説明

積層体の製造方法及び積層体

【課題】1回の塗布プロセスにより積層体を形成する塗布方式であり、層間の密着性に極めて優れる積層体を簡便かつ生産性良く製造する方法、及び積層体を提供する。
【解決手段】(1)溶液を複数調製する工程、(2)複数溶液を積層する工程、(3)積層した溶液を基材4上に転移させる工程、及び(4)乾燥する工程を有する積層体の製造方法であって、工程(2)にて相接することになる2つの溶液A、Bに含有される溶剤同士が、同一の溶剤であるか又は相溶性を有する溶剤であることを条件とし、下層用の溶液に、加熱によって架橋反応を起こす混合防止用成分を含有しておき、工程(2)において、下層用の溶液Bに加熱処理を施すことにより、混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせた後に、上層用の溶液Aを積層することによって、熱架橋反応により生成した生成物を、下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在させることを特徴とする、積層体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造方法及び積層体に関する。さらに詳しくは、溶剤に層形成用成分を溶解した溶液を複数調製し、得られた複数の溶液を積層してから基材上に転移させ、その後に乾燥させることにより、層間の密着性に極めて優れる積層体を簡便かつ生産性良く製造する方法、及び該製造方法によって製造し得る積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
積層体の形成には、層形成用成分を有機溶剤に溶解した有機溶剤系溶液を用いる方法と、層形成用成分を水系溶剤に溶解した水系溶液(以下、層形成用水系溶液と称することがある。)を用いる方法が知られている。
これらの溶液を用いた積層体の形成方法としては、層形成用成分を溶解した溶液の塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗工方式が知られている。該タンデム塗工方式では、下層用溶液が上層用溶液によって流されることのないよう、上層用溶液を塗布する前に下層用溶液を定着させておく必要がある。特に、層形成用水系溶液を用いた積層体の製造では、1つの乾燥工程に非常に多くの時間及びエネルギーを要するため、塗布と乾燥処理を繰り返すタンデム塗工方式では極めて多くの時間及びエネルギーが必要となり、該タンデム塗工方式は適さない。また、そもそもタンデム塗工方式では、塗布と乾燥処理を繰り返すために、層間に必然的に空気が入り込むため、層間密着性が不十分となる傾向にある。さらには、層数を増やすほど異物混入の確立が高まるため、このことが歩留まりの低下につながる。
一方、上記問題を解決する方法として、1回の塗布プロセスにより積層体を形成する塗布方式が知られており、該多層塗工方式は、写真フィルム等の塗工プロセスに広く利用されている。多層塗工方式は、例えば図1に示すように、塗布ヘッド1における複数の狭いスリットから上層溶液A及び下層溶液Bを押し出し、傾斜したスライド面2上を重力の作用により自然流下させ、重なりあった上層溶液A及び下層溶液Bをロール3によって、走行する基材4上に転移させて積層体を形成するものである。
このような多層塗工方式を採用した方法としては、ゼラチンをバインダーとするハロゲン化乳化剤を同時多層塗布し、その後冷却する方法(特許文献1参照)が知られている。この方法は、ゼラチンのゾル−ゲル変換特性を利用して多層膜をゲル化させて超高粘状態にし、層間の混合を起こり難くした上で熱風乾燥等を行うことにより積層体を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭58−199074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、積層構造を保持するために、ゼラチンに代表されるゲル化剤を多量に用いる。そのため、例えばハードコート性や透明性等の各種機能を付与することができず、さらにゲル化剤と相溶しない又は反応してしまう成分を用いることができない等の理由により、得られる積層体の用途が限定されてしまうという問題がある。
なお、積層化を実現するために通常用いられているゲル化剤や増粘剤は、その効果を得るためには多量の添加を要することが多く、積層後に、層中、層間を移動して、界面や表面に多く析出して、機械的強度や層間密着性を低下させ得る等の懸念点がある。また、ゲル化剤や増粘剤としては、様々の種類の材料が提案されているものの、前述の通り、多量に添加する必要があるものが殆どであり、効果的な材料があまり提案されていないのが実状である。
本発明は、このような状況下になされたものであり、タンデム方式ではなく、1回の塗布プロセスにより積層体を形成する塗布方式であり、ゼラチン等のゲル化剤を大量に添加する必要が無く、例えばハードコート性や透明性等の各種機能を付与し得る積層体の製造方法であって、溶剤に層形成用成分を溶解した溶液を複数調製し、得られた複数の溶液を積層してから基材上に転移させ、その後に乾燥させることにより、層間の密着性に極めて優れる積層体を簡便かつ生産性良く製造する方法、及び該製造方法によって製造し得る積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、1回の塗布プロセスにより積層体を形成する塗布方式において、相接する2つの溶液のうちの下層用の溶液に、加熱されることによって架橋反応を起こす混合防止用成分を含有しておき、該下層用の溶液に加熱処理を施すことによって該混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせた後に、上層用の溶液を前記下層用の溶液上に積層することによって、前記熱架橋反応により生成した生成物を、前記下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在させることにより、相接する2つの溶液の積層構造が良好に保持されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、下記[1]〜[6]に関する。
[1](1)溶剤に層形成用成分を溶解した溶液を複数調製する工程、
(2)前記工程(1)で得られた複数の溶液を積層する工程、
(3)前記工程(2)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
(4)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
を有する積層体の製造方法であって、
前記工程(1)で複数調製した溶液中の、前記工程(2)にて相接することになる2つの溶液に含有される溶剤同士が、同一の溶剤であるか又は相溶性を有する溶剤であることを条件とし、
前記工程(1)において、前記2つの溶液のうちの下層用の溶液に、加熱されることによって架橋反応を起こす混合防止用成分を含有しておき、前記工程(2)において、下層用の溶液に加熱処理を施すことにより、混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせた後に、上層用の溶液を前記下層用の溶液上に積層することによって、前記熱架橋反応により生成した生成物を、前記下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在させることを特徴とする、積層体の製造方法。
[2]前記下層用の溶液中の混合防止用成分の濃度が3〜30質量%である、上記[1]に記載の積層体の製造方法。
[3]前記混合防止用成分がたんぱく質である、上記[1]又は[2]に記載の積層体の製造方法。
[4]前記たんぱく質がコラーゲンである、上記[3]に記載の積層体の製造方法。
[5]下層用の溶液に加熱処理を施す際の温度が75〜180℃である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体の製造方法。
[6]たんぱく質の熱架橋反応により生成した生成物を含有する積層体。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、1回の塗布プロセスにより積層体を形成する塗布方式において、膜形成用成分を溶剤に溶解した溶液を複数用いた積層体の製造方法であって、相接することになる2つの溶液に含有される溶剤が同じであるか又は相溶性を有しているにも関らず、積層しようとする2つの溶液の混合を抑制することができるため、層間の密着性に優れる積層体を簡便かつ生産性良く製造することができる。本発明の製造方法は、積層体に例えばハードコート性や透明性等の各種機能を付与することも可能な方法である。さらに本発明によれば、製造コストを低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】1回の塗布プロセスにより積層体を形成する装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、
(1)溶剤に層形成用成分を溶解した溶液を複数調製する工程、
(2)前記工程(1)で得られた複数の溶液を積層する工程、
(3)前記工程(2)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
(4)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
を有する積層体の製造方法であって、
前記工程(1)で複数調製した溶液中の、前記工程(2)にて相接することになる2つの溶液に含有される溶剤同士が、同一の溶剤であるか又は相溶性を有する溶剤であることを条件とし、
前記工程(1)において、前記2つの溶液のうちの下層用の溶液に、加熱されることによって架橋反応を起こす混合防止用成分を含有しておき、前記工程(2)において、下層用の溶液に加熱処理を施すことにより、混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせた後に、上層用の溶液を前記下層用の溶液上に積層することによって、前記熱架橋反応により生成した生成物を、前記下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在させることを特徴とするものである。
当該熱架橋反応による生成物が下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在する形態としては、相接する2つの溶液の混合が抑制され、積層構造が保持される限りは特に制限は無いが、通常、膜状となっており、いわゆる皮膜を形成した状態となる。
後述するように、本発明で用いる混合防止用成分の溶液中の含有割合は、溶液の全固形分濃度に対して小さくて済むため、積層体全体の機能に大きな影響を与えない。また、混合防止用成分を化学反応させて得られる生成物は、前述のとおり、下層の表面に存在しているため、その観点からも、積層体全体の機能には大きな影響を与え難いと言える。
なお、本発明の積層体の製造方法について、便宜上、2層積層体の製造方法を例として説明することがあるが、本発明は2層に限定されるものではなく、3層以上の積層体の製造にも適用が可能である。積層する溶液のうち、上層用を「上層溶液A」、下層用を「下層溶液B」と称することがある。
以下、前記工程(1)〜(4)について、順に説明する。
【0010】
[工程(1)]
工程(1)は、層形成用成分を溶剤に溶解した溶液を複数調製する工程である。溶液としては、水系溶剤を用いて調製される水系溶液と、主に有機溶剤を用いて調製される有機溶剤系溶液がある。本発明では、いずれの種類の溶液を用いても構わないが、後述する工程(2)で相接する2つの溶液中の溶剤を同一の溶剤にするか又は相溶性のある溶剤にする。ここで、「相溶性のある溶剤」とは、一方の溶剤に他方の溶剤を加えると、積層構造を保持できない程度に混合し合う溶剤を言う。工程(2)で相接する2つの溶液中の溶剤をこのような組み合わせにすることで、本発明の効果が発現する。
また、溶液としては、本発明の効果を最大限に発現する観点から、水や水素結合性の強い溶剤を用いて調製される溶液が好ましく、水や後述するアルコール系有機溶剤を用いて調製される溶液がより好ましい。
なお、溶液中の膜形成用成分の濃度は、積層体の形成容易性及び生産性等のバランスの観点から、通常、いずれも好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜45質量%である。
(水系溶剤)
水系溶剤としては、水を主成分とするものであり、該水として、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。水系溶剤としては、水以外の水溶性の有機溶剤、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤;メタノール等のアルコール系有機溶剤等を含有していてもよい。
水系溶剤中の水の割合は、層形成用成分の溶解性の観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは実質100質量%である。
【0011】
(有機溶剤)
有機溶剤としては、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族系有機溶剤;トルエン、キシレン、ブロモベンゼン等の芳香族系有機溶剤;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系有機溶剤;エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記観点から、水素結合性の強い溶剤が好ましく、アルコール系有機溶剤がより好ましい。
なお、水溶性の有機溶剤の場合には、少量の水が含有されていてもよい。その場合、溶液中の有機溶剤の含有量は、層形成用成分の溶解性の観点から、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは実質100質量%である。
【0012】
(水系溶剤用の層形成用成分)
水系溶剤用の層形成用成分としては、前記水系溶剤に溶解し、且つ、いわゆる皮膜を形成し得る成分であれば特に制限はない。例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、けん化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体、スルホン化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のポリスチレンスルホン酸、けん化度50モル%以上(好ましくは70モル%以上)のエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸及びその塩、水性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩類、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性ポリオレフィン樹脂、水性フェノール樹脂、ポリパラビニルフェノール等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、成膜性、膜厚均一性の観点から、水性アクリル樹脂、水性ポリエステル樹脂、ポリパラビニルフェノールが好ましい。
なお、「水性」とは、水溶性であることを示し、その製造方法に特に制限はないが、いずれも市販品を用いるのが簡便である。
【0013】
前記水性アクリル樹脂としては、アクリル酸と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルやその他の重合性モノマーとの共重合体等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。その他の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルアルコール、エチレン等が挙げられる。また、水性アクリル樹脂としては、例えばDIC(株)製の「ウォーターゾール(登録商標)」シリーズ等の市販品を用いることもできる。
【0014】
前記水性ポリエステル樹脂は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールと、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の多塩基酸とを脱水縮合させた後、アンモニアや有機アミン等で中和し、水分散化させることにより得ることができる。また、例えば東洋紡績(株)製の「バイロナール(登録商標)」シリーズ等の市販品を用いることもできる。
なお、水性ポリエステル樹脂の水酸基価は、好ましくは5〜30KOHmg/g、より好ましくは10〜25KOHmg/g、さらに好ましくは10〜20KOHmg/gである。また、水性ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは3KOHmg/g以下である。水性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは70〜85℃である。
【0015】
前記ポリパラビニルフェノールは、パラビニルフェノールのホモポリマーであり、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば丸善石油化学(株)製の「マルカリンカー(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
また、前記ポリビニルアルコールの誘導体の具体例としては、カルボキシル化ポリビニルアルコール、スルホン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物等が挙げられる。
なお、膜形成用成分の重量平均分子量は、好ましくは5千〜100万、より好ましくは1万〜10万、さらに好ましくは1万〜5万である。なお、本明細書において、重量平均分子量は、いずれもゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値である。
【0016】
(有機溶剤系溶液用の層形成用成分)
有機溶剤系溶液用の層形成用成分としては、前記有機溶剤に溶解し、且つ、いわゆる皮膜を形成し得る成分であれば特に制限はなく、熱可塑性樹脂や活性エネルギー線硬化型化合物を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ポリカーボネート、けん化度50モル%未満(好ましくは20モル%以下)のポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体、スルホン化度50モル%未満(好ましくは20モル%以下)のポリスチレンスルホン酸、けん化度50モル%未満(好ましくは20モル%以下)のエチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、皮膜の形成容易性及び有機溶剤系溶液に対する溶解性の観点から、好ましくは数万〜数百万であり、より好ましくは3万〜50万である。
また、前記活性エネルギー線硬化型化合物は、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより、架橋、硬化する化合物である。この活性エネルギー線硬化型化合物としては、以下の活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又は活性エネルギー線硬化型モノマーを用いることができる。
【0017】
活性エネルギー線硬化型オリゴマーとしては、例えばポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエーテルアクリレート系、ポリブタジエンアクリレート系、シリコーンアクリレート系のオリゴマー等が挙げられる。
上記活性エネルギー線硬化型オリゴマーの重量平均分子量は、皮膜の形成容易性及び有機溶剤系溶液に対する溶解性の観点から、好ましくは500〜100,000、より好ましくは1,000〜70,000、さらに好ましくは3,000〜40,000の範囲である。
該活性エネルギー線硬化型オリゴマーは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
活性エネルギー線硬化型モノマーとしては、例えばジ(メタ)アクリル酸1,4−ブタンジオールエステル、ジ(メタ)アクリル酸1,6−ヘキサンジオールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコールアジペートエステル、ジ(メタ)アクリル酸ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、ジ(メタ)アクリル酸カプロラクトン変性ジシクロペンテニル、ジ(メタ)アクリル酸エチレンオキシド変性リン酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸アリル化シクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸イソシアヌレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパンエステル、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトールエステル、トリ(メタ)アクリル酸プロピオンオキシド変性トリメチロールプロパンエステル、イソシアヌル酸トリス(アクリロキシエチル)、ペンタ(メタ)アクリル酸プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールエステル、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトールエステル、ヘキサ(メタ)アクリル酸カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。これらのモノマーは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
また、前記活性エネルギー線硬化型化合物と共に、光重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、公知のものを使用でき、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミン安息香酸エステル、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニル)フェニル]プロパノン)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤を使用する場合、その使用量は、用いる活性エネルギー線硬化型化合物の種類に応じて適宜選定すればよいが、通常、活性エネルギー線硬化型化合物に対して0.001〜0.5倍質量の範囲で使用するのが好ましい。
【0020】
また、本発明では、複数調製する溶液のうち、相接することになる2つの溶液のうちの下層用の溶液に、後述する「混合防止用成分」を含有させる。そうすることにより、後述する工程(2)において該下層用の溶液に加熱処理を施すことにより、該混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせることができ、該熱架橋反応により生成した生成物が、下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在することとなり、これによって、上層用の溶液との混合が抑制されて積層構造が保持されたものと推測される。なお、相接することになる2つの溶液のうちの下層用の溶液に混合防止用成分を含有させない場合、工程(2)において、相接する2つの溶液は混合してしまい、積層構造を保持することができない。
(混合防止用成分)
混合防止用成分としては、加熱されることによって架橋反応を起こすものであれば特に制限は無いが、たんぱく質が好ましく、コラーゲン、ケラチン、エラスチンがより好ましく、環境面及び製造コストの観点からは、コラーゲンがさらに好ましい。
溶液中の混合防止用成分の濃度は高いほど良いが、積層体の機能を阻害せずに本発明の効果を発現させるという観点からは、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。
(その他の成分)
層形成用成分を溶剤に溶解した溶液には、さらに必要に応じて、各種添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤、消泡剤、充填剤、潤滑剤、滑剤等を含有させることもできる。
なお、こうして得られる溶液の固形分濃度及び粘度としては、基本的には塗布することが可能な濃度及び粘度であればよく、状況に応じて適宜選定することができる。
【0021】
[工程(2)]
工程(2)は、前記工程(1)で得られた複数の溶液を積層する工程である。
積層する際の複数の溶液の温度としては、好ましくは5〜50℃、より好ましくは10〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃であり、通常は、操作容易性の観点から、常温とする。
複数の溶液を積層する方法に特に制限は無いが、例えば(I)傾斜したスライド面上にて積層させる方法、(II)水平な平面状にて積層させる方法、(III)円形シリンダー上にて積層させる方法、(IV)傾斜した放物面上にて積層させる方法等が挙げられる。これらの中でも、装置の入手容易性の観点及び操作の簡便性の観点から、通常、方法(I)が好ましく利用される。
前記方法(I)を利用する場合、層形成用成分を溶解した溶液を流動させるための、傾斜したスライド面を有するものとしては、例えば図1に示すようなスライドコーターが好ましく挙げられる。
効率的に積層体を形成する観点から、スライド面の傾斜角度は、水平方向に対して5〜40度が好ましく、10〜35度がより好ましく、15〜35度がさらに好ましい。また、効率的に積層体を形成する観点から、スライド面上への溶液の吐出口の中心と、隣り合う溶液の吐出口の中心との距離は、8〜30cmが好ましく、10〜28cmがより好ましく、12〜26cmがさらに好ましい。さらに、効率的に積層体を形成する観点から、複数のスライド面上への溶液の吐出口の内、積層した溶液を基材へ転移する部位に最も近い吐出口の中心と、基材との距離は、2〜14cmが好ましく、3〜12cmがより好ましく、4〜11cmがさらに好ましい。特に、このように設計されたスライドコーターを使用した場合に、本発明の効果が顕著に現れる傾向にある。
【0022】
−熱架橋反応−
前述の通り、前記混合防止用成分を含有する溶液を塗布した後、溶液の表面に加熱処理を施すことにより、該溶液の表面にて熱架橋反応が起こる。
加熱処理を施す際の温度は、熱架橋反応効率、及び溶剤が揮発し過ぎるのを抑制する観点から、好ましくは75〜180℃、より好ましくは80〜170℃、さらに好ましくは80〜150℃、特に好ましくは80〜120℃である。前記加熱温度にて、好ましくは2〜30秒間/300cm2程度、より好ましくは2〜10秒間/300cm2、加熱処理を施す。また、加熱処理の仕方に特に制限は無いが、ドライヤーを用いて熱風を吹き付ける方法が簡便である。なお、傾斜したスライド面を有する、例えば図1に示すようなスライドコーターを利用する場合には、ドライヤーを用いてもよいが、下層溶液Bのスリットの横から吐出口までの間に、熱風を吹き付けられるような装置を用いてもよく、工業的にはこのような装置を採用するのが好ましい。
【0023】
[工程(3)]
工程(3)は、以上のようにして積層した溶液を、基材上に転移させる工程である。
(基材)
基材に特に制限はなく、積層体を有する部材の用途によって適宜選択することができる。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム;セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム等のセルロース系フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等の塩化ビニル系フィルム;ポリビニルアルコールフィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム等のビニル系共重合体フィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリメチルペンテンフィルム;ポリスルホンフィルム;ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム等のポリエーテル系フィルム;ポリイミドフィルム;フッ素樹脂フィルム;ポリアミドフィルム;アクリル樹脂フィルム;ノルボルネン系樹脂フィルム;シクロオレフィン樹脂フィルム等が挙げられる。
【0024】
基材は、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。
基材の厚さに特に制限はなく、状況に応じて適宜選定されるが、通常、15〜250μm、好ましくは30〜200μmの範囲である。
また、この基材は、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理法は基材の種類に応じて適宜選ばれるが、効果及び操作性等の観点から、一般にはコロナ放電処理法が好ましく用いられる。
【0025】
以下に、図1のスライドコーターを参照して、工程(1)で得られた複数の溶液を積層する方法の一例を詳細に説明する。
複数のスリット状の吐出口を有する塗布ヘッド1における各吐出口から、それぞれ上層溶液A、下層溶液Bを押し出し、傾斜したスライド面2上を重力の作用により自然流下させ、上層溶液Aと下層溶液Bとを積層する。積層した溶液は、ロール3によって走行する基材4上に転移させ、次の工程(4)へと移行する。
【0026】
[工程(4)]
工程(4)は、前記工程(3)で転移した積層状態の複数の溶液を加熱乾燥することにより、積層体を形成する工程である。加熱乾燥温度は、通常、好ましくは50〜130℃、より好ましくは60〜120℃である。加熱乾燥時間に特に制限は無いが、通常、1分〜5分間程度必要である。
このようにして得られた積層体の各層の厚さは、通常、好ましくは0.1〜100μm程度、より好ましくは1〜70μmであり、各層の積層構造が保持されている。この積層構造は、例えばスラブ型光導波路分光法を利用した界面紫外可視分光測定装置を用いて確認することができる。また、断面の走査型電子顕微鏡(SEM)や光学顕微鏡によっても確認することができる。
【0027】
本発明の製造方法は、多量の溶液を用いて連続的又は断続的に実施してもよいし、必要最小限の量の溶液を用いてバッチ方式で実施してもよい。
以上の様にして得られる積層体は、たんぱく質の熱架橋反応により生成した生成物を含有する積層体である。より詳細には、本発明の積層体は、積層体中に、層形成用成分とたんぱく質とを含有する層であって、該たんぱく質は該層の表面(上層側)に存在しており、該層上に、層形成用成分を含有する層を有する積層体である。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0029】
製造例1;上層用水系溶液
ポリパラビニルフェノール(層形成用成分、丸善石油化学(株)製、「マルカリンカー(登録商標)M」、重量平均分子量=約2万)70g、純水(関東化学(株)製)70g、及び識別用着色剤としてインジゴ(関東化学(株)製)0.5gを室温で混合及び攪拌し、青色の水系溶液1を得た。
【0030】
製造例2;下層用水系溶液
コラーゲン(関東化学(株)製、カーフスキン(Calf Skin)由来)15g、水性ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、「バイロナール(登録商標)MD−1500」、ガラス転移温度77℃、重量平均分子量=約2万、固形分濃度30質量%)130g、及び識別用着色剤としてアントラキノン(関東化学(株)製)0.5gを室温で混合及び攪拌し、赤色の水系溶液2(熱変性材料の濃度:約10質量%)を得た。
【0031】
実施例1
上層用として製造例1で製造した水系溶液1を用い、下層用として製造例2で製造した水系溶液2を用い、図1に示す装置(スライド面の傾斜角度;水平方向に対して25度、隣り合う吐出口の距離;8cm、積層した水系溶液を基材へ転写する部位に最も近い吐出口の中心と基材との距離;10cm)を用い、上層用の水系溶液1が下層用の水系溶液2に接液する前の位置(水系溶液2の吐出口から約4cmの位置)において、下層用の水系溶液2の表面全体にターボドライヤー((株)東芝製のハンドドライヤーHDH−PM25;熱風温度約90℃)で熱風を5秒間吹き付けた後、上層用の水系溶液1を接液させ、積層した水系溶液を厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム「コスモシャインA4100」(東洋紡績(株)製)上に転写した後、70℃のオーブン中で2分間乾燥し、積層体を得た。
得られた積層体の断面を、目視及び走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、識別用着色剤を加えた上層及び下層の2層において、識別用着色剤の大幅な混合は見られず、積層構造が良好に保持されていることを確認できた。
【0032】
比較例1
実施例1において、下層用の水系溶液2を塗布した後に熱風を吹き付けなかったこと以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層体の形成を試みた。
層の断面を目視及びSEMで観察したところ、識別用着色剤が混合していて、積層構造が保持されていなかった。
【0033】
比較例2
実施例1において、90℃の熱風を吹き付ける代わりに、送風(約15℃)を吹き付けたこと以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層体の形成を試みた。
層の断面を目視及びSEMで観察したところ、識別用着色剤が混合していて、積層構造が保持されていなかった。
【0034】
実施例2
実施例1において、90℃の熱風を吹き付ける代わりに、50℃の熱風を吹き付けたこと以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層体を形成した。得られた積層体の層の断面を目視及びSEMで観察したところ、部分的に識別用着色剤が混合してはいるものの、一応、積層構造を保持することができていた。
【0035】
参考例1
実施例1において、90℃の熱風を吹き付ける代わりに、200℃の熱風を吹き付けたこと以外は同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に積層体の形成を試みたが、下層用の溶液の流動性が大幅に低下した。
【0036】
以上の実施例及び比較例の結果より、本発明の製造方法によれば、通常では困難な同一溶液同士及び相溶性のある溶液同士の積層が可能であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により得られる積層体は、例えばハードコート性や透明性等の各種機能を付与し得るため、各種光学フィルム、車用等のフィルムアンテナ、放熱シート、赤外線反射フィルム等、幅広い分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1:塗布ヘッド
2:スライド面
3:ロール
4:基材
A:上層溶液
B:下層溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)溶剤に層形成用成分を溶解した溶液を複数調製する工程、
(2)前記工程(1)で得られた複数の溶液を積層する工程、
(3)前記工程(2)で積層した溶液を基材上に転移させる工程、及び
(4)基材上に転移された積層した溶液を乾燥する工程
を有する積層体の製造方法であって、
前記工程(1)で複数調製した溶液中の、前記工程(2)にて相接することになる2つの溶液に含有される溶剤同士が、同一の溶剤であるか又は相溶性を有する溶剤であることを条件とし、
前記工程(1)において、前記2つの溶液のうちの下層用の溶液に、加熱されることによって架橋反応を起こす混合防止用成分を含有しておき、前記工程(2)において、下層用の溶液に加熱処理を施すことにより、混合防止用成分の熱架橋反応を生じさせた後に、上層用の溶液を前記下層用の溶液上に積層することによって、前記熱架橋反応により生成した生成物を、前記下層用の溶液の表面に不溶化した状態で存在させることを特徴とする、積層体の製造方法。
【請求項2】
前記下層用の溶液中の混合防止用成分の濃度が3〜30質量%である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記混合防止用成分がたんぱく質である、請求項1又は2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
前記たんぱく質がコラーゲンである、請求項3に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
下層用の溶液に加熱処理を施す際の温度が75〜180℃である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
たんぱく質の熱架橋反応により生成した生成物を含有する積層体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−240286(P2011−240286A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115790(P2010−115790)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】