説明

積層セラミック電子部品の製造装置および製造方法

【課題】 高い精度でセラミックグリーンシートを積層可能な積層セラミック電子部品の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】
一方のセラミックグリーンシートが、既に設置されている他方のセラミックグリーンシートに重ね合わせられて設置される積層テーブルと、観察用貫通孔が形成されており前記一方のセラミックグリーンシートを保持する保持面を有し、前記積層テーブルに対して相対的に昇降可能な保持部と、前記保持部を移動させる移動手段と、前記観察用貫通孔を通して、前記保持面に保持された前記一方のグリーンシートの位置決めマークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段によって撮像された画像に基づき、前記保持部と前記積層テーブルとの相対位置を調整するように前記移動手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品の製造装置および製造方法に関し、より詳細には、高い精度でセラミックグリーンシートを積層可能な積層セラミック電子部品の製造装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型で電気特性の良い電子部品を製造するために、積層体を構成するセラミックグリーンシートを高精度に積層できる積層セラミック電子部品の製造装置が求められている。
【0003】
グリーンシートを積層する製造装置としては、例えば、グリーンシートに設けられた基準孔を計測するカメラと、計測された基準孔の位置からグリーンシートのズレ量を求める手段と、ズレ量を補正するようにグリーンシートを補正動作させる手段とを有する製造装置が知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
しかし、従来技術に係る製造装置では、補正動作が行われた後に、搬送ヘッドを移動させるか、あるいはグリーンシートをピックアンドプレイスすることによって、グリーンシートを積載金型の直上へ搬送する。この場合、搬送ヘッドの配置誤差や、ピックアンドプレイス時の配置誤差等により、グリーンシートの位置が再度ずれる場合があり、グリーンシートの積層精度を低下させる原因となっていた。また、従来技術に係る製造装置では、グリーンシートが実際に積層された位置や、グリーンシートが実際に積層される際に生じた各グリーンシート間の位置ズレ量をモニタリングすることが困難であった。
【特許文献1】特開平10−321457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高い精度でセラミックグリーンシートを積層可能な積層セラミック電子部品の製造装置および製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するため、本発明に係る積層セラミック電子部品の製造装置は、
一方のセラミックグリーンシートが、既に設置されている他方のセラミックグリーンシートに重ね合わせられて設置される積層テーブルと、
観察用貫通孔が形成されており前記一方のセラミックグリーンシートを保持する保持面を有し、前記積層テーブルに対して相対的に昇降可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動手段と、
前記観察用貫通孔を通して、前記保持面に保持された前記一方のグリーンシートの位置決めマークを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づき、前記保持部と前記積層テーブルとの相対位置を調整するように前記移動手段を制御する制御手段と、を有する。
【0007】
また、例えば、前記保持面と、前記積層テーブルとは対向し、
前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートと、前記積層テーブルに設置された前記他方のセラミックグリーンシートとは対向してもよい。
【0008】
また、例えば、前記制御手段は、前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートの位置決めマークが、前記積層テーブルに対して所定の位置関係になるように前記移動手段を制御してもよい。
【0009】
また、例えば、前記制御手段は、前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートが、前記積層テーブルに保持された前記他方のセラミックグリーンシートに対して所定の位置関係になるように前記移動手段を制御してもよい。
【0010】
また、例えば、前記移動手段は、前記保持部を、前記保持面に沿う方向に平行移動および回転移動させてもよい。
【0011】
本発明に係る製造装置は、保持面に形成された観察用貫通孔を通して、保持面に保持されたグリーンシートの位置決めマークを撮像する撮像手段を有する。本発明に係る製造装置は、保持面に保持されたグリーンシートに対して、保持面の側からグリーンシートの位置決めマークを撮像できるため、例えば保持面と積層テーブルが対向している状態でグリーンシートの位置補正を行うことができる。すなわち、本発明に係る製造装置は、保持面に保持されたグリーンシートに対して、保持面の側とは反対側からグリーンシートの位置決めマークを撮像する従来技術のように、積層テーブルを避けた位置でグリーンシートの位置補正をする必要がない。したがって、グリーンシートの位置補正後、グリーンシートを積層するまでの間に、グリーンシートを移動させる動作を少なくできるため、移動によって発生する位置ズレを低減し、高い精度でセラミックグリーンシートを積層できる。
【0012】
また、例えば、前記撮像手段は、前記保持面を挟んで、前記積層テーブルとは反対側に設置されていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る製造装置は、前記一方のセラミックグリーンシートを、前保持面に保持させる保持力発生手段をさらに有していてもよい。
【0014】
また、本発明に係る製造装置において、前記保持力発生手段は負圧発生手段であって、
前記保持面は、前記負圧発生手段によって発生された負圧によって、前記一方のセラミックグリーンシートにおける前記位置決めマークが形成された面を吸着させてもよい。
【0015】
また、本発明に係る製造装置は、積層テーブルを、前記保持部の前記保持面に対して略垂直な方向に移動させる昇降手段をさらに有していてもよい。積層テーブルを昇降させてグリーンシート重ね合わせれば、グリーンシートの位置補正後、グリーンシートを積層するまでの間に、グリーンシートを移動させる動作をさらに少なくすることができる。
【0016】
また、本発明に係る製造装置は、前記保持部に、前記一方のセラミックグリーンシートを供給する供給手段をさらに有していてもよい。
【0017】
また、本発明に係る製造装置は、2以上の前記積層テーブルを有し、
一方の前記積層テーブルと他方の前記積層テーブルとは、前記保持部の保持面と対向する積層位置と、前記積層位置とは異なる位置であって前記一方のセラミックグリーンシートと前記他方のセラミックグリーンシートとをプレスするプレス位置とに、入れ替わりながら配置させられてもよい。
【0018】
また、例えば、前記保持部は、前記負圧発生手段によって発生された負圧を、前記保持面に伝える多孔質材と、前記負圧が前記観察用貫通孔に伝わることを妨げる壁部をさらに有していてもよい。このような保持部を有する製造装置は、観察用貫通孔から負圧がリークしたり、グリーンシートが貫通孔に引き込まれて変形したりする現象を防止し、より確実かつ高精度にセラミックグリーンシートを積層できる。
【0019】
また、例えば、前記制御手段は、前記一方のセラミックグリーンシートと前記他方のセラミックグリーンシートとが重ね合わされる積層位置に前記一方のセラミックグリーンシートを移動させるように、前記移動手段を制御し、
前記撮像手段は、前記積層位置に移動させられた前記一方のグリーンシートの位置決めマークを撮像することができてもよい。
【0020】
本発明の第3の観点に係る製造装置において、撮像手段は、積層位置にあるグリーンシートの位置決めマークを撮像することができるため、制御手段は、例えばグリーンシートが重ね合わせられる直前に位置補正を行うことができる。あるいは、撮像手段は、グリーンシートが重ね合わせられる直前まで、グリーンシートが積層位置に正しく配置されていることをモニタリングできる。したがって、本発明の第3の観点に係る製造装置は、位置補正後にグリーンシートが再度位置ずれを発生することを効果的に防止し、高精度にセラミックグリーンシートを積層できる。
【0021】
また、例えば、前記昇降手段は、前記積層位置に移動させられた前記一方のセラミックグリーンシートが、前記積層テーブルに設置された前記他方のセラミックグリーンシートに重ね合わせられるように、前記積層テーブルを移動させ、
前記撮像手段は、他方のセラミックグリーンシートに対して重ね合わさせられて前記積層テーブルに設置された前記一方のグリーンシートの前記位置決めマークを撮像してもよい。
【0022】
本発明の第4の観点に係る製造装置において、撮像手段は、グリーンシートが重ね合わせられて設置された後に、グリーンシートの位置決めマークを撮像し、積層後のグリーンシートの位置を検出することができる。したがって、本発明の第4の観点に係る製造装置は、グリーンシートが実際に積層される際に生じた各グリーンシート間の位置ズレ量をモニタリングし、さらに高精度にグリーンシートを積層できる。
【0023】
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法は、
上記いずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造装置を用いて、前記一方のセラミックグリーンシートと、前記他方のセラミックグリーンシートとを積層したセラミックグリーンシート積層体を得る工程と、
前記セラミックグリーンシート積層体を切断してグリーンチップを得る工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程と、を有する。
【0024】
本発明に係る積層セラミック電子部品の製造方法によれば、セラミックグリーンシートが高精度に積層された積層体を用いて電子部品の製造を行うため、小型で電気特性の良い電子部品を得ることができる。
【発明の実施の形態】
【0025】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置を用いて製造されたセラミックコンデンサの一例を表す概略断面図、
図2は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置の要部概略図、
図3は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の供給部を表す概略断面図であり、主にキャリアフィルムを剥離する工程を表した図、
図4は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の供給部を表す概略断面図であり、主にグリーンシートを切断する工程を表した図、
図5は、図4に示す供給部で切断させる長尺上グリーンシートを表す平面図、
図6は、図2に示す積層部において積層されるカード状グリーンシートを表す平面図、
図7は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の積層部を表す概略断面図であり、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせる前の状態を表した図、
図7Aは、図7に示す保持部の部分断面図、
図8は、図7に示す積層部において、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせている状態を表した概略断面図、
図9は、図7に示す積層部において、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせた後の状態を表した概略断面図、
図10は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置を用いて作製された積層体の一例を表す断面図、
図11は、カード状グリーンシートが、積層テーブル上に積層される際における積層部の一連の動作を表すフローチャートである。
第1実施形態
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置を用いて製造されたセラミックコンデンサ2の一例を表す概略断面図である。ただし、実施形態に係る製造装置を用いて製造される積層セラミック電子部品としては、コンデンサに限定されず、インダクタ、バリスタ、フィルタ等の他の電子部品であってもよい。
【0027】
図1に示すように、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ2は、コンデンサ素体4と、第1端子電極6と第2端子電極8とを有する。コンデンサ素体4は、誘電体層10と、内部電極層12とを有し、誘電体層10の間に内部電極層12が交互に積層してある。交互に積層される一方の内部電極層12は、コンデンサ素体4の外側に形成してある第1または第2端子電極6,8の内側に対して電気的に接続してある。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置の要部概略図である。図2は、積層セラミック電子部品の製造装置のうち、積層部32にセラミックグリーンシートを供給する供給部30と、セラミックグリーンシートを積層する積層部32と、積層されたセラミックグリーンシートをプレスするプレス部34とを表している。
【0029】
供給部30は、拡大断面図である図3(A)に示すように、カッター60を備える剥離用吸着板38と、支持台36と、搬送用テーブル40と、巻き取りローラ39とを有する。図3(A)下部の部分拡大図に示すように、支持台36の上では、キャリアフィルム28に設置されている長尺状グリーンシート20が、搬送用テーブル40の側へ搬送される。
【0030】
長尺状グリーンシート20の表面には、図5に示すように、第1および第2電極パターン群26a,26bと、位置決めマーク18が形成されている。長尺状グリーンシート20を形成するための誘電体用ペーストは、例えば、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
【0031】
なお、有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。
【0032】
第1および第2電極パターン群26a,26bを形成するための内部電極用ペーストは、各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
【0033】
長尺状グリーンシート20は、上記の誘電体用ペーストを用いたドクターブレード法などで形成される。また、グリーンシート20の各表面に電極パターン群26a,26bを形成するには、上記の内部電極用ペーストを用いてスクリーン印刷などを行えばよい。
【0034】
本実施形態に係る位置決めマーク18は、第1および第2電極パターン群26a,26bを形成するための内部電極用ペーストと同じ電極用ペーストを、スクリーン印刷することよって形成されている。ただし、位置決めマーク18の形成方法はこれに限定されない。例えば、位置決めマーク18は、印刷インキをグリーンシート20に印刷したり、グリーンシート20をレーザ照射することによって形成されてもよい。
【0035】
長尺状グリーンシート20は、最終的には図1に示す誘電体層10となる部分であり、第1および第2電極パターン群26a,26bは、最終的には図1に示す内部電極層12となる部分である。
【0036】
キャリアフィルム28に設置された長尺状グリーンシート20は、図3(A)の部分拡大図に示すように、長尺状グリーンシート20および第1および第2電極パターン群26a,26bを剥離用吸着板38側に向けた状態で搬送される。はじめに、剥離用吸着板38は、長尺状グリーンシート20を吸着し、図3(A)の矢印91に示すように、搬送用テーブル40側へ向かって移動を開始する。
【0037】
剥離用吸着板38が移動するのと同時に、巻き取りローラ39の一部が矢印92(図3(B))に示す方向に移動してキャリアフィルム28を巻き取るため、長尺状グリーンシート20がキャリアフィルム28から剥離される。剥離用吸着板38に吸着された長尺状グリーンシート20の一部は、キャリアフィルム28から剥離された後、搬送用テーブル40に対向する位置に搬送される。
【0038】
次に、搬送用テーブル40が、図4(A)の矢印93で示すように上昇し、剥離用吸着板38によって搬送された長尺状グリーンシート20の一部を吸着する。それに対して剥離用吸着板38は、長尺状グリーンシート20の吸着を停止した後、矢印94で示すように上昇し、長尺状グリーンシート20から離れる(図4A)。このようにして、長尺状グリーンシート20は、キャリアフィルム28から剥離された後、剥離用吸着板38から搬送用テーブル40に受け渡される。
【0039】
次に、剥離用吸着板38は、図4(B)の矢印95で示すように、搬送用テーブル40から遠ざかる方向に移動した後、矢印96で示すように下降して長尺状グリーンシート20と接触する。さらに、剥離用吸着板38に備えられたカッター60が矢印97で示すように下降し、長尺状グリーンシート20を切断する。
【0040】
この際、カッター60は、長尺状グリーンシート20のうち、キャリアフィルム28の上に設置されている部分と、キャリアフィルム28から剥離された部分の境界部分を切断するように配置されている。搬送用テーブル40によって吸着されている長尺状グリーンシート20の一部は、長尺状グリーンシート20から切断され、分離されて、図6に示す第1および第2カード状グリーンシート24a,24bとなる。
【0041】
本実施形態では、図2に示す供給部30から積層部32に対して、図6に示す第1カード状グリーンシート24a(図6A)と第2カード状グリーンシート24b(図6B)の2種類のカード状グリーンシートが供給される。第1カード状グリーンシート24aの表面には第1電極パターン群26aが形成されており、第2カード状グリーンシート24bの表面には第2電極パターン群26bが形成されている。
【0042】
第1電極パターン群26aと第2電極パターン群26bは、それぞれのカード状グリーンシート24a,24bに形成された位置決めマーク18に対して、互いに矢印97で示す方向に沿って略半パターン分ずれた位置に配置されている。また図5に示す長尺状グリーンシート20には、第1電極パターン群26aと第2電極パターン群26bとが交互に形成されている。したがって、図2に示す供給部30から積層部32に対して、第1カード状グリーンシート24a(図6A)と第2カード状グリーンシート24b(図6B)とが交互に供給される。
【0043】
図7は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の積層部32を表す概略断面図である。本実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置の積層部32は、XYθ駆動部44、保持面66を有する保持部48、カメラ46、第1積層テーブル50a、および位置補正制御部41等を有する。位置補正制御部41は、カメラ46からの画像に基づきXYθ駆動部44を制御し、図7において第2カード状グリーンシート24bを保持している保持面66の位置を調整することができる。
【0044】
また、第1積層テーブル50aは、図7の矢印98で示すように、保持部48の側に移動することができる。保持面66に保持されれている第2カード状グリーンシート24bは、積層部32によって、第1積層テーブル50aに既に設置されている第1カード状グリーンシート24a等に重ね合わせて設置される。
【0045】
図7に示すXYθ駆動部44は、位置補正制御部41からの制御に応じて、保持部48を移動させることができる。XYθ駆動部44は、駆動本体部44aと、軸部44bとを有している。軸部44bの一方の端部は、駆動本体部44aによって移動可能に保持されており、軸部44bの他方の端部には保持部48が固定されている。駆動本体部44aは、軸部44bの一方の端部を移動させることによって、軸部44bの他方の端部に固定されている保持部48を、保持面66に沿う方向(XY平面に沿う方向)に平行移動および回転移動させることができる。なお、本実施形態では、図7に示すようにXYZ軸を規定して説明を行う。
【0046】
図7に示す保持部48は、第1積層テーブル50aと対向する保持面66を有する。保持面66は、図2に示す搬送用テーブル40より受け渡されたカード状グリーンシート24a,24bを吸着させて保持する。本実施形態において、カード状グリーンシート24a,24bは、図6に示す位置決めマーク18および電極パターン群26a,26bが形成された表面を、保持面66の側に向けた状態で、保持面66に保持される。
【0047】
保持部48は、不図示の負圧発生手段で発生した負圧を、保持面66に伝える多孔質材70を有している。多孔質材70の表面の一部は、保持面66の少なくとも一部を構成しており、カード状グリーンシート24a,24bは、多孔質材70によって伝えられる負圧によって、保持面66に吸着される。なお、カード状グリーンシート24a,24bを、グリーンシート24a,24bの変形がより少ない状態で確実に保持面66に吸着させるために、多孔質材70は、カード状グリーンシート24a,24bと略同一の面積を有することが好ましい。
【0048】
保持部48の保持面66には、図7に示すように、観察用貫通孔68が形成されている。観察用貫通孔68は、保持面66から、保持面66とは反対側の面まで、保持部48を貫通するように形成されている。観察用貫通孔68は、カード状グリーンシート24a,24bの各位置決めマーク18(図6)の位置に対応して設けられている。
【0049】
すなわち、図7に示すようにカード状グリーンシート24a,24bが保持面66に保持された時、カード状グリーンシート24a,24bの各位置決めマーク18(図6)の位置と、各観察用貫通孔68の位置が重なる(図7A)。図7では、観察用貫通孔68は2つしか表されていないが、保持面66には、カード状グリーンシート24a,24bの各位置決めマーク18に対応するように、4つの観察用貫通孔68が形成されている。
【0050】
図7Aに示すように、本実施形態に係る製造装置において、保持部48は、観察用貫通孔68の内壁を構成する壁部72を有している。壁部72は、多孔質材70の内部の空隙と観察用貫通孔68との間の空気の流れを遮断し、多孔質材70によって保持面66に伝えられる負圧が、貫通孔68から逃げるのを防止できる。また、観察用貫通孔68に負圧が伝わると、保持面66に吸着されるカード状グリーンシート24a,24bが観察用貫通孔68に引き込まれて変形する問題が発生する場合があるが、壁部72はこの問題を防止できる。
【0051】
図7に示す保持面66を挟んで、第1積層テーブル50aとは反対側には、保持面66に保持されたカード状グリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を撮像するカメラ46が配置されている。保持部48において、観察用貫通孔68の一方の開口は保持面66に形成されており、観察用貫通孔68の他方の開口は保持面66とは異なる側(本実施形態では保持面66とは反対側)に形成されている。カメラ46は、観察用貫通孔68の他方の開口が形成されている側から、観察用貫通孔68を通して、保持面66に保持されたカード状グリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を撮像できる。
【0052】
本実施形態において、カメラ46は、保持部48における保持面66の側とは反対の側から、観察用貫通孔68を通して、カード状グリーンシート24a,24bの表面に形成されている位置決めマーク18を撮像する。また、図7に示すように、各観察用貫通孔68の直上には、ミラー62が配設されており、ミラー62は、位置決めマーク18からの光を、XYθ駆動部44の軸部44bから遠ざかる方向へ反射させる。カメラ46は、ミラー62が位置決めマーク18からの光を反射させる方向に配置されるため、位置決めマーク18を撮像できる。
【0053】
ミラー62を配設することによって、カメラ46をXYθ駆動部44および保持部48から離間させて配置することができる。したがって、カメラ46が軸部44bおよび保持部48等の可動部分と干渉することを容易に回避することができる。また、軸部44bの長さを短くすることができ、積層部32を小型化することができる。
【0054】
本実施形態に係る製造装置には、保持面66に保持されたカード状セラミックグリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を、観察用貫通孔68を通して照明する照明64が配置されてもよい。なお、積層部32において、カメラ46、ミラー62および照明64は、観察用貫通孔68と同様に、カード状グリーンシート24a,24bの位置決めマーク18に対応して各4つずつ備えられている。
【0055】
図7に示す第1積層テーブル50aは、保持部48の保持面66に対向する表面に、吸着面80が形成されている下部金型74を有する。吸着面80の少なくとも一部は、不図示の負圧発生手段からの負圧を伝える下部多孔質材78によって構成されている。吸着面80は、保持面66から受け渡されるカード状グリーンシート24a,24bまたはカード状グリーンシート24a,24b等が積層された中間積層体24c等を、吸着して保持する。
【0056】
図2に示す第1昇降手段52は、第1積層テーブル50aを、保持部48の保持面66に対して略垂直な方向に移動させる。第1積層テーブル50aは、第1昇降手段52によって、旋回テーブル56に設置されている図2に示す位置と、吸着面80と保持面66との間にカード状グリーンシート24a,24b等を挟む図8に示す位置とを移動させられる。
【0057】
図7に示す位置補正制御部41は、カメラ46およびXYθ駆動部44と電気的に接続されている。位置補正制御部41は、カメラ46からの画像を基に、保持面66に保持されているカード状グリーンシート24a,24bの位置を認識し、保持部48と第1積層テーブル50aとの相対位置を調整するようにXYθテーブル44を制御する。
【0058】
本実施形態では、位置補正制御部41は、保持面66に保持されたカード状グリーンシート24a,24bの位置決めマーク18が、第1積層テーブル50aに対して所定の位置関係になるようにXYθ駆動部44を制御する。これによって、保持面66に保持されたグリーンシート24a,24bは、第1積層テーブル50aに既に設置されているグリーンシート24a,24bまたは中間積層体24cに対して、積層方向(Z軸方向)から見て互いの位置決めマーク18が重なるように重ね合わされる。
【0059】
図11は、第1および第2カード状グリーンシート24a,24bが、第1積層テーブル50a上に積層される際における積層部32の一連の動作を表すフローチャートである。図11に示すステップS001では、供給部30で作製されたカード状グリーンシート24a,24bが、積層部32における保持部48の保持面66に保持される。
【0060】
図2に示す供給部30で作製されたカード状グリーンシート24a,24bは、搬送用テーブル40によって、積層部32に搬送される。搬送用テーブル40は、積層部32における保持部48の保持面66の直下まで移動し、保持面66に第1または第2カード状グリーンシート24a,24bを受け渡す。図7は、保持部48の保持面66が、搬送用テーブル40から受け渡された第2カード状グリーンシート24bを保持した状態を表している。
【0061】
図11に示すステップS002において、積層部32は、図7に示す保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bの位置決めマーク18を、カメラ46によって撮像する。各カメラ46は、第2カード状グリーンシート24bの4つの角部に形成されている各位置決めマーク18(図6(B))を、保持部48の各観察用貫通孔68を通して撮像する。
【0062】
図11に示すステップS003では、図7に示す位置補正制御部41が、保持部48を所定量移動させるようにXYθ駆動部44を制御し、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bの位置補正を行う。まず、位置補正制御部41は、各カメラ46によって撮像された位置決めマーク18の画像データに基づき、保持面66に保持されている第2カード状グリーンシート24bの位置を認識する。
【0063】
保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bは、搬送時または受け渡し時に生じるずれ等の影響により、設計中心位置からずれた位置で保持されている場合がある。本実施形態において、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bが保持されるべき設計中心位置は、そのままの位置で第1積層テーブル50aに設置されている中間積層体24cと正しく重ね合わせられる積層位置である。位置補正制御部41は、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bの位置決めマーク18が、第1積層テーブル50aに対して所定の位置関係にない(すなわち第2カード状グリーンシート24bが積層位置にない)場合は、所定の位置関係になるように制御を行う。
【0064】
位置補正制御部41によって、位置決めマーク18が第1積層テーブル50aに対して所定の位置関係になるよう補正されるため、グリーンシート24a,24bは、互いの位置決めマーク18が積層方向(Z軸方向)から見て正確に重なるように重ね合わされる。
【0065】
図11に示すステップS004では、図7に示す保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bが、既に第1積層テーブル50aに設置されている中間積層体24cに重ね合わせて設置される。なお、図7に示す状態では、中間積層体24cの再上層には、第1カード状グリーンシート24aが積層されている。図11のステップS003に示す位置補正が行われた後、第1積層テーブル50aは、図7の矢印98に示すように、保持部48の保持面66に対して略垂直な方向であって、保持面66に近接する方向(Z軸正方向)に移動させられる。
【0066】
第1積層テーブル50aは、図2に示す第1昇降手段52によって、図8に示すように、吸着面80に設置された中間積層体24cと、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bとを重ね合わせる位置まで移動させられる。図8に示す状態において、第2カード状グリーンシート24bは、第1積層テーブル50aと保持部48との間に挟まれることによって、中間積層体24cに対して適切な圧力によって押し付けられ、積層される。
【0067】
ここでカメラ46は、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bが積層されるまでの間、グリーンシート24bの位置決めマーク18を断続的または連続的に撮像することも可能である。これによって、位置補正制御部41は、第2カード状グリーンシート24bが中間積層体24cに重ね合わせられる直前まで位置補正を行うことができる。また、位置補正制御部41は、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bの位置補正を行った後に、グリーンシート24bが再度位置ずれを起こしていないことをモニタリングできる。
【0068】
吸着面80に設置された中間積層体24cと、保持面66に保持された第2カード状グリーンシート24bとが重ね合わされた後、保持面66は第2カード状グリーンシート24bの吸着を停止する。その後、第1積層テーブル50aは、図2に示す第1昇降手段52によって、図9の矢印99で示すように、保持部48の保持面66に対して略垂直な方向であって、保持面66から離間する方向(Z軸負方向)に移動させられる。
【0069】
カメラ46は、図9に示すように、保持面66に保持されていた第2カード状グリーンシート24bが、わずかに保持面66から離れた状態において、第2カード状グリーンシート24bの位置決めマーク18を撮像してもよい。位置制御部41は、積層後における第2カード状グリーンシート24bの位置決めマーク18の位置を認識するこによって、第2カード状グリーンシート24bが正確に積層されたことを確認することができる。
【0070】
この際、積層後における第2カード状グリーンシート24bの位置決めマーク18の位置が、一定の閾値を越えて所定の位置からずれている場合、位置補正制御部41は、積層中の積層体を不良と判定してもよい。また、積層後のグリーンシート24a,24bの位置は、位置補正制御部41による位置補正にフィートバックされてもよい。これによって、本実施形態に係る製造装置は、さらに高精度にセラミックグリーンシートを積層できる。
【0071】
第1積層テーブル50aは、図9に示す状態からさらに下降させられ、図2に示す旋回テーブル56に再び設置される。これにより、図11に示す一連の動作が終了する。積層部32は、図11のステップS001〜ステップS004を繰り返すことによって、第1および第2カード状グリーンシート24a,24bを交互に積層し、積層体を作製する。図10(A)は、第1および第2カード状グリーンシート24a,24bを交互に積層した積層体82の要部断面図である。
【0072】
なお、カード状グリーンシートの表面に形成される電極パターン群としては、図6に示す第1および第2カード状グリーンシート24a,24bに形成される第1および第2電極パターン群26a,26bに限定されない。各電極パターンがわずかにずれて積層されるように、電極パターンおよび位置決めマーク18が形成されたカード状グリーンシートを積層し、図10の(B)に示すような積層体82aを作製してもよい。
【0073】
また、保持面66によって保持され、第1積層テーブル50a上に積層されるカード状グリーンシートとしては、表面に金属電極層が形成されていない外層用グリーンシート等であってもよい。さらに、積層されるグリーンシートの種類も、第1および第2カード状グリーンシート24a,24bの2種類に限定されず、何種類のグリーンシートを積層してもよく、また、グリーンシートの間に他のシートを挟んで積層してもよい。
【0074】
図2に示すプレス部34は、スタックプレス58と第2積層テーブル50bと第2昇降手段54とを有する。第2積層テーブル50bには、積層部32において第1および第2カード状グリーンシート24a,24bが積層されて形成された積層体が設置されている。第2昇降手段54は、第2積層テーブル50bを、スタックプレス58に向かって上昇させ、第2積層テーブル50bとスタックプレス58との間に積層体を挟んでプレスを行う。
【0075】
プレスが行われた後、第2昇降手段54は、第2積層テーブル50bを下降させて図2に示す旋回テーブル56に再設置する。プレスされた積層体は、ピックアンドプレイス等によりプレス部34とは別の不図示の本プレス装置(第2プレス部)等に搬送される。
【0076】
なお、本実施形態に係る製造装置では、第1積層テーブル50aと第2積層テーブル50bとが、旋回テーブル56の一方の端部と他方の端部に設置されている。旋回テーブル56は、旋回軸56aを中心に回転し、第1積層テーブル50aの位置と、第2積層テーブル50bの位置を入れ替えることができる。すなわち、第1積層テーブル50aと、第2積層テーブル50bとは、保持部48の保持面66と対向する位置と、スタックプレス58と対向してカード状グリーンシート24a,24bをプレスする位置とに、入れ替わりながら配置させられる。第2積層テーブル50bが保持部48の保持面66と対向する位置に配置された場合も、第1積層テーブル50aと同様に、第2積層テーブル50bの上にカード状グリーンシート24a,24b等が積層される。
【0077】
本実施形態に係る製造装置は、2つの積層テーブル50a,50bの位置を、旋回テーブル56を回転させることによって入れ替えることができるため、積層部32で積層された積層体を、容易にプレス部34に移動させることができる。また、本実施形態に係る製造装置は、2つの積層テーブル50a,50bを有するため、カード状グリーンシート24a,24bを重ねあわて積層体を作製する工程と、積層体をプレスする工程を同時に並行して行うことができる。したがって、本実施形態に係る製造装置は、製造効率が良い。
【0078】
図10(A)および図10(B)に示す積層体82a,82bは、例えば不図示の本プレス装置(第2プレス部)において、プレス部34における圧力より大きな圧力でプレスされた後、不図示の切断部に搬送される。切断部において、積層体82a,82bは、図10(A)および図10(B)に示す切断線86,86aに沿って切断され、グリーンチップ84,84aが作製される。グリーンチップ84,84aは、不図示の焼成部において焼成された後、端子電極6,8等が取り付けられ、図1に示すセラミックコンデンサ2となる。なお、本実施形態に係る製造装置は、グリーンチップの研磨を行う研磨部および脱バインダ処理を行う脱バインダ部等を有していても良い。
【0079】
本実施形態に係る製造装置は、XYθ駆動部44によって移動させられる保持部48の保持面66に形成された観察用貫通孔68を通して、保持面66に保持されたグリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を撮像するカメラ46を有する。したがって、本実施形態に係る製造装置は、保持面66に保持されたグリーンシート24a,24bに対して、保持面66の側からグリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を撮像できる。
【0080】
本実施形態に係る製造装置は、例えば保持面66と積層テーブル50a,50bが対向している状態で、グリーンシート24a,24bの位置補正を行うことができる。したがって、位置補正後にグリーンシート24a,24bを持ち換えたり、ピックアンドプレイスによって移動させたり、保持部48を補正方向(保持面66に沿う方向)等に移動させたりすることなく、グリーンシート24a,24bを他のグリーンシート等に重ね合わせることができる。これにより、本実施形態に係る製造装置は、位置補正後にグリーンシート24a,24bを移動させることによって発生する位置ズレを低減し、高い精度でセラミックグリーンシートを積層できる。
【0081】
本実施形態に係る製造装置は、例えばカメラ46等によって、保持面66に保持さたグリーンシート24a,24bを、当該グリーンシート24a,24bが第1積層テーブル50aに設置された他のグリーンシート24a,24b等に重ね合わせられる直前までモニタリングできる。したがって、本実施形態に係る製造装置は、位置補正後にグリーンシート24a,24bが再度位置ずれを発生することを効果的に防止し、高精度にセラミックグリーンシートを積層できる。
【0082】
本実施形態に係る製造装置は、例えばカメラ46等によって、保持面66に保持されたグリーンシート24a,24bが重ね合わせられて設置された直後に、グリーンシート24a,24bの位置決めマーク18を撮像することができる。したがって、積層後のグリーンシート24a,24の位置を検出して、高精度にグリーンシートが積層されていることを確認できる。また、積層後のグリーンシート24a,24bの位置は、位置補正制御部41による位置補正にフィートバックされてもよい。これによって、本実施形態に係る製造装置は、さらに高精度にセラミックグリーンシートを積層できる。
【0083】
本実施形態に係る製造装置において、保持部48は、負圧発生手段で発生した負圧を保持面66に伝える多孔質材70を有している。したがって、本実施形態に係る製造装置は、カード状グリーンシート24a,24bを、グリーンシート24a,24bの変形が少ない状態で保持面66に吸着させることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る製造装置において、保持部48は、観察用貫通孔68の内壁を構成する壁部72を有している。壁部72は、多孔質材70の内部の空隙と観察用貫通孔68との間の空気の流れを遮断し、多孔質材70によって保持面66に伝えられる負圧が、観察用貫通孔68から逃げるのを防止できる。また、壁部72は、観察用貫通孔68に負圧が伝わることによって、保持面66に吸着されるカード状グリーンシート24a,24bが観察用貫通孔68に引き込まれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置を用いて製造されたセラミックコンデンサの一例を表す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造装置の要部概略図である。
【図3】図3は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の供給部を表す概略断面図であり、主にキャリアフィルムを剥離する工程を表した図である。
【図4】図4は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の供給部を表す概略断面図であり、主にグリーンシートを切断する工程を表した図である。
【図5】図5は、図4に示す供給部における長尺上グリーンシートを表す平面図である。
【図6】図6は、図2に示す積層部において積層されるカード状グリーンシートを表す平面図である。
【図7】図7は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置の積層部を表す概略断面図であり、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせる前の状態を表した図である。
【図7A】図7Aは、図7に示す保持部の部分断面図である。
【図8】図8は、図7に示す積層部において、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせている状態を表した概略断面図である。
【図9】図9は、図7に示す積層部において、保持面に保持されたカード状グリーンシートと積層テーブルのカード状グリーンシートを重ね合わせた後の状態を表した概略断面図である。
【図10】図10は、図2に示す積層セラミック電子部品の製造装置を用いて作製された積層体の一例を表す断面図である。
【図11】図11は、カード状グリーンシートが、積層テーブル上に積層される際における積層部の一連の動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
18… 位置決めマーク
20… 長尺状グリーンシート
24a,24b… カード状グリーンシート
24c… 中間積層体
30… 供給部
32… 積層部
34… プレス部
41… 位置補正制御部
44… XYθ駆動部
46… カメラ
48… 保持部
50a,50… 積層テーブル
52,54… 昇降手段
66… 保持面
68… 観察用貫通孔
70… 多孔質材
74… 下部金型
82,82a… 積層体
84,84a… グリーンチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のセラミックグリーンシートが、既に設置されている他方のセラミックグリーンシートに重ね合わせられて設置される積層テーブルと、
観察用貫通孔が形成されており前記一方のセラミックグリーンシートを保持する保持面を有し、前記積層テーブルに対して相対的に昇降可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動手段と、
前記観察用貫通孔を通して、前記保持面に保持された前記一方のグリーンシートの位置決めマークを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づき、前記保持部と前記積層テーブルとの相対位置を調整するように前記移動手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記保持面と、前記積層テーブルとは対向し、
前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートと、前記積層テーブルに設置された前記他方のセラミックグリーンシートとは対向することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記制御手段は、前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートの位置決めマークが、前記積層テーブルに対して所定の位置関係になるように前記移動手段を制御することを特徴とするセラミック電子部品の製造装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記制御手段は、前記保持面に保持された前記一方のセラミックグリーンシートが、前記積層テーブルに保持された前記他方のセラミックグリーンシートに対して所定の位置関係になるように前記移動手段を制御することを特徴とするセラミック電子部品の製造装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記移動手段は、前記保持部を、前記保持面に沿う方向に平行移動および回転移動させることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記撮像手段は、前記保持面を挟んで、前記積層テーブルとは反対側に設置されていることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記一方のセラミックグリーンシートを、前保持面に保持させる保持力発生手段をさらに有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記保持力発生手段は負圧発生手段であって、
前記保持面は、前記負圧発生手段によって発生された負圧によって、前記一方のセラミックグリーンシートにおける前記位置決めマークが形成された面を吸着させることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
積層テーブルを、前記保持部の前記保持面に対して略垂直な方向に移動させる昇降手段をさらに有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記保持部に、前記一方のセラミックグリーンシートを供給する供給手段をさらに有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
2以上の前記積層テーブルを有し、
一方の前記積層テーブルと他方の前記積層テーブルとは、前記保持部の保持面と対向する位置と、前記積層位置とは異なる位置であって前記一方のセラミックグリーンシートと前記他方のセラミックグリーンシートとをプレスする位置とに、入れ替わりながら配置させられることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項12】
請求項8に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記保持部は、前記負圧発生手段によって発生された負圧を、前記保持面に伝える多孔質材と、前記負圧が前記観察用貫通孔に伝わることを妨げる壁部をさらに有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記制御手段は、前記一方のセラミックグリーンシートを、当該一方のセラミックグリーンシートと前記他方のセラミックグリーンシートとが重ね合わされる積層位置に移動させるように前記移動手段を制御し、
前記撮像手段は、前記積層位置に移動させられた前記一方のグリーンシートの位置決めマークを撮像することができることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項14】
請求項13に記載されたセラミック電子部品の製造装置であって、
前記昇降手段は、前記積層位置に移動させられた前記一方のセラミックグリーンシートに対して、前記積層テーブルに設置された前記他方のセラミックグリーンシートが重ね合わせられるように、前記積層テーブルを移動させ、
前記撮像手段は、他方のセラミックグリーンシートに対して重ね合わさせられて前記積層テーブルに設置された前記一方のグリーンシートの前記位置決めマークを撮像することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造装置を用いて、前記一方のセラミックグリーンシートと、前記他方のセラミックグリーンシートとを積層したセラミックグリーンシート積層体を得る工程と、
前記セラミックグリーンシート積層体を切断してグリーンチップを得る工程と、
前記グリーンチップを焼成する工程と、を有することを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−246268(P2009−246268A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93831(P2008−93831)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】