説明

積層シート作製機構

【課題】インレットシートに印刷されるアンテナに位置ずれが生じた場合であっても、表面シートに印刷された情報によって位置ずれが生じたアンテナの位置を特定する。
【解決手段】アンテナ及び検出用パターンが印刷されたインレットシート104と2枚の表面シート基材105a,105bとを所定方向に搬送しながらインレットシート104を表面シート基材105a,105bに挟み込んで積層するローラ11a,11b,12a,12bと、インレットシート104の搬送方向に直交する方向における検出用パターンの位置を検出するセンサ30aと、表面シート基材105a,105bの搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられ、表面シート基材105bに対して、センサ30aにて検出された検出用パターンの位置に応じた領域に、アンテナの位置を特定するための情報を印刷するプリンタ40とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚のシートを積層して積層シートを作製する積層シート作製機構に関し、特に、積層されることにより外部から視認不可能となるシートに付与された付与パターンの位置を特定するための情報を、表出するシートに印刷する際の位置合わせ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、荷物や商品等に添付されるタグは、様々な用途に用いられている。このようなタグとしては、表面に文字や画像等の情報が印刷されたものや、最近では、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップが内蔵されたもの等がある。
【0003】
このようなタグを製造する方法としては、連続状のシート基材が断裁されることにより製造される方法等があるが、そのような方法においては、連続状のシート基材に対して所定の情報がタグ毎に印刷され、その後、シート基材がタグ毎の形状に断裁されて製造される。
【0004】
また、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能なICチップが内蔵された非接触型ICタグや非接触型ICラベル等のRF−IDメディアにおいては、ICチップやアンテナが内蔵されたインレット部がマトリックス状に配置されてなるインレットシートが2枚の表面シートに挟み込まれて貼り合わされた後、RF−IDメディア毎に断裁されて製造されることが一般的に行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このようにインレット部がマトリックス状に配置されてなるインレットシートを2枚の表面シートに挟み込んで貼り合わせた後、RF−IDメディア毎に断裁する場合、インレットシートが2枚の表面シートに挟み込まれた状態では、インレット部が外部から視認不可能な状態となるため、貼り合わされた2枚の表面シート及びインレットシートをRF−IDメディア毎に断裁する際、断裁領域を特定することができない。
【0006】
そこで、2枚の表面シート及びインレットシートを貼り合わせた後に、インレットシートに配置されたインレット部の位置を特定するための情報を表面シートの所定の領域に印刷し、貼り合わされた2枚の表面シート及びインレットシートをRF−IDメディア毎に断裁する際、表面シートに印刷された情報を検出することによって断裁領域を特定することが行われている。
【特許文献1】特開2005−74936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したように、2枚の表面シート及びインレットシートを貼り合わせた後に、インレットシートに配置されたインレット部の位置を特定するための情報を表面シートの所定の領域に印刷し、貼り合わされた2枚の表面シート及びインレットシートをRF−IDメディア毎に断裁する際、表面シートに印刷された情報を検出することによって断裁領域を特定するものにおいては、インレット部の位置を特定するための情報が表面シートの所定の領域に印刷されるため、インレットシートあるいは、インレットシートに配置されるインレット部の位置がずれた場合、RF−IDメディア毎に断裁する際にインレット部を断裁してしまう虞れが生じる。
【0008】
例えば、連続状のインレットシートを搬送していき、この搬送経路上において、インレットシートの搬送方向に直交する方向からインレットシート上に倒れてくる版を用いてアンテナを印刷する場合、インレットシートの搬送方向に直交する方向におけるずれや、版の位置ずれ等によって、インレットシートの搬送方向に直交する方向において、インレットシート上でのアンテナの配置位置がずれてしまい、その場合において上述したように表面シート及びインレットシートを断裁すると、アンテナが断線してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、所定方向に搬送される中間シートを2枚の表面シートに挟み込み、中間シートに付与された付与パターンの位置を特定するための情報を2枚の表面シートのうち一方に印刷して積層シートを作製する場合に、中間シートの搬送方向に直交する方向にて付与パターンに位置ずれが生じた場合であっても、表面シートに印刷された情報によって位置ずれが生じた付与パターンの位置を特定することができる積層シート作製機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、
付与パターンが付与された中間シートと2枚の表面シートとを所定方向に搬送しながら前記中間シートを前記2枚の表面シートに挟み込んで積層する積層手段と、
前記表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向における前記付与パターンの位置を検出する検出手段と、
前記表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられ、前記2枚の表面シートのうち一方の表面シートに対して、前記検出手段にて検出された前記付与パターンの位置に応じた領域に、前記付与パターンの位置を特定するための情報を印刷する印刷手段とを有する。
【0011】
上記のように構成された本発明においては、積層手段において、付与パターンが付与された中間シートと2枚の表面シートとを所定方向に搬送しながら中間シートを2枚の表面シートで挟み込んで積層することにより積層シートが作製されるが、検出手段において、中間シートの搬送方向に直交する方向における付与パターンの位置が検出される。その後、印刷手段において、付与パターンの位置を特定するための情報が2枚の表面シートのうち一方に印刷されることになるが、印刷手段は、検出手段にて検出された付与パターンの位置に応じて、表面シートの搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられており、検出手段にて検出された付与パターンの位置に応じた領域に、付与パターンの位置を特定するための情報が印刷されるので、中間シートの搬送方向に直交する方向にて付与パターンに位置ずれが生じた場合であっても、表面シートに印刷された情報によって位置ずれが生じた付与パターンの位置が特定されることになる。
【0012】
また、付与パターンが、中間シートの搬送方向に連続するずれ検出用パターンを有するような構成とすれば、印刷手段が、付与パターンのずれに応じて連続的に移動することなり、付与パターンのずれが大きな場合であっても追従することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明においては、付与パターンが付与された中間シートと2枚の表面シートとを所定方向に搬送しながら中間シートを2枚の表面シートに挟み込んで積層する積層手段と、表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向における付与パターンの位置を検出する検出手段と、表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられ、2枚の表面シートのうち一方の表面シートに対して、検出手段にて検出された付与パターンの位置に応じた領域に、付与パターンの位置を特定するための情報を印刷する印刷手段とを有する構成としたため、中間シートの搬送方向に直交する方向にて付与パターンに位置ずれが生じた場合であっても、表面シートに印刷された情報によって位置ずれが生じた付与パターンの位置を特定することができる。
【0014】
また、付与パターンが、中間シートの搬送方向に連続するずれ検出用パターンを有するものにおいては、印刷手段が、付与パターンのずれに応じて連続的に移動することなり、付与パターンのずれが大きな場合であっても追従することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
まず、本発明の積層シート作製機構を用いて作製される積層シートについて説明する。
【0017】
図1は、本発明の積層シート作製機構を用いて作製される積層シートの一例となる非接触型ICタグの構成を示す図であり、(a)は内部構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【0018】
本例の非接触型ICタグ100は図1に示すように、樹脂シート3上にコイル状のアンテナ2が形成されるとともにICチップ1が搭載されてなるインレット4が、2枚の表面シート5a,5bに挟み込まれ、粘着剤6によって接着されて構成されている。アンテナ2は、樹脂シート3上に印刷によって形成され、そのアンテナ2のコイル状の両端部に接続されるようにICチップ1が搭載されている。このように構成された非接触型ICタグ100においては、外部の情報書込/読出手段に近接させることにより、情報書込/読出手段との間に生じた電磁誘導によってアンテナ2に電流が流れ、この電流がICチップ1に供給されることにより、ICチップ1に対する情報の書き込みや読み出しが行われることになる。
【0019】
以下に、上述した非接触型ICタグ100の作製方法について説明する。
【0020】
図2は、本発明の積層シート作製機構の実施の一形態を示す図であり、図1に示した非接触型ICタグ100を作製するための装置を示す。
【0021】
本形態は図2に示すように、表面シート5bが連続状となった表面シート基材105bが巻き取られたローラ10aと、インレット4が複数配置されてなる中間シートであるインレットシート104が巻き取られたローラ10bと、表面シート5aが連続状となった表面シート基材105aが巻き取られたローラ10cと、その他5つのローラ10d,11a,11b,12a,12bと、2つの糊塗布部20a,20bと、検出手段であるセンサ30aと、印刷手段であるプリンタ40と、検出カメラ30b,30cと、断裁部50aと、制御部60aとを有している。
【0022】
ローラ10dは、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bの搬送方向を、インレットシート104及び表面シート基材105aが搬送されてくる領域に向かうように制御する。
【0023】
糊塗布部20aは、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bに粘着剤6を塗布し、また、糊塗布部20bは、ローラ10bから引き出されたインレットシート104に粘着剤6を塗布する。
【0024】
ローラ11a,11bは、ローラ10aから引き出された表面シート基材105b及びローラ10bから引き出されたインレットシート104を介して互いに対向して配置されており、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bとローラ10bから引き出されたインレットシート104とを、糊塗布部20aにて表面シート基材105bに塗布された粘着剤6によって接着する。
【0025】
ローラ12a,12bは、ローラ10cから引き出された表面シート基材105a、並びにローラ11a,11bによって互いに接着されたインレットシート104及び表面シート105b介して互いに対向して配置されており、ローラ10cから引き出された表面シート基材105aとローラ11a,11bによって表面シート基材105bが接着されたインレットシート104とを、糊塗布部20bにてインレットシート104に塗布された粘着剤6によって接着する。
【0026】
このように、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bと、ローラ10bから引き出されたインレットシート104と、ローラ10cから引き出された表面シート基材105aとがローラ11a,11b,12a,12bに挟まれることにより、ローラ11a,11b,12a,12bが積層手段となって、インレットシート104が2枚の表面シート基材105a,105bに挟み込まれて積層される。
【0027】
センサ30aは、ローラ10bから引き出されたインレットシート104に印刷された検出用パターン7(図3参照)を検出し、検出カメラ30bは、ローラ10bから引き出されたインレットシート104に印刷されたタイミングマーク8(図3参照)を検出する。
【0028】
プリンタ40は、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bのインレットシート104が接着される面とは反対側の面に、検出カメラ30bにおけるタイミングマーク8(図3参照)の検出タイミングに従ったタイミングで、センサ30aにて検出された検出用パターン7(図3参照)に応じた位置に、表面シート基材105a,105b及びインレットシート104の断裁位置を示すための断裁指示マーク9(図5参照)を印刷する。プリンタ40は、断裁指示マーク9(図5参照)を印刷するためにインクを吐出する印字ヘッド41を有しているが、この印字ヘッド41は、表面シート基材105b及びインレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられている。
【0029】
検出カメラ30cは、プリンタ40にて表面シート基材105bに印刷された断裁指示マーク9(図5参照)を検出する。
【0030】
断裁部50aは、検出カメラ30cにおける断裁指示マーク9(図5参照)の検出タイミングに従ったタイミングで、連続状の表面シート基材105a,105b及びインレットシート104を単片状に断裁する。
【0031】
制御部60aは、検出カメラ30bにおけるタイミングマーク8(図3参照)の検出タイミング及びセンサ30aにおける検出用パターン7(図3参照)の検出位置に基づいたプリンタ40における印刷制御を行うとともに、検出カメラ30cにおける断裁指示マーク9(図5参照)の検出タイミングに基づいた断裁部50aにおける断裁制御を行う。
【0032】
以下に、上記のように構成された積層シート作製機構を用いて図1に示した非接触型ICタグ100の作製方法について説明する。
【0033】
ローラ10aに巻き取られた表面シート基材105bは、ローラ10aから引き出されると、ローラ10dによって搬送方向がインレットシート104及び表面シート基材105aが搬送されてくる領域に向かうように変えられ、糊塗布部20aにおいて、ローラ10bから引き出されるインレットシート104に接着される面に粘着剤6が塗布される。
【0034】
また、ローラ10bに巻き取られたインレットシート104がローラ10bから引き出される。
【0035】
図3は、図2に示した積層シート作製機構にてローラ10bから引き出されたインレットシート104の構成を示す図である。
【0036】
図3に示すように、ローラ10bから引き出されたインレットシート104には、図1に示したインレット4がマトリックス状に複数配置されている。マトリックス状に配置された複数のインレット4は所定の数(本例では、3×4の12個)毎にインレット群4aを構成し、そのインレット群4a毎に、タイミングマーク8及びずれ検出用パターンである検出用パターン7が印刷されている。タイミングマーク8は、インレットシート104の搬送方向についてインレット群4aの先端側に印刷されている。また、検出用パターン7は、インレット群4aを構成するインレット4に沿うようにインレットシート104の搬送方向に連続して印刷されている。インレット4を構成するアンテナ2とタイミングマーク8及び検出用パターン9とは、樹脂シート3上に同一版を用いて印刷されて形成されるため、アンテナ2、タイミングマーク8及び検出用パターン9からなる印刷パターンは、全てのインレット群4aにて同一となっており、これらによって付与パターンが構成される。
【0037】
ローラ10bに巻き取られたインレットシート104がローラ10bから引き出されると、ローラ10aから引き出された表面シート基材105bと、ローラ10bから引き出されたインレットシート104とがローラ11a,11b間に挟まれ、糊塗布部20aにて表面シート基材105bに塗布された粘着剤6によって、インレットシート104と表面シート基材105bとが接着される。
【0038】
次に、検出カメラ30bにてインレットシート104に印刷されたタイミングマーク8が検出されるとともに、センサ30aにてインレットシート104に印刷された検出用パターン7が検出される。
【0039】
検出カメラ30bにてインレットシート104に印刷されたタイミングマーク8が検出されると、その旨が制御部60aに通知される。また、センサ30aにてインレットシート104に印刷された検出用パターン7が検出されると、その際のセンサ30aの位置情報が制御部60aに通知される。ここで、センサ30aは、インレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動可能に配置されており、インレットシート104に印刷された検出用パターン7に対向するように移動する。そのため、センサ30aの位置情報によって検出用パターン7の位置が特定可能となる。
【0040】
制御部60aにおいて、検出カメラ30bにてタイミングマーク8が検出されてから所定の時間が経過後、表面シート基材105bに断裁指示マーク9を印刷する旨の指示が出される。また、その際、制御部60aの制御によって、プリンタ40の印字ヘッド41がセンサ30aの位置に応じた位置に移動する。
【0041】
図4は、図2に示した積層シート作製機構における検出カメラ30a及び印字ヘッド41と検出用パターン7との位置関係を示す図である。
【0042】
上述したようにセンサ30aと印字ヘッド41は、インレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動可能となっており、これらセンサ30aと印字ヘッド41のインレットシート104の搬送方向に直交する方向への移動は、制御部60aの制御によって連動している。また、上述したように、センサ30aが、インレットシート104に印刷された検出用パターン7に対向するように移動するため、インレットシート104に印刷された検出用パターン7のインレットシート104の搬送方向に対して直交する方向における位置に応じてプリンタ40の印字ヘッド41が移動することになる。
【0043】
インレットシート104に印刷されたアンテナ2及び検出用パターン7のインレットシート104の搬送方向に対して直交する方向における位置が、図4(a)に示す所定の位置に対して、図中下側にずれた場合は、図4(b)に示すように、検出用パターン7を検出するセンサ30aの位置も同方向に移動し、また、それに連動してプリンタ40の印字ヘッド41も同方向に移動する。
【0044】
また、アンテナ2及び検出用パターン7がインレットシート104に斜めに印刷されている場合は、図4(c)に示すように、検出用パターン7を検出するセンサ30aの位置が検出用パターン7に対向するようにインレットシート104の搬送に伴ってインレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動し、また、それに連動してプリンタ40の印字ヘッド41も移動する。
【0045】
そして、プリンタ40において、表面シート基材105bのインレットシート104が接着された面とは反対側の面に、断裁指示マーク9(図5参照)が印刷される。
【0046】
図5は、図2に示した積層シート作製機構にて断裁指示マーク9が印刷された表面シート基材105bを示す図である。
【0047】
プリンタ40においては、印字ヘッド41が検出用パターン7の位置に応じてインレットシート104及び表面シート基材105bの搬送方向に対して直交する方向に移動しており、表面シート基材105bに断裁指示マーク9を印刷する旨の指示が制御部60aから出されると、図5(a)に示すように、表面シート基材105bのインレットシート104が接着された面とは反対側の面のうち検出用パターン7の位置に応じた領域に断裁指示マーク9が印刷される。なお、この断裁指示マーク9は、後にインレットシート104及びこれに積層された表面シート基材105a,105bを断裁する領域を指定するものであって、すなわち、インレットシート104におけるアンテナ2の位置を特定することができるものである。
【0048】
インレットシート104に印刷されたアンテナ2及び検出用パターン7が、図4(b)に示したような位置にずれている場合は、プリンタ40の印字ヘッド41も同方向に移動するため、図5(b)に示すように、表面シート基材105bに印刷される断裁指示マーク9もアンテナ2及び検出用パターン7がずれた方向にずれて印刷されることになる。
【0049】
また、インレットシート104に印刷されたアンテナ2及び検出用パターン7が、図4(c)に示したように斜めに印刷されている場合は、プリンタ40の印字ヘッド41も検出用パターン7の位置に従って移動するため、図5(c)に示すように、表面シート基材105bに印刷される断裁指示マーク9もアンテナ2及び検出用パターン7に倣って斜めに印刷されることになる。
【0050】
これにより、インレットシート104の搬送方向に直交する方向にてアンテナ2及び検出用パターン7に位置ずれが生じた場合であっても、表面シート基材105bに印刷された断裁指示マーク9によって位置ずれが生じたアンテナ2の位置を特定することができる。
【0051】
なお、本形態においては、インレットシート104の幅方向に渡って印字ヘッド41が配置されたラインプリンタを用いているが、印字ヘッド41が印字領域に応じてインレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動するシリアルプリンタを用いることもできる。その場合、印字ヘッド41の基準位置を、センサ30aの位置、すなわち検出用パターン7の位置に合わせてインレットシート104の搬送方向に直交する方向に移動させることになる。
【0052】
断裁指示マーク9が表面シート基材105bに印刷された後、糊塗布部20bにおいて、インレットシート104の表面シート基材105aに接着される面に粘着剤6が塗布される。
【0053】
また、ローラ10cに巻き取られた表面シート基材105aがローラ10cから引き出される。
【0054】
ローラ10cに巻き取られた表面シート基材105aがローラ10cから引き出されると、断裁指示マーク9が印刷された表面シート基材105b及びそれに接着されたインレットシート104と、ローラ10cから引き出された表面シート基材105aとがローラ12a,12b間に挟まれ、糊塗布部20bにてインレットシート104に塗布された粘着剤6によって、インレットシート104と表面シート基材105aとが接着される。
【0055】
その後、断裁部50aにおいて、互いに接着された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104が単片状に断裁されることになるが、その際、検出カメラ30cにおいて、表面シート基材105bに印刷された断裁指示マーク9が検出され、制御部60aにおいて、検出カメラ30cにて断裁指示マーク9が検出されたタイミングに基づいて断裁指示が断裁部50aに通知され、断裁部50aにて表面シート基材105a,105b及びインレットシート104が単片状に断裁される。
【0056】
このように単片状に断裁された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104は、その後、表面シート105aに対する印刷工程に渡されるために、所定の大きさに断裁されることになる。
【0057】
図6は、図2に示した積層シート作製機構によって積層、断裁された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104を所定の大きさに断裁する機構を示す図である。また、図7は、図2に示した積層シート作製機構によって積層、断裁された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104の断裁処理を説明するための図であり、(a)はアンテナ2及び検出用パターン7が所定の位置に印刷されたインレットシート104及び表面シート基材105a,105bが断裁される前の状態を示す図、(b)は(a)に示したインレットシート104及び表面シート基材105a,105bが断裁された後の状態を示す図、(c)はアンテナ2及び検出用パターン7が斜めに印刷されたインレットシート104及び表面シート基材105a,105bが断裁される前の状態を示す図、(d)は(c)に示したインレットシート104及び表面シート基材105a,105bが断裁された後の状態を示す図である。
【0058】
図2に示した積層シート作製機構によって積層、断裁された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104は、図7(a),(c)に示すような状態で図6に示した機構に供給され、図6に示す機構において、まず、検出カメラ30dにおいて、表面シート基材105bに印刷された断裁指示マーク9が検出される。
【0059】
検出カメラ30dにて断裁指示マーク9が検出されると、その断裁指示マーク9の検出領域が制御部50bにて判断され、制御部50bにおいて、断裁指示マーク9の検出領域に応じて断裁部50bにおける断裁領域が制御され、図7(b)に示すように、表面シート基材105a,105b及びインレットシート104が所定の大きさに断裁される。
【0060】
ここで、アンテナ2及び検出用パターン7がインレットシート104に斜めに印刷されている場合、アンテナ2及び検出用パターン7がインレットシート104の図7(b)に示したものと同様の領域を断裁してしまうと、インレットシート104に印刷されたアンテナ2が断線してしまうことになる。ところが、断裁領域を指示するための断裁指示マーク9が、アンテナ2及び検出用パターン7の位置に応じた領域に印刷されているため、断裁指示マーク9の検出領域に応じて断裁領域が制御されると、図7(d)に示すように、インレットシート104に印刷されたアンテナ2が断線することなく、表面シート基材105a,105b及びインレットシート104が所定の大きさに断裁されることになる。
【0061】
表面シート基材105a,105b及びインレットシート104が所定の大きさに断裁された後、印刷工程において、インレット4毎に、表面シート基材105a,105bに印刷が施され、表面シート基材105a,105b及びインレットシート104がインレット4毎に小片に断裁される。
【0062】
図8は、図7に示したように所定の大きさに断裁された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104のインレット4毎の断裁処理を説明するための図であり、(a)は断裁される前の状態を示す図、(b)は断裁された後の状態を示す図である。
【0063】
図8(a)に示すようにインレット4毎に印刷が施された表面シート基材105a,105b及びインレットシート104は、その後、図8(b)に示すようにインレット4毎に小片に断裁され、それにより、図1に示した非接触型ICタグ100が作製されることになる。また、このように作製された非接触型ICタグ100を透明のカード基材で挟み込むことによって、非接触型ICカードを作製することができる。
【0064】
なお、本形態においては、インレットシート104に、インレットシート104の搬送方向に連続する検出用パターン7を印刷し、この検出用パターン7をセンサ30aにて検出し、表面シート基材105bのうち、センサ30aの位置、すなわち検出用パターン7の位置に応じた領域に、断裁指示マーク9を印刷し、この断裁指示マーク9によって、インレットシート104に印刷されたアンテナ2の位置を特定可能としているが、インレットシート104に印刷されたアンテナ2そのものをセンサ30aにて検出し、表面シート基材105bのうち、センサ30aの位置、すなわちアンテナ2の位置に応じた領域に、断裁指示マーク9を印刷し、この断裁指示マーク9によって、インレットシート104に印刷されたアンテナ2の位置を特定可能としてもよい。ただし、インレットシート104の搬送方向に連続してインレットシート104に印刷された検出用パターン7を用いた方が、印字ヘッド41が、検出用パターン7のずれに応じて連続的に移動することなり、アンテナ2のずれが大きな場合であっても追従することができる。
【0065】
また、本形態においては、図1に示したような非接触型ICタグ100を作製するものを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、アンテナ等の電気的パターンや情報が付与パターンとして、印刷、エッチング、貼着、載置等の方法によって付与された中間シートが2枚の表面シートによって挟み込まれて構成される積層シートであれば、適用することができる。また、中間シートや表面シートは本形態に示したインレットシート104や表面シート基材105a,105bのように連続状のものでなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の積層シート作製機構を用いて作製される積層シートの一例となる非接触型ICタグの構成を示す図であり、(a)は内部構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】本発明の積層シート作製機構の実施の一形態を示す図である。
【図3】図2に示した積層シート作製機構にてローラから引き出されたインレットシートの構成を示す図である。
【図4】図2に示した積層シート作製機構における検出カメラ及び印字ヘッドと検出用パターンとの位置関係を示す図である。
【図5】図2に示した積層シート作製機構にて断裁指示マークが印刷された表面シート基材を示す図である。
【図6】図2に示した積層シート作製機構によって積層、断裁された表面シート基材及びインレットシートを所定の大きさに断裁する機構を示す図である。
【図7】図2に示した積層シート作製機構によって積層、断裁された表面シート基材及びインレットシートの断裁処理を説明するための図であり、(a)はアンテナ及び検出用パターンが所定の位置に印刷されたインレットシート及び表面シート基材が断裁される前の状態を示す図、(b)は(a)に示したインレットシート及び表面シート基材が断裁された後の状態を示す図、(c)はアンテナ及び検出用パターンが斜めに印刷されたインレットシート及び表面シート基材が断裁される前の状態を示す図、(d)は(c)に示したインレットシート及び表面シート基材が断裁された後の状態を示す図である。
【図8】図7に示したように所定の大きさに断裁された表面シート基材及びインレットシートのインレット毎の断裁処理を説明するための図であり、(a)は断裁される前の状態を示す図、(b)は断裁された後の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 ICチップ
2 アンテナ
3 樹脂シート
4 インレット
4a インレット群
5a,5b 表面シート
6 粘着剤
7 検出用パターン
8 タイミングマーク
9 断裁指示マーク
10a〜10d,11a,11b,12a,12b ローラ
20a,20b 糊塗布部
30a センサ
30b〜30d 検出カメラ
40 プリンタ
41 印字ヘッド
50a,50b 断裁部
60a,60b 制御部
100 非接触型ICタグ
104 インレットシート
105a,105b 表面シート基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
付与パターンが付与された中間シートと2枚の表面シートとを所定方向に搬送しながら前記中間シートを前記2枚の表面シートに挟み込んで積層する積層手段と、
前記表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向における前記付与パターンの位置を検出する検出手段と、
前記表面シート及び中間シートの搬送方向に直交する方向に移動可能に設けられ、前記2枚の表面シートのうち一方の表面シートに対して、前記検出手段にて検出された前記付与パターンの位置に応じた領域に、前記付与パターンの位置を特定するための情報を印刷する印刷手段とを有する積層シート作製機構。
【請求項2】
請求項1に記載の積層シート作成機構において、
前記付与パターンは、前記中間シートの搬送方向に連続するずれ検出用パターンを有する積層シート作製機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−30062(P2010−30062A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191964(P2008−191964)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】