説明

穀粒品位判別装置

【課題】光学検出手段に移送される前後の米粒がくっつかずに離間した状態で移送されるようにして品位判別の精度を向上させた穀粒品位判別装置を提供する。
【解決手段】
本発明の穀粒品位判別装置1は、穀粒を供給する供給手段2と、該供給手段2から供給された穀粒Kを整列させて流下させる傾斜状のシュート8aからなる移送手段8と、該シュート8a上を流下する穀粒に光を照射し、該穀粒から放出される光を検出する光学検出手段13と、該光学検出手段13が検出した検出光に基づいて穀粒の品位を判別する品位判別手段17とを備えたものにおいて、前記シュート8aは、該シュート8aに対して振動を与える振動発生手段11に接続するとともに、弾性部材10を介して装置本体部1aに固定する一方、前記光学検出手段13は、前記シュート8aに固定して配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒、例えば、玄米や精米などの米粒品位を光学的に判別する穀粒品位判別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の穀粒品位判別装置は、搬送用円盤によって米粒を一粒ずつ光学部に搬送し、米粒からの検出光に基づいて品位(整粒、胴割粒、着色粒ほか)を判別する装置として知られている(例えば、特許文献1、2など)。
【0003】
特許文献1の穀粒品位判別装置は、前記搬送用円盤を傾斜状に配設するとともに、その傾斜上位に光学部(撮像手段)を配設し、他方の傾斜下位には、米粒を滞留させた滞留部を配設し、また、前記搬送用円盤はその周縁部に、一粒の米粒がちょうど入る大きさの溝が複数配設してある。この特許文献1の判別装置によって品位を判別する際には、前記搬送用円盤を回転駆動させることにより、前記各溝が前記滞留部の米粒中を順次くぐって傾斜上位に移送される間に、米粒が各溝に一粒ずつ入り、さらに、この各米粒(溝)は光学部に順次移送されて撮像されて品位が判別される。しかし、米粒は品種によって短粒種、中粒種または長粒種とあって、米粒の長さ等がそれぞれ異なるため、本特許文献1の判別装置においては、判別する米粒が短粒種、中粒種または長粒種のいずれかによって、その米粒の長さ等に適合した大きさの溝を備えた搬送用円盤に交換する必要があった。
【0004】
一方、米粒を傾斜状のシュートによって光学部に搬送する、いわゆるシュート式の穀粒品位判別装置も知られている(特許文献2など)。このシュート式の判別装置は、前記傾斜状シュートは米粒が一列状に整列して流下するように条溝を構成しており、また、前記傾斜状シュートの傾斜上端部には米粒供給部を配設し、この他方側(傾斜下位側)の中間部分には光学部が配設してある。このシュート式の判別装置によって品位を判別する際には、前記米粒供給部によって、米粒タンクの下部に排出された米粒を一粒ずつ振動移送手段によって前記傾斜状シュートの傾斜上端部に供給して流下させ、当該各米粒は光学部を通過する際に光学検出されて品位が判別される。このシュート式の判別装置によれば、前記特許文献1の判別装置のように、米粒品種(米粒の長さ等)によって搬送用円盤を交換する必要がない。
【0005】
【特許文献1】特開2000−180369号公報
【特許文献2】特公平1−41215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シュート式の穀粒品位判別装置(特許文献2)においても、以下のような問題点がある。すなわち、シュート式の穀粒品位判別装置においては、米粒が前記シュート上を流下する際に、前後の米粒がくっついた状態で光学部に搬送されて、光学部(光学検出手段)が誤ってこの前後の米粒を一粒と認識判定し、品位判別の精度が低下するという問題である。
【0007】
そこで本発明は、上記問題点にかんがみ、光学検出手段に移送される前後の米粒がくっつかずに離間した状態で移送されるようにして品位判別の精度を向上させた穀粒品位判別装置を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の穀粒品位判別装置は、穀粒を供給する供給手段と、該供給手段から供給された穀粒を整列させて流下させる傾斜状のシュートからなる移送手段と、該シュート上を流下する穀粒に光を照射し、該穀粒から放出される光を検出する光学検出手段と、該光学検出手段が検出した検出光に基づいて穀粒の品位を判別する品位判別手段と、を備えた穀粒品位判別装置において、前記シュートは、該シュートに対して振動を与える振動発生手段に接続するとともに、弾性部材を介して装置本体部に固定する一方、前記光学検出手段は、前記シュートに固定して配設するという技術的手段を講じたものである。
【0009】
前記光学検出手段は、撮像部と照射部から構成するとよい。
【0010】
前記シュートは透明材料で形成する一方、前記撮像部は、シュートを流下する穀粒を上面方向、裏面方向及び側面方向からそれぞれ撮像する上面撮像部、裏面撮像部及び側面撮像部から構成するとよい。
【0011】
前記弾性部材は、板ばねによって構成するとよい。
【0012】
前記シュートの傾斜角度は、穀粒の安息角度にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の穀粒品位判別装置によると、穀粒は、シュート上を整列して流下しているときに振動発生手段からの振動作用を受けることによって、当該穀粒の前後に離間を生じさせながら光学検出手段に移送される。このため、光学検出手段を通過する穀粒はその前後に隙間を有しているので、前記光学検出手段で光学検出(撮像)する際に、穀粒を一粒ずつ確実に認識(撮像)することができる。また、前記光学検出手段(センサブロック)は、シュートに固定されているため、撮像した穀粒画像にぶれ等が生じることなく、正確な穀粒画像を取得することができる。したがって、穀粒の品位判別精度が向上する。
【0014】
一方、前記振動作用により、前述の前後穀粒の離間作用以外に、穀粒から剥がれた糠(ぬか)が前記振動によってシュート上に付着することなく穀粒ともに流下する作用を奏する。このため、穀粒の流下速度を低下させる要因であるシュート表面への糠の付着が排除されるので、穀粒の流下速度の低下を防ぐことができる。したがって、穀粒の流下速度にばらつきが生じることがないので、撮像した穀粒画像の長さが異なることがない。よって、穀粒画像の長さに基づいて判別する砕粒判別において誤判別が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の穀粒品位判別装置1を図1に示す。図1は、穀粒品位判別装置1の主要部を断面にした側面図である。以下の説明において「穀粒」は、玄米や精米などの米粒のことを意味する。
【0016】
供給手段2:
前記穀粒品位判別装置1は、架台1aの上部に、穀粒を供給するための供給手段2を配設する。該供給手段2は、前記穀粒の供給ホッパー3と、該供給ホッパー3の下方に配設した第1振動搬送部4と、該第1振動搬送部4の搬送終端部に接続して配設した第2振動搬送部5から構成する(図1及び図2参照)。前記第1振動搬送部4は、図3に示したように、前記供給ホッパー3の排出口3aの下方位置に配設した、穀粒Kを貯留するための器状のトレイ4aと、該トレイ4aの下部に配設した搬送用の振動部4bとから構成する。前記トレイ4aは緩やかな傾斜状をなし、傾斜下位側に前記供給ホッパー3の排出口3aを位置させ、傾斜下位側は前記第2振動搬送部5に接続する。前記トレイ4aは、傾斜下位側から傾斜上位側(搬送終端側)に向かって穀粒の搬送経路を絞ったように先細状にして、前記振動部4bの振動作用(図2及び図3の矢印Y)を受けて第2振動搬送部5に穀粒を一粒ずつ搬送できるようにしてある。
【0017】
前記第2振動搬送部5は、図2、図3及び図4に示したように、穀粒Kを一粒に整列させて搬送させるように構成してある。このため、前記第2振動搬送部5は、穀粒Kを一列にして搬送するため、一本の条溝6aを構成した一列搬送部6を有する。前記条溝6aの溝幅は、穀粒の幅より若干広めにするとよい。該一列搬送部6は、水平状に配設するとともに、搬送始端側の供給口6bは前記トレイ(第1振動搬送部4)4aの搬送終端側と接続する。前記一本の条溝6aは左右の溝壁6c,6dによって形成される。この溝壁6c,6dのうち、前記トレイ4a側の溝壁6cは、該トレイ4aと隣接した部分の高さを、穀粒Kの厚みよりも低くして、仮に条溝6aに二粒の穀粒Kが重合して入りそうになったときに上側の一粒を前記トレイ4aに落とすようにしてある。
【0018】
前記一列搬送部6は、搬送方向に向かって前記トレイ4aを過ぎた任意の位置を境に、前記条溝6aを幅広状(幅広溝6e)にするとともに、下方傾斜状(下方傾斜部6f)に構成する。この傾斜角度は、穀粒の安息角度以下にするのがよい。また、前記条溝6aにおいて、前記幅広溝6e(下方傾斜部6f)との境目近傍には、穀粒Kが、後述する振動作用によって、条溝6aから飛び出すことなく乗り越えられる程度の高さの凸状部6gを配設する。なお、前記幅広溝6eの溝幅は、穀粒Kを整列流下させる際に、穀粒が当該溝壁と当接して流下抵抗が生じない程度の幅とするのがよい。
【0019】
なお、前記第2振動搬送部5は、前記一列搬送部6以外に、前記一列搬送部6の下部に搬送用の振動部7を配設する。該振動部7は、図2及び図3の矢印X方向に振動作用を奏する。
【0020】
移送手段8:
前記一列搬送部6の搬送路は、移送手段8に接続する。該移送手段8は、前記該供給手段2(前記一列搬送部6の搬送路)から供給された穀粒Kを整列させて流下させるためのものである。前記移送手段8は、まず、搬送方向に向かって傾斜したシュート8aを構成する。該シュート8aは、前記一列搬送部6の搬送路(幅広溝6e)と同じ溝幅の一本の条溝8bを構成する。該シュート8aは、穀粒Kを自然流下させるために、傾斜角度(図1の角度:α)が穀粒の安息角度になるように配設することが大切である。穀粒の安息角度は、例えば、38度から40度とすることができる。
【0021】
前記シュート8aは、前記傾斜角度を保つように後述の固定枠部材9に固定する。前記シュート8aは、透明のアクリル樹脂によって形成し、その縦断面形状は、図5のように、壁面及び底面を共に平板状に形成するのがよい。この理由は、後述する光学検出手段13において、穀粒Kからの透過光を壁面及び底面を透過して検出(撮像)する際に、穀粒Kのゆがんだ画像が撮像されず、正確な穀粒画像を取得することを可能にするためである。
【0022】
前記固定枠部材9は、前記シュート8aの搬送始端側と搬送終端側とをそれぞれ支持固定するように、例えば、縦断面を略コの字状に形成して、その一端支持部9aによって前記シュート8aの搬送始端側を支持固定し、他端支持部9bによって前記シュート8aの搬送終端側を支持固定するようにするとよい。前記一端支持部9a及び他端支持部9bとシュート8aとの固定方法は、任意の取付け構造でよい。前記固定枠部材9の下部は、弾性部材10を介して前記架台1aに固定し、後述する振動発生手段11の微振動作用がシュート8aに伝達されるようになっている。前記弾性部材10は、例えば、本実施形態で使用した一対の板ばねを使用することができる。なお、図1に示した符号12は、前記板ばね(弾性部材)11を架台(装置本体部)1aに固定するための固定枠部材12である。
【0023】
前記振動発生手段11は、前記一端支持部9a及び他端支持部9bの両方か又は一方に装着する。該振動発生手段11としては、例えば、小型の振動モータを使用することができる。この小型の振動モータは、例えば、振動モータ定格(回転数)が10000rpmから14000rpmの範囲のものを使用することができる。
【0024】
光学検出手段13:
次に、穀粒Kを光学検出する光学検出手段13について説明する。該光学検出手段13は、前記シュート8aの傾斜下位の位置に、固定して設ける。前記光学検出手段13は、上面撮像部14、側面撮像部15及び裏面撮像部16から構成する(図6参照)。前記上面撮像部14は、前記シュート8aの上面側に配設して該シュート8a上の光学検出位置P1に焦点を合わせたカラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)14aと、前記光学検出位置P1に対して上面側及び下面側からそれぞれ撮像用の光を当てる上面側照射部14b及び下面側照射部14cとから構成する。上面側照射部14b及び下面側照射部14cは、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のLED(発光ダイオード)によって構成する。前記側面撮像部15は、前記光学検出位置P1に焦点を合わせて前記シュート8aの側面側に配設したカラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)15aによって構成する。
【0025】
前記裏面撮像部16は、前記シュート8aの下面側に配設して該シュート8a上の光学検出位置P2に焦点を合わせたカラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)16aと、前記光学検出位置P2に対して上面側及び下面側からそれぞれ撮像用の光を当てる上面側照射部16b及び下面側照射部16cとから構成する。上面側照射部16b及び下面側照射部16cは、前述のように、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のLED(発光ダイオード)によって構成する。
【0026】
前記上面撮像部14、側面撮像部15及び裏面撮像部16からなる光学検出手段13は、1セットにして一体的(センサブロック)に構成して、前記シュート8aの所定位置に任意の取付方法によって固定して配設する。
【0027】
品位判別手段17:
次に、穀粒Kの品位を判別する品位判別手段17について説明する(図7参照)。該品位判別手段17は、例えば以下のように構成することができる。前記品位判別手段17は、中央演算部(CPU)17aを中心に、該CPU17aに接続した読み出し専用記憶部(ROM)17b、読み出し・書き込み兼用記憶部(RAM)17c、画像処理部17d及び入出力回路(I/O)17eのほか、前記画像処理部17dに接続した入出力回路(I/O)17f及び前記入出力回路(I/O)17eに接続した表示部17gによって構成することができる。なお、前記光学検出部13からの撮像データは、前記I/O17f(品位判別手段17)に入るようになっている。
【0028】
次に、前記穀粒品位判別装置1に基づいて、本発明の作用を説明する。
【0029】
前記穀粒品位判別装置1で穀粒Kを測定する際は、まず、前記供給手段2における振動部4b,7及び前記移送手段8における振動発生手段9a,9bを駆動させて、穀粒Kのサンプルを前記供給ホッパー3から投入する。すると穀粒Kは、図2及び図3に示すように、前記第1振動搬送部4のトレイ4a上に堆積し、この後、前記振動部4bの振動作用(同図の矢印Y方向)を受けて前記第2振動搬送部5における一列搬送部6の供給口6bに向かって搬送される。前記トレイ4aは、前述のように、供給口6bの到達前部分の形状が先細状に形成してあるため、この当該先細状になった部分において穀粒Kは、前記供給口6bに対して一粒ずつ供給される。該供給口6bに供給された穀粒Kは、前記振動部7の振動作用(同図の矢印X方向)を受けて、前記条溝6aに沿って一列に整列した状態で搬送される。このとき、仮に、前記供給口6bに二粒の穀粒Kが重合して供給された場合には、前記条溝6aに沿って搬送される間に、重合した上側の穀粒Kは前記溝壁6cを乗り越えてトレイ4a上に落下する(図2及び図3参照)。
【0030】
さらに、前記条溝6aに沿って搬送される穀粒Kは、前記条溝6a内に設けた凸状部6gに差し掛かり、順次、該凸状部6gを乗り越えて前記下方傾斜部6fに入って幅広溝6eに沿って流下する(図4参照)。このため、前記凸状部6gの手前において穀粒Kが前後に間隔なく連続していたとしても、凸状部6gを各穀粒Kが乗り越えることにより、この後工程に穀粒Kを前後に間隔を空けた状態で搬送することができる。
【0031】
穀粒Kは、前記下方傾斜部6fを流下した後に、前記移送手段8のシュート8aの供給側に供給され、該シュート8aの条溝8bに沿って一列に整列した状態で流下する(図1及び図5参照)。このとき、シュート8aは前記振動発生手段11,11の作用によって微振動しているので、各穀粒Kはシュート8a内を流下する際に前記微振動作用を受け、前後の穀粒Kの間隔は広がる。これにより、前記光学検出手段13に対して、穀粒Kを一粒ずつ間隔を空けて通過させることができる(図1参照)。また、シュート8aは前記振動発生手段11,11の微振動作用を受けているので、穀粒Kから剥がれた糠が条溝8bの表面に付着することなく穀粒Kと共に流下する。これにより、シュート8aを流下する穀粒Kの速度低下を防止できるので、後述の穀粒K画像に長短のばらつきが生じない。したがって、穀粒K画像の長さによって判別する「砕粒判別」を正確に継続的に行うことができる。
【0032】
穀粒Kは、前記光学検出位置P1を通過する時、前記上面撮影部14と側面撮像部15とによって穀粒Kの上面と側面を撮像する。この時、前記上面撮影部14と側面撮像部15によって、前記上面側照射部14b及び下面側照射部14cから光学検出位置P1上の穀粒Kに対してRGB光を照射するとともに、前記カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)14aによって穀粒Kを上面側から撮像し、同時に、前記カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)15aによって同穀粒Kを側面側から撮像する。このとき、穀粒Kは、光学検出位置P1上を前後に間隔を空けて通過するので、確実に、一粒単位の穀粒K画像を取得することができる。このため、前後に連なった二粒を誤って一粒と認識することがなく、一粒画像による品位判別が可能である。
【0033】
また、前記上面撮影部14と側面撮像部15は、前述のようにシュート8aに固定してあるので、当該上面撮影部14と側面撮像部15は該シュート8a及び流下中の穀粒Kと一緒(同期的)に微振動する。このため、上面撮影部14と側面撮像部15は、穀粒Kの微振動と同期微振動しながら穀粒Kを撮像するので、ぶれのない穀粒Kの正確な撮像画像(上面画像及び側面画像)を取得することができる。
【0034】
さらに、シュート8aは、透明材料で構成されているので、前記カラーCCDラインセンサ15aは穀粒Kから放射された光をシュート8aの側壁(透明材料)を透過して検出することができる。前記上面及び側面の各撮像データは、前記品位判別手段17に入り、前記画像処理部17dによって穀粒Kの上面及び側面の各画像が形成されてRAM17cに記憶される。
【0035】
次いで、前記光学検出位置P1を通過した穀粒Kは、光学検出位置P2を通過する際に、穀粒Kの裏面を前記裏面撮像部16によって撮像する。この時、前記裏面撮像部16によって、前記上面側照射部16b及び下面側照射部16cから光学検出位置P2上の穀粒Kに対してRGB光を照射するとともに、前記カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)16aによって穀粒Kを裏面側から撮像する。このとき、前述と同じく、穀粒Kは間隔を空けた状態で順次通過するので、確実に、一粒単位で穀粒Kの裏面を撮像することができる。また、前記裏面撮像部16も、前記上面撮影部14及び側面撮像部15と同様にシュート8aに固定してあるので、前記裏面撮像部16は、穀粒Kの微振動と同期微振動しながら穀粒Kを撮像するので、ぶれのない穀粒Kの正確な撮像画像(裏面画像)を取得することができる。
【0036】
また、シュート8aは透明材料で構成されているので、前記カラーCCDラインセンサ16aは穀粒Kから放射された光をシュート8aの底壁(透明材料)を透過して検出することができる。前記裏面の撮像データは、前記品位判別手段17に入り、前記画像処理部17dによって穀粒Kの裏面画像が形成されてRAM17cに記憶される。
【0037】
この後、前記CPU17aは、前記RAM17cに記憶した穀粒Kの上面、側面及び裏面の各画像データに基づいて品位判別を行う。該品位判別は、前記ROM17bに予め設定記憶しておいた整粒、胴割粒及び着色粒ほかの品位判別用の基準データを基に、前記各画像データと比較して行う。
【0038】
なお、前記シュート8aは、前述のように傾斜角度αを穀粒Kの安息角度にしてあるので、穀粒Kをシュート8a内において自然に流下させることができる。このため、穀粒の流下速度が自然の流下速度になるため、前述の光学検出(撮像)の際に、穀粒の流下速度が適切かつ安定的となって、正確で情報量の多い撮像データを取得することができる。したがって、正確な穀粒Kの品位判別が行える。
【0039】
なお、本発明に係る上記実施の形態においては、前記凸状部6g及び振動発生手段11を両方設けて穀粒Kの前後間隔を空けるようにしたが、前記凸状部6gについては設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の穀粒品位判別装置の主要部分(一部)を縦断面にした側面図である。
【図2】供給手段の平面図である。
【図3】図2(供給手段)におけるA−A.の断面図である。
【図4】図2(供給手段)におけるB−B.の断面図である。
【図5】シュートの縦断面図である。
【図6】光学検出手段の構成を示した側面図である。
【図7】品位判別手段のブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 穀粒品位判別装置
1a 架台(装置本体部)
2 供給手段
3 供給ホッパー
3a 排出口
4 第1振動搬送部
4a トレイ
4b 振動部
5 第2振動搬送部
6 一列搬送部
6a 条溝
6b 供給口
6c 溝壁
6d 溝壁
6e 幅広溝
6f 下方傾斜部
6g 凸状部
7 振動部
8 移送手段
8a シュート
8b 条溝
9 固定枠部材
9a 一端支持部
9b 他端支持部
10 弾性部材(板ばね)
11 振動発生手段
12 固定枠部材
13 光学検出手段
14 上面撮像部
14a カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)(撮像部)
14b 上面側照射部(照射部)
14c 下面側照射部(照射部)
15 側面撮像部
15a カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)(撮像部)
16 裏面撮像部
16a カラーCCDラインセンサ(CCDカメラ)(撮像部)
16b 上面側照射部(照射部)
16c 下面側照射部(照射部)
17 品位判別手段
17a 中央演算部(CPU)
17b 読み出し専用記憶部(ROM)
17c 読み出し・書き込み兼用記憶部(RAM)
17d 画像処理部
17e 入力回路(I/O)
17f 入力回路(I/O)
17g 表示部
K 穀粒
P1 光学検出位置
P2 光学検出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を供給する供給手段と、
該供給手段から供給された穀粒を整列させて流下させる傾斜状のシュートからなる移送手段と、
該シュート上を流下する穀粒に光を照射し、該穀粒から放出される光を検出する光学検出手段と、
該光学検出手段が検出した検出光に基づいて穀粒の品位を判別する品位判別手段と、
を備えた穀粒品位判別装置において、
前記シュートは、該シュートに対して振動を与える振動発生手段に接続するとともに、弾性部材を介して装置本体部に固定する一方、前記光学検出手段は、前記シュートに固定して配設することを特徴とした穀粒品位判別装置。
【請求項2】
前記光学検出手段は撮像部と照射部とから構成した請求項1に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項3】
前記シュートは透明材料で形成する一方、前記撮像部は、シュートを流下する穀粒を上面方向、裏面方向及び側面方向からそれぞれ撮像する上面撮像部、裏面撮像部及び側面撮像部からなる請求項2に記載の穀粒品位判別装置。
【請求項4】
前記弾性部材は板ばねによって構成した請求項1から請求項3のいずれかに記載の穀粒品位判別装置。
【請求項5】
前記シュートの傾斜角度を穀粒の安息角度にする請求項1から請求項4のいずれかに記載の穀粒品位判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−298695(P2008−298695A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147473(P2007−147473)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】