説明

積み上げ式幅木

【課題】車椅子などによる壁面の損傷や破損を防止でき、施工性がよく、かつ意匠的効果にもすぐれた積み上げ式幅木を提供する。
【解決手段】露出面21と壁取付面22とを有し、床面と壁面との見切り部分に添設される基礎幅木20と、露出面11と壁取付面12とを有し、基礎幅木20の上方に順次、積み上げられて壁面に添設される少なくとも1以上の連設用幅木10とを組み合わせて構成される積み上げ式1の幅木であって、基礎幅木20と連設用幅木10は、露出面側に面取傾斜面23b、13bを形成した平坦部23a、13aを有した上端面23、13を備えるとともに、連設用幅木10の下端面14は、基礎幅木20または連設用幅木10の上端面23、13に形成された平坦部23a、13aの全体と面取傾斜面23b、13bの一部とを覆い隠す、積み上げ用凹所15を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外の壁面に添設する積み上げ式幅木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
幅木は、住宅などの室内や廊下の壁面下端の床面との境界(見切り部分)に取り付けられ、見切り部分に生じるすき間などを隠すとともに、見切り部分を防護し、さらに外観向上のためにも使用されている。
【0003】
一般に幅木には、側壁間の幅サイズを有した1枚の化粧板が使用されるが、複数の材料を組み合わせて高さを高くして、車椅子の車輪による壁面の損傷や破損を防止したものも提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に示されたものは、幅木の上方に、受け部材と表面板よりなる壁面ガードを積み上げて、その壁面ガードによって車椅子の車輪からの防護を図っている。また、特許文献2に示されたものは、下部幅木部材に、化粧パネル材と上部押え縁部材とを積み上げて構成され、高さを約30〜35cmとしている。
【特許文献1】特開2002−54252号公報
【特許文献2】特開2003−3662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のものでは、従来使用されている幅木に、この幅木と形状の全く異なる壁面ガードを連設しているため、壁面防護の機能は十分に果たしているものの、美観の向上はほとんど期待できない。また、特許文献2のものは、3部材で幅木を構成するため、素材や表面模様を共通にすることで一体感や意匠的効果を持たせることができるが、従来の幅木をそのまま使用することはできないし、施工も面倒である。
【0006】
また、図5に示すように、従来使用されている幅木100を床面Fより積み上げ施工して、所定の高さにして壁面Wを防護することもできるが、下の幅木の上端102に載せ置くだけの構成であるため、上下の結合関係が弱いうえ、上下幅木100の重合部101にわずかなすき間ができた場合、そのすき間が表面に露出され、美観を悪くするおそれがある。さらに、重合部101の前面側には上端の面取傾斜面103による一定幅を有した見かけ上の溝104が形成されるため、その溝104の溝幅によっては意匠的効果を損なうおそれもある。また、その溝104において上の幅木100の下端面の一部が露出されるが、下端面には化粧シート106が形成されていないため、基材がそのまま露出されてしまう。なお図中の105は、アクセント用に設けた凹溝である。
【0007】
一方、複数の幅木部材を、ほぞ構造で結合して積み上げる方法も想定できるが、位置決めが面倒で、施工性はよくない。また、従来使用されている幅木を使用することもできない。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、車椅子などによる壁面の損傷や破損を防止でき、施工性がよく、かつ意匠的効果にもすぐれた積み上げ式幅木を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明者は、2種の幅木を組み合わせて構成される積み上げ式幅木と、1種の幅木を複数組み合わせて構成される積み上げ式幅木の2つの発明を提案している。
【0010】
第1の本発明である請求項1に記載の積み上げ式幅木は、露出面と壁取付面とを有し、床面と壁面との見切り部分に添設される基礎幅木と、露出面と壁取付面とを有し、該基礎幅木の上方に順次、積み上げられて壁面に添設される少なくとも1以上の連設用幅木とを組み合わせて構成される積み上げ式の幅木であって、基礎幅木と連設用幅木は、露出面側に面取傾斜面を形成した平坦部を有した上端面を備えるとともに、連設用幅木の下端面は、基礎幅木または連設用幅木の上端面に形成された平坦部の全体と面取傾斜面の一部とを覆い隠す、積み上げ用凹所を備えている。
【0011】
第2の本発明である請求項2に記載の積み上げ式幅木は、露出面と壁取付面とをそれぞれに有した複数の連設用幅木を順次、積み上げて、床面と壁面との見切り部分を含む壁面に添設される積み上げ式の幅木であって、連設用幅木は、露出面側に面取傾斜面を形成した平坦部を有した上端面を備えるとともに、下端面には、その直下にある連設用幅木の上端面に形成された平坦部の全体と、面取傾斜面の一部とを覆い隠す、積み上げ用凹所を備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項3では、積み上げ用凹所が、直下に設置される基礎幅木、連設用幅木のいずれかの上端面に形成された平坦部に当接整合する内底面と、平坦な底面を有し、面取傾斜面に当接整合する傾斜面を有して内底面よりも下方に突出させた脚部とを備えた構造となっている。
【0013】
請求項4では、上端面を含めて露出面は、化粧シートを貼付けて化粧面が形成されている。
【発明の効果】
【0014】
第1の本発明である請求項1に記載の積み上げ式幅木によれば、ほぞ構造などによらず、基礎幅木と1以上の連設用幅木とよりなる複数の幅木を組み合わせて、下方の幅木の上端面に上方の幅木の下端面を当接整合させて積み上げて壁面に固着するだけの構成であるため、施工性がよく、簡易に車椅子対応の壁面保護型の幅木を形成することができる。また、基礎幅木として従来使用されている幅木を使用して、積み上げ施工できるため、ジョイント部材や種々の結合部材を準備する必要がなく、リフォームにも利用できる。また、連設用幅木の高さ、表面模様などの外観を基礎幅木に合わせれば、一体感を持たせることもできる。
【0015】
また、連設用幅木の下端面には、幅木の上端面に形成された平坦部の全体と面取傾斜面の一部とを覆い隠す積み上げ用凹所を形成させているため、複数の幅木を適度な係合関係でもって積み上げができ、積み上げる際の位置決めが容易にできる。さらに、直下の幅木の平坦部を隠す構造であるため、上下の幅木の重合部にできたわずかなすき間を隠すことができ、美観上の問題もない。
【0016】
さらに、幅木を複数段積み上げたときに、上下の幅木の重合によって、面取傾斜面の一部を露出させているので、一定幅の見かけ上の溝が生じ、アクセントラインとなり、意匠的効果も期待できる。
【0017】
第2の本発明である請求項2に記載の積み上げ式幅木によれば、複数の連設用幅木を、ほぞ構造などによらず、積み上げて壁面に固着するだけの構成であるため、施工性がよく、簡易に車椅子対応の壁面保護型の幅木を形成することができる。また、第1の本発明の上記種々の効果とほぼ同様の効果が期待できる。また、積み上げ式幅木が1種類の連設用幅木を複数組み合わせて構成されるため、生産管理、在庫管理も容易になる。
【0018】
請求項3に記載の積み上げ式幅木によれば、連設用幅木の積み上げ用凹所が、直下に設置される幅木の上端面に形成された平坦部に当接整合する内底面と、面取傾斜面に当接整合する傾斜面を有して内底面よりも下方に突出させた脚部とを有しているため、脚部によって両幅木の平坦部と内定面との当接部を隠すことができる。また、脚部の高さ調整をすることで、見かけ上の溝による意匠的効果を異ならせることもできる。
【0019】
また、脚部が平坦な底面を有しているため、連設用幅木をそのまま基礎幅木として使用した場合に、安定性がよく、脚部で床面を傷つけることもなく、脚部が破損するおそれもない。
【0020】
請求項4に記載の積み上げ式幅木によれば、上端面を含めて露出面に化粧シートを貼付けて化粧面を形成しているため、積み上げ施工後に塗装の必要はなく、また芯材を保護でき、見栄えもよい。また、連設用幅木の下端面にも化粧シートを形成すれば、積み上げることによって下端面が露出される場合であっても、化粧面となっているため見栄えがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面とともに説明する。
【0022】
第1、2の本発明の積み上げ式幅木に使用する連設用幅木と基礎幅木の一例の各縦断面図を、図4(a)、(b)に示す。
【0023】
連設用幅木10と基礎幅木20とは、天然木無垢材、木粉混入の樹脂板、塩化ビニル樹脂などを素材とした化粧板で構成される。高さを30〜150mm、厚みを5〜10mmとすることが好適であるが、これには限定されない。特に高さは、後述するように、これらを積み上げて使用するものであるため、既存の幅木よりもさらに低いものでもよい。幅は、施工する壁面の幅によって定まり、任意のサイズのものが使用できる。
【0024】
連設用幅木10は、露出面11と壁取付面12と上端面13と下端面14と両側端面(不図示)とを有している。
【0025】
露出面11は、例えば幅木10を住宅の室内に取り付けると、室内側に露出される面であり、その面には長手方向に沿って連続した凹溝11aが形成されている。この凹溝11aは、意匠性向上のためにアクセントラインとして設けられたものであるが、幅木10を壁面に固着させる際の釘打ちにも利用できる。壁取付面12は、壁面に添着させるために、平坦面に形成されている。
【0026】
上端面13には、平坦部13aが形成されており、この平坦部13aの露出面11側の縁は面取加工され面取傾斜面13bが形成されている。
【0027】
下端面14には、露出面11側に長手方向に沿って連続する脚部16が形成され、その脚部16によって、積み上げ用凹所15が形成されている。後述するように、この積み上げ用凹所15は幅木を直下の幅木に積み上げるために使用される。
【0028】
これら積み上げ用凹所15と脚部16とによって形成される下端面14は、平坦な内底面14aと、脚部16の内壁面を形成する傾斜面14bと、脚部16の底面14cとよりなる。
【0029】
また、脚部16は、直下の幅木の面取傾斜面の全面と当接させようとすると下端を尖形にする必要があるが、本例では、その尖形形状より下端の三角柱部分Tを取り除いた形状に形成されており、脚部16の底面14cは平坦面に形成されている。すなわち本例では、脚部16は、その傾斜面14bの面幅が上端面13の面取傾斜面13bの面幅よりも短くなるように形成されている。もちろん、このような形状には限定されない。
【0030】
このような連設用幅木10の下端面14の形状は、上述した上端面13、あるいは後述する基礎幅木20の上端面23のいずれにも当接整合できるように形成されている。
【0031】
一方の基礎幅木20は、露出面21と壁取付面22と上端面23と下端面24と両側端面(不図示)とを有している。
【0032】
露出面21は、連設用幅木10と同様に、長手方向に沿って連続した凹溝21aが形成され、壁取付面22は、壁面に添着させるために、平坦面に形成されている。
【0033】
上端面23には、平坦部23aが形成されており、露出面21側に向けて面取加工した面取傾斜面23bが形成されている。また、下端面24は平坦に形成されている。
【0034】
このような基礎幅木20は、従来、住宅等に使用されている公知の幅木をそのまま使用することもできる。
【0035】
また、連設用幅木10の露出面11、上端面13、下端面14は、樹脂製の化粧シート30が貼り付けられた化粧面に形成されている。また基礎幅木20の露出面21、上端面23も、樹脂製の化粧シート30が貼り付けられた化粧面が形成されている。なお、幅木の製造上の利便性を考慮して、基礎幅木20の下端面24にも化粧シート30を施してもよい。
【0036】
また、連設用幅木10の下端面14は、化粧シート30を施さなくてもよいが、連設用幅木10を積み上げ式幅木の2段目以降に使用する場合、脚部16の底面14cが露出されることを考慮すれば、化粧シートを形成しておくほうが好ましい。
【0037】
ついで、第1、2の本発明の積み上げ式幅木について、図4に示した各部材を参照しながら、順次説明する。
【0038】
図1(a)は、第1の本発明の一例である積み上げ式幅木の一部断面を含む概略斜視図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
【0039】
この積み上げ式幅木1は、基礎幅木20と1以上の連設用幅木10とを組み合わせて構成されたもので、基礎幅木20は床面Fと壁面Wとの見切り部分に添設され、連設用幅木10はその基礎幅木20の上方に順次、積み上げられて壁面Wに添設される。
【0040】
図1(b)に示すように、基礎幅木20と連設用幅木10の重合部3では、基礎幅木20の上端面23と、連設用幅木10の下端面14とが相互に接合されている。具体的には、基礎幅木20の上端面23の平坦部23aの全体と、連設用幅木10の下端面14の内底面14aの全体とが当接整合し、かつ基礎幅木20の上端面23の面取傾斜面23bの一部と、連設用幅木10の下端面14の傾斜面14bの全体とが当接整合する。つまり、重合部3は、平坦当接部3aと、傾斜当接部3bとよりなる。
【0041】
このような重合により、基礎幅木20の上端面23は、連設用幅木10の下端に形成された積み上げ用凹所15によってほぼ覆われた状態となる。その結果、平坦当接部3aは、連設用幅木20の下端に設けた脚部16によって完全に隠されて、表面には露出されず、また面取傾斜面23bの一部は、脚部16の内側傾斜面14bによって覆い隠される。
【0042】
面取傾斜面23bの、脚部16の傾斜面14bと当接していない面は、表面に露出され、その露出面と脚部16の底面14cとよりできた三角柱部分Tの空間は、積み上げ式幅木1を一体として正面より見た場合、長手方向に沿って連続する一定幅の重合溝4を形成する。
【0043】
この重合溝4は、積み上げ式幅木1の施工後に、アクセントラインとするために、0.5〜3mm程度の幅とすることが望ましい。すなわち、アクセントラインとなりえる程度の幅の重合溝が生成されるような高さを有した脚部16を、連設用幅木10の下端に形成すれば、積み上げ施工した際に意匠的効果の高い積み上げ式幅木1となる。
【0044】
また、重合溝を形成させないように脚部を尖形とし、面取傾斜面23bの全面を覆い隠してもよいが、製造誤差により、そのラインが微小幅の溝を形成したり、ずれたりして美観を損なわせるおそれもあるため、本例のように脚部16は面取傾斜面23bの一部を露出させるような高さに形成することが望ましい。
【0045】
以上の積み上げ式幅木1の構成によれば、ほぞ構造などによらず、基礎幅木20と1以上の連設用幅木10とよりなる複数の幅木を組み合わせて、基礎幅木20の上端面23に連設用幅木10の下端面14を当接整合させて積み上げるだけの構成であるため、施工性がよく、車椅子の車輪などによる損傷、破損を防止できる壁面保護型の幅木を形成することができる。
【0046】
また、基礎幅木20として従来使用されている幅木を使用できるため、積み上げ式幅木1を添設するために、ジョイント部材や種々の結合部材を準備する必要がなく、容易に実現でき、リフォームにも利用できる。また、連設用幅木10の高さ、表面模様などの外観を基礎幅木20に合わせれば、一体感を持たせることができる。
【0047】
また、連設用幅木10の下端面14には、基礎幅木20の上端面23をほぼ覆い隠す積み上げ用凹所15を形成させているため、基礎幅木20と連設用幅木10とを適度な係合関係でもって積み上げができ、積み上げる際の位置決めが容易にできる。
【0048】
図1の例では、基礎幅木20に1つの連設用幅木10を積み上げて2段構成としているが、さらに連設用幅木10を積み上げて、3段以上の積み上げ式幅木を構成してもよい。その際の連設用幅木10同士の重合については、上述した基礎幅木20と連設用幅木10との関係と同様であり、また後述する第2の本発明における連設用幅木10同士の重合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0049】
図2(a)は、第2の本発明の一例である積み上げ式幅木の一部断面を含む概略斜視図、(b)は(a)のB部分の拡大図である。
【0050】
この積み上げ式幅木2は、複数の連設用幅木10を組み合わせて構成されたものである。つまり、床面Fと壁面Wとの見切り部分には1つの連設用幅木10が添設され、さらに他の連設用幅木10が、基礎となった連接用幅木10の上方に順次、積み上げられて壁面Wに添設される。なお、図2および以下の説明では、下段の連設用幅木10とその上方に積み上げる上段の連設用幅木とを区別するため、下段幅木には符号10Aを、上段幅木には符号10Bを付している。
【0051】
図1の積み上げ式幅木1と同様に、2つ連設用幅木10A、10B同士の重合部では、下段幅木10Aの上端面13と、上段幅木10Bの下端面14とが相互に接合されている。具体的には、下段幅木10Aの上端面13の平坦部13aの全体と、上段幅木10Bの下端面14の内底面14aの全体とが当接整合し、かつ下段幅木10Aの上端面13の面取傾斜面13bの一部と、上段幅木10Bの下端面14の傾斜面14bの全体とが当接整合する。つまり、重合部3は、平坦当接部3aと、傾斜当接部3bとよりなる。
【0052】
このような重合により、下段幅木10Aの上端面13は、上段幅木10Bの下端に形成された積み上げ用凹部15によってほぼ覆われた状態となる。その結果、平坦当接部3aは、上段幅木10Bの下端に設けた脚部16によって完全に隠され、表面には露出されず、また面取傾斜面13bの一部は、脚部16の内側傾斜面14bによって覆い隠される。
【0053】
下段幅木10Aの面取傾斜面13bの、上段幅木10Bの脚部16の傾斜面14bと当接していない面は、表面に露出され、その露出面と上段幅木10Bの脚部16の底面14cとよりできた三角柱Tの空間は、積み上げ式幅木2を一体として正面より見た場合、長手方向に沿って連続する一定幅の重合溝4を形成する。
【0054】
この重合溝4は、0.5〜3mm程度の幅とすることが望ましく、積み上げ式幅木1の施工後には、この重合溝4がアクセントラインとなる。すなわち、アクセントラインとなりえる程度の幅の重合溝が生成されるような高さを有した脚部16を、連設用幅木10の下端に形成すれば、積み上げ施工した際に意匠性の高い積み上げ式幅木2を生成することができる。
【0055】
また、下段幅木10Aの面取傾斜面13bの全面を覆い隠してもよいが、製造誤差により、そのラインは、微小幅の溝を形成したり、歪んだりして美観を損なわせるおそれもあるため、脚部16は下段幅木10Aの面取傾斜面13bの一部を露出させるような高さに形成することが望ましい。
【0056】
図2(b)に示すように、下段の連設用幅木10Aは、床面Fに対して脚部16の底面14cのみが当接しているが、壁取付面12が壁面Wに固着しているため、強度、安定性、美観にはなんら支障がない。また、下端面14と床面Fとの間には、積み上げ用凹所15による空間Sが形成されているが、前面を脚部16によって閉塞された空間であるため、ゴミや埃などが入り込むことはほとんどない。
【0057】
以上の積み上げ式幅木2の構成によれば、複数の連設用幅木10を、ほぞ構造によらず、積み上げるだけの構成であるため、施工性がよく、簡易に車椅子対応の壁面保護型の幅木を形成することができる。また、第1の本発明の積み上げ式幅木の効果と同様の効果が期待できる。
【0058】
また、第2の本発明では、連設用幅木10を、第1の本発明の積み上げ式幅木1(図1参照)における基礎幅木20に代えて、基礎となる幅木として使用しているが、下端面14に形成した脚部16が平坦な底面14cを有し、かつ壁面Wに固着されているため、安定性はなんら問題がなく、脚部16で床面を傷つけることもなく、脚部16が破損するおそれもない。
【0059】
さらに、積み上げ式幅木2が1種類の連設用幅木10のみによって構成され、他の幅木部材を使用しないため、生産管理、在庫管理がきわめて容易となる。
【0060】
図3(a)は入隅に適用した施工例を示す斜視図、(b)は出隅に適用した施工例を示す斜視図である。なお、幅木の表面に形成されている凹溝については、図示を省略している。
【0061】
入隅に適用した例は、左右ともに2段の積み上げ式幅木を施工したものを示しており、左側の積み上げ式幅木1は、基礎幅木20に連設用幅木10を積み上げて構成され、右側の積み上げ式幅木2は、連設用幅木10に他の連設用幅木を積み上げて構成されている。
【0062】
このように、積み上げ式幅木1、2は、入隅にも適用でき、床面Fと壁面Wとの見切り部分に添設される基礎の幅木として、基礎幅木20、連設用幅木10のいずれを使用しても、外観上、なんら変わらず、在庫に応じて適宜選択すればよい。
【0063】
また、出隅に適用した図3(a)の例は、連設用幅木10を基礎幅木20に対して、図中の白抜き矢印の方向に、出隅部材40に沿わせながら積み上げる施工過程を示している。このように、積み上げ式幅木1、2は、出隅にも適用でき、従来使用されている幅木と同様に、壁面Wに添設することができる。
【0064】
また、このような積み上げ式幅木は、基礎となる幅木に積み上げる連設用幅木を、基礎となる幅木と異なる幅サイズにすることもできる。そうすることによって、新規なデザインの部屋を演出することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】(a)は第1の本発明の積み上げ式幅木の実施例の説明図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
【図2】(a)は第2の本発明の積み上げ式幅木の実施例の説明図、(b)は(a)のB部分の拡大図である。
【図3】(a)は入隅に適用した施工例を示す図、(b)は出隅に適用した施工例を示す図である。
【図4】第1、2の本発明の積み上げ式幅木に使用する幅木を説明するための図で、(a)は連設用幅木、(b)は基礎幅木の一例を示した各縦断面図である。
【図5】従来使用されている幅木を積み上げて構成した幅木の一部断面とした斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
1,2 積み上げ式幅木
3 重合部
4 重合溝
10 連設用幅木
11 露出面
12 壁取付面
13 上端面
13a 平坦部
13b 面取傾斜面
14 下端面
14a 内底面
14b 傾斜面
14c 脚部底面
15 積み上げ用凹所
16 脚部
20 基礎幅木
21 露出面
22 壁取付面
23 上端面
23a 平坦部
23b 面取傾斜面
24 下端面
30 化粧シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出面と壁取付面とを有し、床面と壁面との見切り部分に添設される基礎幅木と、露出面と壁取付面とを有し、該基礎幅木の上方に順次、積み上げられて壁面に添設される少なくとも1以上の連設用幅木とを組み合わせて構成される積み上げ式の幅木であって、
上記基礎幅木と上記連設用幅木は、上記露出面側に面取傾斜面を形成した平坦部を有した上端面を備えるとともに、
上記連設用幅木の下端面は、上記基礎幅木または上記連設用幅木の上端面に形成された平坦部の全体と、上記面取傾斜面の一部とを覆い隠す、積み上げ用凹所を備えていることを特徴とする積み上げ式幅木。
【請求項2】
露出面と壁取付面とをそれぞれに有した複数の連設用幅木を順次、積み上げて、床面と壁面との見切り部分を含む壁面に添設される積み上げ式の幅木であって、
上記連設用幅木は、上記露出面側に面取傾斜面を形成した平坦部を有した上端面を備えるとともに、下端面には、その直下にある連設用幅木の上端面に形成された平坦部の全体と、上記面取傾斜面の一部とを覆い隠す、積み上げ用凹所を備えていることを特徴とする積み上げ式幅木。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記積み上げ用凹所は、直下に設置される上記基礎幅木、上記連設用幅木のいずれかの上端面に形成された平坦部に当接整合する内底面と、平坦な底面を有し、上記面取傾斜面に当接整合する傾斜面を有して該内底面よりも下方に突出させた脚部とを備えた構造となっている積み上げ式幅木。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記上端面を含めて露出面は、化粧シートを貼付けた化粧面が形成されている積み上げ式幅木。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−291547(P2008−291547A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139158(P2007−139158)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】