説明

積層フィルムおよび積層フィルムの製造方法、ならびにそれを備える偏光板および液晶表示素子

【課題】光学特性に優れ、耐久性能にも優れた積層フィルム、および積層フィルムの製造方法、ならびに該積層フィルムを保護フィルムに用いた偏光板および該偏光板を用いた液晶表示素子を提供すること。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に、放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなる配向膜(B)、および液晶層(C)を設けることにより、光学特性に優れ、なおかつ耐久性能にも優れた積層フィルムである。前記配向膜(B)は放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなることを特徴としており、ラビング処理を必要としないため、ラビング時にラビング布が脱落して生じる異物や配向材料が削れて生じる異物、帯電によって付着する環境異物による製品の歩留まり低下を招くことなく、均一な光学特性を有し、耐久性能に優れた液晶配向膜を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン系樹脂層(A)と配向膜(B)、液晶層(C)をこの順に有する積層フィルムであって、前記配向膜(B)が放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなることを特徴とする積層フィルム、該積層フィルムの製造方法、該積層フィルムを保護フィルムに用いた偏光板、および前記偏光板を備える液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子にはより大型化が求められると共に、液晶表示素子の全面において均質で高コントラストな表示性能が求められている。また、画面の大型化に伴い、より広範囲の視野角を有する表示性能が求められており、このような広い視野角を得るためには、一般的に、位相差フィルムと偏光子を有する偏光板を液晶セルの外側に配置することによって、視野角補償機能を持たせている。
【0003】
TNモード液晶表示素子においては、ディスコティック液晶(円盤状液晶)が透明フィルムにコートされた積層光学フィルムを位相差フィルムとして使用した偏光板を用いることによって視野角を補償する方法が一般的に用いられている(特許文献1)。また、TNモード液晶表示素子の視野角補償には、棒状の高分子液晶層を有する透明フィルムを位相差フィルムとして用いる方法も知られている(特許文献2)。
【0004】
上記の位相差フィルムは、いずれも液晶材料を所望の方向に配向させるために、配向膜などの配向材料を使用している。配向材料を使用する場合には、配向材料と透明フィルムや液晶材料との密着性を確保したり、配向材料の塗布条件を確立したり、ラビング処理の条件を確立する等の必要が生じる。また、ラビング時にラビング布が脱落して生じる異物や配向材料が削れて生じる異物、帯電によって付着する環境異物により製品歩留まりが下がってしまうため、異物を取り除くために吸引装置や水洗装置などの洗浄設備を設置しなくてはならない。そのため、配向材料は洗浄工程を経ても物性に変化のないものが必要である。
【0005】
しかし、これらの位相差フィルムには、近年液晶表示素子に求められる耐久性能が不足していた。例えば、自動車のインパネやカーナビゲーションなどに液晶表示素子が用いられるようになっているが、運転時の安全性を確保するために、液晶表示素子に求められる耐久性は厳しいものとなっている。従来、TNモード液晶表示素子用の位相差フィルムの透明フィルムとしては、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムが一般的に用いられているが、特に高い湿度、高い温度の環境下において液晶を使用することにより広視野角であることに加えて、表示性能が変化しないという耐久性の点で問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平7−333597号公報
【特許文献2】特開2000−66192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の発明者らは、環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に、放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなる配向膜(B)、および液晶層(C)を設けることにより、光学特性に優れ、なおかつ耐久性能にも優れた積層フィルムが得られることを見出した。本発明の前記配向膜(B)は放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなることを特徴としており、ラビング処理を必要としないため、ラビング時にラビング布が脱落して生じる異物や配向材料が削れて生じる異物、帯電によって付着する環境異物による製品の歩留まり低下を招くことなく、均一な光学特性を有し、耐久性能に優れた液晶配向膜を形成できる。
本発明は、光学特性に優れ、耐久性能にも優れた積層フィルム、および積層フィルムの製造方法、ならびに該積層フィルムを保護フィルムに用いた偏光板および該偏光板を用いた液晶表示素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の積層フィルムは、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂を含有する環状オレフィン系樹脂層(A)、配向膜(B)、および液晶層(C)の順に各層が積層されてなり、前記配向膜(B)が放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなることを特徴とする。
【0009】
【化1】

[式(I)中、mは0以上の整数であり、pは0以上の整数であり、Dは−CH=CH−または−CHCH−で表される基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは1価の基、RおよびRが一体化して形成される2価の炭化水素基、RおよびRが一体化して形成される2価の炭化水素基、RおよびRは互いに結合して形成される炭素環または複素環、RおよびRが互いに結合して形成される炭素環または複素環を表す。]
【0010】
本発明の積層フィルムは、前記配向膜(B)が下記式(a)で表される構造を有する重合体を含有することも好ましい。
【0011】
【化2】

[式(II)中、Rは−C(O)O−;−CONH−;−CO−E−;非置換またはハロゲン、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4−フェニレン;ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンまたは複素環を表し、Eは非置換またはハロゲン、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4−フェニレン;ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンまたは複素環を表し、Zは単結合、非置換またはハロゲン基、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4−フェニレン、、あるいはピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、トランス−1,4−シクロヘキシレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−ピペリジルを表し、Arは芳香族環を有する1価の基を表す。]
【0012】
本発明の積層フィルムは、前記環状オレフィン系樹脂がさらに下記式(II)で表される繰り返し単位を有することも好ましい。
【0013】
【化3】

[式(II)中、Dは−CH=CH−または−CHCH−で表される基であり、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは1価の基、RおよびRが一体化して形成される2価の炭化水素基、RおよびRが一体化して形成される2価の炭化水素基、R〜Rから選ばれる2つの基が互いに結合して形成される単環の脂環式炭化水素環または複素環を表す。]
【0014】
本発明の積層フィルムは、前記液晶層(C)がハイブリッド配向していることが好ましい。
【0015】
本発明の積層フィルムの製造方法は、前記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に配向剤を塗布する工程、形成された塗膜に放射線を照射し、配向膜(B)を得る工程、当該放射線照射処理を施した面上に液晶組成物を塗布し、液晶層(C)を形成する工程を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光学特性に優れ、耐久性能にも優れた液晶表示素子用積層フィルム、該積層フィルムを保護フィルムに用いた偏光板ならびに該偏光板を用いた液晶表示素子を提供することができる。特にTNモード液晶表示素子に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について具体的に説明する。
<環状オレフィン系樹脂層(A)>
本発明の環状オレフィン系樹脂層(A)は環状オレフィン前記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂を含有する。
<環状オレフィン樹脂>
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン樹脂は、前記式(I)で表される繰り返し単位を有する。
【0018】
環状オレフィン系樹脂の製造方法
本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、前記式(I)で表される繰り返し単位を有する。また前記式(II)で表される繰り返し単位を有することも積層フィルム摺動性および位相差発現性の点で好ましい。
【0019】
前記式(I)で表される繰り返し単位は、開環(共)重合により、下記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体から誘導される。
【0020】
【化4】

【0021】
(式(I’)中、m、pおよびR〜Rは、前記式(I)と同様である。)
式(I)または式(I’)において、R〜Rの極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、前記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、たとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、たとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0022】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
【0023】
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
【0024】
環状オレフィン系樹脂の複屈折制御性を確保するため、前記式(I)におけるmは好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1であり、pは好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1である。また、R〜Rの炭素原子数は好ましくは1〜25、より好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10である。
【0025】
環状オレフィン系単量体(I’)としては、具体的には、次のような化合物が挙げられる。
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
【0026】
8−シアノテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−シアノ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロイソプロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
これらは、単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0027】
環状オレフィン系単量体(I’)としては、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンを有する重合体であることが特に好ましい。
【0028】
本発明では、前記式(I)で表される繰り返し単位が極性基を有することが好ましく、その極性基が、下記式(III)で表される基であることが好ましい。すなわち、前記式(I)で表される繰り返し単位あるいは前記式(I’)で表される環状オレフィン系単量体は、R〜Rの少なくとも一つが、下記式(III)で表される基であることが好ましい。
【0029】
【化5】

(式(III)中、pは0または1〜5の整数であり、R’は炭素原子数1〜15の炭化水素基である。)
前記式(III)において、pの値が小さいものほど、また、R’が炭素数の小さいほど、得られる共重合体のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上するので好ましい。すなわち、pは通常0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R’は通常炭素原子数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素原子数1〜3のアルキル基であるのが望ましい。
【0030】
さらに、前記式(I)または(I’)において、前記式(III)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している場合は、得られる共重合体の耐熱性と吸水(湿)性のバランスを図るうえで好ましい。また、アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
【0031】
前記式(II)で表される繰り返し単位は、開環共重合により、下記式(II’)で表される環状オレフィン系単量体(II‘)から誘導される。
【0032】
【化6】

【0033】
(式(II’)中、R〜Rは前記式(II)と同様である。)
式(II)または式(II’)において、R〜Rの極性基としては、たとえば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基、およびカルボキシル基などが挙げられる。さらに具体的には、前記アルコキシ基としては、たとえばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられ;カルボニルオキシ基としては、たとえばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基などのアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基などのアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、たとえばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基などが挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、たとえばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基などが挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基などが挙げられ;アミノ基としては第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、たとえばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などが挙げられる。
【0034】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基などのアルケニル基などが挙げられる。
【0035】
また、置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、たとえば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(たとえば、−(CH−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(たとえば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R)−(式中、Rはメチル、エチルなどのアルキル基))などが挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
このような環状オレフィン系単量体としては、具体的には次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ウンデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ドデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−テトラデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキサデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘプタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクタデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ノナデシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イコシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エトキシカルボニル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)
これらは単独でまたは2種以上を併用することができる。これらのうちビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を有することも積層フィルムの摺動性および位相差発現性の点で好ましい。
【0036】
本発明において、環状オレフィン系単量体(II’)を用いる場合の共重合比率は、環状オレフィン系樹脂を構成する構成単位の合計を100質量部とした場合に、通常、環状オレフィン系単量体(II’)が1〜40質量部、好ましくは、3〜30質量部の範囲であるのが望ましい。環状オレフィン系単量体(II’)の共重合割合が30質量部を超えると、ガラス転移温度を低下させ、位相差や寸法などフィルム諸特性の耐熱安定性を低下させる場合がある。また、3質量未満では得られる成形体、フィルムまたはシートの摺動性および位相差発現性が低下する場合がある。
【0037】
本発明においては、これらの環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)の他に、本発明の目的を損なわない範囲でその他の環状オレフィン系単量体あるいは共重合可能なその他のモノマーを共重合原料モノマーとして少量用いることもでき、本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有することができる。かかる繰り返し単位は、たとえば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン系単量体を、前記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)とともに開環共重合することにより形成することができる。また、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に前記環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)を開環共重合することによっても形成することができ、このような繰り返し単位を有する場合には、本発明の共重合体の耐衝撃性が改善される傾向にある。
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り、上記環状オレフィン樹脂以外に、前記式(I’)以外のノルボルネン骨格を有する環状オレフィン系単量体の開環(共)重合体、開環(共)重合体の水素添加物、付加(共)重合体、あるいは前記式(I’)以外の環状オレフィン系単量体と共重合性のその他の単量体との共重合体、その水素添加物などを併用することができる。
【0038】
しかしながら、本発明においては、環状オレフィン系単量体(I’)および(II’)のみを用いて共重合を行うのが好ましい。すなわち、本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、前記式(I)および(II)で表される繰り返し単位の他に本発明の目的を損なわない範囲でその他の繰り返し単位を有していてもよいが、前記式(I)および(II)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有さないことが好ましい。
【0039】
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、かかるオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。また、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン)を環状オレフィン系単量体(II’)として使用した場合には、開環共重合体の分子内の主鎖構造に加えて側鎖構造にもオレフィン性不飽和結合を有しており、同様の理由から水素添加されることが好ましいが、かかる水素添加反応も公知の方法を適用できる。
【0040】
たとえば、特開昭63−218726号公報、特開平1−132626号公報、特開平1−240517号公報、特開平2−10221号公報などに記載された触媒や溶媒および温度条件などを適用することで、開環重合反応および水素添加反応を実施することができる。
【0041】
オレフィン性不飽和結合の水素添加率としては、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは99モル%以上である。なお、本発明における水素添加反応とは、前記の通り、分子内のオレフィン性不飽和結合に対するものであり、本発明に係る環状オレフィン系樹脂が芳香族基を有する場合、かかる芳香族基は屈折率など光学的な特性や耐熱性において有利に作用することもあるので、必ずしも水素添加される必要はない。
【0042】
本発明に係る環状オレフィン系樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常3×10〜5×10、好ましくは5×10〜3×10、さらに好ましくは1×10〜2×10であり、また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常5×10〜1×10、好ましくは1×10〜5×10、さらに好ましくは2×10〜4×10の範囲であるのが望ましい。
【0043】
分子量が過小である場合には、得られるフィルムの強度が低いものとなったり、延伸加工時の位相差発現性が低下したりすることがある。一方、分子量が過大である場合には、溶液粘度や溶融粘度が高くなりすぎて本発明の共重合体の生産性や加工性が悪化することがある。
【0044】
また、本発明に係る環状オレフィン系樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5であるのが望ましい。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂は、23℃における飽和吸水率が、通常0〜1質量%、好ましくは0.05〜0.8質量%、さらに好ましくは0.1〜0.7質量%であるのが望ましい。本発明に係る環状オレフィン系樹脂の飽和吸水率が前記の範囲内にあれは、得られるフィルムの各種の光学特性、透明性、位相差および位相差の均一性、あるいは寸法精度が、高温多湿のような条件下でも安定に維持されると共に、他の材料との密着性・接着性に優れるため、使用中に剥離などが発生することがなく、また、酸化防止剤等の添加剤との相溶性も良好であるため、添加剤の種類および添加量の選択の自由度が大きくなる。
【0045】
この飽和吸水率が0.05質量%未満である場合には、得られるフィルムは、他材料との密着性や接着性が低いものとなり、使用中に剥離を生じやすくなり、また、酸化防止剤等の添加剤の添加量が制約されることがある。一方、この飽和吸水率が1質量%を超える場合には、吸水により光学特性の変化や寸法変化を起こしやすくなる。
【0046】
ここで、飽和吸水率は、ASTM D570に準拠し、23℃の水中で1週間浸漬して増加質量を測定することにより求められる値である。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常70〜250℃であり、好ましくは90〜200℃、さらに好ましくは100〜180℃である。Tgが120℃以上である場合には、優れた耐熱性を有するため好ましい。Tgが90℃未満である場合には、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られるフィルムにおける温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが200℃を超える場合には、延伸加工する際に加工温度が高くなりすぎて本発明の共重合体が熱劣化したり、生産性や加工性が悪化したりする場合がある。
【0047】
本明細書において、環状オレフィン系樹脂のTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度20℃/分、窒素雰囲気にて測定した際に得られる微分示差走査熱量曲線の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求められる。
本発明に係る環状オレフィン系樹脂は透明性および耐熱性を有することが好ましく、ガラス転移温度が120℃以上、線膨張係数が7.0×10−5/℃以下であることが好ましい。
【0048】
重合触媒
本発明に係る環状オレフィン系樹脂の製造に用いる触媒としては、たとえば、
Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒等が好ましく用いられる。このような触媒としては、たとえば、(i)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、アルカリ金属元素(たとえば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(たとえば、Mg、Ca)、第12族元素(たとえば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(たとえば、B、Al)、第14族元素(たとえば、Si、Sn、Pd)などの化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、添加剤が添加されたものであってもよい。
【0049】
前記添加剤としては、たとえば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を好適に用いることができ、さらに、特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0050】
開環共重合反応において用いられる溶媒(すなわち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤などを溶解する溶媒)としては、たとえば、アルカン類、シクロアルカン類、芳香族炭化水素、ハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリールなどの化合物、飽和カルボン酸エステル類、エーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
【0051】
各環状オレフィン系単量体を開環共重合しただけの開環共重合体は、その分子内にオレフィン性不飽和結合を有しており、耐熱着色などの問題を有しているため、かかるオレフィン性不飽和結合は水素添加されることが好ましい。水素添加の方法、好ましい水素添加率は前述の通りである。
【0052】
<添加剤>
本発明に係る環状オレフィン系樹脂には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。たとえば、酸化安定性を向上させ、着色および劣化を防ぐため、フェノール系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤から選ばれる酸化防止剤を配合することができる。
【0053】
前記酸化防止剤は、前記重合体100質量部当たり0.001〜5質量部の割合で配合することができる。酸化防止剤の具体例としては、
フェノール系酸化防止剤またはヒドロキノン系酸化防止剤、リン系2次酸化防止剤、硫黄系2次酸化防止剤などを挙げることができる。
【0054】
また本発明に係る環状オレフィン系樹脂には難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては公知のものを使用することができ、たとえば、ハロゲン系難燃剤、アンチモン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤および金属水酸化物などを挙げることができる。なかでも少量の配合で効果を示し、吸水性、低誘電性および透明性の悪化を最小限にすることができるリン酸エステル系難燃剤が好ましく、縮合型リン酸エステル系難燃剤がより好ましい。配合量は選択される難燃剤および要求される難燃性の程度によって決まるが、環状オレフィン重合体100質量部に対し0.5〜40質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましく、4〜20質量部が特に好ましい。前記難燃剤の配合量が0.5質量部より少ない場合には、効果が不十分であり、一方、40質量部を超えて使用すると透明性が損なわれたり、誘電率などの電気特性が悪化したり、吸水率が増大したり、耐熱性が悪化したりする。
【0055】
本発明の環状オレフィン系樹脂には、さらに必要に応じて、熱安定剤、光安定剤、位相差調整剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、加工性向上剤、塩素捕捉剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機または無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
<配向膜(B)>
【0056】
本発明に係る積層フィルムを構成する配向膜は、前記式(a)(以下特定構造という)で表される構造を有する配向剤を用いて形成される。
【0057】
【化7】

R、ZおよびArは上述の通りである。
【0058】
本発明の配向膜(B)は上記式(a)で表される構造を有する重合体を含有する液晶配向剤により形成される。液晶配向剤は、放射線に感応する(a)で表される構造を有する重合体(以下、「特定重合体」ともいう)を含有してなる。ここで「感応」とは、放射線の照射により電子が光エネルギーを吸収して励起し、結合を生成または解離して元の基底状態に戻ることを意味する。放射線に感応する構造としては、前記式(a)で表される構造を有する基が挙げられる。
【0059】
上記特定重合体は、特定構造(a)を側鎖に有する重合体である。これらの特定重合体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。前記式(a)で表される構造を有する特定重合体としては、例えば特開2003−307736、特開平6−287453に記載のポリイミド系重合体やアクリル系重合体のものを使用することができる。
【0060】
特定重合体としては、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とp−フェニレンジアミンを反応させて得られるポリアミック酸に、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン反応させて得られるポリアミック酸エステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とp−フェニレンジアミンおよびコレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)を反応させて得られるポリアミック酸に、1−ブロモ−8−(4−カルコニルオキシ)オクタンを反応させて得られるポリアミック酸エステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とp−フェニレンジアミンおよび1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼンを反応させて得られるポリアミック酸と、1−ブロモ−8−(4−カルコニルオキシ)ヘキサンを反応させて得られるポリアミック酸エステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物とp−フェニレンジアミンを反応させて得られるポリアミック酸に、1−ブロモ−8−(4−カルコニルオキシ)オクタンを反応させて得られるポリアミック酸エステル、ポリ(メタクリロイルオキシオキシエチル−3−(E)−[4−ペンチル−4’−ビフェニル]アクリレート)、ポリ(4−メタクリロイルオキシブチル−(E)−3−[4−(4−メトキシフェニルカルボニルオキシ)フェニル]アクリレート)、2−メタクリロイルオキシ−オキシエチル−(E)―3−(4−メトキシフェニル)アクリレートと2−メタクリロイルオキシエチル−(E)―3−(4−クロロフェニル)アクリレートの共重合体、ポリ(メチル−[プロピル−3−(E)−(4−メチルオキシ−4’−ビフェニル)アクリレート]シロキサン)、ポリ(3−メタクリロイルアミノプロピル−(E)―3−[4−シアノフェニル]アクリルアミド)、ポリ[1−[1−[(E)−3−(4−メトキシフェニル)アクリロイル]ピペリジン−4−イルオキシカルボニル]−1−メチルエチレン]をあげることができる。
<液晶層(C)>
本発明の液晶層(C)は、例えば次のようにして製造される。まず、環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に形成された前記放射線の照射によって液晶配向能を付与された配向膜(B)上に液晶を含む液晶組成物を塗布し乾燥した後に、光重合して配向を固定化することにより得られる。したがって液晶は、光重合性基を有することが好ましい。このように乾燥後に光重合して配向を固定化することにより、液晶層(C)の耐久性や強度が向上するために好ましい。光重合性基としては特に限定されることが無いが、アクリレート基および/またはメタクリレート基が好ましく、これらの基を液晶の構造に1個以上導入したものが好ましい。
また、本発明の液晶組成物には光重合開始剤が添加されることが好ましい。光重合開始剤は、硬化させるために供せられる光の波長において効率的に光重合を開始せしめるものであれば特に限定は無く、公知のものを使用できる。添加量としては、本発明の液晶組成物の質量に対し、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは3質量%以下である。添加量が10質量%を超えると、未反応の光重合開始剤が液晶転移温度など硬化膜の物性に与える影響が無視できなくなるため好ましくない。さらに、本発明の液晶組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、消泡剤、界面活性剤などの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
前記液晶としては、ネマティック型液晶、スメクティック型液晶にアクリレート基および/またはメタクリレート基を1個以上導入したものを用いることができる。TN型液晶セルおよびSTN型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶を形成させる正の誘電異方性を有する液晶分子からなるものが好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶またはキュバン系液晶等にアクリレート基および/またはメタクリレート基を1個以上導入したものが好ましく用いられる。また、これらの液晶は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用しても良い。また前記液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエートおよびコレステリルカーボネート等のコレステリック液晶や商品名C−15またはCB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤等をさらに添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメート等の強誘電性液晶も使用することができる。
【0061】
また、本発明の液晶組成物は液晶を溶剤に溶解させてなる。溶解に使用する溶剤としては特に限定されるものではなく、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトンなどを適宜使用することができ、2種以上を混合して使用することもできる。なかでも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンなどが好ましく用いられる。
【0062】
上記溶剤を使用する場合、液晶組成物を100質量%として、上記溶剤の含有量の合計は、通常60〜90%、好ましくは65〜80%である。液晶化合物あるいは液晶化合物の混合物を適宜選択し、上記の溶剤を用いた場合には、得られる液晶層がハイブリッド配向となるため好ましい。
【0063】
本発明に用いられる液晶化合物としては、メルク株式会社製のLicrivueTM RMM19B(商品名)を好適に使用することができる。
【0064】
〈積層フィルムの製造方法〉
本発明の積層フィルムは、前記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に液晶配向剤を塗布し、放射線を照射して配向膜(B)を形成する工程、配向膜(B)の面上に液晶を含む液晶組成物を塗布した後に、当該液晶を含有する層を乾燥する工程により得ることができる。
【0065】
環状オレフィン系樹脂層(A)の形成方法
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)は、上述した環状オレフィン系樹脂を適当な溶媒に溶解してキャストすることにより、フィルム形状およびシート形状などに成形して得られるし、溶融押出法などの公知の方法によりフィルム形状およびシート形状などに成形しても得られる(以下、原反フィルムという)。さらに、これらの原反フィルムを適宜延伸加工した位相差フィルム(I)を環状オレフィン系樹脂層(A)として用いても良い。
【0066】
環状オレフィン系樹脂層(A)が環状オレフィン系樹脂を含有することにより、透明性などの光学特性、耐薬品性、耐熱性、耐水性および耐湿性などにバランスよく優れる。
環状オレフィン系樹脂層(A)の厚みは、30〜250μm、好ましくは40〜200μmであり、フィルムの最大厚みと最小厚みとの差は3μm以内、好ましくは2μm以内である。
【0067】
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)のフィルム面内の位相差R0は150nm以下、好ましくは140nm以下、特に好ましくは130nm以下であり、NZ係数NZが1.0〜4.3、好ましくは1.1〜3.9、特に好ましくは1.2〜3.0である。R0が150nmを超えると、視野角が狭くなるという問題がある。また、NZが1.0未満あるいは4.3を超えても、視野角が狭くなるという問題がある。
【0068】
本発明において、積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)のフィルム面内位相差R0およびNZ係数NZは、それぞれ光線波長590nmにおけるフィルム面内の最大屈折率をnx、フィルム面内でnxに対して直行する方向の屈折率をny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、フィルム厚みをd(nm)とした場合に、式R0=(nx−ny)×dおよび式NZ=(nx−nz)/(nx−ny)により求められる値である。
【0069】
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)において、最大屈折率方向はフィルムの長手方向あるいは幅方向の、いずれの方向であってもよいが、幅方向であることが好ましい。
【0070】
本発明の積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)を用いた偏光板は、位相差のムラや環境による位相差変化が抑えられているため、安定した光学特性を示すものとなる。その結果、本発明の偏光板を使用すれば、表示ムラがなく、輝点のない液晶表示素子を得ることができる。
【0071】
環状オレフィン系樹脂層(A)の延伸加工方法
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)は、上述した原反フィルムを、(1)フィルム長手方向に加熱下に一軸延伸し、次いでフィルム幅方向に一軸延伸する二軸延伸か、あるいは(2)フィルム幅方向に一軸延伸することにより好適に製造することができる。
【0072】
原反フィルムを延伸する際には、延伸時の加熱温度が、フィルムの延伸部位全体において精密に制御されていることが好ましい。たとえば、上記(1)の方法における長手方向の一軸延伸、すなわち縦一軸延伸は、温度分布が設定温度±0.6℃以内、好ましくは設定温度±0.4℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内にコントロールされたオーブン中で行うのが望ましい。
【0073】
ここで、設定温度は、オーブン中の全領域で等しい温度であってもよく、段階的にあるいは勾配的に分布を設けた温度であってもよい。設定温度が分布を設けた温度である場合には、オーブン中の実際の温度分布と、設定された温度分布とが、±0.6℃以内、好ましくは±0.4℃以内、より好ましくは±0.2℃以内であるのが望ましい。
【0074】
長手方向一軸延伸の設定温度は、フィルムを構成する熱可塑性樹脂の種類、延伸倍率および延伸速度、フィルムの厚み、延伸後のフィルムの所望位相差などにより設定すればよく、特に限定されるものではないが、たとえば、原反フィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準として、通常、(Tg−10℃)〜(Tg+70℃)の範囲であり、好ましくは(Tg±0℃)〜(Tg+50℃)の範囲である。このような温度範囲では、フィルムの熱劣化が起きることなく、また、フィルムが破断することなく延伸できるため好ましい。
【0075】
本発明に係る積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)として位相差フィルム(I)を用いる場合、長手方向一軸延伸の延伸倍率は、たとえば1.1〜2.5倍、好ましくは1.1〜2.0倍、特に好ましくは1.2〜1.5倍の範囲である。
また、本発明に係る位相差フィルムを製造する場合の長手方向一軸延伸の延伸速度は、たとえば2〜100m/分、好ましくは5〜50m/分の範囲である。
上記(1)の方法で位相差フィルムを製造する場合、長手方向に一軸延伸したフィルムは、フィルム面内位相差R0が通常100〜400nm、好ましくは150〜300nmの範囲にある。
【0076】
長手方向に一軸延伸した位相差フィルム(I)における面内位相差R0のばらつきは、通常±3nm以内、好ましくは±2nm以内、より好ましくは±1nm以内である。また、長手方向に一軸延伸した位相差フィルム(I)の、フィルム面内の最大屈折率方向は、フィルム長手方向に対して通常0±3度の範囲、好ましくは0±2度の範囲、より好ましくは0±1度の範囲にある。
【0077】
上記(1)の方法で積層フィルムに含有される環状オレフィン系樹脂層(A)を製造する場合は、上述のようにして原反フィルムを長手方向に一軸延伸したフィルムを、次いで幅方向に一軸延伸する。また、上記(2)の方法で位相差フィルムを製造する場合は、原反フィルムを幅方向に一軸延伸する。この幅方向の一軸延伸、すなわち横一軸延伸を、長手方向の一軸延伸よりもさらに精密な温度制御下で行うことにより、全面において均質な位相差フィルムを好適に得ることができる。たとえば、幅方向の一軸延伸は、温度分布が設定温度±0.5℃以内、好ましくは設定温度±0.3℃以内、より好ましくは設定温度±0.2℃以内にコントロールされたオーブン中で行うのが望ましい。
【0078】
ここで、幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の場合と同様、オーブン中の全領域で等しい温度であってもよく、段階的にあるいは勾配的に分布を設けた温度であってもよい。設定温度が分布を設けた温度である場合には、オーブン中の実際の温度分布と、設定された温度分布とが、±0.5℃以内、好ましくは±0.3℃以内、より好ましくは±0.2℃以内であるのが望ましい。この幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の工程における設定温度と同様であってもよく、異なっていてもよい。
【0079】
幅方向一軸延伸の設定温度は、長手方向一軸延伸の場合と同様に特に限定されるものではないが、たとえば、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)を基準として、通常、(Tg−10℃)〜(Tg+70℃)の範囲であり、好ましくは(Tg±0℃)〜(Tg+50℃)の範囲である。
【0080】
幅方向一軸延伸の延伸倍率は、製造する光学フィルムの所望特性に応じて決定すればよいが、上記(1)の方法による場合には、たとえば1.2〜2.5倍、好ましくは1.3〜2.0倍、特に好ましくは1.4〜1.7倍の範囲であり、上記(2)の方法による場合には、たとえば1.5〜4倍、好ましくは1.7〜3.7倍、特に好ましくは2〜3.5倍の範囲であるのが望ましい。
【0081】
上記幅方向一軸延伸の延伸速度は、たとえば2〜100m/分、好ましくは5〜50m/分の範囲である。
上記(1)の方法により位相差フィルムを製造する場合、得られる位相差フィルムが、原反フィルムに対して、たとえば1.3〜6.0倍、好ましくは1.7〜3.0倍の延伸倍率で延伸されたものであるのが望ましい。この延伸倍率は、長手方向一軸延伸の延伸倍率と、幅方向一軸延伸の延伸倍率との積である。
【0082】
このような位相差フィルム(I)を構成する環状オレフィン系樹脂層(A)の製造方法においては、環状オレフィン系樹脂の種類、すなわちポリマー種、共重合比率、分子量分布、ガラス転移温度などの特性を考慮した樹脂の選択、フィルムの長手方向の一軸延伸ならびに幅方向の一軸延伸の各工程における、オーブン中の設定温度の選択、延伸倍率および延伸速度の選択などにより、得られる環状オレフィン系樹脂層(A)の特性を制御することができる。
【0083】
配向膜(B)の形成方法
本発明の液晶配向剤を用いて配向膜(B)を形成する方法としては、例えば次の方法が挙げられる。まず、環状オレフィン系樹脂層(A)の片面に、液晶配向剤をロールコーター法、スピンナー法または印刷法等により塗布し、40〜200℃の温度で加熱して塗膜を形成する。塗膜の膜厚は、固形分として、好ましくは0.001〜1μm、より好ましくは0.005〜0.5μmである。前記塗膜に直線偏光ないしは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射し、場合によってはさらに 25℃〜250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向能を付与する。放射線としては、150nm〜800nmの波長を有する紫外線および可視光線を用いることができるが、300nm〜450nmの波長を有する紫外線が好ましい。放射線照射量は通常、10〜10000mJ/cmであり、好ましくは100〜1000mJ/cmである。
【0084】
環状オレフィン系樹脂層(A)の上に流延された液晶配向剤から溶剤を蒸発させるために、環状オレフィン系樹脂層(A)ごと加熱させる工程を経ても良い。加熱の温度としては、環状オレフィン系樹脂層の耐熱性も鑑み、50〜120℃とすることが好ましく、さらに好ましくは70〜100℃である。加熱温度が120℃を超えると基材である環状オレフィン系樹脂層が変形する恐れがあり好ましくなく、逆に加熱温度が50℃未満では溶剤の蒸発が不十分となり、所望の液晶配向膜が得られないため好ましくない。また、上記温度範囲であれば、加熱温度は段階的に上げても良い。
【0085】
液晶層(C)の形成方法
本発明に係る液晶層(C)は、前記液晶化合物を溶剤に溶解させた液晶組成物を、放射線の照射によって液晶配向能を付与された配向膜(B)の上にコーティングし乾燥した後に、光重合することにより得られる。コーティング法としては、公知のコーティングする方法を制限なく採用することができる。具体的な塗工方法としては、たとえば、スピンコート法、リップコート法、コンマコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法、ディップコート法、バーコート法、流延成膜法、グラビアコート法、プリント法等が挙げられる。
【0086】
配向膜(B)の上に流延された液晶を含有する層から溶剤を蒸発させるために、環状オレフィン系樹脂層(A)と配向膜(B)ごと加熱させる工程を経ても良い。加熱の温度としては、使用する液晶の液晶転移温度よりも高い温度に上げることが好ましいが、環状オレフィン系樹脂層(A)の耐熱性も鑑み、50〜120℃とすることが好ましく、さらに好ましくは70〜100℃である。加熱温度が120℃を超えると基材である環状オレフィン系樹脂層が変形する恐れがあり好ましくなく、逆に加熱温度が50℃未満では溶剤の蒸発が不十分となり、所望の液晶配向膜が得られないため好ましくない。また、上記温度範囲であれば、加熱温度は段階的に上げても良い。
【0087】
光重合性基を有する液晶を含有する層を光硬化させる光源としては、光重合開始剤が効率的に光重合を開始するものであれば特に限定は無く公知のものを使用できるが、紫外線を発生させるものが産業上好ましく用いられている。紫外線を発生させる光源の例としては、メタルハライドランプや高圧水銀ランプを使用したものが挙げられる。尚、光照射は、液晶配向層(C)側から、または環状オレフィン層(A)側から環状オレフィン層(A)を介して行うことができる。
【0088】
本発明に係る液晶層(C)の面内位相差R0のばらつきは、通常±5nm以内、好ましくは±3nm以内、より好ましくは±1nm以内である。また、フィルム面内の最大屈折率方向は、フィルム長手方向に対して通常0±3度の範囲、好ましくは0±2度の範囲、より好ましくは0±1度の範囲である。また、ハイブリッド特性を表すβ値の絶対値(Nzの倒れ角)は、好ましくは10〜50度、さらに好ましくは20〜40度である。β値の絶対値が10度より小さい場合や50度より大きい場合には、TNモード液晶表示素子の視野角補償効果が悪化するために好ましくない。
【0089】
上記のようにして得られた環状オレフィン系樹脂層(A)と放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなる配向膜(B)と液晶層(C)をこの順で積層したフィルムは、TNモード液晶表示素子用位相差フィルムとして好適に用いられる。
<積層フィルム>
【0090】
本発明に係る積層フィルムは、上述のように環状オレフィン系樹脂層(A)、放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなる配向膜(B)、液晶層(C)からなる。積層フィルムの形態は、例えば、幅が1300mm以上、より好ましくは1500mm以上、さらに好ましくは2000mm以上のフィルムロールであることも好適である。このようなフィルムロールは、偏光子のフィルムロールと、必要に応じて粘接着剤を介して、ロール・トゥ・ロールで連続的に積層して、積層偏光フィルムを得ることができる。このような積層偏光フィルムは、必要に応じてさらに保護フィルムを積層して、偏光板として好適に用いることができる。
【0091】
また、積層フィルムのフィルムロールと、偏光子のフィルムロールと、保護フィルムとして使用できるフィルムのフィルムロールとを用いて、必要に応じて粘接着剤を介して積層することにより、連続的に偏光板を製造することができる。このような方法によれば、製造効率よく、偏光板を製造することができる。上記保護フィルムとしては、好ましくは環状オレフィン系樹脂フィルム(本願発明の前記原反フィルム)またはトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。
【0092】
本発明に係る積層フィルムを得るには、配向膜層にラビング処理する必要がない。ここでラビング処理は、一般に異物発生を伴う。これは、ラビング布の繊維が脱落したものや、ラビングに供したフィルム表面の材質が削られて脱落するものや、発生する静電気によって周囲の環境異物が付着することに由来する。従って、これら異物を除去することが必要となり、異物を吹き飛ばしたり、洗浄をしたりする工程が必要になる。したがって、本発明では機械的なラビングな工程は不要なため、異物付着による歩留まり低下は起こらず、経済性に優れた積層フィルムを得ることができるために好ましい。
【0093】
本発明の積層フィルムを用いた偏光板は、位相差のムラや環境による位相差変化が抑えられているため、安定した光学特性を示すものとなる。その結果、本発明の偏光板を使用すれば、表示ムラがなく、輝点のない液晶表示素子を得ることができる。
【0094】
<偏光板>
本発明に係る偏光板は、上述した積層フィルムと偏光子とを有する。また、必要に応じてさらに偏光子を保護する保護フィルムを有する。
【0095】
偏光子
本発明に係る偏光板を構成する偏光子としては、偏光子としての機能を有するフィルムを制限なく用いることができるが、通常、高分子フィルムに、ヨウ素または二色性染料を吸着・配向させることにより形成した偏光子が用いられる。本発明の偏光板を構成する偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルムからなることが好ましい。
【0096】
PVA系フィルムからなる偏光子としては、偏光子としての機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、PVAフィルムにヨウ素を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸して得られるPVA・ヨウ素系偏光膜;PVAフィルムに二色性の高い直接染料を拡散吸着させた後、一軸延伸して得られるPVA・染料系偏光膜;PVAフィルムにヨウ素を吸着させ延伸してポリビニレン構造としたPVA・ポリビニレン系偏光膜;PVAフィルムに金、銀、水銀、鉄などの金属を吸着させたPVA・金属系偏光膜;ヨウ化カリウムとチオ硫酸ナトリウムとを含むホウ酸溶液でPVAフィルムを処理した近紫外偏光膜;分子内にカチオン基を含有する変成PVAからなるPVA系フィルムの表面および/または内部に二色性染料を有する偏光膜などを挙げることができる。
【0097】
PVA系フィルムからなる偏光子の製造方法についても特に限定されるものではなく、例えば、PVA系フィルムを延伸後にヨウ素イオンを吸着させる方法;PVA系フィルムを二色性染料により染色後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料で染色する方法;二色性染料をPVA系フィルムに印刷後、延伸する方法;PVA系フィルムを延伸後、二色性染料を印刷する方法などが挙げられる。より具体的には、ヨウ素をヨウ素カリウム溶液に溶解して、高次のヨウ素イオンを調製し、このヨウ素イオンをPVAフィルムに吸着させて延伸し、次いで1〜4%ホウ酸水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して偏光膜を製造する方法、あるいはPVAフィルムを同様にホウ酸処理して一軸方向に3〜7倍程度延伸し、0.05〜5%の二色性染料水溶液に浴温度30〜40℃で浸漬して染料を吸着し、80〜100℃で乾燥して熱固定して偏光膜を製造する方法などを挙げることができる。
【0098】
本発明に係る偏光子はいずれも、長手方向(縦方向)に吸収軸を有することが好ましい。長手方向に吸収軸を有する偏光子は、高分子フィルムの延伸を、縦一軸延伸により行うことにより製造することができる。
【0099】
保護フィルム
本発明に係る偏光板は、偏光子の耐久性や機械的特性を保つために、必要に応じて保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムは、透明性および耐水性、低吸湿性に優れたフィルムを用いることができ、特に限定されるものではないが、たとえば、トリアセチルセルロース(TAC)、環状オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、アクリル/スチレン共重合樹脂、ポリオレフィン樹脂などからなるフィルムの他、前記積層フィルムや原反フィルムが好適に用いられる。本発明では、このうち特にトリアセチルセルロース(TAC)、本発明の積層フィルムまたは環状オレフィン系樹脂のフィルムを好適に用いることができる。
【0100】
本発明に係る偏光板は、保護フィルムとしての積層フィルム、偏光子、保護フィルムがこの順に積層されてなることが好ましい。
【0101】
粘着剤・接着剤
本発明においては、積層フィルムと偏光子、さらに必要に応じて保護フィルムとを接着して偏光板を製造する際、必要に応じて粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。粘着剤あるいは接着剤としては、粘着あるいは接着後に、得られた偏光板の光学特性を阻害しないものがいずれも好適に用いられる。
【0102】
粘着剤もしくは接着剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)を水に溶解させた水系接着剤が好適に用いられる。また、極性基を有する粘着剤もしくは極性基を有する接着剤(以下、これらをまとめて「極性基含有粘接着剤」ともいう。)を用いることも好ましい。
【0103】
極性基含有粘接着剤は、水系粘着剤もしくは水系接着剤であることが好ましい。特定の樹脂フィルムを貼り付けるために使用する好適な極性基含有粘接着剤としては、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体を挙げることができる。
【0104】
極性基含有粘接着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体の分子量としては、GPC分析により測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であることが好ましく、更に好ましくは10,000〜200,000であり、重量平均分子量(Mw)が15,000〜1,000,000であることが好ましく、更に好ましくは20,000〜500,000であり、その分子量分布(Mw/Mn)は1.2〜5であることが好ましく、更に好ましくは1.4〜3.6である。
【0105】
本発明で使用できる極性基含有粘接着剤には、イソシアネートやブチル化メラミンなどの架橋剤、紫外線吸収剤などを添加することができる。ここに、極性基含有粘接着剤への架橋剤の添加は、通常、当該極性基含有粘接着剤を塗布する直前に行われる。
【0106】
偏光板の製造方法
本発明に係る偏光板は、好ましくはPVA系フィルムなどからなる偏光子の一面に、積層フィルムを粘着剤または接着剤を使用して張り合わせ、これを加熱し圧着して製造することができる。より好ましくは、上記偏光子の一面に位相差を、偏光子の反対側の面に保護フィルムを、それぞれ粘着剤または接着剤を使用して張り合わせ、これを加熱し圧着して製造することができる。
【0107】
偏光板の製造においては、積層フィルムのフィルム面内の最大屈折率方向と、偏光子の吸収軸とが平行もしくは直交となるように、両者を貼り合せる。
【0108】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上述した偏光板を有するものであり、通常、2枚の偏光板で液晶セルを挟んだ構造の、TNモード液晶表示素子である。TNモード液晶表示素子とは、TN型液晶を用いた液晶セルを有する表示素子である。
【0109】
たとえば、本発明の液晶表示素子が、積層フィルム、偏光子および保護フィルムこの順に積層された偏光板を2枚有する場合には、液晶セルの両面がそれぞれ、偏光板の位相差フィルム側表面と接着された構造が好ましく採用される。液晶セルと各偏光板との接着は、偏光板の製造に使用できる上述した粘着剤あるいは接着剤を用いることができる。また、あらかじめ各偏光板の、液晶セルと接着する面に、さらに粘着剤層を設けておき、これにより偏光板と液晶セルとを接着してもよい。
【0110】
本発明に係る液晶表示素子は、面全体において高度に光学性能が制御されており、幅広のパネルであっても全面が均質であることから、特に大型ディスプレイを備えたTNモード液晶モニターなどの用途に好適に用いることができるのに加え、位相差フィルムとして環状オレフィン系樹脂層(A)を用いることにより、耐久性に優れるため、車載用のTNモード液晶モニターなどの用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各性状は次のようにして測定し、評価した。
【0112】
(1)面内位相差R0および配向角θ、倒れ角βの測定方法
王子計測機器(株)社製「KOBRA−21ADH」を用い、波長590nmにおける位相差フィルムのフィルム面内の位相差R0および配向角θ(フィルム流れ方向を0度と定義)、Z軸方向の屈折率の倒れ角βの絶対値を測定した。測定値は、フィルム幅方向について10cm間隔で測定した値の平均値として求めた。
(2)偏光板の偏光度および単体透過率
日本分光社製V−7300を用い、偏光板の位相差フィルム側から入射させて偏光板の偏光度および単体透過率を測定した。
【0113】
(3)液晶表示素子の視野角(コントラスト比)測定
ELDIM株式会社製の「EZContrast−XL88」を用い、照度1lx以下の暗室にて液晶表示素子の視野角をコントラスト比を求めることにより測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200を用いて、昇温速度を毎分20℃、窒素気流下で測定を行った。Tgは、微分示差走査熱量の最大ピーク温度(A点)及び最大ピーク温度より−20℃の温度(B点)を示差走査熱量曲線上にプロットし、B点を起点とするベースライン上の接線とA点を起点とする接線との交点として求めた。
【0114】
(5)水素添加率
核磁気共鳴分光計(NMR)はBruker社製AVANCE500を用い、測定溶媒はd−クロロホルムでH−NMRを測定した。5.1〜5.8ppmのビニレン基、3.7ppmのメトキシ基、0.6〜2.8ppmの脂肪族プロトンの積分値より、単量体の組成を算出後、水素添加率を算出した。
【0115】
(6)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSKgel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1mL/min、サンプル濃度:0.7〜0.8質量%、注入量:70μL、測定温度:40℃とし、検出器:RI(40℃)、標準物質:東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
【0116】
(7)残留溶媒量
サンプルを塩化メチレンに溶解し、得られた溶液をガスクロマトグラフィー(島津製作所製GC−7A)を用いて分析した。
(8)対数粘度
ウベローデ型粘度計を用いて、環状オレフィン樹脂についてはクロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。可溶性ポリイミドについては、N−メチル−2−ピロリドン中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定した。
【0117】
(9)飽和吸水率
ASTM D570に準拠し、23℃の水中に1週間サンプルを浸漬し、浸漬前後の質量変化を測定して求めた。
(10)全光線透過率、ヘイズ
スガ試験機社製ヘイズメーター(HGM−2DP型)を使用して測定した。
【0118】
(11)耐久性<湿熱試験>
LCD用ガラスに粘着層を有した偏光板を貼合した後、温度60℃、相対湿度90%の環境下にて1000時間保存した後、偏光度測定を行った。偏光度については、下記式で表される耐久試験前後の偏光度の変化量の値から下記基準で評価した。
《基準》
◎:偏光度の変化量が0.5%未満
○:偏光度の変化量が0.5%以上2.0%未満
×:偏光度の変化量が2.0%以上
[偏光度の変化量]=(1−[試験後の偏光度]/[初期偏光度])×100(%)
【0119】
(12)耐久性<乾熱試験>
LCD用ガラスに粘着層を有した偏光板を貼合した後、温度95℃の環境下にて1000時間保存した後、偏光度測定を行った。偏光度については、下記式で表される耐久試験前後の偏光度の変化量の値から下記基準で評価した。
【0120】
《基準》
◎:偏光度の変化量が0.5%未満
○:偏光度の変化量が0.5%以上2.0%未満
×:偏光度の変化量が2.0%以上
[偏光度の変化量]=(1−[試験後の偏光度]/[初期偏光度])×100(%)
(13)<密着性>
JIS Z1522に規定する粘着テープを使用し、JIS K5400に準拠して環状オレフィン系樹脂層(A)と液晶層の密着性を25マスの碁盤目剥離テープ試験にて評価し、液晶膜の残膜率を評価した。
【0121】
[合成例1](環状オレフィン系樹脂Aの製造)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(DNM)225質量部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)25質量部とを単量体として用い、1−ヘキセン(分子量調節剤)27質量部と、トルエン(開環重合反応用溶媒)750質量部とともに、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(1.5mol/リットル)0.62質量部と、tert−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(tert−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35mol:0.3mol:1mol)のトルエン溶液(濃度0.05mol/リットル)3.7質量部とを添加し、この溶液を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であった。
【0122】
このようにして得られた開環重合体溶液1,000質量部をオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(CO)[P(Cを0.12質量部添加し、水素ガス圧100kg/cm、反応温度165℃の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。
【0123】
得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「樹脂A」という。)を得た。
【0124】
このようにして得られた樹脂AのH−NMRにより測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したTgは130℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは20,800、Mwは62,000およびMw/Mnは3.00、23℃における飽和吸水率は0.21%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.51dl/gであった。
【0125】
[合成例2](環状オレフィン系樹脂Bの製造)
DNM71質量部、ジシクロペンタジエン(DCP)15質量部、およびNB1質量部を単量体として用い、分子量調節剤の1−へキセン 18質量部、およびトルエン 200質量部とともに、窒素置換した反応容器に仕込んで100℃に加熱した。
【0126】
これにトリエチルアルミニウム 0.005質量部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl:WCl=103:630:427 質量比)0.005質量部を加えて1分反応させ、次いで、DCP 10質量部とNB3質量部を5分で追加添加して、さらに45分反応させることにより、DNM/DCP/NB=69.77/26.01/4.23(wt%)の共重合体を得た。
【0127】
次いで、得られた共重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、反応調整剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを1質量部と水素添加触媒であるRuHCl(CO) [P(Cを0.006質量部添加し、155℃まで過熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、トルエン100質量部、蒸留水3質量部、乳酸0.72質量部、過酸化水素0.00214質量部を加え60℃で30分加熱した。その後、メタノール200質量部を加え60℃で30分加熱し、これを25℃まで冷却すると2層に分離した。上澄み液500質量部を除去し、再びトルエン350質量部、水3質量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240質量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。上澄み液500質量部を除去し、さらにトルエン350質量部、水3質量部を加え60℃で30分加熱し、その後メタノール240質量部を加え60℃で30分加熱して25℃まで冷却し、2層に分離した。最後に上澄み液500質量部を除去後、残ったポリマー溶液を、2.0μm、1.0μm、0.2μmのそれぞれのフィルターを用いて濾過した。その後、ポリマー固形分量を55%まで濃縮し、250℃、4torr、滞留時間1時間で脱溶媒処理を行い、10μmのポリマーフィルターを通過させて、共重合体を得た(以下、「樹脂B」という。)。
【0128】
このようにして得られた樹脂BのH−NMRにより測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したTgは131℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは16,000、Mwは61,000およびMw/Mnは3.81、23℃における飽和吸水率は0.18%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.52dl/gであった。
【0129】
[合成例3](環状オレフィン系樹脂Cの製造)
合成例1において、DNMの量を250質量部、1−ヘキセンの添加量を18質量部としたこと以外は、合成例1と同様にして水素添加重合体(以下、「樹脂C」という。)を得た。このようにして得られた樹脂CのH−NMRにより測定した水素添加率は99.9%、DSC法により測定したTgは165℃、GPC法により測定したポリスチレン換算によるMnは32,000、Mwは137,000およびMw/Mnは4.29、23℃における飽和吸水率は0.3%ならびに30℃におけるクロロホルム中での対数粘度は0.78dl/gであった。
【0130】
[合成例4](ポリアミック酸エステルの合成)
2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物0.1モル(22.4g)とp−フェニレンジアミン0.1モル(10.8g)をN−メチル−2−ピロリドン300gに溶解させ、60℃で6時間反応させた。次いで、反応混合物を大過剰のメタノールに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、ポリアミック酸27.4gを得た。得られたポリアミック酸16.6gにN−メチル−2−ピロリドン350g、1−ブロモ−6−(4−カルコニルオキシ)ヘキサン38.7gおよび炭酸カリウム13.8gを添加し、120℃で4時間反応させた。次いで、反応混合液を水に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。得られた沈殿物を水で洗浄し減圧下で15時間乾燥させて、ポリアミック酸エステル35.4gを得た。
【0131】
[合成例5](ポリアクリレートの合成)
メタクロイルオキシエチル−3−(E)−[4−ペンチル−4’−ビフェニル]アクリレート50gおよびアゾビスイソブチロニトリル0.1gをテトラヒドロフラン200mLに溶解した。この溶液を弱い窒素気流で10分間バブリングして窒素置換した後、反応容器を密閉した状態で60℃に加熱して24時間反応させた。得られた反応溶液を撹拌しながらテトラヒドロフラン250mLで希釈した。次いでこの希釈した反応溶液を23Lのジエチルエーテルに注ぎ反応性生物を沈殿させた。沈殿したポリマーをろ別してジクロロメタン1.5Lに溶解させ、再度ジエチルエーテルに注いでポリマーを沈殿させた。この操作をさらに繰り返して得た反応性生物を、減圧下50℃で15時間乾燥させることにより、ポリアクリレートとしてTgが123℃のポリ(メタクロイルオキシエチル−3−(E)−[4−ペンチル−4’−ビフェニル]アクリレート)を20g得た。
【0132】
[調製例1](配向膜組成物Aの調製)
合成例4で得たポリアミック酸エステルを、γ−ブチロラクトンに溶解させて、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランを重合体100重量部に対して0.75重量部溶解させ、固形分濃度4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、配向膜組成物Aを調製した。
[調製例2](配向膜組成物Bの調製)
合成例5で得たポリアクリレートを、γ−ブチロラクトンに溶解させて、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランを重合体100重量部に対して0.75重量部溶解させ、固形分濃度4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過し、配向膜組成物Bを調製した。
【0133】
[調製例3](液晶組成物の調製)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとメチルエチルケトンを質量比率が75:25となるように混合した溶剤を調製した。この混合溶剤を、メルク株式会社製の光重合性基を有する液晶の混合物(RMM19B)に固形分濃度が30質量%となるように加えて、35℃の周囲環境下にて撹拌しながら溶解することにより液晶組成物を調製した。
【0134】
[調製例4](水系粘着剤の調製)
反応容器に蒸留水250質量部を仕込み、当該反応容器にアクリル酸ブチル90質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8質量部と、ジビニルベンゼン2質量部と、オレイン酸カリウム0.1質量部とを添加し、これをテフロン(登録商標)製の撹拌羽根により撹拌して分散処理した。
【0135】
当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2質量部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部をさらに添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。
【0136】
次いで、エバポレータを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる水系粘着剤(極性基を有する粘着剤)を得た。
【0137】
このようにして得られた水系粘着剤を構成するアクリル酸エステル系重合体について、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、Mnは69,000、Mwは135,000であり、30℃のクロロホルム中で測定した対数粘度は1.2dl/gであった。
【0138】
[製造例1](原反フィルムAの製造)
合成例1で得た樹脂Aと酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、二軸押出機(東芝機械株式会社製;TEM−48)を用いて押出し、ストランドダイより流出させた樹脂ストランドを冷却水槽で冷却の後、ストランドカッターに送り込み、米粒状に裁断し、造粒樹脂を得た。酸化防止剤添加量は、樹脂100質量部に対して0.1質量部とした。
【0139】
この造粒樹脂を窒素雰囲気下で100℃×4時間乾燥の後、単軸押出機(90mmΦ)に送り込み、260℃で溶融しながら、ギアポンプで定量押出を実施し、公称の目開きを10μmとした日本精線製の金属繊維焼結フィルターを用いて、溶融ろ過を行い、コートハンガー型のダイ(1700mm幅)を用いて、コートハンガーダイ出口の間隙を0.5mmとして260℃で膜状に押出した。このときに用いたダイのダイランド長(ダイ出口の平行部分の長さ)は、20mmであった。ダイ出口からロール圧着点までの距離を65mmとして、押出したフィルムを、表面粗さが0.1Sの250mmΦの鏡面ロールと、0.3mm厚の金属ベルトの間に挟んで、フィルムの表面を光沢面に転写した。金属ベルト(幅1650mm)は、ゴム被覆のロール(保持するロールの径は150mmΦ)と、冷却ロール(ロール径150mm)により保持したもので、市販のスリーブ式転写ロール(千葉機械工業製)を用いて、転写した。転写するときのロール間隔は、0.35mmであり、転写圧力は、0.35MPaであった。
【0140】
このときの、鏡面ロールの外周の周速度を10m/minとした。このときの鏡面ロールの温度は、オイル温調機を用いて125℃、ゴム被覆ロールの温度は、115℃に設定した。
【0141】
鏡面ロールの下流側には、250mmΦの冷却ロールを配置し、鏡面ロールから剥ぎ取ったフィルムは、115℃に設定した冷却ロールに圧着するまでの時間を2.1秒間として冷却した。その後フィルムを、剥離張力0.4MPa・cmで剥離して、片面にマスキングフィルムを貼合して、巻き取り機で巻き取り、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「原反フィルムA」という)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
【0142】
[製造例2](原反フィルムBの製造)
製造例1において、樹脂Aに代えて、合成例2で得た樹脂Bを用いたこと以外は、製造例1と同様にして、厚み130μmの樹脂フィルムを得た(以下、「原反フィルムB」という)。得られたフィルムの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は131℃であった。
【0143】
[製造例3](原反フィルムCの製造)
合成例3で得られた樹脂Cをトルエンに30%濃度(室温での溶液粘度は30,000mPa・s)になるように溶解し、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を重合体100質量部に対して0.1質量部を添加し、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した。得られたポリマー溶液を、クラス1000のクリーンルーム内に設置した井上金属工業製INVEXラボコーターを用い、アクリル酸系で親水化(易接着性化)表面処理した厚さ100μmの基材のPETフィルム(東レ(株)製、ルミラーU94)上に、乾燥後のフィルム厚みが130μmになるように塗布し、これを50℃で一次乾燥の後、PETフィルムより剥がして90℃で二次乾燥を行うことにより樹脂フィルムを得た(以下、「フィルムC」という)。得られたフィルムCの残留溶媒量は0.1%であり、全光線透過率は93%で、ガラス転移温度(Tg)は165℃であった。
【0144】
[製造例4](保護フィルムの製造)
2軸押出機を用い、樹脂A100質量部に対して、(ペンタエリスリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート:融点115℃)0.3質量部、ベンゾトリアゾール化合物として、(2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]:融点199℃)1.5質量部の配合比にて270℃で溶融混練りした後、ストランド上に押出し、水冷後フィーダールーダーを通してペレットを得た。得られたペレットを、100℃、3時間、窒素下で循環除湿乾燥した後、ホッパーに送り、スクリュウ径75mmφの単軸押出機を用いて樹脂温度270℃で溶融させた。
【0145】
この溶融樹脂を両軸排出型のギアポンプにより30kg/hrの割合で、280℃に加温したポリマーフィルター(目開き5μm)を介して700mm幅コートハンガーダイに導いた。フィルターの入口と出口との差圧は3MPaであった。また、ダイのヒーターにはアルミ鋳込みヒーターを使用して250℃に設定し、前面のリップ部には加えてリップヒーターを設置し、ダイリップ温度を250±0.4℃に制御した。
【0146】
リップ開度は幅方向に0.5mmにセットし、微調整は溶融押出下流側に設置したオンライン厚み計にて厚みムラを計測して行なった。ダイから出た樹脂は250mmφのキャストロール(表面粗さ:0.1μ)の鉛直接線方向に落として圧着し、キャストロール軸に対し水平に設置した2本の冷却ロールで順に圧着した後剥離し、4kgfで張力制御して引取って、80μmの厚みの保護フィルムαを得た。
【0147】
[製造例5](偏光子の製造)
120μmのロール状のポリビニルアルコール(以下、「PVA」ともいう。)製フィルムを、ヨウ素濃度が0.03質量%であり、ヨウ化カリウム濃度が0.5質量%である30℃水溶液の染色浴にて、連続的に延伸倍率3倍で長手方向に一軸延伸(前延伸)した後、ほう酸濃度が5質量%であり、ヨウ化カリウム濃度が8質量%である水溶液の55℃の架橋浴中で、さらに延伸倍率2倍で長手方向に一軸延伸(後延伸)し、乾燥処理して巻き取り、27μmのロール状の偏光子を得た。
【0148】
[実施例1]
製造例1で得た原反フィルムAを用い、延伸機炉内温度155℃の槽内にて、延伸速度5.0m/min、延伸倍率3.0倍でテンター横延伸を行い、厚さ38μmのロール状の位相差フィルムAを得た。得られた位相差フィルムAの面内位相差R0は132.1nm、NZ係数は1.30であった。
【0149】
得られた位相差フィルムAの上に、井上金属工業製INVEXラボコーターにて200メッシュの小径グラビアロールを用いて、調製例1で得た配向膜組成物Aを塗工した。
【0150】
塗工に際しては、0.2μmのPTFE製フィルターでろ過を行い、塗工後にドライヤーを通過させて溶剤を揮発乾燥した。乾燥は、100℃で30秒の後、120℃で30秒と段階的な条件下で行った。続けて、Hg−Xeランプを用いて、パイレックス(登録商標)ガラス製偏光板SPF−50C−32(シグマ光機製)を通して、365nmの波長を主とする直線偏光した近紫外線を0.5J/cmのエネルギーで照射した。直線偏光の偏波軸方向はフィルム長手方向に平行となるように行った。さらに井上金属工業製INVEXラボコーターにて250メッシュの小径グラビアロールを用いて、調製例3で得た液晶組成物を塗工した。塗工に際しては、0.2μmのPTFE製フィルターでろ過を行い、塗工後にドライヤーを通過させて溶剤を揮発乾燥した。
【0151】
乾燥は、60℃で30秒の後、100℃で30秒と段階的な条件下で行った。溶剤を乾燥して形成した棒状液晶を含有する膜に高圧水銀ランプを用いてUV光を照射し、位相差フィルムA上に光重合により硬化した液晶配向膜が積層された積層フィルムA’を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.1nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=33.5度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。
【0152】
得られた積層フィルムA’の液晶配向膜が積層されていない方の面を、製造例5で得られた偏光子の片面にロール状フィルムを揃える様にして(偏光子の吸収軸である長手方向と積層フィルムA’の長手方向を平行にする)、調製例4で得られた水系接着剤を用いて両者を連続的に貼付し、偏光子のもう一方の面に製造例4で得られた保護フィルムαを調製例4で得られた水系接着剤を用いて貼付し、偏光板A−1を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、得られた偏光板A−1について耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験をそれぞれ行ったところ、ともに◎であった。結果を表1に示す。
【0153】
サムスン電子株式会社製液晶テレビ(モデルコード:LS20BRDBBV/XSJ)のTNモード液晶表示素子の観察者側および背面側の偏光板を剥離し、この剥離した箇所に、上記偏光板A−1を両面に、それぞれ元々貼付されていた偏光板の透過軸と同一にして、偏光板の位相差フィルム面が液晶セル側になるように貼付した。
【0154】
得られたTNモード液晶表示素子の、全方位で視野角(コントラスト比150以上の領域)を確認したところ、上下60度、左右120度であることを確認した。結果を表1に示す。
【0155】
[実施例2]
製造例2で得た原反フィルムBを用い、延伸機炉内温度160℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率4.2倍でテンター横延伸を行い、厚さ31μmのロール状の位相差フィルムBを得た。得られた位相差フィルムBの面内位相差R0は120.1nm、NZ係数は1.23であった。
実施例1において、位相差フィルムAに変えて位相差フィルムBを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムB’を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=84.9nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=32.6度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。
【0156】
さらに実施例1において、積層フィルムA’に変えて積層フィルムB’を使用したこと以外は実施例1と同様にして偏光板B−1を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度左右115度であった。結果を表1に示す。
【0157】
[実施例3]
製造例3で得た原反フィルムCを用い、延伸機炉内温度169℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.4倍で、フィルム幅方向を固定しないフィルム長手方向の一軸延伸をしたのち、延伸機炉内温度183℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.7倍でテンター横延伸を行い、厚さ73μmのロール状の位相差フィルムCを得た。得られた位相差フィルムCの面内位相差R0は40.5nm、NZ係数は2.9であった。
【0158】
実施例1において、位相差フィルムAに変えて位相差フィルムCを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムC’を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=84.3nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=32.3度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例1において、積層フィルムA’に変えて積層フィルムC’を使用したこと以外は実施例1と同様にして偏光板C−1を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0159】
[実施例4]
実施例1において、保護フィルムαに変えてトリアセチルセルロース(以下、「TAC」ともいう。)製フィルムを使用したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板A−2を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ41.9%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ○と◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度、左右120度であった。結果を表1に示す。
【0160】
[実施例5]
実施例2において、保護フィルムαに変えてTAC製フィルムを使用したこと以外は実施例2と同様にして、偏光板B−2を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ41.8%および99.9%であった。また、耐久性試験として、湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ○と◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右120度であった。結果を表1に示す。
【0161】
[実施例6]
実施例3において、保護フィルムαに変えてTAC製フィルムを使用したこと以外は実施例3と同様にして、偏光板C−2を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ41.8%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ○と◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0162】
[実施例7]
実施例1において、位相差フィルムAに変えて延伸していない原反フィルムAを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムEを得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.0nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=32.1度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに製造例5で得られた偏光子の両面に製造例4で得られた保護フィルムαを調製例4で得られた水系接着剤を用いて連続的に貼付し、偏光板γを得た。この偏光板γの片面に、得られた積層フィルムEの液晶配向膜が積層されていない方の面を、偏光子の吸収軸である長手方向と積層フィルムEの長手方向を直交となるように裁断して調製例4で得られた水系接着剤を用いて貼合し、偏光板A−3を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右120度であった。結果を表1に示す。
【0163】
[実施例8]
実施例1において、位相差フィルムAに変えて延伸していない原反フィルムBを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムFを得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=84.6nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=34.1度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例7において、積層フィルムEに変えて積層フィルムFを使用したこと以外は実施例7と同様にして偏光板B−3を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右120度であった。結果を表1に示す。
【0164】
[実施例9]
実施例1において、位相差フィルムAに変えて延伸していない原反フィルムCを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムGを得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=83.2nm、配向角θ=0.2度、倒れ角β=33.2度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例7において、積層フィルムEに変えて積層フィルムGを使用したこと以外は実施例7と同様にして偏光板C−3を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0165】
[実施例10]
実施例1において、配向膜組成物Aに変えて調製例2で調整した配向膜組成物Bを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムA’−1を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.1nm、配向角θ=0.1度、倒れ角β=34.5度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに製造例5で得られた偏光子の両面に製造例4で得られた保護フィルムαを調製例4で得られた水系接着剤を用いて連続的に貼付し、偏光板γを得た。この偏光板γの片面に、得られた積層フィルムA’−1の液晶配向膜が積層されていない方の面を、偏光子の吸収軸である長手方向と積層フィルムA’−1の長手方向を直交となるように裁断して調製例4で得られた水系接着剤を用いて貼合し、偏光板A−4を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0166】
[実施例11]
実施例2において、配向膜組成物Aに変えて調製例2で調整した配向膜組成物Bを使用したこと以外は実施例2と同様にして、積層フィルムB’−1を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.2nm、配向角θ=0.0度、倒れ角β=32.1度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例10において、積層フィルムA’−1に変えて積層フィルムB’−1を使用したこと以外は実施例10と同様にして偏光板B−4を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0167】
[実施例12]
実施例3において、配向膜組成物Aに変えて調製例2で調整した配向膜組成物Bを使用したこと以外は実施例3と同様にして、積層フィルムC’−1を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.2nm、配向角θ=0.2度、倒れ角β=33.2度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例10において、積層フィルムA’−1に変えて積層フィルムC’−1を使用したこと以外は実施例10と同様にして偏光板C−4を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
【0168】
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度、左右120度であった。結果を表1に示す。
【0169】
[比較例1]
実施例1において、積層フィルムA’に変えて液晶組成物を塗工しない位相差フィルムAを使用したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板A−5を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下20度、左右115度となり上下方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0170】
[比較例2]
実施例2において、積層フィルムB’に変えて液晶組成物を塗工しない位相差フィルムBを使用したこと以外は実施例2と同様にして、偏光板B−5を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験を実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下15度、左右115度となり上下方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0171】
[比較例3]
実施例3において、積層フィルムC’に変えて液晶組成物を塗工しない位相差フィルムCを使用したこと以外は実施例3と同様にして、偏光板C−5を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ41.7%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験を実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下15度、左右115度となり上下方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0172】
[比較例4]
実施例1において、積層フィルムA’に変えて液晶組成物を塗工せず延伸もしていない原反フィルムAを使用したこと以外は実施例1と同様にして、偏光板A−6を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下15度、左右20度となり上下、左右方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0173】
[比較例5]
実施例2において、積層フィルムB’に変えて液晶を塗工せず延伸もしていない原反フィルムBを使用したこと以外は実施例2と同様にして、偏光板B−6を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.0%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験を実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下15度、左右20度となり上下、左右方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0174】
[比較例6]
実施例3において、積層フィルムC’に変えて液晶組成物を塗工せず延伸もしていない原反フィルムCを使用したこと以外は実施例3と同様にして、偏光板C−6を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験を実施例1と同様におこなったところ、それぞれ◎であった。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下15度、左右15度となり上下、左右方向の視野角が狭くなった。結果を表1に示す。
【0175】
[比較例7]
アセチル置換度/プロピオニル置換度の比が70/30であるセルロース系樹脂未延伸フィルムを、延伸機炉内温度138℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.6倍で、フィルム幅方向を固定しないフィルム長手方向の一軸延伸をしたのち、延伸機炉内温度152℃の槽内にて、延伸速度5m/min、延伸倍率1.9倍でテンター横延伸を行い、厚さ52μmのロール状の位相差フィルムHを得た。得られた位相差フィルムHの面内位相差R0は40.2nm、NZ係数は2.9であった。
【0176】
実施例1において、位相差フィルムAに変えて位相差フィルムHを使用したこと以外は実施例1と同様にして、積層フィルムH’を得た。形成された液晶配向膜の厚みと位相差を分析したところ、厚み1.7μm、面内位相差R0=85.0nm、配向角θ=0.0度、倒れ角β=32.7度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。さらに実施例4において、位相差フィルムAに変えて位相差フィルムH’を使用したこと以外は実施例4と同様にして、偏光板H−1を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ42.1%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例1と同様におこなったところ、それぞれ×と◎であった。特に湿熱試験では、偏光板が撓んで形状が変化しており、使用不可能となっていた。
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下60度、左右115度であった。結果を表1に示す。
【0177】
[比較例8]
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム上に、側鎖に結合基を有するビニル系繰り返し単位を有する変性PVAからなる配向膜を形成し、当該配向膜上に、重合性基が結合した円盤状液晶性化合物と光重合開始剤を有する組成物を塗布して加熱した後、紫外線を照射して、積層フィルムJを得た。得られた積層フィルムJの面内位相差R0は40.1nm、配向角は0.1度、βは22.3度であった。また、密着性は25/25であり良好であった。実施例4において位相差フィルムAに変えて位相差フィルムJを使用したこと以外は実施例4と同様にして偏光板J−1を得た。得られた偏光板の単体透過率及び偏光度を調べたところそれぞれ40.9%および99.9%であった。また、耐久性試験として湿熱試験および乾熱試験も実施例4と同様におこなったところ、それぞれ×と◎であった。特に湿熱試験では、偏光板が撓んで形状が変化しており、使用不可能となっていた。
【0178】
実施例1と同様にしてTNモード液晶表示素子を得て評価を行ったところ、視野角は上下65度、左右85度であった。結果を表1に示す。














【0179】
【表1】

【0180】
本発明の積層フィルムによれば、配向膜(B)が放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなるため、ラビング処理が不要であり、ラビング工程に伴う異物などによる欠陥、帯電によって付着する環境異物による製品の歩留まり低下を招くことなく、非接触で強い液晶配向制御能を配向膜に発現させることができる。そのため均一な光学特性を有し、耐久性能に優れた光学補償フィルムやTNモード液晶表示素子用視野角補償フィルム等の光学用途に適した積層フィルム、及びその製造方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂層(A)、配向膜(B)、液晶層(C)の順に各層が積層されたことを特徴とする積層フィルムであって、前記配向膜(B)が放射線の照射によって液晶配向能を付与されてなることを特徴とする積層フィルム。
【化1】

[式(I)中、mは0以上の整数であり、pは0以上の整数であり、Dは−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは1価の基、R1およびR2が一体化して形成される2価の炭化水素基、R3およびR4が一体化して形成される2価の炭化水素基、R1およびR2は互いに結合して形成される炭素環または複素環、R3およびR4が互いに結合して形成される炭素環または複素環を表す。]
【請求項2】
前記配向膜(B)が下記式(a)で表される構造を有する重合体を含有する配向剤を用いて形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
【化2】

[式(II)中、Rは−C(O)O−;−CONH−;−CO−E−;非置換またはハロゲン、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4-フェニレン;ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンまたは複素環を表し、Eは非置換またはハロゲン、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4-フェニレン;ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンまたは複素環を表し、Zは単結合、非置換またはハロゲン基、シアノ基およびニトロ基から選ばれる基を有する1,4-フェニレン、、あるいはピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、2,5−チオフェンジイル、2,5−フラニレン、トランス−1,4−シクロヘキシレン、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイルまたは1,4−ピペリジルを表し、Arは芳香族環を有する1価の基を表す。]
【請求項3】
前記環状オレフィン系樹脂がさらに下記式(II)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
【化3】

[式(II)中、Dは−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは1価の基、R1およびR2が一体化して形成される2価の炭化水素基、R3およびR4が一体化して形成される2価の炭化水素基、R1〜R4から選ばれる2つの基が互いに結合して形成される単環の脂環式炭化水素環または複素環を表す。]
【請求項4】
前記液晶層(C)がハイブリッド配向していることを特徴とする請求項1〜3に記載の積層フィルム。
【請求項5】
下記式(I)で表される繰り返し単位を有する環状オレフィン系樹脂を含有する環状オレフィン層(A)の片面に配向剤を塗布する工程、形成された塗膜に放射線を照射し、配向膜(B)を得る工程、当該放射線照射処理を施した面上に液晶組成物を塗布し、液晶層(C)を形成する工程を含むことを特徴とする積層フィルムの製造方法。
【化4】

[式(I)中、mは0以上の整数であり、pは0以上の整数であり、Dは−CH=CH−または−CH2CH2−で表される基であり、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;極性基よりなる群から選ばれる原子もしくは1価の基、R1およびR2が一体化して形成される2価の炭化水素基、R3およびR4が一体化して形成される2価の炭化水素基、R1およびR2は互いに結合して形成される炭素環または複素環、R3およびR4が互いに結合して形成される炭素環または複素環を表す。]
【請求項6】
前記配向膜(B)が前記式(a)で表される構造を有する重合体を含有することを特徴とする請求項5に記載の積層フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記液晶層(C)がハイブリッド配向していることを特徴とする請求項5または6に記載の積層フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4に記載の積層フィルムを保護フィルムとして有することを特徴とする偏光板。
【請求項9】
請求項8に記載の偏光板をセルの片側もしくは両側に配置することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項10】
液晶セルがTNモードであることを特徴とする。請求項9に記載の液晶表示素子。

【公開番号】特開2010−52273(P2010−52273A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219579(P2008−219579)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】