説明

積層体及びその製造方法、並びに表示照明装置

【課題】高精細画質を保ちつつ、低電力消費化及び薄型化が容易な表示照明装置、並びにこれに用いる積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】光の変換部を有する複数の光導波路を備えた平面積層体であって、前記光導波路のそれぞれの端部は、第1の側面を構成し、前記変換部は、前記端部から前記光導波路へ入射した光を前記第1の平面積層体の主面から放射可能とするように、設けられた第1の平面積層体と、前記光導波路の厚さ以下の大きさを有する光ビームを放出可能とする光源と、前記光源からの前記光ビームを、前記第1の側面に沿って走査可能とする第1の走査部と、前記変換部の上方であり、前記主面の上に設けられた画素列と、を備え、前記第1の側面から入射した前記光ビームは、前記光導波路内を伝搬し、前記変換部により前記主面方向に方向変換され、前記画素列に沿って走査可能とされることを特徴とする表示照明装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及びその製造方法、並びに表示照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や有機EL表示装置では、2次元的に配列された多数の画素をオンまたはオフに制御するために消費電力が増大する。また、液晶表示装置では、バックライト光源を必要とするために消費電力がさらに増大する。このため、大型表示装置を実現するには消費電力を低減しかつ放熱性の改善をすることが重要となる。
【0003】
他方、光ビームを2次元的に走査するプロジェクション型表示装置では、画素毎のオンオフ制御が不要でありかつバックライト光源も不要であるので、消費電力を低減することが容易となる。しかし、光ビームを走査するための空間が必要であり、表示装置の奥行きが増す(非特許文献1)。
【0004】
表示装置用のバックライト光源に関する技術開示例がある(特許文献1)。この例のバックライト光源は、LEDを実装した配線基板を固定しバックパネルに取り付けた放熱プレートと、放熱プレートに取り付けたヒートパイプと、バックパネルの側方部に配置されてバックパネルとヒートパイプとによりLEDから発生した熱が伝導されるヒートシンクと、冷却ファンと、を備えている。このために、多数個のLEDからの発生熱を効率的に放熱し、全面にわたって温度分布の均一化及び装置の薄型化が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−316337号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】竹田圭吾「応用物理」vol.78、No.11、2009、p.1035−1038.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高精細画質を保ちつつ、消費電力低減及び薄型化が容易な表示照明装置、並びにこれに用いる積層体およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、光の進行方向または前記光の波長を可視光波長範囲に変化可能な変換部を有する複数の光導波路を備えた第1の平面積層体であって、前記光導波路のそれぞれの端部は、第1の側面を構成し、前記変換部は、前記端部から前記光導波路へ入射した光を前記第1の平面積層体の主面から放射可能とすることを特徴とする第1の平面積層体が提供される。
【0009】
本発明の他の一態様によれば上記の第1の平面積層体と、前記第1の平面積層体の前記光導波路の厚さ以下の大きさを有する光ビームを放出可能とする光源と、前記光源からの前記光ビームを、前記第1の平面積層体の前記第1の側面に沿って走査可能とする第1の走査部と、前記第1の平面積層体の前記変換部の上方であり、前記第1の平面積層体の前記主面の上に設けられた画素列と、を備え、前記第1の平面積層体の前記第1の側面から入射した前記光ビームは、前記光導波路内を伝搬し、前記変換部により前記第1の平面積層体の前記主面方向に方向変換され、前記画素列に沿って走査されることを特徴とする表示照明装置が提供される。
【0010】
本発明のさらに他の一態様によれば、光ビームの進行方向または前記光の波長を可視光波長範囲に変化可能な変換部を有する複数の光導波路を形成する工程と、前記光ビームが前記光導波路に対して同じ側にそれぞれ方向変換され、前記光導波路の主面から放射可能とされるように、前記光導波路をずらしつつ積層体を形成する工程と、前記積層体を前記進行方向と交差するように切断し、前記積層体の端部をそれぞれ露出させる工程と、を備えたことを特徴とする平面積層体の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
高精細画質を保ちつつ、電力消費低減及び薄型化が容易な表示照明装置、並びにこれに用いる積層体およびその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態にかかる表示照明装置の模式図
【図2】光源の構成を表す模式斜視図
【図3】光導波路を説明する模式図
【図4】平面積層体の製造方法の工程断面図
【図5】光導波路を説明する模式図
【図6】平面積層体の模式斜視図
【図7】第1の実施形態にかかる表示照明装置の模式平面図
【図8】第2の実施形態にかかる表示照明装置の模式平面図
【図9】第3の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図
【図10】第3の実施形態の変形例にかかる表示照明装置の模式図
【図11】第4の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図
【図12】第5の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は、第1の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図、図1(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
本実施形態は、画素が2次元的に配列された表示照明装置である。本表示照明装置は、第1の平面積層体5と、その上に設けられた画素12と、光源8と、第1の走査部20と、を備えている。
【0014】
第1の平面積層体5は、層数がqの光導波路5aj(2≦k≦q)を備える。積層が下側からなされるものとしたとき、積層順序がk番目の光導波路5akは、方向変換部(変換部)5bk(2≦k≦q)を有する。方向変換部5bkは、例えば折り曲げミラーや2次の回折格子などとすることができる。図1に表した具体例では、方向変換部5bは光の進行方向を変化可能であるが、紫外光を含む光を可視光波長範囲へ波長変換可能とする蛍光体粒子を含む変換部を方向変換部5bの位置に設けたものも本発明の範囲に包含される。
【0015】
光源8は、例えば半導体レーザ、固体レーザ、SHG(Second Harmonic Genaration)、などとすることができ、光導波路5akの1層の厚さよりも小さい径を有する光ビーム10を放出可能である。また、光源8からの赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)、を混合した白色光などを光ビームとして用いてもよい。このような白色光を用いると、色再現域u’v’色図上でLED(Light Emitting Device)バックライトを用いるよりも、広い範囲にわたる色再現性を実現できる。
【0016】
図2は、光源の構成を表す模式斜視図である。
例えば、RにはInGaN/GaN系LD(Laser Diode)501を用い、BにはInAlGaP/GaAs系LD502を用いることができる。また、Gには、赤外LD503の光の2倍高調波を放出可能なSHG素子504を用いることができる。R、G、Bは、それぞれ映像信号(色信号)によって変調される。変調されたRGB信号を導波路型光カプラ600を用いて、1本の光ファイバ700内で結合する。例えば半導体レーザの場合、出射端面の大きさを3μm以下とすることは容易である。このために、光ファイバ700からのRGB混合出力ビームを、例えば10μm以下の微小スポットとできる。この光ビーム10は光ファイバ700の端面から出射されたのちも、光学系により10μmよりも小さい径に保つことは容易である。
【0017】
光ビーム10は、第1の走査部20により第1の平面積層体5の第1の側面5cに沿って、図1の上下方向及び左右方向に2次元的に走査される。すなわち、光ビーム10は、第1の側面5cを構成する光導波路5akのそれぞれの側面5ck(2≦k≦m)へ順次導入される。
【0018】
第1の走査部20は、平面ミラー、微小MENS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、ピエゾ素子、音響光学素子、電気光学素子、熱光学素子、半導体光変調素子、及びこれらの駆動部などを含む。このような第1の走査部20を用いると、半導体レーザなどの微小発光スポットの光ビーム10を走査することが容易となる。すなわち、第1の走査部20により、その反射光の方向を前後、左右、上下などの方向へ変化すると、光ビーム10を第1の平面積層体5の側面5cに沿って走査できる。第1の平面積層体5の第1の側面5cの上部及び下部近傍に、受光素子41、42を設けると、光ビーム10を検知し、走査のトラッキングを行うことが可能となる。
【0019】
光導波路5akの内部に設けられる方向変換部5bkは、それぞれの第1の側面5ckから入射し光導波路5ak内を伝搬した光ビーム10を反射する。反射された光ビーム10は、第1の平面積層体5の第1の主面5dに対して垂直方向に向かって出射する。本図において、方向変換部5bkは光導波路5akを45度に切り込んだ断面からなるものとする。図1(a)において、第1の平面積層体5を上方からみて、方向変換部5bkの中心を結んだ線がA−A線と平行とされ、光の進行方向を表す。
【0020】
上方(第1の平面積層体5の第1の主面5dに対して垂直な方向)からみて方向変換部5bkは、第1の平面積層体5の第1の主面5d側から第1の主面5dとは反対側となる第2の主面5e側に近づくに従って第1の側面5cから次第に遠くなるか、または第1の側面5cに次第に近くなるように設けられる。すなわち、光の進行方向を含み第1の平面積層体5の第1の主面5dに垂直な断面において、方向変換部5bkが階段状となるように設けられる。このようにすると、第1の主面5dを上方からみて光ビーム10が光の進行方向に沿って順番に走査される。なお、図1(b)に表した具体例では画素列12が連続しているが、ドットまたはメッシュパターン状に離間した画素列12としてもよい。その場合、光ビーム10の径を10μmよりも小さくし、光導波路5akの厚さが、例えば10μmの場合、隣り合う画素の間隔を数十μmとすることができる。
【0021】
なお、方向変換部5bkの断面配置は、階段状に限定されない。第1の側面5ckへ入射した光ビームが、光導波路5akを伝搬したのち、第1の平面積層体5の第1の主面5dから放射可能であればよく、複数の光導波路において第1の側面5cからの距離が同じ位置に方向変換部5bがあってもよい。
【0022】
また、画素列12が光拡散層を有すると、光ビーム10のコヒーレンシーを低下し、目に優しい光とすることができる。また、光ビーム10を3原色とせず青色光または紫外光とし、かつ画素列12が蛍光体粒子などの波長変換層を有するものとすると、光源8からの光ビーム10は、RGBのすべてを含まなくともよい。例えば光ビーム10を青色光とし、黄色蛍光体粒子を含む波長変換層とすると、黄色蛍光体粒子からの黄色光と青色光との混合光として白色光を得ることができる。
【0023】
図3(a)〜(d)は、光導波路を説明する模式図である。すなわち、図3(a)は光ビーム折り曲げミラーを形成する方法を説明する模式図、図3(b)は上方に向かって光ビームを反射する模式図、図3(c)は方向変換部5bの両側からの光ビームを反射する模式図、図3(d)はその平面積層体の模式図、である。
である。
図3(a)のように、光導波路5aは、光ビームLsが伝搬可能なコア部50と、コア部50の屈折率よりも低い屈折率を有し光ビームLsをコア部50に閉じ込め可能なクラッド部51と、を有する。また、光導波路5aは、内部に方向変換部5bを有する。方向変換部5bは、折り曲げミラーや回折格子などとすることができるが、図示した具体例では45度ミラー面とした。光導波路5aの端部から導入された光ビームLsは、コア部50内を伝搬し、方向変換部5aで反射され、光導波路5aの主面に対して垂直下方に出射する。なお、第1の平面積層体5の材質は、コア部50をアクリル樹脂、クラッド部51をフッ素樹脂、などとすることができる。また、ガラス系材料とすることもできる。
【0024】
図3(b)は、方向変換部5bが2層単位の積層ブロックの間に、方向変換部が設けられていないダミー層を有する場合を表す。このようにすると、走査部の制御性能をカバーし、目的の光導波路への入射角度がずれたとしても、主面の上の所望の領域以外への光ビームの照射を抑制することができる。
【0025】
また、図3(c)のように、方向変換部5bを左右対称なミラー断面とすると、両側からの光ビームLsを同一の側へ方向変換できる。図3(d)は、この光導波路5aの平面積層体5を表す。
【0026】
図4(a)〜(c)は平面積層体の製造方法の工程断面図である。図4(a)に表したように、光ビームが同一方向に向かってそれぞれ反射され、上方からみて光の導波方向に沿って配列するように、光導波路5aをずらしつつ積層する。本図は、光ビームを下方に出射させる場合を表す。また、図4(b)は、光ビームを上方に出射させる場合を表す。
【0027】
続いて、図4(c)に表したように、光の導波方向と交差するように平面積層体5を切断し、光導波路5aの端部をそれぞれ露出させる。第1の側面5cは、平面積層体5の主面に対して垂直面または、傾斜面とできる。もし、数度の傾斜面とすると光源へ向かう戻り光を低減し光源を安定に動作させることが容易となる。また、上下を反転すれば下方に光ビームを出射できる。
【0028】
図5は回折格子が形成された1層の光導波路の模式断面図である。
ナノプリントのような微小金型を用いた工程により、2次の回折格子5gを作成可能である。または、印刷及びエッチングによるパターニング工程を用いても良い。回折格子5gにより回折を生じた光ビームLsは、鏡面反射層5rにより反射され対向する側に設けられた回折格子5gを通過して光ビームを放出できる。回折格子5gの断面形状は、2次の回折光が第1の平面積層体5の主面に対して直交する方向に方向変換されるように設定することができる。
【0029】
図6(a)は光導波路の模式斜視図、図6(b)は平面積層体の模式斜視図、である。
図6(a)のようなフィルム状の光導波路5aを積層すると、図6(b)の平面積層体5が形成される。平面積層体5は、その側面の高密度入力マトリクスへ入力され、映像インプット信号を含む光ビームが平面積層体5の主面に設けられた中密度アウトプットマトリクス(すなわち画素列に対応)に出力される空間的画素変換機構、と言うことができる。
【0030】
図7は、第1の実施形態にかかる表示照明装置の模式平面図である。
第1の平面積層体5には、第1の側面5cから入射した光ビームが光導波路5a内を伝搬し、方向変換部5bにより主面に対して垂直方向に方向変換され、画素列に入射する光路が、第1の直線81に対して平行な方向に個数nだけ並列に設けられる。
【0031】
本明細書において、k列目の光路とは、k番目の光ビームLkがk番目の第1の側面6ckに沿って走査され、光導波路5agk(2≦g≦q)の端部にそれぞれ入射し、伝搬し、方向変換部5bgk(2≦g≦q)により垂直方向へそれぞれ方向変換され、k列面の画素列Pkg(2≦g≦q)に入射するまでの個数qの光ビームの伝搬路を意味するものとする。
【0032】
それぞれの光路を除く領域に低屈折率材が埋め込まれた光導波路5aの上に(g+1)番目の光導波路5a、(g+1)、kが積層され、層数qの第1の平面積層体5となる。この場合、個々の光路をストライプ状に分離しないスラブ構造とすることもできる。このようにすると、積層工程が簡素になるが、光ビーム10が横方向へ広がり、微妙な入射角の変化により入射点から遠く離間すると位置誤差を生じることもある。このため、光ビームの品質を維持するにはそれぞれの光路を分離するほうが好ましい。本図において、破線は分離されたそれぞれの光路を表すものとする。また、第1の直線81を含み、第1の平面積層体5の主面に対して垂直な断面図は、図1(b)に例示される。
【0033】
光ビームLkは、独立の光源からの光ビームが第1の走査部20によりそれぞれ走査されて第1の平面積層体5の第1の側面5ckに沿ってそれぞれ導入される。光ビームLkは第1の直線81上を走査され、k列目の画素列に入射可能である。このようにして、図7に表すようにn×qの画素Pkgをマトリクス状に配置した2次元画像が可能となる。また、32インチ画面の長辺を708mmとし、画素数を2kとすると、画素の間隔は0.35mmとなる。さらに、55インチ画面の長辺を1218cmとすると、画素の間隔は0.62mmとなる。
【0034】
図8は第2の実施形態にかかる表示照明装置の模式平面図である。
第1の平面積層体5の第1の側面5ckに沿って走査する光ビームLkは、独立に駆動された光ビームではないものとする。すなわち、光源8からの光ビームLsは、第2の走査部25により、第2の平面積層体7の第1の側面7cに導入され、下からk番目の光導波路7akの方向変換部7bkにより入射され上方に方向変換される。第2の平面積層体7の第1の主面7dに対して垂直上方に放出された光ビームは、k番目の第1の走査部23によりk番目の第1の平面積層体5の第1の側面5ckに沿って導入される。k番目の第1の走査部23により光ビームは光導波路5agk(2≦g≦q)の方向変換部5bgk(2≦g≦q)により方向変換され主面5dから放出される。このようにして、第2の平面積層体7の光路は、上方からみて第1の直線81に沿ったものとなる。また、第1の直線81を含み、第1の平面積層体5の主面に対して垂直な断面図は、図1(b)に例示される。
【0035】
すなわち、第2の平面積層体7から走査されつつ放出された光ビームLkを、並列配置され個数nからなる第1の平面積層体5の光導波路5agの第1の側面5ck(2≦k≦n)へそれぞれ導入することにより、第1の平面積層体5の上方において、q×nの画素Pkg上を順次走査可能となる。
【0036】
例えば、光導波路5agkの積層間隔を光ビームLkのスポット径に対応して10μmとし、厚さ2cmまで積層すると、層数を表すqは2000となり次世代高精細TVが可能となる。ビームスポット径をより小さくすると、より薄型とすることができる。なお、積層体の厚さが2cmと薄いので、収差の小さい高速走査が容易となる。また、例えば、コア部50の厚さは5μm、コア部50の幅は10μmとできる。
【0037】
図9(a)および(b)は、第3の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図である。
図9(a)において、平面積層体5は、端面が互いに密着するように設けられた2つの平面積層体5g、5hを有する。光ビーム10は、密着していない側の第1の側面に沿ってそれぞれ走査され、画素列を照射する。また、2つの平面積層体5g、5hは、図9(b)のように一体であってもよい。光導波路の長さを2倍とし、両側面から画素列を半分ずつ照射すると、全体の画素数を2倍に増やすことができる。このために、例えば次世代高精細TVの規格である4k×2k、すなわち800万画素に対応することが容易となる。
【0038】
図10は、第3の実施形態の変形例にかかる表示照明装置の模式斜視図である。
同一の光導波路の反対側の側面に対して、走査部21により光ビームを走査し、同一の画素を照射すると画素の輝度を高めることが容易となる。また、両側面の光源8、9を交互に点灯すると、消費電力を低減し、光源8、9の温度の上昇をそれぞれ抑制できる。
【0039】
図11(a)および(b)は、第4の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図である。
図11(a)において、映像信号が入力されたLD出力変調回路300は、画像信号を走査部駆動制御回路400へ向かって出力すると共に、LD出力変調信号をLD出力部200へ向かって出力する。画像信号が入力された走査部駆動制御回路400は、光ビーム10を第1の平面積層体5の第1の側面5cにそって走査するように制御信号を出力する。このために、配列された画素列の動画信号に対応した変調発光を取り出すことができる。また、図11(b)において、表示照明装置は、映像信号がLD選択部302により分岐され、両側の走査部20、21を独立に走査可能とする。すなわち、LD選択部302は、LDを同時点灯とするか、交互点灯とするか、一方を通常オフとするか、などかに応じて点灯するLDを選択可能である。
【0040】
図12は、第5の実施形態にかかる表示照明装置の模式斜視図である。
本実施形態は、光導波路が直交するアレイフィルムを交互にクロスした平面積層体6を用いた表示照明装置である。X軸と直交する側面には、走査部20により2次元走査された光ビームが照射される。また、Y軸と直交する側面には、走査部22により2次元走査された光ビームが照射される。同一位置の画素に照射する場合、X軸側とY軸側の光源を同時に照射すると輝度を高めることができる。また、1つの光源の点灯時間を低減できるので、長寿命とできる。また、クロス積層すると、同一軸方向の光導波路のコア部の間に設けるクラッド部の上下厚さ範囲が広くなり、所望の光導波路のみに光ビームを入射させ、方向変換が容易となる。さらに最大で4つの側面へ光ビームを走査することが可能であり、輝度を入射光ビームの数に応じて増減可能である。
【0041】
なお光ビーム10を90度折り曲げる方向変換導波路には、フォトニック結晶からなる光導波路を用いることができる。
【0042】
本実施形態による平面積層体は走査された微小光ビームを導波可能であり、その量産性に富む製造方法により表示照明装置を低価格とすることが可能となる。
【0043】
第1〜第5の実施形態にかかる表示照明装置は、高精細化が容易で、かつ高い色再現性が改善される。また、発光素子による発熱を低減し、TVやモニタを含む表示装置の薄型化が容易となる。また、表示部と電気駆動回路とを分離可能であり、シースルー型表示装置が容易となる。さらに、壁や天井との一体化が容易で、低消費電力を保ちつつ、調光性が改善された照明装置が可能となる。
【0044】
以上、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されない。本発明を構成する光導波路、平面積層体、方向変換部、走査部、画素、光源、光ビーム、光拡散層、波長変換層、などの材質、サイズ、形状、配置、などに関して、当業者が各種設計変更を行ったものであっても、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0045】
5、6、7 平面積層体、8、9 光源、10 光ビーム、12 画素列、20、21、22、23、25 走査部、81 第1の直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の進行方向または前記光の波長を可視光波長範囲に変化可能な変換部を有する複数の光導波路を備えた第1の平面積層体であって、
前記光導波路のそれぞれの端部は、第1の側面を構成し、
前記変換部は、前記端部から前記光導波路へ入射した光を前記第1の平面積層体の主面から放射可能とすることを特徴とする第1の平面積層体。
【請求項2】
請求項1記載の第1の平面積層体と、
前記第1の平面積層体の前記光導波路の厚さ以下の大きさを有する光ビームを放出可能とする光源と、
前記光源からの前記光ビームを、前記第1の平面積層体の前記第1の側面に沿って走査可能とする第1の走査部と、
前記第1の平面積層体の前記変換部の上方であり、前記第1の平面積層体の前記主面の上に設けられた画素列と、
を備え、
前記第1の平面積層体の前記第1の側面から入射した前記光ビームは、前記光導波路内を伝搬し、前記変換部により前記第1の平面積層体の前記主面方向に方向変換され、前記画素列に沿って走査可能とされることを特徴とする表示照明装置。
【請求項3】
前記第1の平面積層体には、前記第1の側面から入射した前記光ビームが前記光導波路内を伝搬し、前記変換部により前記第1の平面積層体の前記主面方向に方向変換され、前記画素列に入射する光路が、前記進行方向に対して平行な方向に並列に設けられ、
前記第1の走査部は、前記光ビームを前記第1の側面に沿って2次元的に走査可能とし、
前記画素列は、並列に設けられた前記光路に対応して前記第1の平面積層体にそれぞれ設けられ、前記第1の走査部によりそれぞれ走査された前記光ビームにより2次元画像表示を可能とすることを特徴とする請求項2記載の表示照明装置。
【請求項4】
光の進行方向または前記光の波長を可視光波長範囲に変化可能な変換部を有する複数の光導波路を備えた第2の平面積層体であって、前記光導波路のそれぞれの端部は第1の側面を構成し、前記変換部は前記端部から入射した光を主面から放射可能とし、前記第1の平面積層体の前記第1の側面側に配置された第2の平面積層体と、
前記光源からの前記光ビームを、前記第2の平面積層体の前記第1の側面に沿って走査可能とする第2の走査部と、
をさらに備え、
前記第1の平面積層体には、前記第1の側面から入射した前記光ビームが前記光導波路内を伝搬し、前記変換部により前記平面積層体の前記主面方向に方向変換され、前記画素列に入射する光路が、前記進行方向に対して平行な方向に並列に設けられ、
前記第2の平面積層体の前記第1の側面から入射した前記光ビームは、前記第2の平面積層体の前記光導波路内を伝搬し、前記変換部によりそれぞれ方向変換され前記第2の平面積層体の前記主面方向に走査されつつ出射し、前記第1の走査部にそれぞれ入射し、
前記画素列は、並列に設けられた前記光路に対応して前記第1の平面積層体にそれぞれ設けられ、前記第1の走査部によりそれぞれ走査された前記光ビームにより2次元画像表示を可能とすることを特徴とする請求項2記載の表示照明装置。
【請求項5】
前記画素列は、光拡散層または波長変換層を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の表示照明装置。
【請求項6】
光ビームの進行方向または前記光の波長を可視光波長範囲に変化可能な変換部を有する複数の光導波路を形成する工程と、
前記光ビームが前記光導波路に対して同じ側にそれぞれ方向変換され、前記光導波路の主面から放射可能とされるように、前記光導波路をずらしつつ積層体を形成する工程と、
前記積層体を前記進行方向と交差するように切断し、前記積層体の端部をそれぞれ露出させる工程と、
を備えたことを特徴とする平面積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−180380(P2011−180380A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44555(P2010−44555)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】