説明

積層体

【課題】 リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際にアルミニウム箔と金属端子との短絡を防止することができる積層体を提供することであり、更には、アルミニウム箔より内側の層間の接着強度が強くかつ安定した積層体を提供することである。
【解決手段】 外層、アルミニウム箔、フッ素系樹脂層、熱接着性樹脂層を順に積層した積層体において、前記アルミニウム箔と前記フッ素系樹脂層、および、前記フッ素系樹脂層と前記熱接着性樹脂層とが化成処理層を介して積層されていることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池、特に電解質(液体や固体電解質)を有するリチウム電池本体を包装する積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池とは、リチウム二次電池ともいわれ、電解質として固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で起電する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。リチウム二次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)からなるリチウム電池本体およびそれらを収納する外装等からなる。リチウム二次電池は、その高い体積効率、重量効率から電子機器、電子部品、特に携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカメラなどに広く用いられている。
【0003】
前記リチウム電池の外装としては、円柱状や直方体状の金属缶を金属接合により密封したものと、柔軟性を有する積層体を熱接着して密封したものとに大別されるが、金属端子の取出し易さや密封のし易さ、あるいは、柔軟性を有するために電子機器や電子部品の適当な空間に合わせた形状とすることができ、電子機器や電子部品自体の形状をある程度自由に設計することができるために、小型化、軽量化が容易であるなどの理由から、プラスチックフィルムやアルミニウム等の金属箔を積層した積層体が用いられるようになってきた。
【0004】
そして、前記積層体には、リチウム電池として求められる物性、すなわち、防湿性、密封性、耐突刺し性、絶縁性、耐熱・耐寒性、耐電解質性(耐電解液性)、耐腐蝕性(電解質の劣化や加水分解により発生するフッ酸に対する耐性)等が必要不可欠なものとして求められるために、前記積層体としては耐突刺し性や外部との通電を阻止するための基材層、防湿性を確保するためのアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層、および、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続されて外部に突設される金属端子との接着性に優れると共に密封性を確保するための熱接着性を有する内層で構成される積層体が一般的には用いられる。
【0005】
リチウム電池の形態としては、上記した積層体を製袋加工して周縁熱接着部で図2(a)に示すように袋状〔図2(a)上はピロータイプの包装袋であるが三方タイプ、四方タイプ等の包装袋であってもよい〕にして、図示はしないがリチウム電池本体の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納し、開口部を熱接着して密封するなりした図2(b)に示す袋タイプ、あるいは、上記した積層体を図3(a)に示すようにプレス成形して凹部を形成し、この凹部に図示はしないが前記リチウム電池本体の正極および負極との各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で収納すると共に、図示はしないが別途用意したシート状の前記積層体で前記凹部を被覆すると共に四周縁を熱接着して密封するなりした図3(b)に示す成形タイプとがある。なお、図2、3に示す袋タイプ、あるいは、成形タイプは本発明のリチウム電池の形態である。また、図2、3上で示す符号1は積層体、符号Dはリチウム電池、符号Sは周縁熱接着部、Tは金属端子を示す。
【0006】
上記したいずれの形態のリチウム電池においても、リチウム電池本体を積層体で密封する際に、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外部に突出させると共に積層体で前記金属端子を挟持した状態で熱接着することにより密封する必要がある。このために、前記積層体の内層を金属と良好な接着性を有する熱接着性樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂を用いて熱接着して密封する、あるいは、前記内層を金属との接着性に劣る一般的なオレフィン系樹脂(炭素と水素とからなる直鎖状あるいは分枝鎖状のオレフィン系樹脂を意味し、以下一般ポリオレフィン系樹脂と呼称する)を用い、金属と良好な接着性を有する上記した酸変性オレフィン樹脂からなる金属端子部密封用接着性フィルムを前記金属端子と前記内層との間に介在させて熱接着して密封する方法が一般的に採られている。
【0007】
しかしながら、前記金属端子はリチウム電池の電気容量等に対応させて、50〜200μm程度の適宜の厚さのアルミニウム、ニッケル、あるいは、チタン等のロール状の金属板を5〜20mm程度の適宜の幅に切断してロール状となしたものを適宜の長さに裁断して用いられ、前記金属端子を挟持した状態で熱接着して密封する際に前記金属端子の両側部の空隙を前記内層あるいは前記内層と金属端子部密封用接着性フィルムで埋めて密封状態を確保するための熱と圧と時間が必要となるが、これにより前記内層あるいは前記内層と金属端子部密封用接着性フィルムが加圧部の外に押出されて前記空隙を埋める一方で、前記加圧部が薄肉となると共に、通常金属端子は切断および裁断時に3〜15μm程度の「ばり」が端面に発生しているものであり、これが原因となって積層体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と前記金属端子の「ばり」とが接触して短絡する虞があり、前記積層体で前記金属端子を挟持した状態で熱接着して密封する際の熱と圧と時間の条件(ヒートシール条件)を厳密に管理する必要があるために結構煩雑な作業となっていった。
【0008】
そこで本出願人は、積層体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と前記金属端子の「ばり」とが接触して短絡する虞がなく安定して密封可能な電池用包装材料を先に提案した(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の発明は、4−メチル−1−ペンテン系の重合体からなる耐熱樹脂層を内層に含む構成とした電池用包装材料であって、このように構成することにより水蒸気バリアー性に優れるために電池の寿命を長くすることができると共にヒートシールの熱と圧力によって積層体のアルミニウム等の金属箔からなるバリアー層と前記金属端子の「ばり」とが接触して短絡する虞がなく安定して密封することができるようになり、ヒートシール条件の管理幅を広げることができて作業性を向上させることができた。しかし、4−メチル−1−ペンテン系の重合体からなる耐熱樹脂層を内層に含む構成からなる電池用包装材料は、たとえば、これで三方シール包装袋を作製し、この包装袋を減圧下において1℃ずつ昇温した際に、破袋するまでの温度が低く、その意味では層間の接着強度において満足できるほどに十分な接着強度が得られていないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−92088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際にアルミニウム箔と金属端子との短絡を防止することができる積層体を提供することであり、更には、アルミニウム箔より内側の層間の接着強度が強くかつ水蒸気バリアー性に優れると共に、前記接着強度や水蒸気バリアー性が時間経過と共に落ちることなく安定した積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、外層、アルミニウム箔、フッ素系樹脂層、熱接着性樹脂層を順に積層した積層体において、前記アルミニウム箔と前記フッ素系樹脂層、および、前記フッ素系樹脂層と前記熱接着性樹脂層とが化成処理層を介して積層されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の積層体において、前記化成処理層がフェノール樹脂、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液で処理された層であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、アルミニウム箔と熱接着性樹脂層との間にフッ素系樹脂層を設けると共にアルミニウム箔とフッ素系樹脂層間およびフッ素系樹脂層と熱接着性樹脂層間に化成処理層、特にフェノール樹脂、三価クロム化合物、リン化合物を含有する化成処理液で処理された化成処理層を介在させた構成とすることにより、アルミニウム箔より内側の層間の接着強度を強くかつ電解液に対しても経時的に安定したものとすることができ、また、フッ素系樹脂層の存在によりリチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に積層体のアルミニウム箔と金属端子との短絡を防止することができると共にフッ素系樹脂層は水蒸気バリアー性に優れるために水分の浸入を阻止することができてリチウム電池の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる積層体の基本的な層構成を図解的に示す図である。
【図2】リチウム電池の形態の一実施例を説明する図である。
【図3】リチウム電池の形態の他の実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に詳述する。
図1は本発明にかかる積層体の基本的な層構成を図解的に示す図であって、積層体1は外層2、アルミニウム箔3、化成処理層4、フッ素系樹脂層5、化成処理層4、熱接着性樹脂層6を順に積層したものである。
【0016】
前記外層2としては、アルミニウム箔(後述)2を保護すると共に外力、特に外部からの突き刺しに対する耐突き刺し性を向上させる目的で設けるものであり、機械的強度に優れる点から2軸方向に延伸したポリエステルフィルムやポリアミドフィルム、あるいは、これらの積層体を挙げることができる。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート等からなるフィルムを挙げることができ、また、ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66等からなるフィルムを挙げることができる。前記積層体1を成形タイプ(図3参照)とする場合には、二軸方向に延伸したポリエステルフィルムに比べて伸びが大きい二軸方向に延伸したポリアミドフィルムが好ましい。前記外層2の厚さとしては6μm以上が適当である。この理由としては、6μmより厚さが薄いと、それ自体にピンホールが存在する可能性があると共に外力に対するアルミニウム箔(後述)2の保護効果が減少し、特に成形タイプ(図3参照)の場合には前記アルミニウム箔2にピンホールや破断が発生し易く成形不良を起こし易いからであり、より好ましくは12μm以上である。また、前記外層1が単層であれ、複層であれ、25μmより厚い場合は外力に対するアルミニウム箔(後述)2の保護という点で顕著な効果が認められず、体積および重量エネルギー密度を低下させると共に、費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、上記したポリエステルフィルムやポリアミドフィルムは必要な面にコロナ放電処理等の易接着処理を施すことができる。
【0017】
次に、前記アルミニウム箔3について説明する。前記アルミニウム箔3としては、外部から電池内部に特に水蒸気が浸入するのを防止するために設けられるものであって、水蒸気バリアー性の確保と加工時の加工適性を考慮すると、20〜80μmの厚さのものが適当である。20μmより厚さが薄い場合は、アルミニウム箔単体のピンホールが危惧され、水蒸気の浸入の危険性が高くなり、80μmより厚さが厚い場合は、アルミニウム箔のピンホールに顕著な効果が認められず、水蒸気バリアー性の更なる向上が期待できず、逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。
【0018】
また、前記アルミニウム箔3は鉄分を0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%含有したものが鉄分を含有しないものと比較して延展性に優れると共に折り曲げに対するピンホールの発生が少なく、特にプレス成形時に偏肉のない均一な成形品が得られるために成形タイプ(図3参照)とする場合の積層体1に鉄分を含有したアルミニウム箔を用いるのが好ましい。なお、鉄含有量が0.3重量%未満ではピンホール発生の防止や延展性において効果が認められず、鉄含有量が9.0重量%超ではアルミニウム箔としての柔軟性が阻害されるために成形適性が低下する。
【0019】
また、前記アルミニウム箔3は冷間圧延で製造されるが、焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性、腰の強さ、硬さが変化するが、本発明に用いるアルミニウム箔は焼きなましをしていない硬質処理品よりも多少ないし完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウム箔がよい。また、柔軟性、腰の強さ、硬さを決めるアルミニウム箔の焼きなまし条件は、積層体1を袋タイプ(図2参照)として用いるのか、成形タイプ(図3参照)として用いるのかにより適宜決めればよいものである。
【0020】
次に、前記フッ素系樹脂層5について説明する。前記フッ素系樹脂層5としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、ビニリデンフルオライド(VdF)、ビニルフルオライド(VF)などに代表されるフッ素系モノマーの重合体および共重合体、あるいは、これらのモノマーとフッ素系以外のモノマー、たとえば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ビニルシクロヘキセンなどのα−オレフィン類やシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテンなどの環状オレフィン類ないしそのアルキル置換体等の非ハロゲン系オレフィンとの共重合体、さらに、これらの重合体あるいは共重合体と他の高分子化合物との混合物からなるものである。前記フッ素系樹脂層5の形成方法としては、前記含フッ素重合体あるいは共重合体をフィルム化したものを化成処理層4(後述)面にサーマルラミネーション法で積層して形成する方法、あるいは、前記含フッ素重合体あるいは共重合体をペレット化したものを化成処理層4(後述)面に加熱溶融押出しすることにより形成する方法、あるいは、前記含フッ素重合体あるいは共重合体を周知の乳化法でエマルジョン化し、これを化成処理層4(後述)面にロールコート法、グラビアコート法等の周知の塗布方法で塗布・乾燥して形成する方法等の適宜の形成方法で形成することができる。前記フッ素系樹脂層5の厚さとしては、1.0〜50μmが適当であり、1.0μm未満では熱接着して密封する際の短絡防止効果が期待できず、50μm超では熱接着して密封する際の短絡防止に顕著な効果が認められず、逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が望ましい。また、上記した含フッ素重合体あるいは共重合体をフィルム化したものを用いる場合は、必要に応じてフィルムの両面にコロナ放電処理、プラズマ処理、サンドブラスト処理、フレーム処理、化学エッチング処理、塩基性水溶液処理、レーザー処理などの易接着処理を施してもよいものであるし、また、前記アルミニウム箔3面の後述する化成処理層4を介して形成した前記フッ素系樹脂層5面に上記した易接着処理を施してもよいものである。
【0021】
次に、前記化成処理層4について説明する。前記化成処理層4は前記アルミニウム箔3の前記フッ素系樹脂層5側の面と前記フッ素系樹脂層5の前記熱接着性樹脂層(後述)6側の面に形成するものである。前記化成処理層4は前記アルミニウム箔3と前記フッ素系樹脂層5および前記フッ素系樹脂層5と前記熱接着性樹脂層6とを強固に接着させて電解液、あるいは、電解液の加水分解により発生するフッ酸によるデラミネーションを防止すると共に成型タイプにあってはプレス成型時のデラミネーションを防止するために設けるものである。前記化成処理層4は、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、塗布型クロメート処理等のクロム系化成処理、あるいは、ジルコニウム、チタン、リン酸亜鉛等の非クロム系(塗布型)化成処理等により前記アルミニウム箔3面および前記フッ素系樹脂層5面に形成されるものであるが、前記フッ素系樹脂5と強固に接着するという点、また、連続処理が可能であると共に水洗工程が不要で処理コストを安価にすることができるという点などから塗布型化成処理、特にフェノール樹脂としてアミノ化フェノール重合体と3価クロム化合物とリン化合物を含有する処理液で処理するのが最も好ましい。まず、フェノール樹脂としてのアミノ化フェノール重合体について説明する。アミノ化フェノール重合体としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、下記式(1)、(2)、(3)、(4)で表される繰り返し単位からなるアミノ化フェノール重合体を挙げることができる。なお、式中のXは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基ないしベンジル基を示す。また、R1、R2はヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示し、同じ基であってもよいし、異なる基であってもよいものである。
【0022】
下記式(1)〜(4)において、X、R1、R2で示されるアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖または分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。また、X、R1、R2で示されるヒドロキシアルキル基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ基が1個置換された炭素数1〜4の直鎖ないし分枝鎖状アルキル基を挙げることができる。なお、下記式(1)〜(4)におけるXは水素原子、ヒドロキシル基、および、ヒドロキシアルキル基のいずれかであるのが好ましい。
【0023】
また、下記式(1)、(3)で表されるアミノ化フェノール重合体は、繰り返し単位を約80モル%以下、好ましくは繰り返し単位を約25〜約55モル%の割合で含むアミノ化フェノール重合体である。また、アミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、好ましくは約500〜約100万、より好ましくは約1000〜約2万である。アミノ化フェノール重合体は、たとえば、フェノール化合物ないしナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して下記(1)ないし(3)で表される繰り返し単位からなる重合体を製造し、次いで、この重合体にホルムアルデヒドおよびアミン(R12NH)を用いて水溶性官能基(−CH2NR12)を導入することにより製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種ないし2種以上混合して用いることができる。
【0024】
【化1】

【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
【化4】

【0028】
次に、三価クロム化合物について説明する。三価クロム化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロム等を挙げることができ、好ましくは硝酸クロム、フッ化クロムである。
【0029】
次に、リン化合物について説明する。リン化合物としては、公知のものを広く使用することができ、たとえば、リン酸、ポリリン酸等の縮合リン酸およびこれらの塩等を挙げることができる。ここで、前記塩としては、たとえば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0030】
そして、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液を用いて形成する前記化成処理層4としては、1m2当たり、アミノ化フェノール重合体が約1〜約200mg、三価クロム化合物がクロム換算で約0.5〜約50mg、および、リン化合物がリン換算で約0.5〜約50mgの割合で含有されているのが適当であり、アミノ化フェノール重合体が約5.0〜150mg、三価クロム化合物がクロム換算で約1.0〜約40mg、および、リン化合物がリン換算で約1.0〜約40mgの割合で含有されているのがより好ましい。この場合の乾燥温度としては、150〜250℃、好ましくは170〜250℃で、加熱処理(焼付け処理)するのが適当である。
【0031】
また、前記化成処理層4の形成方法としては、前記処理液をバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法等の周知の塗布法を適宜選択して形成すればよいものである。また、前記化成処理層4を形成する前記アルミニウム箔3面は、予め、たとえば、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の脱脂処理法で処理を施しておく方が、前記化成処理層4の機能を最大限に発現させると共に、長期間維持することができる点から好ましい。
【0032】
次に、前記熱接着性樹脂層6について説明する。前記熱接着性樹脂層6としては、リチウム電池本体の正極および負極の各々に接続された金属端子を外側に突出した状態で挟持して熱接着して密封する際に前記熱接着性樹脂層6と金属端子との間に金属端子部密封用接着性フィルムを介在させるか否かで樹脂種が異なるものである。金属端子部密封用接着性フィルムを介在させる場合には、低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エチレン−ブテン共重合体等のエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン,エチレン−プロピレン共重合体,エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂の単体ないし混合物等の一般ポリオレフィン系樹脂を適宜選択して用いればよく、また、金属端子部密封用接着性フィルムを介在させない場合には、酸変性ポリオレフィン系樹脂、たとえば、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂、エチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂、特に好ましくは不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂を用いればよい。この理由としては、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリオレフィン樹脂はエチレンないしプロピレンとアクリル酸、または、メタクリル酸との共重合体等の酸変性ポリオレフィン樹脂に比べて、耐熱性に優れるからである。また、前記熱接着性樹脂層6は上記した一般ポリオレフィン系樹脂ないし酸変性ポリオレフィン樹脂からなる単層に限ることはなく、一般ポリオレフィン系樹脂層/酸変性ポリオレフィン系樹脂層(最内層)、酸変性ポリオレフィン系樹脂層/一般ポリオレフィン系樹脂層(最内層)、酸変性ポリオレフィン系樹脂層/一般ポリオレフィン系樹脂層/酸変性ポリオレフィン系樹脂層(最内層)等に代表されるような2ないし3層の層であってもよいものである。前記熱接着性樹脂層6の形成方法としては、一般ポリオレフィン系樹脂ないし酸変性ポリオレフィン系樹脂をフィルム化したものを用いて、前記フッ素系樹脂層5の化成処理層4面にサーマルラミネーション法で積層して形成してもよいし、また、一般ポリオレフィン系樹脂ないし酸変性ポリオレフィン系樹脂をペレット化したものを前記フッ素系樹脂層5の化成処理層4面に加熱溶融押出しすることにより形成してもよいものである。前記熱接着性樹脂層6の厚さとしては、10〜100μm、好ましくは30〜50μmであり、10μm未満では熱接着した際に十分な接着強度を得ることができずに密封性に問題が生じる虞があり、100μm超では熱接着して密封する際の密封性に顕著な効果が認められず、また、総厚が厚くなることにより逆に体積および重量エネルギー密度を低下させると共に費用対効果の面からも使用しない方が好ましい。
【0033】
なお、図示はしなかったが、前記外層2と前記アルミニウム箔3との積層は、たとえば、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系等の周知のドライラミネーション用接着剤を用いて、ドライラミネーション法で積層すればよいものである。また、前記積層体1を成型タイプ(図3参照)に用いる場合にあっては前記アルミニウム箔3の前記外層2を積層する側の面に、上記で説明した化成処理層4を設けるのが好ましい。この理由としては、プレス成型時の前記アルミニウム箔3と前記外層2とのデラミネーションを防止することができるからであり、袋タイプ(図2参照)にあっては、敢えて設けなくてもよいものである。また、前記積層体1を成形タイプ(図3参照)とする場合にあっては、プレス成形時に金型に対して前記積層体1が部分的に密着するのを防止して厚みムラ(厚みバラツキ)のない均一なプレス成形品を得る目的(プレス成形時の成形性を向上させる目的)で、たとえば、前記外層2の表面に流動パラフィンなどの炭化水素系、ステアリン酸、エルカ酸などの脂肪酸系、ステアリルアミド、エルカ酸アマイドなどの脂肪酸アミド系、金属石鹸、天然ワックス、シリコーンなどの滑剤を適当な溶媒で溶液化するなどの塗布可能な状態にして、たとえば、グラビアコート法、ロールコート法、あるいは、パターン状に形成する場合にはグラビア印刷法等の周知の塗布法で滑剤層を形成してもよいものである。
【0034】
また、本発明の積層体は、外層/アルミニウム箔/化成処理層/フッ素系樹脂層/化成処理層/熱接着性樹脂層と積層した後に、前記積層体を前記熱接着性樹脂層に用いる樹脂の軟化点以上、好ましくは、融点以上に加熱処理することにより、前記フッ素樹脂層と前記化成処理層、および、前記化成処理層と前記熱接着性樹脂層との層間の接着強度を向上させることができ、耐薬品性、耐熱性、耐溶剤性において優れると共に経時的に安定したものとすることができる。
【0035】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
まず、予め、アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で両面を化成処理して化成処理層を両面に形成したアルミニウム箔(40μm厚さ)の一方の面と25μm厚さの二軸延伸ナイロンフィルムとを2液硬化型ポリウレタン系接着剤を介して積層して中間積層体を作成した。
【実施例1】
【0036】
前記中間積層体の化成処理層面に20μm厚さのCTFE(クロロトリフルオロエチレン)フィルムをサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して後に、前記CTFEフィルム面をアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液
で化成処理した後に180℃で乾燥してクロム(三価)量が5mg/m2の化成処理層を形成し、次に該化成処理層面にTダイ押出機でポリプロピレン(以下、PPと呼称する)を加熱溶融押出しして30μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した本発明の積層体を作製した。
【実施例2】
【0037】
前記中間積層体の化成処理層面に20μm厚さのFEP〔テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体〕フィルムをサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して後に、前記FEPフィルム面をアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で化成処理した後に180℃で乾燥してクロム(三価)量が5mg/m2の化成処理層を形成し、次に該化成処理層面にTダイ押出機で不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン(以下、変性PPと呼称する)を加熱溶融押出しして30μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した本発明の積層体を作製した。
【実施例3】
【0038】
前記中間積層体の化成処理層面に20μm厚さのEFEP〔テトラフルオロエチレン(TFE)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)とエチレンとの共重合体〕フィルムをサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して後に、前記EFEPフィルム面をアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で化成処理した後に180℃で乾燥してクロム(三価)量が5mg/m2の化成処理層を形成し、次に該化成処理層面に10μm厚さの変性PPと20μm厚さのPPとからなる2層共押出しフィルムを変性PPが前記化成処理層面側となるようにサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して30μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した本発明の積層体を作製した。
【実施例4】
【0039】
前記中間積層体の化成処理層面に20μm厚さのEFEPフィルムをサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して後に、前記EFEPフィルム面をアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で化成処理した後に180℃で乾燥してクロム(三価)量が5mg/m2の化成処理層を形成し、次に該化成処理層面にTダイ押出機で線状低密度ポリエチレン(以下、PEと呼称する)を加熱溶融押出しして30μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した本発明の積層体を作製した。
【実施例5】
【0040】
前記中間積層体の化成処理層面にEFEPのエマルジョン液をロールコート法で塗布・乾燥して5μm厚さのEFEP層を形成した後に、前記EFEP層面をアミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で化成処理した後に180℃で乾燥してクロム(三価)量が5mg/m2の化成処理層を形成し、次に該化成処理層面に15μm厚さの変性PPと30μm厚さのPPとからなる2層共押出しフィルムを変性PPが前記化成処理層面側となるようにサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して45μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した本発明の積層体を作製した。
【0041】
[比較例1]
前記中間積層体の化成処理層面に15μm厚さの変性PPと35μm厚さのPPとからなる2層共押出しフィルムを変性PPが前記化成処理層面側となるようにサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して50μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した比較例とする積層体を作製した。
【0042】
[比較例2]
前記中間積層体の化成処理層面に20μm厚さのEFEPフィルムをサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して後に、前記EFEPフィルム面に10μm厚さの変性PPと20μm厚さのPPとからなる2層共押出しフィルムを変性PPが前記EFEPフィルム面側となるようにサーマルラミネーション法(ラミネート条件:ラインスピード50m/分、温度160℃、圧力10kg/cm2)で積層して30μm厚さの熱接着性樹脂層を形成した比較例とする積層体を作製した。
【0043】
[比較例3]
前記中間積層体の化成処理層面に15μm厚さとなるように変性PPをTダイ押出機で加熱溶融押出しして、5μm厚さのTPX−E(4−メチル−1−ペンテンとエチレンとの共重合体)とEPA(不飽和カルボン酸でグラフト変性したエチレンとプロピレンとの共重合体)とEP(エチレンとプロピレンとの共重合体)とのブレンド樹脂層/20μm厚さのTPX−P(4−メチル−1−ペンテンとプロピレンとの共重合体)層/5μm厚さのTPX−EとEPAとEPとのブレンド樹脂層/5μm厚さのPP層とからなる35μm厚さの4層共押出しフィルムをサンドイッチラミネーション法で積層して比較例とする積層体を作製した。
【0044】
上記した実施例1〜5、および、比較例1〜3の積層体を180℃で20秒間加熱処理したものについて、アルミニウム箔より内側の最も弱い層間(剥離界面)接着強度を測定すると共にヒートシール時の絶縁性、密封性、耐熱性、水蒸気バリアー性について評価し、その結果を表1に纏めて示した。評価時に用いた金属端子部密封用接着性フィルムは上記した積層体の最内層が、プロピレン系樹脂であれば30μm厚さの不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレンフィルムを用い、エチレン系樹脂であれば30μm厚さの不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリエチレンフィルムを用いた。また、各性能の評価は下記の評価方法で行なった。
【0045】
【表1】

【0046】
〔絶縁性評価方法〕
上記の積層体および金属端子部密封用接着性フィルムを裁断して60mm角のテストサンプルを作製し、前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて前記積層体を配置すると共に、幅が4mm、長さが55mm、厚さが50μmのニッケル端子を2枚の金属端子部密封用接着性フィルムの間に挟持した状態で前記積層体間に挿入すると共に前記ニッケル端子と前記積層体のアルミニウム箔にテスターの端子を接続し、この状態で前記ニッケル端子の長さ方向に直交する方向に上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、2.0MPa)して、前記ニッケル箔と前記積層体のアルミニウム箔とが短絡するまでの時間(単位:秒)を評価した。
【0047】
〔密封性評価方法〕
金属端子部密封用接着性フィルムを裁断して8×15mmの金属端子部密封用接着性フィルムテストサンプルを作製すると共に、幅が4mm、長さが55mm、厚さが50μmのニッケル端子(アルカリ脱脂処理後に60℃の1モル硝酸溶液で5分間処理したもの)と同寸法のアルミニウム端子(アミノ化フェノール重合体、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する化成処理液で化成処理を施したもの)のそれぞれの両面の対向する位置に裁断した前記金属端子部密封用接着性フィルムテストサンプルを15mm長さ側が端子の長手方向となるように配置し、この両面を1回ずつ一方が熱板で他方がゴムシートのヒートシール機でヒートシール(150℃、0.5MPa、2秒)して、接着性フィルムテストサンプルが仮シールされたフィルム付き端子を作製した。その後に、上記の積層体を裁断して60×75mmの積層体テストサンプルを作製すると共に前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて重ね合わせ、60mm長さの一方の端辺間にそれぞれの前記フィルム付き端子を該端子同士が接触しないように平行に挿入し、上下共に7mm幅の熱板(この上下に配した熱板は端子に対応する箇所が10mm幅で80μm深さコの字状に削られている)からなるヒートシール機でヒートシール(190℃、1.5MPa、3秒)し、続いて他の三端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、1.0MPa、3秒)した四方シール包装袋を作製した。なお、包装袋内には、3gの電解液〔6フッ化リン酸リチウムを混合液〈エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〉に溶解し、1モル/リットルの6フッ化リン酸リチウム溶液としたもの〕を封入した。その後、この包装袋を、端子をヒートシールした熱接着部を下側にした状態で60℃、90%RH恒温恒湿槽に1週間保管して、金属端子および金属端子部密封用接着性フィルムからの電解液の洩れの有無を目視で評価した。
【0048】
〔耐熱性評価方法〕
上記の積層体を裁断して60×75mmの積層体テストサンプルを作製すると共に前記積層体のシーラントフィルム面同士を対向させて重ね合わせ、四端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(シール条件:190℃、1.0MPa、3秒)した四方シール包装袋を作製した。この包装袋を加温機能のある真空チャンバー内に入れて約1気圧減圧し、この状態でチャンバー内を1℃毎に昇温させ、包装袋が破袋した時の温度を評価した。
【0049】
〔層間強度評価方法〕
アルミニウム箔とこれより内側の層との間で剥離し、これを15mm幅に切断したものを島津製オートグラフ(タイプ:AGS−50D)の引張り試験機で50mm/分の速度で引張り、層間強度を測定すると共に、その際の剥離界面を確認した。なお、層間強度はN/15mm幅であらわした。
【0050】
〔水蒸気バリアー性評価方法〕
上記で作製した包装体となる積層体を裁断して100×120mmの積層体テストサンプルを作製すると共に、接着性フィルムを裁断して15×120mmの接着性フィルムテストサンプルを作製した。前記積層体テストサンプルを前記積層体のシーラントフィルム面同士が対向するように2つ折りすると共に120mm長さの端辺側に2枚の前記接着性フィルムテストサンプルを重ねて挿入し、挿入した端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でヒートシール(190℃、1.0MPa、3秒)して7mm幅の熱接着部を形成した。次いで、50mm幅の対向する両端辺を上下共に7mm幅の平板状熱板からなるヒートシール機でそれぞれ2回位置をずらしてヒートシール(190℃、2.0MPa、3秒)してそれぞれ約10mm幅の熱接着部を形成した三方シール包装袋を作製した。この約10mm幅の熱接着部は、この部位からの水分透過を無視できるものとするためである。なお、包装袋内には3gの混合液〔エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート/ジメチルカーボネート=1/1/1(容積比)〕を封入した。その後、前記7mm幅の熱接着部を3mm幅となるようにトリミングした包装袋を60℃、90%RHの恒温恒湿槽に10日間保管して、前記混合液の水分増加量をカールフィッシャー法で測定した。
【0051】
表1からも明らかなように、比較例1は絶縁性において、比較例2は密封性と耐熱性において、また、比較例3は耐熱性において実施例1〜5に比較して劣る結果を示したが、実施例1〜5は、絶縁性、密封性、耐熱性、層間強度のいずれの性能においても良好な結果を示した。なお、水蒸気バリアー性については、実施例1〜5、および、比較例1〜3のいずれのものも、上記した評価方法で、40〜70ppmの水分増加量であり、良好な水蒸気バリアー性を示した。
【符号の説明】
【0052】
1 積層体
2 外層
3 アルミニウム箔
4 化成処理層
5 フッ素系樹脂層
6 熱接着性樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層、アルミニウム箔、フッ素系樹脂層、熱接着性樹脂層を順に積層した積層体において、前記アルミニウム箔と前記フッ素系樹脂層、および、前記フッ素系樹脂層と前記熱接着性樹脂層とが化成処理層を介して積層されていることを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記化成処理層がフェノール樹脂、三価クロム化合物、および、リン化合物を含有する処理液で処理された層であることを特徴とする請求項1記載の積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−64495(P2010−64495A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288610(P2009−288610)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【分割の表示】特願2004−204328(P2004−204328)の分割
【原出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】