. Biochem. 60:1317-1319.
【非特許文献10】Scott, M. D. et al. (1997) Chemical camouflage of antigenic determinants: “Stealth” erythrocytes. Proc. Nat. Acad. Sci. USA 94:7566-7571.
【非特許文献11】Scott, M. D. and Chen, A. M. (2004) Beyond the red cell: pegylation of other blood cells and tissues. Transfusion Clinique et Biologique 11:40-46.
【非特許文献12】Turka, L. A. et al. (1992) T-cell activation by the CD28 ligand B7 is required for cardiac allograft rejectioni in vivo. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11102-11105.
【非特許文献13】Wells, A. D. et al. (2000) CD28 costimulation and cell cycle progression are together necessary and sufficient for anergy avoidance in primary CD4+T cells. Transplantation 69: S130-S130.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの過激な免疫反応を防止するために、組織適合検査や免疫抑制剤の投与が行われてきたが、組織適合検査による移植の成功率は低く、免疫抑制剤の投与には他組織や器官への副作用という潜在的な問題があるため、より適切で安全な方法が考案されてきた。その一つは、免疫カモフラージュであり、細胞又は組織表面にポリエチレングリコールなどの非免疫性化合物を共有結合させ、その表面を被覆する方法である(Scott et al. 1997)。もう一つは、核因子によって特異的にT細胞を不活性化する方法である(Noguchi et al. 2004)。特に免疫カモフラージュは、細胞や内皮組織表面に起こる抗原認識自体を抑制するため、移植片拒絶反応と移植片対宿主疾患(GVHD)の両方に対して有効な概念及び方法である。しかしながら、これらの方法は、移植する細胞又は組織を非免疫性化するために高い技術とコストが掛かるため、ほとんどの臨床状況においては、実際的な利用に至っていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明においては、移植する細胞、組織又は器官をEGCGにて処理することにより、移殖前にこれを非免疫性化して宿主及び移植片のリンパ球による抗原認識力を低下させる。EGCGは、飲料用の茶に含まれる主成分の一つであり、多くの医療現場において容易に供給されうる。また、細胞及び組織の培養液に添加することでこれらの保存溶液としても用いられる(Hyon and Kim 2001a, b; Hyon 2004; Hyon et al. 2005)。本願発明の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液は、生理的許容温度条件下でEGCGを移植片表面に速やかに付着させることができる。これは移植片表面の蛋白質や脂質などの高分子に対してEGCG自らが示す強い親和力によるところが大きい(Sazuka et al. 1996)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
上述のEGCGによる処理を施した細胞、組織又は器官を宿主に移植することで、これらの移植片の表面に付着するEGCG分子が、細胞表面の抗原決定基とこれに対応するリガンド間の結合を阻害し(Ashida et al. 2000)、移植片を非抗原性化する。これにより、宿主のリンパ球の移植片に対する、又は移植片に残存するリンパ球の宿主に対する異物認識力を低下させる。すなわち、移植片と宿主の間に起こる免疫反応を抑制する。
【0006】
組織移植における免疫カモフラージュという概念は、Scott等(1997)によって発案された。その応用例として、赤血球などの細胞の抗原決定基を人工的に被覆して非抗原性化し、これを特殊な血液型を持つ血友病患者や慢性的に輸血を必要とする患者などの治療に用いられている。Scott等は、メトキシポリエチレングリコール(mPEG)を哺乳類の赤血球に共有結合させ、これを非抗原性化させている。
【0007】
Chen and Scott (2001)は、細胞表面にmPEGを結合することによる非抗原性化の更なる応用例について述べている。Chen and Scott (2003)も、mPEGの結合による細胞の非抗原性化を用いた輸血に伴う移植片対宿主疾患の予防に関して、マウスのin vitro及びin vivoの実験結果を発表している。その後Scott and Chen (2004)は、免疫カモフラージュの作用機序とその効果に関する要約の中で、将来の臨床移植術におけるその応用例を提案している。
【0008】
Scottらによる米国特許(No. 5,908,624)は、mPEGの細胞表面への共有結合に関わる詳細な方法(すなわちペギレーション法)を開示しており、この方法によって非免疫性化された細胞の利用法、移植細胞、組織又は器官の免疫拒絶反応の軽減、及び抗体による細胞集合の回避に関わる応用法を提案している。
【0009】
玄 丞烋による日本特許出願公開(JP-2000-344602A)及びヨーロッパ特許(EP 1 057 405 A1)は、EGCGを有効成分の一つとしてこれを含有する生体組織保存液の詳細な組成を開示しており、これを用いた哺乳類細胞の非凍結温度条件での保存法について述べている。
【0010】
本願発明は、移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液、及び本液を用いてポリフェノール分子を移植片である細胞、組織又は器官に付着させることにより、これらを非免疫性化する方法に関するものである。本発明は、宿主に移植される組織片である細胞、組織又は器官の抗原性を調整すると共に、組織片に残存するリンパ球の宿主に対する異物認識力を低下させることにおいて有効である。一つの具体例として、そのポリフェノール分子は、(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)である。EGCGを付着させた細胞は、生体外培養において正常に近い生存率を持つ。移植片にEGCG処理を施す実際的な応用例として、(1)EGCG処理した移植片である細胞、組織又は器官を宿主に移植することで、宿主による移植片の急性拒絶反応を抑制すること、また(2)移植片対宿主疾患(GVHD)においては、これらの移植片に残存するT細胞が宿主の体を異物として攻撃する傾向を抑制することを含む。
【0011】
EGCGの化学的性質として、細胞表面の抗原決定基や他の高分子に付着すること(Sazuka et al. 1996)、またEGCGとその類似化合物がアゴニストとして受容体−リガンド間の分子間相互作用を阻害することなどが、アフィニティークロマトグラフィーを用いた解析により明らかにされている(Ashida 2000)。このような化学的性質は、EGCGが溶液中において細胞表面の抗原決定基などの高分子と容易に付着する性質に由来すると考えられる。移植された細胞、組織又は器官は、これらの持つ抗原決定基により、宿主によって異物として認識され、捕食細胞、抗体及びT細胞によって破壊される。GVHDの場合は、移植片に残存するT細胞が宿主を攻撃する。
【0012】
本願発明は、(1)移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液で移植片である細胞、組織又は器官を処理することにより、これにEGCG分子を付着させることにより、(2)宿主によって異物認識されうる移植片の抗原決定基を覆い隠し、(3)宿主が移植片を拒絶する傾向を低下させると共に(4)移植片に残存するT細胞が宿主の体を攻撃する傾向を低下させることを特徴とする。
【0013】
移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液は、前述の細胞・組織保存液と比較して次の点で異なる。移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液は、EGCG分子が組織片に効率的に付着するように調製されている。それゆえ、高純度EGCGを含有すると共に、その最終濃度を50〜500ppmに設定される。この濃度は、生きた細胞や組織に対しての生理学的ストレスを最小限に抑える。また、この溶液は、移植片に付着するEGCGの量を減らす恐れのあるFCS(牛由来の血清)を含有しない。さらにEGCGの結合を最適化し移植片の生存率を上げるため、溶液のpHや処理温度と時間が限定されている。
【0014】
細胞又は組織の移植は、臨床治療において移植片拒絶や移植片対宿主疾患というしばしば重篤な免疫反応を起こす。従って本願発明が提示するように、ドナー細胞又は組織の移植片をEGCGで処理した後、浮遊細胞(例:血液細胞や膵島細胞等)又は組織片(例:血管や神経組織)の形態で宿主に移植することで、移植片の拒絶反応やGVHDの発生を減少させることができる。また、器官(例:腎臓)の移植に応用でき、この場合付随する血管組織を含む器官全体を移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液に浸漬することで、血管内皮組織レベルでの免疫拒絶反応の抑制も可能である。
【0015】
本願発明は、同種異系統の移植片である細胞、組織又は器官の生着において、急性拒絶反応のみならず、慢性拒絶反応の発現をも抑制するアナジーとよばれる作用機序を利用することを概念とする。アナジーとは、宿主のT細胞が移植片の異種抗原と最初に遭遇する際、T細胞受容体による移植片のクラスII主要組織適合性複合体(マウスではMHC II、ヒトではHLA II)との不完全な結合、及び副刺激分子の強力な結合阻害により惹起されると考えられ、これによりT細胞に対して不完全なシグナル伝達がなされた結果、再び同じ抗原と再度遭遇してもこれに対して認識不能となることを言う。また、本発明で提示したEGCGの濃度はアナジーを実現するために適切な値である。
【0016】
本願発明の使用を検討するにあたり参考となる具体例をデータと共に以下に提示する。
【0017】
本願発明は、移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液、及び本液を用いてポリフェノール分子を移植片である細胞、組織又は器官に付着させることにより、これらを非免疫性化する方法に関するものである。本発明は、移植される組織片である細胞、組織又は器官の宿主による免疫拒絶を抑制すると共に、組織片に残存するリンパ球の宿主に対する攻撃(移植片対宿主疾患=GVHD)を抑制することのおいて有効である。すなわち、移植片である細胞、組織又は器官の表面抗原決定基にポリフェノール分子、(−)−エピガロカテキン−3−O−ガレート(EGCG)が付着することで、宿主の免疫細胞による同種異系統認識が阻害されると共に、組織片に残存するT細胞による宿主の異物認識をも阻害する。
【0018】
本願発明が適応される細胞、組織又は器官は、細胞表面とその抗原決定基を持つあらゆる適切な細胞、組織又は器官である。このあらゆる適切な細胞、組織又は器官は、無核又は有核の細胞又は細胞群であり、その例は、赤血球、血小板、リンパ球、造血細胞、血管内皮細胞、肝細胞、神経細胞、グリア細胞、膵島細胞、腎細胞、心筋細胞、気管細胞、肺細胞、表皮細胞、角膜細胞及び骨細胞である。これらの細胞例は、例示であり本発明はこれに拘束されない。これらに加えて、動脈や冠動脈などの、あらゆる凍結保存組織も、その解凍後に本発明の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液で処理されうる。これら凍結保存組織は、機能する抗原決定基を殆ど消失しているが、残存する機能性抗原決定基に対してもEGCGが付着し移植免疫反応の抑制効果を表すと期待される。
【0019】
移植片の細胞表面抗原決定基は、抗原性蛋白質、抗原性炭水化物、抗原性糖質、抗原性脂質、抗原性糖脂質、抗原性糖蛋白質等から構成される。移植された細胞、組織又は器官は、これら抗原決定基により、免疫非適合系統の宿主によって異物として認識され、宿主の食細胞(自然免疫)、抗体(液性免疫)又はT細胞(細胞性免疫)が刺激されることにより、移植片は急速に破壊される。また、移植片対宿主疾患においては、移植片に残存するT細胞が宿主を異物として認識し攻撃する。本願発明は、これらの免疫反応を抑制するために、EGCGをこれらの細胞、組織又は器官の抗原決定基に付着させることにより、その抗原性もしくは抗原認識力を抑制する。
【0020】
EGCGは次のうちの両方又はどちらかの化学的相互作用によって、細胞表面上の抗原決定基に吸着する性質を持つ。(1)EGCGの酸性水酸基とその抗原決定基などの高分子が持つ塩基性アミノ基の間に働くクーロン力による。又は(2)EGCGのベンゼン環と高分子の疎水領域の間に働く疎水的相互作用による。これらの化学的相互作用から、EGCGは細胞膜を構成する分子を非特異的に吸着のターゲットとするという一般的性質を持つと考えられる(図10)。
【0021】
本発明は、移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液に関するものであり、EGCG分子を組織片に効率的に付着させるべく調製されている点で、前述の細胞・組織保存液と異なる。それゆえ、本発明は、移植片に対してEGCGを効率的に付着させるための方法を備える。すなわち、(1)例えば血球や膵島細胞などの浮遊細胞を移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液で懸濁するか、若しくは(2)血管などの組織片をこの溶液に浸漬することにより行われる。この溶液中のEGCG濃度は、106個の細胞群に対して50〜500ppmとし、処理温度及び時間はそれぞれ4〜10℃及び1〜2時間とする。本発明は、以上のように処理条件と溶液の組成を調整するものとする。また、使用されるEGCGの純度を重量パーセント比で98%以上とし、EGCGが溶解される溶液は、移植片表面の高分子に付着するEGCGの量を減らす恐れのあるFCS(牛由来の血清で、多くの蛋白質を含む)を含有しないこととする。これに加えて、EGCGの付着率をさらに向上させるため、溶液のpHをHEPESバッファーの添加により約7.0程度に調整している。また、移植片のみならず残存するT細胞に対しても最適な処理環境を与えるため、溶液の基本となる培地にRPMI1640を用いている。
【0022】
以上のEGCG濃度及び処理温度・時間等の処理条件は、本願発明の試験例で用いたマウスの脾臓細胞に適したものとして設定された一例である(図3、4)。従って、溶液中のEGCG濃度をさらに高く設定し、より高温度で長時間の処理条件で移植片を処理した場合、移植片の細胞又は組織及び残存するT細胞の機能と形態を非可逆的に変化させてしまう恐れがある(図1、2)。従って、組織片の細胞に対しての種々の生理学的ストレスを最小限に抑えると共に、移植後の生着率を上げるためにも、処理を施す移植片に対して処理条件を適切に調節する必要がある。
【0023】
本願発明は、組織の保存又は組織バンクに組み込むことができる。ポリフェノールの持つ組織保存能力は、抗酸化力及び細胞増殖抑制力が、生細胞の酸化ストレスによる死亡率及び細胞分裂に関わる代謝エネルギーをそれぞれ減少させることに起因している。ポリフェノールを含有する細胞・組織保存溶液についての総合的な考察には、次の資料を参照されたい:Hyon and Kim 2001a, b; Hyon 2004; Hyon et al. 2005; and Japan Pat. No. P2000-344602A and European Pat. No. EP 1 057 405 A1。これらの資料の一部は、本願発明に関わる内容として引用されている。本願発明において提示したEGCGは、ポリフェノール化合物の一例であって、本発明はこれに拘束されず、他のポリフェノール化合物によって代用され得る。
【0024】
本願発明の応用範囲は、細胞と組織のみならず、器官の移植(一般に臓器移植)にも広げられ得る。すなわち、特定の器官全体をそれに付随する血管内皮組織と共に移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液に浸漬し、これによりEGCG処理した器官を宿主体内に移植することで、血管内皮組織レベルでの拒絶反応を回避し得る。通常、移植された器官の血管内皮細胞は、宿主の免疫細胞に対して一連の抗原決定基を提示することにより、免疫拒絶反応を引き起こすが、抗原決定基に付着したEGCGにより血管内皮細胞が非免疫性化され、免疫拒絶反応が軽減され得る。
【0025】
移植前処理として移植片にEGCG処理を施す本発明の実際的な応用例として、(1)EGCG処理した移植片である細胞、組織又は器官を宿主に移植することで、宿主による移植片の急性拒絶反応を抑制すること、また(2)移植片対宿主疾患(GVHD)においては、これらの移植片に残存するT細胞が宿主の体を異物として攻撃する傾向を抑制することを含む。従って、臨床応用における予測的シナリオの下では、検死ドナーから摘出された細胞、組織又は器官、若しくは解凍後の凍結組織や器官の一部に対して移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液を用いた非免疫性化の処理を4〜10℃で数時間施し、これをレシピエントに移植することができる。
【0026】
本発明は、移植片を構成する細胞を死滅させずに、またレシピエントに対して有害な影響を与えることなく、移植片の抗原性を調節することにおいて有効である。通常使用されるある種の免疫抑制剤は、宿主のT細胞の活性と増殖を直接抑制するため、宿主に対して全身毒性を示すことがあるが、本発明はこれとは異なり、T細胞の活性と増殖自体を抑制のターゲットとせず、T細胞と抗原決定基を持つ他の細胞間に生じる、受容体−リガンドの相互作用をターゲットとしており、EGCGが受容体やリガンドを被覆することにより、同種異系統間認識を抑制する。
【0027】
通常T細胞は、移植片に対する同種異系統間認識と拒絶反応において中心的な役割を持つ。この同種異系統間認識の抑制効果を評価するため、リンパ球共培養法を用いた。これはドナー・宿主間の移植適合性を評価する上で最も検出力の高い方法として採用されており、移植片の生存率及び移植片対宿主疾患の発生率を予測することにも用いられる。リンパ球共培養実験の結果から、EGCGはT細胞の同種異系統間認識とこれに続く増殖とを効果的に抑制することが示された。また、EGCG処理を刺激細胞(Balb/c脾臓細胞)及び反応細胞(C57Bl/6脾臓細胞)のどちらに施しても、同様の抑制効果を得た(図3、4)。これらの結果は、EGCGがそれぞれ移植片拒絶及び移植片対宿主疾患における免疫反応を軽減するという潜在的能力を有することを裏付ける。また、この能力は細胞に対するEGCGの直接的な毒性に起因するものではない(図5、6)。
【0028】
本願発明の方法による移植免疫反応の抑制力をさらに裏付ける証拠として、リンパ球共培養実験から得られた培養上澄み液のサイトカイン分析結果を得た。すなわち、IL-2及びINF-γの産生は、EGCG処理群が未処理群に比べて有意に低いことが確認された(図7、8)。また、これら処理群におけるサイトカイン産生の抑制は、リンパ球共培養におけるT細胞の増殖抑制効果と一致する(図3、4)。
【0029】
本願発明の方法による移植免疫反応の抑制は、急性拒絶反応のみならず慢性拒絶反応に対しても有効である可能性を示唆する結果を試験例5に示した。これに関与する免疫現象はアナジーと呼ばれ、宿主のT細胞が移植片の異種抗原と最初に遭遇する際、T細胞受容体による移植片のクラスII主要組織適合性複合体(マウスではMHC II、ヒトではHLA II)との不完全な結合、及びCD28副刺激分子とそのリガンド間の強力な結合阻害により惹起されると考えられ、これによりT細胞に対して不完全なシグナル伝達がなされた結果、再び同じ抗原と再度遭遇してもこれに対して認識不能となることを言う(Turka et al. 1992; Gudmundsdottir and Turka 1999; Wells et al. 2000)。リンパ球表面抗原分析を行った結果、EGCG処理は確かにTCRαβ及びMHC IIのモノクローナル抗体への結合を中程度に抑制し、同時にCD28の抗体への結合を強力に抑制することが示された(表1)。このことからも、本発明で提示したEGCGの濃度はアナジーを発現するために適切な値であるといえる。これに加えて、EGCGは分析を試みた他の表面抗原決定基の殆どを有意にカモフラージュすることが示された。特に、TCRの発現とシグナル伝達に重要な役割を持つCD3εを強力にカモフラージュすると同時に、IL-2受容体のα鎖であるCD25及び免疫細胞の結合を補助するインテグリンα関連分子のCD49dを共にカモフラージュすることも示された。
【0030】
本願発明は、以上のように、(1)移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液を用いてドナー細胞又は組織を非免疫性化する方法、及び(2)EGCG含有培養液用いてドナー器官(臓器)を非免疫性化する方法を提供し、(3)これによって得られた細胞、組織又は器官を宿主に移植することにより、宿主による移植片拒絶反応の発生率を減少し得ること、また、(4)これによって得られた細胞、組織又は器官に残存するT細胞が、宿主を異物として攻撃する傾向を軽減し得ることを提示する。
【0031】
<試験例>
移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液の抗原性調節力を評価するにあたり、MHC II非適合のマウスから採取した脾臓細胞を用いた。すなわち脾臓細胞を、8〜10週齢のBalb/c (H2Kb)及びC57Bl/6 (H2Kd) 雌マウスからハンクスバッファー液(HBSS, BioWhittaker)(1% FCS含有)で採取、洗浄、懸濁し、移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液で処理した。この移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液の組成は、RPMI1640培地(Sigma)、10mM HEPES(Dojindo)及び試験例に示された濃度のEGCG(純度98%, Roche)からなる。
【0032】
<試験例1:移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液中でのマウス脾臓細胞の生存率>
0、200、1000ppm EGCGを含む移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液で、マウス脾臓細胞(C57Bl/6)の濃度が106/mlになるように再浮遊させ、この細胞浮遊液を5 mlずつ6穴プレートに注ぎそのまま、4℃又は37℃で1時間又は24時間培養した。培養後、生細胞の数をトリパンブルー染色法及び光学顕微鏡(Nikon Eclipse TE300)を用いた高倍率(800倍)観察により測定した。その結果、24時間培養を行った場合の脾臓細胞の生存率が特に低かった(図1、2)。また、4℃で培養した細胞は37℃で培養したものより、高い生存率を示した(図1、2)。
【0033】
<試験例2:リンパ球共培養実験(MLRs) >
図3、4に示す通り、EGCGが細胞の抗原性をどの程度抑制するかを評価するため、MHC非適合マウス2品種の脾臓細胞(Balb/c [刺激細胞] 及びC57Bl/6 [反応細胞])を用いてリンパ球共培養実験を行った。その結果、一方向MLR、二方向MLRのいずれにおいても、EGCG処理は脾臓細胞の増殖を有意に抑制した。また、刺激・反応細胞のどちらをEGCG処理しても、同様の抑制効果を示した。一方向MLRにおいては(図3)、刺激細胞をRPMI 1640 培地(10% FCS)中50 ppmマイトマイシンC(MP Biomedicals)で30分間(37℃)処理することにより自らの増殖能を非可逆的に停止した。二方向MLRにおいては(図4)、この処理を行わず、刺激・反応両細胞共に増殖可能の状態に維持した。刺激・反応細胞それぞれを、EGCG処理した後、10% FCSを加えた RPMI 1640培地(ペニシリン100 U/ml 及びストレプトマイシン100 ppm, BioWhittakerを含有)に濃度5.0 × 106個/mlになるように調製し、 刺激:反応細胞をそれぞれ120μlずつ1:1で混濁し、これを96穴培養プレートに蒔種(各サンプル3ウェル)し、37℃で72時間培養した(5% CO2)。培養後、トリパンブルー染色法にて、ウェル毎に細胞数を計測した。
【0034】
<試験例3:EGCG処理が脾臓細胞の生存力に及ぼす影響の評価>
脾臓細胞にEGCG処理を行った後、EGCGを含まない培地での脾臓細胞の生存力にどのような影響があるかを、未刺激細胞(C57Bl/6のみ)及び既刺激細胞(C57Bl/6にBalb/cを共培養)それぞれについて評価した。すなわちEGCG処理後、それぞれの細胞を培養液(RPMI1640、10%FCS)で洗浄し、EGCGを含まない培養液中で培養した。図5に示す通り、未刺激細胞では、培養時間が経過しても生存力は著しく低下しなかった。このことは、試験例2においてリンパ球共培養実験が示した脾臓細胞増殖の抑制効果が、概ねEGCGによる細胞毒性によらないことを示唆する。これに対して既刺激細胞では、培養時間の経過と共に若干の生存力低下が認められた(図6、既刺激)。これは、微弱な同種異系統間刺激が惹起されていることを示唆する。本試験例は、試験例2の方法に基づいて行われた。
【0035】
<試験例4:リンパ球共培養におけるサイトカイン分析>
一方向MLRより得られた上澄み液中のIL-2及びINF-γの産生量をELISA法(cytokine quantification ELISA, eBioscience)にて定量した。EGCG処理を行った共培養サンプル中のIL-2(図5)及びINF-γ(図6)の産生量は、未処理のものと比較して有意に低く、バックグランドの量以下に抑えられた。これらの結果は、MHC非適合脾臓細胞間における同種異系統認識とこれに続くT細胞の増殖が共にEGCG処理により抑制されたことを示す。
【0036】
<試験例5:アナジーの発現>
免疫寛容の一種であるアナジーが発現しているかを確認するため、試験例2で行った一方向MLRの共細胞サンプルを48時間培養した後、二次刺激として、EGCG未処理の刺激細胞(Balb/c, 5.0×106個/ml)又は外来性IL-2 (1.7 IU/ml)で刺激し、さらに48時間培養した。図9に示す通り、一次刺激時のEGCG処理群において、二次刺激後もT細胞増殖が微弱ではあるが有意に抑制されていることが認められた。特に、EGCG未処理の刺激細胞で二次刺激を行ったサンプルでは、EGCG処理が二次刺激を施していない未刺激群と同等のレベルにまで増殖を抑制した。これらの結果から、EGCG処理はアナジーの発現に影響を及ぼしていることが示された。
【0037】
<試験例6:リンパ球表面抗原解析>
EGCG処理と未処理の脾臓細胞を用いて、フローサイトメトリーによる表面抗原の解析を行った。各表面抗原(CD及びMHC)に結合するアンチマウス・モノクローナル抗体として、抗CD2、CD3ε、CD4、CD11a、CD25、CD 28、CD 49d、CD80 (eBioscience)及び抗TCRαβ、MHC II (Pharmingen)を用いた。マウスの脾臓細胞(C57Bl/6)を溶血バッファー(eBioscience)にて赤血球を排除し、EGCG処理を施した後、これらの細胞をRPMI 1640培地 (10% FCS)及び抗体染色バッファー液(eBioscience)で洗浄し、脾臓細胞50μlのバッファー浮遊液(4℃)中で20分間抗体と反応させた。次に、同じ抗体染色バッファーで2回洗浄し、FACScanフローサイトメター(Becton Dickinson)を用いてサンプル毎に10,000イベントを収集した。その結果、表1に示す通り、EGCG処理がCD80を除く全ての表面抗原に対して、抗体との結合率を有意に低下させた(すなわち、カモフラージュ能を示した)。また、CD3ε及び TCRαβに関しては、濃度勾配的な結合率の低下を示したが、これ以外の表面抗原では、EGCG濃度による大差がなかったことから、EGCGによる見かけ上の抗体結合阻害率が限界値に達したものと見られる。これは、EGCG 200 ppm処理群が100 ppm処理群より若干抗体結合率が高い値を示していることから、少なくとも部分的には、細胞の表面抗原に付着しているEGCG分子に対して、抗体が非特異的に結合したことに起因していると考えられる(CD11a、CD2、CD28 及び CD49d)。
【表1】

【0038】
a解析値はそれぞれの表面抗原とモノクローナル抗体との結合度を百分率で表示しており、結合度が低いとEGCGによる表面抗原のカモフラージュが強いことを示す。括弧内の値は、EGCG処理サンプル(100 ppm and 200 ppm)において、未処理のサンプル(0ppm)と比較してどの程度のカモフラージュ効果を認めたかを百分率で表示している。解析値は3回の反復試験の平均値を示す。フィッシャーPLSD法による統計解析により、未処理サンプルとの有意差あり(* p<0.03, ** p<0.0001)、又は有意差なし(n.s.: p>0.05)と判断した。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液中4℃にて保存した場合のマウス脾臓細胞の生存率を示す。サンプル毎の値は3反復の平均値。
【図2】移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液中37℃にて保存した場合のマウス脾臓細胞の生存率を示す。サンプル毎の値は3反復の平均値。
【図3】EGCG処理がT細胞増殖を抑制することを示した一方向リンパ球共培養実験(MLR)の結果を示す。太字で示したC57Bl/6 (反応細胞) 又は Balb/c (刺激細胞) は、それぞれC57Bl/6 又は Balb/c 細胞が共培養の前にEGCG処理が施されたことを示す。サンプル毎の値は3反復の平均値と標準偏差値を示し、フィッシャーPLSD法に基づく未処理群との有意差は* p<0.0001及び **p<0.018であった。
【図4】EGCG処理がT細胞増殖を抑制することを示した二方向リンパ球共培養実験(MLR)の結果を示す。太字で示したC57Bl/6 (反応細胞) 又は Balb/c (刺激細胞) は、それぞれC57Bl/6 又は Balb/c 細胞が共培養の前にEGCG処が施されたことを示す。サンプル毎の値は3反復の平均値と標準偏差値を示し、フィッシャーPLSD法に基づく未処理群との有意差は* p<0.0001であった。
【図5】EGCG処理濃度と未刺激脾臓細胞(C57Bl/6)の生存率の関係を示す。脾臓細胞は、EGCG処理後未刺激(C57Bl/6のみ)の状態で培養し、培養開始後24、48、72時間後、細胞数を測定した。EGCG処理直後の細胞生存率を100%とし、以後時間経過後のサンプル毎に生細胞の%比率として表示した。
【図6】EGCG処理濃度と刺激脾臓細胞(C57Bl/6)の生存率の関係を示す。脾臓細胞は、EGCG処理後、刺激細胞(Balb/c)との混濁状態で培養し、培養開始後24、48、72時間後、細胞数を測定した。EGCG処理直後の細胞生存率を100%とし、以後時間経過後のサンプル毎に生細胞の%比率として表示した。
【図7】一方向MLRの培養細胞から得られた上澄み液中のIL-2産生量をEGCG処理群と未処理群で比較。斜線の棒グラフは、未刺激細胞の培地から得られたバックグランドのサイトカイン量。サンプル毎の値は3反復の平均値と標準偏差値を示し、フィッシャーPLSD法に基づく処理群、未処理群間の有意差は p<0.0001であった。
【図8】一方向MLRの培養細胞から得られた上澄み液中のINF-γ産生量をEGCG処理群と未処理群で比較。斜線の棒グラフは、未刺激細胞の培地から得られたバックグランドのサイトカイン量。サンプル毎の値は3反復の平均値と標準偏差値を示し、フィッシャーPLSD法に基づく処理群、未処理群間の有意差は p<0.0001であった。
【図9】脾臓細胞の再刺激によるアナジー発現の評価。EGCG処理を施したC57Bl/6脾臓細胞をBalb/c刺激細胞で刺激した後、EGCG未処理のBalb/c刺激細胞又は外来性IL-2により二次刺激を行い、培養後の細胞数を計測した。白棒グラフは、二次刺激なしの場合の細胞数。サンプル毎の値は3反復の平均値と標準偏差値を示し、フィッシャーPLSD法に基づく処理群、未処理群間の有意差は、それぞれ細胞による二次刺激ではp<0.0003、外来IL-2による二次刺激ではp<0.012であった。
【図10】EGCG分子が細胞表面の抗原決定基又は細胞膜に存在するその他の高分子に対して示す強い分子間相互作用によりこれらに吸着していることを模式図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度ポリフェノールと培養液とからなり、ポリフェノールが移植片の抗原決定基に付着してこれと宿主との免疫反応すなわち移植片拒絶反応及び移植片対宿主反応を抑制することを特徴とする移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項2】
高純度ポリフェノールが、重量比純度98%以上の(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)である、請求項1に記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項3】
高純度ポリフェノールの濃度が、50〜500ppmである請求項1又は2に記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項4】
ペニシリン及びストレプトマイシンを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項5】
ペニシリン及びストレプトマイシンの濃度がそれぞれ50〜100U及び50〜100ppmである、請求項4の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項6】
培養液がRPMI1640培地である請求項1〜5のいずれかに記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項7】
pHが、6.7〜7.3である請求項1〜6のいずれかに記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項8】
2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸(HEPES)を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項9】
2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸(HEPES)の濃度が、5〜20mMである請求項8に記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項10】
移植片が、細胞、組織、臓器又は器官である請求項1〜9のいずれかに記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液。
【請求項11】
請求項1に記載の移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液に、移植片を浸漬して該移植片の抗原決定基にポリフェノールを付着させることにより、移植片の抗原認識を抑制する移植免疫反応抑制方法。
【請求項12】
移植片を4〜10℃の温度条件で処理する請求項11に記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項13】
移植片を0.5〜3時間処理する請求項11又は12に記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項14】
高純度ポリフェノールが、重量比純度98%以上の(-)-エピガロカテキン-3-O-ガレート(EGCG)である、請求項11〜13のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項15】
高純度ポリフェノールの濃度が50〜500ppmである請求項11〜14のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項16】
培養液がペニシリン及びストレプトマイシンを有する請求項11〜15のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項17】
ペニシリン及びストレプトマイシンの濃度がそれぞれ50〜100 U及び50〜100 ppmである、請求項16に記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項18】
培養液がRPMI1640培地である請求項11〜17のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項19】
移植免疫反応抑制ポリフェノール溶液のpHが、6.7〜7.3である請求項11〜18のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項20】
培養液が、2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸(HEPES)を含有する請求項11〜19のいずれかに記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項21】
2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン]エタンスルホン酸(HEPES)の濃度が5〜20mMである、請求項20に記載の移植片へのポリフェノール付着方法。
【請求項22】
移植片が、細胞、組織、臓器又は器官である請求項11〜21のいずれかに記載の移植へのポリフェノール付着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−306822(P2006−306822A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−134672(P2005−134672)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年4月15日 国際膵臓・膵島学会の第10回ジュネーブ大会のホームページ(http://www.ipita2005.org/)において(www.ipita2005.org/abstracts_on−line.htm)にて発表
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(503247229)
【Fターム(参考)】