積層コンデンサ
【課題】 高静電容量と低ESLの両方を満足できる積層コンデンサを提供する。
【解決手段】 誘電体チップ101を、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層112及び第2内部導体層113と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層114及び第4内部導体層115とを、誘電体層111を介して交互に積層して一体化した構造とし、引出し部112a,115aを通じて第1外部電極102から第1内部導体層112と第4内部導体層115に一方の極性を付与でき、引出し部113a,114aを通じて第2外部電極103から第2内部導体層113と第4内部導体層114に他方の極性を付与できる構成とする。
【解決手段】 誘電体チップ101を、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層112及び第2内部導体層113と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層114及び第4内部導体層115とを、誘電体層111を介して交互に積層して一体化した構造とし、引出し部112a,115aを通じて第1外部電極102から第1内部導体層112と第4内部導体層115に一方の極性を付与でき、引出し部113a,114aを通じて第2外部電極103から第2内部導体層113と第4内部導体層114に他方の極性を付与できる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デカップリングの用途に適した積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
デカップリングに用いられる積層コンデンサには高静電容量と低ESL(等価直列インダクタンス)が求められており、特許文献1及び2にはこの種の積層コンデンサが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている積層コンデンサは、直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ設けられ交互に異なる極性が付与される計8個の外部電極とを備える。誘電体チップは、幅方向両側縁にそれぞれ2個ずつ設けられた計4個の外部電極用引出し部を有する第1内部導体層と、幅方向両側縁にそれぞれ2個ずつ設けられた計4個の外部電極用引出し部を第1内部導体層の引出し部とは異なる位置に有する第2内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有している。各第1内部導体層の4個の引出し部は一方の極性が付与される4個の外部電極に接続され、各第2内部導体層の4個の引出し部は他方の極性が付与される残り4個の外部電極に接続されている。一方、特許文献2に開示されている積層コンデンサは、特許文献1に開示されている積層コンデンサの各第1内部導体層を幅方向に2分割すると共に各第2内部導体層を幅方向に2分割したような構造を備える。
【特許文献1】特表2002−508114号公報
【特許文献2】特開2002−151349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている積層コンデンサでは、誘電体層を介して隣り合う異極性の引出し部に流れる電流の向きが逆になるようにして各々の引出し部に流れる電流により生じる磁界を相殺してESL低減を図ることができる。また、誘電体層を介して積層された第1内部電極層と第2内部電極層によってデカップリングの用途に適した充分な静電容量を得ることができる。
【0005】
一方、特許文献2に開示されている積層コンデンサでは、2分割された第1内部導体層に流れる電流の向きと2分割された第2内部導体層に流れる電流の向きがそれぞれ逆になるようにして各々の内部導体層に流れる電流により生じる磁界を相殺できるので、特許文献1に開示されている積層コンデンサに比べてさらなるESL低減を図ることができる。
【0006】
しかし、特許文献2に開示されている積層コンデンサは特許文献1に開示されている積層コンデンサの各第1内部導体層を幅方向に2分割すると共に各第2内部導体層を幅方向に2分割したような構造を備えているため、誘電体層を介して向き合う内部電極層の対向面積が低下することを原因として特許文献1に開示されている積層コンデンサに比べて静電容量が低下してしまう。換言すれば、特許文献2に開示されている積層コンデンサは、低ESLに関しては特許文献1に開示されている積層コンデンサよりも優れているが、高静電容量に関しては特許文献1に開示されている積層コンデンサよりも劣っている。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、高静電容量と低ESLの両方を満足できる積層コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの側面に設けられ交互に異なる極性が付与される8個以上の外部電極とを備えた積層コンデンサであって、誘電体チップは、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層及び第2内部導体層と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層及び第4内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有し、第1内部導体層と第3内部導体層とは誘電体層を介して向き合っていて、第2内部導体層と第4内部導体層とは誘電体層を介して向き合っており、第1内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、第2内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、第3内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続され、第4内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続されている、ことをその特徴とする。
【0009】
この積層コンデンサによれば、8個以上の外部電極に交互に異なる極性を付与した状態で、(1)第1内部導体層の引出し部と該第1内部導体層と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層と第2内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(2)第3内部導体層の引出し部と該第3内部電極層と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第3内部導体層と第4内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(3)第1内部導体層の引出し部と該第1内部導体層と誘電体層を介して向き合う異極性の第3内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層と第3内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(4)第2内部導体層の引出し部と該第2内部導体層と誘電体層を介して向き合う異極性の第4内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第2内部導体層と第4内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサのESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0010】
また、第1内部導体層と該第1内部導体層と誘電体層を介して向き合う第3内部導体層によって所定の静電容量を形成でき、第2内部導体層と該第2内部導体層と誘電体層を介して向き合う第4内部導体層によって所定の静電容量を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層と第2内部導体層との間に所定の静電容量を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層と第4内部導体層の間に所定の静電容量を形成でき、これにより一方の極性の外部電極と他方の極性の外部電極を通じて得られる積層コンデンサの静電容量を並列接続された4つの静電容量の合成値とすることができるので、第1内部導体層と第2内部導体層の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層と第4内部導体層の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を後者の2つの静電容量により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサに確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高静電容量と低ESLの両方を満足できる積層コンデンサを提供することができる。
【0012】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1〜図5は本発明(積層コンデンサ)の第1実施形態を示す。
【0014】
図1に示した積層コンデンサ100は、所定の長さL,幅W及び高さTを有する直方体形状の誘電体チップ101と、誘電体チップ101の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極102,103とを備える。計8個の外部電極102,103は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極102を第1外部電極102と称し、他方の極性が付与される外部電極103を第2外部電極103と称する。
【0015】
誘電体チップ101は、図2に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層112及び第2内部導体層113と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層114及び第4内部導体層115とを、誘電体層111を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層112及び第2内部導体層113は誘電体チップ101の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層114及び第4内部導体層115は第1内部導体層112及び第2内部導体層113とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0016】
また、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部を除く形状は基本的に同じであり、第1内部導体層112と第2内部導体層113の間のクリアランスと第3内部導体層114と第4内部導体層115の間のクリアランスは高さ方向で合致するため、第1内部導体層112と第3内部導体層114とは誘電体層111を介して高さ方向で向き合っていて、第2内部導体層113と第4内部導体層115とは誘電体層111を介して高さ方向で向き合っている。後述の静電容量C13と静電容量C14を積極的に得るには、第1内部導体層112と第2内部導体層113の間のクリアランスと第3内部導体層114と第4内部導体層115の間のクリアランスを極力狭くすることが好ましい。
【0017】
因みに、第1内部導体層112及び第2内部導体層113の数と、第3内部導体層114及び第4内部導体層115の数は必ずしも同じである必要はなく、一方の数が他方の数よりも1つ多くても構わない。
【0018】
また、誘電体チップ101の高さ方向両側には誘電体層111のみが積層された部分(マージン部分)が存し、少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている。
【0019】
各第1内部導体層112は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の最も左に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部112aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の左から2番目に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部112aを有する。つまり、各第1内部導体層112には2個の引出し部112aを通じて第1外部電極102と同じ極性が付与される。
【0020】
各第2内部導体層113は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の最も右に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部113aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の右から2番目に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部113aを有する。つまり、各第2内部導体層113には2個の引出し部113aを通じて第2外部電極103と同じ極性が付与される。
【0021】
各第3内部導体層114は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の左から2番目に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部114aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の最も左に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部114aを有する。つまり、各第3内部導体層114には2個の引出し部114aを通じて第2外部電極103と同じ極性が付与される。
【0022】
各第4内部導体層115は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の右から2番目に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部115aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の最も右に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部115aを有する。つまり、各第4内部導体層115には2個の引出し部115aを通じて第1外部電極102と同じ極性が付与される。
【0023】
図3に示した等価回路から分かるように、図1に示した積層コンデンサ100にあっては、第1内部導体層112と該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う第3内部導体層114によって所定の静電容量C11が形成され、第2内部導体層113と該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う第4内部導体層115によって所定の静電容量C12が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層112と第2内部導体層113との間に所定の静電容量C13が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層114と第4内部導体層115の間に所定の静電容量C14が形成される。依って、4個の第1外部電極102と4個の第2外部電極103を通じて得られる積層コンデンサ100の静電容量は、並列接続された静電容量C11と静電容量C12と静電容量C13と静電容量C14の合成値となる。
【0024】
図1に示した積層コンデンサ100は、4個の第1外部電極102に一方の極性を付与し4個の第2外部電極103に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0025】
例えば、図4に示すように4個の第1外部電極102をプラスとし4個の第2外部電極103をマイナス(グランド)としたときには、図5(A)に矢印で示すように第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層113の引出し部113aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層112と第2内部導体層113にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図5(B)に矢印で示すように第3内部導体層114の引出し部114aと該第3内部電極層114と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層115の引出し部115aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層114と第4内部電極層115にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0026】
さらに、図5(A)及び図5(B)に矢印で示すように第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う異極性の第3内部導体層114の引出し部114aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層112と第3内部導体層114にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図5(A)及び図5(B)に矢印で示すように第2内部導体層113の引出し部113aと該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う異極性の第4内部導体層115の引出し部115aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層113と第4内部導体層115にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0027】
尚、4個の第1外部電極102をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極103をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0028】
つまり、4個の第1外部電極102に一方の極性を付与し4個の第2外部電極103に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、
(1)第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層113の引出し部113aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層112と第2内部導体層113のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(2)第3内部導体層114の引出し部114aと該第3内部電極層114と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層115の引出し部115aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第3内部導体層114と第4内部導体層115のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(3)第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う異極性の第3内部導体層114の引出し部114aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層112と第3内部導体層114のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(4)第2内部導体層113の引出し部113aと該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う異極性の第4内部導体層115の引出し部115aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第2内部導体層113と第4内部導体層115のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
によって積層コンデンサ100のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0029】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層112及び第2内部導体層113を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層114及び第4内部導体層115を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0030】
また、第1内部導体層112と該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う第3内部導体層114によって所定の静電容量C11を形成でき、第2内部導体層113と該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う第4内部導体層115によって所定の静電容量C12を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層112と第2内部導体層113との間に所定の静電容量C13を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層114と第4内部導体層115の間に所定の静電容量C14を形成でき、これにより4個の第1外部電極102と4個の第2外部電極103を通じて得られる積層コンデンサ100の静電容量を並列接続された4つの静電容量C11と静電容量C12と静電容量C13と静電容量C14の合成値とすることができるので、第1内部導体層112と第2内部導体層113の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層114と第4内部導体層115の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C13及び静電容量C14により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ100に確保することができる。
【0031】
さらに、誘電体チップ101の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0032】
ここで、前述の積層コンデンサ100の構成を1608タイプ(図1に示す長さLの基準が1.60mmで幅Wの基準が0.80mm)と2125タイプ(図1に示す長さLの基準が2.00mmで幅Wの基準が1.25mm)に適用した場合におけるESLと静電容量の具体的数値について述べる。
【0033】
1608タイプで、誘電体層111の誘電率εを3000〜4000とし、誘電体層111の厚さを2.0〜2.5μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の厚さを0.8〜1.2μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の積層数を100〜150とし、高さ方向両側のマージン部分の厚さを30〜70μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの幅Wo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの長さLo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1内部電極層112と第2内部電極層113とのクリアランスWcと第3内部電極層114と第4内部電極層115とのクリアランスWc(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、長さ方向両側のマージン部分の幅Ws(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとした場合には、ESLを40〜60pHに抑えることができ且つ1.0〜2.2μFの静電容量を確保することができる。
【0034】
2125タイプで、誘電体層111の誘電率εを3000〜4000とし、誘電体層111の厚さを3.0〜4.0μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の厚さを0.8〜1.2μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の積層数を100〜200とし、高さ方向両側のマージン部分の厚さを30〜70μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの幅Wo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの長さLo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1内部電極層112と第2内部電極層113とのクリアランスWcと第3内部電極層114と第4内部電極層115とのクリアランスWc(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、長さ方向両側のマージン部分の幅Ws(図6(A)及び図6(B)参照)を0.15〜0.20mmとした場合には、ESLを80〜120pHに抑えることができ且つ2.2〜4.7μFの静電容量を確保することができる。
【0035】
また、第1〜第4内部電極層112〜115それぞれの引出し部112a〜115aの幅Woをその長さLo以上とすれば、第1〜第4内部電極層112〜115に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ100の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ100のESLをより一層低減することができる。
【0036】
[第2実施形態]
図7〜図11は本発明(積層コンデンサ)の第2実施形態を示す。
【0037】
図7に示した積層コンデンサ200は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ201と、誘電体チップ201の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極202,203とを備える。計8個の外部電極202,203は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極202を第1外部電極202と称し、他方の極性が付与される外部電極203を第2外部電極203と称する。
【0038】
誘電体チップ201は、図8に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層212及び第2内部導体層213と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層214及び第4内部導体層215とを、誘電体層211を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層212及び第2内部導体層213は誘電体チップ101の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層214及び第4内部導体層215は第1内部導体層212及び第2内部導体層213とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0039】
第2実施形態における第1〜第4内部導体層212〜215は、第1実施形態の第1〜第4内部導体層112〜115に長さ方向に沿う所定長の帯状スリット212b〜215bをそれぞれ2個ずつ平行に設けて構成されている。
【0040】
詳しくは、各内部導体層212〜215に設けられた2個のスリット212b〜215bの一方は一方の引出し部212a〜215b側に開口が位置するように形成され、2個のスリット212b〜215bの他方は他方の引出し部212a〜215b側に開口が位置するように形成されている。また、第1内部導体層212に設けた2個のスリット212bと第2内部導体層213に設けた2個のスリット213bの位置及び向きは両者間のクリアランスの中心線を基準として線対称となっていて、第3内部導体層214に設けた2個のスリット214bと第4内部導体層215に設けた2個のスリット215bの位置及び向きは両者間のクリアランスの中心線を基準として線対称となっている。
【0041】
尚、誘電体チップ201,第1〜第4内部導体層212〜215及び外部電極用引出し部212a〜215aに係る他の構成は第1実施形態のものと同じであるためここでの説明を省略する。
【0042】
図9に示した等価回路から分かるように、図7に示した積層コンデンサ200にあっては、第1内部導体層212と該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う第3内部導体層214によって所定の静電容量C21が形成され、第2内部導体層213と該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う第4内部導体層215によって所定の静電容量C22が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層212と第2内部導体層213との間に所定の静電容量C23が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層214と第4内部導体層215の間に所定の静電容量C24が形成される。依って、4個の第1外部電極202と4個の第2外部電極203を通じて得られる積層コンデンサ200の静電容量は、並列接続された4つの静電容量C21と静電容量C22と静電容量C23と静電容量C24の合成値となる。
【0043】
図7に示した積層コンデンサ200は、4個の第1外部電極202に一方の極性を付与し4個の第2外部電極203に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0044】
例えば、図10に示すように4個の第1外部電極202をプラスとし4個の第2外部電極203をマイナス(グランド)としたときには、図11(A)に矢印で示すように第1内部導体層212の引出し部212aと該第1内部導体層212と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層213の引出し部213aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第2内部導体層213にも各々のスリット212b,213bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図11(B)に矢印で示すように第3内部導体層214の引出し部214aと該第3内部電極層214と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層215の引出し部215aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層214と第4内部電極層215にも各々のスリット214b,215bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0045】
さらに、図11(A)及び図11(B)に矢印で示すように第1内部導体層212の引出し部212aと該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う異極性の第3内部導体層214の引出し部214aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第3内部導体層214にも各々のスリット212b,214bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図11(A)及び図11(B)に矢印で示すように第2内部導体層213の引出し部213aと該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う異極性の第4内部導体層215の引出し部215aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層213と第4内部導体層215にも各々のスリット213b,215bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0046】
尚、4個の第1外部電極202をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極203をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0047】
つまり、4個の第1外部電極202に一方の極性を付与し4個の第2外部電極203に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ200のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0048】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層212及び第2内部導体層213を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層214及び第4内部導体層215を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0049】
また、第1内部導体層212と該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う第3内部導体層214によって所定の静電容量C21を形成でき、第2内部導体層213と該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う第4内部導体層215によって所定の静電容量C22を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層212と第2内部導体層213との間に所定の静電容量C23を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層214と第4内部導体層215の間に所定の静電容量C24を形成でき、これにより4個の第1外部電極202と4個の第2外部電極203を通じて得られる積層コンデンサ200の静電容量を並列接続された4つの静電容量C21と静電容量C22と静電容量C23と静電容量C24の合成値とすることができるので、第1内部導体層212と第2内部導体層213の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層214と第4内部導体層215の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C23及び静電容量C24により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ200に確保することができる。
【0050】
さらに、誘電体チップ201の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0051】
さらに、第1〜第4内部電極層212〜215それぞれの引出し部212a〜215aの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層212〜215に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ200の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ200のESLをより一層低減することができる。
【0052】
[第3実施形態]
図12〜図16は本発明(積層コンデンサ)の第3実施形態を示す。
【0053】
図11に示した積層コンデンサ300は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ301と、誘電体チップ301の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極302,303と、誘電体チップ302の長さ方向両側面にそれぞれ1個ずつ設けられた計2個の外部電極304,305とを備える。計8個の外部電極302,303は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極302を第1外部電極302と称し、他方の極性が付与される外部電極303を第2外部電極303と称する。計2個の外部電極304,305は異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極304を第3外部電極304と称し、他方の極性が付与される外部電極305を第4外部電極305と称する。
【0054】
誘電体チップ301は、図13に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層312及び第2内部導体層313と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層314及び第4内部導体層315とを、誘電体層311を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層312及び第2内部導体層313は誘電体チップ301の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層314及び第4内部導体層315は第1内部導体層312及び第2内部導体層313とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0055】
第3実施形態における第1,第2内部導体層312,313は、第1実施形態の第1,第2内部導体層112,113に3個目の外部電極用引出し部312b,313bをそれぞれ設けて構成されている。
【0056】
詳しくは、第1内部導体層312の長さ方向一側縁(図13の左側)の中央には、誘電体チップ301の長さ方向一側面(図12の左側)の第3外部電極304に対応し且つ該第3外部電極304に接続された外部電極用引出し部312bが設けられている。第2内部導体層313の長さ方向他側縁(図13の右側)の中央には、誘電体チップ301の長さ方向他側面(図12の右側)の第4外部電極305に対応し且つ該第4外部電極305に接続された外部電極用引出し部313bが設けられている。
【0057】
尚、誘電体チップ301,第1〜第4内部導体層312〜315及び外部電極用引出し部312a〜315aに係る他の構成は第1実施形態のものと同じであるためここでの説明を省略する。
【0058】
図14に示した等価回路から分かるように、図12に示した積層コンデンサ300にあっては、第1内部導体層312と該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う第3内部導体層314によって所定の静電容量C31が形成され、第2内部導体層313と該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う第4内部導体層315によって所定の静電容量C32が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層312と第2内部導体層313との間に所定の静電容量C33が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層314と第4内部導体層315の間に所定の静電容量C34が形成される。依って、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304と4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305を通じて得られる積層コンデンサ300の静電容量は、並列接続された静電容量C31と静電容量C32と静電容量C33と静電容量C34の合成値となる。
【0059】
図12に示した積層コンデンサ300は、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304に一方の極性を付与し4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0060】
例えば、図15に示すように4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304をプラスとし4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305をマイナス(グランド)としたときには、図16(A)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312aと該第1内部導体層312と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層313の引出し部313aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第2内部導体層213にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図16(B)に矢印で示すように第3内部導体層314の引出し部314aと該第3内部電極層314と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層315の引出し部315aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層314と第4内部電極層315にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0061】
さらに、図16(A)及び図16(B)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312aと該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う異極性の第3内部導体層314の引出し部314aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層312と第3内部導体層314にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図16(A)及び図16(B)に矢印で示すように第2内部導体層313の引出し部313aと該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う異極性の第4内部導体層315の引出し部315aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層313と第4内部導体層315にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0062】
さらに、図16(A)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312bには引出し部312aと直交する方向に電流が流れ、また、第2内部導体層313の引出し部313bには引出し部313aと直交する方向に電流が流れる。
【0063】
尚、4個の第1外部電極302及び及び1個の第3外部電極304をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0064】
つまり、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304に一方の極性を付与し4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ300のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0065】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層312及び第2内部導体層313を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層314及び第4内部導体層315を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0066】
また、第1内部導体層312の引出し部312a,312bの数を増やし且つ第2内部導体213の引出し部313a,313bの数を増やして第1内部導体層212と第2内部導体層213に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ300の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ300のESLをより一層低減することができる。
【0067】
さらに、第1内部導体層312と該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う第3内部導体層314によって所定の静電容量C31を形成でき、第2内部導体層313と該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う第4内部導体層315によって所定の静電容量C32を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層312と第2内部導体層313との間に所定の静電容量C33を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層314と第4内部導体層315の間に所定の静電容量C34を形成でき、これにより4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304と4個の第2外部電極103及び1個の第4外部電極305を通じて得られる積層コンデンサ300の静電容量を並列接続された4つの静電容量C31と静電容量C32と静電容量C33と静電容量C34の合成値とすることができるので、第1内部導体層312と第2内部導体層313の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層314と第4内部導体層315の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C33及び静電容量C34により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ300に確保することができる。
【0068】
さらに、誘電体チップ301の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0069】
さらに、第1〜第4内部電極層312〜315それぞれの引出し部312a〜315a,312b,313bの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層312〜315に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ300の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ300のESLをより一層低減することができる。
【0070】
[第4実施形態]
図17〜図21は本発明(積層コンデンサ)の第4実施形態を示す。
【0071】
図17に示した積層コンデンサ400は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ401と、誘電体チップ401の幅方向両側面にそれぞれ5個ずつ等間隔で設けられた計10個の外部電極402,403とを備える。計10個の外部電極402,403は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極402を第1外部電極402と称し、他方の極性が付与される外部電極403を第2外部電極403と称する。
【0072】
誘電体チップ401は、図18に示すように、同一平面に位置し屈曲した帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層412及び第2内部導体層413と、同一平面に位置し屈曲した帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層414及び第4内部導体層415とを、誘電体層411を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層412及び第2内部導体層413は誘電体チップ401の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層414及び第4内部導体層415は第1内部導体層412及び第2内部導体層413とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0073】
また、第1〜第4内部電極層412〜415の引出し部を除く形状は向きは異なるものの基本的には同じであり、第1内部導体層412と第2内部導体層413の間のクリアランスと第3内部導体層414と第4内部導体層415の間のクリアランスは高さ方向で部分的に合致するため、第1内部導体層412と第3内部導体層414とは誘電体層411を介してその殆どの部分が高さ方向で向き合っていて、第2内部導体層413と第4内部導体層415とは誘電体層411を介してその殆どの部分が高さ方向で向き合っている。後述の静電容量C43と静電容量C44を積極的に得るには、第1内部導体層412と第2内部導体層413の間のクリアランスと第3内部導体層414と第4内部導体層415の間のクリアランスを極力狭くすることが好ましい。
【0074】
因みに、第1内部導体層412及び第2内部導体層413の数と、第3内部導体層414及び第4内部導体層415の数は必ずしも同じである必要はなく、一方の数が他方の数よりも1つ多くても構わない。
【0075】
また、誘電体チップ401の高さ方向両側には誘電体層411のみが積層された部分(マージン部分)が存し、少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている。
【0076】
各第1内部導体層412は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の最も左に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から3番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から2番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有する。つまり、各第1内部導体層412には3個の引出し部412aを通じて第1外部電極402と同じ極性が付与される。
【0077】
各第2内部導体層413は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の右から2番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有し、また、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から3番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も右に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有する。つまり、各第2内部導体層413には3個の引出し部413aを通じて第2外部電極403と同じ極性が付与される。
【0078】
各第3内部導体層414は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から2番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有し、また、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も左に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から3番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有する。つまり、各第3内部導体層414には3個の引出し部414aを通じて第2外部電極403と同じ極性が付与される。
【0079】
各第4内部導体層415は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から3番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有し、また、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の最も右に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も右に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有する。つまり、各第4内部導体層415には3個の引出し部415aを通じて第1外部電極402と同じ極性が付与される。
【0080】
図19に示した等価回路から分かるように、図17に示した積層コンデンサ400にあっては、第1内部導体層412と該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う第3内部導体層414によって所定の静電容量C41が形成され、第2内部導体層413と該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う第4内部導体層415によって所定の静電容量C42が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層412と第2内部導体層413との間に所定の静電容量C43が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層414と第4内部導体層415の間に所定の静電容量C44が形成される。依って、5個の第1外部電極402と5個の第2外部電極403を通じて得られる積層コンデンサ400の静電容量は、並列接続された静電容量C41と静電容量C42と静電容量C43と静電容量C44の合成値となる。
【0081】
図17に示した積層コンデンサ400は、5個の第1外部電極402に一方の極性を付与し5個の第2外部電極403に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0082】
例えば、図20に示すように5個の第1外部電極402をプラスとし5個の第2外部電極403をマイナス(グランド)としたときには、図21(A)に矢印で示すように第1内部導体層412の引出し部412aと該第1内部導体層412と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層413の引出し部413aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層412と第2内部導体層413にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図21(B)に矢印で示すように第3内部導体層414の引出し部414aと該第3内部電極層414と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層415の引出し部415aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層414と第4内部電極層415にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0083】
さらに、図21(A)及び図21(B)に矢印で示すように第1内部導体層412の引出し部412aと該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う異極性の第3内部導体層414の引出し部414aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層412と第3内部導体層414にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図21(A)及び図21(B)に矢印で示すように第2内部導体層413の引出し部413aと該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う異極性の第4内部導体層415の引出し部415aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層413と第4内部導体層415にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0084】
尚、5個の第1外部電極402をマイナス(グランド)とし5個の第2外部電極403をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0085】
つまり、5個の第1外部電極402に一方の極性を付与し5個の第2外部電極403に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ400のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0086】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層412及び第2内部導体層413を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層414及び第4内部導体層415を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0087】
また、第1〜第4内部導体層412〜415の引出し部412a〜415aの数を増やして第1〜第4内部導体層412〜415に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ400の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ400のESLをより一層低減することができる。
【0088】
さらに、第1内部導体層412と該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う第3内部導体層414によって所定の静電容量C41を形成でき、第2内部導体層413と該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う第4内部導体層415によって所定の静電容量C42を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層412と第2内部導体層413との間に所定の静電容量C43を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層414と第4内部導体層415の間に所定の静電容量C44を形成でき、これにより5個の第1外部電極402と5個の第2外部電極403を通じて得られる積層コンデンサ400の静電容量を並列接続された4つの静電容量C41と静電容量C42と静電容量C43と静電容量C44の合成値とすることができるので、第1内部導体層412と第2内部導体層413の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層414と第4内部導体層415の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C43及び静電容量C44により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ400に確保することができる。
【0089】
さらに、誘電体チップ401の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0090】
さらに、第1〜第4内部電極層412〜415それぞれの引出し部412a〜415aの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層412〜415に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ400の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ400のESLをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図4】図1に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図5】図1に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図6】図1に示した積層コンデンサにおけるESL及び静電容量の具体的数値を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図8】図7に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図9】図7に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図10】図7に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図11】図7に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図13】図12に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図14】図12に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図15】図12に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極と1個の第3外部電極をプラスとし4個の第2外部電極と1個の第4外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図16】図12に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極と1個の第3外部電極をプラスとし4個の第2外部電極と1個の第4外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図17】本発明の第3実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図18】図17に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図19】図17に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図20】図17に示した積層コンデンサの5個の第1外部電極をプラスとし5個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図21】図17に示した積層コンデンサの5個の第1外部電極をプラスとし5個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【符号の説明】
【0092】
100…積層コンデンサ、101…誘電体チップ、102…第1外部電極、103…第2外部電極、111…誘電体層、112…第1内部導体層、112a…引出し部、113…第2内部導体層、113a…引出し部、114…第3内部導体層、114a…引出し部、115…第4内部導体層、115a…引出し部、200…積層コンデンサ、201…誘電体チップ、202…第1外部電極、203…第2外部電極、211…誘電体層、212…第1内部導体層、212a…引出し部、212b…スリット、213…第2内部導体層、213a…引出し部、213b…スリット、214…第3内部導体層、214a…引出し部、214b…スリット、215…第4内部導体層、215a…引出し部、215b…スリット、300…積層コンデンサ、301…誘電体チップ、302…第1外部電極、303…第2外部電極、304…第3外部電極、305…第4外部電極、311…誘電体層、312…第1内部導体層、312a,312b…引出し部、313…第2内部導体層、313a,313b…引出し部、314…第3内部導体層、314a…引出し部、315…第4内部導体層、315a…引出し部、400…積層コンデンサ、401…誘電体チップ、402…第1外部電極、403…第2外部電極、411…誘電体層、412…第1内部導体層、412a…引出し部、413…第2内部導体層、413a…引出し部、414…第3内部導体層、414a…引出し部、415…第4内部導体層、415a…引出し部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デカップリングの用途に適した積層コンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
デカップリングに用いられる積層コンデンサには高静電容量と低ESL(等価直列インダクタンス)が求められており、特許文献1及び2にはこの種の積層コンデンサが開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されている積層コンデンサは、直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ設けられ交互に異なる極性が付与される計8個の外部電極とを備える。誘電体チップは、幅方向両側縁にそれぞれ2個ずつ設けられた計4個の外部電極用引出し部を有する第1内部導体層と、幅方向両側縁にそれぞれ2個ずつ設けられた計4個の外部電極用引出し部を第1内部導体層の引出し部とは異なる位置に有する第2内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有している。各第1内部導体層の4個の引出し部は一方の極性が付与される4個の外部電極に接続され、各第2内部導体層の4個の引出し部は他方の極性が付与される残り4個の外部電極に接続されている。一方、特許文献2に開示されている積層コンデンサは、特許文献1に開示されている積層コンデンサの各第1内部導体層を幅方向に2分割すると共に各第2内部導体層を幅方向に2分割したような構造を備える。
【特許文献1】特表2002−508114号公報
【特許文献2】特開2002−151349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている積層コンデンサでは、誘電体層を介して隣り合う異極性の引出し部に流れる電流の向きが逆になるようにして各々の引出し部に流れる電流により生じる磁界を相殺してESL低減を図ることができる。また、誘電体層を介して積層された第1内部電極層と第2内部電極層によってデカップリングの用途に適した充分な静電容量を得ることができる。
【0005】
一方、特許文献2に開示されている積層コンデンサでは、2分割された第1内部導体層に流れる電流の向きと2分割された第2内部導体層に流れる電流の向きがそれぞれ逆になるようにして各々の内部導体層に流れる電流により生じる磁界を相殺できるので、特許文献1に開示されている積層コンデンサに比べてさらなるESL低減を図ることができる。
【0006】
しかし、特許文献2に開示されている積層コンデンサは特許文献1に開示されている積層コンデンサの各第1内部導体層を幅方向に2分割すると共に各第2内部導体層を幅方向に2分割したような構造を備えているため、誘電体層を介して向き合う内部電極層の対向面積が低下することを原因として特許文献1に開示されている積層コンデンサに比べて静電容量が低下してしまう。換言すれば、特許文献2に開示されている積層コンデンサは、低ESLに関しては特許文献1に開示されている積層コンデンサよりも優れているが、高静電容量に関しては特許文献1に開示されている積層コンデンサよりも劣っている。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みて創作されたもので、その目的とするところは、高静電容量と低ESLの両方を満足できる積層コンデンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの側面に設けられ交互に異なる極性が付与される8個以上の外部電極とを備えた積層コンデンサであって、誘電体チップは、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層及び第2内部導体層と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層及び第4内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有し、第1内部導体層と第3内部導体層とは誘電体層を介して向き合っていて、第2内部導体層と第4内部導体層とは誘電体層を介して向き合っており、第1内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、第2内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、第3内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続され、第4内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続されている、ことをその特徴とする。
【0009】
この積層コンデンサによれば、8個以上の外部電極に交互に異なる極性を付与した状態で、(1)第1内部導体層の引出し部と該第1内部導体層と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層と第2内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(2)第3内部導体層の引出し部と該第3内部電極層と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第3内部導体層と第4内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(3)第1内部導体層の引出し部と該第1内部導体層と誘電体層を介して向き合う異極性の第3内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層と第3内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)、(4)第2内部導体層の引出し部と該第2内部導体層と誘電体層を介して向き合う異極性の第4内部導体層の引出し部のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第2内部導体層と第4内部導体層のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサのESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0010】
また、第1内部導体層と該第1内部導体層と誘電体層を介して向き合う第3内部導体層によって所定の静電容量を形成でき、第2内部導体層と該第2内部導体層と誘電体層を介して向き合う第4内部導体層によって所定の静電容量を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層と第2内部導体層との間に所定の静電容量を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層と第4内部導体層の間に所定の静電容量を形成でき、これにより一方の極性の外部電極と他方の極性の外部電極を通じて得られる積層コンデンサの静電容量を並列接続された4つの静電容量の合成値とすることができるので、第1内部導体層と第2内部導体層の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層と第4内部導体層の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を後者の2つの静電容量により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサに確保することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高静電容量と低ESLの両方を満足できる積層コンデンサを提供することができる。
【0012】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[第1実施形態]
図1〜図5は本発明(積層コンデンサ)の第1実施形態を示す。
【0014】
図1に示した積層コンデンサ100は、所定の長さL,幅W及び高さTを有する直方体形状の誘電体チップ101と、誘電体チップ101の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極102,103とを備える。計8個の外部電極102,103は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極102を第1外部電極102と称し、他方の極性が付与される外部電極103を第2外部電極103と称する。
【0015】
誘電体チップ101は、図2に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層112及び第2内部導体層113と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層114及び第4内部導体層115とを、誘電体層111を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層112及び第2内部導体層113は誘電体チップ101の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層114及び第4内部導体層115は第1内部導体層112及び第2内部導体層113とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0016】
また、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部を除く形状は基本的に同じであり、第1内部導体層112と第2内部導体層113の間のクリアランスと第3内部導体層114と第4内部導体層115の間のクリアランスは高さ方向で合致するため、第1内部導体層112と第3内部導体層114とは誘電体層111を介して高さ方向で向き合っていて、第2内部導体層113と第4内部導体層115とは誘電体層111を介して高さ方向で向き合っている。後述の静電容量C13と静電容量C14を積極的に得るには、第1内部導体層112と第2内部導体層113の間のクリアランスと第3内部導体層114と第4内部導体層115の間のクリアランスを極力狭くすることが好ましい。
【0017】
因みに、第1内部導体層112及び第2内部導体層113の数と、第3内部導体層114及び第4内部導体層115の数は必ずしも同じである必要はなく、一方の数が他方の数よりも1つ多くても構わない。
【0018】
また、誘電体チップ101の高さ方向両側には誘電体層111のみが積層された部分(マージン部分)が存し、少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている。
【0019】
各第1内部導体層112は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の最も左に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部112aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の左から2番目に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部112aを有する。つまり、各第1内部導体層112には2個の引出し部112aを通じて第1外部電極102と同じ極性が付与される。
【0020】
各第2内部導体層113は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の最も右に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部113aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の右から2番目に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部113aを有する。つまり、各第2内部導体層113には2個の引出し部113aを通じて第2外部電極103と同じ極性が付与される。
【0021】
各第3内部導体層114は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の左から2番目に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部114aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の最も左に位置する第2外部電極103に対応し且つ該第2外部電極103に接続された外部電極用引出し部114aを有する。つまり、各第3内部導体層114には2個の引出し部114aを通じて第2外部電極103と同じ極性が付与される。
【0022】
各第4内部導体層115は矩形状を成し、幅方向一側縁(図2の右側)の長さ方向一側(図2の左側)に誘電体チップ101の幅方向一側面(図1の右側)の右から2番目に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部115aを有し、また、幅方向他側縁(図2の左側)の長さ方向他側(図2の右側)に誘電体チップ101の幅方向他側面(図1の左側)の最も右に位置する第1外部電極102に対応し且つ該第1外部電極102に接続された外部電極用引出し部115aを有する。つまり、各第4内部導体層115には2個の引出し部115aを通じて第1外部電極102と同じ極性が付与される。
【0023】
図3に示した等価回路から分かるように、図1に示した積層コンデンサ100にあっては、第1内部導体層112と該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う第3内部導体層114によって所定の静電容量C11が形成され、第2内部導体層113と該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う第4内部導体層115によって所定の静電容量C12が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層112と第2内部導体層113との間に所定の静電容量C13が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層114と第4内部導体層115の間に所定の静電容量C14が形成される。依って、4個の第1外部電極102と4個の第2外部電極103を通じて得られる積層コンデンサ100の静電容量は、並列接続された静電容量C11と静電容量C12と静電容量C13と静電容量C14の合成値となる。
【0024】
図1に示した積層コンデンサ100は、4個の第1外部電極102に一方の極性を付与し4個の第2外部電極103に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0025】
例えば、図4に示すように4個の第1外部電極102をプラスとし4個の第2外部電極103をマイナス(グランド)としたときには、図5(A)に矢印で示すように第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層113の引出し部113aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層112と第2内部導体層113にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図5(B)に矢印で示すように第3内部導体層114の引出し部114aと該第3内部電極層114と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層115の引出し部115aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層114と第4内部電極層115にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0026】
さらに、図5(A)及び図5(B)に矢印で示すように第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う異極性の第3内部導体層114の引出し部114aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層112と第3内部導体層114にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図5(A)及び図5(B)に矢印で示すように第2内部導体層113の引出し部113aと該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う異極性の第4内部導体層115の引出し部115aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層113と第4内部導体層115にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0027】
尚、4個の第1外部電極102をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極103をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0028】
つまり、4個の第1外部電極102に一方の極性を付与し4個の第2外部電極103に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、
(1)第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層113の引出し部113aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層112と第2内部導体層113のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(2)第3内部導体層114の引出し部114aと該第3内部電極層114と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層115の引出し部115aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第3内部導体層114と第4内部導体層115のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(3)第1内部導体層112の引出し部112aと該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う異極性の第3内部導体層114の引出し部114aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第1内部導体層112と第3内部導体層114のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
(4)第2内部導体層113の引出し部113aと該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う異極性の第4内部導体層115の引出し部115aのそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)と、第2内部導体層113と第4内部導体層115のそれぞれに流れる電流の向きが逆になることによる磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)
によって積層コンデンサ100のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0029】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層112及び第2内部導体層113を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層114及び第4内部導体層115を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0030】
また、第1内部導体層112と該第1内部導体層112と誘電体層111を介して向き合う第3内部導体層114によって所定の静電容量C11を形成でき、第2内部導体層113と該第2内部導体層113と誘電体層111を介して向き合う第4内部導体層115によって所定の静電容量C12を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層112と第2内部導体層113との間に所定の静電容量C13を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層114と第4内部導体層115の間に所定の静電容量C14を形成でき、これにより4個の第1外部電極102と4個の第2外部電極103を通じて得られる積層コンデンサ100の静電容量を並列接続された4つの静電容量C11と静電容量C12と静電容量C13と静電容量C14の合成値とすることができるので、第1内部導体層112と第2内部導体層113の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層114と第4内部導体層115の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C13及び静電容量C14により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ100に確保することができる。
【0031】
さらに、誘電体チップ101の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0032】
ここで、前述の積層コンデンサ100の構成を1608タイプ(図1に示す長さLの基準が1.60mmで幅Wの基準が0.80mm)と2125タイプ(図1に示す長さLの基準が2.00mmで幅Wの基準が1.25mm)に適用した場合におけるESLと静電容量の具体的数値について述べる。
【0033】
1608タイプで、誘電体層111の誘電率εを3000〜4000とし、誘電体層111の厚さを2.0〜2.5μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の厚さを0.8〜1.2μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の積層数を100〜150とし、高さ方向両側のマージン部分の厚さを30〜70μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの幅Wo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの長さLo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1内部電極層112と第2内部電極層113とのクリアランスWcと第3内部電極層114と第4内部電極層115とのクリアランスWc(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、長さ方向両側のマージン部分の幅Ws(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとした場合には、ESLを40〜60pHに抑えることができ且つ1.0〜2.2μFの静電容量を確保することができる。
【0034】
2125タイプで、誘電体層111の誘電率εを3000〜4000とし、誘電体層111の厚さを3.0〜4.0μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の厚さを0.8〜1.2μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の積層数を100〜200とし、高さ方向両側のマージン部分の厚さを30〜70μmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの幅Wo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1〜第4内部電極層112〜115の引出し部112a〜115aの長さLo(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、第1内部電極層112と第2内部電極層113とのクリアランスWcと第3内部電極層114と第4内部電極層115とのクリアランスWc(図6(A)及び図6(B)参照)を0.10〜0.15mmとし、長さ方向両側のマージン部分の幅Ws(図6(A)及び図6(B)参照)を0.15〜0.20mmとした場合には、ESLを80〜120pHに抑えることができ且つ2.2〜4.7μFの静電容量を確保することができる。
【0035】
また、第1〜第4内部電極層112〜115それぞれの引出し部112a〜115aの幅Woをその長さLo以上とすれば、第1〜第4内部電極層112〜115に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ100の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ100のESLをより一層低減することができる。
【0036】
[第2実施形態]
図7〜図11は本発明(積層コンデンサ)の第2実施形態を示す。
【0037】
図7に示した積層コンデンサ200は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ201と、誘電体チップ201の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極202,203とを備える。計8個の外部電極202,203は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極202を第1外部電極202と称し、他方の極性が付与される外部電極203を第2外部電極203と称する。
【0038】
誘電体チップ201は、図8に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層212及び第2内部導体層213と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層214及び第4内部導体層215とを、誘電体層211を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層212及び第2内部導体層213は誘電体チップ101の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層214及び第4内部導体層215は第1内部導体層212及び第2内部導体層213とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0039】
第2実施形態における第1〜第4内部導体層212〜215は、第1実施形態の第1〜第4内部導体層112〜115に長さ方向に沿う所定長の帯状スリット212b〜215bをそれぞれ2個ずつ平行に設けて構成されている。
【0040】
詳しくは、各内部導体層212〜215に設けられた2個のスリット212b〜215bの一方は一方の引出し部212a〜215b側に開口が位置するように形成され、2個のスリット212b〜215bの他方は他方の引出し部212a〜215b側に開口が位置するように形成されている。また、第1内部導体層212に設けた2個のスリット212bと第2内部導体層213に設けた2個のスリット213bの位置及び向きは両者間のクリアランスの中心線を基準として線対称となっていて、第3内部導体層214に設けた2個のスリット214bと第4内部導体層215に設けた2個のスリット215bの位置及び向きは両者間のクリアランスの中心線を基準として線対称となっている。
【0041】
尚、誘電体チップ201,第1〜第4内部導体層212〜215及び外部電極用引出し部212a〜215aに係る他の構成は第1実施形態のものと同じであるためここでの説明を省略する。
【0042】
図9に示した等価回路から分かるように、図7に示した積層コンデンサ200にあっては、第1内部導体層212と該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う第3内部導体層214によって所定の静電容量C21が形成され、第2内部導体層213と該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う第4内部導体層215によって所定の静電容量C22が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層212と第2内部導体層213との間に所定の静電容量C23が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層214と第4内部導体層215の間に所定の静電容量C24が形成される。依って、4個の第1外部電極202と4個の第2外部電極203を通じて得られる積層コンデンサ200の静電容量は、並列接続された4つの静電容量C21と静電容量C22と静電容量C23と静電容量C24の合成値となる。
【0043】
図7に示した積層コンデンサ200は、4個の第1外部電極202に一方の極性を付与し4個の第2外部電極203に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0044】
例えば、図10に示すように4個の第1外部電極202をプラスとし4個の第2外部電極203をマイナス(グランド)としたときには、図11(A)に矢印で示すように第1内部導体層212の引出し部212aと該第1内部導体層212と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層213の引出し部213aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第2内部導体層213にも各々のスリット212b,213bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図11(B)に矢印で示すように第3内部導体層214の引出し部214aと該第3内部電極層214と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層215の引出し部215aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層214と第4内部電極層215にも各々のスリット214b,215bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0045】
さらに、図11(A)及び図11(B)に矢印で示すように第1内部導体層212の引出し部212aと該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う異極性の第3内部導体層214の引出し部214aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第3内部導体層214にも各々のスリット212b,214bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図11(A)及び図11(B)に矢印で示すように第2内部導体層213の引出し部213aと該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う異極性の第4内部導体層215の引出し部215aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層213と第4内部導体層215にも各々のスリット213b,215bに沿うようにしてそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0046】
尚、4個の第1外部電極202をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極203をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0047】
つまり、4個の第1外部電極202に一方の極性を付与し4個の第2外部電極203に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ200のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0048】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層212及び第2内部導体層213を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層214及び第4内部導体層215を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0049】
また、第1内部導体層212と該第1内部導体層212と誘電体層211を介して向き合う第3内部導体層214によって所定の静電容量C21を形成でき、第2内部導体層213と該第2内部導体層213と誘電体層211を介して向き合う第4内部導体層215によって所定の静電容量C22を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層212と第2内部導体層213との間に所定の静電容量C23を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層214と第4内部導体層215の間に所定の静電容量C24を形成でき、これにより4個の第1外部電極202と4個の第2外部電極203を通じて得られる積層コンデンサ200の静電容量を並列接続された4つの静電容量C21と静電容量C22と静電容量C23と静電容量C24の合成値とすることができるので、第1内部導体層212と第2内部導体層213の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層214と第4内部導体層215の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C23及び静電容量C24により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ200に確保することができる。
【0050】
さらに、誘電体チップ201の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0051】
さらに、第1〜第4内部電極層212〜215それぞれの引出し部212a〜215aの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層212〜215に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ200の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ200のESLをより一層低減することができる。
【0052】
[第3実施形態]
図12〜図16は本発明(積層コンデンサ)の第3実施形態を示す。
【0053】
図11に示した積層コンデンサ300は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ301と、誘電体チップ301の幅方向両側面にそれぞれ4個ずつ等間隔で設けられた計8個の外部電極302,303と、誘電体チップ302の長さ方向両側面にそれぞれ1個ずつ設けられた計2個の外部電極304,305とを備える。計8個の外部電極302,303は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極302を第1外部電極302と称し、他方の極性が付与される外部電極303を第2外部電極303と称する。計2個の外部電極304,305は異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極304を第3外部電極304と称し、他方の極性が付与される外部電極305を第4外部電極305と称する。
【0054】
誘電体チップ301は、図13に示すように、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層312及び第2内部導体層313と、同一平面に位置し帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層314及び第4内部導体層315とを、誘電体層311を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層312及び第2内部導体層313は誘電体チップ301の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層314及び第4内部導体層315は第1内部導体層312及び第2内部導体層313とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0055】
第3実施形態における第1,第2内部導体層312,313は、第1実施形態の第1,第2内部導体層112,113に3個目の外部電極用引出し部312b,313bをそれぞれ設けて構成されている。
【0056】
詳しくは、第1内部導体層312の長さ方向一側縁(図13の左側)の中央には、誘電体チップ301の長さ方向一側面(図12の左側)の第3外部電極304に対応し且つ該第3外部電極304に接続された外部電極用引出し部312bが設けられている。第2内部導体層313の長さ方向他側縁(図13の右側)の中央には、誘電体チップ301の長さ方向他側面(図12の右側)の第4外部電極305に対応し且つ該第4外部電極305に接続された外部電極用引出し部313bが設けられている。
【0057】
尚、誘電体チップ301,第1〜第4内部導体層312〜315及び外部電極用引出し部312a〜315aに係る他の構成は第1実施形態のものと同じであるためここでの説明を省略する。
【0058】
図14に示した等価回路から分かるように、図12に示した積層コンデンサ300にあっては、第1内部導体層312と該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う第3内部導体層314によって所定の静電容量C31が形成され、第2内部導体層313と該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う第4内部導体層315によって所定の静電容量C32が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層312と第2内部導体層313との間に所定の静電容量C33が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層314と第4内部導体層315の間に所定の静電容量C34が形成される。依って、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304と4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305を通じて得られる積層コンデンサ300の静電容量は、並列接続された静電容量C31と静電容量C32と静電容量C33と静電容量C34の合成値となる。
【0059】
図12に示した積層コンデンサ300は、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304に一方の極性を付与し4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0060】
例えば、図15に示すように4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304をプラスとし4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305をマイナス(グランド)としたときには、図16(A)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312aと該第1内部導体層312と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層313の引出し部313aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層212と第2内部導体層213にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図16(B)に矢印で示すように第3内部導体層314の引出し部314aと該第3内部電極層314と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層315の引出し部315aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層314と第4内部電極層315にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0061】
さらに、図16(A)及び図16(B)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312aと該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う異極性の第3内部導体層314の引出し部314aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層312と第3内部導体層314にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図16(A)及び図16(B)に矢印で示すように第2内部導体層313の引出し部313aと該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う異極性の第4内部導体層315の引出し部315aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層313と第4内部導体層315にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0062】
さらに、図16(A)に矢印で示すように第1内部導体層312の引出し部312bには引出し部312aと直交する方向に電流が流れ、また、第2内部導体層313の引出し部313bには引出し部313aと直交する方向に電流が流れる。
【0063】
尚、4個の第1外部電極302及び及び1個の第3外部電極304をマイナス(グランド)とし4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0064】
つまり、4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304に一方の極性を付与し4個の第2外部電極303及び1個の第4外部電極305に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ300のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0065】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層312及び第2内部導体層313を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層314及び第4内部導体層315を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0066】
また、第1内部導体層312の引出し部312a,312bの数を増やし且つ第2内部導体213の引出し部313a,313bの数を増やして第1内部導体層212と第2内部導体層213に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ300の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ300のESLをより一層低減することができる。
【0067】
さらに、第1内部導体層312と該第1内部導体層312と誘電体層311を介して向き合う第3内部導体層314によって所定の静電容量C31を形成でき、第2内部導体層313と該第2内部導体層313と誘電体層311を介して向き合う第4内部導体層315によって所定の静電容量C32を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層312と第2内部導体層313との間に所定の静電容量C33を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層314と第4内部導体層315の間に所定の静電容量C34を形成でき、これにより4個の第1外部電極302及び1個の第3外部電極304と4個の第2外部電極103及び1個の第4外部電極305を通じて得られる積層コンデンサ300の静電容量を並列接続された4つの静電容量C31と静電容量C32と静電容量C33と静電容量C34の合成値とすることができるので、第1内部導体層312と第2内部導体層313の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層314と第4内部導体層315の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C33及び静電容量C34により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ300に確保することができる。
【0068】
さらに、誘電体チップ301の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0069】
さらに、第1〜第4内部電極層312〜315それぞれの引出し部312a〜315a,312b,313bの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層312〜315に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ300の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ300のESLをより一層低減することができる。
【0070】
[第4実施形態]
図17〜図21は本発明(積層コンデンサ)の第4実施形態を示す。
【0071】
図17に示した積層コンデンサ400は、所定の長さ,幅及び高さを有する直方体形状の誘電体チップ401と、誘電体チップ401の幅方向両側面にそれぞれ5個ずつ等間隔で設けられた計10個の外部電極402,403とを備える。計10個の外部電極402,403は交互に異なる極性が付与されるものであり、ここでは一方の極性が付与される外部電極402を第1外部電極402と称し、他方の極性が付与される外部電極403を第2外部電極403と称する。
【0072】
誘電体チップ401は、図18に示すように、同一平面に位置し屈曲した帯状クリアランスを介して互いが非接触の第1内部導体層412及び第2内部導体層413と、同一平面に位置し屈曲した帯状クリアランスを介して互いが非接触の第3内部導体層414及び第4内部導体層415とを、誘電体層411を介して高さ方向に交互に積層して一体化した構造を有している。つまり、第1内部導体層412及び第2内部導体層413は誘電体チップ401の所定の積層界面に非接触状態で存在し、第3内部導体層414及び第4内部導体層415は第1内部導体層412及び第2内部導体層413とは異なる所定の積層界面に非接触状態で存在する。
【0073】
また、第1〜第4内部電極層412〜415の引出し部を除く形状は向きは異なるものの基本的には同じであり、第1内部導体層412と第2内部導体層413の間のクリアランスと第3内部導体層414と第4内部導体層415の間のクリアランスは高さ方向で部分的に合致するため、第1内部導体層412と第3内部導体層414とは誘電体層411を介してその殆どの部分が高さ方向で向き合っていて、第2内部導体層413と第4内部導体層415とは誘電体層411を介してその殆どの部分が高さ方向で向き合っている。後述の静電容量C43と静電容量C44を積極的に得るには、第1内部導体層412と第2内部導体層413の間のクリアランスと第3内部導体層414と第4内部導体層415の間のクリアランスを極力狭くすることが好ましい。
【0074】
因みに、第1内部導体層412及び第2内部導体層413の数と、第3内部導体層414及び第4内部導体層415の数は必ずしも同じである必要はなく、一方の数が他方の数よりも1つ多くても構わない。
【0075】
また、誘電体チップ401の高さ方向両側には誘電体層411のみが積層された部分(マージン部分)が存し、少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている。
【0076】
各第1内部導体層412は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の最も左に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から3番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から2番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部412aを有する。つまり、各第1内部導体層412には3個の引出し部412aを通じて第1外部電極402と同じ極性が付与される。
【0077】
各第2内部導体層413は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の右から2番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有し、また、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から3番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も右に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部413aを有する。つまり、各第2内部導体層413には3個の引出し部413aを通じて第2外部電極403と同じ極性が付与される。
【0078】
各第3内部導体層414は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から2番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有し、また、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も左に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の左から3番目に位置する第2外部電極403に対応し且つ該第2外部電極403に接続された外部電極用引出し部414aを有する。つまり、各第3内部導体層414には3個の引出し部414aを通じて第2外部電極403と同じ極性が付与される。
【0079】
各第4内部導体層415は一部が張り出した矩形状を成し、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向一側(図18の左側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の左から3番目に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有し、また、幅方向一側縁(図18の右側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向一側面(図17の右側)の最も右に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有し、さらに、幅方向他側縁(図18の左側)の長さ方向他側(図18の右側)に誘電体チップ401の幅方向他側面(図17の左側)の最も右に位置する第1外部電極402に対応し且つ該第1外部電極402に接続された外部電極用引出し部415aを有する。つまり、各第4内部導体層415には3個の引出し部415aを通じて第1外部電極402と同じ極性が付与される。
【0080】
図19に示した等価回路から分かるように、図17に示した積層コンデンサ400にあっては、第1内部導体層412と該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う第3内部導体層414によって所定の静電容量C41が形成され、第2内部導体層413と該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う第4内部導体層415によって所定の静電容量C42が形成される。また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層412と第2内部導体層413との間に所定の静電容量C43が形成され、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層414と第4内部導体層415の間に所定の静電容量C44が形成される。依って、5個の第1外部電極402と5個の第2外部電極403を通じて得られる積層コンデンサ400の静電容量は、並列接続された静電容量C41と静電容量C42と静電容量C43と静電容量C44の合成値となる。
【0081】
図17に示した積層コンデンサ400は、5個の第1外部電極402に一方の極性を付与し5個の第2外部電極403に他方の極性を付与した状態で使用される。
【0082】
例えば、図20に示すように5個の第1外部電極402をプラスとし5個の第2外部電極403をマイナス(グランド)としたときには、図21(A)に矢印で示すように第1内部導体層412の引出し部412aと該第1内部導体層412と同一平面に位置する異極性の第2内部導体層413の引出し部413aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層412と第2内部導体層413にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図21(B)に矢印で示すように第3内部導体層414の引出し部414aと該第3内部電極層414と同一平面に位置する異極性の第4内部電極層415の引出し部415aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第3内部導体層414と第4内部電極層415にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0083】
さらに、図21(A)及び図21(B)に矢印で示すように第1内部導体層412の引出し部412aと該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う異極性の第3内部導体層414の引出し部414aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第1内部導体層412と第3内部導体層414にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。また、図21(A)及び図21(B)に矢印で示すように第2内部導体層413の引出し部413aと該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う異極性の第4内部導体層415の引出し部415aにはそれぞれ逆向きに電流が流れ、この電流の流れに伴って第2内部導体層413と第4内部導体層415にもそれぞれ逆向きに電流が流れる。
【0084】
尚、5個の第1外部電極402をマイナス(グランド)とし5個の第2外部電極403をプラスとしたときには、各内部導体層の引出し部及び各内部導体層に流れる電流の向きは前記とは逆になることは言うまでもない。
【0085】
つまり、5個の第1外部電極402に一方の極性を付与し5個の第2外部電極403に他方の極性を付与した状態では先に述べたような電流の流れが得られるため、第1実施形態で説明した(1)〜(4)と同様の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)によって積層コンデンサ400のESL(等価直列インダクタンス)を効果的に低減することができる。
【0086】
特に前記(1)及び(2)の磁界相殺作用(磁束打ち消し作用)は、極性が異なる第1内部導体層412及び第2内部導体層413を同一平面に位置させ、極性が異なる第3内部導体層414及び第4内部導体層415を同一平面に位置させたことによって確実且つ的確に得ることができる。
【0087】
また、第1〜第4内部導体層412〜415の引出し部412a〜415aの数を増やして第1〜第4内部導体層412〜415に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ400の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ400のESLをより一層低減することができる。
【0088】
さらに、第1内部導体層412と該第1内部導体層412と誘電体層411を介して向き合う第3内部導体層414によって所定の静電容量C41を形成でき、第2内部導体層413と該第2内部導体層413と誘電体層411を介して向き合う第4内部導体層415によって所定の静電容量C42を形成でき、また、同一平面に位置する異極性の第1内部導体層412と第2内部導体層413との間に所定の静電容量C43を形成でき、同一平面に位置する異極性の第3内部導体層414と第4内部導体層415の間に所定の静電容量C44を形成でき、これにより5個の第1外部電極402と5個の第2外部電極403を通じて得られる積層コンデンサ400の静電容量を並列接続された4つの静電容量C41と静電容量C42と静電容量C43と静電容量C44の合成値とすることができるので、第1内部導体層412と第2内部導体層413の極性を同じにして同一平面に位置させ且つ第3内部導体層414と第4内部導体層415の極性を同じにして同一平面に位置させる場合に生じる静電容量の低下を前記の静電容量C43及び静電容量C44により補って、デカップリングの用途に適した充分な静電容量を積層コンデンサ400に確保することができる。
【0089】
さらに、誘電体チップ401の少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さを30〜70μmに設定しているので、各内部導体層の引出し部から外部電極を通じて基板電極に至る経路を極力短くして、該経路によって生じるインダクタンスをも抑制して低ESL化を図ることができる。因みに、マージン部分の厚さを30μmよりも小さくすると同部分の強度が低下してクラック発生等を生じる危険性が増し、また、マージン部分の厚さを70μmよりも大きくすると前記のインダクタンス抑制作用が得難くなる。
【0090】
さらに、第1〜第4内部電極層412〜415それぞれの引出し部412a〜415aの幅をその長さ以上とすれば、第1〜第4内部電極層412〜415に電流が流れ易くすることによって積層コンデンサ400の自己インダクタンスを低減できるので、該自己インダクタンスの低減によって積層コンデンサ400のESLをより一層低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図4】図1に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図5】図1に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図6】図1に示した積層コンデンサにおけるESL及び静電容量の具体的数値を説明するための図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図8】図7に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図9】図7に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図10】図7に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図11】図7に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極をプラスとし4個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図12】本発明の第3実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図13】図12に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図14】図12に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図15】図12に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極と1個の第3外部電極をプラスとし4個の第2外部電極と1個の第4外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図16】図12に示した積層コンデンサの4個の第1外部電極と1個の第3外部電極をプラスとし4個の第2外部電極と1個の第4外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【図17】本発明の第3実施形態を示す積層コンデンサの斜視図である。
【図18】図17に示した積層コンデンサの層構成を示す斜視図である。
【図19】図17に示した積層コンデンサの等価回路を表す図である。
【図20】図17に示した積層コンデンサの5個の第1外部電極をプラスとし5個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの極性を表す図である。
【図21】図17に示した積層コンデンサの5個の第1外部電極をプラスとし5個の第2外部電極をマイナス(グランド)としたときの第1〜第4内部導体層の電流の流れ方向を表す図である。
【符号の説明】
【0092】
100…積層コンデンサ、101…誘電体チップ、102…第1外部電極、103…第2外部電極、111…誘電体層、112…第1内部導体層、112a…引出し部、113…第2内部導体層、113a…引出し部、114…第3内部導体層、114a…引出し部、115…第4内部導体層、115a…引出し部、200…積層コンデンサ、201…誘電体チップ、202…第1外部電極、203…第2外部電極、211…誘電体層、212…第1内部導体層、212a…引出し部、212b…スリット、213…第2内部導体層、213a…引出し部、213b…スリット、214…第3内部導体層、214a…引出し部、214b…スリット、215…第4内部導体層、215a…引出し部、215b…スリット、300…積層コンデンサ、301…誘電体チップ、302…第1外部電極、303…第2外部電極、304…第3外部電極、305…第4外部電極、311…誘電体層、312…第1内部導体層、312a,312b…引出し部、313…第2内部導体層、313a,313b…引出し部、314…第3内部導体層、314a…引出し部、315…第4内部導体層、315a…引出し部、400…積層コンデンサ、401…誘電体チップ、402…第1外部電極、403…第2外部電極、411…誘電体層、412…第1内部導体層、412a…引出し部、413…第2内部導体層、413a…引出し部、414…第3内部導体層、414a…引出し部、415…第4内部導体層、415a…引出し部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの側面に設けられ交互に異なる極性が付与される8個以上の外部電極とを備えた積層コンデンサであって、
誘電体チップは、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層及び第2内部導体層と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層及び第4内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有し、
第1内部導体層と第3内部導体層とは誘電体層を介して向き合っていて、第2内部導体層と第4内部導体層とは誘電体層を介して向き合っており、
第1内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、
第2内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、
第3内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続され、
第4内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
外部電極は誘電体チップの相対する一方の側面に少なくとも4個設けられ且つ他方の側面に少なくとも4個設けられ、
第1内部導体層の外部電極用引出し部は第1内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第2内部導体層の外部電極用引出し部は第2内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第3内部導体層の外部電極用引出し部は第3内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第4内部導体層の外部電極用引出し部は第2内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
誘電体チップの少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
第1〜第4内部導体層それぞれに設けられた外部電極用引出し部の幅はその長さ以上である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の積層コンデンサ。
【請求項1】
直方体形状の誘電体チップと、誘電体チップの側面に設けられ交互に異なる極性が付与される8個以上の外部電極とを備えた積層コンデンサであって、
誘電体チップは、同一平面に位置し互いが非接触の第1内部導体層及び第2内部導体層と、同一平面に位置し互いが非接触の第3内部導体層及び第4内部導体層とを、誘電体層を介して交互に積層して一体化した構造を有し、
第1内部導体層と第3内部導体層とは誘電体層を介して向き合っていて、第2内部導体層と第4内部導体層とは誘電体層を介して向き合っており、
第1内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、
第2内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の外部電極にそれぞれ接続され、
第3内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を他方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続され、
第4内部導体層はその側縁に少なくとも2個の外部電極用引出し部を有していて、各外部電極用引出し部を一方の極性の他の外部電極にそれぞれ接続されている、
ことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
外部電極は誘電体チップの相対する一方の側面に少なくとも4個設けられ且つ他方の側面に少なくとも4個設けられ、
第1内部導体層の外部電極用引出し部は第1内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第2内部導体層の外部電極用引出し部は第2内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第3内部導体層の外部電極用引出し部は第3内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられ、
第4内部導体層の外部電極用引出し部は第2内部導体層の相対する一方の側縁に少なくとも1個設けられ且つ他方の側縁に少なくとも1個設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
誘電体チップの少なくとも基板実装時に基板と向き合う側のマージン部分の厚さは30〜70μmに設定されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
第1〜第4内部導体層それぞれに設けられた外部電極用引出し部の幅はその長さ以上である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の積層コンデンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−281360(P2007−281360A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108816(P2006−108816)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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