説明

積層体及びその製造方法

【課題】発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、均一色着色、斑模様着色等を呈する発泡層と、この層の少なくとも一面側に配された透明な樹脂層とを備え、歪みがなく、平滑性に優れ、上記発泡層に発現している斑模様が、上記樹脂層を通して鮮明に認識され、外観性に優れる積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の積層体は、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、着色剤、及び、沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、着色剤及び発泡剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層(発泡層)11と、この第1層11の少なくとも一面側に配され、厚さ2.5mm試験片に対しASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物からなる第2層(樹脂層)12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色された、及び/又は、模様が付与された樹脂発泡体からなる層と、この層の少なくとも一面側に配された透明な樹脂層とを備える積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS樹脂等のスチレン系樹脂は、機械的性質、物理的性質、成形加工性等に優れることから、広く使用されている。例えば、建材用途において、木質感を有する成形品とするために、数種の異なる色、例えば、茶色等に予め着色した樹脂ペレットどうしを金型内部で完全には混合しないようにして押し出す方法等が採用されている(例えば、特許文献1〜3等参照)。また、透明層、木目調層及び基材からなる積層体も知られている(例えば、特許文献4等参照)。
しかしながら、近年、軽量化、耐久性等に優れた建材用成形品を与える材料が求められており、例えば、樹脂及び発泡剤を含有する樹脂組成物からなる材料が検討されている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−60202号
【特許文献2】特開平11−43582号
【特許文献3】特開平11−310683号
【特許文献4】特開2004−74746号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、均一色着色、斑模様着色等が、従来に比べて一段と鮮明に着色された発泡体からなる発泡層と、この層の少なくとも一面側に配された透明な樹脂層(保護層)とを備え、歪みがなく、平滑性に優れ、上記発泡層に現出された模様が、上記樹脂層を通して鮮明に認識され、外観性に優れる積層体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に示される。
1.(A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、(B)着色剤、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層と、該第1層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層とを備えることを特徴とする積層体。
2.上記第1層の表面が斑模様を呈している上記1に記載の積層体。
3.上記熱可塑性樹脂組成物[Y]が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記1又は2に記載の積層体。
4.上記第1層の密度が、40〜500kg/mである上記1乃至3のいずれかに記載の積層体。
5.フィルム又はシートである上記1乃至4のいずれかに記載の積層体。
6.木製製品の代替品として用いられる上記1乃至5のいずれかに記載の積層体。
7.上記1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする積層体の製造方法。
8.上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである上記7に記載の積層体の製造方法。
9.上記組成物[X1]に含有されるスチレン系樹脂をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位(芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位)75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位(シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位)5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位(他の化合物に由来する単量体単位)0〜20質量%により構成されている上記7又は8に記載の積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、着色された、及び/又は、斑模様、木目模様等が付与された発泡体からなる第1層(発泡層)と、この層の少なくとも一面側に配された透明な第2層(保護層)とを備え、歪みがなく、平滑性に優れ、上記第1層(発泡層)に現出された模様が、上記第2層(保護層)を通して鮮明に認識され、外観性に優れる積層体及びその製造方法を提供することができる。
本発明の積層体において、第1層の発泡セルが均一であることから、形状安定性に優れ、均一色着色、斑模様着色が鮮明に着色でき、特に斑模様着色は一段と鮮明に着色することができる。また、第2層が、透明又は半透明であることから、第1層の発泡体の表面により付与されている質感を、第2層を通して、視認することができ、木製製品の代替品として、例えば、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具(机の引き出し、天板等)、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート、テラス、デッキ、浴室部材(カウンター、扉、エプロン、UB枠、窓枠、棚等)、台所部材(扉、仕切板、窓枠、棚等)等の住宅・事務所用内外装材等に好ましく用いることができる。
本発明の積層体の製造方法によれば、軽量であり、着色剤による均一色着色、斑模様着色等の着色が鮮明であり、歪みがなく、平滑性及び形状安定性に優れる積層体を効率よく得ることができる。
上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである場合には、発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、着色された、好ましくは、斑模様等が付与された発泡体からなる層と、この層の少なくとも一面側に配された樹脂層とを備え、着色剤による均一色着色、斑模様着色等が鮮明であり、歪みがなく、平滑性を備えて外観性及び形状安定性に優れる積層体の形成に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳しく説明する。本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
【0008】
1.積層体
本発明の積層体は、(A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂(以下、「成分(A)」ともいう。)、(B)着色剤(以下、「成分(B)」ともいう。)、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である発泡剤(以下、「成分(C)」ともいう。)を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層(以下、「発泡層」ともいう。)と、この第1層(発泡層)の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層(以下、「保護層」ともいう。)とを備えることを特徴とする。
【0009】
1−1.第1層(発泡層)
この発泡層は、成分(A)、(B)及び(C)を所定の割合で含有する発泡体からなる層である。即ち、この発泡層は、均一な発泡セルが、成分(A)及び(B)を含む壁材に含まれてなる層である。発泡セルは、通常、成分(C)を含んでおり、互いに隣接している。
【0010】
上記成分(A)は、その全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂(以下、「スチレン系樹脂(A1)」ともいう。)を5〜100質量%含む。従って、上記成分(A)は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上、又は、上記スチレン系樹脂(A1)の1種以上と、他の熱可塑性樹脂とからなる。
【0011】
このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位を含む重合体である。即ち、このスチレン系樹脂(A1)は、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b1)」という。)を(共)重合して得られたスチレン系(共)重合体(A11)、及び/又は、ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物の1種以上からなる単量体、又は、芳香族ビニル化合物の1種以上と、共重合可能な他の単量体の1種以上とからなる単量体(以下、両方の単量体を総称して、「ビニル系単量体(b2)」という。)を重合して得られたゴム強化スチレン系樹脂(A12)から構成される。尚、このゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、通常、上記ビニル系単量体(b2)がゴム質重合体にグラフト重合しているグラフト化ゴム質重合体と、非グラフトである上記ビニル系単量体(b2)の(共)重合体とを含む樹脂である。
【0012】
上記ビニル系単量体(b1)を構成する芳香族ビニル化合物としては、少なくとも1つのビニル結合と、少なくとも1つの芳香族環とを有する化合物であれば、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、β−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
【0013】
上記スチレン系樹脂(A1)としてのスチレン系(共)重合体(A11)は、単独重合体及び共重合体のいずれでもよく、これらの組合せでもよい。好ましくは共重合体である。
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位以外の他の単量体単位としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物、更には、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等に由来する単量体単位が挙げられる。この他の単量体単位は、1種単独であるいは2種以上の組合せで含まれたものとすることができる。
【0014】
上記芳香族ビニル化合物と共重合可能な他の単量体のうち、シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物に由来する単位を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
また、上記のヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−オキシシクロヘキシル、ビニルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルアミド、アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、好ましい共重合体は、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を用いてなるスチレン系共重合体である。より好ましくは、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位と、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位と、必要に応じて含まれる他の単量体単位とからなる共重合体であり、この場合、これらの単量体単位の含有割合は、全単量体単位の合計を100質量%としたときに、それぞれ、好ましくは50〜97質量%、3〜50質量%及び0〜47質量%、より好ましくは55〜95質量%、5〜45質量%及び0〜15質量%である。上記含有割合であれば、耐薬品性に優れ、高い発泡倍率を維持した発泡層とすることができる。
【0019】
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体等が挙げられる。
【0020】
上記スチレン系(共)重合体(A11)について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは100,000〜300,000であり、より好ましくは100,000〜270,000、更に好ましくは120,000〜250,000である。上記Mwがこの範囲にあれば、発泡層中の発泡剤(C)の含有量が安定し、経時による該含有量の変化を小さくすることができる。
【0021】
上記スチレン系(共)重合体(A11)は、重合開始剤の存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体(b1)を重合することにより製造されたものとすることができる。重合方法は、重合開始剤を用いる場合には、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合等が好適であり、これらの重合方法を組み合わせて用いてもよい。また、重合開始剤を用いない場合は、熱重合とすることができる。
【0022】
上記重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物と、含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方等の還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレイト、tert−ブチルパーオキシモノカーボネート等の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b1)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。
尚、必要に応じて、後述するゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
【0023】
上記スチレン系(共)重合体(A11)の製造の際には、ビニル系単量体(b1)の全量を反応系に収容した状態で重合を開始してよいし、任意に選択した単量体成分を分割添加又は連続添加して重合を行ってもよい。更に、上記重合開始剤を用いる場合には、反応系に一括して又は連続的に添加することができる。
【0024】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、ゴム質重合体(以下、「ゴム質重合体(a)」という。)の存在下、ビニル系単量体(b2)を重合して得られた樹脂である。
【0025】
上記ゴム質重合体(a)は、室温でゴム質であれば、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよいが、ジエン系重合体及び非ジエン系重合体が好ましい。更に、上記ゴム質重合体(a)は、架橋重合体であってもよいし、非架橋重合体であってもよい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
上記ジエン系重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の単独重合体;スチレン・ブタジエン系共重合体ゴム;スチレン・イソプレン系共重合体ゴム;天然ゴム等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよい。また、これらの共重合体は水素添加(但し、水素添加率は50%未満。)されたものであってもよい。上記ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、上記非ジエン系重合体としては、エチレン単位と、炭素数3以上のα−オレフィンに由来する単位を含むエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム;ウレタン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;シリコーン・アクリル系複合ゴム;共役ジエン系化合物に由来する単位を含む(共)重合体を水素添加してなる重合体(但し、水素添加率は、通常、50%以上。)等が挙げられる。これらの共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。上記非ジエン系重合体は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
上記ゴム質重合体(a)としては、ジエン系重合体及びその水素添加物、アクリル系ゴム並びにエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。
【0029】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の形成に用いる上記ゴム質重合体(a)の形状は、特に限定されないが、粒子状である場合、その重量平均粒子径は、好ましくは100〜2,000nm、より好ましくは200〜1,000nmである。重量平均粒子径が上記範囲にあれば、本発明の積層体の耐衝撃性に優れる。尚、上記重量平均粒子径は、電子顕微鏡写真を用いた画像解析法、レーザー回折法、光散乱法等により測定することができる。
【0030】
上記ゴム質重合体(a)が粒子状である場合、重量平均粒子径が上記範囲内にある限り、例えば、特開昭61−233010号公報、特開昭59−93701号公報、特開昭56−167704号公報等に記載されている公知の方法により肥大化したものを用いることもできる。
【0031】
上記ゴム質重合体(a)を製造する方法としては、平均粒子径の調整等を考慮し、乳化重合が好ましい。この場合、平均粒子径は、乳化剤の種類及びその使用量、開始剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、攪拌条件等の製造条件を選択することにより調整することができる。また、上記平均粒子径(粒子径分布)の他の調整方法としては、異なる粒子径を有する上記ゴム質重合体(a)の2種以上をブレンドする方法でもよい。
【0032】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の形成に用いるビニル系単量体(b2)は、芳香族ビニル化合物のみであってよいし、この芳香族ビニル化合物と、例えば、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等の芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物との組合せであってもよい。
【0033】
上記芳香族ビニル化合物としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられるビニル系単量体(b1)に含まれる芳香族ビニル化合物として例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。
【0034】
上記シアン化ビニル化合物としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられるビニル系単量体(b1)に含まれるシアン化ビニル化合物として例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。
【0035】
また、上記の(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物等についても、上記スチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられるビニル系単量体(b1)に含まれる化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
上記ビニル系単量体(b2)としては、芳香族ビニル化合物の1種以上、及び、この芳香族ビニル化合物と共重合可能な化合物の1種以上を組み合わせて用いることが好ましく、この場合の芳香族ビニル化合物と、それ以外の化合物との質量割合は、これらの合計を100質量%とした場合、それぞれ、通常、45〜97質量%及び3〜55質量%、好ましくは50〜95質量%及び5〜50質量%である。上記芳香族ビニル化合物の割合が少なすぎると、発泡層の形状安定性が劣る傾向にあり、多すぎると、発泡層の耐薬品性、耐熱性等が十分でない場合がある。
【0037】
上記ビニル系単量体(b2)としては、好ましくは、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物の組合せ、並びに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び他の化合物((メタ)アクリル酸エステル化合物等)の組合せである。シアン化ビニル化合物を用いることにより、発泡層の耐薬品性、耐熱性等の物性バランスが向上する。
尚、上記ビニル系単量体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)において、構成成分及びその割合等が互いに同じであってよいし、異なってもよい。
【0038】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)は、上記ゴム質重合体(a)の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を重合することにより製造することができる。重合方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合、及び、塊状−懸濁重合が好ましい。
【0039】
尚、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造の際には、ゴム質重合体(a)及び上記ビニル系単量体(b2)は、反応系において、上記ゴム質重合体(a)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加しながら重合を行ってもよい。また、上記ゴム質重合体(a)の一部存在下、又は、非存在下に、上記ビニル系単量体(b2)を一括添加して重合を開始してよいし、分割して又は連続的に添加してもよい。このとき、上記ゴム質重合体(a)の残部は、反応の途中で、一括して、分割して又は連続的に添加してもよい。
【0040】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を100質量部製造する場合、上記ゴム質重合体(a)の使用量は、通常、5〜80質量部である。また、上記ビニル系単量体(b2)の使用量は、上記ゴム質重合体(a)100質量部に対し、通常、25〜1,900質量部である。
【0041】
乳化重合によりゴム強化スチレン系樹脂(A12)を製造する場合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤、水等が用いられる。
【0042】
上記重合開始剤としては、上記スチレン系(共)重合体(A11)の製造方法の説明にて例示した化合物を、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記重合開始剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.1〜1.5質量%である。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
【0043】
上記連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、tert−テトラデシルメルカプタン等のメルカプタン類;ターピノーレン類、α−メチルスチレンのダイマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記連鎖移動剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.05〜2.0質量%である。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
【0044】
上記乳化剤としては、アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩;高級脂肪族カルボン酸塩、脂肪族リン酸塩等が挙げられる。また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル型化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記乳化剤の使用量は、上記ビニル系単量体(b2)全量に対し、通常、0.3〜5.0質量%である。
【0045】
乳化重合は、ビニル系単量体(b2)、重合開始剤等の種類に応じ、公知の条件で行うことができる。この乳化重合により得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させ、樹脂成分を粉末状とし、その後、これを水洗、乾燥することによって精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム等の無機塩;硫酸、塩酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸等が用いられる。
尚、上記スチレン系樹脂(A1)に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を2種以上含有させる場合には、各ラテックスから樹脂成分を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂成分をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
【0046】
溶液重合、塊状重合及び塊状−懸濁重合によって上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を製造する場合には、公知の方法を適用することができる。
【0047】
上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)のグラフト率は、通常、10〜200質量%、好ましくは15〜150質量%である。グラフト率が10質量%未満では、上記範囲にあれば、発泡層の表面外観性及び耐衝撃性に優れる。
【0048】
ここで、グラフト率とは、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)1グラム中の上記ゴム質重合体(a)をxグラム、該ゴム強化スチレン系樹脂(A12)1グラムをアセトンに溶解させた際の不溶分をyグラムとしたときに、下記式により求められる値である。但し、該ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトンの代わりにアセトニトリルを用いる。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
【0049】
また、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)のアセトン(但し、上記ゴム質重合体(a)がアクリル系ゴムである場合には、アセトニトリルを用いる。)に可溶な成分の極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、通常、0.1〜1.0dl/g、好ましくは0.2〜0.9dl/gである。この極限粘度[η]が上記範囲内であると、発泡層の形状安定性及び耐衝撃性にも優れる。
【0050】
上記のグラフト率及び極限粘度[η]は、上記ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を製造する際に用いる、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度等を調整することにより、容易に制御することができる。
【0051】
上記スチレン系樹脂(A1)の好ましい態様は、以下に示される。
(1)スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上。
(2)ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上。
(3)スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上と、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上との組合せ。
【0052】
上記発泡層を構成する上記成分(A)中のスチレン系樹脂(A1)の含有量は、上記成分(A)を100質量%とした場合、5〜100質量%であり、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。上記スチレン系樹脂(A1)の含有量が上記範囲にあれば、高い発泡倍率を有する発泡層において、発泡性及び微分散性に優れ、発泡セルが均一であり且つ形状安定性に優れる。
【0053】
上記成分(A)は、必要に応じて、更に、他の熱可塑性樹脂を含有することができる。
他の熱可塑性樹脂の使用量は、上記成分(A)を100質量%とした場合、通常、0〜95質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜40質量%、更に好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
他の熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;オレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリアセタール樹脂(POM);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;液晶ポリマー;イミド系樹脂;ケトン系樹脂;スルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;バイオベースポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂が更に好ましい。
【0054】
上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体(ポリ塩化ビニル);ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。かかる他の単量体としては、エチレン、プロピレン、ブテン、1−ペンテン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、シアン化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、カルボン酸ビニルエステル、アリールエーテル、ジアルキルマレイン酸、フマル酸エステル、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルシラン等が挙げられる。
その平均重合度は、通常、500〜8,000である。
【0055】
上記成分(A)が、上記スチレン系樹脂(A1)及び塩化ビニル系樹脂からなる場合、上記成分(A)中の塩化ビニル系樹脂の含有量は、上記成分(A)を100質量%とした場合、好ましくは5〜95質量%であり、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。上記塩化ビニル系樹脂の含有量が上記範囲にあれば、高い発泡倍率を有し、発泡セルが均一であり且つ成形外観性に優れる発泡層とすることができる。
【0056】
次に、上記成分(B)としては、顔料及び染料のいずれを用いてもよく、これらを組み合わせてもよい。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよい。
有機顔料としては、ペリノン系顔料;フタロシアニン系顔料;キナクリドン系顔料;パーマネントレッド、レーキレッド、ファーストイエロー等のアゾ系顔料;ニトロソ系顔料;ニトロ顔料等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料が好ましい。
無機顔料としては、酸化物、硫化物、炭酸塩、アルミン酸塩、クロム酸塩、金属粉、カーボンブラック等が挙げられる。
酸化物としては、Zn、Ti、Cd、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物を用いることができ、例えば、亜鉛華等の酸化亜鉛系顔料;チタンホワイト、チタンイエロー等の酸化チタン系顔料;FeO、FeO(OH)、Fe(べんがら)等の酸化鉄系顔料;CrO、Cr、Cr・2HO等の酸化クロム系顔料;MnO、Mn、MnO等の酸化マンガン系顔料;CuO、CuO、CoO等の酸化コバルト系顔料;CoO・Al、Fe(Fe,Cr)、(Co,Fe)(Fe,Cr)、Cu(Cr,Mn)、(Cu,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)、(Fe,Zn)(Fe,Cr)、(Fe,Zn)Fe、Co(Al,Cr)、Cr:Fe、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)等の複合酸化物系顔料が挙げられる。焼成系顔料を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも2種の元素を含む化合物を用いると、低蓄熱性に優れた積層体を形成することができる。
硫化物としては、硫化鉄、硫化カドミウム等が挙げられる。
アルミン酸塩としては、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)等が挙げられる。
クロム酸塩としては、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛等が挙げられる。
また、染料としては、複素環系染料;アンスラキノン系染料;アゾ系染料;ペリノン系染料;ローダミンレーキ等の塩素性染料系レーキ等が挙げられる。
【0057】
上記発泡層を構成する上記成分(B)の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、0.01〜15質量部であり、好ましくは0.05〜13質量部、より好ましくは0.1〜12質量部である。上記成分(B)の含有量が上記範囲にあると、鮮明に着色された、及び/又は、鮮明に斑模様、木目模様等が付与された発泡層とすることができる。
【0058】
次に、上記成分(C)は、沸点(大気圧)が−10℃〜55℃である化合物を含むものであれば、特に限定されない。該化合物としては、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで含まれることができる。上記化合物により、発泡性、及び、発泡セルの微分散性に優れる。尚、この化合物の含有量は、上記成分(C)100質量%に対し、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95〜100質量%である。
尚、上記成分(C)が複数の成分を含む場合には、沸点(大気圧)の平均値が−10℃〜55℃であることが好ましい。
【0059】
上記成分(C)が、他の成分を含む場合、エタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系化合物;塩化メチル、塩化エチル、ジクロロエタン、クロロホルム、フルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、ジフルオロエタン、トリフルオロエタン、フルオロクロロメタン、フルオロクロロエタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記成分(C)は、酸素原子を含む化合物である石油エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を含んでもよい。他の成分の含有量は、上記成分(C)100質量%に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは0〜5質量%である。
【0060】
上記発泡層において、上記成分(C)の含有割合は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、0.1〜5質量部であり、好ましくは0.2〜4質量部、より好ましくは0.3〜3質量部である。上記範囲にあることにより、発泡層の発泡倍率が2倍以上と高く、発泡セルが均一となる。
【0061】
上記発泡層は、目的、用途等に応じて、添加剤を含有したものとすることができる。この添加剤としては、発泡助剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、蛍光増白剤等が挙げられる。
【0062】
上記発泡助剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;エチレンジクロライド、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類等の有機溶剤が挙げられる。この発泡助剤は、上記成分(C)として、n−プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン等を用いる場合に併用することにより、上記の成分(A)及び(C)の相溶性を向上させることができる。
上記発泡助剤の含有量は、上記成分(C)100質量部に対して、通常、0.1〜2質量部である。
【0063】
上記充填剤としては、タルク、マイカ、クレー、ワラストナイト、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ミルドファイバー、ガラスフレーク、炭素繊維、炭素フレーク、炭素バルン、カーボンビーズ、カーボンミルドファイバー、カーボンブラック、グラファイト、セラミック繊維、アラミド粒子、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、各種ウィスカー、木粉、パルプ、もみがら、ペーパースラッジ等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記充填剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
【0064】
上記熱安定剤としては、ホスファイト類、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記熱安定剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
【0065】
上記酸化防止剤としては、ヒンダードアミン類、ハイドロキノン類、ヒンダードフェノール類、硫黄含有化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
【0066】
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸エステル類、金属錯塩類等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ヒンダードアミン類と併用すると好ましい場合がある。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.05〜2質量部である。
【0067】
上記老化防止剤としては、例えば、ナフチルアミン系化合物、ジフェニルアミン系化合物、p−フェニレンジアミン系化合物、キノリン系化合物、ヒドロキノン誘導体系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、トリスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、チオビスフェノール系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸ニッケル塩系化合物、リン酸系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
【0068】
上記帯電防止剤としては、帯電防止剤としては、低分子型帯電防止剤、高分子型帯電防止剤等が挙げられる。また、これらは、イオン伝導型でもよいし、電子伝導型でもよい。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
【0069】
上記可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類;ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記可塑剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
【0070】
上記滑剤としては、脂肪酸エステル、炭化水素樹脂、パラフィン、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、金属石鹸、シリコーン、変性シリコーン等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記滑剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.2〜5質量部である。
【0071】
上記難燃剤としては、有機系難燃剤、無機系難燃剤、反応系難燃剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0072】
無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、スズ酸亜鉛等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0073】
上記難燃剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜30質量部である。
尚、上記発泡層に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0074】
上記抗菌剤としては、銀系ゼオライト、銀−亜鉛系ゼオライト等のゼオライト系抗菌剤、錯体化銀−シリカゲル等のシリカゲル系抗菌剤、ガラス系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩系抗菌剤、酸化チタン系抗菌剤、セラミック系抗菌剤、ウィスカー系抗菌剤等の無機系抗菌剤;ホルムアルデヒド放出剤、ハロゲン化芳香族化合物、ロードプロパルギル誘導体、チオシアナト化合物、イソチアゾリノン誘導体、トリハロメチルチオ化合物、第四アンモニウム塩、ビグアニド化合物、アルデヒド類、フェノール類、ピリジンオキシド、カルバニリド、ジフェニルエーテル、カルボン酸、有機金属化合物等の有機系抗菌剤;無機・有機ハイブリッド抗菌剤;天然抗菌剤等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
【0075】
上記発泡層は、発泡倍率が好ましくは2〜25倍、より好ましくは2〜20倍であり、発泡セルが均一である。また、密度は、好ましくは40〜500kg/m、より好ましくは50〜400kg/mである。
上記発泡層の表面は平滑であり、成分(B)による均一色着色、斑模様着色等が鮮明である。
また、上記発泡層の厚さは、通常、0.5〜25mm、好ましくは1〜25mm、より好ましくは1〜20mmである。
【0076】
1−2.第2層(保護層)
この保護層は、上記発泡層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる層である。
また、上記保護層の厚さは、通常、0.01〜2mm、好ましくは0.02〜1mm、より好ましくは0.03〜0.9mm、更に好ましくは0.05〜0.9mmである。従って、上記保護層の全光線透過率が50%以上であれば、上記厚さにおいて透明又は略透明であるので、上記第1層(発泡層)の表面に発現している模様が、この保護層を通して鮮明に認識される。
尚、上記保護層は、上記発泡層の一面側のみにあってよいし(図1参照)、両面側にあってもよい(図2参照)。また、一面側の全面にあってよいし、一部にあってもよい。
【0077】
上記熱可塑性樹脂組成物[Y]に含有される熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ゴム強化樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系(共)重合体、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
透明性を有するゴム強化樹脂を得る方法は、公知であり、例えば、ゴム質重合体の屈折率と、ゴム質重合体の存在下で重合するビニル系単量体が(共)重合体になったときの屈折率とをより近似させるほど、より透明なゴム強化樹脂が得られる。屈折率は、ゴム質重合体、ビニル系単量体それぞれが、特定の屈折率値を有しており、種類、使用量を適宜、選択することで、目的の屈折率を得ることができる。
【0079】
上記ゴム強化樹脂は、好ましくは、ゴム質重合体(p)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られた樹脂である。
上記ゴム質重合体(p)としては、ジエン系重合体及び非ジエン系重合体のいずれでもよく、ポリブタジエン及びその水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、アクリル系ゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム等が挙げられる。これらのうち、ポリブタジエン及びその水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物、アクリル系ゴム、及び、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。本発明の積層体が、耐光性、耐候性等の性能が要求される用途に用いられる場合は、上記の水素添加物、非ジエン系重合体を使用することが好ましい。
【0080】
上記ゴム質重合体(p)の重量平均粒子径は、好ましくは500nm〜2,000nmであり、より好ましくは100nm〜2,000nm、更に好ましくは100nm〜1,000nmである。上記平均粒子径がこの範囲にあると、上記保護層の耐衝撃性及び透明性に優れる。
また、上記ゴム質重合体(p)の含有量が高いゴム強化樹脂を使用する場合には、例えば、スチレン系(共)重合体、メタクリル酸メチル系(共)重合体、他の樹脂等で希釈して使用される。従って、熱可塑性樹脂組成物[Y]がゴム強化樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂組成物[Y]中のゴム質重合体(p)の含有量は、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。上記ゴム質重合体(p)の含有量がこの範囲にあると、耐衝撃性及び剛性に優れる。
【0081】
上記ゴム強化樹脂の形成に用いられるビニル系単量体(q)のうち、(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、上記発泡層に含有されるスチレン系樹脂(A1)として用いることができるスチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いることができる。これらのうち、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
【0082】
上記ビニル系単量体(q)に含まれる(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量は、50質量%以上、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは55〜80質量%である。(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量がこの範囲にあると、上記保護層の透明性に優れる。尚、(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の他の単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物等を用いることができる。
【0083】
上記ビニル系単量体(q)としては、(メタ)アクリル酸エステル化合物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を組み合わせて用いることが好ましい。シアン化ビニル化合物を用いることにより、保護層表面に耐薬品性を付与することができる。尚、上記ビニル系単量体(q)が、(メタ)アクリル酸エステル化合物、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなる場合、透明性及び耐薬品性の観点から、これらの化合物の含有割合は、合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは50〜90質量%、0〜50質量%及び0〜40質量%、より好ましくは55〜90質量%、1〜44質量%及び1〜38質量%である。
【0084】
上記アクリル系樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用い、この化合物を20質量%以上含むビニル系単量体を重合して得られた樹脂である。(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、上記発泡層に含有されるスチレン系樹脂(A1)として用いることができるスチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物の例示を適用することができる。これらのうち、メタクリル酸メチルが好ましい。他のビニル系単量体としては、上記スチレン系樹脂(A1)として用いることができるスチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物(後イミド化で付与してもよい)、官能基含有ビニル系化合物等が挙げられ、必要に応じて、1種又は2種以上で使用される。
上記アクリル系樹脂は、好ましくはメタクリル酸メチルに由来する単位を20質量%以上含む(共)重合体である。
【0085】
上記スチレン系(共)重合体(但し、上記のアクリル系樹脂を除く)は、芳香族ビニル化合物の含有量が50質量%以上であるビニル系単量体を重合して得られた(共)重合体である。他のビニル系単量体としては、上記スチレン系樹脂(A1)として用いることができるスチレン系(共)重合体(A11)の形成に用いられる(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物(後イミド化で付与してもよい)、官能基含有ビニル系化合物等が挙げられ、必要に応じて、1種又は2種以上で使用される。
【0086】
上記保護層(熱可塑性樹脂組成物[Y])に含有することができる塩化ビニル系樹脂については、上記発泡層に含有される塩化ビニル系樹脂を適用することができる。また、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂及び熱可塑性エラストマーについては、公知の樹脂又はエラストマーを用いることができる。
【0087】
上記保護層(熱可塑性樹脂組成物[Y])は、上記全光線透過率を低下させない範囲で、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、着色剤、蛍光増白剤等の添加剤を含有してもよい。
【0088】
上記保護層の表面は、平滑面であってよいし、ヘアライン加工、エンボス加工等により、規則模様又は不規則模様を有してもよい。
【0089】
1−3.積層体
本発明の積層体は、上記発泡層及び上記保護層を備える。形状は、特に限定されず、面状(平面、曲面)、筒状等とすることができるが、フィルム又はシートであることが好ましい。
【0090】
本発明の積層体の概略図は、図1〜図3に例示される。
図1の積層体1は、発泡層11と、この発泡層11の図面で上側に配された保護層12とを備える。保護層12に接合している側の発泡層11の表面は、着色剤により、鮮明に着色された、及び/又は、鮮明に斑模様等の模様を発現した表面であることから、図面の上側から、積層体1を見ると、透明な保護層12を通して、上記模様等を容易に視認することができる。尚、発泡層11及び保護層12の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び0.02〜2mmである。
図2の積層体1’は、発泡層11と、この発泡層11の両面側に配された保護層12a及び12bとを備える。この態様においても、積層体1’を両面側から見ると、透明な保護層12a及び12bを通して、それぞれ、上記模様等を容易に視認することができる。尚、発泡層11、保護層12a及び保護層12bの厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm、0.02〜2mm及び0.02〜2mmである。
【0091】
また、図3の積層体1"は、発泡層11と、この発泡層11の図面で上側に配された保護層12と、この発泡層11の図面で下側に配された支持層15又は粘着層(接着層)15とを備える。
図3における積層体1"が支持層15を備える場合には、発泡層11及び支持層15の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び0.1〜5mmである。この支持層15は、樹脂(組成物)からなる層、他の有機材料からなる層、無機材料からなる層等とすることができる。
樹脂(組成物)は、熱可塑性樹脂(組成物)であってよいし、硬化樹脂(組成物)であってもよい。また、無機材料は、金属、合金、酸化物、炭化物、窒化物、金属塩等が挙げられる。
【0092】
図3における積層体1"が粘着層15を備える場合には、発泡層11及び粘着層15の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び10〜100μmである。この粘着層15を形成する粘着剤組成物としては、スクリーン法、グラビア法、メッシュ法、バー塗工法等で塗工するエマルジョン型組成物;有機溶剤型組成物;押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法等で形成する熱溶融型組成物等があり、いずれも好適である。例えば、公知のアクリル系重合体、ジエン系重合体、水素添加ジエン系重合体等を含む組成物を用いることができる。尚、粘着層15の表面(図3の下方側)には、必要に応じて、剥離紙等を更に備えることができる(図示せず)。
また、図3における積層体1"が接着層15を備える場合には、発泡層11及び接着層15の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び10〜100μmである。この接着層15を形成する接着剤組成物としては、公知のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂等を含む組成物を用いることができる。尚、上記接着層15の形成後、本発明の積層体をすぐに使用しない場合には、接着が発現しない状態としておく必要がある。また、接着層15の表面(図3の下方側)には、必要に応じて、剥離紙等を更に備えることができる(図示せず)。
尚、本発明の積層体は、接着性、密着性等を向上させるために、必要に応じて、上記発泡層及び上記保護層の間に中間層を備えることができる。
【0093】
本発明の積層体として、好ましい構成を以下に示す。
[1]アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、及び、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体から選ばれた少なくとも1種のスチレン系(共)重合体(A11)のみよりなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[2]ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;アクリル系ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;アクリル系ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;並びに、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂、から選ばれた少なくとも1種のゴム強化樹脂(A12)のみよりなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[3]上記態様[1]におけるスチレン系(共)重合体(A11)の1種以上と、上記態様[2]におけるゴム強化樹脂(A12)の1種以上とからなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[4]上記態様[1]〜[3]のいずれかにおいて、発泡層11を構成する熱可塑性樹脂が、更に、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーから選ばれた少なくとも1種を含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
上記[1]〜[4]におけるゴム質重合体(p)として、好ましくはジエン系ゴム質重合体、ジエン系ゴム質重合体の水素添加物及びアクリル系ゴムである。
【0094】
2.積層体の製造方法
本発明の積層体の製造方法は、上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする。
【0095】
上記熱可塑性樹脂組成物[X]を構成する上記組成物[X1]は、上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AX1)」という。)と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤(以下、「着色剤(BX1)」という。)と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(CX1)」という。)とを含有する組成物である。尚、この組成物[X1]は、(1種のみからなる)均一組成のマスターバッチペレット等であってよいし、互いに組成の異なる2種以上のマスターバッチペレット等の混合物であってもよい。後者の場合は、組成物[X1]全体として、上記各成分が所定の含有割合を有するように、2種以上のマスターバッチペレット等の各組成が選択される。
一方、上記組成物[X2]は、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AX2)」という。)と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤(以下、「着色剤(BX2)」という。)と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(CX2)」という。)とを含有する組成物である。尚、この組成物[X2]も、(1種のみからなる)均一組成のマスターバッチペレット等であってよいし、互いに組成の異なる2種以上のマスターバッチペレット等の混合物であってもよい。後者の場合は、組成物[X2]全体として、上記各成分が所定の含有割合を有するように、2種以上のマスターバッチペレット等の各組成が選択される。例えば、着色剤を少量に含有する樹脂組成物からなるマスターバッチペレット(M1)、及び、着色剤を多量に含有する樹脂組成物からなるマスターバッチペレット(M2)の混合物を組成物[X2]として用いることができる。この場合、マスターバッチペレット(M1)及びマスターバッチペレット(M2)によって、組成物[X2]の構成が満たされれば、マスターバッチペレット(M1)の組成は、組成物[X2]の構成を満たさなくてもよい。
上記組成物[X1]及び[X2]に含まれる各成分において、樹脂(AX1)及び樹脂(AX2)によって、上記熱可塑性樹脂(A)が構成され、着色剤(BX1)及び着色剤(BX2)によって、上記着色剤(B)が構成され、且つ、発泡剤(CX1)及び発泡剤(CX2)によって、上記発泡剤(C)が構成されるものとする。
【0096】
上記組成物[X1]に含有される樹脂(AX1)は、スチレン系樹脂(A1)のみであってよいし、他の熱可塑性樹脂のみであってよいし、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂の組合せであってもよい。好ましくは、スチレン系樹脂(A1)のみ、即ち、スチレン系(共)重合体(A11)及び/又はゴム強化スチレン系樹脂(A12)である。
また、上記組成物[X2]に含有される樹脂(AX2)も同様に、スチレン系樹脂(A1)のみであってよいし、他の熱可塑性樹脂のみであってよいし、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂の組合せであってもよい。好ましくは、スチレン系樹脂(A1)のみ、並びに、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂の併用である。尚、上記組成物[X1]及び[X2]において、他の熱可塑性樹脂のみを使用する場合には、組成物[X1]及び[X2]のいずれか一方に限られる。
【0097】
また、発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、歪みがなく、平滑性に優れ、上記熱可塑性樹脂組成物[X]により形成される発泡層に現出された模様が鮮明である積層体を得るための好ましい構成は、以下に示される。
上記組成物[X1]に含有される樹脂(AX1)、及び、上記組成物[X2]に含有される樹脂(AX2)の質量割合は、上記のように、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、より好ましくは7〜45質量%及び55〜93質量%、更に好ましくは10〜40質量%及び60〜90質量%である。
尚、上記組成物[X1]が、スチレン系樹脂(A1)を含有する場合、このスチレン系樹脂(A1)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分の構成は、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位、及び、他の化合物に由来する単量体単位が、それぞれ、好ましくは75〜95質量%、5〜25質量%及び0〜20質量%、より好ましくは80〜87質量%、13〜20質量%、及び、0〜7質量%である。この範囲とすることにより、着色性に優れた発泡層が得られ、外観性に優れる。
【0098】
上記組成物[X1]に含有される着色剤(BX1)、及び、上記組成物[X2]に含有される着色剤(BX2)の質量割合は、上記のように、それぞれ、0〜50質量%及び50〜100質量%であり、より好ましくは0〜40質量%及び60〜100質量%、更に好ましくは0〜20質量%及び80〜100質量%である。
また、上記組成物[X1]に含有される発泡剤(CX1)、及び、上記組成物[X2]に含有される発泡剤(CX2)の質量割合は、上記のように、それぞれ、20〜100質量%及び0〜80質量%であり、より好ましくは50〜100質量%及び0〜50質量%、更に好ましくは70〜100質量%及び0〜30質量%である。
上記範囲で組成物[X1]及び[X2]を調製し、これらを混合してなる熱可塑性樹脂組成物[X]とすることにより、発泡倍率が2倍以上と高く、且つ、表面に、発泡セルが均一であり、成形外観性に優れる発泡層を容易に得ることができる。
【0099】
上記の組成物[X1]及び[X2]の特に好ましい組合せは、上記組成物[X1]が、含有されるスチレン系樹脂(A1)において上記アセトン可溶成分の構成を備え、着色剤(BX1)の質量割合が着色剤(B)全体に対して0〜20質量%であり、発泡剤(CX1)の質量割合が、発泡剤(C)全体に対して100質量%である発泡剤含有組成物であり、且つ、上記組成物[X2]が、着色剤(BX2)の質量割合が着色剤(B)全体に対して80〜100質量%であり、発泡剤(CX2)を含有しない発泡剤非含有組成物である態様である。上記組成物[X1]は、好ましくは、発泡倍率が1.15以下、より好ましくは1.10以下の発泡剤含有マスターバッチペレットである。一方、上記組成物[X2]は、好ましくは、上記発泡剤(C)を含有しない着色剤含有マスターバッチペレットである。
本発明における発泡層の着色は、均一着色及び斑模様着色が挙げられている。均一着色は、着色剤(B)が均一に分散するような条件を、適宜、選択することで達成できる。他方、斑模様着色は、一部の着色剤(B)を分散しにくくする条件を、適宜、選択することで達成できる。後述する実施例では、斑模様着色の具体例を示しているが、3種のペレットを単に混合したペレット混合物を、直接、成形材料として、成形機に供給して成形品を製造した場合には、一部の着色剤(B)の分散不良により、斑模様に着色される。この着色剤分散不良を高める他の方法は、着色剤含有マスターバッチペレットで使用される樹脂として、溶融温度の高い樹脂を使用する方法、滑剤の使用量を多くする方法等が挙げられる。また、上記3種のペレット混合物を溶融混練し、それを成形材料として、成形機に供給して成形品を製造した場合には、ペレット混合物の溶融混練により着色剤が均一分散することで均一着色となる。
尚、上記の組成物[X1]及び[X2]は、必要に応じて、上記に例示した、発泡助剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、蛍光増白剤、蛍光染料等の添加剤を含んでもよい。
【0100】
上記組成物[X1]としての発泡剤含有マスターバッチペレットは、樹脂(AX1)を溶融状態としながら、発泡剤(C)を配合し、混練することにより製造された溶融混練物であることが好ましい。例えば、上記樹脂(AX1)を溶融混練する工程(以下、「溶融工程」という。)、溶融工程により得られた溶融状態の樹脂(AX1)に、発泡剤(C)、又は、発泡剤(C)及び発泡助剤を供給し、この混合物を溶融混練する工程(以下、「混練工程」という。)、混練工程により得られた混練物を線状体等とし、直ぐに上記線状体を冷却する工程(以下、「冷却工程」という。)、並びに、冷却した線状体を切断する工程(以下、「切断工程」という。)を、順次、進める製造方法により作製することができる。
【0101】
上記溶融工程においては、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等の押出機を用い、上記樹脂(AX1)を、その溶融温度以上で溶融混練する。
その後、上記混練工程においては、上記溶融工程において用いた押出機が、あるいは、別途準備した、上記例示した押出機が用いられ、溶融状態の上記樹脂(AX1)中に、液化させた発泡剤(C)、又は、液化させた発泡剤(C)及び発泡助剤を供給し、通常、上記樹脂(AX1)の溶融温度以上で溶融混練する。
【0102】
次いで、上記冷却工程においては、上記混練工程により得られた混練物を、押出機の出口に配設された、例えば、直径1〜5mmの押出孔から押し出して、連続した線状体等を形成する。そして、押し出された線状体を水等の冷媒の中に導入し、冷却する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの発泡剤含有マスターバッチペレットを製造することができる。
【0103】
上記発泡剤含有マスターバッチペレットの形状及び大きさは、特に限定されず、形状について、例えば、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
一方、上記溶融混合物の形状及び大きさも、特に限定されず、形状について、例えば、粉末状、球状、略球状、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
【0104】
積層体の製造に際して、上記熱可塑性樹脂組成物[X]と併用される上記熱可塑性樹脂組成物[Y]は、上記保護層における熱可塑性樹脂組成物[Y]の説明をそのまま適用することができる。
【0105】
本発明の積層体の製造方法において、上記の熱可塑性樹脂組成物[X]及び[Y]は、通常、それぞれ、単軸押出機、二軸押出機、タンデム型押出機等により溶融状態とした後、共押出される。これにより、発泡層と、保護層とが接合した積層体が製造される(図1及び図2参照)。
【0106】
本発明の積層体は、木製製品の代替品として、例えば、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具(机の引き出し、天板等)、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート、テラス、デッキ、浴室部材(カウンター、扉、エプロン、UB枠、窓枠、棚等)、台所部材(扉、仕切板、窓枠、棚等)等の住宅・事務所用内外装材;玩具;遊戯機等の緩衝材、補強材、断熱材、芯材、代替合板等に好適である。
【実施例】
【0107】
以下に、実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0108】
1.原料成分
下記の実施例及び比較例において用いる成分を示す。
【0109】
1−1.熱可塑性樹脂A
以下に示す、スチレン系樹脂(A−1)〜(A−7)を用いた。
(1)スチレン系樹脂(A−1)
スチレン単位量79%、アクリロニトリル単位量21%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。重量平均分子量(Mw)は16万である。アセトンに可溶である。
(2)スチレン系樹脂(A−2)
スチレン単位量84%、アクリロニトリル単位量16%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。Mwは15万である。アセトンに可溶である。
(3)スチレン系樹脂(A−3)
スチレン単位量70%、アクリロニトリル単位量30%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。Mwは20万である。アセトンに可溶である。
【0110】
(4)スチレン系樹脂(A−4)
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子の存在下、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂である。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、ポリブタジエンゴムの含有量は51%、スチレン単位量は35%、アクリロニトリル単位量は14%である。
(5)スチレン系樹脂(A−5)
n−ブチルアクリレート単位量99%及びアリルメタクリレート単位量1%からなるアクリル系共重合ゴムの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂である。このゴム強化樹脂のグラフト率は60%、アクリル系共重合ゴムの含有量は50.8%、スチレン単位量は36.4%、アクリロニトリル単位量は12.8%である。また、アセトニトリル可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.55dl/gである。
【0111】
(6)スチレン系樹脂(A−6)
スチレン単位量21%、アクリロニトリル単位量7%及びメタクリル酸メチル単位量72%のアクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体である。アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。
(7)スチレン系樹脂(A−7)
α−メチルスチレン単位量73%及びアクリロニトリル単位量は27%のα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体である。
【0112】
1−2.着色剤B
(1)B−1
Fe及びCrの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−703A」、日本フェロー社製)を用いた。黒色着色剤である。
(2)B−2
Fe及びMnの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−350A」、日本フェロー社製)を用いた。黄色着色剤である。
(3)B−3
Cu、Cr及びMnの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−303B」、日本フェロー社製)を用いた。茶色着色剤である。
【0113】
1−3.発泡剤C
ブタン(大気圧における沸点−0.5℃)を用いた。
1−4.化学発泡剤D
主成分が炭酸水素ナトリウムである吸熱分解型発泡剤(商品名「セルボンSC−P」、永和化成社製)を用いた。
1−5.滑剤E
ステアリン酸マグネシウムを用いた。
【0114】
2.発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物[X]
以下のように、発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを調製し、発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0115】
2−1.発泡剤含有マスターバッチペレット[X1]
製造例1〔発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)の製造〕
シリンダー温度を170℃〜250℃に設定したスクリュー径40mm単軸押出機に、スチレン系樹脂(A−1)100部を供給してこれを溶融した。その後、発泡剤Cの4.5部を上記押出機シリンダー中間注入口から供給し、溶融混練した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランド化させて、そのまま直接、水槽に導入した。水槽にて冷却後、長さ3mmに切断し、外径約2mmの発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)を得た。
【0116】
上記発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)における発泡剤Cの含有量及び発泡倍率を以下の方法により測定したところ、発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)の構成は、表1に示されるような結果を得た。
[ブタン含有量測定方法]
発泡剤含有マスターバッチペレット約10gを、200℃のホットプレート上に載置し、5分間加熱し、加熱前後の質量を精秤し、その差をブタン含有量とした。
[発泡倍率]
発泡剤含有マスターバッチペレットの外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
尚、計算に用いた樹脂の比重は、アクリロニトリル・スチレン共重合体;1.08g/cmである。
【0117】
製造例2〜3〔発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−2)〜(X1−3)の製造〕
スチレン系樹脂(A−2)〜(A−3)及び発泡剤Cを、それぞれ、表1に示す割合で用いた以外は、製造例1と同様にして発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−2)〜(X1−3)を製造し、各種評価を行った。その結果を表1に示した。
また、発泡剤Cを含有しない、スチレン系樹脂(A−2)のみからなるマスターバッチペレット(X1−4)も同様にして製造した(製造例4、表1参照)。
【0118】
【表1】

【0119】
2−2.着色剤含有マスターバッチペレット[X2]
製造例5〔着色剤含有マスターバッチペレット(X2−1)の製造〕
スチレン系樹脂(A−4)及び(A−6)を、それぞれ、30部及び70部と、着色剤(B−1)及び(B−2)を、それぞれ、0.07部及び0.03部と、滑剤Eの0.7部とを、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合し、混合物を得た。その後、この混合物を、シリンダー温度170℃〜250℃に設定されたスクリュー径40mmの単軸押出機に供給し、溶融混練した。上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランド化させて、そのまま直接、水槽に導入した。水槽にて冷却後、長さ3mmに切断し、外径約2mmの着色剤含有マスターバッチペレット(X2−1)を得た(表2参照)。
【0120】
製造例6〔着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)の製造〕
スチレン系樹脂(A−5)及び(A−6)を、それぞれ、30部及び70部と、着色剤(B−1)及び(B−2)を、それぞれ、0.07部及び0.03部と、滑剤Eの0.7部とを用いた以外は、製造例5と同様にして、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)を得た(表2参照)。
【0121】
製造例7〔着色剤含有マスターバッチペレット(X2−3)の製造〕
スチレン系樹脂(A−4)、(A−5)及び(A−7)を、それぞれ、4部、6部及び37部と、着色剤(B−1)、(B−2)及び(B−3)を、それぞれ、25部、2部及び25部と、滑剤Eの1部とを用いた以外は、製造例5と同様にして、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−3)を得た(表2参照)。
【0122】
【表2】

【0123】
2−3.発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物[X]の調製
調製例1
発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)25部、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)71部及び(X2−3)4部を、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合して、実施例1のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3の「配合(部)」欄参照)。また、得られた発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物の組成を、即ち、熱可塑性樹脂Aを100部としたときの、着色剤B等の含有割合を、表3の「発泡層の組成(部)」欄に示した。
【0124】
調製例2〜7及び9
表3の「配合(部)」欄に記載の発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを用い、調製例1と同様にして、実施例2〜7及び比較例2のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3参照)。
【0125】
調製例8
発泡剤Cを含有しないマスターバッチペレット(X1−4)24.05部、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)71部及び化学発泡剤Dの0.95部を、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合して、比較例1のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3の「配合(部)」欄参照)。
【0126】
3.保護層形成用熱可塑性樹脂組成物[Y]
(1)Y−1
n−ブチルアクリレート単位量60%と、ブタジエン単位量20%と、スチレン単位量19%と、アリルメタクリレート単位量1%とからなる共重合体であるアクリル系共重合ゴムの存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−1)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、アクリル系共重合ゴムの含有量は15%、メタクリル酸メチル単位量は56%、スチレン単位量は11%、アクリロニトリル単位量は7%である。また、アセトニトリル可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−1)の全光線透過率は、75%である。
(2)Y−2
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴムの存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−2)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、ポリブタジエンゴムの含有量は20%、メタクリル酸メチル単位量は56%、スチレン単位量は18%、アクリロニトリル単位量は6%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−2)の全光線透過率は、88%である。
(3)Y−3
水添ブロック共重合体ゴム(JSR社製、商品名「ダイナロン4600P」)の存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを溶液重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−3)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は42%、水添ブロック共重合体ゴムの含有量は20%、メタクリル酸メチル単位量は57%、スチレン単位量は11.5%、アクリロニトリル単位量は11.5%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−3)の全光線透過率は、79%である。
(4)Y−4
平均重合度1050の塩化ビニル樹脂100部と、DIDP(ジイソデシルフタレート、可塑剤)32部と、エポキシ化大豆油(可塑剤)7部と、DOZ(ジオクチルアゼレート、可塑剤)と、液状Ba−Cd−Znの複合物(安定剤)3部と、ミネラルオイル(滑剤)0.25部とを混合することにより得られた熱可塑性樹脂組成物(Y−4)を用いた。この組成物の全光線透過率は、79%である。
【0127】
4.積層体の製造及びその評価
実施例1
調製例1により得られた発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物100部と、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−1)100部とを用い、下記条件で共押出することにより、発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物により、斑模様に着色した発泡層(3mm厚)と、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物により、透明な保護層(0.2mm厚)とを備える、幅50mmの積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
<製造条件>
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用い、スクリュー回転数を20rpm、溶融混練温度を200℃とし、引き取り速度を0.85m/分として、また、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物は、スクリュー径20mmの単軸押出機を用い、スクリュー回転数を30rpm、溶融混練温度を220℃とし、引き取り速度を0.85m/分として共押出し、積層体を得た。
【0128】
実施例2〜7
表3に記載の発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物及び保護層形成用熱可塑性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
尚、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−4)を用いた実施例7においては、溶融混練温度を200℃とした。
【0129】
実施例8
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物として、発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを用いる代わりに、以下の方法で得た発泡剤含有熱可塑性樹脂体(102.6部のうちの100部)を用い、更に、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−1)の100部を用いて、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た。
まず、スチレン系樹脂(A−1)23部と、スチレン系樹脂(A−5)22.5部と、スチレン系樹脂(A−6)52.5部と、着色剤(B−1)1部と、着色剤(B−2)0.1部と、着色剤(B−3)1部と、滑剤Eの0.5部とを、ヘンシェルミキサーで混合し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用い、200℃で溶融した。その後、発泡剤Cの2部を、上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練することにより、発泡剤含有熱可塑性樹脂体(102.6部)を得た。
【0130】
比較例1
表3に記載の発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物及び保護層形成用熱可塑性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
【0131】
比較例2
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物のみを用い、実施例1における製造条件により、発泡層のみからなる単層シートを得た。
【0132】
得られた積層体(長尺状2層型積層シート)について、下記評価を行った。その結果を表3に併記した。
(1)発泡層の発泡倍率
発泡層の外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
【0133】
(2)外観性
得られた積層体の外観性について、着色性及び平滑性を目視観察した。
<着色性>
◎;保護層を通して、斑模様が鮮明に視認できた。
○;保護層を通して、斑模様の鮮明性が若干劣る。
△;保護層を通して、斑模様の鮮明性が少し劣る。
×;保護層を通して、斑模様の鮮明性が劣っていた。
<平滑性>
○;歪みのない2層型積層シートが得られ、その表面が滑らかであった。
△;歪みのない2層型積層シートが得られたが、その表面の一部に滑らかでない部分が見られた。
×;わずかに歪みのある2層型積層シートが得られ、保護層のない側の発泡層表面の一部に凹凸が見られた。
【0134】
【表3】

【0135】
表3より、実施例1〜7は、斑模様の鮮明性に優れ、また、平滑性に優れていた。従来、非ジエン系ゴム強化樹脂の発泡体の斑模様着色性は、ジエン系ゴム強化樹脂に比べて劣っていたが、本発明の物理発泡剤を用いることで、ジエン系ゴム強化樹脂と同等の斑模様着色性を達成することができた。
一方、比較例1は、本発明の範囲外の化学発泡剤を使用した例であり、斑模様着色性、平滑性が劣っていた。また、比較例2は、保護層を有しない、発泡層のみからなる単層シートであるが、実施例の積層体に比べると、斑模様着色性及び平滑性が劣っていた。このことは、保護層は、斑模様着色性及び平滑性の向上に寄与している。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明の積層体は、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具(机の引き出し、天板等)、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート、テラス、デッキ、浴室部材(カウンター、扉、エプロン、UB枠、窓枠、棚等)、台所部材(扉、仕切板、窓枠、棚等)等の住宅・事務所用内外装材;玩具;遊戯機等の緩衝材、補強材、断熱材、芯材、代替合板等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明の積層体(積層シート等)の断面構造の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の積層体(積層シート等)の断面構造の他の例を示す概略図である。
【図3】本発明の積層体(積層シート等)の断面構造の他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0138】
1,1’及び1";積層体
11;第1層(発泡層)
12,12a及び12b;第2層(保護層)
15;支持層又は粘着層(接着層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、(B)着色剤、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層と、該第1層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層とを備えることを特徴とする積層体。
【請求項2】
上記第1層の表面が斑模様を呈している請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
上記熱可塑性樹脂組成物[Y]が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
上記第1層の密度が、40〜500kg/mである請求項1乃至3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
フィルム又はシートである請求項1乃至4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
木製製品の代替品として用いられる請求項1乃至5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、
厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項8】
上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである請求項7に記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
上記組成物[X1]に含有されるスチレン系樹脂をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位0〜20質量%により構成されている請求項7又は8に記載の積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−113471(P2009−113471A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192693(P2008−192693)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(396021575)テクノポリマー株式会社 (278)
【Fターム(参考)】