説明

積層シート

【課題】 トナーの裏付きが改善された電子写真印刷用積層シートを提供する。
【解決手段】 基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上に、n−パラフィンを含有する塗工層を設けた電子写真印刷用積層シート。n−パラフィンを塗工層全固形分あたり12重量%以上含有する前記積層シート。電子写真印刷方式に用いた場合、トナー裏付き防止性に優れ、トナー定着性も良好に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
積層シート、特に電子写真印刷方式の記録シートに適した積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
転写型電子写真印刷方式に使用する記録シートには、通常、紙が用いられるが、耐水性が要求される場合には、いわゆる合成紙や積層紙が使用される。積層紙は、紙基材に熱可塑性樹脂を積層したもので、例えば、紙基材の片面又は両面に押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等により熱可塑性樹脂を積層して製造される(特許文献1)。
【特許文献1】特許第2763011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
転写型電子写真印刷方式では、トナーを記録シートに転写したあと、200℃程度の高温条件で熱融着し固定する。大量印刷を行った際には、LBP(レーザービーム プリンター)等の記録装置から排紙された印刷済み記録シートが積み重なり、積み重なった記録シートの中央付近では高温状態が維持されることとなる。さらに記録シート自体の重みも加わり、トナーとそれに接触する記録シートの密着度が高まり融着を起こす。これがトナーの裏付き(トナーブロッキング)と呼ばれる現象であるが、記録シートを一枚ずつさばいた際に印刷面からトナーが剥離する問題が発生する。なおこの現象は、フェイスダウン排紙時にはみられないが、フェイスアップ排紙時にみられる現象である。
プリンターには、印刷時のカール抑制や紙ジャムの危険率を下げるために、ストレート排紙機構を持つ機種がある。この機構では印刷面が上になった状態で排紙されるのでフェイスアップ排紙という。フェイスアップ排紙ではヒートロールによる高温圧着工程の直後に用紙が排紙されるため、用紙が充分に冷める前に重なることになり、裏付きが発生する危険が高い。一方、すべてのプリンターに常備された機構として、プリンターの上部から用紙を排紙する機構がある。この機構では、印刷面が下になって排紙されるため、フェイスダウン排紙と呼ばれる。フェイスダウン排紙ではヒートロールから排紙までに距離があるため、フェイスアップ排紙の場合よりも用紙が冷める時間が長く、裏付きが発生しにくい。
【0004】
トナー裏付きは、熱を放出しにくい熱可塑性樹脂を有する積層紙などに特に顕著な問題であるが、主だった改善方法は検討されていない。トナーの裏付きを防ぐ方法として、積層シートの片面に剥離剤を塗布することが行われているが、剥離剤塗布面はトナー定着性が悪く両面印刷には不向きである。
本発明は、トナーの裏付きを改善した積層シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上に、n−パラフィンを含有する塗工層を設けたことを特徴とする電子写真印刷用積層シート。
(2)n−パラフィンを塗工層全固形分あたり12重量%以上含有する(1)記載の積層シート。
【発明の効果】
【0006】
電子写真印刷方式に用いた場合、トナー裏付き防止性に優れ、トナー定着性も良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<塗工層について>
塗工層は、トナー定着層としての役割があり、n−パラフィンとバインダーとから成る。
【0008】
(n−パラフィン)
n−パラフィン(ノルマルパラフィン)とは、下記式1で示される直鎖型の分子構造を有する炭化水素であり、炭素数が4以下(n≦2)では気体、5以上15以下(3≦n≦13)では液体、16以上(n≧14)では固体として存在する。本願で用いるn−パラフィンは、常温で固体として存在する炭素数が16以上(n≧14)のものをいう。
(式1)
CH−(CH)n−CH
【0009】
n−パラフィンは、その炭素数に特有の融点を有する。すなわち、炭素数を変えることにより、融点を変えることができる。一般に、炭素数が多いほど融点が高くなる。例えば、炭素数20のn−パラフィンの融点は約20℃、炭素数が80のn−パラフィンの融点は約105℃である。融点が、レーザービームプリンターの高温圧着工程におけるヒートロール温度(約160〜190℃)に近い炭素数のn−パラフィンを用いることにより、前記印刷の高温圧着工程でn−パラフィンが固体から液化し、その際の吸熱反応により、記録シートから熱を奪うことにより、記録シート表面の温度上昇を抑制すると考えられる。
【0010】
n−パラフィンの炭素数は、好ましくは、40以上であることが望ましい。40より小さいと、融点が低くなり、紙面温度上昇抑制効果が十分に得られない。
使用量は、好ましくは塗工層全固形分あたり12重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。少なすぎると紙面温度上昇抑制効果が十分に得られない。但し、多すぎると塗工層強度の低下が起こるため、上限としては50重量%程度が適当である。
【0011】
(バインダー)
バインダーは、トナー定着性や筆記性に加え積層されている熱可塑性樹脂層との接着性等を考慮して選択する。例えば、かかるバインダーとして、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、各種アクリル酸、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等をモノマー成分とする単独重合体、共重合体及び/又はこれらの変性物を、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂等と混合して、あるいは混合せずに用いることができる。
【0012】
また、80℃以上のガラス転移温度を有する親水性高分子物質(A)と、50℃以下のガラス転移温度を有する親水性高分子物質(B)など、Tgの異なる2種類の親水性高分子物質を使用することもできる。80℃は印刷後排出時のシート温度に近く、50℃は塗工層の成膜性を良好に保てる温度である。より好ましくは、(A)は印刷シートの排出温度より高い90℃以上、(B)は成膜温度より低い40℃以下が好ましい。
【0013】
この場合、塗工層の造膜時には、低Tg親水性高分子物質の中に、高Tg親水性高分子物質が溶融せずに粒子形状を維持した状態で存在する、いわゆる海島構造が形成されて存在し、LBP印刷時などには200℃近くのロールでトナーを定着させるため、高Tg親水性高分子物質も溶融状態となり、塗工層とトナーとの密着性が非常に高まって良好なトナー定着性が得られる。トナー定着後、高Tg親水性高分子物質は速やかにガラス状態になるので、その粒子間空隙に入り込んだトナーによるアンカー効果によっても、トナー定着性が向上すると考えられる。同様に、トナー定着後にガラス状態となった高Tg親水性
高分子物質の存在は、定着ロール等の高温部の搬送ロールからの剥離性が高く、搬送性も向上する。
【0014】
親水性の高分子物質は、親水性官能基を有するエマルジョンであることが好ましい。ここでいう親水性とは、水、又は水と少量の有機溶剤から成る媒体中で樹脂が分散又は溶解し、安定化していることを意味する。これら樹脂は、塗工液中では粒子となって分散している、又は溶解しているが、塗工し乾燥した際に造膜し塗工層を形成する。
【0015】
親水性高分子物質としては、スチレン、ブタジエン、各種アクリル酸、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、塩化ビニル等をモノマー成分とする単独重合体、共重合体及び/又はこれらの変性物と、ポリエステル樹脂やウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を混合して、あるいは混合せず各々単独で使用することが挙げられる。これらの親水性高分子物質は、例えば乳化重合やソープフリー乳化重合、懸濁重合といった従来公知の重合方法により製造され、重量平均分子量は10万以上の高分子であることが望ましい。
【0016】
中でも、アクリル系ポリマーがトナー定着性の理由から好ましい。アクリル系ポリマーとしては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。(A)と(B)ともアクリル系ポリマーであることが望ましく、特に、80℃以上のガラス転移温度を有するコア部と50℃以下のガラス転移温度を有するシェル部とからなる、コアシェル構造を有するアクリル系ポリマーは、1つの物質で2つの性能を発揮するため、作業性も良好となり好ましく用いられる。このようなコアシェル構造を有するアクリル系ポリマ
ーは、例えば、特開2001−323004号公報等に記載された方法によって製造される。この場合、シェル部は、コアを被覆する膜として形成されているのではなく、コアの周囲に保護コロイドのように存在するものとなっていると考えられる。
【0017】
親水性高分子物質の使用割合としては、(A)/(B)=80/20〜30/70が好ましい。(A)が多すぎると成膜性、トナー定着性に劣り、(B)が多すぎると搬送性が悪くなる。従って、両者のバランスが重要であり、より好ましくは、(A)/(B)=65/35〜45/55である。
また、このトナー定着層には上記した以外にも、本願発明の目的を害さない限り、種々の添加剤を添加することができる。例えば、帯電防止剤、滑剤等が添加可能である。
【0018】
(その他の成分)
用紙搬送性の点から顔料は含有しないことが望ましいが、印刷時のロール密着性改善のためには使用することができ、例えばシリカ等を挙げることができる。顔料はバインダー100重量部に対し5重量部程度使用する。
【0019】
その他、必要に応じて、例えば滑剤、架橋剤、接着性向上剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料等を添加しても良い。特に、電子写真印刷方式の記録シートとする場合は、帯電防止剤を含有することが望ましい。
【0020】
(塗工量)
特に制限されるものではないが、0.5〜7.5g/m(乾燥重量)、好ましくは1〜5g/m(乾燥重量)である。
【0021】
(塗工方法)
バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スライドダイコーター、ロールコーター、グラビアコーター等、公知の方法を適宜使用できる。
【0022】
<熱可塑性樹脂層/基材の積層体について>
(基材)
本発明において基材とは、代表的には、植物繊維又は植物繊維とその他の繊維を絡み合わせ、膠着させて製造した紙を言い、上質紙、再生紙、コート紙(塗工紙)等を挙げることができる。この他、加工紙、合成紙、フィルム等を使用してもよい。
【0023】
(熱可塑性樹脂)
本発明の積層シートは、例えばこの紙基材の少なくとも片面に、熱可塑性樹脂を積層したものであり、使用可能な熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン等、ラミネート加工可能な樹脂であれば良い。これら熱可塑性樹脂は単一の樹脂を単層で使用しても、複数の樹脂を複層で使用しても良い。
【0024】
最外層となる層には、不透明性を持たせる目的で酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機填料を配合することもできる。もっとも、無機填料の配合は、積層シートの表面性を悪化させる原因ともなるため、配合量は、これが配合される最外層に対して25重量%以下、できれば15重量%以下とすることが好ましい。
【0025】
上記した以外にも、本発明の目的を害さない限り種々の添加剤を添加することができる。例えば、耐ブロッキング剤(アクリルビーズ、ガラスビーズ、シリカ等)、接着性向上剤など、一般的に使用される添加剤を使用することができる。
【0026】
(熱可塑性樹脂層の形成方法)
紙基材に熱可塑性樹脂層を積層する方法としては、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法以外に、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等のフィルムと紙基材を貼合する方法がある。但し、ウェットラミネート法では片面加工は可能であるが、両面にフィルムを貼合する場合は、溶剤の乾燥時に裏面もフィルムで覆われているために紙基材から蒸発した水分の逃げ場が遮られ、これらが膨張してフィルムを押し上げてしまい、ブリスターと呼ばれる空隙(非接着部分)が発生しやすい。また、ドライラミネート法では紙基材とフィルムとの接着性が甘く、電子写真方式で印刷や記録をする場合、トナ
ーを定着させるためのヒートロールでの加熱によって紙基材中の水分が蒸発、膨張しブリスターを発生させやすく、加工が困難となる。従って、本発明の積層シートを電子写真方式での印刷や記録に用いる場合には、加工法として、押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法が好ましい。
【0027】
本発明の熱可塑性樹脂層は、上述の通り押出しラミネーション法や共押出しラミネーション法等、公知の方法を単独で、又はこれらを適宜組合せて、紙基材に熱可塑性樹脂層を厚さ10〜30μm程度になるように積層して形成する。前記したように、不透明性等を目的として酸化チタン等の無機填料を最外層を形成する樹脂に配合すると、ラミネーション加工性は悪化するが、かかる場合にはこの無機填料が配合された樹脂を無機填料を含まない樹脂と共に共押出しラミネートすれば、樹脂層の厚さを薄くしても、いわゆる膜切れ等のトラブルの発生を押さえて、安定的にラミネーションを行うことができる。また、紙
基材や操業条件等により紙基材との接着性が不良な場合には、紙基材に予め接着層を塗工又は積層することも可能であり、最外層あるいは他の層に使用する熱可塑性樹脂と接着性樹脂を共押出しラミネーションすることも可能である。接着性樹脂としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等が使用される。紙基材の両面に熱可塑性樹脂層が存在する場合、熱可塑性樹脂の種類や積層順序等は、一方の面と他方の面とで同一であっても異なっていても構わない。
【0028】
[実施例]
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特にことわらない限り、部及び%は重量部及び重量%を示す。また、得られた積層シートについて下記の評価を行った結果を表1に示す。
【0029】
<評価方法>
下記条件でサンプルを連続印刷し、以下の項目につき評価を行った。
使用プリンター:カシオSPEEDIA N5300
用紙設定:ごく厚紙
給紙:手差しトレイ
排紙:フェイスアップ排紙
・トナー裏つき防止性
裏つきが発生することなく何枚まで連続印刷が可能か確認した。
・トナー定着性;爪スクラッチ後、トナーの剥げ具合を次の基準で目視評価した。
○ トナーの剥がれがない
△ トナーの微小な剥がれがある。
× トナーの剥がれがある。
【実施例1】
【0030】
溶融ポリメチルペンテン(融点220℃、三井化学社製商品名「TPX DX820」)100重量部を、坪量157g/mの上質紙の両面に、Tダイを用いて押出温度300℃にて樹脂層厚さが20μmとなるように押出ラミネーションを行い、直ちに、これらの溶融樹脂と上質紙とを、クーリングロールと硬度95度のニップロールを用いて、線圧15kgf/cmで押圧・圧着し、基材シートを得た。カチオン性コア・シェル型アクリル樹脂(濃度34.5重量%、コア部Tg:50℃、シェル部Tg:40℃、コア部/シェル部=50/50)100重量部をベースとし、炭素数が80のn−パラフィンを固形分中に18.8重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製した。この塗工液を、上記基材シートの両面にグラビア塗工機を使用し8g/m塗工して平米あたり炭素数が80のn−パラフィンが0.15g塗布されるようにトナー定着層を設け、積層シートを得た。
【実施例2】
【0031】
実施例1の塗工液において、炭素数が80のn−パラフィンに変えて、炭素数が60のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたりn−パラフィンが0.15g塗布された積層シートを得た。
【実施例3】
【0032】
実施例1の塗工液において、炭素数が80のn−パラフィンに変えて、炭素数が40のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたりn−パラフィンが0.15g塗布された積層シートを得た。
【実施例4】
【0033】
実施例1の塗工液において、炭素数が80のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%に代えて30重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.24g塗布された積層シートを得た。
【実施例5】
【0034】
実施例1の塗工液において、炭素数が80のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%に代えて50重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.40g塗布された積層シートを得た。
【実施例6】
【0035】
実施例1の塗工液において、炭素数が80のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%に代えて12重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.10g塗布された積層シートを得た。
【実施例7】
【0036】
実施例1の塗工液において、カチオン性コア・シェル型アクリル樹脂(濃度34.5重量%、コア部Tg:50℃、シェル部Tg:40℃、コア部/シェル部=50/50)に代えてスチレンアクリル共重合樹脂(濃度43.8重量%、Tg:40℃)100重量部をベースとし、炭素数が80のn−パラフィンを固形分全体の18.8重量%に代えて50重量%含有させた固形分濃度10%の塗工液を調製し、実施例1と同様に塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.40g塗布された積層シートを得た。
【実施例8】
【0037】
実施例1の塗工液において、カチオン性コア・シェル型アクリル樹脂(濃度34.5重量%、コア部Tg:50℃、シェル部Tg:40℃、コア部/シェル部=50/50)に代えて、スチレンアクリル酸エステル共重合樹脂(濃度37重量%、Tg:102℃)30重量部及びスチレンアクリル共重合樹脂(濃度43重量%、Tg:10℃)70重量部をベースとした以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.15g塗布された積層シートを得た。
【実施例9】
【0038】
実施例1の塗工液において、カチオン性コア・シェル型アクリル樹脂(濃度34.5重量%、コア部Tg:50℃、シェル部Tg:40℃、コア部/シェル部=50/50)に代えて、スチレンメタクリル酸エステル共重合樹脂(濃度30重量%、Tg:106℃)30重量部及びスチレンアクリル共重合樹脂(濃度25重量%、Tg:45℃)70重量部をベースとした以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.15g塗布された積層シートを得た。
【実施例10】
【0039】
実施例1の塗工液において、カチオン性コア・シェル型アクリル樹脂(濃度34.5重量%、コア部Tg:50℃、シェル部Tg:40℃、コア部/シェル部=50/50)に代えて、コア・シェル型アクリル樹脂(濃度33.5重量%、コア部Tg:130℃、シェル部Tg:30℃、コア部/シェル部=40/60)100重量部をベースとした以外は、実施例1と同様にして塗工液を調製、塗布し、平米あたり炭素数80のn−パラフィンが0.15g塗布された積層シートを得た。
【0040】
〔比較例1〕
実施例1の塗工液において、炭素数80のn−パラフィンを含まないこと以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0041】
表1に示す結果より、塗工層にn−パラフィンを含むことにより、トナーの裏つき防止効果が向上することが確認できる。印刷終了後の紙に触れると紙温度が低下することが触感で確認できた。そして、n−パラフィンの塗布量が多いほどトナーの裏つき防止効果が向上することが確認でき、その結果、加熱を伴う電子写真印刷の連続印刷に適したシートを提供することができる。
【0042】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の少なくとも片面に1以上の熱可塑性樹脂からなる層が積層され、その熱可塑性樹脂層上に、n−パラフィンを含有する塗工層を設けたことを特徴とする電子写真印刷用積層シート。
【請求項2】
n−パラフィンを塗工層全固形分あたり12重量%以上含有する請求項1記載の積層シート。

【公開番号】特開2009−80414(P2009−80414A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251120(P2007−251120)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】